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ベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 ベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−16311(P2007−16311A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−149648(P2006−149648)
出願日 平成18年5月30日(2006.5.30)
代理人 【識別番号】100080687
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 順三
発明者 尾崎 芳宏 / 井口 貴朗 / 加藤 康
要約 課題
オーステナイト系ステンレス鋼板に代替可能な加工性に優れるベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板を提供する。

解決手段
Crを10〜25mass%含有し、降伏応力が300〜450MPa、表面粗さが算術平均粗さRaで0.40μm以下であり、板厚が0.5mm以下であり、外径が28〜80mmφの1重もしくは2重の自動車排気系ベローズの素管に用いるものであることを特徴とするベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板。
特許請求の範囲
【請求項1】
Crを10〜25mass%含有し、降伏応力が300〜450MPa、表面粗さがRaで0.40μm以下であることを特徴とするベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板。
【請求項2】
板厚が0.5mm以下であり、外径が28〜80mmφの1重もしくは2重の自動車排気系ベローズの素管に用いるものであることを特徴とする請求項1に記載のベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や気体の輸送管等の一部に設置され、熱膨張による伸縮歪や応力、機械的な振動歪等を吸収する機能を有するベローズの素管に用いられるフェライト系ステンレス鋼板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベローズやフレキシブルチューブ(以降、単に「ベローズ」とも言う)は、管軸に直角な平行波形の壁をもつ蛇腹状の金属製の管であり、伸縮させたりたわみを与えたり曲げたりすることができるので、自動車のみならず、船舶、航空機等の輸送機関をはじめ、空調設備や工業用プラント設備、真空装置等の科学実験設備など幅広い分野で使用されている。特に、最近では、自動車排気系配管のつなぎ部分に採用されて、高温の排気ガスによる熱歪やエンジンの振動を効果的に吸収する機能を果たしている。
【0003】
金属製ベローズやフレキシブルチューブの加工方法には、非特許文献1に記載されているように、ロール成形、液圧成形、エラストマー成形、エキスパンション成形等、種々の方法があり、それぞれのサイズや用途に応じて最適な加工方法が選択されている。図1は、自動車排気系ベローズ管の製造方法の一つである、1山成形方式の液圧成形方法を模式的に示したものである。1はベローズの素管であり、これを図1のごとく配置してから、素管内に液体を満たして加圧し、クランプ金型3と成形金型4の間に、素管の管壁を膨出させ、その後、クランプ金型3を軸方向に圧縮することにより、山6を成形し、これを繰り返すことにより、多数の山を有するベローズを製造する方法である。この方法は、一回の液圧成形で所定数のヒダを作り込む方法と比較して、金型費が安価である反面、生産性が低いという問題はあるが、比較的簡単な金型で加工でき、山の数や高さを自由に造り込めるので、所望の形状、山数のベローズを成形できるという利点がある。
【0004】
一方、ベローズに加工される素管は、銅やSUS304などに代表されるFCC金属やオーステナイト系ステンレス鋼板を、1重または2重に重ねたものが一般的である。FCC金属やオーステナイト系ステンレス鋼板が用いられている理由は、ベローズに加工することが、他の金属材料では困難であるからである。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼板を素材とする素管は、ベローズへの加工は容易であるが、ベローズ内部を通過する気体や液体等が、高温である場合や腐食性が強い場合には、酸化や高温腐食あるいは応力腐食割れを起こしやすい。特に、自動車排気系に用いられているオーステナイト系ステンレス鋼製のベローズは、使用中の温度が500〜750℃程度にまで上昇するため、融雪のため道路に散布される塩類が付着した場合には、素材自身が鋭敏化して、高温塩害腐食を起こしやすいという問題がある。また、オーステナイト系ステンレス鋼は、加工性に優れるものの、Niを多量に含有しているため高価であるという問題もある。そのため、安価でかつ加工性に優れベローズ素管用の素材開発が望まれている。
【0005】
このような背景から、Niを含有しない、各種のベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼が発明されている。例えば、特許文献1には、C,Si,Mn,S,Cr,Al,Ti,N,O量を特定の範囲に規定することにより、35%以上の伸びと1.5以上のr値を達成したベローズ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が、特許文献2には、C,Cr,Al,N,Si,Mn,Ti,Nb,Mo,Cu,Ni量を特定の範囲に規定し、さらに、結晶粒径を最適な範囲に限定することにより、ベローズ加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。また、特許文献3には、C,Cr,Al,N,Si,Mn,Ti,Nb,Mo,Cu,Ni量を特定の範囲に規定することにより、ベローズ加工性と高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が、特許文献4には、C,Cr,N,Ti,Mo量を特定の範囲に規定するとともに、素材の表面粗さを最適な範囲に限定することによりベローズ加工性と高温塩害腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。
【特許文献1】特開平7−268560号公報
【特許文献2】特開平8−176750号公報
【特許文献3】特開平8−188854号公報
【特許文献4】特開平9−125208号公報
【非特許文献1】浮田,「ベローズおよびフレキシブル管の最近の製造技術」,塑性と加工,1991年7月,第32巻,第366号,p.818−824
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記フェライト系ステンレス鋼板を素材としたベローズ素管は、オーステナイト系ステンレス鋼板を素材としたものと比べると加工性はまだ不十分であり、厳しい形状のベローズには適用できていない。しかも、現状では、ベローズ素管の素材に用いられるフェライト系ステンレス鋼板の如何なる特性が、ベローズ素管の加工性に影響しているかさえ、十分に把握できていないのが実情である。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ベローズ素管の素材としてのフェライト系ステンレス鋼板に求められる特性を明らかにした上で、ベローズ加工性に優れるベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、加工性に優れるベローズ素管を開発すべく、その素材となるフェライト系ステンレス鋼板の緒特性とベローズ素管の加工性との関係について鋭意検討を重ねた。その結果、ベローズ加工における成形可能な最大山高さおよび成形可能な山高さの範囲(幅)は、素材の降伏応力YSならびに表面粗さRaと相関があること、一方、ベローズ加工における成形可能な最小山高さは、素材の降伏応力YSと相関があることを知見し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、Crを10〜25mass%含有し、降伏応力が300〜450MPa、表面粗さがRaで0.40μm以下であることを特徴とするベローズ素管用フェライト系ステンレス鋼板である。
【0010】
また、本発明の上記ステンレス鋼板は、板厚が0.5mm以下であり、外径が28〜80mmφの1重もしくは2重の自動車排気系ベローズの素管に用いるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフェライト系ステンレス鋼板を素材に用いたベローズ素管は、安価でかつ加工性に優れるので、自動車排気系に用いられるベローズの素管に用いて好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
発明者らは、先に説明した1山成形方式の液圧成形法において、ベローズ素管の素材に用いられるフェライト系ステンレス鋼板の如何なる特性が、加工性に影響しているかを検討した。
液圧成形において、素管からベローズを製造する場合の成形可能な最大山高さは、膨出した素管の管壁に割れが発生することで決まるのが普通である。そこで、素管の素材に要求される特性としては、均一伸び(一様伸び)が重要であると考えられる。何故ならば、成形時に一箇所でも不均一変形が起こると、局部的に液圧が上昇して割れの起点となるほか、例え割れに至らなくても、ベローズとしての耐久性能が著しく劣るものとなるからである。発明者らは、各種のフェライト系ステンレス鋼板について、液圧成形法でベローズ成形試験を行い、成形可能な最大山高さに影響を及ぼす要因を調査した。その結果、成形可能な最大山高さは、素管の素材となる鋼板の降伏応力YSならびに表面粗さRaとの間に強い相関関係があり、YSがある値以下かつRaがある値以下で成形可能な最大山高さが大きくなることがわかった。
【0013】
一方、液圧成形において、素管からベローズを製造する場合の成形可能な最小山高さは、同一成形条件で得られる山高さのバラツキによって決まる。それは、山高さが低く、歪が小さい加工領域では、割れが起こることはないが、山高さのバラツキが大きくなると、製品としての品質要求を満たさなくなるからである。そこで、この山高さのバラツキと、素管の素材となるフェライト系ステンレス鋼板の機械的特性との関係を調査した。その結果、この山高さのバラツキと素管の降伏応力YSとの間には相関があり、YSが所定値以上の場合に、山高さのバラツキが小さくなり、成形可能な最小山高さが小さくなることがわかった。
【0014】
成形可能な最大山高さが、素材の降伏応力YSがある値以下かつ表面粗さRaがある値以下で大きくなる理由について、発明者らは以下のように考えている。
ベローズの成形は、内部からの液圧による張り出し成形と軸押しによる座屈成形との複合成形であり、張り出し成形に対しては、材料の均一伸びUElが大きいことが、また、座屈成形に対しては、材料の降伏応力が小さいことが有利である。YSが高くなると、n値が小さくなり、加工歪の伝播が不均一となる結果、均一伸びが低下し、成形可能な最大山高さが低減する。また、表面粗さRaが小さくなると、鋼板表面の凹凸が小さくなり、加工時に割れの起点となる箇所が減少する結果、均一伸びが大きくなって、成形可能な最大山高さの増大がもたらされるものと考えられる。
【0015】
一方、成形可能な最小山高さが、素材の降伏応力YSが所定値以上で小さくなる理由は、通常、YSが低いことは、容易に塑性変形が起こることを意味するが、変形し易く、かつ、変形量が小さい場合には、成形の制御が難しくなり、却ってバラツキ発生の原因となる。特に、ベローズを液圧成形する場合は、先述のように、液圧による張り出しと成形と軸押しによる座屈成形という2種類の変形が組み合わされているということが、成形の制御をより難しくする要因になっている。そのため、バラツキを減少するためには、YSがある程度高い方が好ましいとためと考えられる。本発明は、上記知見に基き完成したものである。
【0016】
なお、素材の降伏応力YSと表面粗さRaは、異なる特性であるので、成形可能な最大山高さを大きくしたい場合には、YSを所定値以下、Raを所定値以下とし、一方、成形可能な最小山高さを小さくしたい場合には、YSを所定値以上とすればよい。また、成形可能な山高さの範囲(幅)を広くするには、最大山高さを大きくし、最小山高さを小さくすればよいが、YSおよびRaによる最大山高さの変化の方が、YSによる最小山高さの変化より大きいので、結局、YSおよびRaを小さく制御することが有効である。
【0017】
次に、本発明のフェライト系ステンレス鋼板について具体的に説明する。
降伏応力(YS):300〜450MPa
一般に、成形性は、素材の降伏応力YSが低いほど良好である。しかし、ベローズ素管の加工性に関しては、YSが低すぎると却って好ましくない。というのは、上述したように、YSが低いことは、変形し易いことを意味するが、ベローズを液圧成形する場合には、却ってバラツキ発生の原因となるからである。特に、降伏応力YSが300MPaを下回ると、バラツキが大きくなって、成形可能な最小外径も大きくなる傾向がある。一方、素材のYSが450MPaを超えて高くなり過ぎると、均一伸びが低下して成形可能な最大山高さの低下を招く他、ベローズの強度が高くなって柔軟性が損なわれる結果、ベローズとしての変位や振動を吸収する能力が低下する。よって、降伏応力YSは、300〜450MPaの範囲に制限する必要がある。
【0018】
表面粗さRa:0.40μm以下
ベローズ加工性を決定するもう一つの因子である成形可能な最大山高さ、すなわち、割れることなく成形することができる最大山高さは、素材鋼板の表面粗さRaに大きく依存し、表面粗さが小さいほど、成形可能な最大外径は大きくなる。特に、素材の表面粗さを算術平均粗さRaで0.40μm以下とした場合には、均一伸びが向上し、割れの発生が抑制されて、成形可能な最大山高さが顕著に大きくなる。また、成形可能な最大山高さと最小山高さの差、すなわち、成形可能な山高さの範囲(幅)も、表面粗さRaが小さいほど広がる傾向がある。よって、表面粗さは算術平均粗さRaで0.40μm以下とする必要がある。なお、成形可能な寸法範囲を広げたり、光沢など製品の意匠性を向上したりする観点からは、表面粗さRaは0.2μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明のフェライト系ステンレス鋼板が有する上記機械的特性は、以下の方法で製造されることが好ましい。後述する好ましい成分組成を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製して鋼スラブとし、これを公知の方法で熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍し、酸洗し、冷間圧延し、仕上焼鈍して製品とする。それぞれの条件は、特に限定されるものではないが、熱間圧延の条件は、スラブ加熱温度は1000〜1250℃、粗圧延は圧延温度が1000〜1150℃、圧下率が60%以上、仕上圧延は圧延温度が600〜900℃、圧下率が60%以上、巻取温度は400〜700℃とすることが好ましい。熱間圧延後は、800〜1050℃×20秒以上の連続焼鈍か、もしくは700〜850℃×4時間以上のバッチ焼鈍による熱延板焼鈍を施し、その後、酸洗して脱スケールすることが好ましい。次いで、1回当たりの圧下率が50%以上の1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延の後、800〜1050℃×10秒以上の連続焼鈍による仕上焼鈍を施し、さらに必要に応じて、圧下率が0.3%以上の調質圧延を施して、製品板、即ち、ベローズ素管用鋼板とするのが好ましい。
【0020】
この際、最終冷延の圧下率を高くした上で、仕上焼鈍温度を変更することにより、YSを調整することができる。すなわち、最終冷延の圧下率を高くし、仕上焼鈍温度を低くした場合には、結晶粒径が小さくなってYSは高くなる。逆に、最終冷延の圧下率を高くし、仕上焼鈍温度を高くした場合には、結晶粒径が大きくなってYSは低くなる。ここで、最終冷延の圧下率を高くする理由は、圧下率が低いと、仕上焼鈍温度を下げた場合に、未再結晶組織となりやすく、YSが極端に上昇して伸びの低下も著しくなり、ベローズ用としてのみならず、成型加工用途には不適切な材質となるからである。
【0021】
また、鋼板の表面粗度は、調質圧延のワークロール粗度を制御する、あるいは、調質圧延を省く場合には、最終冷延のワークロール粗度を制御することにより調整することができる。なお、調質圧延は、表面粗度の調整のみならず、圧下率を変化させることにより、YSをも調整することもできるので、前記の冷延圧下率、仕上焼鈍温度と組み合わせて、YSと表面粗度を調整することが好ましい。ただし、YSや伸びなどの機械的特性は、成分組成はもとより、熱間圧延や、その後の熱延板焼鈍、冷間圧延等を経て最終製品にいたる各製造工程の条件によっても影響されることは言うまでもなく、工業的に量産するに際しては、最適な条件となるよう各製造ラインの条件を制御するのが好ましい。
【0022】
なお、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、板厚が0.5mm以下のものであることが好ましい。前述したように、ベローズは、平行波形の蛇腹状に成形されており、熱膨張や振動等による変位を吸収する機能を有するものである。変位は、曲げとしてベローズに負荷されるが、このとき、板厚が大きいとベローズに生ずる歪は大きくなる。そして、上記歪がベローズの弾性限界を超えた場合には、塑性歪となり、ベローズ管を疲労破壊させる原因となる。したがって、疲労破壊を防止する観点からは、板厚は薄いほど好ましいが、本発明では、素材となるステンレス鋼板やステンレス鋼管の製造性や製造コストを考慮し、実質的に問題を生じない範囲として、板厚を0.5mm以下とすることが好ましい。
【0023】
次に、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼板の成分組成について説明する。
Cr:10〜25mass%
Crは、耐食性を付与するために添加する必須の元素である。Cr含有量が10mass%未満では、ステンレス鋼としての耐食性を確保することができない。一方、Cr含有量が25mass%を超えて添加すると、脆性が劣化して製造性が低下することがある。なお、Crは高価な元素であり、原料コストを低減する観点から、Cr含有量は10〜18mass%の範囲とすることがより好ましい。
【0024】
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、Cr以外に、要求特性に応じて、下記の元素を添加し、耐食性や機械的特性、化学的特性の改善を図ることができる。
C:0.05mass%以下、N:0.05%mass%以下
CおよびNは、Crと化合物を形成して耐食性を劣化させる他、加工性にも悪影響を及ぼすため、少ないほどよい。よって、Cは0.05mass%以下、Nは0.05%mass%以下に制限することが好ましい。
【0025】
Si:0.2〜1mass%
Siは、耐酸化性や耐高温塩害特性の向上に有効な元素であり、また、鋼を硬質化し、延性を低下させる元素でもある。上記、耐酸化性や耐高温塩害特性の向上効果を得るためには、0.2mass%以上の添加することが好ましい。しかし、1mass%を超えて添加すると、硬質となり過ぎ、ベローズ加工性に悪影響を及ぼすようになるため、上限は1mass%とするのが好ましい。
【0026】
Mn:0.5mass%以下
Mnは、脱酸・脱硫および熱間加工性改善のために添加される元素である。しかし、Mn硫化物は、耐食性を劣化させるため、含有量は低い方が好ましい。そこで、製造コストと生産性を考慮して、Mnは0.5mass%以下とすることが好ましい。
【0027】
P:0.04mass%以下
Pは、粒界に偏析して靭性を低下させるため、低減することが好ましい。しかし、過度の脱Pは、製造コストの上昇を招くので、Pは0.04mass%以下が好ましい。
【0028】
S:0.01mass%以下
Sは、耐食性や耐酸化性に悪影響を及ぼす元素であり、特に、0.01mass%を超えると、その影響が顕著となるので、上限は0.01mass%とすることが好ましい。なお、Sは、低くてもベローズ特性に悪影響はなく、低いほど好ましい。
【0029】
Ni:1.0mass%以下
Niは、耐食性を向上させる元素である。しかし、1.0mass%を超えて添加すると、その効果が飽和するだけでなく、コスト上昇を招くだけであるので、Niは1.0%以下の範囲で添加することが好ましい。
【0030】
Ti:0.5mass%未満、Nb:1.0mass%未満
TiおよびNbは、C,Nと反応して析出物を形成し、結晶粒を微細化して、均一伸びを向上する効果があるので、必要に応じて添加する元素である。しかし、過度に添加すると、析出物の増加による表面性状の劣化や、金属間化合物の生成による強度上昇とそれによる加工性の劣化を招く。よって、TiおよびNbの添加量は、それぞれTi:0.5mass%未満、Nb:1.0mass%未満とするのが好ましい。
【0031】
2Ti+Nb≧16(C+N)
また、TiおよびNbは、C,Nを析出物として固定し、冷延後焼鈍における再結晶粒の方位を改善し、r値を向上させる効果がある。その効果を発揮させるためには、2Ti+Nb≧16(C+N)を満たして添加することが好ましい。
【0032】
Mo:4.0mass%以下、Cu:4.0mass%以下
MoおよびCuは、ともに耐食性を向上する効果がある。しかし、過剰に添加すると、脆化を起こして熱間圧延工程で表面傷を生じ、製品の表面品質を劣化させる。よって、これらの元素を添加する場合は、それぞれMo:4.0mass%以下、Cu:4.0mass%以下に制限することが好ましい。
【0033】
W:5.0mass%未満
Wは、鋼の強度を上昇させ、ベローズ管に要求される常温および高温での疲労耐久性の向上に有効な元素である。しかし、過度に添加すると、延性の低下をもたらし、成形性に悪影響を及ぼすようになるので、5.0mass%を超えない範囲で添加するのが好ましい。
【0034】
本発明のフェライト系ステンレス鋼板を素材とするベローズ素管は、外径が28〜80mmφの1重もしくは2重のものであることが好ましい。ベローズが、弾性限界の範囲で吸収できる変位量は、主に、その山高さによってきまるが、同じ山高さでも、素管外径が細いほど山部の拡管率が大きくなり、成形は困難となる。つまり、成形可能な最大山高さは小さくなる。そのため、素管外径が細い場合には、吸収できる変位量も限られてしまう。よって、自動車排気系ベローズ用途において、所定の変位量を吸収できるようにするためには、素管外径は28mmφ以上とすることが好ましい。また、素管外径が大きく、薄肉の場合には、ベローズ自身の剛性不足のため、潰れや座屈を生じやすく、実質的に使用が困難となるため、素管外径は80mmφ以下とすることが好ましい。
【0035】
なお、設計する上で、ベローズ管の剛性が必要な場合には、肉厚を大きくすることが考えられるが、上述したように、肉厚の増大は疲労破壊の要因となるため好ましくない。これを避けるためには、薄肉のものを重ねて多重管とすることで、剛性や強度を確保することができる。具体的には、2重管とすることが好ましく、3重管以上にすると製造性や製造コストの点で好ましくない。また、肉厚が同じであれば、2重管にした方が、剛性が低下し、柔軟性が増すため、疲労強度も向上するという効果もある。さらに、使用環境によっては、ベローズの内面と外面とで要求特性が異なる場合があり、その場合には、それぞれの要求に合わせた素材を用いた2重管とすることが好ましい。
【実施例1】
【0036】
表1に示した各種の成分組成を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製して鋼スラブとし、この鋼スラブを常法に従い熱間圧延し、熱延板焼鈍し、酸洗して、冷間圧延し、その後、仕上焼鈍して板厚0.3mmの冷延焼鈍板とした。この時、冷間圧延時のワークロール粗度を変化させることにより、鋼板の表面粗さRaを変化させた。また、その他の製造条件は、先述した好ましい範囲とした。この冷延焼鈍板から供試材を採取し、表面粗さの測定と引張試験に供した。
表面粗さは、JIS B0651に準拠した触針式表面粗さ測定器を用いて、JIS B0601に準拠し、圧延方向に直角な方向の算術平均粗さRaを測定した。
また、引張試験は、圧延方向に直角な方向から、JIS13号B試験片を採取し、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、降伏応力YSおよび均一伸び(UEl)を求めた。さらに、上記冷延焼鈍板を素材として、外径50mmφの二重管(肉厚0.6mm)を製造し、これをベローズ素管として下記の成形試験に供した。
<ベローズ成形試験>
1山成形方式の液圧成形法により、ベローズ管の谷部外径を一定(50mmφ)とし、山部外径の目標値を20水準に変化させて、同一条件での連続10山成形し、その10山の各頂点の外径を測定して、φ(1)、φ(2)、φ(3)・・・φ(10)を得、それらのうちの最小値をφmin、最大値をφmax、それらの平均値をφavとした。そして、下記式;
0.98φav≦φmin≦φav≦φmax≦1.02φav
を満たすものを合格品とした。そして、その合格品のφavのうち、最小のものを成形可能最小外径ΦMIN、最大のものでかつ液圧成形時の割れが発生しなかったものを成形可能最大外径ΦMAXと定義した。なお、上記式は、山部外径のバラツキが小さい、すなわち成形安定性を示すものであり、特に、成形が不安定となりやすい成形可能最小外径ΦINを評価するのに有効である。一方、成形可能最大外径ΦMAXは、通常、成形時の割れ発生により決まる値であり、山高さのバラツキの影響は小さい。
【0037】
【表1】


【0038】
上記引張試験およびベローズ成形試験の結果を表2に示した。また、表2の結果を元に、降伏応力YSと成形可能最小外径ΦMINとの関係を図2に、降伏応力YSと成形可能最大外径ΦMAXとの関係を図3に、表面粗さRaと成形可能最大外径ΦMAXとの関係を図4に、表面粗さRaと成形可能山高さの幅の2倍(ΦMAX−ΦMIN)との関係を図5に示した。これらの結果から、YSが300〜450MPaでかつ表面粗さが算術平均粗さRaで0.40μm以下の範囲で、成形可能最小外径ΦMINが小さく、成形可能最大外径ΦMAXおよび成形可能山高さの幅が大きくなることがわかる。
【0039】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明フェライト系ステンレス鋼板は、熱交換器や燃料電池の分野をはじめとした高温特性が要求される用途、分野にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】1山成形方式の液圧成形方法を説明する模式図である。
【図2】降伏応力YSと成形可能最小山径ΦMINとの関係を示すグラフである。
【図3】降伏応力YSと成形可能最大外径ΦMAXとの関係を示すグラフである。
【図4】表面粗さRaと成形可能最大外径ΦMAXとの関係を示すグラフである。
【図5】表面粗さRaと成形可能山高さの幅の2倍(ΦMAX−ΦMIN)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0042】
1:ベローズ素管
2:ロッド
3:クランプ金型
4:成形金型
5:シールパッキン
6:成形山




 

 


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