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発明の名称 膜形成用組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−77276(P2007−77276A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−267002(P2005−267002)
出願日 平成17年9月14日(2005.9.14)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 阿出川 豊
要約 課題
電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好な絶縁膜形成用組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜およびそれを有する電子デバイスを提供する。

解決手段
脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物を含む膜形成用組成物であって,該脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物が,粒径2nm〜15nmの粒子形状であることを特徴とする膜形成用組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物を含む膜形成用組成物であって,該脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物が,粒径2nm〜15nmの粒子形状であることを特徴とする膜形成用組成物。
【請求項2】
脂環式炭化水素構造がカゴ型構造であることを特徴とする請求項1に記載の膜形成用組成物。
【請求項3】
カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする請求項2に記載の膜形成用組成物。
【請求項4】
膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の膜形成用組成物。
【請求項5】
カゴ型構造がアダマンタン構造であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の膜形成用組成物。
【請求項6】
カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の膜形成用組成物。
【請求項7】
カゴ型構造を有する化合物が下記式(1)〜(3)のいずれかで表される少なくとも一種の化合物の加水分解縮合体であることを特徴とする請求項6に記載の膜形成用組成物。
【化1】



式(1)〜(3)において、
Rは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表す。
m1〜m6は各々独立に1〜14の整数を表す。
Xは各々独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
Lは各々独立に−CH=CH−または−C≡C−で表される2価の連結基を表す。
n1〜n6は各々独立に0〜13の整数を表す。
また、式(1)〜(3)で表される化合物が、単結合または連結基により複数結合していてもよい。
【請求項8】
脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物が窒素原子を除く構成元素よりなる化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の膜形成用組成物。
【請求項9】
さらに有機溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の膜形成用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の膜形成用組成物を用いて形成した多孔質絶縁膜。
【請求項11】
請求項10に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好な絶縁膜形成用組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜、およびそれを有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料分野においては、高集積化、多機能化、高性能化の進行に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大し、消費電力や遅延時間の増大を招いている。中でも、遅延時間の増大は、デバイスの信号スピードの低下やクロストークの発生の大きな要因となるため、この遅延時間を減少させてデバイスの高速化を図るべく、寄生抵抗や寄生容量の低減が求められている。この寄生容量を低減するための具体策の一つとして、配線の周辺を低誘電性の層間絶縁膜で被覆することが試みられている。また、層間絶縁膜には、実装基板製造時の薄膜形成工程やチップ接続、ピン付け等の後工程に耐え得る優れた耐熱性やウェットプロセスに耐え得る耐薬品性が求められている。さらに、近年は、Al配線から低抵抗のCu配線が導入されつつあり、これに伴い、CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)による平坦化が一般的となっており、このプロセスに耐え得る高い機械的強度が求められている。
【0003】
高耐熱性の絶縁膜として、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いN原子を含むため、低誘電性、低吸水性、耐久性および耐加水分解性の面では、満足なものは得られていない。
また、有機ポリマーは概して有機溶剤への溶解性の不十分なものが多く、塗布液中での析出、絶縁膜中でのブツ発生の抑制が重要な課題となっているが、溶解性を向上させるためにポリマー主鎖を折れ曲がり構造にするとガラス転移点の低下、耐熱性の低下が弊害となりこれらを両立することは容易ではない。
また、ポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性樹脂が知られており(特許文献1)、誘電率は2.6〜2.7の範囲である。しかし、高速デバイスを実現するためには更なる低誘電率化が望まれて、誘電率を好ましくは2.6以下、より好ましくは2.5以下にすることが望まれている。
【0004】
ところが、有機含有シリコン酸化膜では、比誘電率を2.5よりも低くすることは非常に困難であるため、膜の内部に空孔が導入された絶縁膜、いわゆるポーラス膜が必要となってくる。
【0005】
特許文献2には、2つのポーラス膜について紹介されている。
第1の例は、シリコンレジン及び有機溶媒を含む溶液により形成された薄膜を焼成することによってポーラス膜を形成するものである。これによると、薄膜の焼成時に有機溶媒が気化して消滅した跡に連続孔がランダムに形成される。この場合、有機溶媒は溶剤としての働きと空孔を形成するための働きとの両方を担っている。尚、一般に、溶液を基板上に塗布して薄膜を形成するためにはスピン塗布法が用いられ、また薄膜の焼成にはホットプレート及びファーネス(電気炉)が用いられる。
【0006】
また、第2の例は、シリコンレジン及び有機溶媒のほかに、有機物からなるポロジェン(Porogen)を加えた溶液により形成された薄膜を焼成することによってポーラス膜を形成するものである。これによると、ポロジェンの選択により連続孔のみならず独立孔も形成することが可能である。この場合、当然ながら、ポロジェンは膜中から気化して消滅する。
【0007】
第1及び第2の従来例においては、連続孔がランダムに形成されるため、比誘電率k=2.2〜2.3の低誘電率膜を実現するためには、30%以上の空孔率(単位体積当たりに空孔が占める割合)を必要とする。このため,絶縁膜の配線加工におけるウェットプロセスによるダメージ、あるいは、配線金属原子のマイグレーションなどの問題が生じている。第1又は第2の従来例において、比誘電率をより低くしようとすると、空孔率が増大するので、問題はさらに深刻となる。
また、引用文献3に、微粒子を用いた多孔性絶縁膜が紹介されているが、比誘電率や機械強度の更なる改善が望まれていた。
【特許文献1】米国特許6509415号明細書
【特許文献2】特開2001−294815公報
【特許文献3】特開2004−253626公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点を解決するための膜形成用組成物に関し、さらに詳しくは電子デバイスなどに用いられる誘電率、機械強度等の膜特性が良好な絶縁膜形成用組成物に関し、さらには該組成物を用いて得られる絶縁膜およびそれを有する電子デバイスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題が下記の構成により解決されることを見出した。
<1>
脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物を含む膜形成用組成物であって,該脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物が,粒径2nm〜15nmの粒子形状であることを特徴とする膜形成用組成物。
<2>
脂環式炭化水素構造がカゴ型構造であることを特徴とする<1>に記載の膜形成用組成物。
<3>
カゴ型構造が飽和炭化水素構造であることを特徴とする<2>に記載の膜形成用組成物。
<4>
膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率が30%以上であることを特徴とする<2>または<3>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<5>
カゴ型構造がアダマンタン構造であることを特徴とする<2>〜<4>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<6>
カゴ型構造がジアマンタン構造であることを特徴とする<2>〜<4>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<7>
カゴ型構造を有する化合物が下記式(1)〜(3)のいずれかで表される少なくとも一種の化合物の加水分解縮合体であることを特徴とする<6>に記載の膜形成用組成物。
【0010】
【化1】


【0011】
式(1)〜(3)において、
Rは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表す。
m1〜m6は各々独立に1〜14の整数を表す。
Xは各々独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
Lは各々独立に−CH=CH−または−C≡C−で表される2価の連結基を表す。
n1〜n6は各々独立に0〜13の整数を表す。
また、式(1)〜(3)で表される化合物が、単結合または連結基により複数結合していてもよい。
<8>
脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物が窒素原子を除く構成元素よりなる化合物であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<9>
さらに有機溶剤を含むことを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載の膜形成用組成物。
<10>
<1>〜<9>のいずれかに記載の膜形成用組成物を用いて形成した多孔質絶縁膜。
<11>
<10>に記載の絶縁膜を有する電子デバイス。
【発明の効果】
【0012】
本発明の膜形成用組成物により形成した絶縁膜は誘電率、機械強度等の膜特性が良好なため、電子デバイスなどにおける層間絶縁膜として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
<脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物>
本発明の膜形成用組成物は、脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物を含有する。脂環式炭化水素構造を有することは吸湿性、および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式炭化水素構造としては、単環式でも、多環式でもよく、脂環中にヘテロ原子を有していてもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していてもよい。
以下に、脂環式炭化水素基のうち、脂環式部分の構造例を示す。
【0015】
【化2】


【0016】
【化3】


【0017】
【化4】


【0018】
脂環式炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、オキシ基、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましく、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基よりなる群から選択された置換基を表す。上記アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のものを挙げることができる。
また、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基は、更に置換基を有していてもよく、このような置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキルカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、フッ素原子等)等を挙げることができる。
脂環式炭化水素構造としては、カゴ型構造が好ましい。
【0019】
本発明で述べる「カゴ型構造」とは、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような分子を指す。例えば、アダマンタン構造はカゴ型構造と考えられる。対照的にノルボルナン(ビシクロ[2,2,1]ヘプタン)などの単一架橋を有する環状構造は、単一架橋した環状化合物の環が容積を定めないことから、カゴ型構造とは考えない。
【0020】
カゴ型構造の総炭素数は、好ましくは10〜30個、より好ましくは11〜18個、特に好ましくは14個の炭素原子で構成される。
ここでいう炭素原子にはカゴ型構造に置換した連結基や置換基の炭素原子を含めない。例えば、1−メチルアダマンタンは10個の炭素原子で構成され、1−エチルジアマンタンは14個の炭素原子で構成されるものとする。
【0021】
カゴ型構造は飽和炭化水素構造であることが好ましく、好ましい例としては高い耐熱性を有している点でダイヤモンド類似構造のアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ドデカヘドラン等が挙げられ、より好ましい例としてはアダマンタン、ジアマンタン、トリアマンタンが挙げられ、特に好ましい例としてはより低い誘電率が得られ、合成が容易である点でジアマンタンが挙げられる。
【0022】
本発明におけるカゴ型構造は1つ以上の置換基を有していても良く、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、炭素数1〜10の直鎖、分岐、環状のアルキル基(メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、炭素数2〜10のアルケニル基(ビニル、プロペニル等)、炭素数2〜10のアルキニル基(エチニル、フェニルエチニル等)、炭素数6〜20のアリール基(フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等)、炭素数2〜10のアシル基(ベンゾイル等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(フェノキシ等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル等)、ニトロ基、シアノ基、シリル基(トリエトキシシリル、メチルジエトキシシリル、トリビニルシリル等)等が挙げられる。この中で好ましい置換基はフッ素原子、臭素原子、炭素数1〜5の直鎖、分岐、環状のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数2〜5のアルキニル基、シリル基である。これらの置換基はさらに別の置換基で置換されていてもよい。
【0023】
本発明におけるカゴ型構造は1〜4価であることが好ましく、より好ましくは2〜3価であり、特に好ましくは2価である。このとき、カゴ型構造に結合する基は1価以上の置換基でも2価以上の連結基でも良い。
【0024】
本発明の脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物とは、高分子化合物(たとえばポリマー)である。この場合、その重量平均分子量は粒径の好ましい範囲を満たす条件であればどのような値でもかまわない。
【0025】
本発明においてカゴ型構造はポリマー主鎖に1価以上のペンダント基として組み込まれても良い。カゴ型構造が結合する好ましいポリマー主鎖としては、例えば直鎖状あるいは分岐状ポリシロキサン,ラダー型ポリシロキサン,かご型ポリシロキサン,ネットワーク型ポリシロキサン等が挙げられる。この中でも耐熱性が良好な点から、ネットワーク型ポリシロキサン,分岐型ポリシロキサンが好ましい。
【0026】
本発明においてカゴ型構造がポリマー主鎖の一部となっていることも好ましい。すなわちポリマー主鎖の一部になっている場合には、本ポリマーからカゴ型構造を除去するとポリマー鎖が切断されることを意味する。この形態においては、カゴ型構造はカゴ構造間で直接単結合するかまたは適当な2価以上の連結基によって連結される。連結基の例としては例えば、−C(R11)(R12)−、−C(R13)=C(R14)−、−C≡C−、アリーレン基、−CO−、−O−、−SO2−、−N(R15)−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基が挙げられる。ここで、R11〜R17はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基を表す。これらの連結基は置換基で置換されていてもよく、例えば前述の置換基が好ましい例として挙げられる。
この中でより好ましい連結基は、−C(R11)(R12)−、−CH=CH−、−C≡C−、アリーレン基、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらを組み合わせた基であり、特に好ましいものは、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−Si(R16)(R17)−またはこれらの組み合わせである。
【0027】
本発明の脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物は、その分子内にカゴ型構造を1種でも2種以上含んでいても良い。
【0028】
以下に本発明の脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物の具体例を示すが、もちろん本発明はこれらに限定されない。
尚、構造式右の[Si(O0.54はSiとOが交互に配列した三次元構造でSiがm個あることを示す。
ここで、mおよびnは組成比(モル%)を表し、m+n=100である。
【0029】
【化5】


【0030】
【化6】


【0031】
【化7】


【0032】
【化8】


【0033】
【化9】


【0034】
【化10】


【0035】
【化11】



【0036】
本発明の脂環式炭化水素構造とSi原子を有する化合物は下記式(1)〜(3)のいずれかで表される少なくとも一種の化合物の加水分解縮合体であることがより好ましく、式(1)で表される少なくとも一種の化合物の加水分解縮合体であることがさらに好ましい。
【0037】
【化12】


【0038】
式(1)〜(3)において、
Rは各々独立にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基を表す。
m1〜m6は各々独立に1〜14の整数を表す。
Xは各々独立にハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはシリル基を表す。
Lは各々独立に−CH=CH−または−C≡C−で表される2価の連結基を表す。
n1〜n6は各々独立に0〜13の整数を表す。
また、式(1)〜(3)で表される化合物が、単結合または連結基により複数結合していてもよい。
【0039】
Rは好ましくは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基を表し、Rはさらに別の置換基で置換されていてもよい。置換基としては例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アシル基、アリールオキシ基、アリールスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。Rはさらに好ましくは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは水素原子または炭素数0〜10のシリル基を表す。
m1〜m6は好ましくは1〜4の整数であり、より好ましくは1〜3の整数であり、特に好ましくは2または3である。
Xは好ましくはハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)、シリル基(好ましくは炭素数0〜20)を表し、Xはさらに別の置換基で置換されていても良く、置換基の例として前述のものが挙げられる。Xはさらに好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数0〜20のシリル基を表し、より好ましくは臭素原子、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数0〜10シリル基を表す。
n1〜n6は好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1である。
【0040】
式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物、また、式(1)〜(3)で表される化合物が、単結合または連結基により複数結合した化合物((D−9)〜(D−10’))の具体例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
【化13】


【0042】
【化14】


【0043】
本発明の化合物は熱により他の分子と共有結合を形成する反応性基を有していることが好ましい。このような反応性基としては、特に限定されないが例えば環化付加反応、ラジカル重合反応を起こす置換基が好ましく利用できる。例えば、2重結合を有する基(ビニル基、アリル基等)、3重結合を有する基(エチニル基、フェニルエチニル基等)、ディールスアルダー反応を起こすためのジエン基、ジエノフィル基の組み合わせ等が有効であり、特にエチニル基とフェニルエチニル基が有効である。
【0044】
また、本発明の化合物には、モル分極率を高めたり絶縁膜の吸湿性の原因となる窒素原子は誘電率を高くする働きがあるため含まないことが好ましい。特に、ポリイミド化合物では充分に低い誘電率が得られないため、本願のカゴ型構造を有する化合物は、ポリイミド以外の化合物、即ちポリイミド結合、アミド結合を有しない化合物であることが好ましい。
【0045】
本発明の組成物より形成した絶縁膜に良好な特性(誘電率、機械強度)を付与する観点から、膜形成用組成物に含まれる全固形分中の総炭素数に占めるカゴ型構造の総炭素数の比率は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50〜95%、さらに好ましくは60%〜90%である。ここで、膜形成用組成物に含まれる全固形分とは、この塗布液により得られる絶縁膜を構成する全固形分に相当するものである。尚、発泡剤のように絶縁膜形成後に絶縁膜中に残らないものは固形分に含めない。
【0046】
<膜形成組成物のカゴ型構造とSi原子を有する化合物の粒子>
本発明の膜形成組成物のカゴ型構造とSi原子を有する化合物は、粒径2nm〜15nmの粒子形状であり、該粒子形状は球状でもよく多面体でもよく、好ましくは粒径3nm〜10nmの粒子形状であり,さらに好ましくは粒径3nm〜8nmの粒子形状である。
【0047】
このような範囲の平均粒径の粒子であれば、均一な粒径のものでも粒径の異なる粒子の2種類以上の混合物でもよく、すなわち粒度分布がシャープなものであっても、ブロードなものであっても、バイモダルなものであってもよい。好ましくは粒度分布がシャープなものがよい。粒径の変動係数15%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
【0048】
粒子の形成方法としては、公知の方法が適用でき、Sto¨ber法などの塩基触媒によるアルコキシシランの加水分解縮合による方法(J.Colloid Interface Sci.,26, 62(1968), J.Colloid Interface Sci.,128, 121(1989)) やアルコキシシランのマイクロエマルジョン重合(Adv. Mater., 12, 955 (1997))などの方法があげられる。その他、いったん形成したバルク焼成体を粉砕して取り出し分級してもよい。分級としては、たとえば遠心分離法、溶解度分別法、物理ふるい法などが挙げられるが、これらの中で、操作の簡便性、微粒子の収率を考慮すると遠心分離法がもっとも好ましい。遠心分離の操作はたとえばKUBOTA社製、KUBOTA 7930を用いて行なうことができる。分離に使用するローターの温度は通常0℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃で、ローター回転数は1000〜30000rpm、分離時間は5分から24時間が好ましい。得られた粒子は通常、水または有機溶媒に再分散された後使用される。他にもメカノケミカル法、メカニカルアロイング法、気相法、その他超音波化学、超臨界流体利用による微粒子生成方法などいずれの方法も適用できる。
【0049】
加水分解縮合による粒子形成方法としては、アルコキシシランを水の存在下、適当な有機溶媒中で塩基触媒を用いた加水分解縮合があげられる。塩基触媒としては、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤などの塩基性化合物などを用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、アンモニアなどを挙げることができる。その中にテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。塩基触媒の添加量はアルコキシシラン1モルに対して0.01〜5モル、好ましくは0.1〜2モル、より好ましくは0.2〜0.6モルである。
【0050】
粒子を構成するアルコキシシランは、該粒子用アルコキシシランと、塩基触媒、水及び/又は有機溶媒とからなる混合物に反応前に全量添加して良いし、一部ずつ段階的に添加してもよい。
【0051】
有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などが挙げられ、より具体的には、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類が用いられる。
【0052】
アルコキシシランの加水分解に必要な水は液体のまま、あるいはアルコール等の水溶液として加えるのが一般的であるが、水蒸気の形で加えてもかまわない。水の添加を急激に行うと、アルコキシシランの種類によっては加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、水の添加に充分な時間をかけることが好ましい。従って液体で添加する場合アルコキシシランが均一に水と接するようにアルコールなどの溶媒を共存させたり、低温で添加するなどの手法を単独または組み合わせて用いることが好ましい。
【0053】
水の添加量は原料として仕込み量のアルコキシシラン基1モル当たり、0.1モル〜50モルの範囲が好ましく、より好ましくは1〜20モルである。水の添加量がこの範囲にあると、以下の反応が円滑に進行するので好ましい。粒子を得るための反応温度は、粒子の緻密化と加水分解の進行速度、および、粒径のコントロール性から好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜150℃、とくに好ましくは20〜100℃である。反応時間は、反応温度にもよるが通常1時間〜10日、好ましくは4時間〜10日、より好ましくは1日〜5日である。
【0054】
また低温で初期の反応を進行させておいて、後期に高温で熟成することもできる。熟成温度は、180℃以上であることが好ましい。
【0055】
以上の製造条件では、通常目的とする粒子以外に微粒子状にまで成長しないシロキサン化合物をはじめ、未反応のアルコキシシランを含むその部分加水分解物や部分縮合物などが含まれるので、これらの混合物か目的とする粒子を分離することが好ましい。これは、先にのべた粉砕品の分級と同じ手法を用いて達成できる。
【0056】
マイクロエマルジョン重合においては、水中で有機基含有アルコキシシランの数nm〜数十nm程度の透明な液体をマイクロエマルジョン微小な乳化物を作成し、ここで加水分解縮合を行なうことができる。陰イオン性界面活性剤AOT(dioctyl sulfosuccinate sodium salt)を水及び油と混合した系は、典型的なマイクロエマルジョン系として知られ良く研究されている。AOTは水和により親水基から陽イオンを解離する。その為、温度上昇によって親水基間の静電反発力が大きくなり、界面活性剤膜の自発曲率が変化し、様々な構造間の相転移が観測されることが知られている。このため温度等の反応条件を適切に設定することが好ましい。
【0057】
ナノ粒子成長のための界面活性剤、すなわち表面配位子には、線状または分岐状で4から18個の炭素原子を含む有機部分である長鎖アルキルアミン;4から18個の炭素原子(線状、分岐状、環式または芳香族)を含む有機部分である長鎖アルコール;線状または分岐状で4から18個の炭素原子を含み、さらに環式構造または芳香族環を含んでいてもよい有機部分である長鎖ホスホン酸;および、線状または分岐状で4から18個の炭素原子を含み、さらに環式構造または芳香族環を含んでいてもよい有機部分である長鎖スルホン酸;線状または分岐状で4から18個の炭素原子を含む有機部分である長鎖カルボン酸、が含まれる。なかでも長鎖カルボン酸は好ましい。また、長鎖アルキル基とポリエチレンオキシド基を併せ持つタイプの非イオン性界面活性剤も好ましく用いられる。
【0058】
また、少量の有機溶媒を分散剤として加えることもできる。有機溶媒は水の10wt%以下であることが好ましく、5wt%以下であることがより好ましい。さらに好ましくは1wt%以下である。
【0059】
添加する有機溶媒としては、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノールおよびブタノールなど)、アルカン(ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンおよびドデカンならびに石油エーテルもしくはケロシンのような粗留分など)、ケトン(アセトン、およびメチルエチルケトンを含むが、これらに限定されない)、エーテル(エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、ペンチルエーテル、ヘキシルエーテル、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、フェニルエーテル、およびメチルフェニルエーテル(アニソール)など)、芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、およびメシチレンなど)、およびカルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)が含まれる。これらの溶剤の中で、ヘキサン、トルエン、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、オクチルエーテル、フェニルエーテルが、それらの有効性とコストの組合せにより通常用いられ、ヘキサン、アセトン、エタノールが、それらの沸点が低いために最も好ましい。
【0060】
添加する有機溶媒と界面活性剤の好ましい組み合わせとしては,オクチルエーテルまたはフェニルエーテルとオレイン酸が上げられる。あるいはアルコールとノニルフェノールのポリエチレンオキシド25mol付加物があげられる。
【0061】
このようにして得られた粒子は、分散媒を水に置換して、イオン交換樹脂で脱イオン処理を行ってもよい。処理により、形成した多孔質絶縁膜の耐熱性が良好となる場合がある。
【0062】
本発明の膜形成用組成物は有機溶剤を含んで塗布液として用いることが出来る。
本発明に用いることの出来る好適な溶剤の例としては、特に限定はされないが、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、1−ブタノール、2−エトキシメタノール、3−メトキシプロパノール等のアルコール系溶剤;アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、アニソール、フェネトール、ベラトロール等のエーテル系溶剤;メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、などが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0063】
より好ましい溶剤は、1−メトキシ−2−プロパノール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、アニソール、メシチレンである。
【0064】
本発明の塗布液の固形分濃度は、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜35質量%であり、特に好ましくは7〜20質量%である。
【0065】
更に、本発明の膜形成用組成物には絶縁膜の諸特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、非イオン界面活性剤、フッ素系非イオン界面活性剤、シランカップリング剤などの添加剤を添加してもよい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0066】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0067】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0068】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0069】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0070】
ラジカル発生剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシド、ペンチルパーオキシド、ヘキシルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。非イオン界面活性剤としては、例えば、オクチルポリエチレンオキシド、デシルポリエチレンオキシド、ドデシルポリエチレンオキシド、オクチルポリプロピレンオキシド、デシルポリプロピレンオキシド、ドデシルポリプロピレンオキシド等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、これらの加水分解物あるいはこのものの脱水縮合物等が挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、添加剤の用途または塗布液の固形分濃度によって適当な範囲が存在するが、一般的に、塗布液中の質量%で好ましくは0.001%〜10%、より好ましくは0.01%〜5%、特に好ましくは0.05%〜2%である。
【0071】
絶縁膜は本発明の塗布液をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法等の任意の方法により、基板に塗布した後、溶剤を加熱処理で除去することにより形成することができる。加熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した方法、RTP(Rapid Thermal Processor)等によるキセノンランプを使用した光照射加熱等を適用することができる。
【0072】
本発明の塗布液を使用して得られる膜は、半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板等の電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等として使用することが出来る。その他、水処理用ろ過膜,土壌改質剤担体,環境浄化用光触媒担体,建築材料など様々な用途に使用することもできる。
【0073】
この塗膜の膜厚には特に制限は無いが、0.001〜100μmであることが好ましく、0.01〜10μmであることがより好ましく、0.1〜1μmであることが特に好ましい。
【0074】
本発明の化合物は塗布後に加熱することによって互いに架橋して、機械的強度、耐熱性に優れた絶縁膜を形成することが好ましい。この加熱処理の最適条件は、加熱温度が好ましくは200〜450℃、より好ましくは300〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、加熱時間は好ましくは1分〜2時間が好ましく、より好ましくは10分〜1.5時間であり、特に好ましくは30分〜1時間である。加熱処理は数段階で行っても良い。
【実施例】
【0075】
以下の実施例は本発明を説明するものであり、その範囲を限定するものではない。
【0076】
<合成例1>
加水分解縮合体 (D-1-P-1)の合成
20gのメチルイソブチルケトンに10gの下記構造の化合物(D-1)を溶解し、濃度400ppmの硝酸水を10分間で滴下し、滴下終了後にオートクレーブ中で180℃で2時間の熟成反応を行わせた。引き続いて、2gの硝酸マグネシウムを添加し、過剰の水分を除去した。ロータリエバポレータを用い、反応溶液を除去し、さらに1,4−ジオキサンを使用して凍結乾燥を行った。得られた化合物(D-1-P-1)をテトラヒドロフラン(THF)に分散させ、粒子の粒径を動的光分散法によって測定したところ、平均粒径は5nmであり、その粒径分布を示す標準偏差σにて、3σが平均粒径の約5%であった。
【0077】
【化15】


【0078】
<実施例1>
上記の化合物(D-1-P-1)の粒子1.0gをシクロヘキサノン5.0mlおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0mlの混合溶剤に分散剤としてBYK-306(ビックケミ社製)0.1%を用いて分散(対粒子重量)し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で150℃で60秒間加熱し、更に400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率をフォーディメンジョンズ製水銀プローバおよび横川ヒューレットパッカード製のHP4285ALCRメーターを用いて1MHzにおける容量値から算出したところ、2.01であった。また、MTS社ナノインデンターSA2を使用してヤング率を測定したところ、6.9GPaであった。
このウエーハーを100℃の沸騰水に1時間浸漬し,真空中で200℃12時間乾燥し,その後誘電率を測定したところ2.05であった。
【0079】
<合成例2>
加水分解縮合体 (D-1-P-2)の合成
2gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに1.0gの上記構造の化合物(D-1)を溶解し、オレイン酸濃度2%の水100g中に60分かけて滴下した。同時に濃度400ppmの硝酸水10gを60分間で滴下し、滴下終了後にオートクレーブ中で180℃で2時間の熟成反応を行わせた。引き続いて、ロータリエバポレータを用い、反応溶媒を除去し、さらに凍結乾燥を行った。得られた化合物(D-1-P-2)をテトラヒドロフラン(THF)に分散させ、粒子の粒径を動的光分散法によって測定したところ、平均粒径は8nmであり、その粒径分布を示す標準偏差σにて、3σが平均粒径の約10%であった。
<実施例2>
上記の化合物(D-1-P-2)の粒子1.0gをシクロヘキサノン5.0mlおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0mlの混合溶剤にBYK-306(ビックケミ社製)0.1%(対粒子重量)を用いて分散し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で180℃で60秒間加熱し、更に400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.05であった。また、ヤング率は6.0GPaであった。
このウエーハーを100℃の沸騰水に1時間浸漬し,真空中で200℃12時間乾燥し,比誘電率を上記の方法で測定したところ,2.06であった。
【0080】
<比較合成例1>
加水分解縮合体 (B-P-1)の合成
20gのメチルイソブチルケトンに10gの下記構造の化合物(B)を溶解し、濃度400ppmの硝酸水を10分間で滴下し、滴下終了後にオートクレーブ中で180℃で2時間の熟成反応を行わせた。引き続いて、2gの硝酸マグネシウムを添加し、過剰の水分を除去した。ロータリエバポレータを用い、反応溶液を除去し、さらに1,4−ジオキサンを使用して凍結乾燥を行った。得られた化合物(B-P-1)をテトラヒドロフラン(THF)に分散させ、粒子の粒径を動的光分散法によって測定したところ、平均粒径は20nmであり、その粒径分布を示す標準偏差σにて、3σが平均粒径の約20%であった。
【0081】
【化16】


【0082】

<比較例1>
上記の化合物(B-P-1)の粒子1.0gをシクロヘキサノン5.0mlおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0mlの混合溶剤にBYK-306(ビックケミ社製)0.1%(対粒子重量)を用いて分散し、塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で180℃で60秒間加熱し、更に400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.40であった。また、ヤング率は4.0GPaであった。
このウエーハーを100℃の沸騰水に1時間浸漬し,真空中で200℃12時間乾燥し,比誘電率を上記の方法で測定したところ,2.80であった。
【0083】
<比較合成例2>
加水分解縮合体 (D-1-L-3)の合成
20gのジエチレングリコールジメチルエーテルに5gの上記構造の化合物(D-1)を溶解し、濃度400ppmの硝酸水を1分間で滴下し、40℃で3時館反応させた。引き続いて、ロータリエバポレータを用い、エタノール及び水を除去した。得られた溶液をテトラヒドロフラン(THF)に希釈し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)に測定を実施したところ、得られた化合物(D-1-L-3)の重量平均分子量は2,000であった。粒径を動的光分散法によって測定したところ、平均粒径は約1nmであり、その粒径分布を示す標準偏差σにて、3σが平均粒径の約20%であった。
【0084】
<比較例2>
上記の(D-1-L-3)1.0g相当をプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0mlので希釈し、さらにポリプロピレングリコール(アルドリッチ)0.5g,BYK-306(ビックケミ社製)0.1%(対化合物重量)を用いて塗布液を調製した。この溶液を0.1ミクロンのテトラフルオロエチレン製フィルターでろ過した後、シリコンウェハー上にスピンコートし、この塗膜を窒素気流下ホットプレート上で180℃で60秒間加熱し、更に400℃のオーブン中で60分加熱した。得られた膜厚0.5ミクロンの絶縁膜の比誘電率は2.10であった。また、ヤング率は3.0GPaであった。
このウエーハーを100℃の沸騰水に1時間浸漬し,真空中で200℃12時間乾燥し,比誘電率を上記の方法で測定したところ,2.70であった。




 

 


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