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発明の名称 高炉建設方法および高炉解体方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−63592(P2007−63592A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−249263(P2005−249263)
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
代理人 【識別番号】100099531
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
発明者 藤田 昌男 / 久米田 隆弘 / 小島 啓孝 / 野田 和也
要約 課題
高炉の建設工事の工期を短縮できる高炉建設方法を提供する。

解決手段
ブロック輸送台車が走行する路面から前記高炉基礎の上面まで傾斜路を設け、前記ブロック輸送台車が前記路面から前記傾斜路を経て前記高炉基礎上まで走行して炉頂部ブロックを搬送した後、前記ブロック輸送台車の位置を調整して、前記高炉基礎上で前記炉頂部ブロックを吊り上げ、さらに、下段に位置する下段ブロックを前記ブロック輸送台車で前記高炉基礎上に搬送し、吊り上げた前記炉頂部ブロックの中心軸と前記下段ブロックの中心軸とが一致するように前記ブロック輸送台車の位置を調整し、しかる後に前記炉頂部ブロックを降下させて前記下段ブロックと接合する。
特許請求の範囲
【請求項1】
高炉炉体の炉頂部から炉底部までを2個以上のリング状のブロックに分割して地組場で製作し、次いで各ブロックを高炉基礎の上面に搬送し、順次、前記高炉基礎上で上段に位置するブロックと下段に位置するブロックとを接合させて高炉を建設する高炉建設方法において、ブロック輸送台車が走行する路面から前記高炉基礎の上面まで傾斜路を設け、前記ブロック輸送台車が前記路面から前記傾斜路を経て前記高炉基礎上まで走行して炉頂部ブロックを搬送した後、前記ブロック輸送台車の位置を調整して、前記高炉基礎上で前記炉頂部ブロックを吊り上げ、さらに、下段に位置する下段ブロックを前記ブロック輸送台車で前記高炉基礎上に搬送し、吊り上げた前記炉頂部ブロックの中心軸と前記下段ブロックの中心軸とが一致するように前記ブロック輸送台車の位置を調整し、しかる後に前記炉頂部ブロックを降下させて前記下段ブロックと接合することを特徴とする高炉建設方法。
【請求項2】
高炉基礎に設置された高炉炉体の炉底部をリング状のブロックに切断した後、上段に位置する炉体構造物を前記高炉基礎上で吊り上げて、前記炉底部のブロックを前記高炉基礎上から搬出した後、前記炉体構造物を降下させ、前記高炉基礎上で前記炉体構造物の下部をリング状のブロックに切断して、順次、前記高炉基礎上から搬出する高炉解体方法において、ブロック輸送台車が走行する路面から前記高炉基礎の上面まで傾斜路を設け、前記ブロック輸送台車が前記高炉基礎上から前記傾斜路を経て前記路面を走行して前記リング状のブロックを搬出することを特徴とする高炉解体方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉の建設工事や解体工事の工期短縮を可能にする高炉建設方法および高炉解体方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉の改修にともなう建設あるいは新たな高炉の建設を行なう際に、まず建設現場となる高炉基礎(いわゆるケーソン)とは異なる場所に作業場(いわゆる地組場)を設置し、その地組場で、高炉の炉頂部から炉底部まで2個以上のリング状のブロックに分割して製作する。このとき、地組場でステーブや耐火れんが等の付設装備の施工を完了する。こうして地組場で製作した各ブロックを高炉基礎へ搬送して高炉を建設する(たとえば特許文献1,2参照)。
【0003】
リング状に分割して製作したブロックを用いて高炉を建設する工法(以下、ブロック工法という)の従来の手順について、図3,4を参照して以下に説明する。
高炉の建設にあたっては、最上段に位置するブロックA(すなわち炉頂部ブロック)を地組場で製作して高炉基礎6へ搬送する。ブロックAを搬送するためには、地組場でブロックAをブロック輸送台車5上の吊換台車3上に載置し、高炉基礎6の近傍へ搬送する。ブロック輸送台車5は路面を走行する台車であり、車輪にはタイヤが装着される。
【0004】
ブロックAを移載する際には、揚重装置(図示せず)を用いて吊り上げて、吊換台車3に移載する。吊換台車3の上にはレールがあり、その上にスライド台車8が載置され、吊換台車3上のレールと高炉基礎6上のレールは同一レベルになっている。さらに吊換台車3の上面のレールと高炉基礎6上のレールとを締結し、ブロックAはスライド台車8に上架したまま、スライド台車8ごと吊換台車3から高炉基礎6上に搬送される。
【0005】
次いで、炉体支持柱1に配設される吊り上げ装置2aから垂下したワイヤロープ10の下端を吊り部材9aに連結する。そして吊り上げ装置2aを稼動してワイヤロープ10を巻き上げることによって、ブロックAを吊り上げる。
次にブロックA(すなわち炉頂部ブロック)の下段に位置するブロックB(すなわち第2段ブロック)をスライド台車8に載置して、ブロックAの直下に誘導し、ブロックAの中心軸とブロックBの中心軸を一致させる。その状態を示すのが図3である。
【0006】
地組場で製作したブロックBを高炉基礎6上へ搬送する手順は、ブロックAの搬送手順と同じであるから説明を省略する。
図3に示すようにブロックAの中心軸とブロックBの中心軸が一致した後、ブロックAを降下させて、ブロックAとブロックBを接合する。
さらにブロックAとブロックBとを接合したブロック接合体を吊り上げ装置2aで吊り上げて、その下段に位置するブロックC(すなわち第3段ブロック)をその直下に誘導し、ブロック接合体の中心軸とブロックCの中心軸を一致させた後、ブロック接合体を降下させて、ブロック接合体とブロックCとを接合する。地組場で製作したブロックCを高炉基礎6上へ搬送する手順は、ブロックAの搬送手順と同じであるから説明を省略する。
【0007】
こうして図4に示すように、順次、上段に位置するブロック接合体を吊り上げ装置2a,2bで吊り上げて、その下段に位置するブロック(以下、下段ブロックという)をブロック接合体の直下に誘導し、ブロック接合体の中心軸と下段ブロックの中心軸を一致させた後、ブロック接合体を降下させて、ブロック接合体と下段ブロックとを接合して高炉を建設する。なお図4には高炉を5個のブロックに分割して建設する例を示す。
【0008】
以上に説明した従来のブロック工法は、予め地組場で製作したブロックを高炉基礎上で接合して高炉を建設するものである。したがって高炉基礎上で高炉炉体を構築する工法に比べて、工期を短縮することが可能である。しかしながら、地組場で製作したブロックを吊換台車を経てスライド台車へ移載する作業、あるいはブロックを移載するための吊り部材を着脱する作業に長時間を要する。つまり従来のブロック工法は、工期をさらに短縮するという観点から改善の余地が残されていた。
【特許文献1】特開2000-282116 号公報
【特許文献2】特許第3165362 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような問題を解消し、高炉の建設工事や解体工事の工期を短縮できる高炉建設方法および高炉解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、高炉炉体の炉頂部から炉底部までを2個以上のリング状のブロックに分割して地組場で製作し、次いで各ブロックを高炉基礎の上面に搬送し、順次、高炉基礎上で上段に位置するブロックと下段に位置するブロックとを接合させて高炉を建設する高炉建設方法において、ブロック輸送台車が走行する路面から高炉基礎の上面まで傾斜路を設け、ブロック輸送台車が路面から傾斜路を経て高炉基礎上まで走行して炉頂部ブロックを搬送した後、ブロック輸送台車の位置を調整して、高炉基礎上で炉頂部ブロックを吊り上げ、さらに、下段に位置する下段ブロックをブロック輸送台車で高炉基礎上に搬送し、吊り上げた炉頂部ブロックの中心軸と下段ブロックの中心軸とが一致するようにブロック輸送台車の位置を調整し、しかる後に炉頂部ブロックを降下させて下段ブロックと接合する高炉建設方法である。
【0011】
また本発明は、高炉基礎に設置された高炉炉体の炉底部をリング状のブロックに切断した後、上段に位置する炉体構造物を高炉基礎上で吊り上げて、炉底部のブロックを高炉基礎上から搬出した後、炉体構造物を降下させ、高炉基礎上で炉体構造物の下部をリング状のブロックに切断して、順次、高炉基礎上から搬出する高炉解体方法において、ブロック輸送台車が走行する路面から高炉基礎の上面まで傾斜路を設け、ブロック輸送台車が高炉基礎上から傾斜路を経て路面を走行してリング状のブロックを搬出する高炉解体方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高炉の建設工事や解体工事の工期を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の高炉建設方法は、ブロック工法を改善したものである。本発明の高炉建設方法について、図1,2を参照して以下に説明する。
高炉の建設にあたっては、最上段に位置するブロックA(すなわち炉頂部ブロック)を地組場で製作して高炉基礎6へ搬送する。その際、ブロック輸送台車5が走行する路面から高炉基礎6(いわゆるケーソン)まで傾斜路12を設ける。そして地組場でブロックAをブロック輸送台車5に載置し、そのブロック輸送台車5を路面から傾斜路12を経て高炉基礎6上まで移動させる。その結果、ブロック輸送台車5から吊換台車3への移載と、スライド台車8のスライドを省略できる。なお傾斜路12は、高炉の建設工事が終了した後で取り除くので、バラス等を用いて簡便に設けることが好ましい。
【0014】
ブロック輸送台車5は高炉基礎6上を走行して、所定の位置へブロックAを搬送して停止する。ブロック輸送台車5は前後進及び旋回の機能を有し、任意の位置に停止可能である。
次いで、ブロックAに吊り部材9aを装着して、炉体支持柱1に配設される吊り上げ装置2aから垂下した吊り材10の下端を吊り部材9aに連結する。そして、吊り上げ装置2aを稼動して吊り材10を上昇することによって、ブロックAを吊り上げる。
【0015】
次にブロックA(すなわち炉頂部ブロック)の下段に位置するブロックB(すなわち第2段ブロック)をブロック輸送台車5に載置して、ブロックAの直下に誘導し、ブロックAの中心軸とブロックBの中心軸を一致させる。その状態を示すのが図1である。
地組場で製作したブロックBを高炉基礎6上へ搬送する手順は、ブロックAの搬送手順と同じであるから説明を省略する。なお、吊換台車3やスライド台車8を使用しないので、ブロックBに吊り部材を装着する必要はない。したがって、吊り部材を着脱する作業を省略できる。
【0016】
図1に示すようにブロックAの中心軸とブロックBの中心軸を一致させた後、ブロックAを降下させて、ブロックAとブロックBを接合する。
さらにブロックAとブロックBとを接合したブロック接合体を吊り上げ装置2aで吊り上げて、その下段に位置するブロックC(すなわち第3段ブロック)をその直下に誘導し、ブロック接合体の中心軸とブロックCの中心軸を一致させた後、ブロック接合体を降下させて、ブロック接合体とブロックCとを接合する。地組場で製作したブロックCを高炉基礎6上へ搬送する手順は、ブロックAの搬送手順と同じであるから説明を省略する。
【0017】
こうして図2に示すように、順次、上段に位置するブロック接合体を吊り上げ装置2a,2bで吊り上げて、下段ブロックをブロック接合体の直下に誘導し、ブロック接合体の中心軸と下段ブロックの中心軸が一致した後、ブロック接合体を降下させて、ブロック接合体と下段ブロックとを接合して高炉を建設する。
なお図2には高炉を5個のブロックに分割して建設する例を示す。また吊り部材9bは、高炉基礎6上でブロック接合体を吊り上げるために装着したものである。このようにしてブロック接合体を吊り上げるために使用する吊り上げ装置2a,2bの台数は、ブロック接合体の重量や吊り上げ装置の能力に応じて適宜設定すれば良いのであり、必ずしも全てのブロックに吊り部材を装着する必要はない。
【0018】
また本発明の高炉建設方法は、各ブロックを個別の吊り材で吊り上げ、最下段のブロックを搬入した後、上段のブロックを各々降下させて接合することによって高炉を建設する方法も含む。
以上に説明した通り、本発明の高炉建設方法によれば、ブロック輸送台車5から吊換台車3やスライド台車8へブロックを移載する作業、およびブロックに吊り部材を着脱する作業を省略できるので、ブロック工法の工期をさらに短縮できる。
【0019】
また本発明の高炉建設方法の手順を逆に行なうことによって、高炉を解体することも可能である。つまり図2に示すように、高炉の炉底部ブロック(すなわちブロックE)を切断し、その上部の炉体を吊り上げる。次いで炉底部ブロックをブロック輸送台車で搬出した後、炉体を降下させ、ブロックDを切断する。ブロック輸送台車は、高炉基礎上から傾斜路を経て路面を走行して、リング状のブロックを解体場へ搬送する。このようにしてブロックを、順次、ブロック輸送台車を用いて高炉基礎上から搬出することによって、高炉を解体することができる。
【実施例】
【0020】
図1,2に示すように本発明を適用し、高炉を5段に分割して建設した。すなわち、バラスを用いて傾斜路12を設け、地組場で製作したリング状のブロックをブロック輸送台車5で高炉基礎6上まで搬送した。傾斜路12の斜度は5%とした。さらにブロック輸送台車5を高炉基礎6上で走行させ、高炉基礎6上で上段に位置するブロック接合体の中心軸と下段に位置するブロックの中心軸とを一致させて接合することによって高炉を建設した。これを発明例とする。
【0021】
一方、従来は図3,4に示すように、傾斜路を設けず、地組場で製作したブロックをブロック輸送台車に載置し、さらに吊換台車を経てスライド台車へ移載して、高炉基礎6上で上段に位置するブロック接合体の中心軸と下段に位置するブロックの中心軸とを一致させて接合することによって高炉を建設した。これを従来例とする。
発明例と従来例について、高炉の建設に要する工事期間を比べると、従来例で60〜70日を要していた建設工事が、発明例では3日間短縮することができた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の高炉建設方法で炉頂ブロックを吊り上げた状態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の高炉建設方法でブロック接合体を吊り上げた状態を模式的に示す断面図である。
【図3】従来のブロック工法で炉頂ブロックを吊り上げた状態を模式的に示す断面図である。
【図4】従来のブロック工法でブロック接合体を吊り上げた状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 炉体支持柱
2a 吊り上げ装置
2b 吊り上げ装置
3 吊換台車
5 ブロック輸送台車
6 高炉基礎
7 路面
8 スライド台車
9a 吊り部材
9b 吊り部材
10 吊り材
11 吊り材
12 傾斜路





 

 


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