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溶融金属めっき鋼帯の製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 溶融金属めっき鋼帯の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31805(P2007−31805A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220003(P2005−220003)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 武田 玄太郎 / 高橋 秀行
要約 課題
ワイピングガスのワイピング力を増進させ、低圧力でも溶融めっき付着量を効率よく制御すると共に、鋼帯の表裏面で対向するワイピングガス同士の衝突を回避してスプラッシュの発生を低減できる溶融金属めっき鋼帯の製造方法を提供する。

解決手段
溶融金属めっき槽から連続的に引き上げられる鋼帯面に対向して、ガスの噴射方向が互いに傾斜した複数のノズルを設け、前記複数のノズルから噴射したガスの合成噴流を溶融金属浴から引き上げられた鋼帯面に吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルから噴射するガスのガス圧力を調整し、前記合成噴流の鋼帯との衝突位置を変更する。
特許請求の範囲
【請求項1】
溶融金属めっき槽から連続的に引き上げられる鋼帯面に対向して、ガスの噴射方向が互いに傾斜した複数のノズルを設け、前記複数のノズルから噴射したガスの合成噴流を溶融金属浴から引き上げられた鋼帯面に吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルから噴射するガスのガス圧力を調整し、前記合成噴流の鋼帯との衝突位置を変更することを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項2】
溶融金属めっき槽から連続的に引き上げられる鋼帯の表裏面の各々に対向して、各々ガスの噴射方向が互いに傾斜した複数のノズルを設け、前記複数のノズルから噴射したガスの合成噴流を溶融金属浴から引き上げられた鋼帯の表面に吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、鋼帯表裏の合成噴流の衝突位置は、鋼帯長手方向にずれていることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項3】
鋼帯表裏の合成噴流の噴射角度を変えることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする請求項2に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項4】
前記複数のノズルのうち、鋼帯表裏別に噴射されるガスの流速が最も速いノズルを主ノズル、前記主ノズル以外のノズルを副ノズルとしたとき、鋼帯表裏の主ノズルのガスの噴射方向を鋼帯面(板厚方向の鋼帯中心面)に対して対称とし、鋼帯表裏の副ノズルのガスの噴射方向を鋼帯面に対して非対称とすることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする請求項3に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項5】
鋼帯表裏の主ノズルのガスの噴射方向及び鋼帯表裏の副ノズルのガスの噴射方向を、各々鋼帯面(板厚方向の鋼帯中心面)に対して対称とし、鋼帯表裏の副ノズル(副ノズルが複数あるときは、そのうちの少なくとも1つの副ノズル)から噴射するガスのガス圧力を変えることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする請求項3に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項6】
鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向の衝突位置のずれ量Sおよび主ノズルのスリットギャップbの比、S/bは、0.1≦S/b≦5の範囲内にあることを特徴とする請求項4または5に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項7】
主ノズルの圧力、副ノズルの圧力、主ノズルのガス噴射方向及び副ノズルのガス噴射方向のなす角度と、前記各ノズルから噴射したガスの合成噴流の鋼帯面衝突位置との関係を求め、前記で求めた関係を用いて、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向の衝突位置のずれ量を所定の範囲内に調整することを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれかの項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項8】
発生しているスプラッシュの量を減少させるように副ノズルの圧力を調整することを特徴とする請求項5または6に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【請求項9】
副ノズルは、主ノズルの上部及び下部の各々に少なくとも一つ設けられることを特徴とする請求4〜8のうちのいずれかの項に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属めっき浴から連続的に引き上げられる鋼帯の表面に、ガスワイピングノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連続溶融めっきプロセスにおいては、図1に示すように、一般的に溶融金属が満たされているめっき浴23に鋼帯10を浸漬させた後、該鋼帯10を垂直上方に引き上げる工程の後に、鋼帯表面に付着した溶融金属が板幅方向および板長手方向に均一で所定の付着量になるように、この鋼帯10を挟んで対向して設けた鋼帯幅方向に延在するガスワイピングノズル22から気体を鋼帯10上に噴出させて、余剰な溶融金属を掻き取り、溶融金属の付着量を制御するガスワイピング方式が行われている。ガスワイピングノズル22は、多様な鋼帯幅に対応すると同時に鋼帯引き上げ時の幅方向の位置ズレなどに対応するため、通常、鋼帯の幅より長く、鋼帯の幅端部より外側まで延びている。このようなガスワイピング方式では、鋼帯10に衝突した噴流の乱れによって鋼帯下方に落下する溶融金属が周囲に飛び散る、いわゆるスプラッシュが発生したりして、鋼帯表面品質の低下を招く。
【0003】
連続プロセスにおいて、生産量を増加させるには、鋼帯通板速度(ライン速度)を増加させればよい。しかし、連続溶融めっきプロセスにおいてガスワイピング方式でめっき付着量を制御する場合、溶融金属の粘性により、ライン速度の増加に伴って鋼帯のめっき浴通過直後の初期付着量が増加するため、めっき付着量を一定範囲内に制御するには、ワイピングガス圧力をより高圧に設定せざるを得ず、それによってスプラッシュが大幅に増加し、良好な表面品質を維持できなくなる。鋼帯両端部に発生するスプラッシュは、図2に示すように鋼帯表裏面に配置されたワイピングノズルから噴射されたガス同士が鋼帯端部外側で鋼帯長手方向に互いに衝突((a)、(c))と離反((b)、(d))を繰り返す現象が起こり、噴流の乱れが増加してスプラッシュが発生することから、特にエッジスプラッシュと呼ばれる。
【0004】
上記のようなスプラッシュの発生を低減させるため減少する方法が以下の通り開示されている。
【0005】
特許文献1には、鋼帯のC反り防止を目的に、鋼帯表裏面のワイピングノズルをオフセットしてガスを噴射する方法が開示されているが、この方法ではワイピングノズルのガス同士の衝突が避けられるため、エッジスプラッシュを抑制する効果がある。
【0006】
特許文献2には、ワイピングノズルの吹出し口近傍に吸込みチャンバーを設け、発生したスプラッシュを適宜吸込んで、めっき鋼帯の品質低下を防止する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、鋼帯両端部の外側にエッジプレートを設け、且つ、エッジプレート本体の鋼帯側コーナ下部に、噴射ガス流れを内向きに変える傾斜ガイドを設け、騒音とともにスプラッシュを低減することが開示されている。
【特許文献1】特開平4−116148号公報
【特許文献2】特開平6−41710号公報
【特許文献3】特開2003−321756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に開示された方法では、C反り矯正のためにガス圧力を1.0〜2.0kg/cmにしなければならないが、そのような高圧でワイピングガスを噴射すると、対向噴流の干渉がなくてもスプラッシュの飛散は著しく悪化する。ワイピングノズルをオフセットさせるためにノズル位置や角度を可動式にすることで装置そのものの剛性が低下することで、めっき鋼帯表面にある特定周波数の模様がつくなどの欠陥が発生しやすくなる。また、最適なオフセット量は操業条件によって微妙に変化するので、あらかじめセットしておいても操業条件の変化に対応してオフセット量を微調整しなければならず、ノズル位置や角度の調整はシビアに行う必要があるため、所定の設定に調整を終えるまでの非定常状態時にスプラッシュ等の欠陥が増大する。
【0009】
特許文献2に開示された方法では、発生したスプラッシュをワイピングノズル直近で吸引することで、一時的にスプラッシュ欠陥を回避できるが、スプラッシュの発生そのものは低減されないので、定常的に使用するとチャンバーのメンテナンスを頻繁に行うことが必要でありメンテナンスの負荷が増大する問題がある。吸込みチャンバーの吸引力を下げる等の対応を取ることでメンテナンス頻度を下げることができるが、この場合、スプラッシュ吸引効果が不十分になる。また、特許文献2には必要とする吸込み流量について具体的な記述がないが、広範囲に飛び散るスプラッシュを回収するには相当の流量を吸引しなくてはならず、設備コストが甚大になると考えられる。
【0010】
特許文献3に開示された方法では、エッジプレートにより大部分のワイピングガス同士の衝突は回避できるものの、スプラッシュの発生を防止する上で特に重要な鋼帯近傍ではエッジプレートと鋼帯端部に必ず隙間をあけなくてはならず、その隙間に入り込むガスの挙動によってエッジプレートにスプラッシュが付着して、大粒の固まりになり、それが鋼板に付着する所謂液溜まり等の欠陥が発生する問題があり、また絞り力そのものを向上させることができない。
【0011】
本発明の課題は、上記問題点を解消し、ワイピングガスのワイピング力を増進させ、低圧力でも溶融めっき付着量を効率よく制御すると共に、鋼帯の表裏面で対向するワイピングガス同士の衝突を回避してスプラッシュの発生を低減できる溶融金属めっき鋼帯の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明の手段は下記の通りである。
【0013】
(1)溶融金属めっき槽から連続的に引き上げられる鋼帯面に対向して、ガスの噴射方向が互いに傾斜した複数のノズルを設け、前記複数のノズルから噴射したガスの合成噴流を溶融金属浴から引き上げられた鋼帯面に吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルから噴射するガスのガス圧力を調整し、前記合成噴流の鋼帯との衝突位置を変更することを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0014】
(2)溶融金属めっき槽から連続的に引き上げられる鋼帯の表裏面の各々に対向して、各々ガスの噴射方向が互いに傾斜した複数のノズルを設け、前記複数のノズルから噴射したガスの合成噴流を溶融金属浴から引き上げられた鋼帯の表面に吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、鋼帯表裏の合成噴流の衝突位置は、鋼帯長手方向にずれていることを特徴とする溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0015】
(3)鋼帯表裏の合成噴流の噴射角度を変えることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする(2)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0016】
(4)前記複数のノズルのうち、鋼帯表裏別に噴射されるガスの流速が最も速いノズルを主ノズル、前記主ノズル以外のノズルを副ノズルとしたとき、鋼帯表裏の主ノズルのガスの噴射方向を鋼帯面(板厚方向の鋼帯中心面)に対して対称とし、鋼帯表裏の副ノズルのガスの噴射方向を鋼帯面に対して非対称とすることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする(3)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0017】
(5)鋼帯表裏の主ノズルのガスの噴射方向及び鋼帯表裏の副ノズルのガスの噴射方向を、各々鋼帯面(板厚方向の鋼帯中心面)に対して対称とし、鋼帯表裏の副ノズル(副ノズルが複数あるときは、そのうちの少なくとも1つの副ノズル)から噴射するガスのガス圧力を変えることで、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向衝突位置をずらすことを特徴とする(3)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0018】
(6)鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向の衝突位置のずれ量Sおよび主ノズルのスリットギャップbの比、S/bは、0.1≦S/b≦5の範囲内にあることを特徴とする(4)または(5)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0019】
(7)主ノズルの圧力、副ノズルの圧力、主ノズルのガス噴射方向及び副ノズルのガス噴射方向のなす角度と、前記各ノズルから噴射したガスの合成噴流の鋼帯面衝突位置との関係を求め、前記で求めた関係を用いて、鋼帯表裏の合成噴流の鋼帯長手方向の衝突位置のずれ量を所定の範囲内に調整することを特徴とする(4)〜(6)のうちのいずれかに記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0020】
(8)発生しているスプラッシュの量を減少させるように副ノズルの圧力を調整することを特徴とする(5)または(6)に記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【0021】
(9)副ノズルは、主ノズルの上部及び下部の各々に少なくとも一つ設けられることを特徴とする(4)〜(8)のうちのいずれかに記載の溶融金属めっき鋼帯の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、副ノズルから主ノズルの噴流に対して所定の角度傾斜させた噴流を、主噴流より遅い速度で噴射することにより、鋼帯表面で噴流の衝突圧力が上昇し、また鋼帯通板方向の衝突圧力分布の圧力勾配が急峻になる。この噴流により、めっき掻き取り力が向上し、所要のめっき厚にする際に、従来技術よりも主噴流の噴射圧力を下げたり、ノズルと鋼帯の距離を遠ざけたりすることが可能で、スプラッシュが発生しにくくなることやノズルが詰りにくくなることに加えて、鋼帯表裏のワイピングガス同士の衝突を回避することでスプラッシュがさらに発生しにくくなる。効率よく、スプラッシュの少ない溶融金属めっき厚の制御が可能になり、高速通板時であっても薄目付けが可能になる。
【0023】
本発明では、ガスワイピングノズル自体を可動構造にしなくても鋼帯表裏のワイピングガス同士の衝突を回避できるので、ワイピング装置の剛性の低下を防止でき、ワイピング装置の剛性が低下することでめっき鋼帯表面に特定周波数を有する模様状の欠陥が発生する問題も解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0025】
図3は本発明の実施に使用するガスワイピングノズルの概略構成例を示す。図4は、図3のガスワイピングノズル1のガス噴射口先端部分の拡大図である。図5は図3のガスワイピングノズルを鋼帯の両側に対向配置させた状態を示す概略図である。
【0026】
従来のガスワイピングノズルは、ガス噴射ノズルは1つ(単純スリット)であるのに対して、図3のガスワイピングノズル1は、ノズル本体上部部材12とノズル本体の下部部材13間に、噴射されるガスの流速が最も速く、主にめっき付着量を制御する主噴流を噴射する主ノズル7と、主ノズル7の上下に隣接して、主ノズル7とは仕切り板14、15で仕切られた、それぞれ1個の副ノズル8、9が設けられている。鋼帯の両側に対向配置されるガスワイピングノズルでは、主ノズルは、鋼帯表裏毎に各々1つ存在する。
【0027】
仕切り板14のガス噴出口側端部下面と仕切り板15のガス噴出側端部上面は平坦で、間隔をあけて平行に配置され、主ノズル7のガス噴出口(スリット)を形成する。本図の装置では、主ノズル7のガス噴射口は鋼帯表面にほぼ直角方向にガスを噴射するように構成されている。
【0028】
仕切り板14のガス噴出口側端部上面は、仕切り板14のガス噴出口側端部下面に対して傾斜状に形成され(傾斜角度θ)、また仕切り板14のガス噴出口側端部上面とノズル本体上部部材12のガス噴出口側端部下面は平坦で、間隔をあけて平行に配置され、副ノズル8のガス噴出口(スリット)を形成する。
【0029】
同様に、仕切り板15のガス噴出口側端部下面は、仕切り板15のガス噴出口側端部上面に対して傾斜状に形成され(傾斜角度θ)、また仕切り板15のガス噴出口側端部下面とノズル本体の下部部材13のガス噴出口側端部上面は平坦で、間隔をあけて平行に配置され、副ノズル9のガス噴出口(スリット)を形成する。
【0030】
各ノズル7〜9は、それぞれの噴射ガス圧力を任意に調整できるように、個別の圧力室2〜4を有している。圧力室(ヘッダ)2〜4には、図示されていないガス供給系統から各々個別に圧力制御されたワイピングガスが供給され、圧力室2〜4に供給されたワイピングガスは、整流板5を通して各ノズル室2a〜4aに供給され、各々のノズル7〜9からガスを噴射する。本明細書では、主ノズルから噴射されるガスの噴流を主噴流、副ノズルから噴射されるガスの噴流を副噴流とも記載する。
【0031】
主ノズル7からの主噴流は鋼帯表面にほぼ直角にガスが噴射され、副ノズル8および副ノズル9からの副噴流は主噴流に対して傾斜したガス(傾斜角度θ)が噴射される。
【0032】
このガスワイピングノズルを使用したときの二次元噴流の衝突圧力分布曲線を図6に示す。図6おいて、(a)は主ノズルだけを使用した場合の二次元噴流の衝突圧力分布曲線で、通常の二次元噴流(従来の単純スリットの二次元噴流)に対応する。また(b)と(c)は主ノズルと副ノズルを使用した場合で、(b)は上部副ノズルの圧力と下部副ノズルの圧力が同じ場合、(c)は上部副ノズルの圧力が下部副ノズルの圧力より高い場合である。
【0033】
図6において、bはスリットギャップ、yは噴流中心(y=0)からの距離である。また、横軸はy/b、縦軸は、主ノズルだけを使用した(a)の衝突圧力分布曲線の最大圧力を基準(1.0)とし、その最大圧力に対する圧力比である。y<0は噴流中心より下方側(溶融めっき槽側)、y>0は噴流中心より上方側(反溶融めっき槽側)である。
【0034】
従来の単純スリットノズルでは、図6(a)に示されるように、衝突圧力は噴流中心に対して対称(y/b=0の軸に対して対称)の分布であり、衝突圧力分布は、ノズル出口速度でほぼ決定する性質をもつ。ワイピングガスの噴射方向を鋼帯面に直角方向から±30度程度の範囲内で傾斜させても、衝突圧力分布曲線の圧力勾配の急峻度(図6の衝突圧力分布曲線の勾配)はほとんど変化しない。なお、衝突圧力分布曲線の圧力勾配の急峻度は、y/bが−1.5〜0の範囲における圧力勾配の最大値で評価できる。
【0035】
溶融金属のめっき付着量を制御する場合、めっき掻き取り力を高めて、付着量制御性を向上させるには、鋼帯面におけるワイピングガスの噴流の最大衝突圧を高くすることだけでなく、鋼帯通板方向の衝突圧力分布曲線の圧力勾配を急峻にすることが有効である。
【0036】
図6から、主ノズルの上部及び下部の両方から副噴流を適用すると、副噴流を適用しない場合よりも衝突圧力のピーク(最大衝突圧)を高めることができることがわかる。また、上部及び下部の両方から副噴流を適用した場合、上部からの副噴流の噴射速度を下部からの副噴流の噴射速度より速くすると、衝突圧力のピークが減少することなく負の側(図の左側、めっき浴槽側)に移動し、衝突圧力のピークに対応するy/bの値以下のy/bの範囲で衝突圧力の圧力勾配がさらに急峻になることがわかる。したがって、図5のようにめっき槽の上部にワイピングノズルが設置される場合、主噴流の上部と下部の両方から主噴流より速度の遅い副噴流を噴射し、上部と下部の副噴流の圧力比としては、上部を強くすることによって下側の圧力勾配を急峻にする効果を発現させ、下部副噴流は、主噴流の拡散を防止する程度とし、噴射方向を変化させる程強く噴射しない方が良い。
【0037】
以上の結果から、図3のワイピングノズルを用いて、主ノズル7からの主噴流に対して、主ノズル7の上下部に設けた副ノズル8、9からの副噴流を適正に制御することによって、ノズル7からの主噴流の拡散が抑制され、噴射後すぐに主噴流と副噴流は合成されて、図6に示されように、圧力分布曲線は一つの高いピークを有し、圧力勾配が急峻な合成噴流となり、この合成噴流6を溶融めっき槽を通過した鋼帯10に吹き付けることにより、めっき掻き取り力を高めて、付着量制御性を向上させることができる。また、めっき掻き取り力を向上できることで、高速通板時においても付着量制御性が優れる。
【0038】
めっき掻き取り力を向上させる点からは、以下が好ましい。上部副噴流の速度は主噴流の20〜80%(圧力換算では4〜65%)範囲とすることが好ましい。この範囲であれば、速度が速いほど効果が大きくなる。また下部副噴流速度は、上部副噴流速度の45〜80%(圧力換算で20〜65%。但し、主噴流の速度未満である。)であることが望ましい。
【0039】
副ノズルから噴射されるガスの主ノズルから噴射されるガスに対する傾斜角度θは、5°≦θ≦70°の範囲内にあることが好ましい。傾斜角度θが5°未満になると、主噴流のみの場合よりも衝突圧力が上昇するが、仕切り板先端部分が変形してノズル口開きが発生し、ノズル幅方向の均一性が確保できなくなるおそれがある。傾斜角度θが70°を超えると主噴流のみの場合よりも衝突圧力を上昇させることができなくなる。ノズル性能に加え、操業上問題となるノズル剛性、ノズル清掃のしやすさ、ノズル重量等を考慮すると、15°≦θ≦45°の範囲がさらに望ましい。なお、主ノズルの上下に副ノズルを設ける場合、副ノズルから噴射されるガスの主ノズルから噴射されるガスに対する傾斜角度θが上下で異なっても、噴射ガス圧力の調整等により本発明は実施可能である。
【0040】
衝突圧力比は、主ノズル7のノズルギャップにはほとんど影響なく、副ノズル8、9のノズルギャップは0.1mm〜2.5mmの範囲で有効である。性能に加え、ノズル加工性や幅方向均一性および供給エア量削減による省エネルギー化を考慮すると、0.3mm〜1.5mmとするのが望ましく、0.3mm〜1.0mmとするのがさらに望ましい。
【0041】
なお、主ノズルのノズルギャップは特に限定されず、通常のガスワイピングにおいて採用されるものでよい。例えば、0.5〜2mmである。また、主ノズルの圧力は、通常使用される圧力範囲に適用可能で、例えば0.1〜2.0kgf/cmである。
【0042】
図6において、上部からの副噴流の噴射速度を下部からの副噴流の噴射速度より速くすると、衝突圧力のピークが負の側に移動、すなわち溶融めっき槽側に移動している。このことは、ワイピングノズル本体が固定されたままでも、副噴流の条件を変えることで合成噴流の噴射方向を変えることができるということである。そこで、下部副噴流は、主噴流の拡散を防止するだけで噴射方向を変化させないような条件でさらに詳細な実験を行い、主噴流のみを吹き付けた場合の噴流衝突位置に対する主噴流と副噴流の合成噴流の衝突位置変化:yは下式(1)で示されることがわかった。
【0043】
【数1】


【0044】
ここで、L:ノズル−鋼帯距離、θ:上部副噴流傾斜角度、Pm:主噴流圧力、Ps:上部副噴流圧力である。なお、y、L、θ、Pm、Psは図7に示されるパラメータである。
【0045】
鋼帯表裏面のワイピングノズルからの噴流の鋼帯衝突位置をオフセットすることでエッジスプラッシュの発生を抑制できる。本発明の実施に使用するワイピングノズルは、ワイピングノズル本体が固定されたままでも、副噴流の条件を変えることで合成噴流の噴射方向を変えることができる。そこで、溶融亜鉛めっき鋼板の実機製造ラインにおいて、図3に示した構造のワイピングノズルを、図5に示すように、鋼帯表裏の主ノズルのガスの噴射方向が鋼帯面(板厚方向の鋼帯中心面)に対して対称となるように鋼帯の両側に対向配置し、鋼帯表裏面に対向したワイピングノズルの副噴流の圧力を変えることでワイピングガスの鋼帯表裏の衝突位置のオフセット量を変え、相互干渉を回避することによるスプラッシュ低減効果を調査した。
調査結果を図8に示す。図8から、スプラッシュが低下することによって増速可能となるオフセット量Sは、主ノズルのノズルギャップbに対して、S/bが、0.1≦S/b≦5を満足する範囲であることがわかった。S/bは、0.3≦S/b≦4を満足する範囲がさらに望ましい。但し、オフセット量S(mm)は下式(2)で表わされる。
S=|y1−y2| ・・・(2)
ここで、y1:表側ノズルの合成噴流の鋼帯面衝突位置の変化量(mm)、y2:裏側ノズルの合成噴流の鋼帯面衝突位置の変化量(mm)である。なお、本明細書では、表側ノズルとはシンクロール側に配置されているノズル、裏側ノズルとはシンクロールと反対側に配置されているノズルのことである。
【0046】
式(1)および式(2)より、鋼帯表裏面に対向するワイピングノズルの主ノズルの圧力Ps、副ノズルの圧力Pm、主ノズルに対する副ノズルの傾斜角度θを最適化することで、オフセット量Sを所要の値に調整することができ、したがって、S/bを所要の範囲内とすることができる。
【0047】
例えば、鋼帯表裏に対向配置されたガスワイピングノズルのうちの少なくとも一方のガスワイピングノズルの副ノズルの圧力を調整することで、ワイピングガスの鋼帯面への衝突位置の変化量yを調整してもよいし、また副ノズルのガスの噴射方向を調整してもよい。このように、本発明によれば、ワイピングノズル本体が固定されたままで、噴射されるガスの噴射方向を任意に変えることができ、対向噴流の衝突位置を所要の位置にオフセットさせることができるので、対向噴流によるガスの乱れを低減し、もってエッジスプラッシュの発生を抑制できる。ワイピングノズルの対向噴流の衝突位置のオフセット量調整のために、ノズル高さ位置や角度を可動式にすると、ワイピング装置の剛性が低下し、めっき鋼帯表面にある特定周波数を有する模様状の欠陥が発生しやすくなる問題があるが、オフセット量調整のためのワイピングノズル本体の可動機構が不要となることで、ワイピングノズル装置全体の剛性を上げることができ、係る欠陥の発生を抑制でき、品質の向上および安定操業を実現しやすい。
【0048】
本発明法によれば、エッジプレートを用いた場合に起こるエッジプレートと鋼帯端部の隙間にガスが流れ込むことによる液溜まり等の欠陥発生の問題もない。
【0049】
さらに、実操業においては、実際に発生しているスプラッシュ量を減少させるための圧力最適化方法として、オペレーターが目視によってスプラッシュ飛散状況を観察しながら副ノズルの圧力を調整してもいいし、ワイピングノズル周辺に重量計を設けて単位時間当たりのスプラッシュ発生量を定量化しながらフィードバック制御により副ノズルの圧力をスプラッシュ量を減らす方向に調整してもよいし、後記実施例のように、ビデオカメラでモニタリングし、画像処理によってスプラッシュ量を定量化しながらフィードバック制御により副ノズルの圧力をスプラッシュ量を減らす方向に調整してもよいし、あるいは図8のようなオフセット量最適化のグラフより、1≦S/b(オフセット量/ノズルギャップ)≦2の範囲内とするように調整してもよい。
【実施例1】
【0050】
図3に示したワイピングノズルを取り付けたガスワイピング装置を、溶融亜鉛めっき鋼板の製造ラインに設置し、鋼板表裏のワイピングガスの衝突位置のオフセット量を変えて、厚さ0.8mm×幅2000mmの溶融亜鉛めっきの製造実験を行い、付着量制御性およびスプラッシュ発生程度を調査した。比較のために、従来ノズルを取り付けたガスワイピング装置を設置し、同様の調査を行った。製造条件は、溶融亜鉛浴からのノズル高さ420mm、溶融亜鉛浴温度460℃等を同一とした。主ノズルのガス噴射方向は鋼板面に直角、副ノズルのスリットギャップは上下とも0.8mmとした。その他の製造条件および付着量、スプラッシュの調査結果を表1に示す。表1において、製造例1〜5は図3に示したガスワイピングノズルを用いた例、製造例6〜9は従来ノズルを用いた例、製造例10、11は従来ノズルにエッジプレートを装着した例である。スプラッシュ発生程度は、ノズル側面に設置したビデオカメラでモニタリングし、画面内に占めるスプラッシュの面積にて定量化し、現操業の管理基準(製造例6)を1.0として評価した。
【0051】
【表1】


【0052】
製造例1は、図3に示したガスワイピングノズルを用いて、表裏対称な条件でガスワイピングした例で、主ノズルのみで鋼板表裏のワイピングガスの衝突位置にオフセットがない製造例6、主ノズルのみで鋼板表裏のワイピングガスの衝突位置をオフセットさせた製造例7及びこの主ノズルにエッジプレートを装備させた製造例10と比べて、噴流の圧力勾配急峻化により付着量が減少し、同時にスプラッシュの飛散も減少している。
【0053】
製造例2は、図3に示したガスワイピングノズルを用いて、各ノズルの圧力条件は変えずに、上部副流ノズルの傾斜角度を変えて、S/b(オフセット量/ノズルギャップ)を0.7にした例である。製造例3実施例3は、図3に示したガスワイピングノズルの各ノズルの角度条件は変えずに、上下部副流ノズルの圧力条件を変えて、S/bを0.3にした例である。製造例2及び製造例3は、製造例6、製造例7及び製造例10と比べて、噴流の圧力勾配急峻化により付着量が減少し、同時にスプラッシュの飛散も大幅に減少している。また、製造例1と比較すると、付着量は同等であるが、スプラッシュ防止効果がより優れている。S/bが本発明の好ましい範囲内にある製造例2は製造例3に比べてスプラッシュ発生がより少ない。
【0054】
製造例4は、図3に示したガスワイピングノズルを用いて、各ノズルの圧力条件は変えずに、上部副流ノズルの傾斜角度を変えて、S/bを0.4とし、通板速度を240m/minに増速した例である。同じ通板速度の製造例9、製造例11と比較すると、付着量及びスプラッシュ発生が少ない。
【0055】
製造例5は、図3に示したガスワイピングノズルを用いて、各ノズルの角度条件は変えずに、上下部副流ノズルの圧力条件を変えて、S/bを0.3とし、通板速度を240m/minに増速した例で、同じ通板速度の製造例9、製造例11と比較すると、付着量、スプラッシュ発生がいずれも少なく、スプラッシュの発生量は通板速度が140m/minの製造例6と同等であった。製造例4と5を比べるとS/bの大きい製造例4の方がスプラッシュが少ない。
【0056】
製造例8は、S/bが大きすぎて、対向する2つのノズルのうち、上側のノズルによって発生したスプラッシュが下側のノズルに降りかかってしまい、製造例6、製造例7よりもスプラッシュが増加した。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、溶融金属めっき浴から連続的に引き上げられる鋼帯の表面に、ガスワイピングノズルからガスを吹き付けて付着金属の厚さを制御する溶融金属めっき鋼帯の製造方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一般的な連続溶融金属めっき鋼板の製造装置を示す縦断面図である。
【図2】エッジスプラッシュの発生機構を示す図である。
【図3】本発明の実施に使用するガスワイピングノズルの概略構成例を示す図である。
【図4】図3のガスワイピングノズルの噴射口先端部の拡大図である。
【図5】本発明のガスワイピングノズルの形態を示す図である。
【図6】本発明のガスワイピングノズルの副噴流を適用したときの圧力勾配を比較した図である。
【図7】本発明の実施に使用するワイピングノズルから噴射される合成噴流の衝突位置変化yを説明する模式図である。
【図8】鋼板表裏面のノズルのS/b(オフセット量/ノズルギャップ)に対するライン増速効果を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 ガスワイピングノズル
2 主ノズル圧力室(主ノズルヘッダ)
3 上部副ノズル圧力室(上部副ノズルヘッダ)
4 下部副ノズル圧力室(下部副ノズルヘッダ)
5 整流板
6 噴射ガス(合成噴流)
7 主ノズル
8 上部副ノズル
9 下部副ノズル
10 鋼帯(鋼板)
11 溶融金属
12 ノズル本体上部部材
13 ノズル本体下部部材
14、15 仕切り板
21 シンクロール
22 ガスワイピングノズル
23 溶融金属(めっき浴)
θ 副ノズルから噴射されるガスの噴射方向の主ノズルから噴射されるガスに噴射方向に対する傾斜角度
S オフセット量
b スリットギャップ




 

 


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