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焼結鉱の製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 焼結鉱の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31818(P2007−31818A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−221047(P2005−221047)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100083253
【弁理士】
【氏名又は名称】苫米地 正敏
発明者 佐藤 秀明 / 大山 伸幸
要約 課題
高品質な焼結鉱を高い生産率と歩留まりで低コストに製造する事ができる焼結鉱の製造方法を提供する。

解決手段
配合される原料鉱石が、結晶水含有量が9.0mass%以上の鉄鉱石Aと、P含有量が0.10mass%以上で且つAl含有量が2.0mass%以上の鉄鉱石Bと、結晶水含有量が4.0mass%以上9.0mass%未満の鉄鉱石Cと、結晶水含有量が4.0mass%未満の鉄鉱石Dとで構成される焼結原料であって、原料鉱石中での鉄鉱石Dの割合が20〜50mass%であり、且つ鉄鉱石A,B,Cの配合割合を、図1に示す、点a,点b,点c,点dで囲まれる範囲内とした焼結原料から焼結鉱を製造する。
特許請求の範囲
【請求項1】
配合される原料鉱石が、結晶水含有量が9.0mass%以上の鉄鉱石Aと、P(燐)含有量が0.10mass%以上で且つAl含有量が2.0mass%以上の鉄鉱石Bと、結晶水含有量が4.0mass%以上9.0mass%未満の鉄鉱石Cと、結晶水含有量が4.0mass%未満の鉄鉱石D(但し、前記鉄鉱石A、鉄鉱石C及び鉄鉱石Dは、P(燐)含有量が0.10mass%以上で且つAl含有量が2.0mass%以上であるものを除く)とで構成される焼結原料であって、
原料鉱石中での前記鉄鉱石Dの割合が20〜50mass%であり、且つ前記鉄鉱石A、鉄鉱石B及び鉄鉱石Cの配合割合(但し、鉄鉱石A+B+C=100mass%としたときの配合割合)を、図1に示す、点a(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:40mass%,)、点b(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:10mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点d(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内(但し、鉄鉱石B>0mass%)とした焼結原料から焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【請求項2】
前記鉄鉱石A、鉄鉱石B及び鉄鉱石Cの配合割合(但し、鉄鉱石A+B+C=100mass%としたときの配合割合)を、図2に示す、点e(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:30mass%)、点f(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:20mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点g(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点h(鉄鉱石A:40mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内とした焼結原料から焼結鉱を製造することを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
【請求項3】
焼結原料中での原料鉱石の配合量が60mass%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼結鉱の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉製銑法等の主原料として用いられる焼結鉱の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉の主原料である焼結鉱は、一般に以下のようにして製造される。まず、原料鉱石(粉鉄鉱石)に、石灰粉等のCaO含有副原料、珪石や蛇紋岩等のSiO含有副原料及びコークス粉等の炭材を配合し、これに適量の水を加えて混合・造粒する。この造粒された配合原料(焼結原料)を、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に所定の厚さに充填し、この充填ベッド表層部の炭材に着火後、下方に向けて空気を吸引しながら充填ベッド内部の炭材を燃焼させ、その燃焼熱により配合原料を焼結させて焼結ケーキとする。そして、この焼結ケーキを粉砕・整粒することにより、粒径が数mm以上の成品焼結鉱が得られる。
【0003】
安定した高炉操業を行うためには、高品質の焼結鉱が求められる。一般に、焼結鉱の品質は冷間強度、還元粉化指数(RDI)、被還元性(RI)などが指標とされるが、これらが指標となる成品焼結鉱の品質は、高炉操業における炉内荷下がり状態の安定性、炉内通気性や通液性、鉱石の還元効率、高温性状等に対して大きな影響を及ぼす。このため焼結鉱の製造プロセスでは厳しい品質管理が行なわれている。また、焼結鉱の製造コストを低減させるために焼結鉱の成品歩留まりの向上が求められ、さらに焼結鉱製造ラインの効率化と生産性の向上が求められる。
【0004】
わが国は国内に鉄鉱石資源を持たないため、焼結鉱用原料である鉄鉱石は100%海外からの輸入に頼っている。近年、鉄鉱石の輸入は、豪州系鉱石が約65%を占め、南米系鉱石が約20〜25%、インド系鉱石が約10〜15%程度である。
ここで、P(燐,以下同様)含有量が比較的少ない鉄鉱石は、その構成鉱物から表1に例示するようにヘマタイト鉱石、マグネタイト鉱石、リモナイト鉱石、マラマンバ鉱石に大別される。これらのうちのヘマタイト鉱石、リモナイト鉱石、マラマンバ鉱石の組織拡大写真を図3に示す。
【0005】
【表1】


【0006】
南米系鉱石は、脈石成分が少なくFe品位の高いヘマタイト鉱石が主体で、一部マグネタイト鉱石もあり、従来から良質の焼結鉱用原料として用いられている。しかし、産地が遠距離であるために輸送費が高いという問題がある。
インド系鉱石は、SiO等の脈石分は南米系鉱石に比べ高いものの、良質なヘマタイト鉱石や結晶水を4〜5mass%程度含むヘマタイト鉱石が代表的鉱石であり、重要な鉄鉱石資源の一つではある。しかし、南米、豪州に比べて、埋蔵量が少なく且つ採鉱及び港への輸送・積み出しのためのインフラの整備が遅れていること、さらに、モンスーンの影響で出荷時期に制約があること、などの問題があり、その輸入比率は伸び悩んでいる。
【0007】
一方、豪州系鉱石は鉱山会社の積極的な投資もあり、1980年代から生産量が大幅に伸びており、鉄鉱石供給のメインソースとなっている。しかしながら、従来、わが国製鉄業において好適に利用されてきた良質なヘマタイト鉱石は、開発後30年を経て急速に枯渇の方向に向かいつつあり、また、1990年代中頃から開発が行われてきたリモナイト鉱石も生産量的には頭打ちとなっている。これに対して、近年新規に開発される鉱山は、マラマンバ鉱石を主体とする鉱石を産出するものが多い。
【0008】
ここで、マラマンバ鉱石とは、豪州のマラマンバ鉱床から産出される鉄鉱石の総称であって、一般にはゲーサイト(Fe・HO)とマータイト(マグネタイト構造を有するFe)を主要鉱物とし、且つへマタイト鉱石に較べて結晶水含有率が高い鉱石である。銘柄名では、ウェストアンジェラス鉱、MAC鉱などが代表的な鉄鉱石である。また、リモナイト鉱石の代表例としては、ピソライト鉱石がある。このピソライト鉱石は、一般には、魚卵状のへマタイト(Fe)の隙間をゲーサイト(Fe・HO)が埋めた内部構造を有し、且つマラマンバ鉱石よりもさらに結晶水含有率が高い鉱石である。銘柄名では、ローブリバー鉱、ヤンディクージナ鉱などが代表的な鉄鉱石である。
【0009】
また、上述した各種の鉄鉱石のようにP含有量が0.10mass%未満(通常、0.06mass%以下)の鉄鉱石に対して、一般にPを0.10mass%以上含有するような鉄鉱石は高燐鉱石と呼ばれる。このようなP含有量の高い鉄鉱石を高炉原料として使用することは、製造される溶銑のP濃度を高め、製鋼工程での脱燐処理の負荷を増大させることになるため、従来ではほとんど使用されていなかった。しかし、上述したように良質な鉄鉱石の供給量が減少しつつあることから、この高燐鉱石についても、焼結原料として相当量配合することが検討されつつある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来から用いられてきたヘマタイト鉱石は焼結性も良く、CaO源副原料を加えて塩基度(CaO/SiO)が1.7以上になるよう原料配合を調整した焼結鉱は品質、生産性、歩留りともに良好である。
これに対して、豪州系鉱石のうちリモナイト鉱石は、通常、結晶水を9〜11mass%程度含有し、微粉部分は少なく粒度は粗いが、図3の組織写真にも見られるように、鉱物組織中に粗大気孔が多い。このためリモナイト鉱石を焼成すると鉱石中の結晶水が抜けてさらに多孔質化し、亀裂が派生するため、衝撃を加えると粉化しやすい。また、結晶水の抜けた比較的粗い気孔内に、焼結過程においてCaO源副原料と鉄鉱石とが反応して生成したCaO系融液が浸入すると、急激に同化して過剰な溶融を引き起こす。そのため、リモナイト鉱石を多量に配合した場合には、焼結鉱の強度が低下するだけでなく、焼結ベッド内に過剰融液を発生させて岩板状に成長する部位が生じ、この過溶融部分と他の部分とで通気に著しいムラが生じて、過溶融した岩板状の部分の下方には未焼成部分が残されるため、歩留りの著しい低下が起こる。
【0011】
一方、豪州系鉱石として新規に開発され、今後使用量の大幅な増大が見込まれるマラマンバ鉱石は、一般に結晶水含有量は4〜6mass%程度であり、リモナイト鉱石に比べると粗大気孔は少なく結晶水も少ないため、焼成時の過剰な溶融は緩和される。しかし、微細な気孔が組織全体にあるため、融液を吸収しやすく、吸収された融液が周辺部から鉱石を同化させ、融液中のFe濃度が上がると急激に粘度が上昇し、内部に気孔を残したまま焼成が完了する。このため隣接する鉱石には融液が充分行き渡らなくなり、また、マラマンバ鉱石部分は細かい気孔を残したまま焼結鉱となるため、強度が低下して歩留りも低下する。さらに、マラマンバ鉱石は粒度が細かいために、大量に使用した場合には、焼結の原料処理工程において原料造粒後の粒子径が大きくならず、焼結機パレット上に装入されたベッドの通気性が悪化することになり、生産性が低下する。
【0012】
以上のように、良質なヘマタイト鉱石やマグネタイト鉱石が枯渇する傾向にある一方で、リモナイト鉱石やマラマンバ鉱石の大量使用には、得られる焼結鉱の品質や生産性が低下するという大きな問題がある。このため、高品質の焼結鉱(例えば、JIS
M 8712による回転強度:66%以上)を高い生産率(例えば、1.5t/h/m以上)で低コストに製造することは、困難になりつつあるのが現状である。
また、高燐鉱石については、これを相当量使用した場合には溶銑中のP濃度が上昇して脱燐処理の負荷が増大するという問題が考えられるが、従来では焼結原料としての使用実績があまりないことから、焼結原料中に相当量を配合した場合の焼結鉱の品質や生産性、成品歩留りに及ぼす影響についての検討は殆どなされていない。そこで、本発明者らが高燐鉱石の配合が焼結鉱の品質等に及ぼす影響について調査・検討したところ、高燐鉱石の配合量が増加すると焼結鉱の生産率が低下する傾向があることが判明した。
【0013】
したがって、本発明の目的は、上述のような原料鉄鉱石の供給事情の下で、高品質な焼結鉱を高い生産率と歩留まりで低コストに製造することができる、焼結鉱の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、焼結原料中に上述した複数種の鉄鉱石を同時に配合することを前提に、上記課題を解決するための最適な配合条件について検討を行った。その結果、ヘマタイト鉱石・マグネタイト鉱石と、リモナイト鉱石と、マラマンバ鉱石と、高燐鉱石とを、それらの性状が焼結過程に及ぼす影響および相互作用を考慮した配合比率で配合することにより、高品質な焼結鉱を高い生産性と歩留まりで低コストに製造できることを見出した。
【0015】
本発明は、以上のような知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1] 配合される原料鉱石が、結晶水含有量が9.0mass%以上の鉄鉱石Aと、P含有量が0.10mass%以上で且つAl含有量が2.0mass%以上の鉄鉱石Bと、結晶水含有量が4.0mass%以上9.0mass%未満の鉄鉱石Cと、結晶水含有量が4.0mass%未満の鉄鉱石D(但し、前記鉄鉱石A、鉄鉱石C及び鉄鉱石Dは、P含有量が0.10mass%以上で且つAl含有量が2.0mass%以上であるものを除く)とで構成される焼結原料であって、
原料鉱石中での前記鉄鉱石Dの割合が20〜50mass%であり、且つ前記鉄鉱石A、鉄鉱石B及び鉄鉱石Cの配合割合(但し、鉄鉱石A+B+C=100mass%としたときの配合割合)を、図1に示す、点a(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:40mass%,)、点b(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:10mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点d(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内(但し、鉄鉱石B>0mass%)とした焼結原料から焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【0016】
[2] 上記[1]の製造方法において、前記鉄鉱石A、鉄鉱石B及び鉄鉱石Cの配合割合(但し、鉄鉱石A+B+C=100mass%としたときの配合割合)を、図2に示す、点e(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:30mass%)、点f(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:20mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点g(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点h(鉄鉱石A:40mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内とした焼結原料から焼結鉱を製造することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
[3] 上記[1]又は[2]の製造方法において、焼結原料中での原料鉱石の配合量が60mass%以上であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高結晶水鉱石や微粉割合の多い鉱石などを使用することによる問題を解消し、高品質な焼結鉱を高い生産率と歩留まりで低コストに製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
高品質の焼結鉱を高生産率で製造するには、焼結原料に配合する原料鉱石の結晶水含有量と粒度が重要な要素となるが、リモナイト鉱石、へマタイト鉱石・マグネタイト鉱石、マラマンバ鉱石は、以下のように結晶水含有量により区別することができる。
(1)
結晶水含有量が9.0mass%以上である鉄鉱石A=リモナイト鉱石
(2)
結晶水含有量が4.0mass%以上9.0mass%未満である鉄鉱石C=マラマンバ鉱石
(3)
結晶水含有量が4.0mass%未満である鉄鉱石D=へマタイト鉱石・マグネタイト鉱石
また、これらの鉄鉱石の通常の粒度は、重量平均径でリモナイト鉱石が3.0mm以上、へマタイト鉱石・マグネタイト鉱石が2.2mm以上、マラマンバ鉱石が1.8mm程度である。
【0019】
一方、高燐鉱石はP含有量が他の鉱石よりも突出して高く、一般に他の鉱石のP含有量は0.06mass%以下であるのに対して、0.10mass%以上のPを含有する。また、高燐鉱石はAl含有量が2.0mass%以上と比較的高く、結晶水含有量もリモナイト鉱石よりは低いものの、ヘマタイト鉱石の2倍以上ある。また、高燐鉱石の粒度構成については、粒径0.25mm以下の微粉の割合はマラマンバ鉱石に並みに高く、重量平均径も2.0mm以下であってマラマンバ鉱石並みに細粒であることが特徴である。以上のような、いわゆる高燐鉱石の特徴からして、高燐鉱石はP含有量とAl含有量とにより他の鉱石(先に挙げた鉄鉱石A,C,D)から区別することができ、このため本発明では、P含有量:0.10mass%以上で且つAl含有量:2.0mass%以上の鉱石を「高燐鉱石」と定義し、これを鉄鉱石Bとする。
高燐鉱石、リモナイト鉱石、ヘマタイト鉱石、マラマンバ鉱石について、それらの代表的な化学組成とLOI(結晶水含有量と高い相関がある加熱後質量減少割合)を表2に、同じく代表的な粒度構成(粒度分布、算術平均径)を表3に示す。
【0020】
【表2】


【0021】
【表3】


【0022】
本発明の焼結鉱の製造方法では、焼結原料中の原料鉱石を上記鉄鉱石A,B,C,Dの4種類で構成するとともに、それらの配合割合を以下のようにする。
まず、原料鉱石中での前記鉄鉱石D(へマタイト鉱石又は/及びマグネタイト鉱石)の割合を20〜50mass%とする。さきに述べたように、鉄鉱石Dは枯渇傾向にあるため産出量が年々減少しつつあり、また、コスト面からも多量使用は不利であるが、Fe品位が高い良質な鉄鉱石であるため焼結鉱の品質・生産性確保の面からは不可欠である。
【0023】
ここで、主要生産地からの鉄鉱石の供給比率(わが国への供給比率)は、豪州系鉱石:約65%、南米系鉱石:約20〜25%、インド系鉱石が約10〜15%程度である。また、南米系鉱石とインド系鉱石はほぼ全量が鉄鉱石Dであり、一方、豪州系鉱石では、鉄鉱石Dの割合は約25%程度である。よって、主要生産地から供給される全鉄鉱石中の鉄鉱石Dの割合は、豪州系鉱石(約65%×0.25)+南米系鉱石(約20〜25%)+インド系鉱石(約10〜15%)=約46〜56%、すなわち大略50%程度となる。
【0024】
したがって、全原料鉱石の50mass%を超えて鉄鉱石Dを配合することは、焼結鉱の製造コストを増大させることになり、本発明の目的に反する。すなわち、他鉱石に較べて良質であるが故に枯渇傾向にある高価な鉄鉱石Dの配合比率を高めることは、それ自体製造コストの上昇を招くとともに、現状の産地からの鉄鉱石の供給事情からして、全原料鉱石の50mass%を超えて鉄鉱石Dの使用割合を高めるには、生産に余力がある南米系鉱石(産地別では最も高価な鉄鉱石D)を増やすしかなく、このためコストは大幅に増加する。
【0025】
一方、鉄鉱石Dが少なすぎると、焼結鉱の品質・生産性確保が難しくなる。すなわち、従来より焼結原料として好適に用いられてきた、結晶水が少なく緻密な焼結組織が得られる鉄鉱石Dの配合割合が20mass%未満となると、焼成により結晶水が抜けることで焼結組織が多孔質になりやすい鉄鉱石A,B,Cの配合割合が80mass%を超えることになるため、焼結鉱の強度の維持(したがって、これに伴う生産率と歩留まりの維持)が難しくなる。
【0026】
さらに、鉄鉱石A,B,Cの配合割合(鉄鉱石A+B+C中での各鉄鉱石の割合)については、図1に示す、点a(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:40mass%,)、点b(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:10mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点d(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:0mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内(但し、鉄鉱石B>0mass%)とする。
【0027】
図1の限界線イは、鉄鉱石A(リモナイト鉱石)の配合限界量を規定するものであり、この限界線イ(鉄鉱石A+B+C中の60mass%)を超えて鉄鉱石Aを配合すると焼結鉱の品質・生産性が低下する。
すなわち、鉄鉱石Aは、安価であるため多量使用することがコスト面からは有利であるが、高結晶水鉱石であるため品質・生産性の面からは不利となる。鉄鉱石Aはゲーサイト(Fe・HO)を多量に含み、300〜500℃で結晶水が脱水し、亀裂や気孔ができることにより多孔質となる。そして、焼成過程で1200℃前後の温度でCaO−Fe系融液が発生すると、この融液はマクロな気孔や亀裂中に侵入し、空隙を閉塞するため焼結ベッドの通気性が悪化し、生産性が低下する。一方、気孔や亀裂への融液の侵入速度は遅いため、焼結鉱としては多量の気孔を含む組織となり、強度・歩留まりも低下する。
【0028】
鉄鉱石Aによる上記現象を抑えるためには、鉄鉱石Aが焼結ベッド上で分散装入されることが必要である。そのためには、原料充填層中で鉄鉱石A主体の擬似粒子の周りに、他の鉄鉱石(鉄鉱石B,C,Dの1種以上)等が主体の擬似粒子を配位させる必要があり、鉄鉱石A主体の擬似粒子がその他鉄鉱石等主体の擬似粒子で適度に囲まれた状態とするには、鉄鉱石A主体の擬似粒子が1に対して、少なくともその他鉄鉱石等主体の擬似粒子が1以上必要であると考えられる。ここで、原料鉱石中での鉄鉱石Dの割合は20〜50mass%であるので、鉄鉱石A+B+C中での鉄鉱石Aの割合が60mass%以下であれば、上記擬似粒子の比率がほぼ満足されることになる。また、鉄鉱石A主体の擬似粒子が1に対して、その他鉄鉱石等主体の擬似粒子が1.5以上あればより好ましいと考えられるが、鉄鉱石A+B+C中での鉄鉱石Aの割合が50mass%以下であれば、そのような擬似粒子の比率がほぼ満足されることになり、したがって、鉄鉱石A+B+C中での鉄鉱石Aの割合は50mass%以下であることがより好ましい(図1の限界線イ′)。
【0029】
また、鉄鉱石A主体の擬似粒子が1に対して、少なくともその他鉄鉱石等主体の擬似粒子が3〜4程度であることがさらに好ましいと考えられ、また、焼結原料中の原料鉱石の割合は60〜80mass%程度が好ましい。したがって、鉄鉱石A+B+C中での鉄鉱石Aの割合が60mass%以下、好ましくは50mass%以下であれば、焼結原料中での鉄鉱石Aの割合は約30mass%前後以下となり、上記擬似粒子の比率が満足されることになる。
【0030】
図1の限界線ロは、鉄鉱石B(高燐鉱石)の配合限界量を規定するもので、限界線ロ(鉄鉱石A+B+C中の30mass%)を超えて鉄鉱石Bを配合すると、溶銑中のP濃度が過剰となるため脱燐処理の負荷が増大し(→製鋼コストの上昇)、また、後述する鉄鉱石Cとともに粒度に起因した問題が顕在化する。
鉄鉱石Bはヘマタイト鉱床帯から産出される鉱石であるが、P含有量は他の鉱石の2〜3倍程度もあり、また、結晶水含有量と粒度は鉄鉱石C(マラマンバ鉱石)に近く、微粉鉱石の割合が多い。したがって、このような鉄鉱石Bを多量に使用すると溶銑中のP濃度が上昇し、製鋼工程での脱燐処理コストの大幅増につながる。また、同じく微粉の割合が多い鉄鉱石Cとともに配合するので、鉄鉱石Bを多量に使用すると微粉分に起因した問題、すなわち、鉄鉱石Cに関して後述するような生産性の低下が顕在化する。以上の点から、鉄鉱石Bの配合限界量は30mass%となる。
【0031】
図1の限界線ハは、鉄鉱石C(マラマンバ鉱石)の配合限界量を規定するもので、限界線ハ(鉄鉱石A+B+C中の50mass%)を超えて鉄鉱石Cを配合すると、上記鉄鉱石Bとともに、鉄鉱石Cの粒度に起因した問題が顕在化する。
鉄鉱石Cは安価であるためコスト面で多量使用は有利であるが、鉄鉱石Bと同じく微粉の割合が多い。通常の焼結操業においては、粒径0.25mm以下の微粉鉱石が焼結ベッドの通気性を阻害することが知られており、このような粒径0.25mm以下の微粉鉱石の悪影響を取り除くために、生石灰や消石灰をバインダーに用いて焼結原料の造粒を行うことにより、焼結機に装入される原料粒子の大きさを重量平均径が3〜6mmになるようにしている。一般に、焼結原料の造粒では、原料鉱石中の粒径0.25mm以下の微粉鉱石の含有量に合わせバインダーの添加量を調整するが、図4に示すように、バインダーの効果はその添加量が少ない領域では添加量に比例するが、ある程度以上に添加量が増えると(約2.5mass%以上)、その効果も飽和してくる。したがって、微粉鉱石量が多い鉄鉱石Cの配合割合にも限界があり、鉄鉱石C同様に微粉鉱石の割合が多い鉄鉱石Bを配合することも加味して、以下に述べるように、限界線ハが規定する50mass%程度が限界となる。
【0032】
一般に、粒径0.25mm以下の微粉鉱石の割合は、鉄鉱石Cで約40mass%程度、鉄鉱石Aで約5〜12mass%程度、鉄鉱石Dで20〜30mass%程度、鉄鉱石Bで約30mass%程度であるが、図5に示すように、原料鉱石中の粒径0.25mm以下の細粒鉱石の割合が約35mass%を超えると焼結に悪影響を与え、生産率が低下するようになる。そして、上述したように鉄鉱石Bの割合が30mass%以下であるから、鉄鉱石Cの割合が50mass%以下であれば、粒径0.25mm以下の微粉鉱石の割合は約35mass%以下となり、生産性に与える影響は小さい。
以上の結果から、本発明では原料鉱石中の鉄鉱石A,B,Cの配合割合を、図1の限界線イ−ロ−ハで区画された範囲内(但し、鉄鉱石B>0mass%)、すなわち、点a,点b,点c及び点dで囲まれる範囲内(但し、鉄鉱石B>0mass%)と規定する。
【0033】
さらに、本発明のより好ましい製造方法では、原料鉱石中での上記鉄鉱石A,B,Cの配合割合(鉄鉱石A+B+C中での各鉄鉱石の割合)を、図2に示す、点e(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:30mass%)、点f(鉄鉱石A:60mass%,鉄鉱石B:20mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点g(鉄鉱石A:50mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:20mass%)、点c(鉄鉱石A:20mass%,鉄鉱石B:30mass%,鉄鉱石C:50mass%)及び点h(鉄鉱石A:40mass%,鉄鉱石B:10mass%,鉄鉱石C:50mass%)で囲まれる範囲内とする。
【0034】
ここで、図2の限界線イ,ロ,ハが規定される理由は先に述べたとおりである。さらに、限界線ニは鉄鉱石C(マラマンバ鉱石)の配合量の下限を規定するものであり、また、限界線ホは鉄鉱石B(高燐鉱石)の配合量の下限を規定するものである。鉄鉱石C,Bをこれら限界線ニ及び限界線ホをそれぞれ下回らないように配合することにより、安価ではあるが微粉鉱石量が多いために上述した問題を生じやすい鉄鉱石C、さらには安価ではあるがP含有量が高く且つ微粉鉱石量が多いために上述した問題を生じやすい鉄鉱石Bを、それぞれ積極的に配合しつつ、高品質な焼結鉱をより低コストに高い生産率で製造することができる。
したがって、本発明では原料鉱石中の鉄鉱石A,B,Cの配合割合を、図2の限界線イ−ニ−ロ−ハ−ホで区画された範囲内、すなわち、上述した点e,点f,点g,点c及び点hで囲まれる範囲内とすることが好ましい。
【0035】
本発明の焼結鉱の製造方法において、上述した鉄鉱石A,B,C,Dの配合割合の規制による効果を十分に確保するには、焼結原料中での原料鉱石の配合量(鉄鉱石A+B+C+D)が60mass%以上であることが好ましい。この原料鉱石の配合量は現行の焼結操業における一般な範囲であるが、原料鉱石(鉄鉱石A+B+C+D)の配合量が60mass%未満であると、他の原料による焼結性等への影響が顕在化してくるので、本発明の効果が得にくくなる。
【0036】
本発明において、焼結原料中に配合される原料鉱石は鉄鉱石A,B,C,Dの4種類であり、この原料鉱石に成分調整用副原料(例えば、CaO含有副原料、SiO含有副原料など)、造粒助剤(例えば、生石灰など)、製鉄所内回収粉(主にダスト類などの鉄源)、炭材(コークス粉、無煙炭など)、焼結鉱篩下粉などを配合して焼結原料とし、この焼結原料に適量の水を加えて混合・造粒する。この造粒された配合原料(焼結原料)を、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に所定の厚さに充填し、この充填ベッド表層部の炭材に着火後、下方に向けて空気を吸引しながら充填ベッド内部の炭材を燃焼させ、その燃焼熱により配合原料を焼結させて焼結ケーキとする。そして、この焼結ケーキを粉砕・整粒することにより、粒径が数mm以上の成品焼結鉱が得られる。
【実施例】
【0037】
焼結原料(配合原料)として、原料鉱石(粉鉱石)とその他の原料を表4及び表5に示す割合(表4及び表5の「配合原料」の割合中、粉コークスのみ外数)で総量が50kg程度となるように配合し、この原料をドラムミキサーで3分間、水分含有率が7%となるように調湿しながら混合した後、さらに、3分間同じドラムミキサーで造粒して擬似粒子とした。この造粒物を直径300mmの鍋試験装置に層厚が400mmになるように装入し、バーナーで着火した後、10kPaの負圧一定で焼成し、焼結鉱を製造した。
この試験では、成品焼結鉱のSiOが4.7±0.3mass%、塩基度1.9〜2.0となるよう鉄鉱石A〜Dの銘柄の選択と配合量の調整を行った。なお、生石灰としては、活性度300〜310ml、粒度1.0mm以下のものを用いた。
【0038】
成品焼結鉱の生産率、タンブラー強度(JIS
M 8712による回転強度)及び2mの高さから1回落下後の成品歩留り(+10mm%)を表6及び表7に示す。また、図6のグラフ中には、各実施例の鉱石配合をプロットした。
上記実施例は、全鉄鉱石中でのヘマタイト鉱石配合率を略20mass%一定としたものであるが、ヘマタイト鉱石配合率を30mass%、40mass%、50mass%と増加させた場合には、図6にプロットした各点で、生産性、品質の向上が認められた。但し、鉄鉱石の配合単価は大幅に上昇した。
【0039】
【表4】


【0040】
【表5】


【0041】
【表6】


【0042】
【表7】


【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の規定する鉄鉱石A,B,Cの配合割合の範囲を示す図面
【図2】本発明の規定する鉄鉱石A,B,Cの配合割合のより限定された範囲を示す図面
【図3】へマタイト鉱石、リモナイト鉱石、マラマンバ鉱石の各組織の顕微鏡拡大写真
【図4】焼結原料中の生石灰添加量と焼結鉱の生産率との関係を示すグラフ
【図5】焼結原料に配合された原料鉱石中の粒径0.25mm以下の細粒鉱石の割合と焼結鉱の生産率との関係を示すグラフ
【図6】各実施例における鉄鉱石A,B,Cの配合割合を示す図面




 

 


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