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発明の名称 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−56303(P2007−56303A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242440(P2005−242440)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作
発明者 今村 猛 / 千田 邦浩 / 佐志 一道 / 寺島 敬 / 大村 健
要約 課題
磁束密度に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供する。

解決手段
無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、仕上焼鈍前の冷間圧延の一部または全ての工程を、鋼板を2枚以上積層した重ね圧延により行うものとし、その際、圧延温度:200℃以上、圧下率:30%以上の条件で重ね圧延を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、仕上焼鈍前の冷間圧延の一部または全ての工程を、鋼板を2枚以上積層した重ね圧延により行うものとし、その際、圧延温度:200℃以上、圧下率:30%以上の条件で重ね圧延を行うことを特徴とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器や回転機の鉄心材料としての用途に供して好適な無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特にその冷延圧延に際し、鋼板を2枚以上積層して圧延するいわゆる重ね圧延を利用することによって、磁束密度の一層の向上を図ろうとするものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題が大きな注目を集めており、省エネルギーの観点から変圧器やモータの特性および効率の向上が急務となっている。電磁鋼板は、モータや変圧器等の鉄心として広く用いられており、電磁鋼板の磁気特性向上は省エネルギーに大きく寄与すると考えられる。
【0003】
電磁鋼板の磁気特性は、鋼板の集合組織の影響を強く受ける。例えば、方向性電磁鋼板では、磁化容易軸である<100>軸を圧延方向に揃えることによって、圧延方向における磁気特性の向上を図っている。一方、無方向性電磁鋼板では、鋼板板面に平行に{100}面を集積させることによって、板面内での磁気特性を優れたものとしている。
電磁鋼板における主要な磁気特性は、鉄損と磁束密度であり、このうち磁束密度は鋼板の集合組織で決定されるといっても過言ではない。
【0004】
鋼板の磁束密度を改善する手法としては、特許文献1や特許文献2に開示されているような、熱延板の結晶粒径を粗大化する方法、また特許文献3に開示されているような、SbやSnといった元素を微量添加することによって仕上焼鈍板の集合組織を改善する方法が知られている。
また、特許文献4には、0.03〜0.2 %のPを含有する鋼に、Sn,Sb,CuおよびNiのうちから選んだ1種または2種以上を同時に少量づつ含有させ、かつ熱延板の焼鈍とその後の冷却条件、もしくは熱延仕上温度とその後の冷却条件を制御することによって、磁束密度が高く鉄損の低い鋼板を得る方法を提案している。しかしながら、これらの技術を併用しても、磁束密度の向上代は十分とは言い難かった。
【0005】
【特許文献1】特開昭56−98420号公報
【特許文献2】特開平3−211258号公報
【特許文献3】特公昭57−59293号公報
【特許文献4】特開平6−271996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
良好な磁気特性を得るための無方向性電磁鋼板の製造方法としては、現行の製造方法はほぼ最適化されており、一般的な製造条件の改良だけでは、これ以上飛躍的に無方向性電磁鋼板の磁束密度を向上させることは困難であった。
【0007】
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、冷間圧延工程に、鋼板を積層した状態で圧延するいわゆる重ね圧延を活用することによって、磁束密度の一層の向上を可能ならしめた無方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、無方向性電磁鋼板を製造するに当たり、仕上焼鈍前の冷間圧延の一部または全ての工程を、鋼板を2枚以上積層した重ね圧延により行うものとし、その際、圧延温度:200℃以上、圧下率:30%以上の条件で重ね圧延を行うことを特徴とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無方向性電磁鋼板の冷間圧延を、所定条件下での重ね圧延で行うことにより、磁束密度に優れた無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の基礎となった実験結果について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味するものとする。
<実験1>
Si:2.74%、Mn:0.16%およびAl:0.30%を含有する鋼片を、熱間圧延により1.6 mm厚の熱延板とし、ついで1000℃で60秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.20〜1.4 mmの厚さに仕上げた。その後、脱脂処理を施したのち、同じ板厚の鋼板同士を2枚重ね、200℃の温度で冷間圧延を行い、0.35mmの板厚に仕上げた。その後、920℃で10秒の仕上焼鈍を施した。
かくして得られたサンプルの磁気測定を行った。
【0011】
図1に、重ね圧延における圧下率と鋼板の磁気特性B50(磁化力:5000 A/mで磁化したときの磁束密度)との関係について調べた結果を示す。
同図に示したとおり、重ね圧延における圧下率が30%以上の範囲でB50が大幅に向上することが分かる。
【0012】
上記したように、冷間圧延を重ね圧延とすることによって磁気特性が向上する理由は、まだ明確に解明されたわけではないが、発明者らは次のように推測している。
鋼板を重ねて圧延を行うと、重ねた部分はその境界を越えてまで変形しないことから、この部分は変形に拘束が生じていると考えられる。この拘束により、通常の圧延とは異なる変形モードとなり、この部分での圧延組織の変化もしくは再結晶核生成の違いが、仕上焼鈍後に最終磁気特性に有利な再結晶集合組織を導いたものと推測される。この点、重ね圧延の圧下率が30%未満の場合は、この効果が重ねた部分の極近傍のみにしか発揮されず、その結果全体としての磁気特性にはほとんど変化が無かったものと考えられる。
【0013】
以下、本発明の製造方法について具体的に説明する。
本発明で対象とする無方向性電磁鋼板の成分組成については、特に制限はなく、従来から公知の成分系いずれもが適合する。
所定の成分組成に調整した溶鋼を、通常の造塊法、連続鋳造法等でスラブとする。その他、100 mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法により製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱したのち熱間圧延するが、鋳造後加熱せずに直ちに熱延してもよい。薄鋳片の場合は、熱間圧延しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
【0014】
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。良好な磁気特性を得るためには、この熱延板焼鈍を施すことが望ましい。熱延板焼鈍温度は、800℃以上 1100℃以下とするのが好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満では、熱延でのバンド組織が残留し、整粒の一次再結晶組織を実現することが困難になる。一方、1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎることため、整粒の一次再結晶組織を実現する上で不利である。
【0015】
熱延板焼鈍後、必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷間圧延を施す。
本発明では、この冷間圧延工程が重要で、鋼板を2枚以上積層した重ね圧延により冷間圧延を行う必要がある。また、その際の圧下率は30%以上とする必要がある。というのは、圧下率が30%に満たないと、前掲図1に示したように、満足いくほどの磁気特性B50の向上が達成されないからである。
なお、この重ね圧延は、冷間圧延の全ての工程をわたっても、また一部の工程であってもかまわない。また、重ね圧延は、1パスで目標の圧下率まで圧下しても、多パスにより目標の圧下率としてもいずれでも良い。
【0016】
さらに、本発明では、上記の重ね圧延における圧延温度を、200℃以上とする必要がある。というのは、重ね圧延における圧延温度が200℃に満たないと、やはり満足いくほどの磁気特性の向上が期待できないからである。なお、圧延温度の上限については、700℃程度とするのが好適である。というのと、圧延温度が700℃を超えると、圧延中に再結晶が発現するいわゆる動的再結晶が起こり、集合組織が大幅に変化して磁気特性が劣化するおそれがあるからである
【0017】
上記の重ね圧延に際しては、鋼板を重ねる前に、脱脂や酸洗処理を行って、鋼板同士が密着する面を清浄に保つことが望ましい。この密着面には、接着剤やセパレータ等の異材を塗布もしくは挿入してもよい。鋼板同士を重ねる際には、単に接触させるだけでもよいが、圧延中に2枚の板がずれるおそれがある場合には、圧延前に部分的に溶接したり、部分的に溶剤を使用して接着してもよい。
また、冷間圧延途中で100〜400℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことは、磁気特性を良好にさせる上で有効である。
【0018】
重ね圧延後の鋼板は、重ねたまま1枚の鋼板として扱う。その上でも、上述した重ね圧延における圧延温度を200℃以上とすることが必要であり、またパス回数を少なく(望ましくは1パス)かつ圧下率を高くする(望ましくは50%以上)ことが、鋼板の密着性を向上させる上で好適である。
また、重ねたままの鋼板を、再度複数枚重ねて同様の圧延を行ってもかまわない。この場合は、複数回の重ね圧延のうち、少なくとも1回、圧下率が30%以上の条件を満たしていればよい。
【0019】
その後、必要に応じて脱脂や酸洗処理を行ったのち、仕上焼鈍を施す。この仕上焼鈍は、脱炭を必要とする場合には雰囲気を湿潤雰囲気とするが、脱炭を必要としない場合には乾燥雰囲気であっても良い。
また、得られた積層鋼板をさらに積層して使用する場合には、鉄損を低減するために積層鋼板の表面に絶縁コーティングを施すことが有利である。この際、良好な打抜き性を確保するためには、樹脂を含有する有機コーティングが望ましく、一方溶接性を重視する場合には半有機や無機コーティングを適用することが望ましい。
【実施例】
【0020】
実施例1
Si:2.74%、Mn:0.16%およびAl:0.30%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼片を、熱間圧延により2.0 mm厚の熱延板とし、950℃で30秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.3〜1.8 mmの厚さに仕上げた。ついで、脱脂および酸洗処理を行った後、同じ板厚の鋼板同士を2枚重ねて250℃の温度で冷間圧延を行い、0.50mmの板厚に仕上げた。その後、乾燥窒素雰囲気中にて、900℃,10秒の仕上焼鈍を施した。
かくして得られた無方向性電磁鋼板の磁気特性を測定した結果を、表1に示す。
【0021】
【表1】


【0022】
同表から明らかなように、本発明に従い、圧下率:30%以上(圧延温度:250℃)の条件で製造した無方向性電磁鋼板はいずれも、良好な磁気特性を得られることが分かる。
【0023】
実施例2
Si:0.11%、Mn:0.23%およびP:0.079%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼片を、熱間圧延により1.6 mm厚の熱延板としたのち、冷間圧延により0.2〜1.0mmの厚さに仕上げた。ついで、脱脂および酸洗処理を行った後、同じ板厚の鋼板同士を3枚重ねて、表2に示す圧下率および圧延温度で冷間圧延を行い、0.50mmの板厚とした。その後。乾燥窒素雰囲気中にて、800℃,10秒の仕上焼鈍を施した。
かくして得られた無方向性電磁鋼板の磁気特性を測定した結果を、表2に併記する。
【0024】
【表2】


【0025】
同表から明らかなように、本発明に従い、圧延温度:200℃以上、圧下率:30%以上の条件で製造した無方向性電磁鋼板はいずれも、良好な磁気特性を得られることが分かる。
【0026】
実施例3
Si:1.82%、Mn:0.22%およびAl:0.33%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼片を、熱間圧延により2.0mm厚の熱延板とし、1000℃で25秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.20〜1.4mmの厚さに仕上げた。ついで、脱脂および酸洗処理を行った後、同じ板厚の鋼板同士を2枚重ねて200℃の温度で冷間圧延を行い、表3に示す板厚とした。ついで、得られた鋼板を再度同じ板厚同士で2枚重ねて400℃の温度で冷間圧延を行い、0.50mmの板厚とした。その後、湿潤窒素水素混合雰囲気中にて、900℃,60秒の仕上焼鈍を施した。
かくして得られた無方向性電磁鋼板の磁気特性を測定した結果を、表3に併記する。
【0027】
【表3】


【0028】
同表から明らかなように、本発明に従う条件で製造した無方向性電磁鋼板はいずれも、良好な磁気特性を得られることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】重ね圧延における圧下率と鋼板の磁気特性B50との関係を示す図である。




 

 


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