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発明の名称 磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−46104(P2007−46104A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−231454(P2005−231454)
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 尾田 善彦 / 河野 雅昭 / 大久保 智幸 / 高田 正昭
要約 課題
実質的にAl無添加で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供する。

解決手段
質量%で、C:0.005%以下、Si:4%以下、P:0.2%以下、Mn:0.05〜1.0%、S:0.005%以下、N:0.005%以下、Nb:0.0008%以下、Al:0.004%以下、V:0.004%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ[Al]+[V]+5×[Nb]≦0.004%を満たす磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板;ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
特許請求の範囲
【請求項1】
質量%で、C:0.005%以下、Si:4%以下、P:0.2%以下、Mn:0.05〜1.0%、S:0.005%以下、N:0.005%以下、Nb:0.0008%以下、Al:0.004%以下、V:0.004%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ[Al]+[V]+5×[Nb]≦0.004%を満たす磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板;ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
【請求項2】
750℃×2hrの磁性焼鈍後の鋼板板厚断面において、平均結晶粒径の3倍を超える結晶粒の総面積をS1とし、3倍以下の結晶粒の総面積をS2としたとき、S1/S2が0.3以下である請求項1に記載の磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
【請求項3】
さらに、質量%で、Sb:0.001〜0.05%、Sn:0.001〜0.1%、Ni:0.1〜5%、Co:0.1〜5%のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する請求項1または請求項2に記載の磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、無方向性電磁鋼板、特に、実質的にAl無添加で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
無方向性電磁鋼板は、その製造方法によりフルプロセス材とセミプロセス材に分けられる。このうち、フルプロセス材は、鉄鋼メーカー側の仕上焼鈍により所定の磁気特性が付与され、需要家においてはそのまま使用される。一方、セミプロセス材は、鉄鋼メーカー側の仕上焼鈍は行われる場合もあるが、需要家における打抜き加工後の歪取り焼鈍により所定の磁気特性が付与される。このセミプロセス材における歪取り焼鈍時には、加工歪みが除去されると同時に結晶粒も成長することから、より一層の鉄損の低減が可能となる。このため歪取り焼鈍は「磁性焼鈍」とも呼ばれている(以後、磁性焼鈍と呼ぶ)。
【0003】
この磁性焼鈍時の粒成長性を良好にするためには、鋼板中の介在物や析出物の量を低減することが効果的である。特に、不純物として混入するVは磁性焼鈍時にVNとして析出し、粒成長性を阻害するため、VNの析出を抑制する方法が各種提案されている。例えば、Alを0.1〜1%添加することによりNをAlNとして析出させ、VNの析出を防止する技術が開示されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、最近、モータリサイクルの観点から、使用済みのモータのコアを溶解し、鋳物としてモータ枠等に再利用しようという動きがあるが、特許文献1のようなAlの添加された電磁鋼板を再利用しようとすると、鋳込み時に溶鋼の粘性が増大して引け巣が生じるという問題が起こる。そのため、電磁鋼板を鋳物として再利用リサイクルする場合には、実質的にAl無添加とする必要がある。
【0005】
実質的にAl無添加の電磁鋼板として、本発明者らは、Si:1.0%以下、Al:0.004%以下とし、かつ不純物としてのVとNの関係をlog(V×N)<−5.44とした低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板を提案している(特許文献2)。
【特許文献1】特開平10‐18006号公報
【特許文献2】特許第2718410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らがその後調査したところ、特許文献2に記載の電磁鋼板のように、たとえ実質的にAl無添加とし、不純物としてのVとNの関係を制御したとしても、磁性焼鈍後に必ずしも十分に低い鉄損が得られない場合があることが明らかになった。
【0007】
本発明は、実質的にAl無添加で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らが、実質的にAl無添加の電磁鋼板を用い、磁性焼鈍時の粒成長性や磁気特性について検討したところ、以下のことを見出した。
(1) 不純物として、Vのみならず、Nb量を、質量%で、従来の0.002%よりも大幅に低減するとともに、Al、V、Nb量の重み付き合計量を所定の値以下に制御することが粒成長の促進に効果的である。
(2) 低磁場における磁束密度の向上には、磁性焼鈍後の結晶粒の均一性を制御することが有効である。
【0009】
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.005%以下、Si:4%以下、P:0.2%以下、Mn:0.05〜1.0%、S:0.005%以下、N:0.005%以下、Nb:0.0008%以下、Al:0.004%以下、V:0.004%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、かつ[Al]+[V]+5×[Nb]≦0.004%を満たす磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板を提供する;ただし、[M]は元素Mの含有量(質量%)を表す。
【0010】
また、750℃×2hrの磁性焼鈍後の鋼板板厚断面において、平均結晶粒径の3倍を超える結晶粒の総面積をS1とし、3倍以下の結晶粒の総面積をS2としたとき、S1/S2が0.3以下であるとより高い磁束密度B3が得られる。
【0011】
本発明では、さらに、質量%で、Sb:0.001〜0.05%、Sn:0.001〜0.1%、Ni:0.1〜5%、Co:0.1〜5%のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、実質的にAl無添加で、磁性焼鈍後の鉄損の低い無方向性電磁鋼板が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の詳細を説明する。(なお、成分に関する「%」表示は、特に断らない限り質量%を意味するものとする。)
1. 成分
C: 磁気時効が問題とならないように、0.005%以下とする。
【0014】
Si: 鋼板の固有抵抗を上げ、鉄損を低下させるのに有効な元素であるが、4%を超えると飽和磁束密度の低下にともない低磁場における磁束密度を低下させるので、4%以下とし、好ましくは0.1%以上とする。
【0015】
P: 鋼板の打抜き加工性を改善するために有効な元素であるが、0.2%を超えると鋼板が脆化するので、0.2%以下とし、好ましくは0.005%以上する。
【0016】
Mn: 熱間圧延時の赤熱脆性を防止するために0.05%以上にする必要があるが、1.0%を超えると磁束密度が低下するので、0.05〜1.0%とする。
【0017】
S: MnSとして析出し粒成長性を阻害するため、0.005%以下とする。
【0018】
N: 後述する極微量のAl、V、Nbと微細な窒化物を形成し、磁性焼鈍時の粒成長を阻害するので、0.005%以下とする。
【0019】
Nb: 磁性焼鈍後の鉄損に及ぼすNbの影響を調査するため、C:0.0030%、Si:0.50%、Mn:0.30%、P:0.100%、Al:tr、S:0.002%、V:tr.、N:0.0025%と一定にし、Nb量を0.0001〜0.0070%の範囲で変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、酸洗し、板厚0.5mmまで冷間圧延し、750℃×30sの仕上焼鈍を施し、さらに750℃×2hrの磁性焼鈍を行った。そして、25cmエプスタイン試験片を用いて磁気特性を測定した。また、Nbの分析はICP(誘導結合プラズマ)質量分析にて行った。図1にNb量と鉄損(W15/50)との関係を示すが、Nb量を0.0008%以下とすると、4.4W/kg以下の低いW15/50が得られることがわかる。さらに、Nb量を0.0004%以下にすると4.0W/kg以下のより低いW15/50が得られる。一方、Nb量が0.0009%以上では、鉄損が著しく高い。この原因を調査するために、透過電子顕微鏡(TEM)で磁性焼鈍後のサンプルの組織観察を行ったところ、80nm程度の非常に微細なNb系析出物が粒界に多数認められ、この微細な析出物が粒成長性を阻害して鉄損を著しく高くしていることが判明した。また、このことから、実質的にAl無添加の電磁鋼板においては、Nbは極微量であっても粒成長性を著しく阻害することが明らかになった。
【0020】
Al: 微量に存在すると微細なAlNを形成し磁気特性を阻害するため、0.004%以下とする。
【0021】
V: 窒化物以外のたとえば炭化物等を形成し粒成長性を阻害するため、0.004%以下とする。
【0022】
[Al]+[V]+5×[Nb]: 上記のようにNb、Al、Vの量を制御した上で、さらに[Al]+[V]+5×[Nb]を次に説明するように制御する必要がある。C:0.0025%、Si:0.50%、Mn:0.30%、P:0.09%、S:0.002%、N:0.0020%と一定にし、Vを0.001〜0.006%、Nbを0.0001〜0.0030%、Alを0.001〜0.005%と変化させた鋼を実験室にて溶解し、熱間圧延後、酸洗し、板厚0.5mmまで冷間圧延し、720℃×1minの仕上焼鈍を施し、さらに750℃×2hrの磁性焼鈍を行った。そして、上記の方法で鉄損(W15/50)を測定した。図2に示すように、[Al]+[V]+5×[Nb]≦0.004%とした場合に鉄損が著しく低下することがわかる。この原因を調査するために、TEMで磁性焼鈍後のサンプルの組織観察を行ったところ、鉄損の高い材料では100nm程度の非常に微細なV‐Nb系およびV‐Nb‐Al系析出物が粒界に多数認められ、この微細な析出物が粒成長性を阻害して鉄損を著しく高くしていることが判明した。このことから、Al、V、Nbが共存した場合には、これらが複合析出物を形成することから、Nb単独で存在する場合よりも不純物としてのNbの混入量を制限する必要があることが明らかとなった。ここで、[Al]+[V]+5×[Nb]と鉄損(W15/50)との相関が良好なのは、NbがAl、Vに比べ磁性焼鈍時の粒成長抑制効果が5倍程度強いためと考えられる。
【0023】
上記成分元素以外の残部はFeおよび不可避的不純物であるが、さらに、Sb:0.001〜0.05%、Sn:0.001〜0.1%、Ni:0.1〜5%、Co:0.1〜5%のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を磁気特性向上のために添加できる。
【0024】
ところで、モータコア材には低鉄損以外にトルクの観点から磁束密度、特に、B3が高いことも要求される。これは、コンプレッサーモータ等での動作磁束密度は1.5T程度の領域であり、B3すなわち磁化力300A/mで励磁したときの磁束密度がほぼ1.5T程度となるため、この磁化力における磁束密度が重要となるためである。そこで、C:0.0025%、Si:0.60%、Mn:0.25%、P:0.09%、S:0.002%、N:0.0020%、Nb:0.0002%、Al:0.0005%、V:0.0010%を含有する鋼を実験室にて真空溶解し、熱間圧延後、酸洗し、板厚0.5mmまで冷間圧延し、750〜850℃×1minの仕上焼鈍を施し、さらに750℃×2hrの磁性焼鈍を行い、B3を測定した。その結果、Al、V、Nb量が本発明の範囲内であっても、磁束密度B3がばらつく場合があることが判明した。この磁束密度のばらつきの原因を調査するため、鋼板板厚断面の組織を光学顕微鏡にて調査したところ、磁束密度の低い材料では結晶粒径に著しい不均一が認められた。結晶粒径の均一性と磁気特性の関係を定量化するため、JIS G 0552の線分法にて測定した平均結晶粒径の3倍を超える結晶粒の総面積をS1とし、3倍以下の結晶粒の総面積をS2とし、S1/S2と磁束密度B3との関係を調査した結果を図3に示す。ここで、各結晶粒の粒径は結晶粒の面積を画像処理により求め、それを円換算して円の直径(円相当径)として求めた。図3より、1.5T程度の高いB3を得るには、S1/S2を0.3以下にする必要があることがわかる。S1/S2が0.3を超えると結晶粒径に著しい不均一が生じ、磁化の不均一が生じやすいことから、磁束密度が低下したものと考えられる。このような不均一な結晶粒径となる原因を調査したところ、仕上焼鈍の温度が高いことに起因していることが判明した。これは、仕上焼鈍の温度が高いと析出物が一部再固溶し、その後の磁性焼鈍時にもさらに一部の析出物が固溶することにより、析出物による結晶粒界のピン留め効果が弱まり、異常粒成長が生じたためと考えられる。したがって、S1/S2を0.3以下にするには、仕上焼鈍の温度を800℃以下にすることが望ましい。
【0025】
本発明の無方向性電磁鋼板においては、成分が所定の範囲内であれば目的が達成され、その製造方法には通常の方法を適用できる。すなわち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に調整し、鋳造、熱間圧延を行い、次いで、必要に応じて熱延板焼鈍を行い、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、仕上焼鈍を行う。仕上焼鈍の温度は、上記のように、800℃以下が望ましい。
【実施例】
【0026】
転炉で吹練した後に脱ガス処理を行って表1に示す成分に調整した鋼1〜30を鋳造後、熱間圧延を行って板厚2.3mmの熱延板を作製した。次に、この熱延板を酸洗し、板厚0.5mmまで冷間圧延を行い、表1に示す温度で30秒間の仕上焼鈍を行い、さらに750℃×2hrの磁性焼鈍を行った。なお、鋼28は、P量が多いためと思われるが、冷間圧延時に割れが発生したため、その後の焼鈍は行われていない。そして、上記のような方法で、磁気特性や結晶粒の測定を行った。
【0027】
結果を表1に示す。成分を本発明の範囲内に制御した発明例である鋼2〜15、22〜24では、磁性焼鈍後のW15/50が4.5W/kg以下で、非常に低い鉄損が得られることがわかる。また、成分が本発明の範囲内であり、かつ仕上温度が800℃以下である鋼2〜15、22、29、および30では、S1/S2が0.3以下となり、1.50以上のB3が得られることがわかる。
【0028】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】[Nb]と磁性焼鈍後の鉄損(W15/50)との関係を示す図である。
【図2】[Al]+[V]+5×[Nb]と磁性焼鈍後の鉄損(W15/50)との関係を示す図である。
【図3】S1/S2と磁性焼鈍後の磁束密度B3との関係を示す図である




 

 


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