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造船用耐食鋼 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 造船用耐食鋼
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−46148(P2007−46148A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2006−5735(P2006−5735)
出願日 平成18年1月13日(2006.1.13)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 塩谷 和彦 / 星野 俊幸 / 小森 務
要約 課題
補修再塗装寿命の延長及び補修再塗装作業の軽減に寄与する耐食性に優れた船舶バラストタンク用鋼材を提供する。

解決手段
鋼の成分組成が、質量%でC:0.03〜0.20%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.10%以下、W:0.03〜1.0%を含み,残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする造船用耐食鋼。
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼の成分組成が、質量%でC:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%を含み,残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする造船用耐食鋼。
【請求項2】
鋼の成分組成として、更に質量%でNi:0.01〜1.0%を含むことを特徴とする請求項1記載の造船用耐食鋼。
【請求項3】
鋼の成分組成として、更に質量%でMo:0.01〜0.5%を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の造船用耐食鋼。
【請求項4】
鋼の成分組成として、質量%でCu:0.02〜1.0%,Co:0.02〜1.0%,Sn:0.001〜0.3%,Sb:0.001〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の造船用耐食鋼。
【請求項5】
鋼の成分組成として、質量%でNb:0.002〜0.05%,Ti:0.002〜0.05%,V:0.002〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の造船用耐食鋼。
【請求項6】
鋼の成分組成として、更に質量%でB:0.0003〜0.003%を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の造船用耐食鋼。
【請求項7】
鋼の成分組成として、質量%でCa:0.0002〜0.01%, REM:0.001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の造船用耐食鋼。
【請求項8】
鋼の成分組成が、質量%でC:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%、Ti:0.005〜0.025%、N:0.0030〜0.0065%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項9】
鋼の成分組成として、更に質量%でNi:0.01〜1.0%を含むことを特徴とする請求項8記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項10】
鋼の成分組成として、更に質量%でMo:0.01〜0.5%を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項11】
鋼の成分組成として、質量%でCu:0.02〜1.0%,Co:0.02〜1.0%,Sn:0.001〜0.3%,Sb:0.001〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項12】
鋼の成分組成として、質量%でNb:0.002〜0.05%,V:0.002〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種を更に含むことを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項13】
鋼の成分組成として、更に質量%でB:0.0003〜0.003%を含むことを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
【請求項14】
鋼の成分組成として、質量%でCa:0.0002〜0.01%,REM:0.001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする請求項8から13のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は,船舶用鋼材に関し,特に,海水腐食環境下で使用されるバラストタンク用鋼材について,補修塗装寿命延長および補修塗装作業軽減の観点から,その耐食性を向上させようとするものである。
【背景技術】
【0002】
バラストタンクは、海水が出入りすることから、厳しい腐食環境下にあり、通常その防食はエポキシ系塗料と電気防食とが併用されている。しかし、それらの防食を講じていても、バラストタンクの腐食は激しい状態にある。すなわち、バラストタンクの海水充満時においては、海水に完全に浸されている部分は、電気防食が働き、腐食の進行を抑えられる。しかし、バラストタンクの最上部付近、特にアッパーデッキの裏側は海水に完全に漬からず、海水飛沫の状態にある。そのため、このような部位では、電気防食が働かず、さらに太陽光により、鋼板が高温に曝されるため、厳しい腐食環境となり、激しい腐食状態となる。また、バラストタンクに海水がない場合においては、海水の残留付着塩分の作用によって、激しい腐食状態となる。
【0003】
このように厳しい腐食環境下にあるバラストタンクの塗膜寿命は、約10年といわれており、船の寿命(20年)の半分である。従って、残りの10年は、補修塗装で安全性を維持しなければならない。バラストタンクでは、このような厳しい腐食環境による激しい腐食状態、そして、それに起因した狭い空間での補修再塗装という悪条件下での作業が重大な問題であるため、補修塗装寿命の延長、および補修塗装作業の軽減を達成できる耐食性鋼材の開発が望まれている。
【0004】
一方、バラストタンクの耐食化に関する鋼材側からの対策としては、以下のものが提案されている。
【0005】
特許文献1には,P:0.03〜0.10%,Cu:0.1〜1.0%,Ni:0.1〜1.0%を添加した鋼材にエポキシ、ピュアエポキシ、ウレタン樹脂などを塗布したバラストタンクが提案されている。これは下地金属の耐食性が向上するため、樹脂皮膜の接着劣化寿命が延長し、バラストタンクの耐久化が図られるとしている。そして、20〜30年に渡って、メンテナンスを不要にすることが可能になるという提案がなされている。
【0006】
特許文献2には、Cr:0.2〜5%を添加することで、また、特許文献3には、Cr:0.5〜3.5%を添加することで、耐食性が向上し、船舶のメンテナンスフリー化に寄与できるという提案がなされている。
【0007】
特許文献4には、Ni:0.1〜4.0%を添加することで、耐塗膜損傷性が向上し、補修塗装などの保守費用を大幅に削減できるとという提案がなされている。
【特許文献1】特開平7-34197号公報
【特許文献2】特開平7-34196号公報
【特許文献3】特開平7-310141号公報
【特許文献4】特開2002-266052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の技術では、下地金属の耐食性を向上させるため、P含有量が0.03〜0.10%と比較的多く含有されており、溶接性および溶接部靭性に問題があると考えられる。また、特許文献2及び3の技術では、Cr含有量が比較的高く、特許文献4の技術ではNi含有量が比較的高く、いずれも製造コスト高となる問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、船舶バラストタンクの補修再塗装寿命の延長および補修再塗装作業の軽減に寄与すべく、上記した溶接性、溶接部靭性の劣化や製造コストの高騰を回避できる耐食性に優れた船舶バラストタンク用鋼材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは,耐食性向上有効元素を見出すため、種々の合金を添加した鋼材を溶製して圧延し、それぞれの鋼板から5mm×100mm×200mmの暴露試験片を採取した。これら試験片に、ショットブラスト後、ジンクリッチプライマー(約15μm)、タールエポキシ樹脂塗料(約100μm)を塗布した。その後、カッターナイフで、試験片の地鉄表面まで達する80mm長さのスクラッチを付加した。これら試験片を、実船のバラストタンクアッパーデッキ裏を模擬した乾湿繰り返し試験を行い、スクラッチ周囲のさびによる塗膜膨れおよび剥離面積を測定した。試験期間は6ヶ月間である。
【0011】
その結果、鋼へのW添加が塗膜下でのさび生成を顕著に抑制し、塗膜膨れ、塗膜剥離に有効であることを見出した。さらに、Ni,Moの添加、また、Cu,Co,Sn,Sbの添加により、その効果をさらに高めることが可能であることが分かった。さらに、大入熱溶接において溶接部靱性の向上の観点からTi、N量の適正化が有効であることがわかった。そして、それぞれの合金元素の母材機械的特性、溶接部靭性を調査し、さらにコストを勘案し、本発明はなされた。
【0012】
1.第一の発明は、鋼の成分組成が、質量%でC:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%を含み,残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする造船用耐食鋼である。
【0013】
2.第二の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でNi:0.01〜1.0%を含むことを特徴とする第一の発明に記載の造船用耐食鋼である。
【0014】
3.第三の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でMo:0.01〜0.5%を含むことを特徴とする第一の発明又は第二の発明に記載の造船用耐食鋼である
4.第四の発明は、鋼の成分組成として、質量%でCu:0.02〜1.0%,Co:0.02〜1.0%,Sn:0.001〜0.3%,Sb:0.001〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする第一の発明から第三の発明のいずれかに記載の造船用耐食鋼である。
【0015】
5.第五の発明は、鋼の成分組成として、質量%でNb:0.002〜0.05%,Ti:0.002〜0.05%,V:0.002〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする第一の発明から第四の発明のいずれかに記載の造船用耐食鋼である。
【0016】
6.第六の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でB:0.0003〜0.003%を含むことを特徴とする第一の発明から第五の発明のいずれかに記載の造船用耐食鋼である。
【0017】
7.第七の発明は、鋼の成分組成として、質量%でCa:0.0002〜0.01%, REM:0.001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする第一の発明から第六の発明のいずれかに記載の造船用耐食鋼である。
【0018】
8.第八の発明は、鋼の成分組成が、質量%でC:0.03〜0.25%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.10%、W:0.01〜1.0%、Ti:0.005〜0.025%、N:0.0030〜0.0065%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0019】
9.第九の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でNi:0.01〜1.0%を含むことを特徴とする第八の発明記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0020】
10.第十の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でMo:0.01〜0.5%を含むことを特徴とする第八の発明又は第九の発明に記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0021】
11.第十一の発明は、鋼の成分組成として、質量%でCu:0.02〜1.0%,Co:0.02〜1.0%,Sn:0.001〜0.3%,Sb:0.001〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする第八の発明から第十の発明のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0022】
12.第十二の発明は、鋼の成分組成として、質量%でNb:0.002〜0.05%,V:0.002〜0.2%のうちから選ばれた1種または2種を更に含むことを特徴とする第八の発明から第十一の発明のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0023】
13.第十三の発明は、鋼の成分組成として、更に質量%でB:0.0003〜0.003%を含むことを特徴とする第八の発明から第十二の発明のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【0024】
14.第十四の発明は、鋼の成分組成として、質量%でCa:0.0002〜0.01%, REM:0.001〜0.01%のうちから選ばれた1種または2種以上を更に含むことを特徴とする第八の発明から第十三の発明のいずれかに記載の大入熱溶接靱性に優れた造船用耐食鋼である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、鋼材への比較的少ないW添加により、バラストタンクの腐食環境で優れた耐食性を示すので、製造コストの高騰を抑え、溶接性、溶接部靭性を確保しつつ、船舶バラストタンクの補修再塗装寿命の延長および補修再塗装作業の軽減に大きく寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の鋼材の成分組成および製造方法について、以下に具体的に説明する。
1.成分組成について
成分組成の限定理由について説明する。なお、成分組成における各元素の含有%は全て質量%を意味する。
【0027】
C:0.03-0.25%
Cは鋼材の強度を上昇させる元素であり、本発明では所望の強度を得るためには、0.03%以上の含有を必要とする。一方,0.25%を超える含有は、HAZ(:溶接熱影響部)の靭性を劣化させる。このため、Cは0.03〜0.25%の範囲に限定した。なお、強度、靭性の観点から、好ましくは0.05〜0.20%である。
【0028】
Si:0.05〜0.50%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼材の強度を増加させる元素であり、本発明では、0.05%以上の含有が好ましいが、0.50%を超える含有は、鋼の靭性を劣化させる。このため、Siは0.50%以下の範囲に限定した。
【0029】
Mn:0.1〜2.0%
Mnは、鋼材の強度を増加させる元素であるが、2.0%を超える含有は、鋼の靭性および溶接性を低下させる。このため、Mnは2.0%以下に限定した。好ましくは0.5〜1.6%である。
【0030】
P:0.025%以下
Pは鋼の母材靭性、さらに溶接性および溶接部靭性を劣化させる。したがって、出来るだけ低減するのが好ましいが、0.025%までは許容できる。0.025%を超えて含有すると母材靭性および溶接部靭性が顕著に低下する。このため,Pは0.025%以下に限定した。
【0031】
S:0.01%以下
Sは靭性および溶接性を劣化させる有害な元素であることから、可能な限り低減する必要がある。従って、0.01%以下に限定した。
【0032】
Al:0.01〜0.10%以下
Alは脱酸剤として添加し、0.01%以上を含有するが、0.10%を超えて含有すると、耐食性を顕著に劣化させる。従って、0.10%を上限とした。
【0033】
W:0.01〜1.0%
Wは塗膜下でのさび生成を顕著に抑制するため、本発明鋼材の中で、最も重要な元素である。その効果は、塗膜下での鋼板の腐食に伴い、さび中でWO42-を形成し、このWO42-の存在により、塩化物イオンの鋼板表面への侵入を抑制する。さらに、鋼板表面のアノード部などpHが下がった部位では難溶性のFeWO4を形成し、このFeWO4の存在により、塩化物イオンの鋼板表面への侵入を抑制する。塩化物イオンの鋼板表面への侵入抑制により、鋼板の腐食を抑制し、さび生成を抑制する。以上の効果は、W:0.01%以上の含有で顕著になり、1.0%以上では、効果が飽和する。このため、W含有量は0.01〜1.0%の範囲に限定した。
【0034】
Ni:0.01〜1.0%
Niは塗膜下でのさび生成を抑制するため、本発明鋼材の中で重要な元素である。
その効果は、さび粒子を緻密化し、地鉄への水、酸素、塩化物イオンの鋼板表面への侵入を抑制する。以上の腐食因子の鋼板表面への侵入抑制により、鋼板の腐食を抑制し、さび生成を抑制する。この効果はNi:0.01%以上の含有で効果を発揮し、1.0%以上では、効果が飽和する。このため、Ni含有量は0.01〜1.0%の範囲に限定した。
【0035】
Mo:0.01〜0.5%
MoはWと同様の作用により、塗膜下でのさび生成をやや抑制するため、補助的に使用できる。その効果は、塗膜下での鋼板の腐食に伴い、さび中でMoO42-を形成し、このMoO42-の存在により、塩化物イオンの鋼板表面への侵入を抑制する。この効果は、Mo:0.01%以上の含有で発現し、0.5%以上では、効果が飽和する。このため、Mo含有量は0.01〜0.5%の範囲に限定した。
【0036】
Cu:0.02〜1.0%、Co:0.02〜1.0%、Sn:0.001〜0.3%、Sb:0.001〜0.3%のうちの1種または2種以上
Cu、Co、Sn、Sbは、塗膜下でのさび生成を抑制するが、その効果は上記W、Ni、Moほど大きくない。しかし、さび生成抑制の観点から補助的に使用できる。
Cu、Coはさび粒微細化による塩化物イオン侵入抑制の作用から、0.02〜1.0%の範囲でさび生成抑制効果がある。Sn、Sbについては作用機構は定かではないが、それぞれ0.001%以上の添加で、さび生成を抑制するため、0.001%以上含有できる。しかし、0.3%を超えると母材靭性,HAZ靭性を顕著に劣化させる。そのため、それぞれ0.001〜0.3%の範囲とした。
【0037】
Nb:0.002〜0.05%、Ti:0.002〜0.05%、V:0.002〜0.2%のうちの1種または2種以上
Nb、Ti、Vはいずれも、鋼材の強度を増加させる元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、 Nb:0.002%、Ti:0.002%、V:0.002%以上をそれぞれ含有することが好ましい。一方,Nb:0.05%、Ti:0.05%、V:0.2%を超えてそれぞれ含有すると靭性が劣化する。このため、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、V:0.2%以下の範囲とするのがよい。
【0038】
B:0.0003〜0.003%
Bは鋼材の強度を増加させる元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには、0.0003%以上含有することが好ましい。一方,0.003%を超えて含有すると靭性が劣化する。このため、Bは0.0003〜0.003%とするのが好ましい。
【0039】
Ca:0.0002〜0.01%、REM:0.001〜0.01%のうちの1種または2種以上
Ca、REMはいずれもHAZの靭性向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果は、Ca:0.0002%、REM:0.001%以上の含有で顕著となるが,Ca:0.01%,REM:0.01%を超えて含有すると靭性が劣化する。このため、Ca:0.01%、REM:0.01%以下の範囲とするのがよい.
Ti:0.005〜0.025%、N:0.0030〜0.0065%
Ti、Nは溶鋼凝固時にTiNを形成する。そして、TiNは溶接時の加熱によるオーステナイト粒の粗大化を防止し、さらに微細フェライトを多量生成する。この作用により、大入熱溶接熱影響部の靱性を向上させる。Tiが0.005%未満、Nが0.0030%未満では、溶鋼凝固時でのTiNの形成量が少なく、また、大入熱溶接時の加熱により、TiNの多くが溶解するため、上記作用が得られない。一方、Tiが0.025%超えでは、母材靱性に悪影響を与える。また、N量が0.0065%を超えると、連続鋳造割れの発生、溶接熱影響部での島状マルテンサイトの生成による靱性劣化、母材より溶接金属部への希釈による溶接金属部の靱性劣化を引き起こす。従って、Ti:0.005〜0.025%、N:0.0030〜0.0065%の範囲とした。
本発明の鋼材では、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0040】
2.製造方法について
つぎに,本発明の鋼材の好ましい製造方法について説明する。まず、上記した成分組成の溶鋼を転炉、電気炉等の通常の溶製方法で溶製し、連続鋳造法、造塊法等の通常公知の鋳造方法で鋼素材とするのが好ましい。なお溶鋼で取鍋精錬、真空脱ガス等の処理を付加しても良いことは言うまでもない。
【0041】
ついで、得られた鋼素材を、結晶粒粗大化防止の観点から好ましくは1050〜1250℃の温度に加熱したのち、所望の寸法形状に熱間圧延するか、あるいは鋼素材の温度が熱間圧延可能な程度に高温である場合には、加熱することなく、あるいは均熱する程度で、ただちに所望の寸法形状の鋼材に熱間圧延することが出来る。
【0042】
本発明では、強度確保の観点から、熱間圧延では、熱間仕上圧延終了温度および熱間仕上圧延終了後の冷却速度を適正範囲とすることが好ましい。ここで、熱間仕上圧延終了温度は700℃以上とするのが好ましく、また、熱間仕上圧延終了後は空冷、または冷却速度100℃/以下の加速冷却を行うことができる。また,冷却後,再加熱処理を行うこともできる。
【実施例1】
【0043】
表1に示す化学成分の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとし、このスラブを加熱炉に挿入して1150℃に加熱したのち、熱間圧延し、厚鋼板(25mm厚×2500mm幅)とした。かくして得られた鋼板について、母材引張特性、衝撃特性を調査した。また、サブマージアーク溶接での入熱150kJ/cm相当の熱サイクルを付与して再現したHAZの衝撃特性(再現HAZ衝撃特性)を評価した。その結果、表2に示すとおり、P含有量が本発明範囲を超える鋼No.20では、母材衝撃特性および再現HAZ衝撃特性が劣化した。
【0044】
次に、それぞれの鋼板から5mm×100mm×200mmの暴露試験片を採取した。これら試験片にショットブラスト後、ジンクリッチプライマー(約15μm)、タールエポキシ樹脂塗料(約200μm)を塗布した。その後、カッターナイフで、試験片の地鉄表面まで達する80mm長さのスクラッチを付加した。これら試験片を、実船のバラストタンクアッパーデッキ裏に装着、暴露試験に供した。暴露期間は2年間であり、このバラストタンク内の環境は、バラストタンク内に海水が入っている期間:約20日、バラストタンク内に海水が入っていない期間:約20日を1サイクルとした環境であった。暴露試験後、スクラッチ周囲のさびによる塗膜膨れおよび剥離面積を測定した。そして,ベース鋼(鋼No.18)に対する比率を算出した。その結果を表2に示す。
【0045】
本発明鋼の(鋼No.1〜17)の面積率は60%以下であり、本発明の鋼材は優れた耐食性を有していることが分かる。一方、本発明の範囲を外れる比較例(鋼No.19,21,22)の面積率は、それぞれ本発明例に比べて大きくなっている。比較例(鋼No.20)はW量が本発明範囲内であるため、面積率は43%と小さな値を示すが、上記のとおり,母材衝撃特性および再現HAZ衝撃特性が劣化している。
【0046】
【表1】


【0047】
【表2】


【実施例2】
【0048】
また、大入熱溶接靱性向上の観点から、Ti、N量を適正化した表3に示す化学成分の鋼を実施例1と同様に溶解、圧延して厚鋼板(25mm厚×2500mm幅)とし、母材の引張特性、衝撃特性を調査するとともに、サブマージアーク溶接での入熱150kJ/cm相当の熱サイクルを付与して再現したHAZの衝撃特性(再現HAZ衝撃特性)も評価した。
【0049】
さらに、それぞれの鋼板から5mm×100mm×200mmの暴露試験片を採取し、これら試験片にショットブラスト後、ジンクリッチプライマー(約15μm)、タールエポキシ樹脂塗料(約200μm)を塗布した。その後、カッターナイフで、試験片の地鉄表面まで達する80mm長さのスクラッチを付加した試験片を、実施例1と同様に、実船のバラストタンクアッパーデッキ裏に装着、暴露試験に供した。その結果を表4に示す。
【0050】
本発明鋼である鋼No.23〜31は、再現HAZ衝撃特性は極めて優れた値を示すとともに暴露試験においても、優れた耐食性を示した。
【0051】
【表3】


【0052】
【表4】


【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の造船用耐食鋼は、優れた耐塗装損傷性を有するので過酷な腐食環境である船舶のバラストタンクへ適用することができる。又、バラストタンクと類似の湿潤環境の用途にも適用できる。




 

 


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