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発明の名称 溶銑割り付け装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9243(P2007−9243A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188709(P2005−188709)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
発明者 藤井 聡 / 吉原 孝次
要約 課題
製鉄所の高炉〜転炉間における溶銑運搬車両の溶銑を転炉チャージに割り付けるに際し、連続鋳造工程を考慮して製銑工程から製鋼工程までを円滑に繋げることのできる溶銑割り付け装置を提供する。

解決手段
鋳造セットを作成し、該鋳造セットの鋳造順序を含む鋳造計画を作成する鋳造計画作成手段3と、溶銑データを記憶する溶銑データ記憶手段6と、製鋼データを記憶する製鋼データ記憶手段7と、溶銑運搬車両51から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更する払い出し溶銑変更手段4と、溶銑の重量及び成分濃度を評価する溶銑評価手段5とを備えたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
転炉における処理単位である転炉チャージが複数組み合わされた鋳造セットを作成し、該鋳造セットの鋳造順序を含む鋳造計画を作成する鋳造計画作成手段と、
高炉で製造された溶銑を運搬する溶銑運搬車両と、該溶銑運搬車両に積載された溶銑の重量及び成分濃度についての溶銑データを記憶する溶銑データ記憶手段と、
前記鋳造計画に基づいて決定された個々の転炉チャージで要求される溶銑の重量及び成分濃度と、既に溶銑運搬車両によって転炉チャージに払い出されている溶銑の重量及び成分濃度についての製鋼データを記憶する製鋼データ記憶手段と、
前記溶銑データ及び前記製鋼データに基づいて、溶銑の重量及び成分濃度についての所定の制約条件の下で、前記溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更する払い出し溶銑変更手段と、
前記溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出される溶銑の重量及び成分濃度を評価する溶銑評価手段と
を備えたことを特徴とする溶銑割り付け装置。
【請求項2】
前記鋳造計画作成手段は、前記鋳造セットで要求される溶銑の平均成分濃度を計算し、該平均成分濃度が平準化される鋳造順序で前記鋳造計画を作成することを特徴とする請求項1記載の溶銑割り付け装置。
【請求項3】
前記鋳造計画作成手段は、一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、前記一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造する鋳造計画を作成することにより前記平準化を行うことを特徴とする請求項2記載の溶銑割り付け装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑割り付け装置及び溶銑割り付け方法に関し、特に製鉄所の高炉〜転炉間における溶銑運搬車両の溶銑を、転炉における処理単位である転炉チャージに割り付ける溶銑割り付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所における高炉〜転炉間における溶銑割り付けは、あらかじめ設定されている各転炉チャージへの溶銑払い出し量及び転炉チャージの溶銑に含まれる成分の各転炉チャージにおける要求値と、溶銑運搬車両が高炉から受けた溶銑量を基に、熟練オペレータが経験に基づいて決定している。
またオペレータは、溶銑が積載された複数の溶銑運搬車両から複数の転炉チャージへの溶銑払い出し量と、溶銑運搬車両に積載された溶銑中の燐や硫黄等の成分調整をする溶銑予備処理工程の成分濃度の目標値等を決定する。
ここで転炉チャージとは、転炉における吹錬を行うときの処理単位であり、製鋼工場における取鍋1杯分に相当するものである。
近年、熟練オペレータの考え方に基づいて溶銑の成分濃度の目標値決定をルール化し、計算機によって溶銑の割り付けを行うことも行われるようになっている。
【0003】
このような従来の溶銑物流制御装置では、トピードカーと呼ばれる溶銑運搬車両と転炉チャージを仮割り当てして、溶銑に含まれる成分の濃度と溶銑予備処理工程におけるコストを算出し、溶銑運搬車両と転炉チャージの割り当てを繰り返し変更して、溶銑予備処理工程におけるコストが低くなる溶銑の割り付けを行うようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−83963号公報(図4、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の製銑工程(高炉等における溶銑の製造工程)と製鋼工程(転炉以降の鋳造工程等)の操業計画は生産管理が別々に行われており、オペレータはある程度製銑〜製鋼間の関係を考慮して、製鋼工程の吹錬計画から製銑工程の計画を逆算して溶銑の割り付けを行っていたが、精度が高いものではなかった。このため、製銑工程で予備処理された溶銑が、必ずしも製鋼工程で要求されるものではないことがあるという問題点があった。
また、操業状態や溶銑運搬車両の積載内容の状態に依存して、製鋼工程で要求されるものではない溶銑が供給されてしまうこともあった。
【0005】
これらの場合、あらかじめ設定されている各転炉チャージへの溶銑払い出し量及び転炉チャージ内の溶銑に含まれる成分が、各転炉チャージの要求値を満足させることのできない溶銑となってしまうため、製鋼工程において溶銑の成分調整が必要となり、成分調整に要する脱硫剤や脱燐剤のコストが高くなってしまうという問題点があった。
また、製鋼工程で要求される量及び成分の溶銑が供給されない場合には、吹錬操業計画の見直しが必要となったり、連続鋳造に切れが発生し、それによって製品品質の低下を招くという問題点があった。
【0006】
さらに従来の溶銑物流制御装置では(例えば、特許文献1参照)、溶銑運搬車両と転炉チャージの割り当てを考慮して溶銑予備処理工程におけるコストを削減するようにしているものの、転炉チャージをどのように組み合わせて連続鋳造を行うかということについては考慮されておらず、製銑工程から製鋼工程の計画が円滑に繋がらない場合があるという問題点があった。
【0007】
本発明は、製鉄所の高炉〜転炉間における溶銑運搬車両の溶銑を転炉チャージに割り付けるに際し、連続鋳造工程を考慮して製銑工程から製鋼工程までを円滑に繋げることのできる溶銑割り付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る溶銑割り付け装置は、転炉における処理単位である転炉チャージが複数組み合わされた鋳造セットを作成し、該鋳造セットの鋳造順序を含む鋳造計画を作成する鋳造計画作成手段と、高炉で製造された溶銑を運搬する溶銑運搬車両と、該溶銑運搬車両に積載された溶銑の重量及び成分濃度についての溶銑データを記憶する溶銑データ記憶手段と、鋳造計画に基づいて決定された個々の転炉チャージで要求される溶銑の重量及び成分濃度と、既に溶銑運搬車両によって転炉チャージに払い出されている溶銑の重量及び成分濃度についての製鋼データを記憶する製鋼データ記憶手段と、溶銑データ及び製鋼データに基づいて、溶銑の重量及び成分濃度についての所定の制約条件の下で、溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更する払い出し溶銑変更手段と、溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出される溶銑の重量及び成分濃度を評価する溶銑評価手段とを備えたものである。
【0009】
また本発明に係る溶銑割り付け装置は、上記の鋳造計画作成手段が、鋳造セットで要求される溶銑の平均成分濃度を計算し、該平均成分濃度が平準化される鋳造順序で鋳造計画を作成するものである。
【0010】
また本発明に係る溶銑割り付け装置は、上記の鋳造計画作成手段が、一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造する鋳造計画を作成することにより平準化を行うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る溶銑割り付け装置では、転炉チャージを複数組み合わせて鋳造セットを作成し、この鋳造セットの鋳造順序を含む鋳造計画を作成する。そしてこの鋳造計画に基づいて溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更するため、製銑工程から製鋼工程を円滑に繋ぐことが可能となる。
また例えば、一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造して、燐等の成分濃度を平準化する鋳造計画を作成することにより、製鋼工程で要求される量及び成分濃度の溶銑を供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施形態1.
図4は、製鉄所における製銑工程及び製鋼工程の流れを示す模式図である。なお図4では、溶銑を製造する高炉50が3基、吹錬、鋳造等を行う製鋼工場53が2つある製鉄所を示している。また本実施形態1では、溶銑運搬車両51及び取鍋54が複数あるものとする。
(1)高炉50で製造された溶銑は、トピードと呼ばれる溶銑運搬車両51によって受銑される。
(2)溶銑を積載した溶銑運搬車両51は、牽引車(図示せず)によって牽引され溶銑予備処理施設52に運ばれる。
【0013】
(3)溶銑予備処理施設52において、溶銑運搬車両51に積載された溶銑に脱燐剤、脱硫剤等を添加することにより、溶銑中の燐濃度、硫黄濃度等を所定値以下に低下させる。なおここで溶銑中の燐濃度、硫黄濃度等は、転炉チャージで要求される成分濃度以下となるようにほぼ調整される。
(4)溶銑予備処理施設52で成分調整が行われた溶銑は、溶銑運搬車両51によって製鋼工場53に運ばれる。但し、溶銑予備処理施設52で処理が行われない溶銑が製鋼工場53に運ばれる場合もある。
【0014】
(5)溶銑運搬車両51によって製鋼工場53に運搬された溶銑は取鍋54に払い出される。この取鍋54の1杯分の溶銑が、1つの転炉チャージとなる。なお1台の溶銑運搬車両51が積載している溶銑量と取鍋54の容量は違うため、1台の溶銑運搬車両51から複数の取鍋54に溶銑を払い出すことも可能である。また、1つの取鍋54が複数の溶銑運搬車両51から溶銑を受けることも可能である。
(6)取鍋54に払い出された溶銑はクレーンで転炉55に運ばれ、転炉55において吹錬等が行われる。
(7)転炉55において吹錬等の処理が行われた溶銑は、連続鋳造設備(図示せず)に運ばれて連続鋳造される。この際、上記の転炉チャージが複数組み合わされて連続鋳造されることとなる。以下、この連続鋳造を行う溶銑の単位を鋳造セットと呼ぶこととする。
【0015】
図1は、本発明の実施形態1に係る溶銑割り付け装置の構成例を示す図である。なお、本発明に係る溶銑割り付け装置の構成は、図1に示すものに限定されるものではない。
生産管理サーバ1は、LAN等を介して操作端末2、高炉50の端末、製鋼工場53の端末と接続されており、これらは互いにデータのやりとりが出来るようになっている。また生産管理サーバ1は、鋳造計画作成手段3、払い出し溶銑変更手段4、溶銑評価手段5、溶銑データ記憶手段6、製鋼データ記憶手段7を備えている。さらに生産管理サーバ1は、データ通信手段(図示せず)、端末インターフェイス手段(図示せず)等を備えているものとする。
【0016】
鋳造計画作成手段3、払い出し溶銑変更手段4及び溶銑評価手段5は、CPU等の演算手段1aから構成され、溶銑データ記憶手段6及び製鋼データ記憶手段7は、HDD等の記憶手段から構成されている。
鋳造計画作成手段3は、転炉における処理単位である転炉チャージを複数組み合わせて鋳造セットを作成し、この鋳造セットの鋳造順序を決定して製鋼工場53における鋳造計画を作成する。なお製鋼工場53における鋳造計画は、例えば計画対象となる日の前日等にあらかじめ作成されるものとする。
【0017】
溶銑データ記憶手段6は、高炉50で製造された溶銑を運搬する溶銑運搬車両51のデータ、溶銑運搬車両に積載された溶銑の重量及び成分濃度についてのデータを記憶している。以下、これらの溶銑に関するデータを溶銑データと呼ぶものとする。なお溶銑データ記憶手段6に記憶されている溶銑運搬車両51に積載された溶銑の重量及び成分濃度についてのデータは、計画対象となる日に溶銑予備処理施設52で予備処理が行われた後に計測された溶銑の重量及び成分濃度であるものとする。また本実施形態1では、溶銑中の燐の成分濃度のみを扱うものとして説明する。
【0018】
製鋼データ記憶手段7は、鋳造計画に基づいて決定された個々の転炉チャージで要求される溶銑の重量及び成分濃度のデータと、既に溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑の重量及び成分濃度についてのデータを記憶している。以下、これらの製鋼に関するデータを製鋼データと呼ぶものとする。なおこの製鋼データは、計画対象となる日のものであるとする。また溶銑データ記憶手段6及び製鋼データ記憶手段7は、データベースとしてもよい。
【0019】
払い出し溶銑変更手段4は、溶銑データ及び製鋼データに基づいて、溶銑の重量及び成分濃度についての所定の制約条件(後述)の下で、溶銑運搬車両51から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更するものである。
また溶銑評価手段5は、溶銑運搬車両51から個々の転炉チャージへ払い出される溶銑の重量及び成分濃度を評価し、溶銑の払い出し計画を作成するものである。
【0020】
図2は、本発明の実施形態1に係る溶銑割り付け装置で溶銑の割り付けを行う際の手順を示したフローチャートである。以下、図2に基づいて本実施形態1に係る溶銑割り付け装置で溶銑の割り付けを行う際の流れについて説明する。
まず鋳造計画作成手段3は、製鋼工場53の端末から顧客からの受注データ、鋳造に必要な材料等に関する鋳造財源データを読み込む(STEP1)。なおこの受注データ、鋳造財源データは、計画対象となる日のものであるとする。
そして鋳造計画作成手段3は、STEP1で読み込んだ受注データ、鋳造財源データに基づいて1日分の鋳造セットを複数作成する(STEP2)。なお1つの鋳造セットは、転炉における処理単位である転炉チャージが複数組み合わされたものであり、複数の転炉チャージが1度に連続鋳造されることとなる。
【0021】
それから鋳造計画作成手段3は、各鋳造セットで要求される溶銑の平均成分濃度を計算する(STEP3)。なお上記のように本実施形態1では、溶銑中の燐の濃度についてのみを扱うものとする。また連続鋳造工程においては、転炉55からの溶銑が順番に鋳造されるため、必ずしも溶銑中の燐の濃度が一定とはならないが、STEP3において計算された平均成分濃度で燐の濃度を代表させるものとする。
【0022】
次に鋳造計画作成手段3は、STEP3で計算された鋳造セットの平均成分濃度が平準化される鋳造順序で鋳造計画を作成する(STEP4)。
なお、鋳造セットの平均成分濃度の平準化とは、例えば一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑のみを続けて鋳造するのではなく、なるべく一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑と、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を交互に鋳造するようにすることである。本実施形態1では、一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造する鋳造計画を作成するものとする。但し鋳造順序に何らかの制約がある場合には、その制約に従って鋳造順序を入れ替えるものとする。
なお上記のように、STEP1からSTEP4の鋳造計画の作成は、例えば計画対象となる日の前日等にあらかじめ行われるものとする。
【0023】
それから演算手段1aは、溶銑データ記憶手段6に記憶された溶銑データを読み込む(STEP5)。なお溶銑データとは、上記のように高炉50で製造された溶銑を運搬する溶銑運搬車両51のデータ、溶銑運搬車両に積載された溶銑の重量及び成分濃度についてのデータである。
また演算手段1aは、製鋼データ記憶手段7に記憶された製鋼データを読み込む(STEP6)。なお製鋼データとは、上記のように鋳造計画に基づいて決定された個々の転炉チャージで要求される溶銑の重量及び成分濃度のデータと、既に溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑の重量及び成分濃度についてのデータである。なお、既に溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑には、まだ実際に転炉チャージに払い出されていないが、既に溶銑運搬車両51によって製鋼工場53に運搬されている溶銑を含むものとする。
【0024】
そして演算手段1aは、既に転炉チャージに払い出されている溶銑の重量及び成分濃度、個々の転炉チャージで要求される溶銑の重量及び成分濃度と、図3の優先順の関係から溶銑運搬車両51の溶銑を各転炉チャージに引き当てる(STEP7)。
【0025】
図3は、STEP7において溶銑運搬車両51の溶銑を各転炉チャージに引き当てる際の優先順の関係を示した図である。
図3において、LDc(i)は既に溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑の成分濃度であり、TPc(j)は溶銑運搬車両51に積載されている溶銑の成分濃度である。なおLDc1、LDc2、TPc1、TPc2は所定の定数であり、LDc1<LDc2及びTPc1<TPc2の関係を満たすものとする。またi、jはそれぞれ、転炉チャージの番号、溶銑運搬車両51から払い出される溶銑の番号を示すものとする。
【0026】
図3に示すようにLDc(i)<LDc1の場合には、TPc(j)<TPc1を満たす溶銑運搬車両51に積載された溶銑をi番目の転炉チャージに優先的に引き当てる。なお優先順は、1が最も高く、3が最も低いものとする。
このように、既に溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑の成分濃度が低い場合には成分濃度の低い溶銑を優先的に引き当て、溶銑運搬車両51によって転炉チャージに払い出されている溶銑の成分濃度が高い場合には成分濃度の高い溶銑を優先的に引き当てる。
【0027】
次に溶銑評価手段5は、溶銑運搬車両51から個々の転炉チャージへ払い出される溶銑の重量及び成分濃度を評価し、払い出し溶銑変更手段4は溶銑データ及び製鋼データに基づいて、溶銑の重量及び成分濃度について所定の制約条件の下で、溶銑運搬車両51から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更する(STEP8)。
【0028】
具体的には、まず溶銑評価手段5及び払い出し溶銑変更手段4は、以下の式(1)を満足させるようにする。

|LDrw(i)−(LDw(i)+TPw(j))|≦ε1 …(1)

式(1)において、LDrw(i)はi番目の転炉チャージで要求される溶銑の重量、LDw(i)は既に溶銑運搬車両51によってi番目の転炉チャージに払い出されている溶銑の重量、TPw(j)は溶銑運搬車両51からj番目に払い出される溶銑の重量であるとする。またε1は、誤差を示す定数であるとする。
【0029】
それから、溶銑評価手段5は以下の式(2)から個々の転炉チャージの溶銑の成分濃度を評価する。

LDc(i)=(LDw(i)×LDc(i)+TPw(j)×TPc(j))/(LDw(i)+TPw(j)) …(2)

次に溶銑評価手段5は、式(2)で算出したLDc(i)が以下の式(3)を満足するかを評価する。

|LDc(i)−LDrc(i)|≦ε2 …(3)

なおLDrc(i)はi番目の転炉チャージで要求される溶銑の成分濃度、ε2は誤差を示す定数であるとする。
【0030】
払い出し溶銑変更手段4は、上記の式(3)が満たされない場合には、払い出す溶銑を以下の式(4)を満たす溶銑に変更し、式(1)から式(3)の処理を繰り返す。

TPc(j)<LDrc(i) …(4)

そして式(3)を満たしていれば、以下のステップへと進む。
【0031】
STEP8で払い出す溶銑が仮決定された後に、溶銑評価手段5は以下の式(5)が満足されるかどうかを評価し、式(5)を満足する場合には払い出す溶銑をその溶銑に決定して転炉チャージを作成する(STEP9)。なお式(5)は、個々の転炉チャージの重量が要求される重量を満足しているかを評価するものである。

|LDrw(i)−(LDw(i)+TPw(j))|≦ε3 …(5)

なおε3は、誤差を示す定数であるとする。
溶銑評価手段5は、上記の式(5)が満たされていない場合にはSTEP5に戻り、STEP5からSTEP9の処理を繰り返す。
【0032】
STEP9で転炉チャージが作成された後、演算手段1aはまだ転炉チャージに割り付けられていない溶銑があるかを判断し(STEP10)、まだ転炉チャージに割り付けられていない溶銑がある場合には、STEP5からSTEP10の処理を繰り返して(i+1)番目の転炉チャージの作成を行う。
ここで、すべての溶銑が転炉チャージに割り付けられている場合には、処理を終了する(STEP11)。
【0033】
本実施形態1では、転炉チャージを複数組み合わせて鋳造セットを作成し、この鋳造セットの鋳造順序を含む鋳造計画を作成する。そしてこの鋳造計画に基づいて溶銑運搬車両から個々の転炉チャージへ払い出す溶銑を変更するため、製銑工程から製鋼工程を円滑に繋ぐことが可能となる。
また、一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造して、燐等の成分濃度を平準化する鋳造計画を作成することにより、製鋼工程で要求される量及び成分濃度の溶銑を供給することが可能となる。さらに製鋼工程において成分濃度を平準化することにより、連続鋳造設備において成分濃度が偏ることがなく、効率的な連続鋳造設備の運転が可能となる。
【0034】
本発明に係る溶銑割り付け装置及び溶銑割り付け方法は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において変更することができる。例えば、鋳造計画は、必ずしも一定の成分濃度よりも成分濃度が高い溶銑を要求する鋳造セットと、一定の成分濃度よりも成分濃度が低い溶銑を要求する鋳造セットを交互に鋳造するものを作成する必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態1に係る溶銑割り付け装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施形態1に係る溶銑割り付け装置で溶銑の割り付けを行う際の手順を示したフローチャート。
【図3】図2のSTEP7において溶銑運搬車両の溶銑を各転炉チャージに引き当てる際の優先順の関係を示した図。
【図4】製鉄所における製銑工程及び製鋼工程の流れを示す模式図。
【符号の説明】
【0036】
1 生産管理サーバ、1a 演算手段、2 操作端末、3 鋳造計画作成手段、4 払い出し溶銑変更手段、5 溶銑評価手段、6 溶銑データ記憶手段、7 製鋼データ記憶手段、50 高炉、51 溶銑運搬車両、52 溶銑予備処理施設、53 製鋼工場、54 取鍋、55 転炉。




 

 


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