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発明の名称 低硫鋼の溶製方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−51350(P2007−51350A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−238116(P2005−238116)
出願日 平成17年8月19日(2005.8.19)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 岸本 佑 / 五十川 徹 / 田野 学 / 赤井 真一 / 須田 守
要約 課題
溶鋼に混入して転炉から取鍋に流出される転炉スラグを除去しないまま溶鋼を脱硫処理して低硫鋼を溶製するに当たり、処理工程を煩雑化することなく復燐を抑えて脱硫処理する事のできる低硫鋼の溶製方法を提供する。

解決手段
溶銑段階で脱燐処理及び脱硫処理の施された溶銑を転炉で脱炭精錬して炭素含有量が0.1質量%未満の溶鋼を溶製し、この溶鋼を取鍋2に出鋼した後、取鍋内のスラグ4を除去することなく取鍋内に石灰系脱硫剤を添加し、次いで、溶鋼と石灰系脱硫剤とを攪拌して脱硫処理する。その際に、転炉における脱炭精錬では、副原料としてマンガン鉱石を使用すること、及び、脱炭精錬終了後の転炉内スラグの組成を、燐含有量が2質量%以下、MnO含有量が5質量%以上とすることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
溶銑段階で脱燐処理及び脱硫処理の施された溶銑を転炉で脱炭精錬して炭素含有量が0.1質量%未満の溶鋼を溶製し、この溶鋼を取鍋に出鋼した後、取鍋内のスラグを除去することなく取鍋内に石灰系脱硫剤を添加し、次いで、溶鋼と石灰系脱硫剤とを攪拌して脱硫処理することを特徴とする、低硫鋼の溶製方法。
【請求項2】
前記脱炭精錬終了後の転炉内スラグは、燐含有量が3質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の低硫鋼の溶製方法。
【請求項3】
前記転炉における脱炭精錬では、副原料としてマンガン鉱石を使用することを特徴とする、請求項1に記載の低硫鋼の溶製方法。
【請求項4】
前記脱炭精錬終了後の転炉内スラグは、燐含有量が2質量%以下であり、MnO含有量が5質量%以上であることを特徴とする、請求項3に記載の低硫鋼の溶製方法。
【請求項5】
前記低硫鋼は、硫黄含有量が0.003質量%以下であり、マンガン含有量が0.6質量%以上であることを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の低硫鋼の溶製方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、低硫鋼の溶製方法に関し、詳しくは、転炉からの出鋼時に溶鋼に混入して取鍋内に流出したスラグを取鍋から除去しないまま脱硫剤を装入し、脱硫剤と溶鋼とを強制的に攪拌して脱硫処理して低硫鋼を溶製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、従来にも増して不純物の少ない高級鋼製造に対する要請が増大しており、特に、鋼材の靭性を害する硫黄含有量の少ない低硫鋼が求められている。低硫鋼の製造においては、転炉での脱炭精錬工程の前に溶銑段階で脱硫処理を施すことが行われているが、硫黄濃度が0.003質量%以下である所謂極低硫鋼では、更に転炉から出鋼後の溶鋼段階でも脱硫処理が行われている。溶鋼の脱硫剤としては、安価であることから、通常、主成分として石灰(CaO)を用い、これに融点降下剤としてのアルミナ(Al23 )、蛍石(CaF2 )などを添加した脱硫剤が使用されている。
【0003】
この溶鋼の脱硫処理は、一般に、加熱手段や攪拌手段、更にはインジェクション手段を備えた、ASEA−SKF法、VAD法及びLF法などと称される所謂「取鍋精錬法」によって行なわれている。これら取鍋精錬法の基本は、転炉で脱炭精錬された溶鋼を取鍋に受け、取鍋内の溶鋼上に上記脱硫剤を添加して溶鋼の攪拌を行ない、脱硫剤の滓化により形成されたスラグと溶鋼との間で所謂「スラグ−メタル反応」を行なって、溶鋼中の硫黄を除去するというものである。
【0004】
ところで、脱硫反応は還元反応であるので、脱硫処理は強還元雰囲気下で行われる。一方、溶鋼の脱硫処理の前工程である転炉脱炭精錬は酸化精錬であり、この酸化精錬によって脱炭反応と同時に、酸化反応である脱燐反応が進行する。即ち、転炉での脱炭精錬時、溶銑に含有される燐は転炉内に形成されるスラグに移行して脱燐反応が進行する。転炉から取鍋への溶鋼の出鋼時、スラグカットボールなどによってスラグ流出対策が実施されるが、スラグの流出を完全には防止することができず、溶鋼に混じってスラグが取鍋内に流出する。
【0005】
取鍋内に転炉スラグが存在した状態のまま脱硫処理を実施すると、スラグ中の燐は還元されて溶鋼に移行し、溶鋼中の燐含有量が増加する(これを「復燐」と呼ぶ)。従って、この復燐を防止するために、通常、脱硫処理の前には取鍋内に流出した転炉スラグは除去される。しかしながら、除滓するためには、除滓のための設備や要員が必要である上に、除滓による熱ロスが非常に大きく、また、除滓の際に溶鋼も流出して溶鋼歩留まりを低下させる。
【0006】
特許文献1には、脱燐処理及び脱硫処理を施した溶銑を用いて転炉脱炭精錬を行い、脱炭精錬終了時の溶鋼中炭素含有量を0.1質量%以上に維持して出鋼した後、取鍋内のスラグに脱酸剤を添加し、取鍋内のスラグを除滓することなく真空脱ガス設備にて脱炭処理し、その後、脱酸処理及び脱硫処理を実施して極低硫鋼を溶製する方法が提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、転炉で脱炭精錬された溶鋼を収容する取鍋内に、石灰系物質とアルミナ源とが混合されたフラックスを添加して、転炉から流出したスラグとで脱硫能に優れた組成のスラグを形成し、次いで、スラグを除去しないまま溶鋼とスラグとを攪拌して脱硫処理する方法が提案されている。
【特許文献1】特開平6−306442号公報
【特許文献2】特開2003−155516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの従来技術には以下の問題点がある。
【0009】
即ち、特許文献1では、脱炭精錬終了時の溶鋼中炭素含有量を0.1質量%以上に維持していることから、その後に真空脱ガス設備における真空脱炭精錬が必須となり、処理工程を煩雑化させるのみならず、真空脱炭精錬の処理費用が必要であり、従来の除滓作業を実施した場合に比べて製造コストの削減効果は少ないと言わざるを得ない。また、特許文献2では、復燐防止の対策が講じられておらず、硫黄含有量は低くなるものの、燐含有量の低い溶鋼の溶製は困難であると言わざるを得ない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶鋼に混入して転炉から取鍋に流出される転炉スラグを除去しないまま溶鋼を脱硫処理して低硫鋼を溶製するに当たり、処理工程を煩雑化することなく、復燐を抑えて脱硫処理することのできる、低硫鋼の溶製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための第1の発明に係る低硫鋼の溶製方法は、溶銑段階で脱燐処理及び脱硫処理の施された溶銑を転炉で脱炭精錬して炭素含有量が0.1質量%未満の溶鋼を溶製し、この溶鋼を取鍋に出鋼した後、取鍋内のスラグを除去することなく取鍋内に石灰系脱硫剤を添加し、次いで、溶鋼と石灰系脱硫剤とを攪拌して脱硫処理することを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明に係る低硫鋼の溶製方法は、第1の発明において、前記脱炭精錬終了後の転炉内スラグは、燐含有量が3質量%以下であることを特徴とするものである。
【0013】
第3の発明に係る低硫鋼の溶製方法は、第1の発明において、前記転炉における脱炭精錬では、副原料としてマンガン鉱石を使用することを特徴とするものである。
【0014】
第4の発明に係る低硫鋼の溶製方法は、第3の発明において、前記脱炭精錬終了後の転炉内スラグは、燐含有量が2質量%以下であり、MnO含有量が5質量%以上であることを特徴とするものである。
【0015】
第5の発明に係る低硫鋼の溶製方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、前記低硫鋼は、硫黄含有量が0.003質量%以下であり、マンガン含有量が0.6質量%以上であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、脱燐処理及び脱硫処理の施された溶銑を使用して脱炭精錬を実施するので、転炉スラグの燐含有量は少なく、除滓せずに脱硫処理しても、復燐を抑制することができ、燐含有量の低い製品の溶製が可能である。また、転炉スラグは一旦溶融したものであり、仮に固化したとしても所謂プリメルト状態であり、石灰系脱硫剤の滓化を促進させて、効率的な脱硫を実施可能とする。更に、脱炭精錬では、0.1質量%未満まで溶鋼中炭素を低減するので、二次精錬では極低炭素鋼を除いて脱炭処理を実施する必要がない。また更に、転炉脱炭精錬でマンガン鉱石を使用した場合には、転炉内で溶鋼中にマンガンを歩留まらせることができるのみならず、取鍋内に流出したスラグ中のMnOをも脱硫処理によって溶鋼中に還元することができる。このように、本発明によれば、低硫鋼の製造コストを大幅に削減することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0018】
高炉から出銑された溶銑を溶銑鍋やトーピードカーなどの溶銑保持・搬送用容器で受銑し、次工程の脱炭精錬を行なう転炉に搬送する。通常、この搬送途中で、溶銑に対して脱硫処理、脱燐処理及び脱珪処理などの溶銑予備処理が施されており、本発明においては、低硫鋼を溶製する方法であることから脱硫処理を実施し、また、溶製する鋼の成分規格上からは脱燐処理が必要でない場合でも、後工程の溶鋼段階での脱硫処理でスラグからの復燐を防止するために、脱燐処理を実施する。脱燐処理の前に脱珪処理を行ない、効率的な脱燐反応を阻害する珪素を予め除去しておくことが好ましい。
【0019】
また、脱燐処理を実施することで、安価なマンガン源としてマンガン鉱石を転炉内に添加し、このマンガン鉱石を高い歩留まりで溶鋼中に還元させることが可能となる。これは、溶銑段階で脱燐処理を施すことによって転炉精錬で必要とする媒溶剤を少なくすることができ、また、転炉内に装入する媒溶剤の量が少ないほどマンガン鉱石の還元が促進されるからである。転炉で使用する媒溶剤を最大限少なくするためには、溶銑の燐濃度を溶製する鋼の成分規格よりも低くなるまで脱燐処理することが好ましい。
【0020】
このようにして得た溶銑を一次精錬炉である転炉に装入して脱炭精錬を行なう。この転炉脱炭精錬では、マンガン源としてマンガン鉱石を添加しながら必要に応じて少量の生石灰などを媒溶剤として用い、酸素ガスを上吹き及び/または底吹きして溶銑の脱炭精錬を行なう。添加されたマンガン鉱石は送酸脱炭中に溶銑中の炭素によって還元され、還元されたマンガンは溶湯中に移行し、溶湯中のマンガン濃度が上昇する。転炉内に添加したマンガン鉱石のみでは、溶鋼のマンガン濃度が目的とする鋼の成分規格範囲に不足する場合には、転炉から取鍋などの溶鋼保持容器への溶鋼の出鋼時に高炭素フェロマンガンなどの合金鉄を所定量添加し、溶鋼のマンガン濃度を上昇させる。
【0021】
マンガン鉱石を還元しながら溶銑の脱炭精錬を行ない、溶銑から溶鋼へと脱炭精錬された溶湯中の炭素濃度が0.1質量%未満の範囲まで脱炭精錬されたなら、転炉内への酸素ガスの供給を停止して脱炭精錬を終了する。このときの炭素濃度は、0.1質量%未満の範囲で、溶製する鋼の成分範囲に応じて決定する。炭素濃度の下限値は特に規定する必要はないが、0.03質量%程度が好ましい。炭素濃度がこの範囲の場合が転炉脱炭精錬は最も効率的であるためである。即ち、炭素濃度が0.03質量%未満では溶鋼が過酸化されて、鉄歩留まりが低下したり、脱酸剤原単位が上昇したりして、製造コストが上昇する。また、0.1質量%以上の場合には、脱炭反応による発熱量が少なく、鉄鉱石などの冷却材の使用量を少なくせざるを得ず、製造コストが上昇し、また、鋼製品の炭素含有量範囲は0.1質量%以下のものが大半であり、0.1質量%以上で脱炭精錬を終了すると、その後に、真空脱ガス設備を用いた脱炭精錬が必要になるからである。
【0022】
また、後工程の溶鋼での脱硫処理における復燐を防止するために、転炉スラグの燐含有量が3質量%以下、望ましくは2質量%以下になるように、転炉脱炭精錬では、生石灰などの媒溶剤の使用量を調整することが好ましい。つまり、溶銑の燐含有量に応じて、転炉スラグの燐含有量が3質量%以下、望ましくは2質量%以下になるように、生石灰などの媒溶剤の使用量を調整することが好ましい。転炉スラグの燐含有量が3質量%以下になると、復燐を問題のないレベルまで抑えることができ、2質量%以下の場合には更に復燐が低減することを確認している。同様に、後工程の溶鋼の脱硫処理においてMnOの還元を有効に活用するために、転炉スラグのMnO含有量が5質量%以上となるように、マンガン鉱石の添加量を調整することが好ましい。これは、経験的に得られるマンガン鉱石の還元量よりも過剰にマンガン鉱石を添加すればよい。
【0023】
このようにして脱炭精錬して溶製した溶鋼を転炉から取鍋に出鋼する。出鋼の末期、溶鋼に混じって転炉スラグも取鍋に流出する。出鋼時、転炉スラグを積極的に取鍋に流出させる必要はなく、通常実施されるスラグ流出対策を実施する。出鋼後、溶鋼に混じって流出した転炉スラグを除去することなく、溶鋼を次工程の二次精錬炉に搬送する。石灰系脱硫剤は、脱硫処理を実施する後工程の例えばLF炉(「取鍋精錬炉」ともいう)で添加してもよいが、石灰系脱硫剤の滓化を促進させて効率的な脱硫処理を実施するために、出鋼時或いは出鋼直後に取鍋内に添加することが好ましい。
【0024】
本発明の溶製対象である低硫鋼は高級鋼であることから、水素、窒素などの溶鋼中ガス成分も調整の対象になることが多く、従って、出鋼後に脱ガス処理と脱硫処理との双方を実施する場合が大半である。また、炭素濃度範囲が0.03質量%以下の極低炭低硫鋼は脱炭処理も必要とし、この脱炭処理は脱ガス設備で実施する。脱ガス処理が必要でない場合には、脱硫処理のみを実施する。
【0025】
二次精錬炉として最も一般的なRH真空脱ガス装置では、脱炭処理を含めた脱ガス処理と脱硫処理の双方を実施することは可能であるが、例えば脱炭処理は酸化反応であり、一方、脱硫処理は還元反応であることから、双方を同時に行なうことはできず、それぞれ個別に行なうためにRH真空脱ガス装置における処理時間が延長し、生産性を阻害する。また、本来、RH真空脱ガス装置における脱硫効率よりも、LF炉など溶鋼と脱硫剤との攪拌が可能な二次精錬炉における脱硫効率の方が高いという基本的な利点もある。従って、本発明では、真空脱炭処理を含めた真空脱ガス処理をRH真空脱ガス装置で行ない、脱硫処理をASEA−SKF炉、VAD炉、LF炉などで実施する。
【0026】
この場合、真空脱ガス処理と脱硫処理のどちらの処理を先に実施しても構わないが、真空脱ガス処理で、脱炭処理を必要とする場合には、真空脱ガス処理を先に実施することが好ましい。これは、脱炭処理は酸化反応であり、一方、脱硫処理は還元反応であり、また、転炉から出鋼された溶鋼は酸化された状態であることから、転炉から出鋼された溶鋼に脱酸処理を施さず、そのまま真空脱炭処理することが効率的であるからである。
【0027】
ここでは、真空脱ガス処理を先に実施することで説明する。RH真空脱ガス装置では、真空脱炭処理が必要な場合には最初に真空脱炭処理を実施、真空脱炭処理後に、溶鋼を金属Alなどで脱酸し、更に、処理を継続して脱水素処理、脱窒素処理、成分調整処理などを実施する。処理完了後は、溶鋼を次の脱硫処理工程に搬送する。
【0028】
図1に、本発明で脱硫処理設備として用いたLF炉の1例を示す。図1はLF炉の概略縦断面図であり、図1において、1はLF炉、2は取鍋、3は溶鋼、4はスラグ、5は昇降式の蓋、6はインジェクションランス、7は通電用の電極、8は蓋5と取鍋2とで形成する空間に不活性ガスを供給するためのガス導入管である。このLF炉1においては、インジェクションランス6から、不活性ガスの他に不活性ガスを搬送用ガスとして粉体のフラックス及び金属を溶鋼中に吹き込むことができるようになっており、また、蓋5を貫通して合金鉄及び造滓剤を添加するための投入シュートが蓋5を貫通して設置されているが、図1ではこれらを省略している。
【0029】
LF炉1では、台車(図示せず)に積載されて搬送された取鍋2を台車に積載したまま所定の位置に固定し、上方から蓋5を取鍋2の上部に載せ、蓋5と取鍋2とで密閉された空間を形成する。出鋼時や出鋼直後に石灰系脱硫剤の添加が行われていない場合には、この時点で投入シュートを介して石灰系脱硫剤を添加する。また、溶鋼3が脱酸されていない場合には、この時点で金属Alを添加して脱酸する。そして、この空間にガス導入管8を介してArガスなどの不活性ガスを吹き込み、この空間を不活性ガス雰囲気に維持しながら、インジェクションランス6から不活性ガスを吹き込んで溶鋼3とスラグ4とを攪拌する。スラグ4には、石灰系脱硫剤が添加してあるので、溶鋼3はこの石灰系脱硫剤によって脱硫処理される。溶鋼3の硫黄濃度が0.003質量%以下の所定の値になったなら、インジェクションランス6からの不活性ガス吹き込みを停止して脱硫処理を終了する。溶鋼3の温度が所望する温度よりも低い場合、或いは溶鋼3の成分濃度が所望する範囲にない場合には、電極7による溶鋼3の加熱或いは合金鉄の投入を実施する。このようにして硫黄濃度が0.003質量%以下の低硫鋼の溶製を終了し、次の連続鋳造機などの鋳造工程に溶鋼3を搬送する。
【0030】
ここで、石灰系脱硫剤とは、CaOを50質量%以上含有するものであり、例えば、生石灰単独、或いは、生石灰に蛍石やアルミナなどの融点降下剤を添加した脱硫剤である。尚、スラグ4の酸素ポテンシャルを下げて脱硫反応を促進させるために、脱酸源をスラグ4に添加することが好ましい。脱酸源としては、金属アルミニウム、或いは、アルミニウムスクラップを溶解再生するときに発生するアルミドロス(金属Alを30〜50質量%程度含有する)が適当である。
【0031】
このように本発明では、脱燐処理及び脱硫処理の施された溶銑を使用して転炉で脱炭精錬を実施するので、取鍋2に混入する転炉スラグの燐含有量は少なく、除滓せずに脱硫処理しても、復燐を抑制することができ、燐含有量の低い製品の溶製が可能である。また、転炉スラグは一旦溶融したものであり、石灰系脱硫剤の滓化を促進させて、効率的な脱硫処理が実施可能となる。更に、転炉脱炭精錬でマンガン鉱石を使用した場合には、転炉内で溶鋼中にマンガンを歩留まらせることができるのみならず、取鍋内に流出したスラグ中のMnOをも脱硫処理によって溶鋼中に還元することができ、低硫鋼の製造コストを大幅に削減することが可能となる。本発明は、特に、硫黄含有量が0.003質量%以下であり、マンガン含有量が0.6質量%以上の低硫鋼を溶製する際に、上記効果を如何なく発揮する。
【実施例1】
【0032】
高炉から出銑された溶銑に脱珪処理、脱硫処理及び脱燐処理を施し、燐濃度が0.010〜0.035質量%、硫黄濃度が0.004〜0.005質量%の溶銑を得た。この溶銑を転炉に装入して、脱炭精錬を実施した。この脱炭精錬では、酸素吹錬中にマンガン鉱石を溶鋼トン当たり3〜20kg添加した。また、脱炭精錬終了後の転炉スラグの燐濃度が2質量%以下になるように、造滓剤として生石灰を投入した。このようにして転炉で溶製した溶鋼を取鍋に出鋼した。出鋼時の溶鋼中炭素濃度は0.05〜0.09質量%であり、出鋼時、転炉スラグが溶鋼に混入して取鍋に流出した。転炉スラグの燐濃度は1.5〜2.0質量%、MnO濃度は6〜10質量%であり、転炉スラグの取鍋への流出量はスラグ厚みから換算するとおよそ溶鋼トン当たり5〜15kgであった。このスラグを除去しないまま、先ず、RH真空脱ガス装置で脱水素処理を実施、次いで、図1に示すLF炉で脱硫処理を実施した。脱硫剤としては80質量%CaO−20質量%Al23 の石灰系脱硫剤を使用し、この脱硫剤をLF炉で投入し、インジェクションランスから溶鋼トン当たり3〜10NLのArガスを溶鋼中に吹き込んで攪拌した。脱硫処理終了後、黒鉛製の電極をスラグに浸漬させてアーク加熱し、処理中の温度補償を行った。
【0033】
脱硫処理後の溶鋼中硫黄濃度は0.0008質量%以下であった。また、溶鋼の復燐は0.002〜0.003質量%であり、問題のない範囲であった。溶鋼中マンガン濃度は脱硫処理中に0.1〜0.3質量%上昇した。また、除滓しないことにより、溶鋼温度の降下量を除滓した場合に比べて約5℃低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明で脱硫処理設備として用いたLF炉の概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 LF炉
2 取鍋
3 溶鋼
4 スラグ
5 蓋
6 インジェクションランス
7 電極
8 ガス導入管




 

 


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