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機能性原子団含有チオールエステル化合物、およびそれを用いた機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法 - 学校法人東京理科大学
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発明の名称 機能性原子団含有チオールエステル化合物、およびそれを用いた機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84468(P2007−84468A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−273834(P2005−273834)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
発明者 山村 剛士
要約 課題
多種類の機能性原子団と多種類のジンクフィンガーモチーフを有する多種類のナノ素子が、チオールエステル基とシステインとのケミカルライゲーション反応を用いるだけで、同一化学反応を用いて統一的に容易に製造することができる新規機能性原子団含有チオールエステル化合物を提供する。

解決手段
機能性を有する原子団の末端に、アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列、および、アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列、を有する機能性原子団含有チオールエステル化合物。
特許請求の範囲
【請求項1】
機能性を有する原子団の末端に、アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列、および、アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列、を有する機能性原子団含有チオールエステル化合物。
【請求項2】
前記機能性原子団含有チオールエステル化合物が下記式(1)で示されることを特徴とする請求項1記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物。
式(1)
【化1】



[式中、Xは、YまたはFであり、Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、または複素環基であり、Rは、水素原子またはアルキル基で、Mは、Run+、Osn+、Fen+,またはCon+であり、ここでnは、1〜3の整数である。(なお、TGEKP−XG−は、それぞれT、G、E、K、P、とX、Gアミノ酸一文字表記からなるアミノ酸配列を示し、以下、同様に表記する。)]
【請求項3】
式(1)中、MがRun+(n=1,2,3)又はOsn+(n=1,2,3)である、請求項2記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物のチオールエステル基と、二重鎖DNAの特定の標的塩基配列に特異的に結合するジンクフィンガーモチーフを有しN末がCys(三文字表記アミノ酸、以下同様に表記する。)であるポリペプチドとを反応させる、機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、以下の配列番号のポリペプチドである請求項4記載の機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
配列番号1:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDHLTRHIRTHTG
配列番号2:
CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
配列番号3:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTG
配列番号4:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
【請求項6】
前記ポリペプチドが、ジンクフィンガーモチーフを2または3個有する請求項4または5記載の機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンクフィンガーモチーフ(以下、ZFと表記することがある)と二重鎖DNAとの相互作用を用いてエネルギー原子団をナノメータースケールの大きさで配列させたナノ素子を製造する技術に関する。特に、機能の中心となる電子移動性原子団、色素原子団等の機能性原子団に特定のリンカーが結合した新規化合物と、機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドを製造する方法とに関するものである。
【0002】
本発明の化合物、製造方法を用いれば、電子移動性原子団、色素原子団等の機能性原子団を、二重鎖DNA上の標的塩基配列には結合するが、当該DNA上でも標的塩基配列以外の配列には結合しないDNA結合モチーフを含むポリペプチドに結合させたDNA結合分子であるナノ素子を容易に製造できる。
【背景技術】
【0003】
ジンクフィンガーモチーフを利用してDNAを部位特異的に切断する人工制限酵素が開発されている。DNA切断能を有する原子団としてニッケル(例えば、非特許文献1参照。)が用いられている。
また、色素原子団を、金属および半導体電極を始めとする基板に垂直方向に積み上げることによってナノ素子を製造する研究は、ラングミュアー・ブロジェット法を用いて広くおこなわれ、STMを利用して基板上に原子レベルの大きさで文字を書く技術や、APTES(2−Aminopropyl triethoxysilane)等を介して共有結合によって電子移動原子団、色素原子団等の機能性錯体原子団を金属オキサイド基板に垂直に積み上げる技術はよく知られている。
【0004】
核酸塩基に色素原子団を直接共有結合させ、色素原子団を二重鎖DNA上に配列してフオトニック・ワイヤ(photonic wire)を形成した例がある(例えば、非特許文献2参照。)。
【0005】
【非特許文献1】M. Nagaoka et al., “A novel zinc finger-based DNA cutter: Biosynthetic design and highly selective DNA ckeavage. J. Am. Chem. Soc, 1994, 116, 4085-4086.
【非特許文献2】Heilemann, M.; Tinnefeld, P; Sanchez Mosteiro, G.; Garcia Parajo, M.; VIan Hulst, N・F; Sauer M. J. Am. Chem. 2004, 124, 6514・6615.
【0006】
上記公知の技術とは異なり、本発明者は、電子移動原子団、色素原子団等の機能性原子団を、二重鎖DNA基体上の特定の位置に所望の順序で複数個配列させることができ、これら原子団をNA基体上にÅ(オングストローム)オーダーで所望の近接した位置に定位することができるナノ素子およびその製造方法を出願しているが、これらは公知ではない(特願2004−195048号、特願2004−195071号、これらの明細書を引用し、本発明の内容とする)。
【0007】
このようなナノ素子の製造は、それぞれのナノ素子の構造と特徴に応じて1つ1つ製造されるものであり、特にジンクフィンガーモチーフを利用するナノ素子では、機能性原子団等の化合物とポリペプチドとの反応を個々の化合物やポリペプチドの構造に応じて、多種類の化学反応を組み合わせて用いてそれぞれ製造する必要があり、製造が非常に煩雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術における問題点を解決し、ナノ素子を簡便・容易に製造するために有用な新規な機能性原子団含有チオールエステル化合物を提供し、該化合物を用いる機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法を提供することを目的とする。
ナノ素子は、電子移動原子団、色素原子団等の機能性原子団を、二重鎖DNA基体上の特定の位置に所望の順序で複数個配列させることができ、これら原子団をDNA基体上にÅ(オングストローム)オーダーで所望の近接した位置に定位しているので電子産業の分野において高密度配線や高集積回路を実現するための開発・研究に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、以下の化合物とそれを用いる製造方法を提供する。
(1)機能性を有する原子団の末端に、アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列、および、アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列、を有する機能性原子団含有チオールエステル化合物。
すなわち、
Fag−L−L−Lで表され、
ここで、Fag:機能性を有する原子団
:2価の連結基
:アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列
:アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列である。
(2)上記L:第1のアミノ酸配列が、TGEKP(配列番号5)であり、
上記L:第2のアミノ酸配列が、XG−チオールエステル基
である、上記(1)に記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物。
(ここでTGEKP−XG−は、それぞれT、G、E、K、P、とX、Gアミノ酸一文字表記からなるアミノ酸配列を示し、Xは、YまたはF(一文字表記アミノ酸)であり、以下、同様の表記とする。)。
【0010】
(3)前記機能性原子団含有チオールエステル化合物が下記式(1)で示される上記(1)に記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物。
式(1)
【0011】
【化2】



[式中、Xは、YまたはFであり、Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、または複素環基であり、Rは、水素原子またはアルキル基で、Mは、Run+、Osn+、Fen+,またはCon+であり、ここでnは、1〜3の整数である。]
【0012】
(4)上記式(1)中、MがRun+(n=1,2,3)又はOsn+(n=1,2,3)である、上記(2)記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物。
【0013】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の機能性原子団含有チオールエステル化合物のチオールエステル基と、二重鎖DNAの特定の標的塩基配列に特異的に結合するジンクフィンガーモチーフを有しN末がCys(三文字表記アミノ酸、以下同様に表記する。)であるポリペプチドとを反応させる、機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
【0014】
(6)上記(5)のポリペプチドが、以下の配列番号のポリペプチドである上記(5)記載の機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
配列番号1:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDHLTRHIRTHTG
配列番号2:
CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
配列番号3:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTG
配列番号4:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
【0015】
(7)上記ポリペプチドが、ジンクフィンガーモチーフを2または3個有する上記(5)または(6)に記載の機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
1)機能性原子団を含むチオールエステル化合物、N末にシステインを有するジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドをそれぞれ合成しておき、それぞれのグループから任意の1つを選択して室温で混合することにより、ケミカルライゲーション法により機能性原子団を有するジンクフィンガーポリペプチドを合成できる。2)このケミカルライゲーション法では、ジンクフィンガーポリペプチドはフリーであっても、または、すでにDNAに結合している状態でもかまわないので、末端にシステイン残基を有するジンクフィンガーポリペプチドを先にDNAに結合しておき、後で本発明の機能性原子団を有するチオールエステル化合物を反応させて、DNAに機能性原子団を導入できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、機能性原子団にリンカーが結合した機能性原子団含有チオールエステル化合物とその用途に関する。本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物と、ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドを、それぞれ合成しておき、それぞれのグループから任意の1つを選択して容易に所望の、多種類の機能性原子団と多種類のジンクフィンガーモチーフを有する多種類のナノ素子が、チオールエステル基とシステインとのケミカルライゲーション反応を用いるだけで、同一化学反応を用いて統一的に容易に製造することができる。
【0018】
<本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物>
本発明の新規化合物は、機能性を有する原子団の末端に、アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列、および、アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列、を有する機能性原子団含有チオールエステル化合物である。すなわち、
Fag−L−L−Lで表され、
ここで、Fag:機能性を有する原子団、
:2価の連結基
:アミノ酸3〜10個有する第1のアミノ酸配列、ここでアミノ酸3〜10個有する、TGEKP(配列番号5)、TGQKP(配列番号10)、TGERP(配列番号11)、TGEKK(配列番号12)、TGIKP(配列番号13)配列が例示され、
:アミノ酸1〜4個有するアミノ酸配列で、その末端にチオールエステル基を有する第2のアミノ酸配列であり、末端はC末であるのが好ましい。Lとして好ましくは、アミノ酸を2個有するアミノ酸配列XZが挙げられ、XはN末端でLに結合するアミノ酸YまたはFを表し、ZはヘリックスのC端キャッピング(ヘリックスのC端カルボニルへ水素結合することにより、ヘリックス安定化に寄与するもの)に関与する残基、例えばG、Q、A、M、K等が挙げられる。
ここで、Lで表される2価の連結基としては、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、炭素数1〜10の2価の複素環基、−O−、−CO−、−N(R)−およびこれらの組み合わせからなる2価の連結基が挙げられ、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。
【0019】
特に、Fag:電子移動性原子団または色素原子団、
上記L:2価の連結基
上記L:第1のアミノ酸配列が、TGEKPであり、
上記L:第2のアミノ酸配列が、XG−チオールエステル基
である、機能性原子団含有チオールエステル化合物であり、
Fag−L−TGEKP−XG−である。(ここで、Xは、YまたはFである。)。
【0020】
Fagで表される機能性原子団は、ナノ素子とした場合に機能を発揮する金属を含有する原子団であり、電子移動性原子団または色素原子団が例示でき、機能性原子を持つ錯体原子団が好ましい。以下の具体例で示す、トリスビピリジン化合物や、Cd,Pt,Hg,Ag,Fe,Ni,Co,Znを含む原子団が挙げられ、特願2004−195071号明細書に記載されている。機能性原子団は例えばTbpが例示でき、Tbpは、C末端にカルボキシル基を有する機能性原子団を表し、Mは機能性原子団の有する金属原子を表し、後に記載するTbpRu(II)、TbpOs(II)等に含まれる機能性原子団が挙げられる。
【0021】
本発明の新規な機能性原子団含有チオールエステル化合物は、以下の特性を有する。
1)機能性原子団(例えば、Tbp)が嵩高い場合でも、数個のアミノ酸からなる配列(第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列)を有するので、直接ZFに結合させてもジンクフィンガーモチーフのフォールディングに悪影響を与えることがない。
2)チオールエステル基を末端に有するのでケミカルライゲーション反応で容易に機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフポリペプチドのN末のCysと結合することができる。
3)第1のアミノ酸配列としてTGEKPのようなカノニカルリンカーを有すれば、このカノニカルリンカー部がジンクフィンガーモチーフの基本フォールデイングであるββα構造の中で、βシートの重要な構成部分となることができる。
4)チオールエステル基に隣接するアミノ酸がGly(三文字表記アミノ酸)であればケミカルライゲーションの反応性を良くすることができる。
【0022】
<本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物の製造方法>
後に説明するように、本発明の新規な機能性原子団含有チオールエステル化合物は、タンパク質(ポリペプチド)のレジンを用いる自動合成法で製造することができる。
【0023】
<本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物の具体例>
下記式(1)で示される機能性原子団含有チオールエステル化合物。
式(1)
【0024】
【化3】



(式中、Rは水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、Rは、置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、または複素環基であり、Rは、水素原子またはアルキル基で、Mは、Run+、Osn+、Fen+,またはCon+であり、ここでnは、1〜3の整数である。)
【0025】
式(1)において、Rは水素原子、アシル基(炭素数1〜10のアシル基で、例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブチリル、トリフルオロアセチル、クロロアセチル)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、クレジルオキシカルボニル)、またはカルバモイル基(炭素数1〜10のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、モルホリノカルボニル)を表す。Rは、アルキル基(炭素数1〜10のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、アリール基(炭素数6〜15のアリール基で、例えば、フェニル、トリル、1−ナフチル)、または複素環基(炭素数1〜10の複素環基で、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−フリル、4−ピペリジニル、2−チエニル、2−イミダゾリル、3−ピラゾリル、インドール−3−イル)を表す。Rは、水素原子またはアルキル基(炭素数1〜10のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)を表す。
【0026】
チオールエステルはグリシンのカルボニル基とともに−CO−SRを形成していることを表し、Rは置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、または複素環基を表す。
【0027】
は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールアゾ基、複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基及びシリル基が挙げられる。
【0028】
式(1)において、Rは好ましくは、水素原子、t−ブトキシカルボニル基または(9−フルオレニル)メトキシカルボニル基を表す。Rは、好ましくは、水素原子又はメチル基を表す。Mは、好ましくは、Ru2+またはOs2+である。
【0029】
好ましくはRは、下記式(a)で表される基を表す。
(a) −{C(R)(R)}−CO−AA
上記式(a)中、RおよびRは、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、kは1〜5の整数を表し、AAはC末端が−CONHで、式(a)中のカルボニル基にN末端で結合するアミノ酸もしくはオリゴペプチドを表す。
【0030】
<二重鎖DNAの特定の標的塩基配列に特異的に結合するジンクフィンガーモチーフを有しN末がCysであるポリペプチド>
二重鎖DNAの特定の標的塩基配列に特異的に結合するジンクフィンガーモチーフを有しN末がCysであるポリペプチド(以下、N末がCysであるポリペプチドということがある。)は、ジンクフィンガーモチーフは、2または3個有することが好ましい。この理由はナノ素子とするときに二重鎖DNAへのアニーリングの際の位置選択性が高く、得られるナノ素子の安定性も高いからである。
以下のポリペプチドが例示できるが、これらに限定されない。
配列番号1:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDHLTRHIRTHTG
配列番号2:
CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG-CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
配列番号3:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTG
配列番号4:CRICGRNFSRSDDLTRHIRTHTGEKPYG
【0031】
<本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物とN末がCysであるポリペプチドとの反応>
本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物、は、N末がCysであるポリペプチドといずれも保護基を有さない状態で、化学的に反応して連結されることができ(下記のケミカルライゲーション法)、機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドが得られる。
機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドは、それが有するジンクフィンガーのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するよう設計された二重鎖DNAと水溶液中で混合することにより、前記二重鎖DNAに付与された塩基配列情報に従って、電子移動性原子団、色素原子団等の機能性原子団をDNA上の標的位置に自律凝集に基づいて特異的に配列・定位させることができるので、前記機能性錯体原子団をDNA上の所望の位置及び順序で複数個、Å〜nmスケール程度の間隔で配列させたナノ素子を容易に製造できる。
【0032】
機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドとしては、ジンクフィンガーモチーフを2または3個有するものが好ましい。ジンクフィンガーモチーフを2または3個有するものは、二重鎖DNAとのアニーリングの選択性に優れ、ナノ素子とした後の安定性にも優れるからである。
【0033】
<ケミカルライゲーション法>
【化4】


本発明のチオールエステル化合物 N末がCysであるポリペプチド
【0034】
本発明において、R11は上記式中のカルボニル基にN末端で結合するポリペプチド残基を表す。R12は置換基を有していてもよい、アルキル基、アリール基、または複素環基を表し、R13はFag−L−L−Lに相当する基を表す。ここで、R13が結合しているカルボニル基は、第2のアミノ酸配列LのC末のカルボキシル基に由来するカルボニル基を表す。
【0035】
詳細には、本発明は、好ましくはC末にTGEKP−XG−チオールエステル基を有する機能性原子団含有チオールエステル化合物をまず製造すれば、これは二重鎖DNA上の特定の複数の標的塩基配列部位(2個以上の標的配列が異なっていても同じであってもよい。)に結合するようにアミノ酸配列が設計されたDNA結合ポリペプチドでN末がCysであるポリペプチドに、N末がCysであるポリペプチドのポリペプチド部分が異なっても容易に結合することができ、ナノ素子を簡易に、効率的に製造できることを知見し、発明を完成した。
【0036】
本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物は、N末がCysであるポリペプチドのポリペプチド部分が異なっても容易に機能性原子団含有化合物と結合し、機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドとすることができるので、[Ru(bpy)2+、[Os(bpy)2+を始とする種々の色素・電子移動単位・反応単位である機能性原子団を、予め準備したN末がCysであるポリペプチドに、その有するジンクフィンガーが固相法などの合成的手法により準備したジンクフィンガー単位と、バイオテクノロジカルに発現・単離・精製して得たジンクフィンガー単位とを問わず、後から簡便に導入することができる。このため本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物は、ジンクフィンガーによるDNAの精密認識作用を介して分子の機能をDNA上に自由配列するナノ素子技術を開発する上で、重要な進展となる。
【0037】
このようにして得られる機能性原子団含有化合物−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドからなる特異的DNA結合機能性原子団は、それが有するジンクフィンガーのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有するよう設計された二重鎖DNAと混合することにより、前記二重鎖DNAに付与された塩基配列情報に従って、電子移動性原子団、色素原子団等の機能性原子団をDNA上の標的位置に自律凝集に基づいて特異的に配列・定位させることができるので、前記機能性錯体原子団をDNA上の所望の位置及び順序で複数個、Å〜nmスケール程度の間隔で配列させたナノ素子を容易に製造できる。
【0038】
<機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチド>
本発明の製造方法で得られる機能性原子団−ジンクフィンガーモチーフ含有ポリペプチドは、多種類の機能性原子団からなる群と、多種類のジンクフィンガーモチーフ群とから、それぞれ適切な所望の機能性原子団とジンクフィンガーモチーフとの組み合わせを持つポリペプチドとして容易に得られるので、ジンクリンガーモチーフのそれぞれのDNA結合能を用いて任意の所望のナノ素子が製造できる。
【0039】
<ナノ素子>
本発明の機能性原子団含有化合物を用いて簡易・効率的に製造できるナノ素子は、ナノメータースケールの大きさで、ナノ素子の機能の中心となる電子移動性原子団、色素原子団等の機能性物質をDNAを担体として任意の配列で定位させたものである。すなわち、機能性錯体原子団がDNAに上に並べられ、少なくとも2つの機能性錯体原子団の位置が数100Å以内である素子を総称してナノ素子という。
詳細には、特願2004−195048号明細書、特願2004−195071号明細書に記載されている。本明細書はこれらを引用し、明細書の記載とする。
【0040】
具体的には、以下が例示される。
【化5】



ここで、F1は、GCRICGRNFSRSDDLTRHIRTH (配列番号14)であり、F2は、CRICGRNFSRSDHLTRHIRTHTG (配列番号15)である。
【0041】
また、TbpRu(II)、TbpOs(II)は、以下である。
TbpRu(II) TbpOs(II)
【0042】
【化6】


【0043】
本明細書において、TbpRu(II)、TbpOs(II)等の記載は上記の構造もしくはそのアミノ末端がHを有した構造を表す。(Boc) TbpRu(II)またはBoc-Tbpu(II)等の記載はアミノ末端がBoc(t−ブトキシカルボニル基)で保護されていることを表す。
【0044】
本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物の合成法
以下に本発明の機能性原子団含有チオールエステル化合物の合成法をTbp−TGEKP−XG−チオールエステルをその一例として説明する。
<Tbp−TGEKP−XG−チオールエステルの合成法>
Tbp−TGEKP−XG−チオールエステルを合成するには、以下の3方法が例示でき、Xが、Yの場合で説明する。
【0045】
1)TGEKP−YG−チオールエステルをBoc法を用いて準備して(Boc)Tbpを液相法でTGEKPのN端に導入する方法
<スキーム>
(Boc)TGEKP-YG-OH + HS-R → (Boc)TGEKP-YG-チオールエステル → H2N-TGEKP-YG-チオールエステル
(Boc)TbpM-OH + H2N-TGEKP-YG-チオールエステル → (Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル →
TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル
【0046】
金属がRuである場合で説明すれば、Boc -TbpRuを固相法でペプチドN端に導入する研究はすでに行われている(論文:Inorganic Chemistry,2002,41,379-386.)。この論文に基づき(Resin 1当量、(Boc)TbpRu(II)−OH 2当量、HATU 2当量、PyBOP 2当量、DIEA 2当量を用い、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中、50℃で24時間反応させる)を用いて、(Boc)TbpRuとH2N-TGEKP-YG-TAMPAL-resinをカップリングさせる反応を行うが、例えば、HATU等の比較的強力なカップリング試薬を用いる。カップリング反応時間中に、相本三郎等(Tetrahedron Letter,1998,39,8669-8672.)の報告にあるように、チオールエステル基部分が塩基であるDIEAの働きで加水分解され、目的物が得られない可能性もあるので、チオールエステル基部分が加水分解されないように注意する。
【0047】
(Boc)TbpRu(II)−OH:
【化7】


【0048】
HATU: O-(7-azabenzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluorophosphate
PyBOP: benzotriazol-1-yl-oxy-tris-pyrrolidino-phosphonium hexafluorophosphate
DIEA: diisopropylethylamine
TAMPAL: trityl-associated mercapto-propionic acid leucine
【0049】
2)特定のresin(例えば、TAMPAL-resin、trityl-associated mercapto-propionic acid leucine resin)を用い、resin上で全てを伸長させてから最後に切り出す固相法による方法
<スキーム>
(Boc)TbpM-OH + H2N-TGEKP-YG-チオールエステル-resin → (Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル-resin
(Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル-resin → (Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル
(Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル → TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル
【0050】
3)特定のresin(例えば、TAMPAL-resin)上でTGEKP-YGまで伸長させ、これを切り出してTGEKP-YG-チオールエステル(下記スキーム中のH2N-TGEKP-YG-チオールエステル)を作り出し、最後に液相でTbpとカップリングさせる方法
<スキーム>
H2N-TGEKP-YG-チオールエステル-resin → H2N-TGEKP-YG-チオールエステル
(Boc)TbpM-OH + H2N-TGEKP-YG-チオールエステル → (Boc)TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル →TbpM-TGEKP-YG-チオールエステル
【実施例】
【0051】
(実施例1)
前記2)の「resin上で全てを伸長させてから最後に切り出す固相法による方法」により本発明の下記化合物を合成した。
【0052】
【化8】


【0053】
(1)TAMPAL-resin(trityl-associated mercapto-propionic acid leucine resin)の合成
1−1.MBHA-resinの膨潤:予め硫酸、硝酸、発煙硝酸で洗浄しておいたペプチド合成用反応容器に、MBHA-resin・HCl(Novabiochem社製)を87.7mg(0.05 mmol)入れた。その中にDMFを1ml加え、600rpmで10分間攪拌した。DMFを捨て、再びDMFを1ml加え、600rpmで10分間攪拌した。この操作を計3回行った。
【0054】
【化9】



式1.TAMPAL-resinの合成
【0055】
反応容器内のDMFを捨て、そこに前もって用意しておいたBoc-Leuカップリング溶液[10mlサンプル管にBoc-Leu-OH・H2Oを68.56mg(0.275mmol)、HBTUを94.83mg(0.25mmol)入れ、DMF0.66mlとDIEA71.25μl(0.4 mmol)を加え、2分間攪拌した溶液]を入れた。反応溶液は、黄色になった。20分間600rpmで攪拌した後、溶液をアスピレーターで除去した。反応容器内にDMFを1ml入れ、1分間600rpmで攪拌した。溶液をアスピレーターで除去し、再びDMFを1ml入れ、1分間600rpmで攪拌した。この操作を5回行った。その後、この操作をCH2Cl2で5回行った。
それから反応容器ごと真空乾燥した。次に反応容器内に50%トリフルオロ酢酸(TFA)/CH2Cl22mlを入れ、10分間600rpmで攪拌した。溶液をアスピレーターで除去し、再び50%TFA/CH2Cl22mlを入れた。40分間600rpmで攪拌した後、溶液をアスピレーターで除去した。その後前回と同じ操作でCH2Cl2、DMFの順に樹脂を洗浄した。
反応容器内に予め準備しておいたS−トリチルメルカプトプロピオン酸カップリング溶液[10mlサンプル管にS−トリチルメルカプトプロピオン酸を26.14mg(0.075mmol)、HBTUを25.60mg(0.068mmol)入れ、DMF0.66mlとDIEA26.73μl(0.15mmol)を加え、2分間攪拌した溶液]を入れた。その後の操作は、反応容器ごと真空乾燥するところまではBoc−Leuのカップリング時と同様なので割愛する。この操作を計2回行った(ダブルカップリング)。
HBTU: 2-(1H-benzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium tetrafluoroborate
【0056】
(キャッピング)
反応容器内にZ(2−Cl)−ONSu溶液[Z(2−Cl)−ONSu14.185mg(0.05mol)をDMF0.66mlに溶かした溶液]を入れ、DIEA26.73μl(0.15mmol)を加えて10分間600rpmで攪拌した。その後上記の操作で洗浄、乾燥した。
【0057】
Z(2−Cl)−ONSu
【化10】


【0058】
(2)H2N-TGEKP-YG-TAMPAL-resinの合成:
反応容器内にトリフルオロ酢酸(TFA)溶液(TFA:TIPS:H2O=95:2.5:2.5)を1ml入れ、2分間600rpmで攪拌した。この時溶液は濃い赤紫色になった。この反応を反応式にすると以下のようになる。
TIPS:Triisopropylsilane
【0059】
【化11】



式2.Trityl基の除去
【0060】
溶液を除去し、再びTFA溶液を1ml入れ、5分間600rpmで攪拌した。溶液を除去し、CH2Cl2、DMFで洗浄後、Boc-Glyカップリング溶液[10mlサンプル管にBoc-Glyを26.28mg(0.15mol)、PyBOPを78.05mg(0.15mmol)、HOBtを20.27mg(0.15mol)入れ、DMF0.66mlとDIEA43.55μl(0.25mol)を加え、2分間攪拌した溶液]を入れた。反応溶液は、黄褐色になった。この反応は以下に示される反応式で表される。
【0061】
【化12】


【0062】
式3.TAMPAL- resinを用いたペプチド合成
HOBt:1-hydroxybenzotriazole
PyBOP: benzotriazol-1-yl-oxy-tris-pyrrolidino-phosphonium hexafluorophosphate
DIEA: diisopropylethylamine
【0063】
1時間600rpmで攪拌した後、溶液をアスピレーターで除去した。その後前回と同じ操作でDMF、CH2Cl2の順に樹脂を洗浄した。乾操後、反応容器内に50%TFA/CH2Cl21mlを入れ、10分間600rpmで攪拌した。溶液を除去し、再び50%TFA/ CH2Cl21mlを入れた。40分間600rpmで攪拌した後、溶液を除去した。その後前回と同じ操作でCH2Cl2、DMFの順に樹脂を洗浄した。
反応容器内にBoc-Tyr(2-Bz-Z)カップリング溶液[10mlサンプル管にBoc-Tyr(2-Bz-Z)を74.15mg(0.15mmol)、PyBOPを78.05mg(0.15mmol、HOBtを20.27mg(0.15mmol)入れ、DMF0.66mlとDIEA43.55μl(0.25mmol)を加え、2分間攪拌した溶液)を入れた。以降の操作はBoc-Glyの時と同様なので割愛する。同様の操作をBoc-Pro、Boc-Lys(2-Cl-Z)、Boc-Glu(OBzl)、Boc-Gly、Boc-Thr(Bzl)の順で行い、H2N-TGEKP-YG-TAMPAL-resinを合成した。
【0064】
(3)Boc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinの合成
H2N-TGEKP-YG-TAMPAL-resinを16.13mg(6μmol)秤量し、これを小スケール反応容器に入れた。ここに(Boc) TbpRu(II)−OHカップリング溶液[10mlサンプル管に(Boc) TbpRu(II)−OHを9.2mg(12μmol)、PyBOPを6.24mg(12μmol)、HATUを4.56mg(12μmol)入れ、DMF0.4mlとDIEA4.18μl(24μmol)を加えた溶液]を入れた。24時間、50℃で攪拌した。反応溶液をパスツールピペットで除去し、DMF0.4mlを入れて1分間攪拌後、その溶液を捨てた。この操作を7回行った。次にCH2Cl2でこの操作を7回行った後、真空乾燥した。
この反応の反応式は式5のようになる。ここで、Boc-(Bpy)3Ru-aaは(Boc) TbpRu(II)−OHを表す。TbpRu(II)−OHはインオーガニック・ケミストリー、41巻(2002年)、379〜386頁(Inorg. Chem. 2002, 41, 379-386.)に記載の方法に従って合成した。
【0065】
【化13】


【0066】
(Boc)TbpRuの付加
HATU: O-(7-azabenzotriazol-1-yl)-1,1,3,3-tetramethyluronium hexafluorophosphate
PyBOP: benzotriazol-1-yl-oxy-tris-pyrrolidino-phosphonium hexafluorophosphate
DIEA: diisopropylethylamine
【0067】
(4) Boc-TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルのBoc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinからの切り出し、上記のように合成したBoc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinから、切り出しを行い、RP一HPLCで分析した。
すなわち、攪拌子の入ったシュレンクにBoc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinを8.48mg(3.16μmol)入れ、チオアニソール:EDT=2:1の溶液を0.2ml加えた。シュレンクを氷浴につけ、10分間攪拌した。その中にトリフルオロ酢酸(TFA)1mlを加え、10分間氷浴下で攪拌した。その後、TFMSAを0.2ml加え、氷落下で3時間攪拌した。反応溶液の色は、黒、黒紫、薄いこげ茶の順に変化した。この反応式を以下に示す。
【0068】
【化14】


Boc-TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルの合成(TAMPAL-resinからの切り出し)
TFMSA:トリフルオロメタンスルホン酸
EDT:1,2−エタンジチオール
【0069】
反応溶液を、氷で冷やしておいたジエチルエーテル20mlの中に入れ、ペプチドを沈殿させた。よく攪拌した後、遠心分離を3000rpmで5分間行った。デカンテーションし、再びジエチルエーテルを加えた。この操作を5回行い、ペプチドを洗浄した。そのHPLCチヤートを以下に示す。
【0070】
【化15】



合成したTbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルのHPLCチヤート(分析カラム)
【0071】
HPLC測定条件(検出波長:210nm、流速:0.8ml/min、pumpA:0.05%TFA:H2O、pumpB:0.05%TFA AN、gradient:B conc.10-80%,60分間、column:資生堂CAPCELLPAKC18UG1204.6×250mmNo.1)、測定機器:Shimadzu LC−6A)。
【0072】
(3)TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルのHPLC分取
合成したTbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルを3.7mg秤量し、それをRP-HPLCで分取した。そのときのHPLCチャートを以下に示す。測定条件は上と同様である。
【0073】
【化16】


【0074】
TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルの分取前(左)、分取後(右)のチャート
分画したところ、メインピークの立ち上がり(吸光度;0.06)から項点を越えて頂点(吸光度;0.88)の0.205倍のところまでを分取するときれいなものが得られることが分かった。分取は合計で2回行った。
分取後のTbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルのHPLCチャートを図3に示した。純度は99.9%である。
この化合物のUV-visスペクトルを測定したところ、以下のようになった。Michael Y. Ogawa et al.J. Am Chem. Soc. ,118,5783−5790(1996)の論文を参照したシグナルの帰属は以下のとおりである。
【0075】
【化17】



TbpRu- TGEKP-YG -thioesterのUV-visスペクトル
【0076】
245nm(b)、285nm(c)、455nm(e)の吸収は[Ru(bpy)32+特有のものである。また、このペプチドにはTyrが含まれているため、その側鎖の吸収である280nm付近のもの(c)が重なっている。210nm付近の吸収(a)はペプチド結合に帰属される。[Ru(bpy)32+の〜450mnに見られるS0→S1遷移の吸収極大(e)は、Ruのdπ軌道原子がbpy配位子のπ*軌道に励起されるMLCT遷移によるものである。
【0077】
上記で合成したH2N-TGEKP-YG-TAMPAL-resinから、前記「(4) Boc-TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルのBoc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinからの切り出し」と同様の条件でH2N-TGEKP-YG-チオールエステルを切り出し、前記「(3)Boc-TbpRu-TGEKP-YG-TAMPAL-resinの合成」と同様に(Boc) TbpRu(II)−OHと縮合することによりBoc-TbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルを合成することができ、これを脱保護することによりTbpRu-TGEKP-YG-チオールエステルを合成することができる。




 

 


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