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発明の名称 耐摩耗性及び耐疲労損傷性に優れるパーライト鋼レール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−51348(P2007−51348A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−238103(P2005−238103)
出願日 平成17年8月19日(2005.8.19)
代理人 【識別番号】100080687
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 順三
発明者 本庄 稔 / 木村 達己 / 鈴木 伸一
要約 課題
耐摩耗性と耐疲労損傷性の両特性に優れたパーライト鋼レールを提供する。

解決手段
C:0.6〜1.1mass%、Si:0.1〜1.2mass%、Mn:0.4〜1.5mass%、P:0.035mass%以下、S:0.035mass%以下、W:0.01〜1.0mass%を含有し、さらに、必要に応じて、V:0.001〜0.50mass%、Nb:0.001〜0.05mass%の中から選ばれる1種または2種および/または、Cu:1.0mass%以下、Ni:1.0mass%以下、Cr:1.5mass%以下、Mo:0.5mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする耐摩耗性および耐疲労損傷性に優れるパーライト鋼レール。
特許請求の範囲
【請求項1】
C:0.6〜1.1mass%、Si:0.1〜1.2mass%、Mn:0.4〜1.5mass%、P:0.035mass%以下、S:0.035mass%以下、W:0.01〜1.0mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする耐摩耗性および耐疲労損傷性に優れるパーライト鋼レール。
【請求項2】
上記成分組成に加えてさらに、V:0.001〜0.50mass%およびNb:0.001〜0.05mass%の中から選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載のパーライト鋼レール。
【請求項3】
上記成分組成に加えてさらに、Cu:1.0mass%以下、Ni:1.0mass%以下、Cr:1.5mass%以下およびMo:0.5mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のパーライト鋼レール。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、海外の鉱山鉄道のように、貨車の積載重量が大きくかつ急曲線が多い過酷な条件下で使用される、耐摩耗性と耐疲労損傷性に優れるパーライト鋼レールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海外の鉱山鉄道のように鉱石の運搬等を主とする貨車の積載重量は、客車と比べて遥かに大きい。そのため、かような分野で用いられるレールの使用環境は過酷なものとなっている。このような積載重量の大きい鉄道、いわゆる高軸重鉄道で使用されるレールには、従来、耐摩耗性を重視する観点から、亜共析型あるいは共析型のパーライト鋼レールが主として使用されてきた。しかし、近年では、鉄道輸送の効率化のために、貨車の積載重量はさらに増大する傾向にあり、高軸重鉄道用のレールには、更なる耐摩耗性の向上が求められるようになってきている。
【0003】
このような要求に応えるため、例えば、特許文献1及び2には、C量を0.85超〜1.20mass%に増やして過共析とし、セメンタイト分率を高めることにより耐摩耗性の向上を図る技術が開示されている。また、特許文献3及び4には、C量を0.85超〜1.20mass%としてセメンタイト分率を高めるとともに、レール頭部に熱処理を施すことにより耐摩耗性の向上を図る技術が開示されている。
【0004】
一方、高軸重鉄道の曲線区間で使用されるレールは、車輪による転がり応力と遠心力による滑り力を受けるため、摩耗が激しくなるとともに、滑りに起因した疲労損傷が起こりやすい。しかし、上記特許文献1〜4の技術のように、単にC量を0.85超〜1.20mass%に高めるだけでは、熱処理条件によっては、初析セメンタイト組織が多量に生成したり、層状組織を呈するパーライト中の脆いセメンタイト相の量が増加したりするため、耐疲労損傷性の向上は見込めないという問題がある。
【0005】
そこで、Alを0.07超〜3.00%および/またはSiを1.00超〜3.00%添加することにより初析セメンタイトの生成を抑制し、耐疲労損傷性を向上する技術が特許文献5に提案されている。
【特許文献1】特開平8−109439号公報
【特許文献2】特開平8−144016号公報
【特許文献3】特開平8−246100号公報
【特許文献4】特開平8−246101号公報
【特許文献5】特開2002−69585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、AlやSiの多量の添加は、疲労損傷の起点となる酸化物を多量に生成してマトリックス中に分散し、これらが疲労損傷の起点となるため、レールの疲労損傷性が低下するという問題がある。したがって、引用文献5の技術では、パーライト組織を有する鋼のレールにおいて、耐摩耗性と耐疲労損傷性の両特性を同時に満たすことは難しいのが実情である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、従来の亜共祈、共析及び過共析型のパーライト鋼レールが有する上記問題点を改善し、耐摩耗性と耐疲労損傷性の両特性に優れたパーライト鋼レールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するために、耐摩耗性および耐疲労損傷性に及ぼす炭化物の影響に着目し、各種のレールを製作して検討を重ねた。その結果、鋼中にWの炭化物を微細に分散させることで、レールの耐摩耗性及び耐疲労損傷性を向上することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、C:0.6〜1.1mass%、Si:0.1〜1.2mass%、Mn:0.4〜1.5mass%、P:0.035mass%以下、S:0.035mass%以下、W:0.01〜1.0mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする耐摩耗性および耐疲労損傷性に優れるパーライト鋼レールである。
【0010】
本発明のレールは、上記成分組成に加えてさらに、V:0.001〜0.50mass%およびNb:0.001〜0.05mass%の中から選ばれる1種または2種を含有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のレールは、上記成分組成に加えてさらに、Cu:1.0mass%以下、Ni:1.0mass%以下、Cr:1.5mass%以下およびMo:0.5mass%以下の中から選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のパーライト鋼レールに比べて、耐麿耗性及び耐疲労損傷性の両特性に優れたレールを安定して製造することが可能となる。その結果、高軸重鉄道に用いられるレールの長寿命化や鉄道事故の防止に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、上述したように、高軸重鉄道等で使用されるパーライト鋼レールにおいて、鋼中にWの炭化物を微細に分散させることにより、耐摩耗性及び耐疲労損傷性の両特性を向上させたところに特徴がある。本発明は、上記特徴を実現するため、レールの成分組成を以下の範囲に規定する。
C:0.6〜1.1mass%
Cは、パーライト組織のセメンタイトを形成し、耐摩耗性を確保するのに必須の元素である。耐摩耗性は、C量の増加に伴い向上し、0.6mass%以上含有させることにより、従来の熱処理型のパーライト鋼レールより優れた耐摩耗性を得ることができる。しかし、1.1mass%を超えて添加すると、熱間圧延後のAcm変態時に、初折セメンタイトがオーステナイト粒界に生成して耐疲労損傷性が低下するようになる。従って、C量は0.6〜1.1mass%の範囲とする。好ましくは、0.7〜0.95mass%である。
【0014】
Si:0.1〜1.2mass%
Siは、脱酸剤として添加する元素であり、また、パーライト中のフェライト相に固溶することにより、強度(硬さ)を向上する元素でもあるため、0.1mass%以上添加する必要がある。しかし、Siの含有量が1.2mass%を超えると、Siが有する高い酸素との結合力のために溶接性が劣化するようになる。よって、Siの含有量は0.2〜1.2mass%とする。好ましくは、0.2〜0.8mass%である。
【0015】
Mn:0.4〜1.5mass%
Mnは、鋼のA1変態温度(パーライト変態温度)を低下させて、パーライト組織のラメラ間隔を小さくすることにより、レールの高強度化、高延性化に寄与する元素である。上記効果を得るためには、Mnの含有量は0.4mass%以上であることが必要である。しかし、Mnの含有量が1.5mass%を超えると、Mnのミクロ偏析によってマルテンサイト組織を生じ易くなり、熱処理時及び溶接時に鋼の硬化や脆化を生じて材質が劣化するので好ましくない。よって、Mnの含有量は0.4〜1.5mass%の範囲とする。好ましくは、0.7〜1.4mass%である。
【0016】
P:0.035mass%以下
Pは、鋼の延性を劣化させる元素であり、0.035mass%を超えて含有すると、その影響が無視できなくなる。よって、Pの含有量は0.035mass%以下とする。好ましくは、0.020mass%以下である。
【0017】
S:0.035mass%以下
Sは、鋼中に、主として介在物の形態で存在し、鋼の脆化を引き起こす元素である。特に、S含有量が0.035mass%を超えると、脆性への悪影響を無視できなくなる。よって、Sの含有量は0.035mass%以下とする。好ましくは、0.015mass%以下である。
【0018】
W:0.01〜1.0mass%
Wは、炭化物を形成し、鋼の基地中に微細に分散して析出し、耐摩耗性の向上に寄与すると共に、耐疲労損傷性をも向上する特有の効果を有する元素であり、本発明においては必須の元素である。それらの効果を得るためには、Wは0.01mass%以上含有させる必要がある。しかし、1.0mass%を超えて添加しても、耐摩耗性、耐疲労損傷性の向上効果が飽和し、添加量に見合うだけの効果が得られなくなる。よって、Wの含有量は0.01〜1.0mass%とする。好ましくは、0.1〜1.0mass%である。
【0019】
本発明のレールは、上記成分の他、Vおよび/またはNbを、以下の範囲で含有することができる。
V:0.001〜0.50mass%
Vは、Wと同様、炭化物を形成し、鋼の基地中に微細に分散して析出し、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。上記効果を得るためには、Vは0.001mass%以上添加することが好ましい。しかし、0.50mass%を超えて添加すると、原料コストが上昇するだけでなく、加工性が劣化する。よって、Vを添加する場合には、0.001〜0.50mass%の範囲とすることが好ましい。
【0020】
Nb:0.001〜0.05mass%
Nbは、鋼中のCと結合し、圧延中および圧延後に炭化物として析出してパーライトコロニーサイズを微細化し、耐摩耗性、耐疲労損傷性および延性を大きく向上させるため、レールの長寿命化に寄与する。このような効果を得るためには、Nbを0.001mass%以上添加することが好ましい。しかし、0.05mass%を超えて添加しても、耐摩耗性、耐疲労損傷性を向上する効果が飽和して、添加量に見合う効果が得られなくなる。よって、Nbを添加する場合には、0.001〜0.05mass%の範囲とすることが好ましい。
【0021】
また、本発明のレールは、上記成分以外に、高強度化を図るため、Cr,Cu,NiおよびMoの中から選ばれる1種または2種以上を、下記の範囲で添加してもよい。
Cr:1.5mass%以下
Crは、固溶強化能が大きく、高強度化を図るのに有効な元素である。その効果を得るためには、0.05mass%以上添加することがより好ましい。しかし、1.5mass%を超えると、焼入れ性が高くなってマルテンサイトが生成し、耐摩耗性及び耐疲労損傷性が低下するようになる。よって、添加する場合のCr量は、1.5mass%以下とするのが好ましい。
【0022】
Cu:1.0mass%以下
Cuは、Crと同様に、固溶強化により高強度化を図るのに有効な元素である。その効果を得るためには、0.01mass%以上添加することがより好ましい。しかし、1.0mass%を超えて添加すると、Cuに起因した割れが生じるようになるので、添加する場合は、Cuの含有量は1.0mass%以下とすることが好ましい。
【0023】
Ni:1.0mass%以下
Niは、鋼の延性を劣化することなく高強度化を図ることができる元素である。また、Niには、Cuによる割れを防止する効果があるので、Cuを添加する場合には、Niを複合して添加することが好ましい。これらの効果を得るためには、0.01mass%以上添加することがより好ましい。ただし、1.0mass%を超えるCuの添加は、焼入れ性を高めてマルテンサイトが生成し、耐摩耗性と耐疲労損傷性が低下するようになる。よって、Niを添加する場合には、1.0mass%以下とすることが好ましい。
【0024】
Mo:0.5mass%以下
Moは、固溶強化により高強度化を図るのに有効な元素である。この効果を得るためには、0.01mass%以上添加することがより好ましい。しかし、0.5mass%を超えると、ベイナイト組織が生じやすくなり、耐摩耗性が低下する。よって、添加する場合のMoの量は0.5mass%以下とすることが好ましい。
【0025】
本発明のレールは、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。ただし、本発明の作用効果を害さない限り、上記以外の他の成分を添加しても、本発明の権利範囲に何ら影響するものではない。
【0026】
次に、本発明のパーライト鋼レールの製造方法について説明する。
本発明のレールは、鋼の成分組成を上記のように規定すること以外は、通常公知の方法で製造することができ、好ましくは、以下の条件で製造することが好ましい。
例えば、転炉あるいは電気炉で鋼を溶製し、必要に応じて脱ガス処理などの二次精錬を経て、鋼の成分組成を上記好適範囲となるよう調整し、連続鋳造して、ブルームとする。次いで、このブルームを、加熱炉で1200〜1350℃に加熱し、熱間圧延してレールとする。この際、圧延終了温度は900〜1000℃、圧延後の冷却速度は1〜5℃/sで行うことが好ましい。
【実施例1】
【0027】
表1に示したように、Wの含有量を変化させた成分組成を有する供試鋼を1250℃に加熱し、熱間圧延して900℃で圧延を終了し、その後、冷却速度2℃/sで冷却してレールを製造した。このレールについて、下記の要領で耐摩耗性と耐疲労損傷性を評価した。
【0028】
(摩耗試験)
耐摩耗性の評価は、実際にレールを敷設して行うのが望ましいが、長時間を要する難点がある。そこで、西原式摩耗試験機を用いて、実際のレールと車輪の接触条件をシミュレートした促進試験を行い、耐摩耗性を評価した。摩耗試験は、試験片として、レールの頭頂下2mmの位置から採取した直径:30mm、厚さ:8mmの円盤状試験片を用い、相手材として、車輪材(直径:30mm、厚さ:8mm、Hv:390、焼戻しマルテンサイト鋼の円盤状試験片)を用いて、図1に示したように、接触圧力:1.4GPa、回転速度:800rpm、すべり率:−10%、乾燥条件下で回転接触させ、10万回転後の摩耗量を測定する方法で行った。
【0029】
(疲労損傷試験)
耐疲労損傷性の評価も、実際にレールを敷設して行うのが望ましいが、耐摩耗性の評価と同様、長時間を要する難点がある。そこで、レールの耐疲労損傷性は、西原式摩耗試験機を用いて、転動疲労試験を行うことにより評価した。転動疲労試験は、レール頭頂下2mmの位置から採取した接触面が曲率半径:15mmの曲面を有する直径:30mm、厚さ:8mmの円盤状試験片を用い、これを、図2に示したように、相手材である車輪材直径:30mm、厚さ:8mm、Hv:390、焼戻しマルテンサイト鋼の円盤状試験片)に、接触圧力:2.2GPa、回転速度:800rpm、すべり率:−20%、油潤滑の条件下で回転接触させる方法で行った。そして、25000回転毎に試験片の接触面を観察し、接触面に0.5mm以上の亀裂あるいは剥離が発生した時を疲労損傷寿命とした。
【0030】
【表1】


【0031】
上記試験の結果を表1に併記して示した。また、図3には、10万回転後の摩耗量と、転動疲労寿命に及ぼすW含有量の影響を示した。図3から、本発明のレールは、Wを添加したことにより、耐摩耗性及び耐疲労損傷性が向上していることがわかる。しかし、Wの上記改善効果は、1.0mass%超では飽和する傾向にあり、それ以上添加しても、大幅な耐摩耗性や耐疲労損傷性の向上は得られない。
【実施例2】
【0032】
表2に示した成分組成を有する供試鋼を1250℃に加熱し、熱間圧延して900℃で圧延を終了し、その後、冷却速度2℃/sで冷却してレールを製造した。このレールについて、実施例1と同様にして、頭部から試験片を採取し、耐摩耗性および耐疲労損傷性を評価した。
【0033】
【表2】


【0034】
上記試験の結果を、表2に併記して示した。この結果から、C,Si,Mn,Wの組成を適正範囲に制御した上で、さらに、V,Nbから選ばれる1種又は2種あるいはCr,Cu,Ni,Moから選ばれる1種又は2種以上の成分を適正範囲で添加することにより、レールの耐摩耗性及び耐疲労損傷性をより向上することができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】磨耗試験の方法を示す模式図である。
【図2】疲労損傷試験の方法を示す模式図である。
【図3】レールの耐摩耗性および耐疲労損傷性に及ぼすW添加量の影響を示すグラフである。




 

 


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