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発明の名称 インク原液およびこれを用いたインクジェット用インク組成物
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70566(P2007−70566A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−262024(P2005−262024)
出願日 平成17年9月9日(2005.9.9)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 和地 直孝 / 小澤 孝
要約 課題
インク原液が凍結するような低温環境下で使用された場合でも、インク原液中で染料の析出、分離を抑制し、染料の品質および製造時の取り扱い性を高め、かつ製造コストの上昇も避けられるインク原液およびこれを用いたインクジェット用インク組成物を提供すること。

解決手段
少なくとも水と水溶性染料を含有してなり、かつ染料濃度が固形分濃度で7質量%以上であるインク原液が、下記添加剤A群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とするインク原液。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも水と水溶性染料を含有してなり、かつ染料濃度が固形分濃度で7質量%以上であるインク原液が、下記添加剤A群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とするインク原液。
a)単糖類、多糖類およびこれらの誘導体
b)グリセリンおよびアルキレングリコール
c)アミノ酸およびアミノ酸誘導体
d)尿素およびその誘導体
e)環状アミド基を有する化合物
【請求項2】
25℃における表面張力が50mN/m以上であることを特徴とする請求項1に記載のインク原液。
【請求項3】
光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように前記染料を水で希釈した場合のモル吸光係数が25,000以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインク原液。
【請求項4】
光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように前記染料を水で希釈した条件の2000倍の濃度の染料水溶液を調製し、前記染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定した最大吸収波長(λmax)における吸光度X(XAbs)が、0.8以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のインク原液。
【請求項5】
防腐剤を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のインク原液。
【請求項6】
pH調節剤を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のインク原液。
【請求項7】
インク原液中の添加剤A成分の含有量が0.1〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のインク原液。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク原液を用いて製造されたことを特徴とするインクジェット用インク組成物。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用インク組成物の原料となる、染料濃度の高いインク原液およびこれを用いて作製されたインクジェット用インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターの普及に伴いインクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク組成物中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インク組成物としては、水性インク組成物、油性インク組成物、あるいは固体(溶融型)インク組成物が用いられる。これらのインク組成物のうち、製造、取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インク組成物が主流となっている。
【0003】
これらのインクジェット記録用インク組成物に用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、オゾン、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インク組成物としての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インク組成物に要求される色相と堅牢性とを両立させることは難しい。
【0004】
そこで本発明者らは、染料分子間の相互作用を強くして、インクジェット受像紙上での染料の存在状態を顔料に類似させる事で、染料の堅牢性を向上させる技術を特許文献1等で提案したが、この様に染料分子間の相互作用を強めた場合は、低温環境下で使用された場合、とくに染料濃度の高いインク原液において、染料の析出を生じるという問題点があることがわかった。
凍結により染料が析出し分離すると、解凍後のインク原液中の染料濃度のバラツキの増大を生じ、また解凍後の染料の再溶解が不十分となるため、濾過時の濾圧上昇、インクの吸光度低下等、製造上および品質上の問題が生じる。また、凍結を解除するためにインク原液を加熱する工程が必要となり、製造コストが上昇してしまう。
【0005】
特許文献2には、インクジェットインク組成物に凍結保護物質を添加する方法が開示されているが、着色剤として顔料を使用したインクに対する発明であり、インクの安定性としては、顔料粒子の凝集に対する効果が述べられているのみであり、染料の再溶解性に対する効果は述べられていない。また、低温環境下で染料の析出がより顕著になる、染料濃度の高いインク原液に対する添加効果が述べられている発明は新規である。さらに、これらの添加剤については、凍結後の再溶解に対する効果は述べられているものの、調液時の効果については何ら述べられていない。
【0006】
【特許文献1】特開2004−115620号公報
【特許文献2】特開2001−271013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、インク原液が凍結するような低温環境下で使用された場合でも、インク原液中の染料の析出、分離を抑制し、染料の品質および製造時の取り扱い性を高め、かつ製造コストの上昇も避けられ、且つインク原液の調液時の作業性に優れたインク原液およびこれを用いたインクジェット用インク組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、以下の手段により解決することができる。
1)少なくとも水と水溶性染料を含有してなり、かつ染料濃度が固形分濃度で7質量%以上であるインク原液が、下記添加剤A群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とするインク原液。
a)単糖類、多糖類およびこれらの誘導体
b)グリセリンおよびアルキレングリコール
c)アミノ酸およびアミノ酸誘導体
d)尿素およびその誘導体
e)環状アミド基を有する化合物
2)25℃における表面張力が50mN/m以上であることを特徴とする1)に記載のインク原液。
3)光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように前記染料を水で希釈した場合のモル吸光係数が25,000以下であることを特徴とする1)または2)に記載のインク原液。
4)光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように前記染料を水で希釈した条件の2000倍の濃度の染料水溶液を調製し、前記染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定した最大吸収波長(λmax)における吸光度X(XAbs)が、0.8以下であることを特徴とする1)〜3)いずれか1つに記載のインク原液。
5)防腐剤を含有することを特徴とする1)〜4)いずれか1つに記載のインク原液。
6)pH調節剤を含有することを特徴とする1)〜5)いずれか1つに記載のインク原液。
7)インク原液中の添加剤A成分の含有量が0.1〜20質量%であることを特徴とする1)〜6)いずれか1つに記載のインク原液。
8)1)〜7)のいずれか1つに記載のインク原液を用いて製造されたことを特徴とするインクジェット用インク組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インク原液の調液時の作業性、特に染料の溶解工程や濃度調節工程での作業性に優れ、且つインク原液が凍結するような低温環境下で使用された場合でも、インク原液中で染料の析出、分離を抑制し、染料の品質および製造時の取り扱い性を高め、かつ製造コストの上昇も避けられるインク原液およびこれを用いたインクジェット用インク組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のインク原液において染料濃度は固形分濃度で7質量%以上である。染料濃度は、7〜30質量%が好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。
本発明のインク原液は、少なくとも水と染料を含み、下記群から選択された少なくとも1種(添加剤Aということあり)を含有する。
a)単糖類、多糖類およびこれらの誘導体
b)グリセリンおよびアルキレングリコール
c)アミノ酸およびアミノ酸誘導体
d)尿素およびその誘導体
e)環状アミド基を有する化合物
本発明のインク原液は必要により、防腐剤又はpH調節剤等を含有してなる。
【0011】
これらの添加剤Aの効果としては、水溶性染料を用いたインク原液に用いた場合にも、凍結後の再溶解性に優れた効果を示すばかりで無く、インク原液の調液時の作業性に優れる事が、本発明者らの検討により明らかになった。
ここで、インク原液の調液時の作業性について更に説明を加える。
【0012】
インク原液はインク組成物の原料となるため、目的の波長における原液の吸収強度を正確に調節する必要がある。しかし、インク原液に使用する染料が、水に対して高い溶解度を有する場合、染料が保存中に空気中の水分を含んでしまう事が一般的であり、染料の重量のみで計量した場合には染料に含まれている水分により、完成したインク原液の吸収強度が目標に達しない事が生じる。このため、目的の吸収強度よりも高いインク原液を作製し、この液の吸収強度から希釈率を求め、加水により目的の吸収強度に調節する2段階濃度調節方法が行われる事が一般的である。
ここで、インク原液における染料含有量は、通常使用される最終的なインク組成物に対して一般的に高いため、染料を水に溶解させる工程においては、熱を加えたり、超音波等による振動を与える事が必要となる。染料の溶解が不十分であったり、インク原液の吸収強度が不均一である場合には、加熱工程や超音波工程の時間が長くかかったり、また2段階濃度調節方法を行っても、目的の吸収強度に調節できないといった問題が生じる。この様な問題は、染料の分解や作業性の大幅な低下を生み、品質や製造コストの点で大きな問題となる。
【0013】
添加剤Aを添加する事により、インク原液の調液時における作業性が向上する原因としては、染料と添加剤の相互作用により、染料の水溶性が増加した事が考えられるが詳細は不明である。
【0014】
本発明の添加剤Aとしては、以下のものが好ましく挙げられる。
(1)単糖類、多糖類およびこれらの誘導体。例えば、グルコース、スクロース、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、セロビオース、ラクトース、マルトトリオース、及びこれらの糖類の還元糖や酸化物、脱水糖誘導体、アミノ糖、チオ糖などが挙げられる。中でも好ましくは グルコース、アラビノース、ガラクトースである。
(2)グリセリンまたはアルキレングリコール類。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。中でも好ましくはグリセリン、エチレングリコールである。
(3)アミノ酸およびその誘導体。例えば、ヒスチジン、アルギニン、リシン、グリシン、L−アラニン、DL−アラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−セリン、L−トレオニン、L−システイン、L−シスチン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−チロシン、L−ホモセリン、L−メチオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、ε−アミノカプロン酸、γ−アミノ酪酸、DL−トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。中でも好ましくはグリシン、L−アラニン、DL−アラニン、アルギニンである。
(4)尿素およびその誘導体。例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、N−メチル尿素、N,N−ジメチル尿素、N−エチル尿素、N−ヒドロキシエチル尿素などが挙げられる。中でも好ましくは尿素、チオ尿素、エチレン尿素である。
(5)環状アミド基を有する化合物。例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、γ−カプロラクタム、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。中でも好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンである。
なお、これらの添加剤Aは、必要に応じて2種以上を混合して使用しても良い。
【0015】
インク原液への添加剤Aの添加量は、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜15質量%であり、更に好ましくは2.0〜10質量%である。
【0016】
本発明のインク原液は、25℃における表面張力が50mN/m以上が好ましく、55mN/m以上が更に好ましい。
【0017】
本発明のインク原液は、染料、水及び添加剤Aを必須成分とし、後述される他の各種成分(添加剤B)を含むものでもよい。添加剤Bの濃度は、適宜選択される。
添加剤Bとしては、防腐剤、pH調整剤及び必要により防錆剤やキレート剤等適宜選択される。
【0018】
インク原液は、腐敗による不溶解物の生成が問題となることがある。これを防止するために、インク原液には防腐剤を添加することが好ましい。
本発明に使用可能な防腐剤としては、種々のものが使用可能である。
防腐剤としては、重金属イオンを含有する無機物系の防腐剤(銀イオン含有物など)や塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、複素環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、およびその塩など種々のものが使用可能である。また、防腐剤としては防菌防微ハンドブック(技報堂:1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用し得る。
防腐剤は単独でも2種以上を組み合わせてインク原液に添加しても良い。
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
中でも、少なくとも1種の防腐剤が、複素環化合物であることが好ましい。
本発明では、防腐剤を2種以上併用して使用すると、本発明の効果がさらに良好に発揮される。例えば、複素環化合物と抗生物質の組み合わせ、複素環化合物とフェノール誘導体との組み合わせ等が好ましく挙げられる。2種の防腐剤を組み合わせる場合の含有量比は、特に限定的ではないが、防腐剤A/防腐剤B=0.01〜100(質量比)の範囲が好ましい。
インク原液への防腐剤の添加量は広い範囲で使用可能であるが、好ましくは、0.001〜10質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0019】
本発明のインク原液は、pHは3.0〜9.0が好ましく、5.5〜9が更に好ましく、6〜9が特に好ましい。
pH調整剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機塩基等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
塩基性化合物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、炭酸水素カリウム、、炭酸水素リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸1水素ナトリウムなどの無機化合物やアンモニア水、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ピペリジン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロウンデセン、ピリジン、キノリン、ピコリン、ルチジン、コリジン等の有機塩基、安息香酸リチウムやフタル酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩を使用することも可能である。
酸性化合物としては、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸2水素ナトリウム等の無機化合物や、酢酸、酒石酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サッカリン酸、フタル酸、ピコリン酸、キノリン酸等の有機化合物を使用することもできる。
【0020】
インク原液を作製する際には、濾過により固形分であるゴミを除く工程(濾過工程)を加えることが好ましい。この作業には濾過フィルターを使用するが、このときの濾過フィルターとは、有効径が1μm以下、好ましくは0.3μm以下のフィルターを用いる。フィルターの材質としては種々のものが使用できるが、特に水溶性染料のインク原液の場合には、水系の溶媒用に作製されたフィルターを用いるのが好ましい。中でも特にゴミの出にくい、ポリマー材料で作製されたジャケット型のフィルターを用いるのが好ましい。濾過法としては送液によりジャケットを通過させてもよいし、加圧濾過、減圧濾過のいずれの方法も利用可能である。
【0021】
インク原液を作製する工程や調液工程において、染料やその他の成分を溶解する方法としては、攪拌による溶解、超音波照射による溶解、振とうによる溶解等種々の方法が使用可能である。中でも特に攪拌法が好ましく使用される。攪拌を行う場合、当該分野では公知の流動攪拌や反転アジターやディゾルバを利用した剪断力を利用した攪拌など、種々の方式が利用可能である。一方では、磁気攪拌子のように、容器底面との剪断力を利用した攪拌法も好ましく利用できる。
【0022】
次に、本発明のインク原液に用いられる染料について説明する。この染料としては、特に制限はないが、次の(1)または(2)の条件を満たす染料を用いた場合に、特に良好な発明の効果を得る事が可能である。
(1)可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように染料を水で希釈した場合、前記染料が、25,000以下(好ましくは10,000〜20,000、更に好ましくは10,000〜18,000)のモル吸光係数を示す。モル吸光係数の低い染料をインクジェット用インクに使用する場合、所望の濃度を出すためには、染料濃度を高くする必要があり、インク原液における染料濃度も高い事が要求される。
(2)光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように染料を水で希釈した条件の2000倍の濃度の染料水溶液を調製し、前記染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定した最大吸収波長(λmax)における吸光度X(XAbs)が、0.8以下(好ましくは0.76〜0.5、更に好ましくは0.7〜0.5)である。XAbsが低い程、会合性は高い傾向がある。
なお、上記染料溶液に用いる水中に多価金属イオン等が含まれていた場合、染料の析出等の問題を生じやすいため、脱イオン水等の比抵抗値が18MΩ・cm以上の超純水を用いる事が好ましい。
【0023】
本発明に用いられる染料としては、会合性の高いものもしくはモル吸光係数の低いものを用いた場合に特に本願発明の効果は有効である。
モル吸光係数の低い染料としては、例えばアントラキノン系染料やアントラピリドン系染料が挙げられ、インクジェット記録用途に用いる場合には、特にアントラピリドン系染料が好ましい。アントラピリドン系染料の具体例としては、例えば特開2003−192930公報や特開2005−8868公報、特開2005−41846公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0024】
また、会合性の高い染料としては、前述のXの値が0.8以下であれば特に制限は無いが、特に黒用のインクジェットインクに用いられる染料の場合に本発明の効果が大きい。これは、カラーインクに比べて、黒用インク中の染料濃度が一般に高く、インク原液における染料濃度も他色に比べて高い事が要求されるためである。この様な会合性の高い黒用染料としては、例えば、特開2004−83609公報や特願2004−3799号明細書に記載の化合物が挙げられる。
黒用染料(L)は、λmaxが500nmから700nmにあり、かつ吸光度1.0に規格化した希薄溶液の吸収スペクトルにおける半値幅(Wλ,1/2)が好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上500nm以下、さらに好ましくは120nm以上350nm以下である。
この黒用染料(L)単独で、画像品質の高い「(しまりのよい)黒」(=観察光源によらず、かつB,G,Rのいずれかの色調が強調されにくい黒)を実現できる場合は、この黒用染料を単独でインク組成物の原料として使用することも可能であるが、通常、インク組成物としてはこの黒用染料の吸収が低い領域をカバーする染料と併用するのが一般的である。併用する染料としては、イエロー領域に主吸収(λmaxが350nmから500nm)を有する染料(S)が好ましい。また、さらに他の染料を併用してインク組成物を作製することも可能である。
染料(S)は、インク原液の段階で黒用染料(L)に併用しても良いが、好ましくはインク組成物の調製のときに、単独のインク原液もしくは粉末として混合して用いることが保存安定性の観点から好ましい。
【0025】
本発明のインク原液を用いてインク組成物を製造する場合、1)耐候性に優れること、および/または、2)褪色後も黒のバランスが崩れないことを満足するために、下記の条件を満たすようなブラックインク組成物が好ましい。
【0026】
まず、ブラックインク組成物を用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルター(ビジュアルフィルター)により測定した反射濃度(Dvis)を初期濃度として規定する。ステータスAフィルターを搭載した反射濃度測定機としては、たとえばX−Rite濃度測定機などを挙げることができる。ここで「黒」を濃度測定する場合、標準的な観察反射濃度としてDvisによる測定値を使用する。この印画物を、5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、その反射濃度(Dvis)が初期反射濃度値の80%となるまでの時間(t)から強制褪色速度定数(kvis)を「0.8=exp(−kvis・t)」なる関係式から求める。
本発明では該速度定数(kvis)が5.0×10-2[hour-1]以下、好ましくは3.0×10-2[hour-1]以下、さらに好ましくは1.0×10-2[hour-1]以下となるようなインク組成物を作製する。
【0027】
また、ブラックインク組成物を用いてJISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字し、これをステータスAフィルターにより測定した濃度測定値で、DvisではないC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)3色の反射濃度(DR,DG,DB)も初期濃度として規定する。ここで、(DR,DG,DB)は、(レッドフィルターによるC反射濃度,グリーンフィルターによるM反射濃度,ブルーフィルターによるY反射濃度)を示す。この印画物を上記の方法に従って5ppmのオゾンを常時発生可能なオゾン褪色試験機を用いて強制的に褪色させ、それぞれの反射濃度(DR,DG,DB)が初期濃度値の80%となるまでの時間からも同様に強制褪色速度定数(kR,kG,kB)を定める。該3つの速度定数を求めて、その最大値と最小値の比(R)を求めた場合(たとえばkRが最大値でkGが最小値の場合、R=kR/kGである)、該比(R)が1.2以下、好ましくは1.1以下、さらに好ましくは1.05以下となるようなインク組成物を作製する。
【0028】
なお、上記で使用した「JISコード2223の黒四角記号を48ポイントで印字した印字物」は、濃度測定に十分な大きさを与えるため、測定機のアパーチャーを十分にカバーする大きさに画像を印字したものである。
【0029】
また、本発明のインク原液、ひいてはインク組成物に用いられる染料としては、複素環にアゾ基が結合した染料(以下、「複素環アゾ染料」ともいう)及び会合性のフタロシアニン染料(以下、複素環アゾ染料及び該フタロシアニン染料等本発明に用いられる染料を総称して本発明用染料ともいう)が好ましい。本発明は、複素環アゾ染料又は該フタロシアニン染料を少なくとも1種含むことが好ましいが、他の染料および/または顔料を併用してもよい。
また、本発明用染料としては、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であることが好ましい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New InstrumentalMethods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
【0030】
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-2〜1×10-6モル/リットル溶解して、各種ボルタンメトリー(滴下水銀電極を用いるポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリー、回転ディスク電極を用いた方法等)を用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
なお、本発明では、0.1mol/リットルの過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N-ジメチルホルムアミド中 (染料の濃度は0.001mol/リットル)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用して測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とした。
【0031】
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、染料骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。
【0032】
複素環アゾ染料であるイエロー染料としては、特開2004−83903号(段落番号[0048]〜[0062])、同2003−277661号(段落番号[0041]〜[0050])、同2003−277662号(段落番号[0042]〜[0047])、米国出願公開US2003/0213405(段落番号[0108])に記載されたものが挙げられる。特に好ましいイエロー染料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる複素環アゾ染料は、下記の例に限定されるものではなく、またイオン性親水性基は、下記の例に関わらず任意の塩の状態であってよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
【0033】
【化1】


【0034】
【化2】


【0035】
複素環アゾ染料であるマゼンタ染料としては、国際公開特許2002/83795号(35〜55頁)、同2002−83662号(27〜42頁)、特開2004−149560号(段落番号[0046]〜[0059])、同2004−149561号(段落番号[0047]〜[0060])に記載されたものが挙げられる。特に好ましいマゼンタ染料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる複素環アゾ染料は、下記の例に限定されるものではなく、またイオン性親水性基は、下記の例に関わらず任意の塩の状態であってよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
【0036】
【化3】


【0037】
【化4】


【0038】
複素環アゾ染料のインク組成物中での含有量は、0.2〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0039】
次に本発明用染料であるフタロシアニン染料としては、会合性のフタロシアニン染料が好ましい。会合性のフタロシアニン染料としては、会合性基を有するものが好ましい。この会合性基とは、その基中に少なくとも分子間で水素結合が可能な結合部位(あるいは官能基)を少なくとも有する基を意味する。該結合部位は、1基中に1以上含有することができる。結合部位としては、水酸基、アミノ基、アミド結合、オキシド結合等が挙げられ、同一種もしくは異種間で水素結合が形成される。なお、会合性基は、フタロシアニン染料と任意の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
フタロシアニン染料としては、シアン染料であることが好ましい。また、この染料は、上記特性(酸化電位、会合性)の少なくとも1つを有していることが好ましく、全ての特性を有していることが更に好ましい。
本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、例えばアザフタロシアニンのようにフタロシアニン骨格の炭素原子を部分的にヘテロ原子に置換したり、電子求引性基をフタロシアニン骨格に導入したりして、酸化電位を1.0V(vs SCE)よりも貴とすることが望ましい。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも貴であることがさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴であることが特に好ましい。
【0040】
会合性のフタロシアニン染料としては、国際公開特許2002/60994号、同2003/811号、同2003/62324号、特開2003-213167号、同2004-75986号、同2004-323605号、同2004-315758、同2004-315807、特願2003-421124号に記載されたものが挙げられる。特に好ましいシアン染料の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる色素は、下記の例に限定されるものではない。
【0041】
【化5】


【0042】
【化6】


【0043】
本発明に用いられるのフタロシアニン染料は、前述した特許の他、特開2004-315729号、特願2003-411390号、同2004-094413号に従って合成することが可能である。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
【0044】
フタロシアニン染料は単独で用いることができるが、その他の染料、特にその他のフタロシアニン染料と併用して使用することができる。
【0045】
本発明のインク原液の用途は、特に制限はないが、インクジェット用インク組成物に用いることが好ましい。インク原液からインクジェット用インク組成物を作製するにはインク原液にインク組成物として必要な素材を添加し、必要により濃度等を調整するために溶媒を添加してもよい。
上記のインクジェット用インク組成物は、上記インク原液を含有し、かつ粘度が25℃において1〜30mPa・s、表面張力が25℃において20mN/m〜45mN/mであるのが好ましい。また、インクジェット用インク組成物は、全染料を好ましくは、0.2〜20質量%含有し、より好ましくは、0.5〜10質量%含有する。
【0046】
また、本発明のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各々のインク原液から得られるインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、各色についてそれぞれ同一色相で濃度の異なる複数色のインク組成物を用いることもできる。更には、レッド、グリーン、ブルー、さらにバイオレットと言った中間色調のインク組成物を用いることもできる。本発明のインク組成物は、フルカラーの画像を得るためのインクセットを構成することができる。あるいは、該インク組成物は、インクセットの一部を構成することができる。すなわち、インクセットを構成するために本発明以外の任意のインク組成物と本発明のインク組成物とを組み合わせても良い。
【0047】
本発明のインク組成物は、本発明のインク原液を用いて製造されることを特徴とするが、前記染料とともにフルカラーの画像を得る上で、色調を整えるために、他の着色剤を併用してもよい。
本発明におけるインク組成物及びインクセットに用いることのできる着色剤、または前記染料と併用できる着色剤としては、各々任意のものを使用する事が出来る。併用することができる着色剤の例としては今までに述べてきた染料及び、特開2004−331871号公報の[0331]〜[0334]に記載の染料や[0335]〜[0341]に記載の顔料等を挙げることができる。
【0048】
上記式で表される着色剤以外に、下記各公報に記載の染料も好ましく用いることができる。
特開平10−130557号、特開平9−255906号、特開平6−234944号、特開平7−97541号、EP 982371号、WO 00/43450、WO 00/43451、WO 00/43452、WO 00/43453、WO 03/106572、WO 03/104332、特開2003−238862号、特開2004−83609号、特開2002−302619号、特開2002−327131号、特開2002−265809号、WO 01/48090、WO 04/087815、WO 02/90441、WO 03/027185、WO 04/085541、特開2003−321627号、特開2002−332418号、特開2002−332419号、WO 02/059215、WO 02/059216、WO 04/087814、WO 04/046252、WO 04/046265、米国特許第6652637号、WO 03/106572、WO 03/104332、WO 00/58407、特許第3558213号、特許第3558212号、特許第3558211号、特開2004−285351号、WO 04/078860、特開2004−323605号、WO 04/104108。
【0049】
本発明に用いられる水溶性染料としては特開2002−371214号公報に記載のマゼンタ染料、特開2002−309118号公報に記載のフタロシアニン染料、特開2003−12952号及び同2003−12956号公報中の水溶性フタロシアニン染料等に記載の染料を用いることも好ましい。
【0050】
本発明のインクジェット用インク組成物は、媒体中、好ましくは水性媒体に染料を含有する。水性媒体は、水、もしくは水に必要に応じて水混和性有機溶剤などの溶剤が添加される。水混和性有機溶剤の中には、上記本願の添加剤Aと同じものが包含されていても構わない。本発明は、染料濃度が高いインク原液に凍結防止剤が含有されていることが重要であり、これを希釈してインクジェット用インク組成物とする場合に添加剤Aと同様の水混和性有機溶剤を更に用いても何ら問題はなく、以下の機能を発揮ささせるために使用される。以下に記載される乾燥防止剤、粘度調整剤等も上記と同様である。
【0051】
本発明のインク組成物において用いることができる上記水混和性有機溶剤は、乾燥防止剤、浸透促進剤、湿潤剤などの機能を有する材料であり、主に高沸点の水混和性有機溶媒が使用される。このような化合物の具体例は、特開2004−331871号公報の[0419]〜[0423]に記載されている。
本発明では水混和性有機溶剤の中でも、アルコール系溶媒が特に好ましい。また、本発明のインク組成物では沸点150℃以上の水混和性有機溶剤を含むことが好ましい。
これらの水混和性有機溶剤は、総量でインク組成物中に5〜60質量%含有することが好ましく、特に好ましくは10〜45質量%である。
【0052】
本発明のインク組成物の吐出安定性や印字品質、画像の耐久性等を向上させる目的で、特開2004−331871号公報等に記載の界面活性剤や乾燥防止剤、浸透促進剤、尿素系添加剤、キレート剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、分散剤、分散安定剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、ポリマー材料、酸プレカーサー等の添加剤を適宜選択して使用する事ができる。これらの添加剤の好ましい使用量は、上記特開2004−331871号公報等に記載の通りである。
【0053】
なお、インクジェット用インク組成物の調製方法については、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開2004−331871号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインク組成物の調製にも利用できる。
【0054】
本発明に好適に用いられる印字媒体である記録紙及び記録フィルムとしては、特開2004−331871号公報等に記載のものを用いるのが好ましい。
【0055】
本発明のインク組成物は、インクジェット記録以外の用途に使用することもできる。例えば、特開2004−331871号公報の[0727]〜[0731]等に記載のディスプレイ画像用材料、室内装飾材料の画像形成材料および屋外装飾材料の画像形成材料などに使用が可能である。
【0056】
インク原液またはインク組成物の製造において、特開2004−331871号公報に記載のごとく、染料などの添加物の溶解工程等に超音波振動を加えることもできる。
【0057】
本発明のインク原液またはインク組成物を作製する際には、さらに調液した後に行われる、濾過により固形分であるゴミを除く工程が重要である。上記濾過工程についても、特開2004−331871号公報に記載の通りである。
【0058】
本発明におけるインク組成物の記録材料上への打滴は、特開2004−331871号公報の[0628]〜[0652]に記載の条件が好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0060】
本実施例で使用した染料は、以下のとおりである。
【0061】
【化7】


【0062】
【化8】


【0063】
【化9】


【0064】
<染料の含水分の算出>
(実施例1)
カールフィッシャー水分計 MKC−210(京都電子工業製)のセル内にアクアミクロンAX(三菱化学(株)製)を入れ、そこに上記染料A(ブラック染料)5.0mgを精密天秤で秤量したものを添加して溶解し、含水分を測定したところ、含水分は7.2%であった。上記含水分を測定したものと同一ロットの染料30mgを、脱イオン水1000mlに溶解し、可視光(350nm〜700nm)での吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長(λmax)が601nm、吸光度が1.13であった。これより、上記染料Aを実固形分で15質量%含んだインクジェット用インク原液を5000倍に希釈した水溶液の目標濃度を、1.22と設定した。
上記水分を含んだ染料A1500gに脱イオン水を7.2Lとエチレングリコール425gを添加し、60〜65℃で加熱しながら1時間攪拌した。染料が完全に溶解した後室温まで冷却し、濃度調節前のインク原液(以降プレインク原液と称する)Aを8610g作製した。添加量に対して、プレインク原液量が減っているのは、溶解加熱時に水分が蒸発したためである。このプレインク原液1.0gを5000倍に希釈した水溶液のλmaxにおける吸光度を測定したところ、1.31であり、実質的な染料固形分は、16.1質量%であった(計算量:17.4質量%,染料の含水分7.6%相当)。染料固形分が15質量%になり、且つエチレングリコールの含有量が5質量%になる様に、計算量の脱イオン水(1054g)とエチレングリコール(37g)を添加して30分間攪拌し、プレインク原液Aの濃度を調節した。希釈後の全液量は9.24kgであった。さらに防腐剤PROXEL XL2(アベシア社製)を含有量で0.1質量%になるように9.2g添加した。10分間攪拌の後、重炭酸ナトリウムを添加して、pHを8.0に調節した。10分間攪拌したのち、平均孔径0.2μmのミクロフィルターで濾過してインクジェット用インク原液Aを作製した。上記インク原液A1.0を5000倍に希釈して601nmにおける吸光度を測定したところ、1.21となり、目標値と良好な一致を示した。
さらに、前記染料Aにおいて、光路長10mmのセルを用いて、可視光(350〜700nm)での最大吸収波長(λmax)における吸光度が1.0になるように前記染料Aを水で希釈した条件の2000倍の濃度の染料水溶液を作成し、この染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定した最大吸収波長(λmax)における吸光度X(XAbs)は、0.62であった。
本インク原液Aの表面張力を協和界面科学(株)製SURFACE TENSIOMETERCBVP−A3で測定したところ、25℃条件下で55mN/mであった。
【0065】
(実施例2〜14)
XAbsが0.8以下の水溶性染料として、A〜Fの染料を使用し、染料量、脱イオン水量、添加剤A、添加量(添加剤A)を表1の様に変更した以外は実施例1と同様に処理して、インクジェット用インク原液B〜Nを作製した。これらのインク原液の25℃における表面張力を、実施例1と同様の方法で測定したところ、いずれも50mN/m以上であった。
【0066】
【表1】


【0067】
(実施例15〜17)
モル吸光係数εが25,000以下の水溶性染料として、G〜Hの染料を使用し、染料量、脱イオン水量、添加剤A、添加量(添加剤A)を表2の様に変更した以外は実施例1と同様に処理して、インクジェット用インク原液O〜Qを作製した。
【0068】
【表2】


【0069】
(比較例1〜4)
染料A,C,D,Gを用い、染料量、脱イオン水量を表3の様に変更し、添加剤Aを添加しない事以外は実施例1と同様に処理して、インクジェット用インク原液R〜Uを作製した。
【0070】
【表3】


【0071】
<インク原液調液時の作業性評価>
実施例1〜17及び比較例1〜4のインク原液の調液作業性に対する作業性の評価を、プレインク原液の5000倍希釈液の吸光度から計算して加水等により濃度調節した完成インク原液の5000倍希釈濃度(濃度A)と、目標値(濃度B)の差により以下の様にして行った。
○:濃度Aと濃度Bの差が0.04以内
△:0.04<濃度Aと濃度Bの差≦0.1
×:濃度Aと濃度Bの差が0.1より大
【0072】
<インク原液の凍結試験>
実施例1〜17及び比較例1〜4のインク原液の凍結−融解に対する不安定性を、以下の方法で試験した。
(凍結−融解条件)
凍結−融解条件は、上記インク原液200ccを−30℃で8時間処理したのち、23℃60%条件下に8時間放置した。
(試験項目)
不安定性の評価は、以下の試験により行った。
(1)インク原液の濃度のバラツキ
融解したインク原液を5分間攪拌した後、インク原液1gを採取し、脱イオン水で2000倍に希釈して水溶液のλmaxの吸光度を測定する。この作業をn=3で行い、吸光度の最大値(Amax)を最小値Aminで割った値A(max/min)により以下のランクで評価した。
○:A(max/min)≦1.05 △:1.05<A(max/min)≦1.1 ×:1.1<A(max/min)
(2)インク原液の濾過残渣
融解したインク原液100ccを、減圧条件下で、セルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製 孔径0.8μm、フィルター径47mm)を用いて濾過した後、少量の脱イオン水でフィルターの着色部分を洗浄し、残渣を目視で観察する。
○:残渣無し △:少量の残渣有り ×:大量の残渣有り、又は濾過ができない。
評価結果を表4に示す。
【0073】
【表4】


【0074】
上記結果から、本発明の添加剤をインク原液に添加することで、調液時の作業性に優れ、且つ凍結−融解後のインク原液の濃度のバラツキや、濾過時の残渣が改良された安定なインク原液を得る事ができる。




 

 


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