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発明の名称 高耐熱ポリマー前駆体フィルム、光学フィルムおよびその製造方法、並びに、これを用いた画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84650(P2007−84650A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−273509(P2005−273509)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 大林 達彦
要約 課題
製膜特性に優れ、透明性、耐熱性に優れる光学部品用途に適した光学フィルムを形成可能な高耐熱ポリマー前駆体フィルム、これを用いた光学フィルムおよびその製造方法、並びに、該光学フィルムを用い表示品位に優れた画像表示装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
熱または活性エネルギー線の作用によって350℃以下の温度で離脱し得る離脱基を有し、前記離脱基の離脱後のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であるポリマーからなることを特徴とする高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【請求項2】
前記ポリマーが、ポリアリレートまたはポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【請求項3】
前記ポリマーが、アリル基で置換された3級アルキル基を有するポリアリレートまたはポリアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【請求項4】
前記ポリマーが、2級または3級のアルコキシカルボニル基で部分的にまたは完全にアミド基の窒素原子が置換されたポリアミドであることを特徴とする請求項1または2に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【請求項5】
前記ポリマーが下記一般式(1)または下記一般式(2)で表わされる構造を有することを特徴とする請求項1に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【化1】


[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【化2】


[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルムに熱または活性エネルギー線を作用させて離脱基を離脱させ、ガラス転移温度(Tg)200℃以上の光学フィルムを製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の温度で前記ポリマーから離脱基を離脱させることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項8】
1軸または2軸の方向に延伸した後、前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の温度で前記ポリマーから離脱基を離脱させることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルム。
【請求項10】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項9に記載の光学フィルム。
【請求項11】
少なくとも片面にガスバリア層が積層されていることを特徴とする請求項9または10に記載の光学フィルム。
【請求項12】
少なくとも片面に透明導電層が積層されていることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の光学フィルム。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性、光学特性に優れた光学フィルムおよびその製造方法、該フィルムを形成可能な高耐熱ポリマー前駆体フィルム、更に、前記光学フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子、有機EL素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置として、特に要望が高い。
このプラスチック基板には導電性を必要とするため、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
この目的に使用されるプラスチックとしては耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)に透明導電層、ガスバリア層を積層したものが知られている。
しかしこのような耐熱性プラスチックを用いてもプラスチック基板として十分な耐熱性が得られなかった。すなわち、これら耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成させた後、基板を配向膜などの付与のため150℃以上の温度にさらすと、導電性やガスバリア性が大きく低下するという問題があった。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求される。
【0003】
特許文献4には、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃もしくはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が記載されている。また、特許文献5にはエネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンが混合された半導体層とを形成する方法が記載されている。特許文献6には、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法が記載されている。これらのように300℃以下でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は、種々提案されているが、構成や装置が複雑なものであり、更に高コストとなり、300℃ないし350℃以上の耐熱性が、プラスチック基板には求められている。
【0004】
特許文献7には、脂肪族テトラカルボン酸無水物から誘導されるポリイミドを用いた薄膜トランジスタ基板について開示されている。特許文献7の実施例に記載のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度(Tg)(以下、単に「Tg」と称する場合がある。)315℃、全光線透過率85%と耐熱性、透明性に優れるが、原料となる脂肪族テトラカルボン酸無水物が高コストであり、また高沸点溶媒を用いた高温での製膜が必要であることも製造上好ましくない。
【0005】
特許文献8および9には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「ビスフェノールフルオレン」とも称する。)とイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。また、特許文献10には、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリエステルフィルムに関する記載がある。
これらのアルキル置換または無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリエステルは安価な原料から合成可能であり、かつガラス転移温度が300℃付近になる。さらに前記特許文献によればジクロロメタン、シクロヘキサノンなどの低沸点溶剤を用いて透明性、破断伸びに優れた柔軟なフィルムが作製されている。しかしながら、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFT設置工程に対しては必ずしも十分な耐熱性を有しているとはいえず、またプラスチック基板に求められる力学特性の要求に対してもさらなる改良が望まれていた。
【0006】
ポリマーの耐熱性を向上させる手段としては剛直な分子構造とすることが有効であるが、このような分子設計においては、溶剤への溶解性が悪化し製膜が困難に成る場合が多い。
すなわち、製膜適性に優れ、かつ耐熱性に優れる光学フィルムの開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−227603号公報(全頁)
【特許文献2】特開2000−284717号公報(全頁)
【特許文献3】特開2001−150584号公報(全頁)
【特許文献4】特開平7−81919号公報(全頁)
【特許文献5】特表平10−512104号公報(全頁)
【特許文献6】特開平11−102867号公報(全頁)
【特許文献7】特開2003−168800号公報(全頁)
【特許文献8】特開昭57−192432号公報(全頁)
【特許文献9】特開平3−28222号公報(全頁)
【特許文献10】国際公開第99/18141号パンフレット(全頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、製膜特性に優れ、透明性、耐熱性に優れる光学部品用途に適した光学フィルムを形成可能な高耐熱ポリマー前駆体フィルム、並びにこれを用いた光学フィルムおよびその製造方法を提供することであり、更に、該光学フィルムを用い表示品位に優れた画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は、以下の1)〜13)の本発明によって達成された。
1) 熱または活性エネルギー線の作用によって350℃以下の温度で離脱し得る離脱基を有し、前記離脱基の離脱後のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であるポリマーからなることを特徴とする高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【0010】
2) 前記ポリマーが、ポリアリレートまたはポリアミドであることを特徴とする前記1)に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【0011】
3) 前記ポリマーが、アリル基で置換された3級アルキル基を有するポリアリレートまたはポリアミドであることを特徴とする前記1)または2)に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【0012】
4) 前記ポリマーが、2級または3級のアルコキシカルボニル基で部分的にまたは完全にアミド基の窒素原子が置換されたポリアミドであることを特徴とする前記1)または2)に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【0013】
5) 前記ポリマーが下記一般式(1)または下記一般式(2)で表わされる構造を有することを特徴とする前記1)に記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルム。
【0014】
【化1】


[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【0015】
【化2】


[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【0016】
6) 前記1)〜5)のいずれかに記載の高耐熱ポリマー前駆体フィルムに熱または活性エネルギー線を作用させて離脱基を離脱させ、ガラス転移温度(Tg)200℃以上の光学フィルムを製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0017】
7) 前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の温度で前記ポリマーから離脱基を離脱させることを特徴とする前記6)に記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
8) 1軸または2軸の方向に延伸した後、前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の温度で前記ポリマーから離脱基を離脱させることを特徴とする前記7)に記載の光学フィルムの製造方法。
【0019】
9) 前記6)〜8)のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする光学フィルム。
【0020】
10) 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする前記9)に記載の光学フィルム。
【0021】
11) 少なくとも片面にガスバリア層が積層されていることを特徴とする前記9)または10)に記載の光学フィルム。
【0022】
12) 少なくとも片面に透明導電層が積層されていることを特徴とする前記9)〜11)のいずれかに記載の光学フィルム。
【0023】
13) 9)〜12)のいずれかに記載の光学フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高温で各種機能層を形成可能な耐熱性を有し、かつ優れた光学特性を有する光学フィルムを形成可能な高耐熱ポリマー前駆体フィルム、これを用いた光学フィルムおよびその製造方法、並びに、該光学フィルムを用い表示品位に優れた画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0026】
《高耐熱ポリマー前駆体フィルム》
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは、熱または活性エネルギー線の作用によって350℃以下の温度で離脱し得る離脱基を有し、前記離脱基の離脱後のガラス転移温度(Tg)が200℃以上であるポリマーからなることを特徴とする。本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは、熱または活性エネルギー線の作用により350℃以下の温度で離脱し得る基を有するポリマー(以下、「高耐熱ポリマー前駆体」と称する場合がある。)を製膜した後に離脱基を離脱させることによりTg200℃以上の本発明のフィルムを作製することができる。即ち、本発明においては、前記離脱基を離脱させる前のフィルムを「本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルム」と称し、離脱基を離脱させ、Tgが200℃以上となったフィルムを「本発明の光学フィルム」と称する。
前記高耐熱ポリマー前駆体に導入される離脱基は、高耐熱ポリマー前駆体の溶剤への溶解性を高め、製膜を容易にする一方で、製膜後に熱または活性エネルギー線の作用によって速やかに分解離脱することにより、高耐熱の本発明の光学フィルムを形成することを可能にするものである。
ここで、本発明において「熱または活性エネルギー線の作用」とは、フイルムを加熱(好ましくは50〜350℃、より好ましくは70〜280℃)またはフイルムに活性エネルギー線を照射することを意味する。活性エネルギー線としては、電子線、α線、β線、γ線などの電離放射線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波などが挙げられるが、本発明では、取扱いが容易で照射効率が良いことから紫外線、または電子線がより好ましく、特に好ましくは紫外線である。
紫外線を照射する場合は高圧水銀ランプを用いて行うことが好ましい。この際、例えば酸素濃度3%以下の条件で紫外線照射を行うことが好ましく、より好ましくは酸素濃度2%以下の条件であり、特に好ましくは1%以下の条件である。照射エネルギーは100mJ/cm2〜1500mJ /cm2の範囲であることが好ましく、より好ましくは150mJ/cm2〜1000mJ/cm2の範囲であり、特に好ましくは200mJ/cm2〜800mJ/cm2の範囲である。
電子線を照射する場合の照射条件は、照射線量が1〜80Mrad、好ましくは5〜60Mradより好ましくは10〜40Mradの範囲で、加速電圧が50〜500KV、好ましくは100〜400KV、特に好ましくは150〜300KVの範囲である。
活性エネルギー線を照射する工程において、反応を促進する目的で加熱を同時に行なってもよく、活性エネルギー線照射後に加熱を行なっても良い。この際の加熱温度は、ポリマーのガラス転位温度以上が好ましく、ガラス転移温度より5〜100℃高い温度がより好ましく、10〜50℃高い温度が特に好ましい。
また、「離脱」とは、主鎖の切断による重合度変化を起こさず、側鎖置換基が主鎖より切り離されることを意味し、熱または活性エネルギー線の作用によって対象とする離脱基全体の40%以上(好ましくは50%以上、更に好ましくは60%以上)の離脱基が離脱することを意味する。また、本発明における「離脱基の離脱」は、離脱基の分解、主鎖−離脱基間の結合切断に起因する離脱、水分子等の求核種による求核置換を含む概念である。
【0027】
前記離脱基の離脱は350℃以下の温度で起こることが必要である。これは、離脱に350℃を超える温度を要する離脱基であると製膜設備における加熱ゾーンの負荷が極めて大きくなり、また350℃を超える温度で加熱するとポリマーの着色が生じやすくなるためである。前記離脱基は、350℃以下で離脱するものであれば特に限定されないが、より好ましくは50〜300℃であり、特に好ましくは70℃〜280℃の温度範囲で離脱する置換基である。本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムには、離脱基の分解を促進するために熱または活性エネルギー線の作用によって、酸または塩基等を発生する酸発生剤等の公知の化合物を共存させることも好ましい。また、触媒の作用によって350℃以下の温度で分解する置換基を有するポリマーを、前記高耐熱ポリマー前駆体として用いることも本発明では有用である。
【0028】
本発明では離脱基が離脱した後のポリマー、即ち、本発明の光学フィルムのTgは200℃以上になるが、好ましいTgは250℃以上であり、より好ましくは300℃以上である。
【0029】
前記高耐熱ポリマー前駆体に導入される離脱基としては、熱または活性エネルギー線の作用により350℃以下の温度で離脱する置換基であれば制限はないが、β位に水素原子を有する2級もしくは3級のアルコキシカルボニル基(例えば、t−ブトキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、1−フェニルエトキシカルボニル基、1,1−ジフェニルエトキシカルボニル基、2−シクロヘキセンオキシカルボニル基等);β位に水素原子を有する2級もしく3級のアルキル基(例えば、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、4,5−ジヒドロ−2−メチルフラン−5−イル基、t−ブチル基、2−シクロヘキセニル基等);あるいはレトロディールスアルダー反応により離脱し得る基(例えば、二酸化炭素、アゾジカルボン酸ジエチル、アクリル酸エステル、アクリルアミド等のジエノファイルの芳香環への付加体)が好ましい例として挙げられ、特に好ましくは3級のアルコキシカルボニル基である。
【0030】
前記高耐熱ポリマー前駆体中における前記離脱基の含有量は、離脱基の種類にも依存するが、少なすぎると本発明の意図する溶解性改良効果が十分に得られず、多すぎると製膜時の体積収縮、気泡の発生等により平滑なフィルムを得るのが困難になるため、、本発明では10-4〜10mmol/gが好ましく、10-3〜2mmol/gが更に好ましい。
【0031】
離脱基の離脱を促進する前記酸発生剤としては、例えば有機エレクトロニクス材料研究会(ぶんしん出版)編「イメージング用有機材料」p187〜198、特開平10−282644号等に種々の例が記載されておりこれら公知の化合物を使用することができる。具体的には、RSO3−(Rはアルキル基、アリール基を表す)、AsF6−、SbF6−、PF6−、BF4−等をカウンターイオンとするジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等の各種オニウム塩;トリハロメチル基が置換したオキサジアゾール誘導体やS−トリアジン誘導体等の有機ハロゲン化物、有機酸のo−ニトロベンジルエステル、ベンゾインエステル、イミノエステル、ジスルホン化合物等が挙げられ、好ましくは、オニウム塩類、特に好ましくはスルホニウム塩、ヨードニウム塩類である。塩基を発生する化合物も公知のものを使用することができ、具体的にはニトロベンジルカルバメート類、ジニトロベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
【0032】
本発明に用いられる高耐熱ポリマー前駆体の主鎖構造に特に制限はないが好ましくは、ポリアミド、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール等の縮合系ポリマーであり、より好ましくはポリアミドまたはポリアリレートである。
さらに、本発明ではポリアミドの窒素原子が部分的に2級または3級のアルコキシカルボニル基、特に3級のアルコキシカルボニル基(例えば、t−ブトキシカルボニル基)で置換されたものが特に好ましい。また、ポリアミドの窒素原子が完全に2級または3級のアルコキシカルボニル基、特に3級のアルコキシカルボニル基(例えば、t−ブトキシカルボニル基)で置換されたものも好ましい。
【0033】
また、本発明に用いられるポリマーは下記一般式(1)または一般式(2)で構造を有することが好ましい。
【0034】
【化3】


【0035】
一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。
【0036】
【化4】


【0037】
一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
【0038】
一般式(1)における環αの例としては、インダン環、クロマン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、インドリン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環βの例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環γとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α-ピロン環等が挙げられる。
【0039】
前記一般式(1)で表されるスピロ構造を有する連結基の好ましい例としては、下記一般式(3)で表されるスピロビインダン構造、下記一般式(4)で表されるスピロビクロマン構造、下記一般式(5)で表されるスピロビベンゾフラン構造が挙げられる。
また、前記一般式(2)で表されるカルド構造を有する連結基の好ましい例として、下記一般式(6)で表されるフルオレン構造が挙げられる。
【0040】
【化5】


【0041】
一般式(3)中、R31、R32はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R33は置換基を表わす。R31〜R33で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい前記置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R31、R32のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R33のより好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
【0042】
【化6】


【0043】
一般式(4)中、R41は水素原子または置換基を表し、R42は置換基を表す。R41、R42で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R41のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R42のより好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
【0044】
【化7】


【0045】
一般式(5)中、R51は水素原子または置換基を表し、R52は置換基を表わす。R51、R52で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R51のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R52のより好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
【0046】
【化8】


【0047】
一般式(6)中、R61、R62は置換基を表す。R61、R62で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜4の整数を表す。好ましい置換基の例は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基であり、より好ましい例は、塩素原子、臭素原子、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基またはフェニル基である。
【0048】
以下に本発明に有用なポリマー(高耐熱ポリマー前駆体)の構造(例示化合物P−1〜P−40)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
【化9】


【0050】
【化10】


【0051】
【化11】


【0052】
【化12】


【0053】
【化13】


【0054】
【化14】


【0055】
【化15】


【0056】
【化16】


【0057】
【化17】


【0058】
【化18】


【0059】
【化19】


【0060】
本発明におけるポリマー(高耐熱ポリマー前駆体)は前記の構造を単独で用いてもよく、複数種混合して用いてもよい。
【0061】
本発明における高耐熱ポリマー前駆体の好ましい分子量は重量平均分子量で1000〜50万、より好ましくは5千〜30万、特に好ましくは、1万〜20万である。分子量が低すぎる場合、フィルム成形が難しくなったり、力学特性が低下することがある。分子量が高すぎる場合、合成上分子量のコントロールが難しかったり、溶液の粘度が高すぎて取扱いが難しくなることがある。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
また、本発明における高耐熱ポリマーの好ましいガラス転移温度Tgは、溶解性、製膜適性の点で、150〜350℃が好ましく、200〜300℃が更に好ましい。
【0062】
本発明における高耐熱ポリマー前駆体において、離脱基はモノマー段階で導入してもよいが高分子反応によって直接ポリマーに導入してもよい。離脱基の種類によって導入方法は異なるが、芳香環に3級アルキル基を導入する場合はフリーデルクラフツ反応;アルコキシカルボニル基を導入する場合にはフリーデルクラフツ反応やカルボキシル基のエステル化;水酸基やアミノ基にアルコキシカルボニル基を導入する場合には、塩基の存在下炭酸エステルやアルコキシカルボニルクロライド等を作用させる方法;ディールスアルダー反応付加体を合成する場合には、ジエン誘導体にジエノファイル(例えばジエチルアゾジカルボキシレート、二酸化炭素等)を作用させるなど公知の手法を利用することができる。
【0063】
本発明における高耐熱ポリマー前駆体は公知の重合方法で合成することができる。具体的な合成手法に関しては、例えば「新高分子実験学2、高分子の合成・反応(1)、同(2)、高分子学会編」等に記載されている。
【0064】
例えば本発明における高耐熱ポリマー前駆体がポリエステルの場合には、ジカルボン酸クロライドとビスフェノールを有機塩基との存在下、ポリマーが可溶となる有機溶媒系で反応させる脱塩酸均一重合法や、ジカルボン酸クロライドとビスフェノールをアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒との2相系で反応させる界面重縮合法など方法を利用することができる。
【0065】
本発明に有用なポリエステルは前記いずれの合成法によっても合成することができるが、特に界面重縮合法が簡便で好ましい。界面重縮合反応においては、アルカリ水溶液に溶解させたビスフェノール化合物と水非混和性有機溶媒(代表的にはジクロロメタンなど)とに溶解させたジカルボン酸クロライドを短時間で混合する方法が一般的であるが、ビスフェノール化合物のアルカリ水溶液に対する溶解度が低い場合がある。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライドの様に水非混和性有機溶媒に対する溶解度が低いジカルボンクロライドにおいて、公知の方法ではポリエステルを合成できない場合がある。この場合、予め水、水非混和性有機溶媒、ビスフェノール化合物、ジカルボン酸クロライドをスラリー状混合撹拌しておき、高濃度のアルカリ水溶液を徐々に添加していく方法が高分子量化に有効である。
【0066】
前記ポリエステルの分子量を調節する方法としては、重合時に一官能の物質を添加して行うことができる。ここでいう分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどの一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一価酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などの一価のカルボン酸などを用いることができる。
【0067】
前記ポリエステルのカルボキシル価は300μmol/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μmol/g以下であり、特に好ましくは10μmol/g以下である。カルボキシル価が高すぎると、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に影響を与えたり、溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性にも影響したり、溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性に影響を与える場合がある。樹脂のカルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定することができる。
【0068】
本発明における高耐熱ポリマー前駆体として用いることのできるポリアミドも公知の製造法に従って合成することができ、ポリエステルと同様の手法によるジアミン化合物とジカルボン酸クロライドとの重縮合法、亜リン酸トリフェニル/ピリジン等の縮合剤の存在下ジカルボン酸とジアミンとを脱水縮合させる方法などが好ましい。
【0069】
本発明における高耐熱ポリマー前駆体中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。残留アルカリ金属量およびハロゲン量が高すぎると、上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。本発明における高耐熱ポリマー前駆体中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0070】
また、本発明における高耐熱ポリマー前駆体中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量は200ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満である。残留する触媒量が高すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。ポリマー中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はHPLC、ガスクロマトグラフ法などを利用して定量できる。
【0071】
さらに本発明における高耐熱ポリマー前駆体中に残留するフェノールモノマー、ジカルボン酸、ジカルボン酸クロライド、ジアミン、ジイソシアネート等のモノマー由来の残存成分の量は3000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。残留するモノマー成分の量が多すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。例えば本発明のフィルム上に透明導電膜を形成する際、成膜時の加熱やプラズマの影響により、残留するモノマー成分由来のガスが発生したり、熱分解等が生じることにより、透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、また「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されるなどの悪影響を及ぼすため好ましくない。ポリマーおよびそのフィルム中に残留するモノマー量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析することができる。
【0072】
前記ポリマーからなる本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前記ポリマー以外のポリマーを含んでいてもよい。また、本発明におけるポリマー(高耐熱ポリマー前駆体)以外に適宜架橋反応性樹脂を添加してもよい。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムの構成成分として本発明におけるポリマー以外の樹脂を用いる場合、本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムの全固形分に対する本発明におけるポリマーの含有量は、フイルムの高耐熱性と製膜適性の両立を意図した前駆体ポリマーの効果を損なわないという点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0073】
前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。その他架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤としては、三井武田ケミカル(株)製「B−882N」、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネート2513」(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製「サイメル303」(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
【0074】
【化20】


【0075】
前記放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられる。代表的な例としては、分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
【0076】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムにおいては、前記で挙げた熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂とを併用してもよい。
【0077】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムには、金属の酸化物および/または金属の複合酸化物、およびゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有することができる。この場合、前記で挙げた架橋樹脂と同様に耐熱性、耐溶剤性を付与できる。さらに必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
【0078】
本発明におけるポリマー(高耐熱ポリマー前駆体)をフィルムまたはシート形状に成形する方法としては公知の方法が採用できるが、本発明におけるポリマーは上述の離脱基を有することから溶解性が高く、溶液流延法が好ましい方法として挙げられる。溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号明細書、米国特許2367603号明細書、米国特許2492078号明細書、米国特許2492977号明細書、米国特許2492978号明細書、米国特許2607704号明細書、米国特許2739069号明細書、米国特許2739070号明細書、英国特許640731号明細書、英国特許736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載がある。溶液流延法にて製造する製造装置の例としては特開2002−189126号公報、段落番号[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0079】
溶液流延法においては、本発明におけるポリマーを溶媒に溶解する。使用する溶媒は前記ポリマーを溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。また、本発明に用いられるポリマーの溶解性を損なわない範囲で貧溶媒を混合することも可能で、この場合、溶液流延後の剥ぎ取りや乾燥速度の観点で有利になる場合がある。
【0080】
本発明に用いることができる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、溶媒は2種以上を混合して用いてもよく、乾燥性と溶解性との両立の観点からむしろ混合溶媒が好ましい。また、混合溶媒とすることで、本発明の光学フィルムの透明性を向上させることができる場合もあり好ましい。
【0081】
溶液流延に用いる溶液中の本発明におけるポリマーの濃度は5〜60質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。本発明におけるポリマーの濃度が低すぎると粘度が低く厚さの調節が困難となりやすく、高すぎると製膜性が悪くムラが大きくなる場合がある。また、溶液流延前に必要に応じてろ過することで本発明の光学フィルムの透過率やフィルム内の不純物を低減させることが可能となる。
【0082】
前記本発明におけるポリマーを溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
【0083】
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。これによって、光学的に等方性を有したポリマーフィルム(本発明の光学フィルム)を得ることができる。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が10%以下になる、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上且つ本発明におけるポリマーのガラス転移温度以下の範囲で乾燥する。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
【0084】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは加熱乾燥が不足すれば残留溶媒量が多く、また極度に加熱しすぎるとポリマーの熱分解を引き起こし、残留するモノマー量が多くなる。さらに急激な加熱乾燥は含有溶媒の急速な気化を生じ、フィルムに気泡等の欠陥を生じさせる。本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルム中に残留する溶媒量は2000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。残留する溶媒量が多すぎると、フィルム表面の特性が悪化し表面処理等に悪影響を及ぼしたり、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルム中に残留する溶媒量はガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0085】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは回転ドラムもしくはバンド上への溶液流延、剥ぎ取り、乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取り製造する方法が好ましい。このように、本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムを機械的に搬送する場合など、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。好ましい力学強度は、搬送装置にもより一概に言えないが、目安としてフィルムの引張試験から得られる破断応力、破断伸度を用いることができる。好ましい破断応力は50MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度はサンプル作製条件などによっても変動するため、信頼性が低いが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
【0086】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムは1軸または2軸の方向に延伸されていてもよい。延伸により耐折強度など機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下「ORS」と略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに凍結されている、延伸により生じた内部応力である。延伸は、公知の方法が使用できるが、本発明におけるポリマーが300℃以上のガラス転移温度を有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいものとなる場合があり、溶媒を含んだ状態での延伸が可能である。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば溶媒を含んだ状態のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は1.1〜3.5倍が好ましく用いられる。
【0087】
本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムの厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0088】
《本発明の光学フィルム》
本発明では前記の手法に従って、本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムを作製した後、加熱または活性エネルギー線を照射することにより、離脱基を離脱させて高Tgのポリマーからなる本発明の光学フィルムを得る。即ち、本発明の光学フィルムの製造方法は、本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムに熱または活性エネルギー線を作用させて離脱基を離脱させ、Tg200℃以上の本発明の光学フィルムを製造することを特徴とする。
この際、低温で離脱基を分解すると発生したガスがフィルム中から抜けきらず、フィルムの透明性が損なわれる場合がある。本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムを光学フィルム用途として用いる場合には、本発明におけるポリマー(高耐熱ポリマー前駆体)のTg以上の温度、好ましくはTgよりも5〜150℃高い温度、さらに好ましくは、Tgよりも10〜100℃高い温度、特に好ましくはTgよりも10〜50℃高い温度で加熱しながら離脱基の離脱を行なう。この際、加熱時間としては、30秒〜50時間が好ましく、1分〜10時間が更に好ましい。また、本発明の光学フィルムの製造方法は、本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムの製膜後、溶剤の乾燥中、あるいは延伸中に離脱基を離脱させることも好ましい。また、本発明の光学フィルムの製造方法は、上述のように本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムを1軸または2軸の方向に延伸した後、本発明におけるポリマーのTg以上の温度で離脱基を離脱させることも好ましい。
【0089】
また、本発明における高耐熱ポリマー前駆体に活性エネルギー線を作用させて離脱基を離脱させる場合には、本発明の光学フィルムの製造方法は、高耐熱ポリマー前駆体フイルムを製膜乾燥後、あるいは製膜後溶剤を含んだ状態で、前記した活性エネルギー線を照射して離脱基の離脱を行う。
【0090】
本発明において離脱基を離脱させて得られた本発明の光学フィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、該耐熱温度についてはDSC測定によるガラス転移温度またはTMAによる熱変形開始温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度または熱変形開始温度は200℃以上であり、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは300℃以上である。なお、本発明のフィルムを本発明における高耐熱ポリマー前駆体であるポリエステルのみを用いて溶液流延法により作製する場合、乾燥が十分であれば、用いたポリエステルのTgと光学フィルムのガラス転移温度との差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
【0091】
また、本発明の光学フィルムの厚み、ヘイズおよび全光線透過率の好ましい範囲は、実質的に本発明の高耐熱ポリマー前駆体フィルムと同様である。本発明の光学フィルムの厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。前記増光透過率は、例えば、ヘイズメーター(スガ試験機(株)社製、HGM−2DP)を用いて測定することができる。
【0092】
本発明の光学フィルムの表面には用途に応じて他の層、あるいは部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、反射防止光線透過率向上のための反射防止層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
【0093】
(透明導電層)
本発明の光学フィルムは少なくとも片面に透明導電層を設置することができる。
前記透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15重量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号公報、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法で成膜する事ができる。
中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0094】
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Pa、である。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得た透明導電層の膜厚は20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmが好ましい。
また、このようにして得られた透明導電層の、25℃・相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は0.1Ω/□〜200Ω/□が好ましく、より好ましくは0.1Ω/□〜100Ω/□であり、さらに好ましくは0.5Ω/□〜60Ω/□である。さらに光透過性は80%以上、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0095】
(ガスバリア層)
本発明の光学フィルムはガス透過性を抑制するために、光学フィルムの少なくとも片面にガスバリア層を設けることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得られた無機ガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmが好ましい。
このようなガスバリア層は透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよいが、反対側に設けるほうがより好ましい。
このようにして得られたガスバリアフィルムのバリア性は、40℃・相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下が好ましく、より好ましくは1g/m2・day以下、さらに好ましくは0.5g/m2・day以下である。40℃・相対湿度90%で測定した酸素透過度は1ml/m2・day以下が好ましく、より好ましくは0.7ml/m2・day以下であり、さらに好ましくは0.5ml/m2・day以下である。
【0096】
バリア性を向上させる目的で、これと隣接して欠陥補償層を設けるのが特に望ましい。欠陥補償層としては、(1)米国特許第6171663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6413645,64163645号各公報記載のように有機物層を利用する方法、また、これらの補償層は、記載のように真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、或いは、塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる事で作製する事ができる。
塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いる事ができる。
【0097】
本発明の光学フィルムは薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は特表平10−512104号公報に記載の方法等が挙げられる。さらにこれらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターはいかなる方法を用いて作製されてもよいが、好ましくはフォトリソグラフィー手法が好ましい。
【0098】
《画像表示装置》
本発明の光学フィルムは必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置としては特に限定されず、従来知られているものを用いることができる。また、本発明の光学フィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明の光学フィルムは太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
【0099】
本発明の光学フィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために非晶性ポリマーであることが好ましい。また、複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。本発明におけるポリマーのみを用いて複屈折の小さい光学フィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することで可能となる。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明の光学フィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
【0100】
液晶表示装置は、反射型液晶表示装置と透過型液晶表示装置とに大別することができる。
本発明の光学フィルムを前記反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(下基板、上基板)としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0101】
本発明の光学フィルムを前記透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(下基板、上基板)としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0102】
液晶表示装置の液晶セルは特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およぴ、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の偏光光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
これらは特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
【0103】
本発明の光学フィルムは必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途にも使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0104】
本発明の光学フィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
これら発光素子の駆動については、特開平2−148687号公報、同6−301355号公報、同5−29080号公報、同7−134558号公報、同8−234685号公報、同8−241047号公報、米国特許5828429号明細書、同6023308号明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
【実施例】
【0105】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0106】
[合成例1]
1.例示化合物P−8の合成
4,4’―ビフェノール151gをクロロホルム1.5lに溶解し、炭酸ナトリウム387g、t−ブチルブロマイド500gおよびシリカゲル(ワコーゲルC−200、和光純薬工業(株)社製)203gを添加し14時間加熱還流した。反応液を濾過し、溶媒を濃縮した後、ヘキサン/酢酸エチル=3/1を展開溶媒として、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Rf0.3)によって製精することにより、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’―ビフェノール(以下「2tBBP」と称する。)を14g得た。
1Lの三口フラスコ中に、前記に従って合成した2tBBP8.95g、9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン8.13g、ハイドロサルファイトナトリウム0.15g、テトラブチルアンモニウムクロライド694.8mg、塩化メチレン163ml、および蒸留水188mlを加え、窒素気流下室温で攪拌した。さらに2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド6.33gおよびテレフタル酸クロライド5.1gを塩化メチレン75mlに溶解した溶液を添加した。次いで、該混合液中に2N水酸化ナトリウム水溶液52.5mlを蒸留水22.5mlで希釈したアルカリ水溶液を室温下1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間攪拌を続けた後、酢酸0.9gおよび塩化メチレン100mlを添加した。有機層を分離しメタノール2Lに添加して析出したポリマーをデカンテーションにより分離した。さらに得られたポリマーを塩化メチレン250mlに溶解し、メタノール1Lに再沈澱させることにより、上述の例示化合物P−8の23.4gを得た。
得られた例示化合物P−8をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量62600、数平均分子量29300であった。また、TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)で測定した熱変形開始温度は263℃であった。
【0107】
[合成例2]
2.例示化合物P−14の合成
2,6−ナフタレンジオールの50gをトルエン250mlに溶解し、ジエチルアゾジカルボキシレート(40%トルエン溶液)135.5gを加え3時間加熱した。得られた反応液を濃縮後、ヘキサン/酢酸エチル(モル比1/1)を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Rf0.5)によって精製することによって、2,6−ナフタレンジオールへのジエチルアゾジカルボキシレート付加体(1)を38g得た。
得られたジエチルアゾジカルボキシレート付加体(1)および9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニルフルオレン)をジオールモノマーとして前記例示化合物P−8と同様にして例示化合物P−14を合成した。
得られた例示化合物P−14をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量32000、数平均分子量15000であった。また、TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)で測定した熱変形開始温度は232℃であった。
【0108】
[合成例3]
3.例示化合物P−19の合成
9,9―ビス(4−アミノフェニルフルオレン)10.45gをN−メチルピロリドン50mlに溶解し、窒素雰囲気下、ドライアイス−アセトン浴で冷却、凍結させた。ひき続き2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド3.8gおよびテレフタル酸クロライド3.05gを添加し、氷浴中4時間ゆっくり攪拌した後リチウムクロライド3.0gおよびベンゾイルクロライド300mgを添加しさらに4時間攪拌した。反応液にN−メチルピロリドン80mlを加えて希釈した後、蒸留水1lに添加することにより白色沈澱を得た。該ポリマーをDMAC300mlに溶解し、メタノール1lに添加し再沈澱を行なった。得られたポリマーをろ過しメタノールで洗浄することにより下記化合物X−1を15g得た。得られた化合物X−1をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量80000、数平均分子量38000であった。
【0109】
【化21】


【0110】
次に化合物X−1の10gをDMAc300mlに溶解し、水素化ナトリウム1.2g(60%ミネラルオイル分散物)を添加したのち、ジ−t−ブチルジカーボネート6.26gを添加し3時間攪拌した。反応液をメタノール1.5lに添加し得られたポリマーを単離、乾燥させることにより例示化合物P−19を得た。
例示化合物P−19をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量90000、数平均分子量40000であった。また、TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)で測定した熱変形開始温度は245℃であった。
【0111】
[合成例4]
4.比較化合物X−2の合成
合成例1において3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールの代わりに、4,4’−ビフェノールを用いることによって、例示化合物P−8に対する下記比較化合物X−2を合成した。該ポリマーは溶剤への溶解性が悪く、後述のフィルム化評価はできなかった。
【0112】
【化22】


【0113】
[合成例5]
5.比較化合物X−3の合成
合成例1において、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ビフェノールおよび9,9−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに変えて、2,6−ナフタレンジオール4.38gおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン8.77を用いた以外は合成例1と同様にして、例示化合物P−14に対する下記比較化合物X−3を合成した。該ポリマーは溶剤への溶解性が悪く、後述のフィルム化評価はできなかった。
【0114】
【化23】


【0115】
[合成例6]
6.比較化合物X−4の合成
特開昭57−192432号公報実施例1に記載の合成法に準じて比較化合物X−4を合成した。該化合物の数平均分子量および熱変形開始温度をそれぞれ東ソー(株)製「HLC−8120GPC」およびTMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)で測定したところ、数平均分子量は30000、熱変形開始温度は293℃であった。
【0116】
【化24】


【0117】
[実施例1]
<特性値の測定方法>
[重量平均分子量]
東ソー(株)製「HLC−8120GPC」を用い、テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、ポリスチレンの分子量標準品と比較し求めた。
[膜厚]
ダイヤル式厚さゲージ(アンリツ(株)製、K402B)により測定した。
[熱変形開始温度]
TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)で測定した(窒素中、昇温温度10℃/分)
[線熱膨張係数]
TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)により測定し、0〜200℃の平均値を算出した。
[フィルムの全光線透過率]
ヘイズメーター(スガ試験機(株)社製、HGM−2DP)を用いて測定した。
【0118】
<フィルム試料の作製>
本発明におけるポリマー(前記例示化合物P−8,P−14)および比較ポリマー(前記比較化合物X−4)をジクロロメタンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。さらに例示化合物P−8を溶解した溶液には、固形分の2質量%となる量のパラトルエンスルホン酸を溶解した。
また、本発明のポリマー(前記例示化合物P−19)および比較ポリマー(前記化合物X−1)は、ジメチルアセトアミドに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。化合物X−1を溶解した溶液は若干白濁していたがそのまま製膜を行なった。
次いで、本発明のポリマー(前記例示化合物P−8、P−14)に対応する比較ポリマー(前記比較化合物X−2,X−3)については溶剤に対する溶解性が極めて悪かったためフィルム作製はできなかった。
前記溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、各溶液をドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で2時間、60℃で2時間乾燥させた後、窒素雰囲気下150℃で4時間加熱した後にフィルムをガラス基板より剥離し高耐熱ポリマー前駆体フィルム試料(試料101〜105)を得た。
さらに高耐熱ポリマー前駆体フィルム試料101〜105を枠張り固定して、280℃で4時間加熱アニール処理を行なうことにより、光学フィルム201〜205を得た。
一方、高耐熱ポリマー前駆体フィルム試料101〜105を120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機(伊元製作所製)により延伸した。延伸条件は樹脂温度280℃、延伸速度100mm/分(縦、横共に)、チャック間距離100mm、延伸倍率1.6倍(面積比)とした。延伸後、枠張り固定して280℃、真空で4h乾燥させることにより、光学フィルム301〜305を得た。
また例示化合物P−8を溶解した溶液に、固形分の2質量%となる量の光酸発生剤(UVI6990(商品名)ユニオンカーバイド社製)をジクロロメタンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解し、溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で2時間、60℃で2時間乾燥させた後、窒素雰囲気下150℃で4時間加熱した後にフィルムをガラス基板より剥離し高耐熱ポリマー前駆体フィルム試料(試料106)を得た。
さらに高耐熱ポリマー前駆体試料(106)を枠張り固定して、窒素雰囲気下酸素濃度を0.1%にして、500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射し、さらに280℃真空で4時間加熱アニール処理を行うことにより、光学フイルム(206)を得た。
一方、高耐熱ポリマー前駆体フィルム試料(106)を120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機(伊元製作所製)により延伸した。延伸条件は樹脂温度280℃、延伸速度100mm/分(縦、横共に)、チャック間距離100mm、延伸倍率1.6倍(面積比)とした。延伸後、枠張り固定して、窒素雰囲気下酸素濃度を0.1%にして、500mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射し、さらに280℃真空で4時間加熱アニール処理を行うことにより、光学フイルム(207)を得た。
【0119】
得られた光学フィルム試料(201〜206、301〜306)の熱変形開始温度、線熱膨張係数、膜厚、全光線透過率を測定した。表1に結果を示す。
【0120】
【表1】


【0121】
表1より、本発明の光学フィルムは、製膜性に優れ、耐熱性が高く、延伸により低い線熱膨張を示し、かつ光線透過率に優れることが分る。
【0122】
[実施例2]
《有機EL素子試料の作製]
(ガスバリア層の設置)
前記で作製した本発明の光学フィルム試料301〜303および比較例の光学フィルム試料305の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、酸素を導入し、圧力を0.1Paとして出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成した光学フィルム試料の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は0.1ml/m2・day以下であった。
【0123】
(透明導電層の設置)
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を、片面に設けた。透明導電層を設置した光学フィルム試料の25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を、片面に設けた。
【0124】
(透明導電層付光学フィルムの加熱処理)
前記で得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料を、TFT設置を想定して300℃、1hの加熱処理を行った。
【0125】
(有機EL素子の作製)
前記で加熱処理を行った透明導電層を設置した光学フィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。本発明の光学フィルム試料301〜303から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料は変形が認められなかったのに対して、比較例の光学フィルム試料305から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料は変形が激しく、有機EL素子の作製は行わなかった。
透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、BaytronP:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとする。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製、スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとする。
【0126】
[組成]
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体): 1質量部
・ジクロロエタン: 3200質量部
【0127】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0128】
また、25mm角に裁断した厚さ50imのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産(株)製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mmx5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層をLiF上に形成した。これを基板Zとした。
【0129】
[組成]
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール: 3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物: 20質量部
【0130】
【化25】


【0131】
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料401〜403を得た。
【0132】
得られた有機EL素子試料401〜403をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明の試料401〜403は、発光することを確認した。
【0133】
前記実施例より、本発明の光学フィルムは、耐熱性、透明性、力学特性に優れ、ガスバリア層、透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。




 

 


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