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発明の名称 ハイブリッドフィルム、その製造方法、これを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84800(P2007−84800A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2006−223325(P2006−223325)
出願日 平成18年8月18日(2006.8.18)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 中山 元 / 小林 孝史
要約 課題
透明性、平面性に優れ、適度の透湿性があり、偏光子であるPVAとの良好な接着性を持ち、フィルムとしてハンドリングするための適度な弾性率を持ち、寸法変化しにくく、耐久性に優れるハイブリッドフィルム、その製造方法、これを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置を提供すること。

解決手段
セルロースアシレートおよび質量平均分子量が200〜20,000であ
特許請求の範囲
【請求項1】
セルロースアシレートおよび質量平均分子量が200〜20,000であるシクロオレ
フィン化合物を含有することを特徴とするハイブリッドフィルム。
【請求項2】
セルロースアシレートのアシル置換度が2.0〜3.0であることを特徴とする請求項
1に記載のハイブリッドフィルム。
【請求項3】
セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、アシル置換
度が2.5〜3.0であることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドフィルム。
【請求項4】
セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基、プロピオニル基およびブ
タノイル基から選択された少なくとも2種類からなることを特徴とする請求項2に記載の
ハイブリッドフィルム。
【請求項5】
セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基およびプロピオニル基から
なることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッドフィルム。
【請求項6】
ヘイズが0.01から5.0%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載
のハイブリッドフィルム。
【請求項7】
膜厚が20〜200μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のハイブリッドフィルム。
【請求項8】
下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のハイブリッド
フィルム。
式(1):A/B≦0.98
A:ハイブリッドフィルムの透湿度
B:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの透
湿度
【請求項9】
下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のハイブリッド
フィルム。
式(2):0.5≦C/D≦1.5
C:ハイブリッドフィルムの弾性率
D:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの弾
性率
【請求項10】
下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のハイブリッド
フィルム。
式(3):0.5≦E/F≦1.5
E:ハイブリッドフィルムの引っ張り破断伸度
F:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの引
っ張り破断伸度
【請求項11】
下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のハイブリッ
ドフィルム。
式(4):G/H≦0.98
G:ハイブリッドフィルムの光弾性係数
H:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの光
弾性係数
【請求項12】
下記式(5)を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のハイブリッ
ドフィルム。
式(5):I/J≦0.98
I:ハイブリッドフィルムの寸法変化率(%)
J:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの寸
法変化率(%)
【請求項13】
セルロースアシレートおよび質量平均分子量が200〜20,000であるシクロオレ
フィン化合物を混合溶解したドープ溶液を、溶液製膜する工程を有することを特徴とする
請求項1〜12のいずれかに記載のハイブリッドフィルムを製造する方法。
【請求項14】
前記シクロオレフィン化合物が熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量を低下させること
で調製されたことを特徴とする請求項13に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
【請求項15】
前記シクロオレフィン化合物がシクロオレフィン単量体を重合させることで調製された
ことを特徴とする請求項13に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
【請求項16】
前記シクロオレフィン化合物が、分子量200〜3,000の単量体であることを特徴
とする請求項13に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれかに記載のハイブリッドフィルムと、レターデーションReが
0〜200nmである光学異方性層とを有することを特徴とする光学補償フィルム。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、または請求項17に記載の
光学補償フィルムの少なくとも1枚と、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
【請求項19】
請求項1〜12のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、請求項17に記載の光学補
償フィルムまたは請求項18に記載の偏光板のいずれかを用いたことを特徴とする液晶表
示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドフィルム、その製造方法、これを用いた光学補償フィルム、偏
光板および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年薄型ディスプレイの市場が拡大しており、中でも液晶表示装置の市場拡大は顕著で
ある。液晶表示装置はパーソナルコンピュータのモニター用途に留まらず、TV用途とし
て開発が進められており、それに伴って画面サイズが大型化し、画像の高精細化がますま
す進んでいる。それにともない液晶表示装置に含まれる各部材の性能改良がますます求め
られている。
【0003】
液晶表示装置は、通常、液晶セルおよび偏光板からなる。一般に、入射側の偏光板で直
線偏光になって偏光が入射し、液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、偏光のON
・OFFスイッチングを行い、再び視認側の偏光板から光が出射して画面表示される。こ
のため液晶表示装置において偏光板は必須の部材である。偏光板は保護フィルムおよび偏
光子を有し、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムからなる偏光子をヨウ素にて
染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムで積層して得られる。
【0004】
前記偏光板の保護フィルムとしてセルロースアシレートフィルムが一般に用いられてい
る。セルロースアシレートフィルムは、通常の偏光子として使用されるポリビニルアルコ
ール(PVA)との接着性に優れること、透明で光学的な異方性をほとんど持たないこと、優れた物理的、機械的性質を有し、且つ温度および湿度変化に対する寸法変化が比較的小さい。
【0005】
しかし近年液晶画像表示装置は高精細化がますます進み、偏光板用保護フィルムとして
用いられるセルロースアシレートフィルムには、より優れた光透過性、光学的異方性(レ
ターデーション)の温度および湿度依存性が小さいこと、PVAとの貼りあわせのための適
度の透湿性、偏光子との良好な接着性、優れた平面性、フィルムとしてハンドリングする
ための適度な弾性率、寸法変化しにくい、等の性能や耐久性の更なる向上が望まれている
。最近では、液晶表示装置に用いられる部材の耐久性が不十分であると、黒表示時に表示
画面の四辺の縁から光が漏れるいわゆる「額縁故障」や、四隅の角から光が漏れる「コー
ナームラ故障」などが問題となっている。
【0006】
セルロースアシレートフィルムとして耐久性を改良するために、セルロースアシレート
の溶液流延製膜方法を用い、セルロースアシレート溶液に低分子の可塑剤(例えば、リン
酸エステル類、フタル酸エステル類等)や高分子量可塑剤(例えばポリエステルエーテル
、ポリエステル−ウレタン、ポリエステル等)を適宜選択して単独または混合したドープ
組成物を用いることが試みられている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、
特許文献4、特許文献5)。また、ポリメチルアクリレートまたはメチルアクリレートの
コポリマーをセルローストリアセテートと混合させて、セルロースアシレートフィルムの
可塑性等を付与する技術がある(例えば、特許文献6)。しかしながら、これらの支持体
でも、長期保存下の膜強度安定性、フィルムの着色等の耐侯性が十分でなかった。
【0007】
更に、セルロースアシレートとの相溶性を高めるために、低分子量体含量の多いポリエ
ステルポリマーをブレンドすることが提案されている(例えば、特許文献7)。しかしな
がら、ポリマーが低分子量体であったり、ポリマー自体の疎水性が不十分であるために、
ポリマーとしての特性を十分に発現できないという課題がある。
【0008】
上記のように、セルロースアシレートフィルムの性能向上には難しさがあることもあり
、別の素材を偏光板用保護フィルムとして用いることが提案されている。セルロースアシ
レートフィルムの代わりにポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィ
ルムを用いて、偏光板用保護フィルムとする提案がされている(製品としてはZEONO
R(日本ゼオン社製)や、ARTON(JSR社製)など)。これらのフィルムはセルロ
ースアシレートフィルムよりも温度変化や湿度変化に対する物理特性の変化や耐久性に優
れている。しかし、これらの光学透明フィルムは、偏光板用保護フィルムとして使用する
場合、フィルムが疎水的なために親水的なPVA製偏光子との貼合性に難があったり、弾
性率が小さいためにハンドリング適性が良くないといった欠点があった。またこれらフィ
ルムは通常溶融製膜によって製膜されるため、面状が不均一である問題も残っている。
【0009】
【特許文献1】特公昭47−760号公報
【特許文献2】特公昭43−16305号公報
【特許文献3】特公昭44−32672号公報
【特許文献4】特開平2−292342号公報
【特許文献5】特開平5−197073号公報
【特許文献6】米国特許第3,277,032号明細書
【特許文献7】特開2002−22956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の課題は、上記のセルロースアシレートフィルムの特徴と、シクロオレフ
ィン系フィルムの特徴とを併せ持つ、ハイブリッドフィルムおよびその製造方法を提供す
ることである。具体的には、セルロースアシレートフィルムのように透明性に優れ、溶液
製膜による優れた平面性を持ち、適度の透湿性があり、偏光子であるPVAとの良好な接着性を持ち、フィルムとしてハンドリングするための適度な弾性率を持っており、かつ、シクロオレフィン系フィルムのように、寸法変化しにくく、光学的異方性(レターデーション)の温度および湿度依存性が小さく、耐久性に優れる、等の性能を持っているハイブリッドフィルムおよびその製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2の課題は、上記のハイブリッドフィルムを用いた光学補償フィルムの支持
体および偏光板用保護フィルムを提供し、これを液晶表示装置に搭載することで、額縁故
障やコーナームラ故障の起こりにくい、液晶表示装置、特に最近大型化が著しいTV用途に用いられることの多いVAモード、IPSモードの液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、セルロースアシレートとシクロオレフィン化合物とをハイブリッドする
ことにより、上記課題を解決した。一般にポリマー同士は混合することが難しく、当初セ
ルロースアシレートとシクロオレフィンポリマーを混合してハイブリッド化することは困
難だったが、鋭意検討した結果、質量平均分子量が特定範囲内にあるシクロオレフィン化
合物をセルロースアシレートと混合することで両者を良好に相溶させることが出来、光学
フィルムとして好適な物性を有するハイブリッドフィルムを得ることができることを見出
した。また、特定範囲内のシクロオレフィン化合物を得る方法として、例えば(i)熱可
塑性ノルボルネン系樹脂の分子量を低下させて作製したシクロオレフィン化合物を用いる
、(ii)単量体を適度に重合させたシクロオレフィン化合物を用いる、(iii)分子
量が200〜3000であるシクロオレフィン化合物を用いる、等の手法により所望のハ
イブリッドフィルムを製造できることを見出した。
【0013】
本発明は以下の1)〜19)により達成された。
1)セルロースアシレートおよび質量平均分子量が200〜20,000であるシクロ
オレフィン化合物を含有することを特徴とするハイブリッドフィルム。
2)セルロースアシレートのアシル置換度が2.0〜3.0であることを特徴とする上
記1)に記載のハイブリッドフィルム。
3)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、アシル
置換度が2.5〜3.0であることを特徴とする上記2)に記載のハイブリッドフィルム

4)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基、プロピオニル基およ
びブタノイル基から選択された少なくとも2種類からなることを特徴とする上記2)に記
載のハイブリッドフィルム。
5)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基およびプロピオニル基
からなることを特徴とする上記2)に記載のハイブリッドフィルム。
6)ヘイズが0.01から5.0%であることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか
に記載のハイブリッドフィルム。
7)膜厚が20〜200μmであることを特徴とする上記1)〜6)のいずれかに記載のハイブリッドフィルム。
8)下記式(1)を満たすことを特徴とする上記1)〜7)のいずれかに記載のハイブ
リッドフィルム。
式(1):A/B≦0.98
A:ハイブリッドフィルムの透湿度
B:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの透
湿度
9)下記式(2)を満たすことを特徴とする上記1)〜8)のいずれかに記載のハイブ
リッドフィルム。
式(2):0.5≦C/D≦1.5
C:ハイブリッドフィルムの弾性率
D:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの弾
性率
10)下記式(3)を満たすことを特徴とする上記1)〜9)のいずれかに記載のハイ
ブリッドフィルム。
式(3):0.5≦E/F≦1.5
E:ハイブリッドフィルムの引っ張り破断伸度
F:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの引
っ張り破断伸度
11)下記式(4)を満たすことを特徴とする上記1)〜10)のいずれかに記載のハ
イブリッドフィルム。
式(4):G/H≦0.98
G:ハイブリッドフィルムの光弾性係数
H:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの光
弾性係数
12)下記式(5)を満たすことを特徴とする上記1)〜11)のいずれかに記載のハ
イブリッドフィルム。
式(5):I/J≦0.98
I:ハイブリッドフィルムの寸法変化率(%)
J:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの寸
法変化率(%)
13)セルロースアシレートおよび質量平均分子量が200〜20,000であるシク
ロオレフィン化合物を混合溶解したドープ溶液を、溶液製膜する工程を有することを特徴
とする上記1)〜12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルムを製造する方法。
14)前記シクロオレフィン化合物が熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量を低下させ
ることで調製されたことを特徴とする上記13)に記載のハイブリッドフィルムの製造方
法。
15)前記シクロオレフィン化合物がシクロオレフィン単量体を重合させることで調製
されたことを特徴とする上記13)に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
16)前記シクロオレフィン化合物が、分子量200〜3,000の単量体であること
を特徴とする上記13)に記載のハイブリッドフィルムの製造方法。
17)上記1)〜12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルムと、レターデーショ
ンReが0〜200nmである光学異方性層とを有することを特徴とする光学補償フィル
ム。
18)上記1)〜12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、または上記17)
に記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚と、偏光子とを有することを特徴とする偏光
板。
19)上記1)〜12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、上記17)に記載
の光学補償フィルムまたは上記18)に記載の偏光板のいずれかを用いたことを特徴とす
る液晶表示装置。
【0014】
また、本発明では次の20)〜27)の形態も好ましい。
20)光学異方性層が、ディスコティック液晶性化合物から形成された層を含む上記1
7)に記載の光学補償フィルム。
21)光学異方性層が、棒状液晶性化合物から形成された層を含む上記17)に記載の
光学補償フィルム。
22)光学異方性層が、ポリマーフィルムを含む上記17)に記載の光学補償フィルム

23)ポリマーフィルムが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケ
トン、ポリアミドイミドポリエステルイミドおよびポリアリールエーテルケトンからなる
群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を含有する上記22)に記載の光学補償フ
ィルム。
24)上記1)〜12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、または上記20)
〜(23)のいずれかに記載の光学補償フィルムの少なくとも1枚と、偏光子とを有する
ことを特徴とする偏光板。
25)表面にハードコート層、防眩層および反射防止層から選択された少なくとも一層
を設けた上記17)または24)に記載の偏光板。
26)上記1)〜(12)のいずれかに記載のハイブリッドフィルム、上記20)〜2
3)のいずれかに記載の光学補償フィルム、または上記24)に記載の偏光板、のいずれ
かを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
27)液晶セルがVAモードまたはIPSモードである上記26)の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セルロースアシレートフィルムの特徴と、シクロオレフィン系フィル
ムの特徴とを併せ持つハイブリッドフィルムおよびその製造方法を提供することができる
。本発明のハイブリッドフィルムは、透明性に優れ、溶液製膜による優れた平面性を持ち
、適度の透湿性があり、偏光子であるPVAとの良好な接着性を持ち、フィルムとしてハンドリングするための適度な弾性率を持っており、かつ、寸法変化しにくく、光学的異方性(レターデーション)の温度および湿度依存性が小さく、耐久性に優れる。また、このハイブリッドフィルムを光学補償フィルムの支持体、偏光板用保護フィルムとして用いることで、額縁故障やコーナームラ故障の起こりにくい、液晶表示装置を提供することができる。本発明の液晶表示装置は、特に最近大型化が著しいTV用途に用いられることの多いVAモード、IPSモードに有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のハイブリッドフィルムは、セルロースアシレートおよび質量平均分子量が20
0〜20,000であるシクロオレフィン化合物を含有することを特徴とする。以下、詳
細に本発明のハイブリッドフィルムについて説明する。
【0017】
[セルロースアシレート]
本発明のセルロースアシレートとシクロオレフィン化合物のハイブリッドフィルムに用
いられるセルロースアシレートの原料セルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広
葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロース
アシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。剥離性の観点からは綿花
リンタを原料セルロースとして用いることが好ましい。これらの原料セルロースについて
の詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日
刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)
に記載のセルロースを用いることができ、本発明のハイブリッドフィルムに対しては特に
限定されるものではない。
【0018】
[セルロースアシレートのアシル置換基]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明のハイブリッドフィルムで用いるセル
ロースアシレートについて記載する。本発明で好ましく用いるセルロースアシレートはセ
ルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のア
セチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロ
ースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが
、セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合
度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD
−817−91に準じて実施することが出来る。
【0019】
セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち
、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されず
、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボ
ニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香
族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても
よい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプ
タノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、
テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタ
ノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シ
ンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブ
タノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル
、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノ
イルがより好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルが特に好ましい。また、アシ
ル置換基は実質的にアセチル基、プロピオニル基およびブタノイル基から選択された少な
くとも2種類からなることがさらに好ましく、中でもアシル置換基が実質的にアセチル基
およびプロピオニル基からなることが特に好ましい。
【0020】
[セルロースアシレートのアシル置換度]
上述のように本発明のハイブリッドフィルムに用いるセルロースアシレートにおいて、
セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基への
アシル置換度が2.0〜3.0であることがのぞましい。2.2〜3.0であることがよ
りのぞましく、2.5〜3.0であることがさらにのぞましい。
【0021】
本発明者が鋭意検討した結果、本発明のハイブリッドフィルムに用いるセルロースアシ
レートにおいては、上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的
にアセチル基のみからなる場合においては、その全置換度が2.5〜3.0が好ましい。
より好ましいアシル置換度は2.6〜3.0であり、さらにのぞましくは2.7〜3.0
である。
【0022】
また、本発明のハイブリッドフィルムに用いるセルロースアシレートにおいては、上述
のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオ
ニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.
0〜3.0が好ましい。より好ましいアシル置換度は2.2〜3.0であり、さらにのぞ
ましくは2.5〜3.0である。
【0023】
また、本発明のハイブリッドフィルムに用いるセルロースアシレートにおいては、上述
のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基、プロピオ
ニル基からなる場合においては、その全置換度が2.0〜3.0が好ましい。より好まし
いアシル置換度は2.2〜3.0であり、さらにのぞましくは2.5〜3.0である。
【0024】
[セルロースアシレートの重合度]
本発明のハイブリッドフィルムに好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は
、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜
550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい
。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延による
フィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしま
う。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第
1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報
に詳細に記載されている。
【0025】
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質
量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体
的なMw/Mnの値としては、2.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5で
あることがさらに好ましく、2.3〜3.3であることが最も好ましい。
【0026】
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロ
ースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレー
トは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより
得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄
することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する
場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質
量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点で
も好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発
明のセルロースアシレートは、その含水率が2質量%以下であることが好ましく、さらに
好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下である。一般に、セルロースア
シレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロー
スアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とす
る含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原
料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15
日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0027】
本発明のセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範
囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いるこ
とができる。
【0028】
[シクロオレフィン化合物]
本発明のセルロースアシレートとシクロオレフィン化合物のハイブリッドフィルムに用
いるシクロオレフィン化合物は、シクロオレフィン単量体であっても良いし、シクロオレ
フィン単量体を重合または共重合した樹脂であっても良い。シクロオレフィン単量体とし
ては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシク
ロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素およびその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素およびその誘導体等が挙げられる。これらシクロオレフィン単量体には置換基として極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基またはカルボン酸無水物基が好適である。
【0029】
シクロオレフィン化合物は、シクロオレフィン単量体以外の単量体を付加共重合したも
のであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ペンテンなどのエチレンまたはα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
【0030】
重合体は、付加重合反応あるいはメタセシス開環重合反応によって得られる。重合は触
媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化合物と有機アルミ
ニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触媒として、ルテニウム
、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝
酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;あるいは、チタン、
バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物または
アセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられ
る。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜
50kgf/cm2(0〜4.9MPa)の重合圧力で重合させる。
【0031】
本発明に用いるシクロオレフィン化合物は、質量平均分子量が200〜20,000で
あることを特徴とする。上記範囲内のシクロオレフィン化合物を得る方法として、例えば
(i)熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量を低下させて作製したシクロオレフィン化合
物を用いる、(ii)単量体を適度に重合させたシクロオレフィン化合物を用いる、(i
ii)分子量が200〜3000であるシクロオレフィン化合物を用いる、等の手法が挙
げられる。
【0032】
[シクロオレフィン化合物の分子量]
本発明に用いるシクロオレフィン化合物は、上述のように単量体であっても良いし、単
量体をあらかじめ重合して分子量を適宜調整しても良いし、高分子量のノルボルネン樹脂
を低分子量化して得ても良い。実際にフィルム成型することを考えると、溶融製膜時の成
形性、溶液製膜時の溶剤への溶解性の観点から、本発明におけるシクロオレフィン化合物
の(質量平均)分子量は200〜20,000であり、500〜10,000であること
がより好ましく、1000〜8000であることがさらに好ましい。特に単量体で用いる
場合は、分子量200〜3000が好ましく、250〜2000であることがさらに好ま
しい。
分子量が大きすぎると溶剤への溶解性が悪化し、またセルロースアシレートとの相溶性
が悪化しヘイズが上昇するなどの問題が生じ、光学フィルムとして適したハイブリッドフ
ィルムの製膜が困難になる。また分子量が小さすぎると、シクロオレフィン化合物の性質
が反映されにくく、ハイブリッドフィルムとして好ましい物性を発現することが困難にな
る。
【0033】
[高分子樹脂からシクロオレフィン化合物を得る方法]
本発明のハイブリッドフィルムを形成するシクロオレフィン化合物としては、熱可塑性
ノルボルネン系樹脂も好ましく用いることが出来る。熱可塑性ノルボルネン系樹脂として
は、日本ゼオン(株)社製のゼオネックス、ゼオノアやJSR(株)製のアートン等があ
げられる。これらはそのままでは高分子量のため溶液製膜のドープ溶液への溶解性に乏し
い。そこで、これらの熱可塑性ノルボルネン系樹脂の分子量が所望の範囲内になるように
何らかの方法で低減させることが重要であり、例えば、プローブ型ソニケーターといった
超音波照射器による超音波処理により分子量を低下させてセルロースアシレートのドープ
溶液に溶解するようにすることが好ましい。この方法によれば超音波強度、処理時間を適
宜調節することにより様々な分子量のシクロオレフィン化合物を得ることが可能であり、
簡便に所望範囲のシクロオレフィン化合物を得ることができる点で非常に好ましい。
【0034】
[架橋によりシクロオレフィン化合物を得る方法]
本発明に用いるシクロオレフィン化合物は、シクロオレフィン単量体に光または熱によ
って架橋反応をする架橋性基を設けたものでも良い。この場合、ドープ溶液に用いられる
溶媒にあらかじめシクロオレフィン単量体を溶解しておき、続いて該溶媒中で架橋によっ
てシクロオレフィン化合物を重合させて所望の分子量のポリマーとし、これをドープ溶液
に加えてセルロースアシレートとのハイブリッドを作製することができる。
【0035】
上記の本発明に用いられるシクロオレフィン化合物に付与する架橋性基としては、重合
性不飽和二重結合基またはエポキシ基が考えられ、例えば、ビニル基、アリル基等のアル
ケニル基、アクリル酸残基、メタクリル酸残基等の不飽和脂肪酸残基等を有するシクロオ
レフィン化合物、エポキシ基を有するシクロオレフィン化合物が挙げられる。
【0036】
本発明のハイブリッドフィルムにおいて、重合性不飽和二重結合基またはエポキシ基を
有するシクロオレフィン化合物は、熱または紫外線等によって特に開始剤を用いずに重合
してもよいが、必要に応じてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイ
ル(BPO)のようなラジカル重合触媒、アニオン重合触媒、カチオン重合触媒を用いて
もよい。
【0037】
光重合開始剤として好ましくは、ベンゾイン誘導体、イルガキュア651のようなベン
ジルケタール誘導体、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア18
4)のようなα−ヒドロキシアセトフェノン誘導体、イルガキュア907のようなα−アミノアセトフェノン誘導体などが挙げられる。
【0038】
本発明において、このような架橋性基として重合性不飽和二重結合基またはエポキシ基
を有するシクロオレフィン化合物は、特に反応性の観点から、これら重合性不飽和二重結
合基またはエポキシ基を有する置換基を複数有しているシクロオレフィン化合物が好まし
い。
【0039】
これらの重合性不飽和二重結合基またはエポキシ基を有するシクロオレフィン化合物は
、単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0040】
本発明に係る不飽和二重結合性基またはエポキシ基を有するシクロオレフィン化合物を
光重合させる場合、エネルギー線として、例えば紫外線を照射する手法を用いることがで
きる。紫外線照射源は低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ラ
ンプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光線等を挙げるこ
とが出来る。紫外線を照射による光重合は、空気または不活性気体中で行うことが出来る
が、不飽和二重結合性基を有するシクロオレフィン化合物を使用する場合には、空気中で
もよいが、重合の誘導期を短くするために窒素置換などにより出来るだけ酸素濃度が少な
くした環境がのぞましい。照射する紫外線の照射強度は0.1〜200mW/cm2程度
が良く、照射量は100〜30000mJ/cm2程度が好ましい。
【0041】
[セルロースアシレートとシクロオレフィン化合物の混合比]
本発明のセルロースアシレートとシクロオレフィン化合物を含有するハイブリッドフィ
ルムは、セルロースアシレート100質量%に対しシクロオレフィン化合物が0.1〜1
50質量%含まれることがのぞましい。シクロオレフィン化合物が10〜100質量%含
まれることがよりのぞましく、シクロオレフィン化合物が20〜80質量%含まれること
がさらにのぞましい。
【0042】
(湿度依存性改良剤)
本発明のハイブリッドフィルムにおいては、下記に述べる湿度依存性改良剤もまた、フィルムの耐久性を向上させるために好ましく用いることができる。
【0043】
本発明の光学フィルムは、水素結合性基を少なくとも二つ含む化合物を含有することが好ましい。
該水素結合性基を少なくとも二つ含む化合物を、本明細書においては湿度依存性改良剤とも呼ぶ。
以下、本発明の光学フィルムを形成する材料として好ましい、セルロースアシレートを用いた場合を例に挙げて説明する。
【0044】
本発明の光学フィルムに湿度依存性改良剤を加えることで面内レターデーションの湿度依存性を改良し得る。これは、湿度依存性改良剤が水素結合性基を二つ以上有し、セルロースアシレートの水酸基と相互作用することでセルロースアシレート鎖間に擬似架橋点を形成し、これによってセルロースアシレートと外界の水分子との相互作用を阻害するためと考えられる。
故に湿度依存性改良剤にはセルロースアシレートと相互作用するための水素結合性基が必須である。しかし湿度依存性改良剤に水素結合性基が多く存在し、親水的になりすぎると、フィルムの含水率、透水性が大きくなり偏光板の湿熱耐久性が低下する問題が発生する。
そのため、湿度依存性改良剤は疎水性を高めるために芳香族環を一つ以上有することが好ましい。
さらに湿度依存性改良剤は水素結合性基を2〜4個有し、かつ芳香族環を1〜3個有することがもっとも好ましい。
本発明において、水素結合性基とは、水素原子を有し、該水素原子と他の電気陰度性度の高い官能基との間で水素結合を形成できる官能基であり、本発明における水素結合性基としてはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基が好ましく、ヒドロキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基等の官能基が特に好ましい。
本発明において該湿度依存性改良剤はセルロースアシレートフィルム中に1〜30%含まれることが望ましく、5〜20%がより好ましく、7〜16%が特に好ましい。
【0045】
本発明に係る湿度依存性改良剤の分子量は250以上2000以下が好ましい。またその沸点は260℃以上であることが好ましい。沸点は市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製))を用いて測定できる。
本発明の湿度依存性改良剤としてはさまざまな化合物が使用可能であるが、下記一般式(A)で表される化合物が好ましく使用できる。
【0046】
【化1】


【0047】
一般式(A)中、R1、R2、R3、R4、R5、ないしR6は水素原子または置換基を表し、R1、R2、R3、R4、R5、ないしR6のうち少なくとも2つは水素結合性基である。置換基としては以下の置換基Tが適用できる。
【0048】
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換基Tで置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0049】
また、R1、R2、R3、R4、R5、ないしR6のうち少なくとも二つは置換又は未置換のアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基であり、より好ましくはアミノ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。またその際、置換基は同じでも異なっても良い。
【0050】
以下に本発明に好ましく用いられる一般式(A)で表される化合物の、特に好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0051】
【化2】


【0052】
【化3】


【0053】
【化4】


【0054】
[その他の添加剤]
本発明のセルロースアシレートとシクロオレフィン化合物を含有するハイブリッドフィ
ルムには、必要に応じて、可塑剤、光学的異方性調整剤、波長分散調整剤、紫外線吸収剤
、赤外吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、分散剤、微粒子、剥離剤、染料、顔料
、劣化防止剤、蛍光増白剤、耐電防止剤などを適宜添加することができる。本発明のハイ
ブリッドフィルムを溶液製膜する際のドープ溶液には、各調製工程において用途に応じた
上記の添加剤を溶解して加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程の
どの段階で添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製す
る工程を加えて行ってもよい。
【0055】
[その他の添加剤の添加量]
この際、セルロースアシレート100質量%に対して、その他の添加剤が5〜45質量
%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらにのぞましく
は15〜30質量%である。これらその他の添加剤の総量が5質量%未満であると、セル
ロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性
能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45質
量%を超えると、ハイブリッドフィルム中に添加剤が相溶する限界を超え、フィルム表面
に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
【0056】
[その他の添加剤の分子量]
上記のその他の添加剤は通常低分子化合物であり、本発明のハイブリッドフィルム作製
においては、分子量が3000以下の化合物とすることがのぞましい。2500以下がよ
りのぞましく、2000以下がさらにのぞましい。
【0057】
[溶融製膜]
本発明のハイブリッドフィルムの製法は、溶融製膜であっても良い。セルロースアシレ
ート、シクロオレフィン化合物、添加剤等の原料を加熱溶融させ、これを押出し射出成型
によりフィルム化しても良いし、加熱した2枚のプレートに原料を挟み込み、プレス加工してフィルム化しても良い。
【0058】
加熱溶融の温度は、原料であるセルロースアシレートおよびシクロオレフィン化合物が
共に均一に溶融する温度であれば特に制限されない。具体的には融点または軟化点以上の
温度に加熱する。均一なフィルムを得るためには、セルロースアシレートおよびシクロオ
レフィン化合物の融点よりも高い温度、好ましくは融点よりも5〜40℃高い温度、特に
好ましくは融点よりも8〜30℃高い温度に加熱して溶融させることが好ましい。
【0059】
[溶液製膜]
本発明のハイブリッドフィルムの製法はまた、セルロースアシレート、シクロオレフィ
ン化合物、添加剤などを溶剤に溶解し、溶液製膜することも特に好ましい。特にフィルム
の表面面状を良化する観点から溶液製膜は優れた製膜方法として用いることができる。溶
液製膜の具体的な手法としては、金属板など表面平滑性のある支持基板の上にキャスティ
ングする方法であれば特に限定はなく、ドープ溶液を直接支持基板上に展開して製膜して
も良いし、ギーサを用いた流延方法やブレードを用いた各種のコーティング法等の方法を
適宜用いて行うことができる。溶剤の乾燥は、使用される溶媒の沸点により室温または加
熱乾燥によって行うことができる。加熱乾燥は30〜200℃の温度範囲で、5分〜2時
間程度、所定の乾燥状態に合わせて静止または送風下で行うことができる。
【0060】
本発明のハイブリッドフィルムを溶液製膜で具体的に製造する方法の一例として、従来
より液晶表示装置用のセルロースアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法およ
び溶液流延製膜装置を挙げることができる。これについては後述する。
【0061】
本発明のハイブリッドフィルムを溶液製膜する際には、セルロースアシレートおよびシ
クロオレフィン化合物を有機溶媒に均一に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製
造される。本発明のハイブリッドフィルムの主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は
、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハ
ロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、
環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−
O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として
用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい
。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有す
る化合物の規定範囲内であればよい。
【0062】
[溶解工程]
本発明のハイブリッドフィルムの溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定さ
れず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合
わせで実施される。本発明におけるハイブリッドフィルム溶液の調製、さらには溶解工程
に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、セルロースアシレートフィルムの溶解方法に
準じることができ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月
15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく
用いられる。
【0063】
[ドープ溶液の透明度]
本発明のハイブリッドフィルム溶液のドープ透明度としては85%以上であることがの
ぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。本発
明においてはハイブリッドフィルムのドープ溶液においては、セルロースアシレート、シ
クロオレフィン化合物のほか、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体
的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分
光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを
あらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレ
ート溶液の透明度を算出した。
【0064】
[流延]
次に、本発明のハイブリッドフィルムを溶液製膜によるフィルムの製造方法について述
べる。本発明のハイブリッドフィルムを製造する方法および設備は、従来セルローストリ
アセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が好ましく用
いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレートおよびシクロオレ
フィン化合物の溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調
製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加
圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)
からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体が
ほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する

【0065】
[乾燥、巻き取り]
得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、
続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。
テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。
【0066】
[フィルムの残留溶剤量]
本発明のハイブリッドフィルムを溶液製膜によって得る場合、残留溶剤量が、0.01
〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜
1.0質量%である。なお、残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質
量である。
【0067】
[ハイブリッドフィルムの厚み]
本発明のハイブリッドフィルムの厚さは、偏光板の保護フィルムとしての適性上、また
製造上の観点から20〜200μmであることが好ましい。より好ましくは40〜180
μmであり、さらに好ましくは60〜150μmである。
【0068】
[フィルムのヘイズ]
本発明のハイブリッドフィルムのヘイズは0.01〜5.0%であることがのぞましい
。よりのぞましくは0.01〜2.5%であり、0.01〜1.5%であることがさらに
のぞましく、0.01〜1.0%であることがとくにのぞましい。光学フィルムとしてフ
ィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のハイブリッド試料40mm×8
0mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJI
S K−6714に従って測定した。
【0069】
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のハイブリッドフィルムのガラス転移温度Tgは、耐熱性の観点から80〜16
5℃であることがのぞましい。Tgが100〜165℃であることがより好ましく、11
0〜165℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のハイブ
リッドフィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱
量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度
Tgを算出した。
【0070】
[フィルムの保留性]
本発明のハイブリッドフィルムにおいては、フィルム中のした各種成分の保留性が要求
される。具体的には、本発明のハイブリッドフィルムを80℃/90%RHの条件下に4
8時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ま
しくは0〜3%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
【0071】
[透湿度]
本発明のハイブリッドフィルムは下記式(1)を満たすことがのぞましい。式(1')を満たすことがよりのぞましく、式(1'')を満たすことがさらにのぞましい。
式(1):A/B≦0.98
式(1'):A/B≦0.95
式(1''):A/B≦0.93
A:ハイブリッドフィルムの透湿度
B:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの透
湿度
【0072】
本発明のハイブリッドフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、
温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2
000g/m2・24hであることがのぞましい。500〜1800g/m2・24hであ
ることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。
2000g/m2・24hを越えると、フィルムの耐久性が落ちる傾向が強くなってしま
う。一方透湿度が400g/m2・24h未満では、ポリビニルアルコールからなる偏光
子の両面に貼り付けて保護膜とし、偏光板を作製する場合に、接着剤の乾燥が妨げられ、
接着不良を生じる。
【0073】
本発明のハイブリッドフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ
透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算す
る必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
【0074】
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のハイブリッドフィルム試料70mmφを25℃、90%RHおよび60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
【0075】
[フィルムの弾性率]
本発明のハイブリッドフィルムは下記式(2)を満たすことがのぞましい。式(2')を満たすことがよりのぞましく、式(2'')を満たすことがさらにのぞましい。
式(2):0.5≦C/D≦1.5
式(2'):0.6≦C/D≦1.4
式(2''):0.7≦C/D≦1.3
C:ハイブリッドフィルムの弾性率
D:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの弾
性率
【0076】
本発明のハイブリッドフィルムの弾性率は、偏光板の保護フィルムとしての適正上、2
00〜500kgf/mm2(1.96〜4.90GPa)であることが好ましい、より好
ましくは240〜470kgf/mm2(2.35〜4.61GPa)であり、さらに好ま
しくは270〜440kgf/mm2(2.65〜4.31GPa)である。具体的な測定
方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、2
5℃・60%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力−伸び曲線
の傾きから弾性率を求めた。
【0077】
[引っ張り破断伸度]
本発明のハイブリッドフィルムは下記式(3)を満たすことがのぞましい。式(3')を満たすことがよりのぞましく、式(3'')を満たすことがさらにのぞましい。
式(3):0.5≦E/F≦1.5
式(3'):0.6≦E/F≦1.4
式(3''):0.7≦E/F≦1.3
E:ハイブリッドフィルムの引っ張り破断伸度(%)
F:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの引
っ張り破断伸度(%)
【0078】
本発明のハイブリッドフィルムの引っ張り破断伸度は、偏光板の保護フィルムとしての
適正上、5〜100(%)であることが好ましい。より好ましくは5〜80(%)であり
、さらに好ましくは5〜50(%)である。具体的な測定方法としては、弾性率の測定を
行う際に、引っ張り前のフィルム長さ(L0)に対して破断時のフィルム長さを(L)とし
、(L−L0)/L0×100を破断伸度(%)として求めた。
【0079】
[光弾性係数]
本発明のハイブリッドフィルムは下記式(4)を満たすことがのぞましい。式(4')を満たすことがよりのぞましく、式(4'')を満たすことがさらにのぞましい。
式(4):G/H≦0.98
式(4'):G/H≦0.95
式(4''):G/H≦0.90
G:ハイブリッドフィルムの光弾性係数
H:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの光
弾性係数
【0080】
本発明のハイブリッドフィルムの光弾性係数は、50×10-13cm2/dyne(5×10-13N/m2)以下であることが好ましい。30×10-13cm2/dyne(3×10-13N/m2)以下であることがより好ましく、20×10-13cm2/dyne(2×10-13N/m2)以下であることがさらに好ましく、10×10-13cm2/dyne(1×10-13N/m2)以下であることがとくに好ましい。具体的な測定方法としては、ハイブリッドフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際の632.8nmにおけるレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
【0081】
[フィルムの寸度変化]
本発明のハイブリッドフィルムは、下記式(5)を満たすことがのぞましい。式(5')を満たすことがよりのぞましく、式(5'')を満たすことがさらにのぞましい。
式(5):I/J≦0.98
式(5'):I/J≦0.95
式(5''):I/J≦0.90
I:ハイブリッドフィルムの寸法変化率(絶対値)(%)
J:ハイブリッドフィルムに含まれるセルロースアシレートだけで作製したフィルムの寸
法変化率(絶対値)(%)
【0082】
寸法変化率は、60℃90%RH24時間後での値であり、±0.5%以内であること
がのぞましい。よりのぞましくは、±0.4%以内であり、さらにのぞましくは±0.3
%以内であり、とくにのぞましくは±0.1%以内である。
【0083】
具体的な測定方法としては、本発明のハイブリッドフィルム試料30mm×120mm
を用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))に
て、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。
この試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測
定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。これよ
り、60℃、90%RHの寸度変化率={(L0−L1)/L0}×100、として求め
た。
【0084】
上記の透湿度、弾性率、引っ張り破断伸度、光弾性係数、寸法変化率の調整は、例えば
セルロースアシレートと、シクロオレフィン化合物との混合比を調整することにより可能
である。
【0085】
[光学補償フィルム]
本発明のハイブリッドフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光
学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液
晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シ
ートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の
着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
【0086】
したがって本発明のハイブリッドフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用
いる場合、併用する光学異方性層のレターデーションReは0〜200nmであることが
好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。レターデーションReは
、試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、自動複屈折計KOBRA
21ADH(王子計測機器(株)製)において波長589nmの光をフィルム法線方向に入射
させて測定した値である。本発明において、特に断りのない限りにおいては、レターデー
ションの値はこの波長において測定した値をいう。本発明のハイブリッドフィルムが使用
される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムと
して要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方
性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリ
マーフィルムから形成しても良い。前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性
化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
【0087】
[ディスコティック液晶性化合物]
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Des
trade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71
,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化
学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew
.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Z
hang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page
2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
【0088】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが
好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分
子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性
分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換
基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させる
と、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基
との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、
特開2001−4387号公報に開示されている。
【0089】
[棒状液晶性化合物]
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、
シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサン
カルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニル
ピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類
およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶
性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0090】
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重
合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化
合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、
Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4
683327号、同5622648号、同5770107号、WO95/22586号、
同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/529
05号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同1
1−80081号、および特開2001−328973号の各公報などに記載の化合物が
含まれる。
【0091】
[ポリマーフィルムからなる光学異方性層]
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィル
ムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポ
リオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカ
ーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸
エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセ
ーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あ
るいはポリマー混合物を用いてもよい。
【0092】
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸ま
たは二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した
縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸
、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用
いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフ
ィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが
好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜
100μmであることが最も好ましい。
【0093】
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、およびポリ
アリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い
、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好
ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方
性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のハ
イブリッドフィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマー
フィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに
本発明のハイブリッドフィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ま
しい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下である
ことが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0094】
[偏光板]
本発明のハイブリッドフィルムは特に偏光板の保護フィルム用として有用である。偏光
板の保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法
で作製することができる。得られたハイブリッドフィルムをアルカリ処理し、ポリビニル
アルコールフィルム(PVA)を沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン
化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わり
に特開平6−94915号、特開平6−118232号公報に記載されているような易接
着加工を施してもよい。本発明のハイブリッドフィルムを光学補償フィルムとして用いた
場合は、偏光子と貼りあわせる面を同様にアルカリ鹸化処理して直接偏光子と貼りあわせ
ることもできるし、すでに偏光子の両面を保護フィルムで貼りあわせて作製された偏光板
に、粘着剤を介して光学補償フィルムを貼りあわせることもできる。
【0095】
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、
ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブ
チルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
【0096】
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板(液晶セル)が配置されてい
るが、本発明のハイブリッドフィルムを適用した偏光板の保護フィルムはどの部位に配置
してもよい。
【0097】
[機能層]
本発明のハイブリッドフィルムを偏光板の保護膜とし、液晶表示装置に用いる場合、表
面に各種の機能層を付与してもよい。それらは、例えば、硬化樹脂層(透明ハードコート
層)、防眩層、反射防止層、易接着層、光学補償層、配向層、液晶層、帯電防止層、など
である。本発明のハイブリッドフィルムを用いることができるこれらの機能層およびその
材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げ
られ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、
発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いる
ことができる。
【0098】
[液晶表示装置]
本発明のハイブリッドフィルム、およびこれを用いた光学補償フィルムや偏光板は、様
々な表示モードの液晶表示装置に適用することができる。代表的な表示モードとして、I
PS(In−Plane Switching)、VA(Vertically Ali
gned)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically
Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Ne
matic)、ECB(Electrically Controlled Biref
ringence)、FLC(Ferroelectric Liquid Cryst
al)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Cryst
al)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々
な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案
されている。本発明の物性良化したフィルムを用いたときの効果は、とくに大画面液晶表
示装置で顕著であり、その点で大型TV用に用いられるVAモードまたはIPSモードの
液晶表示装置に用いることが特に好ましい。
【実施例】
【0099】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0100】
[実施例1]
アセチル置換度2.86のセルロースアセテート100質量部、メチレンクロライド400質量部、メタノール60質量部をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液1を調製した。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂であるゼオノア(日本ゼオン製、ZF−14)100質量部をメチレンクロライド400質量部に溶解した。この溶液をプローブ型ソニケーターで20分間断続的に超音波処理(30秒間照射、30秒間放置、を20回繰り返し)し、質量平均分子量を12,000としてシクロオレフィン化合物を含む溶液2を得た。これら溶液1と溶液2を等量混合したところ、透明度が90%以上の均一ドープ溶液を得た。この混合溶液を用いて金属支持体へのキャスト法により、60cm×60cm、厚さ80μmのハイブリッドフィルム001を得た。
【0101】
[実施例2]
実施例1の超音波照射条件を、40分間断続的(30秒間照射、30秒間放置、を40回繰り返し)に変更し、質量平均分子量を4,500とした以外は実施例1と同様の操作により、厚さ80μmのハイブリッドフィルム002を得た。
【0102】
[実施例3]
実施例1のゼオノアの代わりに、熱可塑性ノルボルネン系樹脂であるARTON(JS
R(株)製)を用い、超音波照射により質量平均分子量を8,000とした以外は実施例1と同様の操作により、厚さ80μmのハイブリッドフィルム003を得た。
【0103】
[実施例4]
下記のシクロオレフィン化合物A50質量部、光重合開始剤イルガキュア907(チバ
ガイギー製)3質量部をメチレンクロライド20質量部へ溶解し、溶液状態で光照射する
ことにより重合して質量平均分子量を3,500とした。この溶液を実施例1のセルロー
スアシレート溶液1の560質量部に溶解した。このドープ溶液を濾過後、バンド流延機
を用いて流延した。シクロオレフィン化合物Aのセルロースアシレートに対する質量比は50%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、100℃で10分、
その後140℃で20分間乾燥させたのち、紫外線照射ゾーンを通して500mJ/cm
2の紫外線を照射し、その後フィルムを巻き取り、ハイブリッドフィルム004を得た。
出来あがったハイブリッドフィルムの残留溶剤量は0.1%以下であり、膜厚は80μm
であった。
【0104】
【化5】


【0105】
[実施例5]
シクロオレフィン化合物Aの代わりに下記のシクロオレフィン化合物B50質量部を用い、光照射により質量平均分子量を3,000とした以外は実施例4と同様の操作により膜厚80μmのハイブリッドフィルム005を得た。
【0106】
【化6】


【0107】
[実施例6]
実施例4において、化合物Aを溶液状態で光照射せず、単量体のまま用いる以外は実施例4と同様の操作を行い、膜厚80μmのハイブリッドフィルム006を得た。
【0108】
[実施例7]
アセチル置換度2.06、プロピオニル置換度0.79、トータル置換度2.85のセルロースアセテート100質量部、メチレンクロライド400質量部、メタノール60質量部をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液3を調製した。このセルロースアシレート溶液3をセルロースアシレート溶液1の代わりに用いる以外は実施例3と同様の操作を行い、膜厚80μmのハイブリッドフィルム007を得た。
【0109】
[実施例8]
アセチル置換度1.00、ブチリル置換度1.70、トータル置換度2.70のセルロースアセテート100質量部、メチレンクロライド400質量部、メタノール60質量部をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液4を調製した。このセルロースアシレート溶液4をセルロースアシレート溶液1の代わりに用いる以外は実施例4と同様の操作を行い、膜厚80μmのハイブリッドフィルム008を得た。
【0110】
[実施例9]
アセチル置換度1.00、ブチリル置換度1.70、トータル置換度2.70のセルロースアセテート100質量部、実施例1で使用したシクロオレフィン化合物を含む溶液2を乾燥後樹脂化したものを細かく砕いたペレット20質量部、可塑剤TPP(トリフェニルフォスフェート)10質量部を、加熱プレス機にて温度250℃、5MPaの圧力をかけ、膜厚が80μmになるようスペーサを挟んでプレス成型し、熱溶融によりハイブリッドフィルム009を得た。
【0111】
[比較例1]
上記実施例1で調製したセルロースアシレート溶液1に、実施例1の超音波処理する前
のゼオノア溶解液(分子量は20,000より大、分子量の確定は困難)を溶解しようとしたが、完全に溶解した溶液とはならかった。この溶液から実施例1と同様の操作により比較試料フィルム100を得たが、フィルムの透明度は不十分で、光学フィルムとして用いることは困難だった。
【0112】
[比較例2]
上記実施例1で調整したセルロースアシレート溶液1のみを用いてキャスティング法によ
り、厚さ80μmの比較試料フィルム101を得た。
【0113】
[比較例3]
実施例1で調製したセルロースアシレート溶液1のみを用いて実施例4と同様に、濾過
後、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、
100℃で10分、その後140℃で20分間乾燥させ、その後フィルムを巻き取り、膜
厚80μmの比較試料フィルム102を得た。
【0114】
[比較例4]
実施例7で調製したセルロースアシレート溶液3のみを用い、実施例7と同様の操作を
行い、膜厚80μmの比較試料フィルム103を得た。
【0115】
[比較例5]
実施例8で調製したセルロースアシレート溶液4のみを用い、実施例8と同様の操作を
行い、膜厚80μmの比較試料フィルム104を得た。
【0116】
[比較例6]
実施例9で用いたアセチル置換度1.00、ブチリル置換度1.70、トータル置換度2.70のセルロースアセテート100質量部、可塑剤TPP(トリフェニルフォスフェート)10質量部を、加熱プレス機にて温度250℃、5MPaの圧力をかけ、膜厚が80μmになるようスペーサを挟んでプレス成型し、熱溶融により比較試料フィルム105を得た。
【0117】
[比較例7]
熱可塑性ノルボルネン系樹脂であるゼオノア(日本ゼオン製、ZF−14)を比較試料106として用意した。
【0118】
[比較例8]
熱可塑性ノルボルネン系樹脂であるARTON(JSR(株)製)を比較試料107として用意した。
【0119】
[比較例9]
本発明のシクロオレフィン化合物を含むハイブリッドフィルムと比較するため、ポリエ
ステルを含む比較試料を作成した。具体的には、特許文献7(特開2002−22956
号公報)の実施例1、試料No.6の作製に準じ、アセチル置換度2.88のセルロースアシレートを100質量部、分子量5,500のポリエステル15質量部を用いてドープとし、製膜方法は前述の実施例4と同様の流延操作により膜厚が80μmの比較試料フィルム108を得たが、フィルムの透明度は不十分で、光学フィルムとして用いることは困難だった。
【0120】
以上実施例1〜9にて得たハイブリッドフィルム001〜009および比較例1〜9に
て得られた比較試料フィルム100〜108の処方、製膜方法および諸物性を表1にまと
めた。
【0121】
【表1】


【0122】
表1より、本発明のハイブリッドフィルム001と同様にして作製したシクロオレフィ
ン化合物を含まない比較試料101と比較すると、本発明のハイブリッドフィルム001
は透湿度が減少、弾性率が増加、光弾性係数が減少、寸法変化率が減少しており、フィル
ム性能が良化した。同様にハイブリッドフィルム002〜009についてもそれぞれ対応
する比較試料フィルムよりも性能が良化した。また本発明の試料のヘイズはいずれも小さ
く、十分な透明性を持っていた。分子量が大きすぎるシクロオレフィン化合物を用い溶解
不十分である比較試料100や、シクロオレフィン化合物ではなくポリエステルを含む比
較試料108は透明性が悪く、フィルムとして用いるのに十分な性能を持っていなかった

【0123】
[実施例10]
(偏光板の作製)
本発明のハイブリッドフィルム001を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、5
5℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて
中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このよ
うにして、ハイブリッドフィルムの表面をケン化した。続いて、厚さ80μmのロール状
ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ
20μmの偏光子を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶
液を接着剤として、前記のケン化したハイブリッドフィルム001を2枚用意して偏光子
を間にして貼り合わせ、両面がハイブリッドフィルム001によって保護された偏光板を
得た。この際両側のハイブリッドフィルム001の遅相軸が偏光子の透過軸と平行になる
ように貼り付け、偏光板001を作製した。同様にしてハイブリッドフィルム002〜0
09および比較試料フィルム101〜107についても偏光板を作製し、以下これら偏光
板を偏光板001〜009、101〜107という。偏光板001〜009はいずれも十
分な偏光度を持っていた。
【0124】
(偏光板の耐久試験)
上記で作製した偏光板試料001〜009および偏光板試料101〜107を20cm
×30cmに切り出し、これを粘着剤を介してガラス板に固定して60℃90%RHの高
湿度下に500時間置いた。これを常温常湿度条件に戻したのち、もう一枚の偏光板でク
ロスニコルとして二枚の偏光板の裏側にバックライトを置き、表側を視認側とした。観察
箇所は偏光板試料の額縁(サンプルの縁から1cmの場所)とし、二枚の偏光板の直交し
た吸収軸の平面内での回転角をそれぞれ0°、90°としたときこれらを二分する回転角
45°の方向において、平面の垂線から極角斜め45°傾けた方向から目視観察した。こ
の斜め45度からの光漏れを、明らかな光漏れが見られない(○)、若干の光漏れが認め
られるが実用上許容範囲内(△)、明らかに光漏れがある(×)として評価した。
【0125】
(偏光子の密着性の評価)
上記で作製した偏光板試料において、本発明のハイブリッドフィルムまたは比較試料フ
ィルムを鹸化処理した面と偏光子との貼り合わせについては、十分な密着性が要求される

本発明のハイブリッドフィルムを用いた偏光板の片面において、保護フィルムであるハ
イブリッドフィルムの深さ分だけカッターで5mm×5mmの正方形の切込みを入れ、こ
の部分に幅20mm長さ30mmの市販のセロハンテープを貼りつけたのちにセロハンテ
ープを剥がす作業を繰り返し、セロハンテープだけが剥がれれば保護フィルムと偏光子と
は密着しているが、セロハンテープと一緒に保護フィルムが剥がれれば保護フィルムと偏
光子との密着が不十分と判断した。上記の作業を50回繰り返し、保護フィルムを剥がす
作業を繰り返して、50回繰り返しても剥がれなし(○)、30回以上50回未満で剥が
れあり(△)、30回未満で剥がれあり(×)の三段階で密着性を評価した。
【0126】
[実施例11]
(光学補償フィルムの作製)
本発明のハイブリッドフィルム試料を用いて、特開2003−315541号公報の実
施例1に記載の方法に準じて光学補償フィルム試料を作製した。2,2'−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2'−
ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成され
た、質量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキ
サノンを用い25wt%に調製した溶液を、実施例4で作製した本発明のハイブリッドフ
ィルム試料004(厚さ80μm)に塗布した。その後100℃で10分熱処理後、16
0℃で15%縦一軸延伸することにより厚さ6μmのポリイミドフィルムが本発明のハイ
ブリッドフィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特
性は、Re=75nm、Rth=220nm、配向軸のズレ角度は±0.3度以内で、nx>ny>nzの複屈折層を持つ光学補償フィルムであった。
【0127】
(比較例)
上記のハイブリッドフィルム試料004の代わりに、比較試料102(厚さ80μm)
に塗布した以外は同様の操作により、厚さ6μmのポリイミドフィルムが比較試料102
のフィルムに塗布された光学補償フィルムを得た。この光学補償フィルムの光学特性は、
Re=75nm、Rth=220nmであった。
【0128】
(VAモード液晶表示装置への実装評価)
上記実施例11で得られた光学補償フィルムの、ポリイミドフィルムを塗布していない
側をアルカリ鹸化処理しポリビニルアルコール系接着剤で偏光子と接着することにより、
直接偏光子と貼り合せた。この際光学補償フィルムのnx方向と偏光板の吸収軸が直交す
るように貼り合せた。この際、光学補償フィルムが液晶セル側となるように粘着剤でVA
モード液晶表示装置パネルに貼り合わせた。なお、液晶セルの反対側には偏光板の吸収軸
同士が直交するように偏光板のみを粘着剤を介してVA液晶パネルに貼り合せ、液晶表示
装置004を得た。上記比較例で得られた光学補償フィルムについても同様の操作により
VAモード液晶パネルに貼り合わせ、液晶表示装置102を得た。
【0129】
(VAモード液表表示装置のコーナームラ評価)
以上のようにして得られた液晶表示装置004および102について、同時に電源を入
れ、黒表示した状態で24時間連続点灯した。これら液晶表示装置の四隅のコーナーから
1cmの場所を観察箇所とし、明らかにムラ状の光漏れが見られない(○)、若干の光漏
れが認められるが実用上許容範囲内(△)、明らかに光漏れがある(×)として評価した

【0130】
上記実施例10および実施例11の評価結果を表2に示した。
【0131】
【表2】


【0132】
本発明のハイブリッドフィルムからなる偏光板001〜009は、比較試料からなる偏
光板101〜107よりも光漏れが少なく耐久性に優れていた。また、本発明のハイブリ
ッドフィルム001〜009および比較試料101〜105は、フィルムの鹸化処理面と
偏光子との貼り合わせ密着性は良好だった。一方、シクロオレフィン化合物単独の樹脂か
らなる比較試料106、107は、表面の疎水性が高く貼り合わせ密着性が悪く貼合でき
なかった。
【0133】
また、本発明のハイブリッドフィルム004を用いた液晶表示装置004はコーナーム
ラ(光漏れ)が見られず、比較試料102を用いた液晶表示装置102よりも耐久性に優
れていた。
【0134】
以上より、本発明のハイブリッドフィルムは、シクロオレフィン化合物を含まないセル
ロースアシレートのみからなる比較試料フィルムよりも耐久性に優れており、またシクロ
オレフィン化合物のみからなるゼオノアやアートンよりも偏光子への貼合性に優れている
。セルロースアシレートと特定範囲の分子量のシクロオレフィン化合物とハイブリッドと
したことで、セルロースアシレートフィルムの特徴と、シクロオレフィン系フィルムの特
徴とを併せ持つハイブリッドフィルムを提供することができる。




 

 


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