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高剛性鋼管およびその製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 高剛性鋼管およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31822(P2007−31822A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−221214(P2005−221214)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100099531
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
発明者 河端 良和 / 坂田 敬
要約 課題
管軸方向と管円周方向のヤング率がいずれも230GPa以上である鋼管およびその製造方法を提供する。

解決手段
鋼管に、Ac変態点以下の温度域で、剪断歪:0.35以上のねじり加工を施し、肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上となる集合組織を形成させ、管長手方向および管円周方向のヤング率が230GPa以上の高剛性を得る。また、局部的に400℃以上Ac3変態点以下の範囲の温度で、ねじり加工を施す工程を逐次、管軸方向に沿って施してもよい。また、ねじり加工後再加熱し、500℃以上(Ac1変態点+20℃)以下の温度域で加熱保持する保持処理、またはねじり加工後の冷却途中に500℃以上(Ar1変態点+20℃)以下の温度域で保持する保持処理を施してもよい。
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼管の肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上である集合組織を有し、管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上であることを特徴とする高剛性鋼管。
【請求項2】
前記鋼管が、質量%で、
C:0.0005〜0.50%、 Si:0.001〜2.5%、
Mn:0.01〜3.0%、 P:0.001〜0.2%、
S:0.05%以下、 Al:0.01〜0.10%、
N:0.01%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の高剛性鋼管。
【請求項3】
前記組成に加えてさらに、質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項2に記載の高剛性鋼管。
【請求項4】
鋼管に、Ac変態点以下の温度域で、剪断歪:0.35以上のねじり加工を施すことを特徴とする管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上を有する高剛性鋼管の製造方法。
【請求項5】
鋼管に、管長手方向の一部で管全周に亘り400℃以上Ac3変態点以下の範囲の温度でねじり加工を施す工程を逐次、管長手方向に沿って1回または2回以上行い、合計で剪断歪:0.35以上となるように施すことを特徴とする管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上を有する高剛性鋼管の製造方法。
【請求項6】
前記鋼管が、質量%で、
C:0.0005〜0.50%、 Si:0.001〜2.5%、
Mn:0.01〜3.0%、 P:0.001〜0.2%、
S:0.05%以下、 Al:0.01〜0.10%、
N:0.01%以下
を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項4または5に記載の高剛性鋼管の製造方法。
【請求項7】
前記組成に加えてさらに、前記組成に加えてさらに質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項6に記載の高剛性鋼管の製造方法。
【請求項8】
前記ねじり加工後の冷却途中に500℃以上(Ar1変態点+20℃)以下の温度で、あるいは前記ねじり加工後に再加熱して500℃以上(Ac1変態点+20℃)以下の温度で、1s以上保持する保持処理を施すことを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の高剛性鋼管の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車部品等の機械構造用部品に用いて好適な鋼管に係り、とくに管長手方向および管円周方向のヤング率がいずれも230GPa以上である高剛性鋼管およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品をはじめとする機械構造部品では、軽量化と高強度化を両立させるために中空材である鋼管の使用が促進されている。そしてさらに、強度の高い鋼材を用いて、鋼管の肉厚を薄くし、更なる軽量化を図ることが指向されている。しかし、このような鋼管肉厚の薄肉化を促進するためには、剛性の高い鋼材が必要となる。
鋼材の剛性を高める方法として、例えば、特許文献1には、C:0.05〜0.50%、Si:0.05〜0.30%、Mn:0.5〜2.0%を含む鋼製鋳造スラブに、その鋼の(Ar3点+50℃)以下Ar1点までの温度域での累積圧下率を初期スラブ厚みの3%以上10%以下とする熱間圧延を施した熱延鋼帯(コイル)を素材として電縫油井管とする、円周方向ヤング率が高く圧潰特性に優れた電縫油井管の製造方法が提案されている。特許文献1に記載された技術によれば、熱延鋼帯(コイル)の圧延直角方向、すなわち、通常の電縫鋼管の円周方向の結晶方位を[111]方向に整合させることができ、この方向のヤング率が2.10×104(kgf/mm2)よりも上昇し、これに伴い電縫鋼管の圧潰特性が向上するとしている。
【0003】
また、特許文献2には、C:0.02〜0.15%、Si:0.80%以下、Mn:0.4〜2.0%とAl、Cr、Cu、Niの適正量を含み、V:0.1%以下、Ti:0.10%以下と、さらにNb、Mo、Bのうちの2種以上とを特定関係式を満足するように含む鋼片に、950℃からAr3点の間の累積圧下率を50%以上、Ar3点未満の累積圧下率を5%以下とする熱間圧延を施し、高ヤング率鋼板とする鋼板の製造方法が提案されている。特許文献2に記載された技術によれば、Ar3点以下の低温度域での強加工を行なうことなく、鋼板の圧延直角方向のヤング率を大きく向上させることができるとしている。
【0004】
また、特許文献3には、圧延方向に対して任意な角度で鋼板を斜めに切り出し、その鋼板の切り出し方向が鋼管の管軸方向と一致するようにロールベンドまたはプレス成形により管状に成形する鋼管の製造方法が提案されている。特許文献3に記載された技術によれば、圧延鋼材が有するヤング率の異方性を利用して、ヤング率が最大となる方向を管軸方向または管円周方向となるように鋼板を切り出すことにより、管軸方向または管円周方向のヤング率が高い鋼管とすることができるとしている。
【0005】
なお、その他、例えば、特許文献4には、鋼中に剛性の高い粒子等を分散させて、鋼材の剛性を高める方法が提案されている。
【特許文献1】特開平4−254521号公報
【特許文献2】特開平8−311541号公報
【特許文献3】特開2004−330242号公報
【特許文献4】特開2004−35948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献4に記載された方法で製造した鋼材は、電縫溶接性や熱間、冷間加工性が十分でなく、塑性加工を施すことが難しくなるため、この鋼材から鋼管や部品を製造することが難しいという問題が残されていた。また、特許文献1、2に記載された技術で製造された鋼管はいずれも、管軸方向または管円周方向の、いずれか一方向のヤング率が高いだけであり、管軸方向および管円周方向のヤング率がいずれも高いというものでない。
【0007】
鋼管を用いた部品では、一方向のヤング率が高いことだけでは不十分である。例えば、図4に示すバンパー部材のように、横方向からの曲げ荷重が負荷される部品では、曲げを抑制するために管軸方向のヤング率が高いことが必要であるのはもちろん、管の扁平化を抑制するために管円周方向のヤング率が高いことも必要となる。一方向だけのヤング率が高い鋼管では、十分な剛性を有する部品を製造できないという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載された技術で製造された鋼管では、鋼板を圧延方向と45°の方向に切り出して成形した場合に、管軸方向と管円周方向のヤング率が高くなる可能性があるが、それらはいずれも高々222GPa程度までであり、最近の更なる剛性向上要求を満足できないという問題がある。
本発明は、このような従来技術の問題を有利に解決し、管長手方向と管円周方向のヤング率がいずれも230GPa以上である鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、鋼管の管軸方向と管円周方向のヤング率をともに高める方法として、加工による集合組織の制御に着目し、鋭意検討した。図1に、本発明者らが行った基礎的検討結果の一例を示す。図1は、SAE1018相当の組成を有する鋼管(40mmφ×4mmt)に冷間でねじり加工を施し、管軸方向および管円周方向のヤング率、および鋼管の肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の各方位のX線ランダム強度比を平均した値(以下、平均X線ランダム強度比ともいう)を調査した結果である。図1は、管軸方向および管円周方向のヤング率、平均X線ランダム強度比と剪断歪との関係を示すグラフである。
【0010】
これらの結果から、鋼管に、剪断歪が0.35以上となるねじり加工を施すことにより、鋼管の肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の方位群のX線ランダム強度比を平均した値(平均X線ランダム強度比)が3.5以上となる集合組織が形成され、これにより管軸方向および管円周方向のヤング率がそれぞれ230GPa以上となることを見出した。これらの集合組織は、いずれもフェライトで最もヤング率の高い<111>方位に近い方位が管軸方向と管円周方向に平行であり、ヤング率の向上と関係していることが推察できる。
【0011】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)鋼管の肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上である集合組織を有し、管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上であることを特徴とする高剛性鋼管。
【0012】
(2)(1)において、前記鋼管が、質量%で、C:0.0005〜0.50%、Si:0.001〜2.5%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.2%、S:0.05%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高剛性鋼管。
(3)(2)において、前記組成に加えてさらに質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高剛性鋼管。
【0013】
(4)鋼管に、Ac変態点以下の温度域で、剪断歪:0.35以上のねじり加工を施すことを特徴とする管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上を有する高剛性鋼管の製造方法。
(5)鋼管に、管軸方向の一部でかつ管全周に亘り400℃以上Ac3変態点以下の範囲の温度でねじり加工を施す工程を逐次、管軸方向に沿って1回または2回以上行い、合計で剪断歪:0.35以上となるように施すことを特徴とする管長手方向のヤング率が230GPa以上、管円周方向のヤング率が230GPa以上を有する高剛性鋼管の製造方法。
【0014】
(6)(4)または(5)において、前記鋼管が、質量%で、C:0.0005〜0.50%、Si:0.001〜2.5%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.2%、S:0.05%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする高剛性鋼管の製造方法。
(7)(6)において、前記組成に加えてさらに、前記組成に加えてさらに質量%で、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を含有する組成とすることを特徴とする高剛性鋼管の製造方法。
【0015】
(8)(4)ないし(7)のいずれかにおいて、前記ねじり加工後の冷却途中に500℃以上(Ar1変態点+20℃)以下の温度で、あるいは前記ねじり加工後に再加熱して500℃以上(Ac1変態点+20℃)以下の温度で、1s以上保持する保持処理を施すことを特徴とする高剛性鋼管の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鋼管の管軸方向および円周方向のヤング率がいずれも230GPa以上となる高剛性鋼管を容易に製造でき、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、薄肉の鋼管としても、曲げ剛性に優れ、衝突曲げ時の衝撃吸収能が向上し、更なる自動車部品の軽量化や安全性向上に寄与するという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明鋼管は、肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の各方位のX線ランダム強度比を平均した値(以下、上記した方位群の平均X線ランダム強度比ともいう)が3.5以上である集合組織を有する。鋼管の肉厚中央面における上記した方位群の平均X線ランダム強度比と管軸方向および管円周方向のヤング率との関係を図2に示す。図2から、上記した方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上であれば、管軸方向および管円周方向のヤング率がともに230Gpa以上となることから、本発明では、鋼管の肉厚中央面における上記した方位群の平均X線ランダム強度比を3.5以上に限定した。なお、更に高いヤング率を確保するためには、5.0以上とすることが好ましい。上記した方位群の平均X線ランダム強度比を5.0以上とすることにより、管軸方向および管円周方向のヤング率をともに240Gpa以上とすることができる。
【0018】
本発明では、鋼管の組成は、用途に合致した強度等の目標特性に応じて、適宜決定すればよく、とくに限定する必要はないが、機械構造部品用として適正な強度を確保するために、質量%で、C:0.0005〜0.50%、Si:0.001〜2.5%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.001〜0.2%、S:0.05%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなる組成を基本組成として有することが好ましい。なお、上記した基本組成に加えてさらに、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を選択して含有することができる。以下、鋼管組成の限定理由について説明する。なお、組成における質量%は、単に%で記す。
【0019】
C:0.0005〜0.50%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の鋼管強度を確保するために所定量含有させる。しかし、0.0005%未満では構造材として必要な強度を確保することが難しく、一方、0.50%を超えて含有すると、強度が高くなりすぎて靭性が著しく低下する。このため、本発明ではCは0.0005〜0.50%の範囲に限定することが好ましい。
【0020】
Si:0.001〜2.5%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼の強度を増加させる元素であり、このような効果を得るためには0.001%以上含有することが好ましいが、2.5%を超える含有は電縫溶接性を低下させる。このため、Siは0.001〜2.5%の範囲に限定することが好ましい。なお、電縫溶接管の場合は電縫溶接性の観点からより好ましくは1.4%以下である。
【0021】
Mn:0.01〜3.0%
Mnは、鋼の強度を増加させるとともに、Sによる熱間脆性を防止する作用を有する元素であり、このためには0.01%以上含有させることが好ましい。一方、3.0%を超える含有は、電縫溶接性、靭性を劣化させる。このため、Mnは0.01〜3.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、Mnは、Ar3変態点を低下させる作用を有し、オーステナイトの未再結晶域を拡げるのにも有効であり、0.7〜2.5%含有することがより好ましい。
【0022】
P:0.001〜0.2%
Pは、固溶強化により少量の含有で鋼の強度を顕著に増加させる元素であり、このような効果は0.001%以上の含有で認められるが、0.2%を超えて多量に含有すると粒界等に偏析して、延性、靭性を低下させる。このため、Pは0.001〜0.2%の範囲に限定することが好ましい。なお、電縫溶接管の場合は、電縫部の靭性の観点から0.015%以下とすることがより好ましい。
【0023】
S:0.05%以下
Sは、鋼中では硫化物(介在物)として存在し、延性、靭性、耐食性を低下させる。このため、Sはできるだけ低減することが好ましいが、本発明では0.05%まで許容できる。なお、電縫溶接管の場合、フッククラック防止の観点からより好ましくは0.002%以下である。
【0024】
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、0.01%未満では脱酸が不十分となり0.01%以上含有させることが好ましい。一方、0.10%を超えて含有すると、鋼管の表面品質が劣化するとともに、電縫溶接性が劣化する。このため、Alは0.01〜0.10%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.02〜0.05%である。
【0025】
N:0.01%以下
Nは、本発明では不可避的不純物として、できるだけ低減することが好ましいが、0.01%までであれば許容できるため、0.01%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以下である。
上記した組成が基本組成であるが、本発明では、上記した基本組成に加えて、Ti:0.2%以下、Nb:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、Mo:2.0%以下、W:2.0%以下、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下、B:0.0050%以下のうちから選ばれた1種又は2種以上を選択して含有できる。
【0026】
Ti、Nb、V、Cr、Mo、W、Ni、Cu、Bはいずれも、母材の強度を増加させる元素であり、必要に応じて選択して含有できる。更なるヤング率向上の観点から、なかでも、Nb、Mo、Bのうちから選ばれた1種又は2種以上を含有することがより好ましい。
Nb、Mo、Bは、母材の強度増加に加えて、オーステナイトの未再結晶温度域を拡大する作用を有する元素であり、オーステナイトの加工集合組織を利用する場合には有用で、1種又は2種以上を選択して含有することが好ましい。このような効果は、Nb:0.01%以上、Mo:0.01%以上、B:0.0005%以上の含有でそれぞれ顕著となるが、一方、Nb:0.2%、Mo:0.2%、B:0.0050%を超える含有は、靭性、延性が劣化する。このため、Nb:0.2%以下、Mo:0.2%以下、B:0.0050%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
【0027】
また、Ti、V、Cr、Wは、析出強化により、母材の強度増加を増加させる元素であり、このような効果は、Ti:0.01%以上、V:0.01%以上、Cr:0.01%以上、W:0.01%以上の含有でそれぞれ顕著となるが、一方、Ti:0.2%、V:0.2%、Cr:2.0%、W:2.0%を超える含有は、靭性、延性が劣化する。このため、Ti:0.2%以下、V:0.2%以下、Cr:2.0%以下、W:2.0%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
【0028】
また、Ni、Cuは、固溶強化により、母材の強度増加を増加させる元素であり、このような効果は、Ni:0.1%以上、Cu:0.1%以上の含有でそれぞれ顕著となるが、一方、Ni:2.0%、Cu:2.0%を超える含有は、表面品質が劣化する。このため、Ni:2.0%以下、Cu:2.0%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
【0029】
つぎに、本発明鋼管の好ましい製造方法について説明する。
好ましくは上記した組成の鋼管に、ねじり加工を施して、0.35以上の剪断歪を付与する。付与される剪断歪が0.35未満では、図1に示すように、鋼管の管軸方向および管円周方向のヤング率が目標の230Gpa以上を達成できない。このため、ねじり加工で付与する剪断歪を0.35以上に限定することが好ましい。また、ねじり加工は、冷間を含むAc変態点以下の温度域で行なうことが好ましい。上記した温度域で上記したねじり加工を施すことにより、フェライトの加工集合組織が発達しその結果として、またはオーステナイトの加工集合組織が発達しオーステナイトの加工集合組織からの変態集合組織として、上記した所望の集合組織である、肉厚中央面における{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上である集合組織を有する鋼管となる。なお、Ac変態点を超えてもオーステナイトの未再結晶温度以下でオーステナイトの圧延集合組織が十分に発達する温度域でねじり加工を行えば、同様の効果が得られる。しかし、その温度域は鋼組成、温度、歪速度等の多くの因子により影響されるため、実験的に決定する必要がある。
【0030】
図3に、SAE1018相当の成分を有する鋼管(40mmφ×4mmt)を、950℃〜550℃に加熱し、種々の加工温度まで冷却し、剪断歪:0.5のねじり加工を施したのち、管軸方向および管円周方向のヤング率、集合組織を調査し、得られた管軸方向および管円周方向のヤング率、上記した方位群の平均X線ランダム強度比を加工終了温度との関係で示した。図3から、加工温度がAc変態点以下の温度域(実験点のある温度でいうと、800℃以下)の場合には、上記した方位群の平均X線ランダム強度比が3.5以上の集合組織が得られ、管軸方向および管円周方向のヤング率が230MPa以上の高剛性を有する鋼管となることがわかる。なおここで加工終了温度が900℃の場合には、フェライトの加工集合組織が発達しないうえ、用いた鋼ではオーステナイトが一部再結晶したため、圧延集合組織が発達せず、変態後のフェライトで所望の集合組織が得られていない。
【0031】
なお、ねじり加工の加工温度は、フェライトが主である温度域では、青熱脆性を防止する観点から、150℃以下の冷間、および400℃以上の温度域とすることが好ましい。
また、本発明で用いるねじり加工は、例えば、引張強さが840MPa程度の鋼材を使用した場合でも、25.4mmφ×2.6mmt×100mml程度の鋼管であれば、通常の旋盤等の加工機械を利用し、冷間で、座屈等の不均一な変形を生じさせることなく、1以上の大きな剪断歪を付与できる。なお、座屈や割れが生じる加工限界は、当然、鋼管の寸法に依存する。
【0032】
さらに、高強度で、太径、薄肉の鋼管にねじり加工を施す場合には、前記したように鋼管を局部的に、すなわち例えば、管軸方向の一部でかつ管全周に亘り加熱して、400℃以上Ac3変態点以下の範囲の温度でねじり加工を施す工程を、逐次、管軸方向に沿って1回または2回以上行い、合計で剪断歪:0.35以上となるように施すことが好ましい。これにより、高強度で太径、薄肉の鋼管でも大きな歪を付与することが可能となる。なお、ねじり加工温度が、Ac3変態点を超えて高くなると、所望の集合組織の発達が不十分となる。これは、フェライトの圧延集合組織が発達しなくなるためと、オーステナイトの圧延集合組織の発達が不十分となるためである。一方、ねじり加工時の温度が400℃未満では、ねじり加工が局部的にならず、かつ、青熱脆性も懸念されるために、ねじり加工の温度は400℃以上とすることが望ましい。
【0033】
また、本発明では、上記したようにフェライトの集合組織を利用するために、最終製品の組織がフェライト主体であれば、特に成分限定の必要もない。そのため本発明によれば、使用する鋼管としては、低または中高炭素域でフェライト−パーライト組織を有する鋼管の他に、析出強化型、あるいはデュアルフェーズ型等の高張力電縫鋼管を用いても高いヤング率を有する鋼管が得られる。
【0034】
さらに本発明では、ねじり加工後に再加熱し、または加工後の冷却中に、適正温度で適正時間保持する保持処理を施してもよい。保持処理としては、ねじり加工後の冷却途中では、500℃以上(Ar1変態点+20℃)以下の温度で、ねじり加工後に再加熱する場合は、500℃以上(Ac1変態点+20℃)以下の温度で、それぞれ1s以上保持する処理とすることが好ましい。これにより、ねじり加工による加工硬化を除去でき、靭性等が向上する。なお、500℃未満で1sec未満では、加工硬化の除去が不十分であり、また、(Ac1変態点+20℃)または(Ar1変態点+20℃)を超える温度では、更なる変態や著しい再結晶を生じてねじり加工により得られた集合組織が変化する。
【実施例】
【0035】
表1に示す組成の熱延鋼板を用いて、40mmφ×4mmtの電縫鋼管とした。これら鋼管に、表2に示す加工条件でねじり加工を施した。なお、一部の鋼管については、管軸方向に35mm幅で管全周に亘り加熱し(局部的加熱)し、逐次、管軸方向に沿って所定の剪断歪となるねじり加工を施す、逐次加工を行なった。また、一部の鋼管には、ねじり加工後に表2に示す条件で再加熱し保持する保持処理を施した。
【0036】
得られた鋼管の管軸方向および管円周方向から短冊状の引張試験片を採取し、ヤング率を測定した。ヤング率の測定は、採取した試験片にゲージ長さ:2mmの歪ゲージを貼り付けた後、公称応力で10〜100MPaの引張り荷重を負荷し、その際の管軸方向の真歪に対する公称応力の傾きを測定し、その傾きをヤング率とした。
また、得られた鋼管から弧状試験片を切り出し、集合組織を測定した。採取した弧状試験片は、プレス加工して平板としたのち、機械研磨や化学研磨などによって板厚中心付近まで研磨し、さらに試験片表面をバフ研磨によって鏡面状態に仕上げたのち、電解研磨や化学研磨によって歪を除去すると同時に、肉厚中央面が測定面となるように調整した。このようにして得た試験片を用いて、EBSP法により、各方位のX線強度を求め、ランダム方位の場合を基準として各方位のX線ランダム強度比を求めた。得られた{110}<557>、{227}<212>、および{332}<10 49>の各方位のX線ランダム強度比から、上記した方位群の平均X線ランダム強度比を算出した。
【0037】
得られた結果を表2に示す。
【0038】
【表1】


【0039】
【表2】


本発明例はいずれも、平均X線ランダム強度比が3.5以上の集合組織を有し、管軸方向および管円周方向とも230GPa以上のヤング率を有する鋼管となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、上記した方位群の平均X線ランダム強度比が3.5未満であり、管軸方向、管円周方向のヤング率がいずれも230GPa未満であった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ヤング率、平均X線ランダム強度比とねじり加工の剪断歪との関係を示すグラフである。
【図2】ヤング率と平均X線ランダム強度比との関係を示すグラフである。
【図3】ヤング率に及ぼすねじり加工終了温度の影響を示すグラフである。
【図4】自動車部材の構造と曲げ荷重との関係の一例を模式的に示す説明図である。




 

 


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