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発明の名称 SPRイメージャーを用いた病理診断方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−75026(P2007−75026A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−268157(P2005−268157)
出願日 平成17年9月15日(2005.9.15)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 山本 正義 / 都築 博彦
要約 課題
簡便かつ正確なプロテアーゼの測定を可能とするバイオセンサー、及びそれを用いたプロテアーゼの測定方法を提供する。

解決手段
コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導体、及びトランスフェリン誘導体からなる群から選ばれるプロテアーゼ基質で表面が修飾されている、金属表面又は金属膜から成る基板からなることを特徴とする、プロテアーゼによる消化パターンを測定するためのバイオセンサーを提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
プロテアーゼ基質で表面が修飾されている基板からなることを特徴とする、プロテアーゼによる消化パターンを測定するためのバイオセンサー。
【請求項2】
プロテアーゼ基質が、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導体、及びトランスフェリン誘導体からなる群かれ選ばれるプロテアーゼ基質である、請求項1に記載ノバイオセンサー。
【請求項3】
基板が、金属表面又は金属膜から成る基板である、請求項1又は2に記載のバイオセンサー。
【請求項4】
金属表面あるいは金属膜が、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる自由電子金属からなるものである、請求項3に記載のバイオセンサー。
【請求項5】
基板が、疎水性高分子化合物又はポリヒドロキシ高分子化合物でコーティングした金属表面又は金属膜であるか、あるいは自己組織化膜を有する金属表面又は金属膜であって、その表面がプロテアーゼ基質で修飾されている基板である、請求項1から4の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項6】
基板の上に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを金属膜との界面で全反射条件が得られるように、かつ、種々の入射角成分を含むようにして入射させる光学系と、及び前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備えてなる、請求項1から5の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項7】
非電気化学的検出に使用される、請求項1から6の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項8】
表面プラズモン共鳴分析に使用される、請求項1から7の何れかに記載のバイオセンサー。
【請求項9】
請求項1から8の何れかに記載のバイオセンサーに対してプロテアーゼを含む試料を接触させる工程、及びプロテアーゼの作用により該バイオセンサーの表面に形成された消化痕を検出する工程を含む、プロテアーゼの測定方法。
【請求項10】
該試料が患者から分離・採取した生体試料である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プロテアーゼがマトリックス・メタロプロテアーゼである、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
プロテアーゼが関与する疾患の診断に用いる、請求項9から11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
該疾患が癌、リウマチ性疾患、歯周病、及び歯槽膿漏からなる群から選ばれる疾患である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バイオセンサーの表面に形成された消化痕を非電気化学的方法により検出または測定する、請求項9から13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
バイオセンサーの表面に形成された消化痕を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定する、請求項9から14の何れかに記載の方法。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアーゼの測定方法に関するものである。より具体的には、癌細胞の浸潤活性や転移活性などの癌の悪性度、歯周炎などの歯周病の進行度、リウマチ性関節炎などにおける破壊性病態などの正確な診断を可能にするプロテアーゼの測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
腫瘍の良性、悪性の相違を規定する因子の一つとして、間質結合組織への浸潤の有無を挙げることができる。特に、腫瘍細胞の浸潤や転移にはプロテアーゼが関与することが明らかにされており、プロテアーゼを制御することによって悪性腫瘍細胞の浸潤や転移を抑制できる可能性がある。このようなプロテアーゼ(細胞外マトリックス分解酵素)のうち、特にマトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)が癌細胞の増殖、浸潤、血管新生に重要な役割をはたすことが明らかにされている。
【0003】
一方、歯周病では歯肉溝上皮の破壊及びコラーゲンを主体とした結合組織の破壊が初期病変として進行するが、この組織の破壊にもマトリックス・メタロプロテアーゼが関与していることが知られている。さらに、プロテアーゼは、歯槽膿漏による骨組織や歯根膜の破壊、リウマチ性関節炎による骨膜や骨組織の破壊などの破壊性病変に関与している可能性がある。
【0004】
従って、細胞や組織中のプロテアーゼを定量することによって、浸潤活性及び転移活性などからみた癌細胞の悪性度や歯周病の病態、及びリウマチなどの破壊性病変の進行程度を正確に診断することが可能である。
【0005】
従来、プロテアーゼの測定方法としては、基質の分解の程度から酵素活性を測定するザイモグラフィー法や各々のプロテアーゼに特異的な抗体を用いたイムノブロティング法などが利用されている。例えば、癌細胞や歯周病化細胞を粉砕した後、抽出液をゼラチン含有SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動に付し、電気泳動後のゲルをアミドブラックで染色して、染色されずに白く透明なバンドを与える試料をプロテアーゼ陽性と判定する方法が知られている。しかしながら、この方法では測定毎にSDS−ポリアクリルアミドゲルを作成する必要があり、検出までに約30時間を要するという問題がある。
【0006】
また、SDS−PAGEによる電気泳動後にゲルをメンブレンに密着させ、ブロッティング後の酵素をモノクローナル抗体で検出する方法もあるが、電気泳動を利用する点で上記の方法と同様の欠点を有しており、それに加えて、操作に熟練を要することと高価なモノクローナル抗体を用いることも問題である。さらに、これらの方法は個々の細胞のプロテアーゼを測定したものではなく、組織全体のプロテアーゼ総量を検出するものであり、個々の癌細胞の浸潤・転移活性の情報を得ることはできないという問題がある。
【0007】
PET支持体にゼラチン薄層を塗布した薄膜を使用して、組織切片中のマトリックス・メタロプロテアーゼの酵素活性を二次元像として検出する病理診断方法が報告されている(特許文献1)。この方法では、PET支持体にゼラチン薄層を塗布した薄膜に組織切片を貼り付け、37℃でインキュベーションした後、マトリックス・メタロプロテアーゼのゼラチン分解活性を色素染色後、画像化し、組織の癌細胞の分布に対応する像を検出することが可能である。しかしながら、インキュベーション時間が長く、また検出方法が色素染色した後に顕微鏡観察で目視判定しているため組織中の酵素活性の検出感度にやや難点を有している。
【0008】
一方、専門の病理医が手術で摘出された組織の悪性腫瘍細胞の有無について検査するために現在でも繁用されている病理診断方法としては、ヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)やパパニコロウ染色により細胞核や細胞質を染色し、その形態から腫瘍かどうかを判断する方法が挙げられる。しかし、このような判断には知識と経験を有し、病理医と細胞スクリナーの有資格者のみがそれを行うことができ、細胞形態診断では腫瘍かどうかの判断が困難である場合も多い。
【0009】
【特許文献1】特許第3302020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、簡便かつ正確なプロテアーゼの測定を可能とするバイオセンサー、及びそれを用いたプロテアーゼの測定方法を提供することである。より具体的には、浸潤や転移活性などの癌細胞の悪性度、歯周病などの病態、及びリウマチなどの破壊性病変の進行度を短時間で正確かつ簡便に判定でき、癌の予後や破壊性病変の進行程度などを正確に予測するために有用なプロテアーゼ測定のためのバイオセンサー、及びそれを用いたプロテアーゼの測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、ゼラチンなどのプロテアーゼ基質で表面を被覆したバイオセンサーの表面にプロテアーゼを接触させ、表面プラズモン共鳴分析を行うことにより、プロテアーゼ基質へのプロテアーゼの作用により表面プラズモン共鳴シグナルに変化が生じることを見出し、これにより組織中の個々の細胞内に発現しているプロテアーゼを測定できることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
すなわち本発明によれば、プロテアーゼ基質で表面が修飾されている基板からなることを特徴とする、プロテアーゼによる消化パターンを測定するためのバイオセンサーが提供される。
【0013】
好ましくは、プロテアーゼ基質が、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導体、及びトランスフェリン誘導体からなる群かれ選ばれるプロテアーゼ基質である。
【0014】
好ましくは、基板は、金属表面又は金属膜から成る基板である。
好ましくは、金属表面あるいは金属膜は、金、銀、銅、白金、及びアルミニウムからなる群より選ばれる自由電子金属からなるものである。
【0015】
好ましくは、基板は、疎水性高分子化合物又はポリヒドロキシ高分子化合物でコーティングした金属表面又は金属膜であるか、あるいは自己組織化膜を有する金属表面又は金属膜であって、その表面がプロテアーゼ基質で修飾されている基板である。
【0016】
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、基板の上に形成された金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを金属膜との界面で全反射条件が得られるように、かつ、種々の入射角成分を含むようにして入射させる光学系と、及び前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備えてなる。
【0017】
好ましくは、本発明のバイオセンサーは、非電気化学的検出に使用され、さらに好ましくは表面プラズモン共鳴分析に使用される。
【0018】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のバイオセンサーに対してプロテアーゼを含む試料を接触させる工程、及びプロテアーゼの作用により該バイオセンサーの表面に形成された消化痕を検出する工程を含む、プロテアーゼの測定方法が提供される。
【0019】
好ましくは、試料は患者から分離・採取した生体試料である。
好ましくは、プロテアーゼはマトリックス・メタロプロテアーゼである。
好ましくは、本発明のプロテアーゼの測定方法は、プロテアーゼが関与する疾患の診断に用いる。
【0020】
好ましくは、疾患は癌、リウマチ性疾患、歯周病、及び歯槽膿漏からなる群から選ばれる疾患である。
好ましくは、バイオセンサーの表面に形成された消化痕を非電気化学的方法により検出または測定することができ、さらに好ましくは、バイオセンサーの表面に形成された消化痕を表面プラズモン共鳴分析により検出または測定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の方法は、組織中に局在する特定部位や組織中の個々の細胞に由来するプロテアーゼを正確かつ簡便に測定することができ、しかも短時間に判定できるという特徴がある。従って、本発明の方法は、浸潤や転移活性などの癌細胞の悪性度、歯周炎などの歯周病の進行度、リウマチや歯槽膿漏などの破壊性病態などの正確な診断に有用である。また、本発明の方法に従えば、極めて微量の試料からプロテアーゼ活性を測定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のバイオセンサーは、プロテアーゼ基質で表面が修飾されている基板からなることを特徴とする、プロテアーゼによる消化パターンを測定するためのバイオセンサーである。また、本発明によるプロテアーゼの測定方法は、上記した本発明のバイオセンサーに対してプロテアーゼを含む試料を接触させる工程、及びプロテアーゼの作用により該バイオセンサーの表面に形成された消化痕を検出する工程を含む方法である。
【0023】
本明細書において用いられる測定という用語は、定性及び定量を含めて最も広義に解釈されるべきである。本発明の方法では、試料中に含まれるプロテアーゼによってプロテアーゼ基質が消化され、バイオセンサーの表面に消化痕が形成される。この消化痕は、例えば、表面プラズモン共鳴分析などの非電気化学的な検出法により検出することができる。
【0024】
本発明の方法の測定対象となるプロテアーゼとしては、例えば、マトリックス・メタロプロテアーゼ(MMP)及びマトリックス・セリンプロテアーゼ(MSP)を挙げることができる。これらの酵素については、鶴尾隆編「癌転移の分子機構」、pp.92−107、メジカルビュー社、1993年発行に詳細に説明されている。
【0025】
マトリックス・メタロプロテアーゼはコラーゲン、プロテオグリカン、ラミニン、フィブロネクチン、及びゼラチンなどの細胞外基質を分解する酵素であり、MMP−1,2,3,7,9及び10など8種類の存在が明らかにされている。間質型コラーゲナーゼ(MMP−1)は最も古くから知られているマトリックス・メタロプロテアーゼであり、繊維芽細胞や軟骨などに分布しており、間質間のコラーゲンを1/4及び1/3に切断する。歯周病においては、主としてMMP−2(ゼラチナーゼA)及びMMP−9(ゼラチナーゼB)が歯周組織の構成成分であるIV型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、及びプロテオグリカンなどを破壊する。なお、マトリックス・メタロプロテアーゼの分泌は、細胞増殖因子であるEGFやTGF−βによって強く促進されており、他方、組織内の内在性インヒビターによって分泌や活性発現が制御されている。もっとも、増殖因子が関与した場合にその発現がどのように抑制されるのかは必ずしも明らかではない。
【0026】
また、腫瘍細胞の浸潤や転移に関与する他のプロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼであるプラスミノーゲン・アクティベーター(PA)を挙げることができる。このプラスミノーゲン・アクティベーターはプラスミノーゲンをプラスミンに変換する酵素であり、プラスミノーゲン・アクティベーターの作用により生成したプラスミンがプロメタロプロテアーゼを活性型メタロプロテアーゼに変換する。従って、マトリックス・メタロプロテアーゼとプラスミノーゲン・アクティベーターとの間で形成されるカスケードによって、癌細胞の浸潤や転移が進行ないしは加速されると考えられる。
【0027】
本発明の方法に特に好適なプロテアーゼとして、例えば、間質型コラーゲナーゼ(MMP−1)、ゼラチナーゼA(MMP−2)、及びゼラチナーゼB(MMP−9)などのマトリックス・メタロプロテアーゼ;及びプラスミノーゲン・アクティベーター(PA)などのマトリックスセリンプロテアーゼを挙げることができるが、本発明の方法の対象はこれらのプロテアーゼに限定されることはない。
【0028】
プロテアーゼ基質は、プロテアーゼの基質として分解される高分子化合物であれば特に限定されない。例えば、コラーゲン、ゼラチン、プロテオグリカン、フィブロネクチン、ラミニン、エラスチン、カゼイン、アルブミン誘導体、卵白アルブミン誘導体、及びトランスフェリン 誘導体(例えば、特開2003−284590号公報、特開2003−79395号公報、及び特開2003−38196号公報などを参照)などを用いることができる。好ましくは、コラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン、エラスチン、又はカゼインを用いることができ、より好ましくはゼラチン、フィブロネクチン、又はカゼインを用いることができる。プロテアーゼ基質は上記の物質の1種を用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
2種以上の異なるプロテアーゼ基質を組み合わせて用いることにより、生体試料中に含まれるプロテアーゼの種類を正確に特定できる場合がある。例えば、生体試料中の実質的に連続した2以上の切片のうちの一つをプロテアーゼ基質で被覆したバイオセンサー基板に接触させ、残りの切片を上記のバイオセンサー基板に含まれるプロテアーゼ基質とは異なるプロテアーゼ基質を含む他のバイオセンサー基板に接触させた後、それぞれのバイオセンサー基板を用いて測定した表面プラズモン共鳴シグナルを対比する方法を採用することができる。この方法では、異なるプロテアーゼ基質をそれぞれ含有する3以上のバイオセンサー基板を用いて測定を行なうことが可能である。また、例えば、プロテアーゼ基質で被覆した第一のバイオセンサー基板と、第一のバイオセンサー基板に含まれるプロテアーゼ基質とは異なるプロテアーゼ基質を含有する第二のバイオセンサー基板を製造し、プロテアーゼを含む試料を接触させた後に、それぞれのバイオセンサー基板を用いて測定した表面プラズモン共鳴シグナルを対比する方法を採用してもよい。この方法では、異なる種類のプロテアーゼをそれぞれ含有する3以上のバイオセンサー基板を用いることも可能である。
【0030】
また、プロテアーゼ・インヒビターを用いることにより、インヒビターに関連するプロテアーゼの同定やプロテアーゼの特性の判定が容易になる場合もある。プロテアーゼ・インヒビターとしては、例えば、ティッシュ・インヒビター・オブ・メタプロテアーゼ1(TIMP1)、ティッシュ・インヒビター・オブ・メタプロテアーゼ2(TIMP2)、ラージ・インヒビター・オブ・メタロプロテアーゼ(LIMP)、チッキン・インヒビター・オブ・メタロプロテアーゼ(ChIMP)、オポスタチン、血小板第IV因子(PF−4)、α2マクログロブリン、EDTA、1,10−フェナントロリン、BB94、ミノサイクリン、マトリスタチン、SC−44463、又は、ジチオトレイトール(DTT)などを挙げることができる。
【0031】
例えば、生体試料中の実質的に連続した2以上の切片のうちの一つをプロテアーゼ基質を含むバイオセンサー基板に接触させ、残りの切片をプロテアーゼ基質とプロテアーゼ・インヒビターとを含む他のバイオセンサー基板に接触させた後、それぞれのバイオセンサー基板を用いて測定した表面プラズモン共鳴シグナルを対比する方法を採用することができる。
【0032】
本発明の方法に用いる試料としては、例えば、ヒトを含む哺乳類動物から分離・採取した生体試料を用いることができる。生体試料としては、組織又は組織滲出液などを用いることができる。例えば、肺癌、胃癌、食道癌、乳癌、脳腫瘍などの固形癌組織から手術や組織検査などにより分離・採取した癌組織切片;リウマチ性関節炎の滑膜や骨組織、及び歯槽膿漏の歯根膜や骨組織などの破壊性病変組織切片や抽出液(例えば、リウマチ性病変組織抽出液又は歯槽膿漏組織抽出液)、並びに歯周病の歯肉溝滲出液などを用いることができる。
【0033】
試料が組織の場合には、例えば、液体窒素で急速凍結した試料から凍結切片作成装置を用いて厚さ1〜10μm、好ましくは5μm程度の切片を調製し、この切片をバイオセンサー基板に貼付することによって試料とバイオセンサー基板とを接触させることができる。また、リウマチ性関節炎の患者から採取した滑膜液を試料として用いる場合には、滑膜液約5〜50μl、好ましくは20μl程度をバイオセンサー基板上に滴下すればよい。歯周病の歯肉溝滲出液を試料として用いる場合には、歯肉溝内に濾紙を挿入して約5〜10μl程度の歯肉溝滲出液を採取し、該濾紙をバイオセンサーの表面に貼付する方法を採用することができる。歯肉溝滲出液の採取後、必要に応じて蒸留水や適宜の緩衝液(例えば、50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM CaCl2,0.2M NaClなど)を用いて濾紙から歯肉溝滲出液を抽出し、抽出液をバイオセンサーの表面上に滴下してもよい。
【0034】
本発明で言うバイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質として、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を基板に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。
【0035】
本発明のバイオセンサーでは、金属表面又は金属膜を基板として用いることができる。金属表面あるいは金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記基板への付着性を考慮して、基板と金属からなる層との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。
【0036】
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であるのが好ましく、特に1nm以上200nm以下であるのが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。また、クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上、10nm以下であるのが好ましい。
【0037】
金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法、電気めっき法、無電解めっき法等によって行うことができる。
【0038】
金属膜は好ましくは基板上に配置されている。ここで、「基板上に配置される」とは、金属膜が基板上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。本発明で使用することができる基板としては例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、一般的にはBK7等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。
【0039】
本発明において好ましくは、基板は、疎水性高分子化合物又はポリヒドロキシ高分子化合物でコーティングした金属表面又は金属膜であるか、あるいは自己組織化膜を有する金属表面又は金属膜である。以下、疎水性高分子化合物、ポリヒドロキシ高分子化合物及び自己組織化膜について説明する。
【0040】
本発明で用いる疎水性高分子化合物は、吸水性を有しない高分子化合物であり、水への溶解度(25℃)が10%以下、より好ましくは1%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
【0041】
疎水性高分子化合物を形成する疎水性単量体としては、ビニルエステル類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、オレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等から任意に選ぶことができる。疎水性高分子化合物としては、1種類のモノマーから成るホモポリマーでも、2種類以上のモノマーから成るコポリマーでもよい。
【0042】
本発明で好ましく用いられる疎水性高分子化合物としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。
【0043】
疎水性高分子化合物の基板へのコーティングは常法によって行うことができ、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、さらにはスプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって行うことができる。
【0044】
浸漬法は、基板を疎水性高分子化合物溶液に接触させた後に、前記疎水性高分子化合物溶液を含まない液に接触させる方法でコーティングを行う。好ましくは、疎水性高分子化合物溶液の溶剤と疎水性高分子化合物を含まない液の溶剤とは、同一の溶剤である。浸漬法では、疎水性高分子化合物のコーティング用溶剤を適切に選択することで、基板の凹凸、曲率、形状などに依らず基板表面に均一なコーティング厚みの疎水性高分子化合物層が得られる。
【0045】
疎水性高分子化合物のコーティング厚さは特に限定されないが、好ましくは0.1nm以上500nm以下であり、特に好ましくは1nm以上300nm以下である。
【0046】
本発明で用いるポリヒドロキシ高分子化合物としては、例えば多糖類(例えばアガロース、デキストラン、カラギーナン、アルギン酸、デンプン、セルロース)、または合成高分子化合物(例えばポリビニルアルコール)などを挙げることができる。本発明においては、多糖類が好ましく用いられ、デキストランが最も好ましい。
【0047】
本発明においては、好ましくは、平均分子量1万以上200万以下のポリヒドロキシ高分子化合物が用いられる。好ましくは2万以上200万以下、さらに好ましくは3万以上100万以下、最も好ましくは20万以上80万以下のポリヒドロキシ高分子化合物を用いることができる。
【0048】
ポリヒドロキシ高分子化合物は、例えば塩基性条件下でブロモ酢酸と反応させることでカルボキシ化できる。反応条件の制御により、ポリヒドロキシ化合物が初期状態で含有するヒドロキシ基の一定の割合をカルボキシ化できる。本発明においては例えば、1〜90%のヒドロキシ基をカルボキシ化することができる。なお、任意のポリヒドロキシ高分子化合物で表面被覆された表面について、例えば、以下の方法でカルボキシ化率を算出することができる。膜表面をジ−tert−ブチルカルボジイミド/ピリジン触媒を用いてトリフルオロエタノールで50℃、16時間、気相修飾し、ESCA(electron spectroscopy for chemical analysis)でトリフルオロエタノール由来のフッ素量を測定し、膜表面の酸素量との比率(以下、F/O値と呼ぶ)を算出する。全てのヒドロキシ基がカルボキシ化された場合の理論的なF/O値をカルボキシ化率100%とし、任意の条件でカルボキシ化した時のF/O値を測定することで、その時のカルボキシ化率を算出することができる。
【0049】
ポリヒドロキシ高分子化合物は有機分子X1−R1−Y1を介して金属膜に付着させることができる。有機分子X1−R1−Y1について詳細に説明する。
【0050】
1は金属膜に対する結合性を有する基である。具体的には、非対称又は対称スルフィド(−SSR1111、−SSR1Y1)、スルフィド(−SR1111、−SR1Y1)、ジセレニド(−SeSeR1111、−SeSeR1Y1)、セレニド(SeR1111、−SeR1Y1)、チオール(−SH)、ニトリル(−CN)、イソニトリル、ニトロ(−NO2)、セレノール(−SeH)、3価リン化合物、イソチオシアネート、キサンテート、チオカルバメート、ホスフィン、チオ酸またはジチオ酸(−COSH、−CSSH)が好ましく用いられる。
【0051】
1(とR11)は場合によりヘテロ原子により中断されており、好ましくは適当に密な詰め込みのため直鎖(枝分かれしていない)であり、場合により二重及び/又は三重結合を含む炭化水素鎖である。鎖の長さは10原子を越えることが好ましい。炭素鎖は場合により過弗素化されることができる。
【0052】
1とY11はポリヒドロキシ高分子化合物を結合させるための基である。Y1とY11は好ましくは同一であり、ポリヒドロキシ高分子化合物に直接又は活性化後結合できるような性質を持つ。具体的にはヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルデヒド、ヒドラジド、カルボニル、エポキシ、又はビニル基などを用いることができる。
【0053】
有機分子X1−R1−Y1の具体例としては、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチリックアシッド、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどが挙げられる。
【0054】
チオールやジスルフィド類などの硫黄化合物は金等の貴金属基板上に自発的に吸着し単分子サイズの超薄膜を与える。またその集合体は基板の結晶格子や吸着分子の分子構造に依存した配列を示すことから自己組織化膜と呼ばれている。本発明では、例えば、自己組織化化合物として、7−カルボキシ−1−ヘプタンチオール、10-カルボキシ-1-デカンチオール、4,4'-ジチオジブチリックアシッド、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオール、11-アミノ-1-ウンデカンチオールなどを使用することができる。
【0055】
本発明においては、上記したような疎水性高分子化合物又はポリヒドロキシ高分子化合物でコーティングした金属表面又は金属膜、あるいは自己組織化膜を有する金属表面又は金属膜の表面にプロテアーゼ基質を固定化することができる。
【0056】
本発明の方法では、例えば、組織切片をバイオセンサー基板に貼付するか、あるいは液体試料をバイオセンサー基板上に滴下することによってバイオセンサー基板とプロテアーゼを含む試料とを接触させた後、好ましくは37℃の湿潤箱内で、組織切片については例えば1〜24時間、好ましくは2〜12時間、さらに好ましくは3〜6時間程度、液体試料については0.5〜12時間、好ましくは1〜6時間、さらに好ましくは1〜3時間程度インキュベートする。試料中にプロテアーゼが含まれる場合には、バイオセンサー基板上のプロテアーゼ基質がプロテアーゼによって分解され、バイオセンサー基板上に消化痕が形成される。
【0057】
本発明では、プロテアーゼの作用によりバイオセンサーの表面に形成された消化痕を、非電気化学的方法により検出及び/又は測定することが好ましい。非電気化学的方法としては、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術などが挙げられる。
【0058】
本発明の好ましい態様によれば、本発明のバイオセンサーは、例えば、透明基板上に配置される金属膜を備えていることを特徴とする表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとして用いることができる。
【0059】
表面プラズモン共鳴用バイオセンサーとは、表面プラズモン共鳴バイオセンサーに使用されるバイオセンサーであって、該センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材を言い、該センサーの本体に固着されるものであってもよく、また脱着可能なものであってもよい。
【0060】
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
【0061】
表面プラズモン共鳴測定装置とは、表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析するための装置である。本発明で用いられる表面プラズモン共鳴測定装置は、金属膜と、光ビームを発生させる光源と、前記光ビームを金属膜との界面で全反射条件が得られるように、かつ、種々の入射角成分を含むようにして入射させる光学系と、前記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態を検出する光検出手段とを備える。
【0062】
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げられる(例えば特開平6−167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0063】
なお上述のように種々の入射角を得るためには、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビームを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリアセンサによって検出することができる。一方後者の場合は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光できる方向に延びるエリアセンサによって検出することができる。
【0064】
上記構成の表面プラズモン測定装置において、光ビームを金属膜に対して全反射角以上の特定入射角で入射させると、該金属膜に接している被測定物質中に電界分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセント波によって金属膜と被測定物質との界面に表面プラズモンが励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プラズモンの波数と等しくて波数整合が成立しているとき、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラズモンに移行するので、誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出される。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときにだけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射するように予め設定しておく必要がある。
【0065】
この全反射減衰(ATR)が生じる入射角、すなわち全反射減衰角(θSP)より表面プラズモンの波数が分かると、被測定物質の誘電率が求められる。この種の表面プラズモン測定装置においては、全反射減衰角(θSP)を精度良く、しかも大きなダイナミックレンジで測定することを目的として、特開平11−326194号公報に示されるように、アレイ状の光検出手段を用いることが考えられている。この光検出手段は、複数の受光素子が所定方向に配設されてなり、前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配設されたものである。
【0066】
そしてその場合は、上記アレイ状の光検出手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子の配設方向に関して微分する微分手段が設けられ、この微分手段が出力する微分値に基づいて全反射減衰角(θSP)を特定し、被測定物質の屈折率に関連する特性を求めることが多い。
【0067】
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
【0068】
上記構成の漏洩モード測定装置において、光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するようになる。こうして導波モードが励起されると、入射光のほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。そして導波光の波数は光導波層の上の被測定物質の屈折率に依存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、被測定物質の屈折率や、それに関連する被測定物質の特性を分析することができる。
【0069】
なおこの漏洩モード測定装置においても、全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出するために、前述したアレイ状の光検出手段を用いることができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用されることも多い。
【0070】
さらに、ターンテーブル等に搭載された複数個の測定チップの測定を順次行うことにより、多数の試料についての測定を短時間で行うことができる全反射減衰を利用した測定装置が、特開2001−330560号公報に記載されている。
【0071】
本発明のバイオセンサーを表面プラズモン共鳴分析に使用する場合、上記したような各種の表面プラズモン測定装置の一部として適用することができる。
【0072】
本発明の方法の別の態様に従えば、癌組織などから連続凍結切片を作成し、実質的に連続した二切片のうちの一方の切片を、例えば、ヘマトキシリン・エオシン染色切片などの通常の組織標本として調製し、他の切片を本発明の測定方法に従って処理し、両者の観察結果を比較・対比することによって組織中の個々の細胞に由来するプロテアーゼの存在を正確に把握することが可能である。このようなプロテアーゼの測定方法により、組織中に存在する個々の癌細胞の悪性度(浸潤活性及び転移活性など)を正確に判定することが可能であり、癌疾患の予後についての的確な判定が可能になる。
【0073】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0074】
(1)デキストラン測定チップの作製
ガラス版(HOYA社製SF10)を厚さ1mm,18mm角に光学研磨した金属膜として50nmの金が蒸着し、Model-208UV-オゾンクリーニングシステム(TECHNOVISION INC.)で30分間処理した後、エタノール/水(80/20)中11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオールの5.0mM溶液を金属膜に接触するように添加し、25℃で18時間表面処理を行った。その後、エタノールで5回、エタノール/水混合溶媒で1回、水で5回洗浄を行う。
【0075】
次に、11-ヒドロキシ-1-ウンデカンチオールで被覆した表面を10質量%のエピクロロヒドリン溶液(溶媒:0.4M水酸化ナトリウム及びジエチレングリコールジメチルエーテルの1:1混合溶液)に接触させ、25℃の振盪インキュベーター中で4時間反応を進行させた。表面をエタノールで2回、水で5回洗浄する。
【0076】
次に、25質量%のデキストラン(T500,Pharmacia)水溶液40.5mlに4.5mlの1M水酸化ナトリウムを添加し、その溶液をエピクロロヒドリン処理表面上に接触させた。次に振盪インキュベーター中で25℃で20時間インキュベートした。表面を50℃の水で10回洗浄する。
【0077】
続いて、ブロモ酢酸3.5gを27gの2M水酸化ナトリウム溶液に溶解した混合物を上記デキストラン処理表面に接触させて、28℃の振盪インキュベーターで16時間インキュベートした。表面を水で洗浄し、その後上述の手順を1回繰り返す。
【0078】
(2)ゼラチン固定チップの作製
上記のデキストラン測定チップ内の溶液を除去した後、200mM EDC(N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド ハイドロクロライド)と50mM NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)の混合溶液に浸漬し、10分間放置した。混合溶液を除去した後、水で3回バッファ1(10mM HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸), 150mM NaCl, 10mM CaCl2)で3回洗浄する。次いで、ゼラチン溶液(1mg/mlになるようバッファ1に溶解したもの)を固定する。チップ内を1M エタノールアミン溶液に置き換え、10分間放置したバッファーで10回洗浄することで固定化チップが完成する。
【0079】
(3)SPRイメージャー測定
ゼラチン固定化チップ上に0.5units/ml,0.25units/ml, 0.125units/ml MMP2( 活性型IV型コラゲナーゼ (株)ヤガイ)それぞれ1μl滴下し、湿潤箱内に入れて37℃で2〜6時間インキュベーションした。その後、水洗しSPRイメージャー(GWC Technologies社製)を使用し、酵素滴下周辺部分を測定し、酵素活性評価をした。結果を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、MMP2消化部位とSPRイメージャー信号を示す。信号強度;1mm径の消化部位の中心部の信号強度を「1」とし、未消化部位(MMP2未滴下部分)の部分を「0」とした時の相対強度で表した。




 

 


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