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発明の名称 ポリマー、膜形成用組成物、絶縁膜、およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84618(P2007−84618A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−272407(P2005−272407)
出願日 平成17年9月20日(2005.9.20)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 割石 幸司
要約 課題
低誘電率で機械的強度の高い絶縁膜を形成可能な組成物を提供する。

解決手段
少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)とをヒドロシリル化反応させて得られることを特徴とするポリマー。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)とをヒドロシリル化反応させて得られることを特徴とするポリマー。
【化1】



一般式(3)中、
は、炭素原子10個以上で形成されるカゴ型構造を含有する基を表す。
は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
rは2〜20の整数を表す。
【請求項2】
前記少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)が、下記一般式(1)で表されるカゴ型構造を含む化合物である請求項1に記載のポリマー。
【化2】



一般式(1)中、
は各々独立に水素原子または下記一般式(2)で表される有機基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
は複数ある場合は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表し、複数あるの場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
nは2〜8の整数を表す。
m=8−nである。
【化3】



一般式(2)中、
Aは酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、またはシリレン基を表す。
はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
pは0〜2の整数を表す。
q=3−pである。
pが2の場合、2つのRは同一でも異なってもよい。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリマーおよび有機溶剤を含有してなることを特徴とする膜形成用組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ一般式(3)で表される化合物(A)、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)、および有機溶剤を含有してなることを特徴とする膜形成用組成物。
【請求項5】
請求項3または4に記載の膜形成用組成物から形成された絶縁膜。
【請求項6】
請求項3または4に記載の膜形成用組成物を基板上に塗布した後、焼成することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリマーおよびこれを用いた絶縁材料の形成に有用な膜形成用組成物、さらに詳しくは、半導体素子などにおける層間絶縁膜材料として誘電率特性などに優れた絶縁膜形成用組成物、絶縁膜の製造方法および絶縁膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中で
も、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
【0003】
高耐熱性の絶縁膜として、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いN原子を含むため、低誘電性、低吸水性、耐久性および耐加水分解性の面では、満足なものは得られていない。
また、有機ポリマーは概して有機溶剤への溶解性の不十分なものが多く、塗布液中での析出、絶縁膜中でのブツ発生の抑制が重要な課題となっているが、溶解性を向上させるためにポリマー主鎖を折れ曲がり構造にするとガラス転移点の低下、耐熱性の低下が弊害となりこれらを両立することは容易ではない。
また、ジイン類とヒドリドシルセスキオキサン類とのヒドロシリル化重合体を基本骨格とする高耐熱性樹脂が知られているが(特許文献1)、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−284878号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、比誘電率が低く、機械強度に優れた絶縁膜を製造し得る絶縁膜の材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段より達成されることが見出された。
【0007】
<1>
少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)とをヒドロシリル化反応させて得られることを特徴とするポリマー。
【0008】
【化1】


【0009】
一般式(3)中、
は、炭素原子10個以上で形成されるカゴ型構造を含有する基を表す。
は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
rは2〜20の整数を表す。
<2>
前記少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)が、下記一般式(1)で表されるカゴ型構造を含む化合物である<1>に記載のポリマー。
【0010】
【化2】


【0011】
一般式(1)中、
は各々独立に水素原子または下記一般式(2)で表される有機基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
は複数ある場合は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表し、複数あるの場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
nは2〜8の整数を表す。
m=8−nである。
【0012】
【化3】


【0013】
一般式(2)中、
Aは酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、またはシリレン基を表す。
はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
pは0〜2の整数を表す。
q=3−pである。
pが2の場合、2つのRは同一でも異なってもよい。
<3>
<1>または<2>に記載のポリマーおよび有機溶剤を含有してなることを特徴とする膜形成用組成物。
<4>
<1>に記載の少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ一般式(3)で表される化合物(A)、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)、および有機溶剤を含有してなることを特徴とする膜形成用組成物。
<5>
<3>または<4>に記載の膜形成用組成物から形成された絶縁膜。
<6>
<3>または<4>に記載の膜形成用組成物を基板上に塗布した後、焼成することを特徴とする絶縁膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半導体素子などにおける層間絶縁膜として使用するのに適した、低比誘電率を有する絶縁膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)(以下、「化合物(A)」ともいう。)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)(以下、「化合物(B)」ともいう。)とをヒドロシリル化反応させて得られるポリマーに関する。これを有する膜形成用組成物によって、比誘電率が低く、機械強度に優れた絶縁膜を製造し得る。
【0016】
<少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)>
【0017】
本発明のポリマーは、少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ下記一般式(3)で表される化合物(A)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)とをヒドロシリル化反応させて得られる。
【0018】
【化4】


【0019】
一般式(3)中、
は、炭素原子10個以上で形成されるかご型構造を含有する基を表す。
は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
rは2〜20の整数を表す。
【0020】
一般式(3)で示される化合物は、アセチレン結合を有する部位と複数のそれを連結する部位からなる。
アセチレン結合を有する部位としてRは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが、炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基などが、炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基などが、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが、炭素数0〜20のシリル基としては、トリヒドロシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などがあげられる。
【0021】
連結する部位としてRは、炭素原子10個以上で形成されるカゴ型構造を含有する基を表す。
【0022】
「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造である。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えない。
【0023】
本発明のカゴ型構造は少なくとも10個以上の炭素原子で構成される。カゴ型構造は、好ましくは11〜30個、より好ましくは12〜20個、さらに好ましくは12〜14個の炭素原子で構成される。炭素原子数が11個以上であることで、充分な誘電率特性が得られる。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成されるものとする。
【0024】
本発明のカゴ型構造を有する化合物は飽和の脂肪族炭化水素であることが好ましく、例えば、アダマンタン、ビアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドラン等が挙げられ、特に低誘電率、塗布溶剤への良好な溶解性さらには絶縁膜中のブツ発生抑制の点でジアマンタンが好ましい。
【0025】
本発明におけるカゴ型構造は1つ以上の置換基を有していても良く、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等である。さらに好ましい置換基はフッ素原子、臭素原子、炭素数1〜5の直鎖、分岐、環状のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、シリル基である。これらの置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよい。
【0026】
本発明におけるカゴ型構造は2〜4価であることが好ましい。より好ましくは、2または3価であり、特に好ましくは2価である。
【0027】
本発明のカゴ型構造を有する化合物(A)は下記一般式(4)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0028】
【化5】


【0029】
一般式(4)において、
は各々独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基を表し、Rが水素原子以外の場合、Rはさらに別の置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。Rは好ましくは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基である。
Lは単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン、アリーレン、アルケニレン、アルキニレン、またはこれらを組み合わせた2価の連結基が挙げられる。
tは2〜14の整数を表し、好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは2〜3の整数であり、特に好ましくは2である。
Xは複数ある場合はハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数0〜20のシリル基を表し、Xはさらに別の置換基で置換されていても良く、置換基の例として前述のものが挙げられる。Xは好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数0〜20のシリル基であり、より好ましくは臭素原子、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数0〜10のシリル基である。
sは0〜12の整数を表し、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1である。
【0030】
以下に少なくとも2つ以上のアセチレン基を持つ一般式(3)で表される化合物(A)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化6】


【0032】
【化7】


【0033】
【化8】


【0034】
<少なくとも2つ以上のヒドロシリル基を持つポリシロキサン(B)>
【0035】
本発明にて好ましく用いられる少なくとも2つ以上のヒドロシリル基を持つポリシロキサン(B)は、線状、環状、カゴ型構造のいずれでもよいが、環状またはカゴ型構造を有していることが好ましい。より好ましくはカゴ型シルセスキオキサン構造であり、例えば、T構造、T10構造、T12構造などが挙げられる。好ましくは、T構造である。
特に好ましくは一般式(1)で表わされる化合物である。
【0036】
【化9】


【0037】
一般式(1)中、
は各々独立に水素原子または下記一般式(2)で表される有機基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
は複数ある場合は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表し、複数あるの場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
nは2〜8の整数を表す。
m=8−nである。
【0038】
【化10】


【0039】
一般式(2)中、
Aは酸素原子、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、またはシリレン基を表す。
はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
pは0〜2の整数を表す。
q=3−pである。
pが2の場合、2つのRは同一でも異なってもよい。
【0040】
一般式(1)中、
としては、極性基を含有しない基が、低誘電率化に有効であるため好ましく、特に水素原子であることが好ましい。
【0041】
は、好ましくは水素原子またはハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表し、複数の場合、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが、炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基などが、炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基などが、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが、炭素数0〜20のシリル基としては、トリヒドロシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などがあげられる。
【0042】
としては、極性基を含有しない基が、低誘電率化に有効であるため好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0043】
一般式(2)中、Aは好ましくは酸素原子または炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数2〜10のアルキニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、または炭素数0〜20のシリレン基を表す。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが、炭素数2〜10のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基などが、炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニレン基、プロピニレン基などが、炭素数6〜20のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基などが、炭素数0〜20のシリレン基としては、シリレン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基などがあげられる。
【0044】
は好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数0〜20のシリル基を表す。
炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などが、炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基などが、炭素数2〜10のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基などが、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基などが、炭素数0〜20のシリル基としては、トリヒドロシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基などがあげられる。
【0045】
以下に、一般式(1)を含む少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
【化11】


【0047】
【化12】


【0048】
その他の少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)としては、例えば下記のものが好ましい。
【0049】
【化13】


【0050】
一般式(3)で表される化合物(A)と、少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)とのヒドロシリル化重合は、最適な重合反応条件は有機溶剤中で、好ましくは内温0℃〜150℃、より好ましくは10℃〜100℃、特に好ましくは25℃〜80℃で、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、3〜10時間で行うことが好ましい。所望により、白金、パラジウム、ロジウム等の金属を含む触媒を用いてもよい。
ポリマーを重合する際の少なくとも2つ以上のアセチレン基をもつ一般式(3)で表される化合物(A)と少なくとも2つ以上のヒドロシリル基をもつポリシロキサン(B)の組成比(モル比)は、50:1〜3:1が好ましく、より好ましくは25:1〜5:1であり、特に好ましくは15:1〜7:1である。
重合したポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲は1000〜500000、より好ましくは5000〜300000、特に好ましくは10000〜200000である。
【0051】
本発明の膜形成用組成物は上記化合物(A)、化合物(B)をそれぞれ含んでいてもよいし、化合物(A)と化合物(B)とのヒドロシリル化重合物を含んでいてもよい。
【0052】
本発明のポリマーと、さらに有機溶剤を含有した膜形成用組成物は塗布液として用いることが出来る。
本発明に用いることの出来る好適な溶剤の例としては、特に限定はされないが、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤などがあげられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の塗布液の固形分濃度は、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜35質量%であり、特に好ましくは7〜20質量%である。
【0053】
更に、本発明の膜形成用組成物には絶縁膜の諸特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、非イオン界面活性剤、フッ素系非イオン界面活性剤、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシド、ペンチルパーオキシド、ヘキシルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、オクチルポリエチレンオキシド、デシルポリエチレンオキシド、ドデシルポリエチレンオキシド、オクチルポリプロピレンオキシド、デシルポリプロピレンオキシド、ドデシルポリプロピレンオキシド等が挙げられる。フッ素系非イオン界面活性剤としては、例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシド等が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシランなどがあげられる。
これらの添加剤の添加量は、添加剤の用途または塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、特に好ましくは0.05%〜2%である。
【0054】
また、本発明の膜形成用組成物に予め発泡剤を添加して多孔質膜を形成することもできる。多孔質膜を形成するために添加する発泡剤としては、特に限定されないが、例えば、該塗布液の溶媒よりも高沸点の有機化合物や、熱分解性低分子化合物、熱分解性ポリマー等があげられる。
発泡剤の添加量は、塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.01%〜30%、より好ましくは0.1%〜20%、特に好ましくは0.5%〜10%である。
【0055】
絶縁膜は本発明の膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により、基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。加熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。
【0056】
本発明の塗布液を使用して得られる膜は、半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。その他、水処理用ろ過膜,土壌改質剤担体,環境浄化用光触媒担体,建築材料など様々な用途に使用することもできる。
【0057】
本発明のポリマーは塗布後に加熱することによって互いに架橋して、機械的強度、耐熱性に優れた絶縁膜を形成することが好ましい。この加熱処理の最適条件は、加熱温度が好ましくは200〜450℃、より好ましくは300〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、加熱時間は好ましくは1分〜2時間が好ましく、より好ましくは10分〜1.5時間であり、特に好ましくは30分〜1時間である。加熱処理は数段階で行っても良い。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
【0059】
<ポリマーの製造例1>
化合物(3−20) 2.00g(8.68mmol)、トルエン10mLおよび0.1M白金―1,3−ジビニル−1,1,3,3―テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(アルドリッチ社製)80μLを仕込み、そこに化合物(1−1) 0.32g(0.72mmol)を加え、室温で10時間かくはんした。反応混合物を100mLのメタノールに投入し、析出した沈殿をろ過した。ポリスチレン換算重量平均分子量16000のポリマーAを0.60g得た。
【0060】
<実施例1>
上記のポリマーA0.5gをシクロヘキサノン5.0ml溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で60秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.4であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.9GPaであった。
【0061】
<ポリマーの製造例2>
ポリマーの製造例1において、化合物(1−1)の替わりに、化合物(1−4)0.73gを用いたほかは、製造例1と同様の操作にて、ポリスチレン換算重量平均分子量25000のポリマーBを0.89g得た。
【0062】
<実施例2>
上記のポリマーB0.4gをシクロヘキサノン5.0ml溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で60秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.4であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.0GPaであった。
【0063】
<ポリマーの製造例3>
ポリマーの製造例1において、化合物(1−1)の替わりに、化合物(1−8)0.17gを用いたほかは、製造例1と同様の操作にて、ポリスチレン換算重量平均分子量12000のポリマーCを0.1g得た。
【0064】
<実施例3>
上記のポリマーC 0.1gをシクロヘキサノン1.0ml溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で60秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.5であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.7GPaであった。
【0065】
<ポリマー製造例4>
ポリマーの製造例1において、化合物(3−20)の替わりに、化合物(C−1)2.4gを用いたほかは、製造例1と同様の操作にて、ポリスチレン換算重量平均分子量16000のポリマーDを0.55g得た。
【0066】
【化14】


【0067】
<比較例1>
上記のポリマーD0.5gをシクロヘキサノン5.0ml溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で60秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.6であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、5.3GPaであった。
【0068】
<ポリマーの製造例5>
ジビニルベンゼン 1.03g(7.91mmol)、トルエン10mLおよび0.1M白金―1,3−ジビニル−1,1,3,3―テトラメチルジシロキサン錯体キシレン溶液(アルドリッチ社製)80μL仕込み、そこに1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン 0.17g(0.72mmol)を加え、室温で10時間かくはんした。反応混合物を100mLのメタノールに投入し、析出した沈殿をろ過した。ポリスチレン換算重量平均分子量18000のポリマーEを0.50g得た。
【0069】
<比較例2>
上記のポリマーE0.5gをシクロヘキサノン5.0ml溶解し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で110℃で60秒間加熱した後200℃で60秒間加熱して、更に窒素置換した400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.6であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、4.5GPaであった。
【0070】
本発明によれば、比誘電率が低く、機械強度に優れた絶縁膜を製造し得る絶縁膜材料を提供することが可能となる。




 

 


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