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放射線像変換パネルの製造方法および製造装置 - 富士フイルム株式会社
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発明の名称 放射線像変換パネルの製造方法および製造装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70646(P2007−70646A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−255295(P2005−255295)
出願日 平成17年9月2日(2005.9.2)
代理人 【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
発明者 細井 雄一 / 荒川 哲
要約 課題
蒸着効率が高く、かつ高感度であって高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルの製造方法を提供する。

解決手段
蒸着装置内において、蓄積性蛍光体(或はその原料)を含む蒸発源を加熱し、発生する物質を蒸発源の上方に配置した基板上に蒸着堆積させることにより蛍光体層を形成することにより放射線像変換パネルを製造する方法において、加熱発生物質が蒸発源から該基板に至る空間から外に拡散するのを防ぐことのできる拡散防止壁部材を、該空間を囲むように配置し、そして拡散防止壁部材を基板の温度よりも高く、かつ蒸発源の温度よりも低い温度に維持しながら、0.1乃至10Paの範囲の真空度にて蒸着を行う方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
蒸着装置内において、蓄積性蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を加熱し、発生する物質を蒸発源の上方に配置した基板上に蒸着堆積させることにより蛍光体層を形成することにより放射線像変換パネルを製造する方法において、該加熱発生物質が該蒸発源から該基板に至る空間から外に拡散するのを防ぐことのできる拡散防止壁部材を、該空間を囲むように配置し、そして該拡散防止壁部材を基板の温度よりも高く、かつ該蒸発源の温度よりも低い温度に維持しながら、0.1乃至10Paの範囲の真空度にて蒸着を行うことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項2】
基板の温度を100℃乃至250℃の範囲に維持する請求項1に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項3】
真空度を0.5乃至1.5Paの範囲に維持する請求項1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項4】
蒸発源と基板との距離が50乃至300mmの範囲にある請求項1乃至3のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項5】
蒸着を抵抗加熱方式により行う請求項1乃至4のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項6】
蓄積性蛍光体が主として母体成分と付活剤成分とからなり、そして蒸発源が少なくとも、母体成分を含む蒸発源と付活剤成分を含む蒸発源の二個からなる請求項1乃至5のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項7】
蓄積性蛍光体が、基本組成式(I):

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

[ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Cu及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である請求項1乃至6のいずれかの項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項8】
基本組成式(I)においてMIがCsであり、XがBrであり、AがEuであり、そしてzが1×10-4≦z≦0.1の範囲内の数値である請求項7に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【請求項9】
蓄積性蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を加熱し、発生する物質を蒸発源の上方に配置した基板上に蒸着堆積させることにより蛍光体層を形成させることができる、真空度が0.1乃至10Paの範囲の蒸発装置からなり、該加熱発生物質が該蒸発源から該基板に至る空間から外に拡散するのを防ぐことのできる拡散防止壁部材が、該空間を囲むように配置され、そして該拡散防止壁部材には、温度調節装置が備えられていることを特徴とする放射線像変換パネルの製造装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積性蛍光体を利用する放射線画像情報記録再生方法に用いられる放射線像変換パネルの製造方法、およびその製造に用いられる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線などの放射線が照射されると、放射線エネルギーの一部を吸収蓄積し、そののち可視光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受けると、蓄積した放射線エネルギーに応じて発光を示す性質を有する蓄積性蛍光体(輝尽発光を示す輝尽性蛍光体等)を利用して、この蓄積性蛍光体を含有するシート状の放射線像変換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せられた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査して順次発光光として放出させ、そしてこの発光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからなる、放射線画像記録再生方法が広く実用に供されている。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネルギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて繰り返し使用される。
【0003】
放射線画像記録再生方法に用いられる放射線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基本構造として、支持体とその上に設けられた蛍光体層とからなるものである。ただし、蛍光体層が自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としない。また、蛍光体層の上面(支持体に面していない側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護している。
【0004】
蓄積性蛍光体層としては、蓄積性蛍光体とこれを分散状態で含有支持する結合剤とからなるもの、気相堆積法や焼結法によって形成される結合剤を含まないで蓄積性蛍光体の凝集体のみから構成されるものなどが知られている。特に気相堆積法は、蛍光体またはその原料を蒸着、スパッタリングなどにより基板表面に堆積させて、柱状結晶構造の蛍光体層を形成するものである。形成された蛍光体層は蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶間には空隙が存在するため、励起光の進入効率や発光光の取出し効率を上げることができるので高感度であり、また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので高鮮鋭度の画像が得られる。
【0005】
放射線画像記録再生方法(および放射線画像形成方法)は上述したように数々の優れた利点を有する方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであることが望まれている。
【0006】
特許文献1、2及び3にはそれぞれ、CsBr:Euなどの輝尽性蛍光体を蒸着法により中真空(約0.1〜10Pa)下で基板上に蒸着させることにより蛍光体層を形成して、放射線像変換パネルを製造する方法が開示されている。
【0007】
蒸着法に使用される蒸着装置は、蒸発源に対向する位置に基板を配置しておいて、蒸発源を加熱して蒸発物質を発生させ、この蒸発物質からなる蒸発流を基板の表面に当て基板上に蒸発物質を堆積させて蒸着膜を形成する装置である。生産性の観点からは、蒸着効率(基板上への堆積量/蒸発源からの蒸発量)はできるだけ高いことが望まれる。一方、形成される蒸着膜の観点からは、膜厚が均一であることが望まれる。さらに、蛍光体の場合には発光特性等の点から、蒸着膜の柱状性が良好で組成も均質であることが望まれる。
【0008】
特許文献4には、蒸発源に対向する蒸着位置に基板を位置させて、この基板上に蒸発源物質を蒸着する装置において、前記蒸発源から前記基板が位置される蒸着位置に至る空間を取り囲むよう防着板を配置し、この防着板に加熱手段を設けたことを特徴とする蒸着装置が開示されている。装置内の真空度としては、10-4〜10-5トール(1.33×10-2〜1.33×10-3Pa)の高真空が記載されている。防着板に加熱手段を設けることによって、防着板に付着した蒸発源物質を再蒸発させて基板上に付着させ、これにより蒸着効率の向上を図るものである。しかしながら、防着板から再蒸発させるとスプラッシュ(突沸)が生じがちである。
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開2001/0010831A1公報
【特許文献2】特開2004−85430号公報
【特許文献3】特開2004−257798号公報
【特許文献4】特開平5−70932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、高真空(真空度<0.1Pa)下では、図3に示すように(5:基板、7、8:抵抗加熱装置、11、12:拡散防止壁部材、22:蒸発流)、蒸発流は基板に近づくにつれて拡散するものの直線状に広がる。一方、中真空(0.1〜10Pa)下では、図2に示すように(21:蒸発流)、Arガス等の気体が多少存在するために、蒸発流が基板に達する前に蒸発物質の一部はArガス等の気体と衝突して蒸発源と基板との間の空間に漂い、蒸発流が空間全体に広がる。よって、蒸着効率の問題は中真空の場合により一層深刻である。
【0011】
特に、放射線像変換パネルの蛍光体層を形成する場合には、蛍光体が一般に母体成分と付活剤成分の二成分以上から構成されるために、成分間で一定の蒸気圧になる温度に大きな差があると(例えばCsBr:Eu蛍光体では、蒸気圧1.33Paとなる温度、CsBr:556K、EuBr2:1013K)、この温度の高い方の成分(EuBr2)の蒸着効率が極端に低くなり、それによって蒸着膜の組成が所望とする組成と大きく異なったり、不均質になることが判明した。その結果、得られたパネルの感度が低下することになる。
【0012】
一方、前述したように防着板を加熱して付着物を再蒸発させると、蒸着効率は上がるもののスプラッシュが生じる。このような条件下で蛍光体の蒸着膜を形成すると蛍光体の柱状性が悪くなったり、蒸着膜の表面性が低下したりして、得られた放射線画像上には点欠陥が生じることになる。
【0013】
従って、本発明は、蒸着効率が高く、かつ高感度であって高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルの製造方法を提供することにある。
また、本発明は、蒸着効率が高く、かつ均質な蒸着膜を形成することができる放射線像変換パネルの製造方法を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上述した問題について検討を重ねた結果、中真空下において蒸発物質が蒸発源から基板に至る空間より外に拡散するのを防ぐためにこの空間を囲むように拡散防止壁部材を配置するとともに、拡散防止壁部材の温度を基板の温度と蒸発源の温度との中間に設定することによって、蒸発物質が拡散防止壁部材に付着したり、付着物が再蒸発するのを有効に防ぐことができ、これにより蒸着効率の向上と均質な蒸着膜の形成を両立させることができることを見い出し、本発明に到達したものである。
【0015】
従って、本発明は、蒸着装置内において、蓄積性蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を加熱し、発生する物質を蒸発源の上方に配置した基板上に蒸着堆積させることにより蛍光体層を形成することにより放射線像変換パネルを製造する方法において、該加熱発生物質が該蒸発源から該基板に至る空間から外に拡散するのを防ぐことのできる拡散防止壁部材を、該空間を囲むように配置し、そして該拡散防止壁部材を基板の温度よりも高く、かつ該蒸発源の温度よりも低い温度に維持しながら、0.1乃至10Paの範囲の真空度にて蒸着を行うことを特徴とする放射線像変換パネルの製造方法にある。
【0016】
また、本発明は、蓄積性蛍光体もしくはその原料を含む蒸発源を加熱し、発生する物質を蒸発源の上方に配置した基板上に蒸着堆積させることにより蛍光体層を形成させることができる、真空度が0.1乃至10Paの範囲の蒸発装置からなり、該加熱発生物質が該蒸発源から該基板に至る空間から外に拡散するのを防ぐことのできる拡散防止壁部材が、該空間を囲むように配置され、そして該拡散防止壁部材には、温度調節装置が備えられていることを特徴とする放射線像変換パネルの製造装置にもある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製造方法によれば、拡散防止壁部材によって蒸発物質の拡散を防止するとともに該部材への付着を有効に防ぐことができるので、中真空であっても従来よりも高い蒸着効率で、すなわち生産性良く放射線像変換パネルを製造することができる。また、蒸発物質が拡散防止壁部材に付着したとしても該部材からの再蒸発を防ぐことができるので、スプラッシュが生じず、蒸着膜の柱状性が低下したり、表面性が低下することがない。よって、感度が高く、高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルが得られる。
【0018】
また、本発明の放射線像変換パネルの製造装置に用いられる蒸着装置は、拡散防止壁部材の温度を任意にかつ適正に設定することができ、それによって蒸着効率を高めるとともに均質な蒸着膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の放射線像変換パネルの製造方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)基板の温度を100℃乃至250℃の範囲に保持する。
(2)真空度を0.5乃至1.5Paの範囲に維持する。
(3)蒸発源と基板との距離が50乃至300mmの範囲にある。
(4)蒸着を抵抗加熱方式により行う。
(5)蓄積性蛍光体が、主として母体成分と付活剤成分とからなり、そして蒸発源が少なくとも、母体成分を含む蒸発源と付活剤成分を含む蒸発源の二個からなる。
(6)蓄積性蛍光体が、下記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である。
(7)基本組成式(I)においてMIはCsであり、XはBrであり、AはEuであり、そしてzは1×10-4≦z≦0.1の範囲内の数値である。
【0020】

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)
【0021】
[ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表し;AはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Cu及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表し;そしてa、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す]
【0022】
本発明の放射線像変換パネルの製造装置に用いる蒸着装置は、基板加熱手段および基板加熱手段に接続された基板温度調節手段、並びに抵抗加熱装置および抵抗加熱装置に接続された蒸発源温度調節手段を備え、そして拡散防止壁部材の温度が基板の温度よりも高くかつ蒸発源の温度よりも低い温度に維持できるように設定できることが好ましい。
【0023】
以下に、本発明の放射線像変換パネルの製造方法およびそれに用いられる蒸着装置について、蛍光体が蓄積性蛍光体であり、抵抗加熱方式による蒸着法を用いる場合を例にとって添付図面を参照しながら詳細に述べる。
【0024】
蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシート、サファイアガラスシート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公知の放射線像変換パネルにおいて、パネルとしての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上させるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物質からなる光吸収層などを設けることが知られている。本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択することができる。さらに、蒸着膜の柱状結晶性を高める目的で、基板の蒸着膜が形成される側の表面(基板の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光吸収層などの補助層が設けられている場合には、それらの補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成されていてもよい。
【0025】
蓄積性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲の励起光の照射により、300〜500nmの波長範囲に輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が好ましい。
【0026】
そのうちでも、基本組成式(I):

IX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zA ‥‥(I)

で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体は特に好ましい。ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表し、そしてAはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mg、Cu及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は金属を表す。X、X’およびX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。a、bおよびzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
【0027】
上記基本組成式(I)において、zは1×10-4≦z≦0.1の範囲内にあることが好ましい。MIとしては少なくともCsを含んでいることが好ましい。Xとしては少なくともBrを含んでいることが好ましい。AとしてはEu又はBiであることが好ましく、そして特に好ましくはEuである。また、基本組成式(I)には、必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物を添加物として、MIX1モルに対して、0.5モル以下の量で加えてもよい。
【0028】
また、基本組成式(II):

IIFX:zLn ‥‥(II)

で代表される希土類付活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはBa、Sr及びCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
【0029】
基本組成式(III):

IIS:A,Sm ‥‥(III)

で代表される希土類付活アルカリ土類金属硫化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIはMg、Ca及びSrからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属を表す。Aは、Eu及び/又はCeを表す。
【0030】
基本組成式(IV):

IIIOX:Ce ‥‥(IV)

で代表されるセリウム付活三価金属酸化ハロゲン化物系輝尽性蛍光体も好ましい。ただし、MIIIはPr、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素又は三価金属を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表す。
【0031】
ただし、本発明において蛍光体は蓄積性蛍光体に限定されるものではなく、X線などの放射線を吸収して紫外乃至可視領域に(瞬時)発光を示す蛍光体であってもよい。そのような蛍光体の例としては、LnTaO4:(Nb,Gd)系、Ln2SiO5:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、CsX系(Xはハロゲンである)、Gd22S:Tb、Gd22S:Pr,Ce、ZnWO4、LuAlO3:Ce、Gd3Ga512:Cr,Ce、HfO2等を挙げることができる。
【0032】
多元蒸着(共蒸着)により蒸着膜を形成する場合には、蒸発源として、上記蓄積性蛍光体の母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少なくとも二個の蒸発源を用意する。多元蒸着は、蛍光体の母体成分と付活剤成分の融点や蒸気圧が大きく異なる場合に、その蒸発速度を各々制御して蛍光体母体中に付活剤を均一に含有させることができるので好ましい。各蒸発源は、所望とする蓄積性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分および付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよいし、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としてもよい。
【0033】
蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物や酸化物が用いられる。
【0034】
付活剤がEuである場合に、付活剤成分のEu化合物におけるEu2+化合物のモル比はできるだけ高いことが好ましい。所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であっても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられるからである。一般に、市販されているEu化合物には酸素混入のためにEu2+とEu3+が混合して含まれていることが多いが、このような場合には、予めEu化合物をBrガス雰囲気中で溶融処理して含有酸素を除去し、そして得られたEuBr2を用いることが望ましい。
【0035】
蒸発源は、その含水量が0.5重量%以下であることが好ましい。蒸発源となる蛍光体母体成分や付活剤成分が、例えばEuBr、CsBrのように吸湿性である場合には特に、含水量をこのような低い値に抑えることは突沸防止などの点から重要である。蒸発源の脱水は、上記の各蛍光体成分を減圧下で100〜300℃の温度範囲で加熱処理することにより行うことが好ましい。あるいは、各蛍光体成分を窒素ガス雰囲気などの水分を含まない雰囲気中で、該成分の融点以上の温度で数十分乃至数時間加熱溶融してもよい。
【0036】
さらに、本発明において、蒸発源、特に蛍光体母体成分を含む蒸発源は、アルカリ金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ金属)の含有量が10ppm以下であり、そしてアルカリ土類金属不純物(蛍光体の構成元素以外アルカリ土類金属)の含有量が5ppm(重量)以下であることが望ましい。とりわけ、蛍光体が前記基本組成式(I)を有するアルカリ金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体である場合には望ましい。このような蒸発源は、アルカリ金属やアルカリ土類金属など不純物の含有量の少ない原料を使用することにより調製することができる。
【0037】
図1に示すような本発明に係る蒸着装置を用いて、基板上に蛍光体の蒸着膜を形成することができる。
【0038】
図1は、本発明の蒸着装置の構成の一例を概略的に示す断面図である。図1において、蒸着装置は、チャンバ1、基板加熱ヒータ2、基板保持部材3、基板温度調節手段4、抵抗加熱装置7、8、蒸発源温度調節手段9、10、拡散防止壁部材11、12、温度調節手段13、ガス導入管14、蒸着速度モニタ15、真空計16、ガス分析計17、主排気バルブ18、および補助排気バルブ19から構成される。
【0039】
本発明においては、拡散防止壁部材11、12が、抵抗加熱装置7、8(蒸発源)から基板保持部材3に保持される基板5に至る空間を取り囲むように配置されている。蒸発源と基板5との直線距離は、一般には10乃至1000mmの範囲にあり、好ましくは50乃至300mmの範囲にある。また蒸発源7aと8aとの間の距離は、一般には10乃至1000mmの範囲にあり、好ましくは20乃至150mmの範囲にある。この空間の少なくとも80%が、拡散防止壁部材11、12と基板5と抵抗加熱装置7、8の出口によって覆われていることが好ましい。拡散防止壁部材11、12は、例えばセラミック板または金属板の裏面にヒータが設けられた構造を有する。また、拡散防止壁部材11、12には温度調節手段13が接続されていて、該部材12の温度を任意に設定維持することができる。
【0040】
蒸着に際してはまず、前記二個の蒸発源をそれぞれ、蒸着装置の抵抗加熱装置7、8のるつぼに充填する。また、基板5を基板保持部材3に保持させて固定する。チャンバ1内を主排気バルブ18および補助排気バルブ19により排気して0.1〜10Pa程度の中真空度とする。好ましくは0.1〜4Paの真空度にする。特に好ましくは、チャンバ1内を排気して1×10-5〜1×10-2Pa程度の高真空度とした後、ガス導入管14よりArガス、Neガス、N2ガスなどの不活性ガスを導入して不活性ガスの圧力を0.1〜10Pa、好ましくは0.1〜4Paにする。これにより、チャンバ1内の水分圧や酸素分圧等を下げることができる。真空度は真空計16にて検出され、ガス分圧はガス分析計17にて検出される。排気装置としては、ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプ、ディフュージョンポンプ、クライオポンプ、メカニカルブースタ等を適宜組み合わせて用いることができる。
【0041】
基板5を、矢印6の方向に直線状に移動させる。移動は、1回の直線移動でも、1回の往復移動でも、あるいは複数回の往復移動であってもよく、また移動速度も、往復回数や蒸着膜の膜厚等に応じて決定することができる。基板5を、基板加熱ヒータ2により裏面から加熱してもよい。基板5の温度は、基板加熱ヒータ2に接続された基板温度調節手段4により、所望の温度に設定維持することができる。基板5の温度は、一般には20乃至350℃の範囲にあり、好ましくは100乃至250℃の範囲にある。
【0042】
拡散防止壁部材11、12の温度を、温度調節手段13により基板5の温度より高くかつ蒸発源の温度より低い温度に設定維持する。一例として、基板温度が100℃〜250℃、蒸発源温度が600℃以上である場合には、拡散防止壁部材の温度は200℃〜500℃に設定維持される。
【0043】
次に、各抵抗加熱装置7、8に電流を流すことにより蒸発源を加熱する。蒸発源の温度はそれぞれ、抵抗加熱装置7、8に接続された蒸発源温度調節手段9、10により所望の温度に設定維持することができる。蒸発源である蓄積性蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛散して蒸発流を形成する。
【0044】
図2は、図1の蒸着装置の基板5、抵抗加熱装置7、8(蒸発源)および拡散防止壁部材11、12からなる部分を示す概略断面図であり、中真空(0.1〜10Pa)下で蒸発流(蒸発物質)21がこれらの部材で囲まれた空間に拡散した状態を示している。中真空では、蒸発物質21が基板5に達するまでに不活性ガス等の気体と衝突を生じて空間内に漂い、より一層拡散する。
【0045】
なお、図3は、高真空(真空度<0.1Pa)下で蒸発流22が、基板5、抵抗加熱装置7、8(蒸発源)および拡散防止壁部材11、12で囲まれた空間に拡散した状態を示している。
【0046】
本発明においては、拡散防止壁部材11、12の存在により、蒸発物質21がこの空間外に逃散することが低減される。特に、この空間の80%以上をこれらの部材で覆うことにより、蒸発物質21の逃散を有効に防ぐことができる。同時に、拡散防止壁部材11、12は、基板温度<拡散防止壁部材温度<蒸発源温度を満たす温度に維持されるので、蒸発物質21は拡散防止壁部材11、12にそれほど付着せず、また付着したとしても再蒸発することがない。よって、蒸発物質21の基板5への蒸着効率を上げながら、再蒸発によるスプラッシュを回避することができる。
【0047】
特に、蒸発源として付活剤成分EuBr2のような蒸発温度の高い物質が含まれる場合に、その蒸着効率の増加が顕著である。付活剤成分の蒸着効率の増加は、所望の組成でかつ均質な蒸着膜の形成を可能にし、結果的に蛍光体層の発光量を高めて放射線像変換パネルの感度を増大させる。また、再蒸発によるスプラッシュの回避によって、蒸着膜の柱状結晶性および表面性が良好に維持されるから、得られたパネルは点欠陥の無い、鮮鋭度等の画質の優れた放射線画像を与える。良好な柱状結晶性は発光量の増加ももたらす。
【0048】
蒸発源からそれぞれ発生した蒸発物質は、反応を生じて蛍光体を形成しながら基板5の表面に堆積する。各蒸発物質の蒸着速度は、加熱装置7、8の抵抗電流等を調整することにより制御することができる。蒸着中、各蒸発物質の蒸着速度は蒸着速度モニタ15により随時検出される。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、一般には0.1乃至1000μm/分の範囲にあり、好ましくは1乃至100μm/分の範囲にある。
【0049】
なお、抵抗加熱装置による加熱を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形成することもできる。蒸着終了後に蒸着膜を熱処理(アニール処理)してもよい。熱処理は、一般には100℃乃至300℃の温度で0.5乃至3時間かけて行い、好ましくは150℃乃至250℃の温度で0.5乃至2時間かけて行う。熱処理雰囲気としては、不活性ガス雰囲気、もしくは少量の酸素ガス又は水素ガスを含む不活性ガス雰囲気が用いられる。
【0050】
上記蛍光体からなる蒸着膜を形成するに先立って、蛍光体母体化合物のみからなる蒸着膜を形成してもよい。この母体化合物の蒸着膜は、一般に柱状結晶構造または球状結晶の凝集体からなり、この上に形成される蛍光体蒸着膜の柱状結晶性をより一層良好にすることができる。なお、蒸着時の基板加熱および/または蒸着後の熱処理によっては、蛍光体蒸着膜中の付活剤など添加物が母体化合物蒸着膜中に拡散するために両者の境界は必ずしも明確ではない。
【0051】
本発明の蒸着装置およびそれを用いた製造方法は、図1に示したような構成に限定されるものではない。例えば、二個の蒸発源からなる組を基板の移動方向と直交する方向に複数組配列してもよい。また、二元蒸着に限定されるものではなく、一元蒸着又は三元以上の蒸着であってもよい。一元蒸着の場合には、蒸発源として蛍光体自体または蛍光体原料混合物を用いてこれを単一の抵抗加熱装置で加熱する。蒸発源は予め、所望の濃度の付活剤を含有するように調製する。もしくは、蛍光体母体成分と付活剤成分との蒸気圧差を考慮して、蒸発源に蛍光体母体成分を補給しながら蒸着を行うことも可能である。さらに、蒸発源を加熱する手段も抵抗加熱装置に限定されるものではなく、電子線照射などその他公知の手段を利用することができる。
【0052】
このようにして、蛍光体の柱状結晶がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体層は、結合剤を含有せず、蛍光体のみからなり、蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙が存在する。蛍光体層の層厚は、目的とする放射線像変換パネルの特性、蒸着法の実施手段や条件などによっても異なるが、通常は50μm〜1mmの範囲にあり、好ましくは200μm〜700μmの範囲にある。
【0053】
なお、基板は必ずしも放射線像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蛍光体層形成後、蛍光体層を基板から引き剥がし、別に用意した支持体上に接着剤を用いるなどして接合して、支持体上に蛍光体層を設ける方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体(基板)が付設されていなくてもよい。
【0054】
蛍光体層の表面には、放射線像変換パネルの搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のために、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光の入射や発光光の出射に殆ど影響を与えないように、透明であることが望ましく、また外部から与えられる物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを充分に保護することができるように、化学的に安定で防湿性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
【0055】
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設けたもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アルミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソシアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有されていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質からなる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス等の無機化合物からなる場合には100〜1000μmの範囲にある。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
(1)蒸発源
蒸発源として、純度4N以上の臭化セシウム(CsBr)粉末、および純度3N以上の臭化ユーロピウム(EuBr2)粉末を用意した。各蒸発源中の微量元素をICP−MS法(誘導結合高周波プラズマ分光分析質量分析法)により分析した結果、CsBr中のCs以外のアルカリ金属(Li、Na、K、Rb)は各々10ppm以下であり、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)など他の元素は2ppm以下であった。また、EuBr2中のEu以外の希土類元素は各々20ppm以下であり、他の元素は10ppm以下であった。これらの蒸発源は、吸湿性が高いので露点−20℃以下の乾燥雰囲気を保ったデシケータ内で保管し、使用直前に取り出すようにした。
【0057】
(2)蛍光体層の形成
支持体として、順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA(イソプロピルアルコール)洗浄を施したガラス基板(厚み:8mm)を用意し、図1に示した蒸着装置内の基板保持部材3に保持させた。上記CsBr蒸発源7aを抵抗加熱装置7のるつぼに、EuBr2蒸発源8aを抵抗加熱装置8のるつぼにそれぞれ充填した。各蒸発源と基板5の間の距離を150mmとした。次に、チャンバ1内を主排気バルブ18および補助排気バルブ19により排気して、1×10-3Paの真空度とした。このとき、真空排気装置としてロータリーポンプ、メカニカルブースターおよびターボ分子ポンプの組合せを用いた。ガス導入管14よりチャンバ1内にArガス(純度5N)を導入して、Arガス圧を0.8Paにした。基板加熱ヒータ2でガラス基板5を220℃に加熱し、基板温度調節手段4により220℃で維持した。基板5を矢印6の方向に20cm/秒の速度で直線移動させた。一方、拡散防止壁部材11、12を温度調節手段13により300℃に加熱維持した。蒸発源7aを抵抗加熱装置7で680℃に加熱し、蒸発源温度調節手段9により680℃で維持し、また蒸発源8aを抵抗加熱装置8で1100℃に加熱し、蒸発源温度調節手段10により1100℃で維持して、基板5の表面にCsBr:Eu輝尽性蛍光体を6μm/分の速度で堆積させた。その際、加熱装置7、8の抵抗電流を調整して、輝尽性蛍光体におけるEu/Csモル濃度比が0.003/1となるように制御した。蒸着終了後、チャンバ1内を大気圧に戻し、装置から基板5を取り出した。基板上には、蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構造の輝尽性蛍光体層(層厚:700μm、面積10cm×10cm)が形成されていた。このようにして、二元蒸着により支持体と輝尽性蛍光体層とからなる本発明に従う放射線像変換パネルを製造した。
【0058】
[比較例1]
実施例1の(2)において、拡散防止壁部材11、12を80℃に加熱維持したこと以外は実施例1と同様にして、支持体と蛍光体層とからなる比較のための放射線像変換パネルを製造した。
【0059】
[比較例2]
実施例1の(2)において、拡散防止壁部材11、12を800℃に加熱維持したこと以外は実施例1と同様にして、支持体と蛍光体層とからなる比較のための放射線像変換パネルを製造した。
【0060】

[放射線像変換パネルの性能評価]
得られた各放射線像変換パネルについて、感度、点欠陥および画像鮮鋭度の評価を行った。また、各実施例において、CsBr蒸発源とEuBr2蒸発源それぞれの蒸着効率(基板上への堆積量/蒸発源からの蒸発量)を測定した。
【0061】
(1)感度
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これに管電圧80kVp、管電流16mAのX線を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、パネルをHe−Neレーザ光(波長:633nm)で励起し、パネルから放出された輝尽発光光をフォトマルチプライヤで検出し、その発光量(実施例1を基準とした相対値)により感度を評価した。
【0062】
(2)放射線画像の点欠陥
放射線像変換パネルを室内光を遮蔽可能なカセッテに収納し、これにX線(10mR)を照射した。次いで、パネルをカセッテから取り出した後、ラインスキャン読取装置(励起光:He−Neレーザ光(波長:633nm)、CCDの受光面の大きさ=画素サイズ:100μm)を用いて、パネルから画像データを得、得られた画像データを画像再生装置(画像サイズ:200μm)により画像フィルムとして出力した。この出力フィルム上で点欠陥の多い領域10cm×10cmを選択して、目視により点欠陥の有無を測定し、以下の三段階にて判定した。
A: 点欠陥が無い
B: 点欠陥は多少あるが、実用可能である
C: 点欠陥が多数あり、実用上支障がある
【0063】
(3)画像鮮鋭度
放射線像変換パネルの表面に、MTFチャートを介してタングステン管球、管電圧80kVpのX線(10mR相当)を照射した後、半導体レーザ光(波長:660nm)をパネル面上の励起エネルギーが5J/m2となるように線状に照射して、パネル表面から放出された輝尽発光光をラインスキャナ(多数のCCDが線状に配置されたラインセンサ)で受光して電気信号に変換し、これを画像再生装置によって画像に再生して表示装置上に画像を得た。得られた再生画像から空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF(相対値)を測定し、鮮鋭度とした。
得られた結果をまとめて表1に示す。
【0064】
【表1】


【0065】
表1の結果から明らかなように、本発明に従って基板温度と蒸発源温度との間(300℃)に加熱維持した拡散防止壁部材を用いて蒸着を行って製造した放射線像変換パネル(実施例1)は、低温(80℃)の拡散防止剤を用いて製造した比較のための放射線像変換パネル(比較例1)に比べて、蒸着効率が向上し、その結果感度が高かった。特に、蒸発温度の高いEuBr2において蒸着効率の増加が著しかった。一方、高温(800℃)の拡散防止剤を用いて製造した比較のための放射線像変換パネル(比較例2)は、蒸着効率は顕著に向上したものの、再蒸発が生じて蒸着膜の柱状性や表面性の低下を引き起こし、結果的に低感度で点欠陥が多数あり、鮮鋭度も低かった。従って、本発明に従うパネルは、高感度であってかつ点欠陥が無く、鮮鋭度も高い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明で用いる蒸着装置の構成例を示す概略断面図である。
【図2】中真空(0.1〜10Pa)下での蒸発流の拡散した状態を示す概略断面図である。
【図3】高真空(<0.1Pa)下での蒸発流の拡散した状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 チャンバ
2 基板加熱ヒータ
3 基板保持部材
5 基板
7、8 抵抗加熱装置
11、12 拡散防止壁部材
13 温度調節手段




 

 


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