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発明の名称 クロコン酸化合物の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84506(P2007−84506A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−277798(P2005−277798)
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 森 英登 / 浦添 大祐
要約 課題
工業的規模で安全かつ経済的に実施可能なクロコン酸化合物の製造方法を提供する。

解決手段
アルカリ金属を含有する無機塩基の存在下でテトラヒドロキシベンゾキノンを酸化し、得られた反応生成物から晶析することにより性出するクロコン酸アルカリ金属塩結晶を固液分離によって単離する。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記工程を含むことを特徴とするクロコン酸化合物の製造方法。
(工程1) アルカリ金属を含有する無機塩基の存在下でテトラヒドロキシベンゾキノンを酸化する工程、
(工程2) 得られた反応生成物から晶析することにより、クロコン酸アルカリ金属塩を結晶として析出する工程、および、
(工程3) クロコン酸アルカリ金属塩の結晶を固液分離によって単離する工程
【請求項2】
前記アルカリ金属を含有する無機塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素塩からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属を含有する無機塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウム tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記(工程1)において酸化剤として遷移金属酸化物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記(工程1)において酸化剤として二酸化マンガン(IV)を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はクロコン酸化合物の製造方法に関する。さらには、本発明は近赤外染料の合成中間体として有用であるクロコン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外染料は750〜1100nmの近赤外領域に吸収極大を有する染料であり、ポジ型感光性平板印刷版(特許文献1、2)、熱現像感光材料(特許文献3)、ハロゲン化銀写真感光材料(特許文献4)、光学フイルム(特許文献5、6)、バーコードパターン等のマーク形成するための画像形成材料(特許文献7)など種々の分野での利用が検討、報告されている。代表的な近赤外染料としてはスクアリリウム染料、クロコニウム染料、オキサジベンゾフランシアニン染料が知られている。
【0003】
クロコニウム染料は、5員環化合物であるクロコン酸と、N,N−ジアルキルアニリン、複素環活性メチレン化合物あるいは2−(N,N−ジアルキルアミノ)チオフェン等の縮合反応により合成される(例えば非特許文献1)。クロコン酸はクロコニウム染料合成において鍵となる共通中間体であり、種々の合成法が検討されている。
【0004】
古くは1930年に発煙硝酸によるイノシトールの酸化により、ロジソン酸、トリキノイルとの混合物としてクロコン酸の生成が確認されている(非特許文献2)。
非特許文献3には、イノシトールヘキサ硝酸エステルを2級アミンと反応させることでクロコン酸化合物を得る方法が開示されているが、収率等に関しては何も記載されていない。
非特許文献4および5には、テトラヒドロキシベンゾキノンを炭酸カリウムの存在下に二酸化マンガンで酸化してクロコン酸骨格に変換し、クロコン酸をバリウム塩として単離した後に、硫酸でプロトン化してクロコン酸を得る方法が開示されている。
【0005】
一方、近年では化学製造プロセスの環境に対する負荷が問題視されるようになっており、廃棄物が少なくて、有害な溶剤や反応剤等を可能な限り使用しないクリーンな化学反応が求められるようになってきている(例えば、非特許文献6)。
【特許文献1】特開平10−26851号公報
【特許文献2】特開2002−365792号公報
【特許文献3】特開2000−160042号公報
【特許文献4】特開2001−83663号公報
【特許文献5】特開2001−194522号公報
【特許文献6】特開2004−52028号公報
【特許文献7】特開2001−294785号公報
【非特許文献1】Liebigs Ann Chem.,935頁(1993年)
【非特許文献2】J.Am.Chem.Soc.,52巻,2483頁(1930年)
【非特許文献3】Tetrahedron Lett.,31巻,1797頁(1990年)
【非特許文献4】Chem Ber.,93巻,1451頁(1960年)
【非特許文献5】化学世界,第3期,139頁(1999年)
【非特許文献6】化学フロンティア4 「グリーンケミストリー」,化学同人,GSCネットワーク訳,2001年11月30日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の非特許文献2や非特許文献3に記載される方法は、硝酸酸化の反応制御が困難なこと、有害な窒素酸化物が発生しやすいこと、さらに中間体として生成する硝酸エステルが爆発の危険性があることから、多量合成に適しておらず、実用性はほとんどない。また、非特許文献4や非特許文献5に記載される方法は、クロコン酸バリウム塩を硫酸でプロトン化する際に不溶性の硫酸バリウムが生成し、これを除去する際の反応液の流動性や濾過性が極めて悪く、大量製造には全く不向きであることが本発明者らの検討により明らかとなった。
このように従来のクロコン酸化合物の製造方法は、安全性、環境への配慮、スケールアップ適性、コスト等などを考慮すると決して有利な方法とは言えなかった。
従って本発明が解決しようとする課題は、上述のごとき問題点を解決し、工業的規模で安全かつ経済的に実施可能なクロコン酸化合物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の事情に鑑み、クロコン酸化合物の製造方法について鋭意研究した結果、以下の新規な手段によって上述の課題が解決されることを確認し、本発明を完成するに至ったものである。
[1] 下記工程を含むことを特徴とするクロコン酸化合物の製造方法。
(工程1) テトラヒドロキシベンゾキノンを、アルカリ金属を含有する無機塩基の存在下に酸化する工程、
(工程2) 得られた反応生成物から晶析することにより、クロコン酸アルカリ金属塩を結晶として析出する工程、および、
(工程3) クロコン酸アルカリ金属塩の結晶を固液分離によって単離する工程
[2] 前記アルカリ金属を含有する無機塩基が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属炭酸水素塩からなる群より選択されることを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[3] 前記アルカリ金属を含有する無機塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウ tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムからなる群より選択されることを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[4] 前記(工程1)において酸化剤として遷移金属酸化物を用いることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。
[5] 前記(工程1)において酸化剤として二酸化マンガン(IV)を用いることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、危険性が高い硝酸を使用したり、硝酸エステル中間体や濾過性が悪く取り扱いが困難な硫酸バリウムを生成したりすることなく、クロコン酸化合物を製造することができる。このため、本発明によれば、工業的規模で安全、経済的にクロコン酸化合物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下において、本発明のクロコン酸化合物の製造方法について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0010】
本発明でいうクロコン酸化合物とは、クロコン酸、クロコン酸塩、クロコン酸誘導体の総称である。本発明の製造方法を用いれば、本発明の(工程1)〜(工程3)により得られるクロコン酸アルカリ金属塩を経由して、このようなクロコン酸化合物を製造することができる。
【0011】
本発明の製造方法の(工程1)は、アルカリ金属を含有する無機塩基の存在下でテトラヒドロキシベンゾキノンを酸化する工程である。
(工程1)で使用する原料となるテトラヒドロキシベンゾキノンは、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンであってもよいし、3,4,5,6−テトラヒドロキシ−1,2−ベンゾキノンであってもよい。好ましいのは、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノンである。これらのテトラヒドロキシベンゾキノンは、東京化成工業株式会社から購入する等して入手しうる。
【0012】
(工程1)で用いるアルカリ金属を含有する無機塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩を好ましく挙げることができる。より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert−ブトキシド、カリウ tert−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを好ましく用いることができる。本発明の(工程1)における最も好ましい塩基は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムである。
【0013】
(工程1)において使用する該塩基のモル比は、原料であるテトラヒドロキシベンゾキノンに対して通常3.0〜20倍モルの範囲であるが、この範囲を超えて過剰に使用しても反応速度や目的物の収率にはそれほど影響しない。逆にあまり過剰に塩基を使用すると反応混合物の流動性が悪化するなどの工程操作上の問題を引き起こし、廃棄物量の増大やコストアップの原因となるので工業スケールの製造ではかえって障害となる。本発明の(工程1)におけるテトラヒドロキシベンゾキノンに対する塩基の好ましい使用量は3.5〜10倍モル、より好ましくは3.5〜6.0倍モルである。
【0014】
本発明の(工程1)では、テトラヒドロキシベンゾキノンを酸化する酸化剤を使用することが好ましい。(工程1)で使用する酸化剤としては、遷移金属酸化物が好ましい。遷移金属酸化物の具体例としては、酸化銀(I)、酸化銅(II)、酸化水銀(II)、三酸化クロム(VI)、二酸化マンガン(IV)等が挙げられるが、本発明において最も好ましい酸化剤は二酸化マンガン(IV)である。反応において使用する酸化剤のモル比は、原料であるテトラヒドロキシベンゾキノンに対して通常2.0〜15倍モルの範囲である。この範囲を超えて過剰に使用しても反応速度や収率向上にはそれほど影響せず、かえって廃棄物量の増大やコストアップの原因となるので工業スケールの製造では障害となる。本発明の製造方法におけるテトラヒドロキシベンゾキノンに対する酸化剤の好ましい使用量は2.5〜10倍モル、より好ましくは3.0〜7.0倍モルである。
【0015】
本発明の製造方法において使用しうる反応溶媒としては、攪拌不能になる等の工程操作上の問題等を引き起こさず、反応の進行を妨げず、かつ本発明の製造条件において反応・分解して悪影響を与えない限り特に制限はなく、例えば2−メチル−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホン系溶媒、メチル−tert−ブチルエーテル、アニソール等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、水、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中でもジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等のスルホン系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、水が溶媒として好ましく、スルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、水がより好ましい。本発明における最も好ましい反応溶媒は水である。
【0016】
本発明の(工程1)において、テトラヒドロキシベンゾキノンを、アルカリ金属を含有する無機塩基の存在下に酸化する反応温度は通常30℃〜140℃の範囲であるが、(工程1)の反応は脱炭酸を伴うので反応速度を向上させるために加熱することが好ましい。好ましい反応温度は65℃〜140℃、より好ましくは80℃〜110℃である。 反応時間は原料として用いるテトラヒドロキシベンゾキノンの仕込み量、反応温度等により異なるが、通常30分〜5時間である。
【0017】
酸化反応終了後の反応混合物は、好ましくは、濾過して不溶物を除去することにより後処理する。濾過にあたってはセライトやフロリジル等の濾過助剤を用いてもよく、この操作により過剰に使用した酸化剤等が除去される。
【0018】
次に、本発明の(工程2)を行う。(工程2)は、得られた反応生成物から晶析することにより、クロコン酸アルカリ金属塩を結晶として析出する工程である。
(工程1)で得られた反応混合物を冷却、晶析するとクロコン酸アルカリ金属塩が結晶として析出する。また反応混合物に貧溶剤を添加してクロコン酸アルカリ金属塩を晶析、析出させることも可能である。収率や精製効果を考慮すると、冷却を行いながら貧溶剤を添加してクロコン酸アルカリ金属塩を析出させる方法が有利である。塩化バリウムを加えてクロコン酸バリウム塩を析出させる前記非特許文献4および5に記載の方法と比較すると、新たな反応剤を用いる必要がなく、操作も簡便である。この点が、本発明の製造方法の大きな利点の1つである。
クロコン酸アルカリ金属塩を析出させる貧溶剤としては炭素数1〜4の低級アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられるが、好ましく使用される溶剤はメタノール、2−プロパノール、アセトニトリルである。
【0019】
次に、本発明の(工程3)を行う。(工程3)は、クロコン酸アルカリ金属塩の結晶を固液分離によって単離する工程である。
固液分離の方法は特に制限されず、通常用いられている方法を適宜選択して用いることができる。例えば、濾過、遠心濾過、重力沈殿法濾過、吸引濾過などの方法を挙げることができる。好ましいのは、濾過である。析出したクロコン酸アルカリ金属塩は容易に単離することができる。
【0020】
本発明の製造方法により得られたクロコン酸アルカリ金属塩は、そのままクロコン酸塩として使用してもよいし、クロコン酸、他のクロコン酸塩、クロコン酸誘導体に変換してもよい。
【0021】
中でも、クロコン酸はクロコニウム染料の合成中間体として有用であることから、(工程1)〜(工程3)で得られたクロコン酸アルカリ金属塩をプロトン化してクロコン酸へ変換することが好ましい。クロコン酸への変換は、当該技術分野における種々の公知の方法によって実施可能である。例えばクロコン酸アルカリ金属塩の溶液あるいは懸濁液に酸を作用させることによって実施することができる。使用する酸の量は、クロコン酸アルカリ金属塩に対して2当量以上、好ましくは2.1当量〜3.5当量である。酸の種類としては鉱酸が好ましく、具体的にはハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられるが、より好ましい酸は塩酸である。クロコン酸アルカリ金属塩を溶液あるいは懸濁液状態にするのに用いる溶媒としては、水、炭素数1〜4の低級アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられるが、クロコン酸アルカリ金属塩を中和すること、すなわちフリー化によって生成するクロコン酸は溶解し、逆にアルカリ金属鉱酸塩は溶解しない溶媒系を用いることが好ましい。より好ましくはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリル、あるいはこれらの中から選択される2〜3種の溶媒の併用系である。用いる溶媒の量は、クロコン酸アルカリ金属塩に対する質量比で2〜50倍、好ましくは4〜30倍、より好ましくは5〜20倍である。プロトン化の後に析出するアルカリ金属鉱酸塩(例えばクロコン酸カリウム塩を塩酸でプロトン化すると、塩化カリウムが生成する)は濾過することで容易に除去可能であり、以下は濃縮、晶析、抽出等に代表される化学工学的に常套の分離・精製手段を適用することでクロコン酸を単離することができる。
またポリスチレン・スルホン酸型強酸性イオン交換樹脂等を用いてクロコン酸アルカリ金属塩をフリー化することも可能であり、本発明の好ましい実施形態の1つである。用いたイオン交換樹脂は回収・再利用することができるため、工業上有利である。
【0022】
クロコン酸を用いれば、さまざまな有用な化合物をさらに製造することが可能である。例えば、クロコン酸をN,N−ジアルキルアニリン、複素環活性メチレン化合物あるいは2−(N,N−ジアルキルアミノ)チオフェン等と縮合反応させることより、クロコニウム染料を製造することができる。また、当業者に公知の他の方法を用いてクロコン酸またはその塩からクロコニウム染料を製造することも可能である。さらに、当業者に公知の方法を適宜組み合わせて、クロコニウム染料以外の有用化合物の製造に使用することも可能である。
【実施例】
【0023】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0024】
(実施例1)
2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(100g)、炭酸カリウム(300g)の水(3L)溶液に攪拌しながら二酸化マンガン(IV)(250g)を室温にて分割添加し、反応混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を80℃まで冷却した後、セライトを加え、反応混合物を濾過して不溶性成分を除去した。濾液を5℃まで冷却し、析出した結晶を濾過して集め、メタノールで洗浄してクロコン酸2カリウム塩を湿った状態の結晶として得た。この結晶の一部を乾燥して得たクロコン酸2カリウム塩のIRスペクトルデータは以下の通りであった。
IR νmax (KBr) 1741(w), 1663(m), 1529(br,vs), 110(w) cm-1
上記操作で得たクロコン酸2カリウム塩全量をメタノール(800mL)に懸濁し、濃塩酸(100mL)を加えた後、反応混合物を1時間加熱還流した。時間が経過するとともに黄色のクロコン酸カリウム塩が溶解し、白色の塩化カリウムが析出した。反応混合物を45℃まで冷却した後、析出した塩化カリウムを濾過して除き、濾液を濃縮して56gのクロコン酸を黄土色結晶として得た。
IR νmax (KBr) 3431(br,m), 3300~2200(br.s), 1757(s),1720(w),1659(s), 1533(s), 1477(s), 1323(s), 1232(s), 1072(s), 837(m), 631(w) cm-1
【0025】
(実施例2)
実施例1に記載の方法に従い、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(100g)、炭酸ナトリウム(300g)、二酸化マンガン(IV)(250g)を用いて反応を行い、クロコン酸ナトリウム塩を湿った状態の結晶として得た。
上記操作で得たクロコン酸ナトリウム塩全量をメタノール(1L)に懸濁し、オルガノ社製イオン交換樹脂アンバーライトIR120B(プロトン型)を加え反応混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を50℃まで冷却した後、樹脂を濾過して除き、濾液を濃縮、残渣を乾燥して57.5gのクロコン酸を黄土色結晶として得た。IRスペクトルは実施例1で得たクロコン酸のものと一致した。
なお回収したイオン交換樹脂は当該技術分野における常套の手法、例えば酸処理した後に洗浄することで容易に再生、再利用することが可能であった。
【0026】
(比較例1)
前記非特許文献4に記載の方法に準じて、クロコン酸バリウム塩を経由する方法によりクロコン酸を合成した。2,3,5,6−テトラヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン(100g)、炭酸カリウム(400g)の水(6L)溶液に攪拌しながら二酸化マンガン(IV)(300g)を室温にて分割添加し、反応混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を70℃まで冷却の後セライトを加え、反応混合物を濾過して不溶性成分を除去した。濾液に濃塩酸を加えて中和、pH2とした後、飽和塩化バリウム水溶液を加えると黄金色結晶が析出した。反応混合物を2時間加熱還流後、室温まで冷却、析出した結晶を濾過して集め、メタノールで洗浄してクロコン酸バリウム塩を湿った状態の結晶として得た。
上記操作で得たクロコン酸バリウム塩全量をメタノール(1L)に懸濁し、1.5mol/Lの硫酸(200mL)を加えて反応混合物を1時間加熱還流した。この過程で析出した硫酸バリウムのため、反応混合物の流動性がかなり悪くなった。反応混合物を25℃まで冷却、硫酸バリウムを除去するため濾過を行ったが濾過性が悪く、作業は困難であった。濾液を濃縮、残渣を乾燥して52gのクロコン酸を黄土色結晶として得た。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の製造方法によれば、クロコン酸化合物を工業的規模で安全かつ経済的に製造することができる。クロコン酸は、クロコニウム染料合成の鍵となる共通中間体であることから、本発明の製造方法は有用な化合物の提供に役立つものであり、産業上の利用可能性が高い。




 

 


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