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発明の名称 低燐溶銑の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−9237(P2007−9237A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188084(P2005−188084)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 椎野 純一 / 赤星 義明 / 田野 学 / 須田 守
要約 課題
溶銑を脱燐処理して低燐溶銑を製造するに当たり、多量の蛍石を使用することなく、少ない石灰系脱燐用フラックスで効率良く脱燐処理する。

解決手段
溶銑16を保持した容器2内に酸素源18と石灰系の脱燐用フラックス17とを添加して、溶銑に脱燐処理を施すことにより低燐溶銑を製造する方法において、上吹きランス4を通じて酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックス17とを溶銑浴面に吹き付けるとともに、搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んだ固体酸素源18を、前記酸素ガスの吹き付けによって生じる火点Rの近傍へ供給する。その際に、上吹きランスから供給される石灰系脱燐用フラックスのうちの少なくとも一部を火点に吹き付けること、また、固体酸素源の吹き込み速度を0.03〜1kg/分・溶銑tonとすることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
溶銑を保持した容器内に酸素源と石灰系の脱燐用フラックスとを添加して、溶銑に脱燐処理を施すことにより低燐溶銑を製造する方法において、上吹きランスを通じて酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックスとを溶銑浴面に吹き付けるとともに、搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んだ固体酸素源を、前記酸素ガスの吹き付けによって生じる火点近傍へ供給することを特徴とする、低燐溶銑の製造方法。
【請求項2】
上吹きランスから供給される石灰系脱燐用フラックスのうちの少なくとも一部は、酸素ガスの吹き付けによって生じる火点に吹き付けられることを特徴とする、請求項1に記載の低燐溶銑の製造方法。
【請求項3】
搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込む固体酸素源の吹き込み速度を0.03〜1kg/分・溶銑tonとすることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の低燐溶銑の製造方法。
【請求項4】
脱燐処理で添加される固体酸素源のうちの10質量%以上を溶銑中に吹き込んで添加することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1つに記載の低燐溶銑の製造方法。
【請求項5】
珪素の含有量が0.40質量%以下の溶銑に対して脱燐処理を行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項4の何れか1つに記載の低燐溶銑の製造方法。
【請求項6】
溶銑を保持する容器として鍋型またはトーピードカー型の容器を用い、上吹きランスを通して酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックスとを溶銑浴面に吹き付けるとともに、インジェクションランスまたは吹込み羽口を通じて搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込むことを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1つに記載の低燐溶銑の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶銑予備処理として行われる脱燐処理によって低燐溶銑を効率的に製造するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高炉−転炉法に代わって、溶銑の段階で、脱燐処理及び脱硫処理を行う溶銑予備処理を加えた処理方法が広く用いられるようになった。当初、これらの予備処理は、鋼材の品質面上から低硫化や低燐化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して脱硫処理及び脱燐処理が施されるようになってきた。
【0003】
このうち、脱燐処理は、溶銑を攪拌しながら、酸素ガスなどの気体酸素源または鉄鉱石などの固体酸素源を脱燐剤として供給するとともに生石灰などの脱燐用フラックスを添加し、溶銑中の燐をこれらの酸素源で酸化し、生成する燐酸化物を生石灰などの脱燐用フラックスに吸収して固定させ、溶銑から燐を除去するという方法で行われている。この場合に、脱燐用フラックスが滓化しないと燐酸化物を吸収しないので、脱燐用フラックスの滓化促進のために、蛍石(CaF2 )を添加することが広く行われている。処理容器としては、トーピードカー、溶銑鍋、転炉型精錬炉などが用いられている。
【0004】
この脱燐反応を促進させるために、従来、種々の手段が提案されている。例えば、特許文献1には、トーピードカーに収容された溶銑中に固体酸素源と生石灰とを、空気或いは不活性ガスを搬送用ガスとして吹き込むとともに、溶銑中に酸素ガスを吹き込んで行う脱燐処理方法が開示されている。特許文献2には、溶銑中に固体酸素源と生石灰と蛍石とを酸素ガスを搬送用ガスとして吹き込みながら、上方から酸素ガスまたは固体酸素源を連続的に供給して行う脱燐処理方法が開示されている。また、特許文献3には、転炉型精錬炉に収容された溶銑に攪拌用ガスを吹き込んで攪拌しながら、上吹きランスから酸素ガスとともに酸化カルシウム粉を溶銑に吹き付けて行う脱燐処理方法が開示されている。
【特許文献1】特開平6−279825号公報
【特許文献2】特開平6−287616号公報
【特許文献3】特開平8−311523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶銑の脱燐反応は、供給した酸素源と溶銑中の燐とが反応して燐酸化物を形成し、この燐酸化物を生石灰などの脱燐用フラックスが吸収・固定することで推進する。従って、脱燐反応を促進させるためには、生成した燐酸化物が直ちに脱燐用フラックスに吸収されるような条件にする必要がある。また、燐酸化物の生成速度は、溶銑中の燐濃度に依存することから、反応済みの燐濃度の低い溶銑は供給される酸素源の近傍からできるだけ早く離れ、燐濃度の高い溶銑に更新されなければならない。このようにすることで、少ない脱燐用フラックスで効率良く脱燐することが可能となる。つまり、生石灰などの脱燐用フラックスの添加位置は酸素源の添加位置の周辺にする必要があり、単に溶銑に吹き込み添加しても脱燐効率は上昇しない。また、攪拌用ガスを吹き込んで溶銑を攪拌する場合、攪拌の激しい位置と激しくない位置が発生するが、脱燐反応の効率を高めるためには攪拌の激しい位置で脱燐反応を進行させる必要がある。
【0006】
このような観点から上記従来技術を検討すると、何れの技術も未だ改善する余地が高いといわざるを得ない。つまり、少ない脱燐用フラックスで効率良く脱燐することに関しては未だ十分ではなく、更なる改善の余地が十分に残されている。
【0007】
ところで、近年、生石灰などの石灰系脱燐用フラックスの滓化を促進するための蛍石の添加については、フッ素が環境に及ぼす影響を考慮して、鋼の精錬においても蛍石の使用量を極力削減することが求められており、蛍石添加により脱燐効率の向上を図ることにも限界がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑を脱燐処理して低燐溶銑を製造するに当たり、多量の蛍石を使用することなく、少ない石灰系脱燐用フラックスで効率良く脱燐処理することができ、これによりスラグ発生量も極力低減することができる、低燐溶銑の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討・研究を行った。その結果、上吹きランスから酸素ガスとともに生石灰などの石灰系脱燐用フラックスを溶銑浴面に吹き付けることで、生成される多量のFeOによって石灰系脱燐用フラックスの滓化が促進されると同時に、酸素ガスと反応して生成される燐酸化物が直ちに石灰系脱燐用フラックスに吸収されることから脱燐反応が促進することを確認した。また、この状態で、上吹きランスから供給される酸素ガスによって形成される火点近傍の攪拌強度を高めることで、火点近傍即ち脱燐反応界面の溶銑が更新され、脱燐反応が更に効率的に行われるとの知見を得た。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、溶銑を保持した容器内に酸素源と石灰系の脱燐用フラックスとを添加して、溶銑に脱燐処理を施すことにより低燐溶銑を製造する方法において、上吹きランスを通じて酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックスとを溶銑浴面に吹き付けるとともに、搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込んだ固体酸素源を、前記酸素ガスの吹き付けによって生じる火点近傍へ供給することを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1の発明において、上吹きランスから供給される石灰系脱燐用フラックスのうちの少なくとも一部は、酸素ガスの吹き付けによって生じる火点に吹き付けられることを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1または第2の発明において、搬送用ガスとともに溶銑中に吹き込む固体酸素源の吹き込み速度を0.03〜1kg/分・溶銑tonとすることを特徴とするものである。
【0013】
第4の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、脱燐処理で添加される固体酸素源のうちの10質量%以上を溶銑中に吹き込んで添加することを特徴とするものである。
【0014】
第5の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1ないし第4の発明の何れかにおいて、珪素の含有量が0.40質量%以下の溶銑に対して脱燐処理を行うことを特徴とするものである。
【0015】
第6の発明に係る低燐溶銑の製造方法は、第1ないし第5の発明の何れかにおいて、溶銑を保持する容器として鍋型またはトーピードカー型の容器を用い、上吹きランスを通して酸素ガスと少なくとも一部の石灰系脱燐用フラックスとを溶銑浴面に吹き付けるとともに、インジェクションランスまたは吹込み羽口を通じて搬送用ガスとともに固体酸素源を吹き込むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、多量の蛍石を添加することなく且つ少ない石灰系脱燐用フラックスの使用量で効率的な脱燐処理を行うことができ、これによりスラグ発生量も極力低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明による脱燐処理を実施する際に用いた脱燐処理設備の概略断面図である。
【0018】
図1において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑16を収容した溶銑鍋2が、台車3に搭載されて脱燐処理設備1に搬入されている。脱燐処理設備1には、上吹きランス4とインジェクションランス5とが設置されており、上吹きランス4及びインジェクションランス5は、溶銑鍋2の内部を上下移動可能となっている。
【0019】
上吹きランス4には、酸素ガス配管7が接続されており、気体酸素源としての酸素ガスが、酸素ガス配管7を介して任意の流量で上吹きランス4から溶銑鍋2の内部に供給されるようになっている。また、酸素ガス配管7は分岐しており、分岐した酸素ガス配管7Aは、粉状の石灰系脱燐用フラックス17を収容した貯蔵タンク6に接続されていて、この貯蔵タンク6には、上吹きランス4と接続するフラックス移送配管8が接続されている。即ち、貯蔵タンク6に供給された酸素ガスは、貯蔵タンク6に収容される石灰系脱燐用フラックス17の搬送用ガスとして機能し、フラックス移送配管8を経由して上吹きランス4の先端から石灰系脱燐用フラックス17を溶銑鍋2に収容される溶銑16の浴面に吹き付けて供給することができるようになっている。酸素ガス配管7には遮断弁9が設けられ、また、酸素ガス配管7Aには遮断弁10が設けられており、酸素ガスを上吹きランス4から直接供給することも、また、貯蔵タンク6を経由して供給することも任意に調整することができるようになっている。
【0020】
石灰系脱燐用フラックス17としては、生石灰粉を使用することができる。生石灰粉にアルミナ粉などを滓化促進剤として加えてもよいが、本発明においては石灰系脱燐用フラックス17を溶銑浴面に吹き付けて添加するので、生石灰粉単体であっても十分に滓化して、アルミナ粉などの滓化促進剤は用いなくても十分に脱燐することができる。特に、生成されるスラグ21からのフッ素の溶出量を抑えて環境を保護する観点から、蛍石などのフッ素含有物質は滓化促進剤として使用しないことが好ましい。但し、フッ素が不純物成分として不可避的に混入した物質については使用しても構わない。
【0021】
脱燐剤として上吹きランス4から吹き付ける酸素ガスは工業用純酸素であり、窒素ガスなどの不純物を体積%で数%程度含んでいてもよい。脱燐剤として酸素ガスを用いることで、酸化熱によって溶銑16の温度は上昇する。空気、酸素富化空気などの酸素含有ガスも、気体酸素源として使用することができるが、脱燐反応速度が速いことから酸素ガスを使用することが好ましい。
【0022】
インジェクションランス5は、貯蔵タンク11と接続されており、貯蔵タンク11に収容された鉄鉱石など酸化鉄からなる粉状の固体酸素源18を、窒素ガスやArガスなどの非酸化性ガスまたは不活性ガスを搬送用ガスとして、溶銑16に吹き込み添加することができる。固体酸素源18は酸素ガスと同様に脱燐剤として機能するものである。但し、固体酸素源18を添加することにより、酸化熱は発生するものの、固体酸素源18の顕熱及び潜熱のために溶銑16の温度は低下する。インジェクションランス5からは、窒素ガスやArガスなどの非酸化性ガスまたは不活性ガスのみを吹き込み、溶銑16を攪拌することもできる。
【0023】
更に、脱燐処理設備1には、ホッパー12及びホッパー13と、原料搬送装置14と、シュート15とからなる原料供給設備が設置されており、この原料供給設備を用いて、ホッパー12に収容された粒状或いは塊状の固体酸素源19、及び、ホッパー13に収容された粒状或いは塊状の石灰系脱燐用フラックス20を溶銑鍋2の内部に上置き添加することができるようになっている。粒状或いは塊状の固体酸素源19は、粉状の固体酸素源18と同様に脱燐剤として機能し、粒状或いは塊状の石灰系脱燐用フラックス20は、脱燐反応により生成された燐酸化物と反応して燐酸化物をスラグ21に固定するためのものである。固体酸素源18,19としては、鉄鉱石、焼結鉱、ミルスケール、集塵ダストなどを用いることができる。尚、本発明では、石灰系脱燐用フラックスとしては、主に粉状の石灰系脱燐用フラックス17を使用するので、塊状の石灰系脱燐用フラックス20は必ずしも必要とはしない。上置き添加する場合には、石灰系脱燐用フラックス20の滓化は遅く、従って、石灰系脱燐用フラックス20に蛍石などの滓化促進剤を混合してもよく、また、石灰系脱燐用フラックス20の代わりに他のフラックスを収容してもよい。
【0024】
このような構成の脱燐処理設備1を用い、本発明に係る脱燐処理を以下のようにして実施する。
【0025】
溶銑16にインジェクションランス5を浸漬させ、インジェクションランス5から窒素ガスやArガスなどを搬送用ガスとして固体酸素源18を連続的に吹き込むとともに、石灰系脱燐用フラックス17を酸素ガスとともに上吹きランス4を通して溶銑16の浴面に連続的に吹き付け、溶銑16の脱燐処理を実施する。上吹きランス4を通して吹き付けられる酸素ガスは溶銑16の浴面に衝突して、所謂「火点」を形成する。図1においては、火点をRで示している。火点Rは周囲よりも凹んでおり、スラグ21は火点Rの周囲に押しやられる。
【0026】
その際、インジェクションランス5から吹き込んだ固体酸素源18が、火点Rの近傍に供給されるように、インジェクションランス5の吐出角度、位置及び搬送用ガスの流量を調整する。これは、事前に予備試験などを行うことにより、問題なく実施することができる。この場合、インジェクションランス5の替わりに、溶銑鍋2の底部或いは側壁部に羽口(図示せず)を設け、羽口から固体酸素源18を吹き込むようにしてもよい。羽口の位置を上吹きランス4の鉛直方向直下位置とすれば、羽口から吹き込まれる固体酸素源18は必然的に火点Rの近傍に供給される。
【0027】
上吹きランス4を通じて酸素ガスを溶銑浴面に吹き付けると、浴面に衝突した酸素ガスによって火点Rでは大量のFeOが生成される。その結果、火点Rは石灰系脱燐用フラックス17の滓化に有利な条件となり、このFeOが大量に生成した領域に上吹きランス4を通じて石灰系脱燐用フラックス17を直接供給することにより、石灰系脱燐用フラックス17のCaOと、生成するFeOとが接触することによって、石灰系脱燐用フラックス17はその表面にCaO−FeO系融体を形成する。つまり、石灰系脱燐用フラックス17の表面は滓化した状態になる。酸素ガスと反応して生成した燐酸化物(P25 )は、このCaO−FeO系融体に取り込まれ、3CaO・P25 という安定な固相を形成する。3CaO・P25 という安定な固相を形成した石灰系脱燐用フラックス17は、脱燐処理の進行に伴ってスラグ21として火点Rの周囲に押し出される。
【0028】
また、溶銑16に吹き込まれた固体酸素源18による攪拌効果によって、反応済みの燐濃度の低い溶銑が直ちに火点Rの近傍から排除され、火点Rの近傍は溶銑16のバルクと同等の燐濃度が維持されるため、供給する酸素ガスと溶銑中の燐との反応速度を、高い状態のまま維持して脱燐処理することができる。つまり、脱燐速度を高めることができる。
【0029】
このように火点Rを中心とした領域において直接的な脱燐反応が生じるとともに、火点Rの外側に押し出されたスラグ21が固相主体の状態で存在することにより、少ない石灰系脱燐用フラックス17,20の使用量で効率的な脱燐を行うことができる。
【0030】
従って、本発明では、石灰系脱燐用フラックスの少なくとも一部を火点Rに吹き付ける。可能ならば、必要とする石灰系脱燐用フラックスの全量を火点Rに吹き付けることが好ましい。必要とする石灰系脱燐用フラックスの全量を上吹きランス4から添加できる場合には、上置き添加される石灰系脱燐用フラックス20は、添加する必要がない。
【0031】
インジェクションランス5からは火点Rにおける溶銑16の攪拌強度を維持させるために、脱燐処理の終了まで固体酸素源18を吹き込む。固体酸素源18を吹き込むことで、攪拌用ガスのみを吹き込む場合に比べてより大きな攪拌力を得ることができる。固体酸素源18の吹き込み速度は、0.03〜1kg/分・溶銑tonとすることが好ましい。吹き込み速度が0.03kg/分・溶銑ton未満では、攪拌力が不十分であり、一方、吹き込み速度が1kg/分・溶銑tonを超えても攪拌力の上昇効果は少なく、それに対して吹き込み設備の設備コストが上昇するので好ましくない。固体酸素源18をこの範囲の吹き込み速度で吹き込み、更に、固体酸素源を必要とする場合には、固体酸素源19を上置き添加する。この場合、攪拌力を確保するために、脱燐処理で使用される固体酸素源のうちの少なくとも10質量%以上を溶銑中に吹き込んで添加するように、吹き込み速度を調整することが好ましい。
【0032】
酸素源として供給する酸素ガスと固体酸素源との比率は、処理前後の溶銑の温度、成分に応じて、温度バランスから設定する。前述したように、酸素ガスを使用すれば温度が上昇し、固体酸素源を使用すれば温度が低下する。脱燐処理終了時の溶銑16の温度は、1250℃〜1400℃望ましくは1250℃〜1350℃とすればよい。
【0033】
インジェクションランス5から石灰系脱燐用フラックスを吹き込んでも攪拌力は上昇するが、溶銑16に吹き込んだ石灰系脱燐用フラックスがFeO濃度の高い火点Rに到達する比率は、石灰系脱燐用フラックスを直接火点Rに吹き付けた場合に比べて少なくなる。少ない石灰系脱燐用フラックスで効率的に脱燐反応を行うためには、石灰系脱燐用フラックスを脱燐反応サイトである火点Rに吹き付ける必要がある。従って、本発明では、インジェクションランス5からは石灰系脱燐用フラックスを供給しない。石灰系脱燐用フラックス17,20の投入量は、溶銑16の珪素濃度及び燐濃度に応じて変更することとするが、最大でも40kg/溶銑ton程度であれば十分である。また、ランス高さは特に限定する必要はなく、スラグ21の生成量などを勘案して設定すればよい。
【0034】
脱燐処理後、溶銑16を収容した溶銑鍋2を排滓場に搬送し、ドラッガーなどを用いて溶銑鍋2からスラグ21を排出し、その後、次工程に搬送する。
【0035】
本発明の脱燐処理で対象とする溶銑16としては、どのような組成であっても処理することができ、脱燐処理の前に脱硫処理や脱珪処理が施されていてもよい。脱珪処理とは、溶銑16に酸素ガスやミルスケールなどの酸化鉄を添加し、主として溶銑16の珪素を除去する処理である。因みに、脱燐処理前の溶銑16の主な化学成分は、炭素:3.8〜5.0質量%、珪素:0.2質量%以下、硫黄:0.05質量%以下、燐:0.08〜0.2質量%程度である。但し、脱燐処理で発生するスラグ21の量が多くなると脱燐効率が低下するので、スラグ21の発生量を少なくして脱燐効率を高めるために、予め脱珪処理などにより、溶銑16の珪素含有量を0.4質量%以下まで低減しておくことが好ましい。溶銑中の珪素は脱燐処理においては優先的に酸化され、SiO2 を形成する。また、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であれば問題なく脱燐処理することができる。
【0036】
以上説明したように、本発明では、石灰系脱燐用フラックス17を酸素ガスとともに溶銑16の浴面に向けて吹き付けて添加し、且つ、溶銑中に吹き込んだ固体酸素源18を火点Rの近傍へ供給するので、蛍石などのフッ素源を使用しなくても石灰系脱燐用フラックス17の滓化が十分に進行し、少ない石灰系脱燐用フラックスの使用量で効率的な脱燐処理を行うことができ、これによりスラグ発生量も低減することが可能となる。
【0037】
尚、上記説明では、溶銑鍋2を処理容器として用いた例で説明したが、本発明を実施する上で処理容器は溶銑鍋2に限るわけではなく、トーピードカーや装入鍋であっても、更には転炉型精錬炉であっても上記に沿って本発明を実施することができる。
【実施例1】
【0038】
高炉から出銑された溶銑を容量が200トンの溶銑鍋で受銑して図1に示す脱燐処理設備に搬送して脱燐処理を施した。脱燐処理前の溶銑成分は、珪素濃度:0.05〜0.30質量%、燐濃度:0.08〜0.12質量%であった。生石灰粉を石灰系脱燐用フラックスとして酸素ガスとともに処理開始時点から上吹きランスを介して溶銑浴面に吹き付けるとともに、インジェクションランスから窒素ガスを搬送用ガスとして鉄鉱石の焼結工場で発生したダストを固体酸素源として0.05〜0.5kg/分・溶銑tonの吹き込み速度で吹き込んだ。必要とする生石灰の全量を上吹きランスから吹き付け添加した。添加する生石灰の量は処理前の溶銑中の珪素濃度によって設定した。酸素源原単位は、脱珪に要する酸素を除き酸素ガス換算で7〜9Nm3 /溶銑tonとした。
【0039】
この条件で脱燐処理した結果、石灰系脱燐用フラックスとしての生石灰の使用量は5.5kg/溶銑tonであり、脱燐量が同等の従来の場合に必要な生石灰が約7.2kg/溶銑tonであったのに比べ、大幅に使用量を削減することができた。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による脱燐処理を実施する際に用いた脱燐処理設備の概略断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 脱燐処理設備
2 溶銑鍋
3 台車
4 上吹きランス
5 インジェクションランス
6 貯蔵タンク
7 酸素ガス配管
8 フラックス移送配管
9 遮断弁
10 遮断弁
11 貯蔵タンク
12 ホッパー
13 ホッパー
14 原料搬送装置
15 シュート
16 溶銑
17 石灰系脱燐用フラックス
18 固体酸素源
19 固体酸素源
20 石灰系脱燐用フラックス
21 スラグ
R 火点




 

 


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