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インクジェット画像記録方法 - 富士フイルム株式会社
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発明の名称 インクジェット画像記録方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−70542(P2007−70542A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−261027(P2005−261027)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 沖野 美晴
要約 課題
耐オゾン性、耐光性を損なうことなく、かつ高速画像記録を行ってもブロンズ光沢を抑えることが出来るインクジェット画像形成方法を提供すること。
解決手段
少なくとも、水、染料及び一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて、60cm/min以上の速度で画像を記録することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、水、染料及び下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて、60cm/min以上の速度で画像を記録することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
一般式(1)
−L−A
[一般式(1)において、A及びA’はそれぞれ水溶性の置換基を表す。Lは炭素数5以上,18以下の連結基を表す。]
【請求項2】
少なくとも、水、複素環にアゾ基が結合したアゾ染料及び前記一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて、60cm/min以上の速度で画像を記録することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項3】
上記一般式(1)で表される化合物の含有量が、インク中0.5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項4】
画像の記録が、256個以上のノズルを有するインク吐出用ライン状ヘッドによりインクが吐出されてなされることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項5】
表面張力/粘度が4m/s以上のインクの3μlを記録媒体上に滴下して、滴下から500ms経過後のインク滴が記録媒体表面となす接触角が30deg以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項6】
複数のインクを用いてカラー画像を記録するインクジェット画像記録方法において、該複数のインクの少なくとも一つが、水、複素環にアゾ基が結合したアゾ染料及び一般式(1)で表される化合物を含有するインクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項7】
複数のインクを用いるカラー画像の記録が、1色当たり256個以上のノズルを有するインク吐出用ライン状ヘッドによりインクが吐出(打滴)されてなされ、該複数のインク中の第1のインクの打滴と後続する第2のインクの打滴との間隔が100ms以内であり、かつ該第1のインクの表面張力が後続する第2のインクの表面張力よりも0.3mN/m以上高いことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【請求項8】
前記インクがさらに一般式(11)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
一般式(11)
−A
[一般式(11)において、Aは、一般式(1)におけるAと同義であり、Lは炭素数5以上,18以下の置換基を表す。Cは炭素原子を表す]
【請求項9】
前記複素環にアゾ基が結合したアゾ染料が、アゾ基の両端に複素環基が結合した構造を有するアゾ染料であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット方式の画像記録方法に関し、特に高速印画しても高画質の画像を形成できる改良されたインクジェット画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターの普及に伴い、インクジェットプリンターがオフィスだけでなく家庭で紙、フィルム、布等に印字するために広く利用されている。
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インク組成物としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造、取り扱い性、臭気、安全性等の点から水性インクが主流となっている。
【0003】
これらのインクジェット記録用インクに用いられる着色剤に対しては、溶剤に対する溶解性が高いこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、空気、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、さらには、安価に入手できることが要求されている。しかしながら、これらの要求を高いレベルで満たす着色剤を捜し求めることは、極めて難しい。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相や堅牢性を両立させることは難しい。
【0004】
本出願人は、上記に鑑み染料の耐オゾン性・耐光性を向上させるために、複素環基にアゾ基を結合した染料を開発してきた(例えば特許文献1〜4)。
これらの染料では、酸化電位が高くなること、また、染料分子の会合促進による耐オゾン性・耐光性の向上を図ることができるという特徴がありながら、会合性が強いため、メディア(本明細書では、記録媒体を記録メデイア又は単にメディアと呼ぶこともある)によっては打滴量が多いとき、さらには単位時間当たりの打滴量が多い場合に、浸透速度が遅くなり、印字物の表面に、インクの溜りができて染料の析出によるブロンズ光沢(プリント表面の金属光沢)が現れる傾向が大きくなるという問題が生じた。
【0005】
このブロンズ光沢(単にブロンズともいう)は、インク中の染料濃度が高い場合、また、インク量の多い印字の場合顕著となる。
しかしながら、従来インクジェット法による画像形成方法の技術開発は、第一に前記したように記録された画像の画質向上、第二に画像の堅牢性向上、第三にメディア上の記録画像のにじみ防止に注力されてきていたので、画像堅牢性や画質の向上に伴って新たに発生したブロンズ光沢の抑止方法については、殆ど研究がなされてなかった状況にある。
僅かに判っている従来知見としては、ブロンズ光沢を抑えるには、染料の会合を抑制するような添加剤が効果的であることである。例えばトリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)の添加量を増やすことにより、ブロンズ光沢を抑えることが出来る。しかしながら、TEGmBEの添加量を増やした場合は、耐オゾン性・耐光性の悪化が見られる。これは、染料の会合がTEGmBEにより抑制されたためと考えられる。
上記の背景から、ブロンズ光沢を抑制すると共に耐オゾン性、耐光性を良好に維持できるインクジェット画像形成方法が望まれている。
【特許文献1】特開昭55−161856号公報
【特許文献2】特開昭61−36362号公報
【特許文献3】特開平2−212566号公報
【特許文献4】特表平11−504958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、耐オゾン性、耐光性を損なうことなく、かつ高速画像記録を行ってもブロンズ光沢を抑えることが出来るインクジェット画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題について鋭意検討を行った結果、ブロンズ光沢の発生は、1,6−ヘキサンジオールに代表される両端に水溶性基を有する溶媒をインク溶媒として用いることによって大幅に低減できて、とくに60cm/min以上の高速度で画像を記録してもその抑止効果が顕著なことを見出して、この発見に基いて発明の課題を達成することができた。すなわち、本発明は下記の手段により達成することができる。
(1)少なくとも、水、染料及び下記一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて、60cm/min以上の速度で画像を記録することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
一般式(1)
−L−A
[一般式(1)において、A及びA’はそれぞれ水溶性の置換基を表す。Lは炭素数5以上,18以下の連結基を表す。]
(2)少なくとも、水、複素環にアゾ基が結合したアゾ染料及び前記一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて、60cm/min以上の速度で画像を記録することを特徴とする上記(1)に記載のインクジェット画像記録方法。
【0008】
(3)上記一般式(1)で表される化合物の含有量が、インク中0.5〜150質量%であることを特徴とする請上記(1)又は(2)に記載のインクジェット画像記録方法。
(4)画像の記録が、256個以上のノズルを有するインク吐出用ライン状ヘッドによりインクが吐出されてなされることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
(5)表面張力/粘度が4m/s以上のインクの3μlを記録媒体上に滴下して、滴下から500ms経過後のインク滴が記録媒体表面となす接触角が30deg以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
(6)複数のインクを用いてカラー画像を記録するインクジェット画像記録方法において、該複数のインクの少なくとも一つが、水、複素環にアゾ基が結合したアゾ染料及び一般式(1)で表される化合物を含有するインクであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
(7)複数のインクを用いるカラー画像の記録が、1色当たり256個以上のノズルを有するインク吐出用ライン状ヘッドによりインクが吐出(打滴)されてなされ、該複数のインク中の第1のインクの打滴と後続する第2のインクの打滴との間隔が100ms以内であり、かつ該第1のインクの表面張力が後続する第2のインクの表面張力よりも0.3mN/m以上高いことを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【0009】
(8)前記インクがさらに一般式(11)で表される化合物を含有することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
一般式(11)
−A
[一般式(11)において、Aは、一般式(1)におけるAと同義であり、Lは炭素数5以上,18以下の置換基を表す。Cは炭素原子を表す]
(9)前記複素環にアゾ基が結合したアゾ染料が、アゾ基の両端に複素環基が結合した構造を有するアゾ染料であることを特徴とする上記(2)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法。
【0010】
(10)一般式(1)又は一般式(11)で示される化合物の置換基A及びA’が、−OH、−SH、-NH、及びアミド基から選択される置換基であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のインク組成物。
(11)一般式(1)又は一般式(11)で表される化合物がジオール化合物であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のインク組成物。
(12)前記一般式(1)で表されるジオール化合物が、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、又は1,7-ヘプタンジオールであることを特徴とする上記(11)に記載のインク組成物。
(13)前記一般式(11)で表されるジオール化合物が、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は1,2-ヘプタンジオールであることを特徴とする上記(11)に記載のインク組成物。
(14)アゾ染料の酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であることを特徴とする上記(2)〜(13)のいずれかに記載のインク組成物。
(15)アゾ染料の含有量が、インク中2〜20質量%であることを特徴とする上記(2)〜(14)のいずれかに記載のインク組成物。
【発明の効果】
【0011】
インク中に一般式(1)で表される化合物を含有するインクを用いて高速画像記録を行わせる本発明のインクジェット画像形成方法により、耐オゾン性・耐光性などの画像堅牢性を損なうことなく、60cm/min以上の速度で画像を記録してもブロンズ光沢の発生を抑止することが出来る。とりわけ、インク染料としてアゾ基が複素環に結合したアゾ染料、特にアゾ基の両端に複素環が結合したアゾ染料、を用いたインクでは、上記ブロンズ光沢抑止効果が顕著に現れる。
また、上記高速画像記録特性にともなって続けて記録されるメディアの画面の汚れや画像インクの移りも抑止され、画像濃度も維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のインクジェット画像記録方法では、インク中に一般式(1)で表される化合物を含有することによって高速度で画像記録を行ってもブロンズ光沢の発生が抑止されるという利点を有する。すなわち、通常ブロンズ化しやすい例えば60cm/min以上の高速度で画像を記録してもブロンズ光沢の発生が抑止される。
【0013】
(インクジェット用インク)
はじめに、本発明に係るインクの組成及び関連物性について説明する。
本発明のインクジェット画像記録方法は、上記の高速にプリントする場合にはブロンズ光沢の発生を抑止することに加えて、以下に述べるような更なる利点あるいは好ましいインク物性を有している。
一つは、プリント汚れやプリント済みメディアへのインク移りの低減効果である。これは上記高速記録適性に付随する付加的利点である。メディア上のインクが乾燥するのに要する時間が長くなると、プリント後のプリンター内のメディア搬送ローラーに接触して汚れを発生したり、あるいはプリントしたメディアをトレイに収納した後、次のプリントしたメディアが重畳収納されたときに次のプリントとの間でインク移りが発生する等の弊害が発生し易いことが知られている。この現象を回避するには、インクがメディアに浸透する速度を速くすることが有効であり、メディアに対してインクの濡れが良い状態を作り出すことにより広い面積にインクが均等に広がり、浸透が速くなるとともに、乾燥性も向上する。具体的には多孔質吸収層に毛細管現象で速く浸透するために、表面張力γと粘度ηの比を大きくすることは、好ましいことであるが、一般式(1)で表される化合物を含有する本発明に係るインクでは、γ/ηが4m/s以上のときに浸透を速め、乾燥も速くなることが判った。γ/ηは4以上40以下が好ましく、6以上20以下がより好ましい。この表面張力・粘度条件を本発明に用いるインクに付与するには、具体的には界面活性剤の量により表面張力を、またグリセリン等の高粘度溶媒の量により粘度を制御することが可能である。
【0014】
別の利点としては、ブロンズ光沢を抑止した上で、印画面のインク画像濃度を高く維持できることである。インクとメディアの接触角θが大きい場合には、着弾したインク滴が十分拡がらないため、メディア上での着色部分の被覆率が下がり、濃度が低くなる。接触角を小さくすること、すなわちインクとメディアの親和性をたかめること、画像濃度を高くすることが可能である。そのためには、溶媒処方を調整したり、界面活性剤の種類や添加量を選択したりしてメディアとインクとの親和性を制御することも可能である。しかしながら、θを下げると同時に表面張力も下がってしまうため、両者を独立に制御することは出来ない。
両者を独立に制御するには、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと界面活性剤の量を制御することで可能ではあるが、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いることの弊害として粘度が上昇してしまう欠点がある。そのため、染料濃度の維持とインクの吐出安定性の確保とが両立しない。1,2ヘキサンジオールに代表される一般式(1)で表される水溶性基を複数有し、かつその間の炭素チェーンのような疎水部分が小さい溶媒を用いると、粘度を上げず、浸透性を損なうことなくメディアとの濡れ性を良好にすることが出来る。
これにより、接触角を下げるとともに、界面活性剤とあわせて表面張力を制御することが可能となり、ブロンズ光沢がなく、乾燥性も良好で、かつ画像濃度も高い画像を記録することが可能となる。
とくに、画像記録時のインク物性と記録媒体表面の関係が、表面張力/粘度が4m/s以上のインクの3μlを記録媒体上に滴下して、滴下から500ms経過後のインク滴が記録媒体表面となす接触角が30deg以下であることが好ましく、より好ましくは25deg以下である。
【0015】
このような条件を具現する表面張力や粘度の調整に係わる表面張力調整剤、一般式(1)、(11)以外に加えてもよいインク溶剤、界面活性剤などのインク構成物やそれら物性の測定方法については後述する。
打滴されたインク滴の乾燥性に関しては、高速記録、とくに記録幅分のノズルを有するラインヘッドにより、メディア上に短時間内に隣接して打滴される場合に不十分になり易い。このとき、カラー画像記録の場合には、先行打滴されるインクが浸透しきらないうちに後行打滴インクが着弾することになるため、先行インクより後行インクの表面張力が高い場合には、濡れが悪く、着弾面積が小さくなるため、後行インクの濃度が十分得られない。本発明に用いるインクでは、高速記録特性がそなわっているので、打滴の間隔は100ms以内でも後行インクの画像濃度も損なわれることはなく、実用上20ms以内でも許容可能である。
この特長をさらに高めるために、先に打滴されるインクの表面張力は、後から打滴されるインクより0.3[mN/m]以上高いことが望ましく、より好ましくは1mN/m以上高く10mN/m以下である。
【0016】
典型的な高速度記録は、標準的なプリンターと記録メディアを用いる場合に60cm2/min以上であるが、この速度をより具体的に説明すると、画像の記録が、256個以上のノズルを有するインク吐出用ライン状ヘッドによりインクが吐出されてなされるインクジェット画像記録であり、このような記録方法は、ワンパス方式とも呼ばれている。
【0017】
一般式(1)であらわされる化合物を含有するインクではブロンズ光沢などの支障がない優れた画質の画像記録が行われる。
通常ブロンズ化しやすい例えば上記した60cm/min以上の高速度で画像を記録してもブロンズ光沢の発生が抑止される本発明の効果は、一般式(1)で表される化合物をインク中に含有させることによって発揮されるので、はじめに一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう)について説明する。
【0018】
<一般式(1)で表される化合物>
一般式(1)
−L−A
【0019】
一般式(1)において、A及びA’はそれぞれ水溶性の置換基を表す。水溶性の置換基(以下、「水溶性基」ともいう)とは、化合物(1)に水溶性を付与する機能を有する基である。
水溶性基としては、−OH基、−SH基、-NH基及びアミド基(例えば、―C(:O)NH,−NHC(:O)H)等が挙げられる。アミド基の水素原子は、メチル基、エチル基などの低級アルキル基によって置換されていてもよいが、無置換であることが好ましい。
A及びA’は、より好ましくは−OH基、-SH基、又は-NH基であり、とりわけ-OH基が好ましい。A及びA’のそれぞれの水溶性基は、同一でも異なっていてもよい。
【0020】
Lは炭素原子数5以上、25以下の連結基を表す。連結基としては、例えば、直線状、分岐状、環状の炭化水素が挙げられる。また、これらの炭化水素が、エーテル結合、チオエーテル結合等で結合されていても良い。
さらに、これらの水素原子が、置換されていても良い。置換基としてはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、芳香環及びその誘導体、複素環及びその誘導体、−OH基、−SH基、-NH基、アミド基、カルボキシル基、スルホ基、ホスフォ基、ハロゲン原子、等が挙げられる。
これらの内、アルキル基などは更に上記した置換基で置換されても良い。
【0021】
好ましい置換基の例は、メチル基、炭素数が2〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、−OH基、−SH基、-NH基、アミド基、カルボキシル基であり、さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、エチニル基、アセチル基、メトキシ基、エトキシ基、−OH基及び-NH基である。
【0022】
本願明細書において、アルキル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる1価飽和炭化水素基を意味し、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基等を包含する概念である。
また、本願明細書において、置換されても良いアルキル基(置換アルキル基ともいう)とは、アルキル基の水素原子が他の置換基で置換されるアルキル基を意味し、該置換基は1種以上を各々1個以上置換し得る。
【0023】
連結基として好ましいのは、ポリメチレン鎖(好ましくは炭素数5〜12、更に好ましくは炭素数5〜8)であり、前記ポリメチレン鎖の水素原子は、前述の置換基により置換されていてもよいが、好ましくはポリメチレン鎖である。
【0024】
一般式(1)であらわされるとくに好ましい化合物は、ジオール化合物であり、具体例としては、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール等が挙げられる。
中でも1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオールが好ましい。
【0025】
一般式(1)で表される化合物の含有量は、インク中0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
上記の範囲より低濃度では、ブロンズ光沢を抑制する効果が現れにくく、上記範囲を超えるとインクのにじみ防止性、などの他の必要特性が不十分となりやすい。
【0026】
本発明が上記効果を奏する理由に付いては、次のように推定される。
インクが印字される際には、1,6−ヘキサンジオール等の一般式(1)で表される化合物は染料分子の間に入り込み、染料分子間の会合を抑制することにより、ブロンズ光沢の発生を抑える。そして、インクが受像紙中に浸透した後、これらの化合物は染料分子間から離れて更に浸透して行く。すると染料分子は会合することが出来、優れた耐オゾン性・耐光性を示す。
上記作用において、染料が複素環にアゾ基が結合したアゾ染料の場合に顕著である。
【0027】
<一般式(11)で表される化合物>
本発明に用いられるインクには、上記一般式(1)の化合物に加えて、一般式(11)の化合物を併用することが好ましい。併用することによってブロンズ光沢抑止効果がさらに向上するほかに、高速度記録適性も向上する。さらに印画された画像のインクのにじみも低減される。
【0028】
一般式(11)
−A
一般式(11)において、Aは、一般式(1)におけるAと同義であり、Lは炭素原子数5以上,18以下の置換基を表す。Cは炭素原子を表す。Lは、一般式(1)における2価連結基Lの一方の結合基が水素原子で置換した形の1価基であり、この結合基と水素原子という相違部分以外、すなわちLの一方の結合基以外の残基部分とLの該結合基対応水素原子以外の残基部分とは、同義である。
一般式(11)で表される化合物は、好ましくは一般式(12)で表される化合物である。
一般式(12)
−CL−CL−A
一般式(12)において、A及びA’は、一般式(1)におけるAと同義であり、L及びLは、一般式〔11〕におけるLと同義である。また、L及びLは、互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(11)は、一般式(1)で表される化合物の親水性基A’が水素原子で置換された化合物でもある。一般式(11)において親水性基Aは、好ましくはOH基であり、一般式(11)で表される好ましい化合物はアルコール類及びジオール化合物である。
【0029】
一般式(12)で表される化合物は、親水性基A及びA’が隣り合った炭素原子に置換している点で一般式(1)の化合物と異なっている。
一般式(12)の化合物の好ましい例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール等が挙げられる。
中でも1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオールが好ましい。
また、上記した一般式(12)で表される化合物の例として上記した化合物以外の一般式(11)で表される化合物の好ましい例としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
一般式(11)で表される化合物の含有量は、インク中0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0030】
上記の範囲より低濃度では、ブロンズ光沢抑制に係わる併用効果や高速度記録特性についての併用効果が現れにくく、一方上記範囲を超えても更なる特性の向上は乏しい。
【0031】
一般式(11)で表される化合物が上記効果を奏する理由に付いては、この化合物が有する界面活性が、一般式(1)化合物に可溶化した染料の記録メディアへの浸透性を促進するために、メディア表面にインク溜まりが生じるのが防止できて、染料の凝集が防がれてブロンズ光沢がさらに生じにくくなる(併用効果)と同時に画像記録速度を上げることが可能となるものと推定される。、すなわち、一般式(1)化合物が界面活性に乏しいので、一般式(11)化合物、とりわけ一般式〔12〕化合物との併用でブロンス効果抑止性と高速度印画適性と、加えて高速画像記録における記録済みメディアの汚れ、インク移りが抑止され、画像濃度も維持されるという効果がもたらされると考えられる。
【0032】
ところで、特許第2894568号公報には、炭素数7から10のアルキレングリコールを含むインク組成物が示されている。又、特開平6−172692号公報には、インク中に炭素数6から22の両末端に水酸基を有するジオールを含有させる方法が示されている。しかしながら、それらの特許文献の目的は、普通紙に印字した場合の滲みと乾燥性の改良、及びインクの浸透性の向上であり、本発明の課題である、特定の構造を有する染料を用いたインクのブロンズ光沢の改良とは目的が大きく異なる。
また、本発明では、例えばジオールを用いる場合は、その水酸基を有する炭素原子がある程度離れていることが重要であることが示されている。
【0033】
(インクジェット用染料)
本発明の上記した高速画像記録時のブロンズ光沢抑止特性、汚れ耐性、インク移り耐性、高画像濃度維持性は、インク染料が複素環にアゾ基が結合したアゾ染料の場合に特に顕著に発揮される。したがって、次に、本発明のインク組成物に用いられる複素環にアゾ基が結合した染料(以下、「複素環アゾ染料」ともいう)について説明する。本発明のインク組成物は、複素環アゾ染料を少なくとも1種含むことが必要であるが、他の染料および/または顔料を併用してもよい。
複素環アゾ染料としては、複素環にアゾ基が結合した構造が少なくとも1個存在するものであれば、特に制限はないが、複素環の炭素原子にアゾ基が結合したアゾ染料が好ましい。また、アゾ基の両端に複素環基が結合した構造を有するアゾ染料であることが好ましく、次の一般式(A)で表される。
一般式(A):A-N=N-B
[式中、AおよびBはそれぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。]
【0034】
また、複素環アゾ染料としては、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であることが好ましい。
酸化電位の値(Eox)は当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New InstrumentalMethods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
【0035】
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-2〜1×10-6モル/リットル溶解して、各種ボルタンメトリー(滴下水銀電極を用いるポーラログラフィー、サイクリックボルタンメトリー、回転ディスク電極を用いた方法等)を用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
なお、本発明では、0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N-ジメチルホルムアミド中 (染料の濃度は0.001mol・dm)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用して測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とした。
【0036】
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、染料骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。
【0037】
また、複素環アゾ染料としては、以下の会合性評価方法でε1/ε2が1.05以上が好ましく、1.1〜2.0が更に好ましく、1.12〜1.5が特に好ましい。
染料の会合性評価方法
染料の会合性は次のようにして評価出来る。0.01mmol/Lの染料溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した時の、溶液吸収スペクトルの分子吸光係数(ε1)と、20mmol/Lの染料溶液を光路長5μmのセルを使用して測定したときの、溶液吸収スペクトルの分子吸光係数(ε2)との比、ε1/ε2が、染料の会合性の指標となる。この数値が大きい程、染料は会合をし易い。この値が1.05以上である染料は、染料の会合により、耐オゾン性、耐光性に優れた性能を示す。
上記、染料溶液に用いる溶媒は、染料が水溶性であれば、脱イオン水等の比抵抗値が18MΩ・cm以上の超純水を用い、染料が油溶性であれば、均一溶液とする場合は、染料が可溶な有機溶媒を用いるか、又は水溶性染料の場合と同様の超純水中への分散物、又は乳化物として測定を行う。
【0038】
本発明に用いられる複素環アゾ染料としては、以下の一般式(Y)で表される化合物及び一般式(Bk)で表される化合物が好ましい。
【0039】
一般式(Y)で表される化合物は、イエロー染料であることが好ましい。また、この染料は、上記特性(酸化電位、会合性)の少なくとも1つを有していることが好ましく、全ての特性を有していることが更に好ましい。この染料の酸化電位は、1.1V(vs SCE)よりも貴であることがさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴であることが特に好ましい。
一般式(Y) (A−N=N−B)n−L
式中、AおよびBはそれぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。Lは水素原子、単なる結合または2価の連結基を表す。nは1または2を表す。但し、nが1の場合にはLは水素原子を表し、A、B共に1価の複素環基である。nが2の場合にはLは単なる結合または2価の連結基を表し、A、Bの一方が1価の複素環基であり、他方が2価の複素環基である。nが2の場合にはAは同じでも異なっていてもよく、またBも同じでも異なっていてもよい。
【0040】
式(Y)中、AおよびBはそれぞれ独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環または6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であっても良く、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても良い。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、N,O,S原子が好ましい。
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、トリアゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ピリジン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸およびこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。中でも5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、2,6−ジアミノピリジン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0041】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。中でもピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがさらに好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0042】
AおよびBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基もしくは下記のイオン性親水性基が例として挙げられる。
Lが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、複素環残基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせた二価の基であり、さらにそれらはA及びBに置換する置換基で挙げた置換基もしくは下記のイオン性親水性基を有していても良い。
【0043】
一般式(Y)の染料を水溶性染料として使用する場合には、分子内にイオン性親水性基を少なくとも1つ有することが好ましい。イオン性親水性基には、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、およびホスホノ基が好ましく、中でもカルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはカルボキシル基である事が最も好ましい。また、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、もしくはスルホンアミド基は、インク中における染料の保存安定性を高める作用がある為、好ましい。
カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、ホスホノ基、スルホンアミド基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
【0044】
一般式(Y)で表される染料の中でも、A−N=N−Bの部分が一般式(Y−A)、(Y−B)、(Y−C)に相当する染料が好ましい。
【0045】
一般式(Y−A)
【化1】


【0046】
一般式(Y−A)中、R1およびR3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基またはイオン性親水性基を表し、R2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基または複素環基を表し、R4は複素環基を表す。
【0047】
一般式(Y−B)
【化2】


【0048】
一般式(Y−B)中、R5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基またはイオン性親水性基を表し、Zaは−N=、−NH−、または−C(R11)=を表し、ZbおよびZcは各々独立して、−N=または−C(R11)=を表し、R11は水素原子または非金属置換基を表し、R6は複素環基を表す。
【0049】
一般式(Y−C)
【化3】


【0050】
一般式(Y−C)において、R7およびR9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはイオン性親水性基を表し、R8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、またはイオン性親水性基を表し、R10は複素環基を表す。
【0051】
前記一般式(Y−A)、(Y−B)および(Y−C)中、R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基および無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基としては、炭素原子数が1乃至20のアルキル基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、および4−スルホブチルが含まれる。
【0052】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基および無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5乃至12のシクロアルキル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記シクロアルキル基の例には、シクロヘキシルが含まれる。R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基および無置換のアラルキル基が含まれる。前記アラルキル基としては、炭素原子数が7乃至20のアラルキル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アラルキル基の例には、ベンジル、および2−フェネチルが含まれる。
【0053】
R1、R2、R3、R5、R7、およびR9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基および無置換のアリール基が含まれる。前記アリール基としては、炭素原子数が6乃至20のアリール基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基およびイオン性親水性基が含まれる。前記アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
【0054】
R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基および無置換のアルキルチオ基が含まれる。前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1乃至20のアルキルチオ基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルキルチオ基の例には、メチルチオおよびエチルチオが含まれる。R1、R2、R3、R5、R7、R8およびR9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基および無置換のアリールチオ基が含まれる。前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6乃至20のアリールチオ基が好ましい。前記置換基の例には、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。前記アリールチオ基の例には、フェニルチオ基およびp−トリルチオが含まれる。
【0055】
R2で表される複素環基は、5員または6員の複素環が好ましくそれらはさらに縮環していても良い。複素環を構成するヘテロ原子としては、N,S,Oが好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても良い。前記複素環はさらに置換されていてもよく、置換基の例としては、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。好ましい複素環は、6員の含窒素芳香族複素環であり、特にトリアジン、ピリミジン、フタラジンを好ましい例としてあげることが出来る。
【0056】
R8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。R1,R3,R5,R8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1乃至20のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、ヒドロキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシおよび3−カルボキシプロポキシが含まれる。
【0057】
R8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6乃至20のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ、p−メトキシフェノキシおよびo−メトキシフェノキシが含まれる。R8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアシルアミノ基が好ましい。前記置換基の例には、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。前記アシルアミノ基の例には、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミドおよび3,5−ジスルホベンズアミドが含まれる。
【0058】
R8が表すスルホニルアミノ基は、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、およびヘテロ環スルホニルアミノ基が含まれ、各々のアルキル基部分、アリール基部分、複素環部分は置換基を有していても良い。前記置換基の例には、前述のアリール基の置換基と同じものが挙げられる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1乃至20のスルホニルアミノ基が好ましい。前記スルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ、およびエチルスルホニルアミノが含まれる。R8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0059】
R8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1乃至20のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイドおよび3−フェニルウレイドが含まれる。
R7,R8、R9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2乃至20のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。
【0060】
R2,R7、R8、R9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
R8が表す置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0061】
R8が表すスルホニル基は、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基もしくはヘテロ環スルホニル基が含まれ、それらは更に置換基を有していても良い。置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。スルホニル基の例には、メチルスルホニルおよびフェニルスルホニルが含まれる。
R2,R8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1乃至20のアシル基が好ましい。前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。前記アシル基の例には、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。
【0062】
R8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基および無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例にはアルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。アミノ基の例には、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノおよび2−クロロアニリノが含まれる。
【0063】
R4、R6,R10で表される複素環基は、一般式(Y)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も先述のものと同じである。置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、アリール基、アルキルまたはアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、およびアシルアミノ基等が含まれ、前記アルキル基およびアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0064】
前記一般式(Y−B)中、Zaは−N=、−NH−、または−C(R11)=を表し、ZbおよびZcは各々独立して、−N=または−C(R11)=を表し、R11は水素原子または非金属置換基を表す。R11が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、R1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−B)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0065】
【化4】


【0066】
上記で説明した各置換基がさらに置換基を有していても良い場合の置換基の例としては、先述の一般式(Y)の複素環A,Bに置換しても良い置換基を挙げることが出来る。
【0067】
上記一般式(Y−A)(Y−B)(Y−C)のうち、好ましいものは一般式(Y−A)であるが、中でも下記一般式(Y−A1)で表されるものが特に好ましい。
【0068】
一般式(Y−A1)
【化5】


【0069】
一般式(Y−A1)中、R21及びR23は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリール基を表す。R22は、水素原子、アリール基または複素環基を表す。X及びYは、一方は窒素原子を表し、他方は−CR24を表す。R24は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、アルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、アリール基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アリールスルフィニル基、アリールオキシ基またはアシルアミノ基を表す。中でも水素原子、アルキル基、アルキル及びアリールチオ基およびアリール基が好ましく、特に水素原子、アルキルチオ基およびアリール基が特に好ましい。それぞれの置換基は、更に置換されていてもよい。
【0070】
本発明で使用される好ましい染料としては、特願2004−30288号、特願2003−286844号、特開2003−277662号、特開2003−277661号,特開2003−128953号、特開2003−41160号に記載されたものが挙げられる。特に好ましい染料の具体例を遊離の形で以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではなく、またイオン性親水性基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
【0071】
【化6】


【0072】
【化7】


【0073】
【化8】


【0074】
【化9】


【0075】
【化10】


【0076】
【化11】


【0077】
【化12】


【0078】
【化13】


【0079】
【化14】


【0080】
【化15】


【0081】
【化16】


【0082】
【化17】


【0083】
以下に、一般式(Bk)で表される化合物について説明する。一般式(Bk)で表される化合物は、ブラック染料であることが好ましい。また、この染料は、上記特性(酸化電位、会合性)の少なくとも1つを有していることが好ましく、全ての特性を有していることが更に好ましい。この染料の酸化電位は、1.1V(vs SCE)よりも貴である染料がさらに好ましく、1.15V(vs SCE)よりも貴である染料が特に好ましい。
一般式(Bk):A1−N=N−A2−N=N−A3
式中、A1、A2およびA3は、各々独立に、置換されていてもよい芳香族基または置換されていてもよい複素環基を表す(ただし、A1、A2およびA3の少なくとも1つは複素環基である。)。A1およびA3は一価の基であり、A2は二価の基である。
一般式(Bk)で表されるアゾ染料は、特に下記一般式(Bk−a)で表される染料であることが好ましい。
一般式(Bk−a);
【0084】
【化18】


【0085】
上記一般式(Bk−a)中、T1およびT2は、各々=CR12−および−CR13=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR12−または−CR13=を表す。
【0086】
1、R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0087】
10、R11は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。
また、R12とR10、あるいはR10とR11が結合して5乃至6員環を形成してもよい。
1及びA2は一般式(Bk)と同義である。
【0088】
一般式(Bk−a)で表されるアゾ染料は、さらに下記一般式(Bk−b−1)または下記一般式(Bk−b−2)で表される染料であることが好ましい。
【0089】
【化19】


【0090】
上記一般式(Bk−b−1)および一般式(Bk−b−2)中、R14およびR15は、一般式(Bk−a)のR12と同義である。A1、R10、R11、T1、T2、およびV1は、一般式(Bk−a)と同義である。
【0091】
ここで、一般式(Bk)、一般式(Bk−a)、一般式(Bk−b−1)および一般式(Bk−b−2)(以下、一般式(Bk−b−1)と一般式(Bk−b−2)とをまとめて表すときには一般式(Bk−b)と記載する。)の説明において使用される用語(置換基)について説明する。これらの用語は後述する一般式(Bk−c)の説明にも共通するものである。
【0092】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0093】
脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0094】
1価の芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。1価の芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜16がさらに好ましい。1価の芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。2価の芳香族基は、これらの1価の芳香族基を2価にしたものであり、その例としてフェニレン、p−トリレン、p−メトキシフェニレン、o−クロロフェニレンおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニレン、ナフチレンなどが含まれる。
【0095】
複素環基には、置換基を有する複素環基および無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員または6員環の複素環基が好ましく、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSをあげることができる。上記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、イオン性親水性基などが含まれる。1価の複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。2価の複素環基は、前記の1価の複素環中の水素原子を取り除いて結合手になった基である。
【0096】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0097】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0098】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0099】
複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基および無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。前記複素環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましい。上記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。上記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0100】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
【0101】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルコキシ基およびイオン性親水性基が含まれる。上記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0102】
複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基および無置換の複素環オキシ基が含まれる。上記複素環オキシ基としては、炭素原子数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。上記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、およびイオン性親水性基が含まれる。上記複素環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0103】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0104】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0105】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0106】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0107】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0108】
アミノ基には、アルキル基、アリール基または複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよい。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールアミノ基が好ましい。置換基の例としては、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロフェニルアミノ基が含まれる。
複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基および無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。置換基の例としては、アルキル基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基が含まれる。
【0109】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノおよび3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
【0110】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましい。置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0111】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0112】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0113】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0114】
アルキル及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。これらスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニル−メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、および3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ基が含まれる。
【0115】
複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基および無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0116】
複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基および無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
【0117】
複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基および無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
【0118】
アルキル、アリール及び複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素原子数が1から20のものが好ましい。置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0119】
アルキル及びアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニル基、無置換のアルキル及びアリールスルホニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニル基の例としては、それぞれメチルスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
【0120】
アルキル及びアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルフィニル基、無置換のアルキル及びアリールスルフィニル基が含まれる。アルキル及びアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメチルスルフィニル基及びフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0121】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基の例には、アルキル基が含まれる。スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0122】
次に、一般式(Bk)、(Bk−a)および(Bk−b)について更に説明する。
以下の説明において、基、置換基は、既に説明したことが適用される。
一般式(Bk)において、A1、A2、A3は、それぞれ独立して、置換されていてもよい芳香族基(A1、A3は1価の芳香族基、例えばアリール基;A2は2価の芳香族基、例えばアリーレン基)または置換されていてもよい複素環基(A1、A3は1価の複素環基;A2は2価の複素環基)を表す。芳香族環の例としてはベンゼン環やナフタレン環を挙げることができ、複素環のヘテロ原子としてはN、O、およびSを挙げることができる。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。
置換基はアリールアゾ基または複素環アゾ基であってもよい。したがって、一般式(Bk)で表される染料には、トリスアゾ染料やテトラキスアゾ染料も含まれる。
また、A1、A2、A3の少なくとも二つは、好ましくは複素環基である。
【0123】
3の好ましい複素環基として、芳香族含窒素6員複素環基が挙げられる。特に好ましいものは、A3が下記一般式Pで表される芳香族含窒素6員複素環基の場合であり、この時、一般式(Bk)は一般式(Bk−a)に相当する。
一般式(P);
【0124】
【化20】


【0125】
一般式(P)において、T1およびT2は、各々=CR12−および−CR13=を表すか、あるいはいずれか一方が窒素原子、他方が=CR12−または−CR13=を表すが、各々=CR12−、−CR13=を表すものがより好ましい。
10、R11は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、スルファモイル基を表し、各基は更に置換基を有していてもよい。R10、R11で表される好ましい置換基は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基を挙げることができる。さらに好ましくは水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基である。最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0126】
1、R12、R13は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、複素環チオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
【0127】
1で表される置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールチオ基、または複素環チオ基が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含む)またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アシルアミノ基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0128】
12、R13で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。R12とR10、あるいはR10とR11が結合して5乃至6員環を形成してもよい。A1、R12、R13、R10、R11、V1で表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記V1、R10、R11で挙げた置換基を挙げることができる。また、A1、R8、R9、R10、R11、V1上のいずれかの位置に置換基としてさらにイオン性親水性基を有することが好ましい。
【0129】
置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、およびスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が挙げられ、なかでもリチウムイオンが好ましい。
【0130】
2で表される好ましい複素環としては、チオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記一般式(a)から(e)で表されるチオフェン環、チアゾール環、イミダゾール環、ベンゾチアゾール環、チエノチアゾール環が好ましい。なお、A2が(a)で表されるチオフェン環であり、A3が前記一般式(P)で表される構造であるときは、一般式(Bk)は一般式(Bk−b−1)に相当し、A2が(b)で表されるチアゾール環であり、A3が前記一般式(P)で表される構造であるときは、一般式(Bk)は一般式(Bk−b−2)に相当することになる。
【0131】
【化21】


【0132】
上記一般式(a)から(e)において、R16からR24は、一般式(P)におけるV1、R12、R13と同義の置換基を表す。
【0133】
一般式(Bk−b)で表される染料のうち、特に好ましい構造は、下記一般式(Bk−c−1)または一般式(Bk−c−2)で表されるものである(以下、一般式(Bk−c−1)と一般式(Bk−c−2)をまとめて表す時には、一般式(Bk−c)と記載する。)。
【0134】
【化22】


【0135】
式中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1は、σp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。
【0136】
具体的には、ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
【0137】
ハメット置換基定数σp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
【0138】
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。
【0139】
ハメット置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子などが挙げられる。
【0140】
1としては、なかでも、炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基及び炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
なお、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値については、特開2003−306623号の〔0059〕から〔0060〕に記載されるものと同義である。
【0141】
一般式(Bk−c)中のR10、R11、R12、R13、R14は一般式(Bk−b)と同義である。R25、R26は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
【0142】
一般式(Bk−c)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(Bk−a)で説明した置換基、V1、R10、R11で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
【0143】
さらに一般式(Bk)で表されるアゾ染料は、水溶液もしくはインク中での保存安定性を確保するために、アゾ基に直結していない芳香環基に共役π電子を有するアゾ染料が好ましい。アゾ基に直結した芳香環基とはアゾ基に結合している芳香環基全体のことを指すのに対し、アゾ基に直結していない芳香環基はアゾ基には直接結合せずアゾ染料を構成する発色団上の置換基として存在する芳香環基を意味する。例えばアゾ基にナフタレン環基が直結していた場合、ナフタレン環基全体をアゾ基に直結している芳香環基と見なす。アゾ基にビフェニル基が結合している場合は、アゾ基に結合しているフェニル基は直結した芳香環基であり、もう一方のフェニル基は直結していない芳香環基とする。芳香環基とは、芳香族基もしくは芳香族複素環基を意味する。芳香族複素環基とは、ヘテロ原子を有し、芳香族性を示す置換基を意味する。本発明では、アゾ基に直結していない芳香環基の共役π電子が12個を超えることが好ましい。共役π電子の算出は、例えば、アゾ基に直結していない芳香環として、ベンゼン環1個、ナフタレン環1個を有するアゾ染料では、6個+10個=16個と計算される。また、芳香環の共役π電子とは、芳香環(複素環を含み、6員環に限らない)に含まれる共役のπ電子である。このような芳香環基を置換基として有することにより、上記染料は好ましい会合性を示すようになり保存安定性を向上させることができる。なお、芳香環基の置換位置としては、一般式(Bk−c)において、R10、R11、R12、R13、R14、R25、R26が好ましく、特にR10、R11、R14、R25、R26が好ましい。
【0144】
1は芳香族基、複素環基のいずれであってもよいが、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイソチアゾール環であり、更にはベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、最も好ましくベンゼン環、ナフタレン環である。
【0145】
本発明に用いる一般式(Bk−a)で表されるアゾ染料として特に好ましい置換基の組み合わせは、R10およびR11として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは、水素原子、アリール基、複素環基である。ただし、R10およびR11が共に水素原子であることはない。
1として、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アシルアミノ基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アシルアミノ基である。
1およびT2が、それぞれ=CR12−、−CR13=であり、R12、R13は、各々好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、カルボキシル基、シアノ基、カルバモイル基である。
【0146】
尚、前記一般式(Bk)で表されるアゾ染料の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0147】
また、一般式(Bk)で表されるアゾ染料が好ましい色相、堅牢性、保存安定性を有するためには、以下の物性を満足することが好ましく、かつブロンズ光沢の抑制に有効である。
物性1:DMF中における吸収スペクトルの最大吸収波長をλmax(DMF)とした時、680nm≧λmax(DMF)≧570nm。
物性2:水中における吸収スペクトルの最大吸収波長をλmax(水)としたときに、|λmax(DMF)−λmax(水)|≧30nm。
物性3:DMF中でのモル吸光係数をε(DMF)、水中でのモル吸光係数をε(水)としたとき、ε(水)/ε(DMF)≦0.9。
物性4:水中で測定される吸収スペクトルにおいて、会合体の最大吸収波長での吸光度をAbs(会合)、DMF中で測定されるモノマー吸収スペクトルの最大吸収波長での吸光度をAbs(モノマー)とした時、Abs(モノマー)/Abs(会合体)≦0.75。
【0148】
前記一般式(Bk)で表されるアゾ染料の具体例を以下に示すが、本発明は、下記の例に限定されるものではなく、また下記の具体例中でカルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。これらの中でもアンモニウムイオン、有機カチオン、リチウムイオンの場合が好ましく、リチウムイオンが最も好ましい。
【0149】
【化23】


【0150】
【化24】


【0151】
【化25】


【0152】
【化26】


【0153】
【化27】


【0154】
【化28】


【0155】
【化29】


【0156】
【化30】


【0157】
【化31】


【0158】
【化32】


【0159】
【化33】


【0160】
【化34】


【0161】
前記一般式(Bk)、(Bk−a)、(Bk−b)、(Bk−c)で表されるアゾ染料は、ジアゾ成分とカプラーとのカップリング反応によって合成することができるが、それらについては、特開2003−306623号や特願2003−353498号に記載がある。
【0162】
また、インクジェット記録用黒インクには、前記染料とともに他の着色剤を併用して、より好ましい色相に調整してもよい。併用する染料としては、任意の染料が用いられ得る。例えば、イエロー染料では、カップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)として置換ベンゼン類、置換ナフタレン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。特に併用して好ましいものは、λmaxが350nmから500nmにあり、かつ1分子中にアゾ基を2乃至6個有するアゾ染料である。
マゼンタ染料では、カプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピリジンやピラジンのようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;アントラピリドン染料をあげることができる。特に好ましいものは、発色団にヘテロ環を有するアゾ染料、もしくはアントラピリドン染料である。
シアン染料では、カプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。特に好ましいものは、フタロシアニン染料である。
【0163】
特に、堅牢性のバランスから酸化電位が1.0Vより貴である染料や、会合性の染料が好ましい。
【0164】
複素環アゾ染料のインクの含有量は、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
本発明では、一般式(1)の化合物と併用すると複素環アゾ染料の濃度が比較的高濃度であっても、ブロンズ光沢を抑制できるという効果がある。
【0165】
(その他のインク成分)
本発明でインクに含有させる界面活性剤としては、インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少ないことが好ましく、この観点からも上記したベタイン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が好ましい。なかでもノニオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンアルキルエステル化合物が好ましい。
本発明に用いるインクにノニオン系界面活性剤を用いる場合、その含有量は、0.05〜50g/Lであり、好ましくは0.05〜30g/L、さらに好ましくは0.1〜20g/Lである。インク中のノニオン系界面活性剤のみが用いられてその濃度が0.05g/Lより少ないと、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下する傾向がある。またインク中の界面活性剤が50g/Lより多いと、吐出時、ハード表面へのインクの付着等により印字不良となる場合がある。
【0166】
また、本発明に用いるインクにおいては、上記したベタイン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤以外にも別種の界面活性剤を併用することが可能である。
別種の界面活性剤を併用することにより、表面張力等のインクの液物性を調整すること、インクの吐出安定性を向上させること、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲み防止性が向上することなどで、本発明の上記界面活性剤の効果が補強されることもある。
これら上記界面活性剤と併用できる界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、脂肪アミン塩、4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド等のノニオン性界面活性剤、アミノ酸型、上記以外のベタイン型等の両性界面活性剤、フッ素系、シリコン系化合物などが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を用いることができる。
【0167】
具体的には、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルオキシスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライド、トリメチルセチルアンモニウムクロライド、テロラブチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
これらの併用してもよい界面活性剤の含有量はインクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量であり、かつ上記したベタイン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤の濃度を超えない範囲で用いられる。好ましくは、実質的に上記したベタイン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤のみが界面活性剤として用いられる。
【0168】
本発明において、界面活性剤は、後述する色材の乳化分散を必用とする場合、及び表面張力調整剤として用いる場合にも使用するので、界面活性剤の更なる説明は、それぞれの項で加えることとする。
本発明のインクジェット記録用インクは、水性媒体中に前記のアゾ染料と界面活性剤を溶解および/または分散させることによって作製することができる。本発明における「水性媒体」とは、水又は水と少量の水混和性有機溶剤との混合物に、必要に応じて湿潤剤、安定剤、防腐剤等の添加剤を添加したものを意味する。
【0169】
本発明において用いることができる水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングルコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)およびその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が挙げられる。尚、前記水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
【0170】
前記アゾ染料が油溶性染料の場合は、該油溶性染料を高沸点有機溶媒中に溶解させ、水性媒体中に乳化分散させることによって調製することができる。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒の沸点は150℃以上であるが、好ましくは170℃以上である。
【0171】
例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート)、リン酸又はホスホンのエステル類(例えば、ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジオクチルブチルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスフェート)、安息香酸エステル酸(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド)、アルコール類またはフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノールなど)、脂肪族エステル類(例えば、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン酸2−ヘキシルデシル、クエン酸トリブチル、ジエチルアゼレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリンなど)、塩素化パラフィン類(塩素含有量10%〜80%のパラフィン類)、トリメシン酸エステル類(例えば、トリメシン酸トリブチル)、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン、フェノール類(例えば、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、4−ドデシルオキシフェノール、4−ドデシルオキシカルボニルフェノール、4−(4−ドデシルオキシフェニルスルホニル)フェノール)、カルボン酸類(例えば、2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ酪酸、2−エトキシオクタンデカン酸)、アルキルリン酸類(例えば、ジ−2(エチルヘキシル)リン酸、ジフェニルリン酸)などが挙げられる。高沸点有機溶媒は油溶性染料に対して質量比で0.01〜3倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用できる。
【0172】
これらの高沸点有機溶媒は単独で使用しても、数種の混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕で使用してもよい。
【0173】
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例及び/またはこれら高沸点有機溶媒の合成方法は例えば米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等に記載されている。
【0174】
上記高沸点有機溶媒は、油溶性染料に対し、質量比で0.01〜3.0倍量、好ましくは0.01〜1.0倍量で使用する。
【0175】
本発明では油溶性染料や高沸点有機溶媒は、水性媒体中に乳化分散して用いられる。乳化分散の際、乳化性の観点から場合によっては低沸点有機溶媒を用いることができる。低沸点有機溶媒としては、常圧で沸点約30℃以上150℃以下の有機溶媒である。例えばエステル類(例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチルプロピオネート、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート)、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、セカンダリーブチルアルコール)、ケトン類(例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、アミド類(例えばジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン)、エーテル類(例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン)等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0176】
乳化分散は、高沸点有機溶媒と場合によっては低沸点有機溶媒の混合溶媒に染料を溶かした油相を、水を主体とした水相中に分散し、油相の微小油滴を作るために行われる。この際、水相、油相のいずれか又は両方に、後述する界面活性剤、湿潤剤、染料安定化剤、乳化安定剤、防腐剤、防黴剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
乳化法としては水相中に油相を添加する方法が一般的であるが、油相中に水相を滴下して行く、いわゆる転相乳化法も好ましく用いることができる。なお、本発明に用いるアゾ染料が水溶性で、添加剤が油溶性の場合にも前記乳化法を適用し得る。
【0177】
乳化分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0178】
また、乳化直後の安定化を図る目的で、上記界面活性剤と併用して水溶性ポリマーを添加することもできる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドやこれらの共重合体が好ましく用いられる。また多糖類、カゼイン、ゼラチン等の天然水溶性ポリマーを用いるのも好ましい。さらに染料分散物の安定化のためには実質的に水性媒体中に溶解しないアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、ビニルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類、アクリロニトリル類の重合により得られるポリビニルやポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリカーボネート等も併用することができる。これらのポリマーは−SO3-、−COO-を含有していること好ましい。これらの実質的に水性媒体中に溶解しないポリマーを併用する場合、高沸点有機溶媒の20質量%以下用いられることが好ましく、10質量%以下で用いられることがより好ましい。
【0179】
乳化分散により油溶性染料や高沸点有機溶媒を分散させて水性インクとする場合、特に重要なのはその粒子サイズのコントロールである。インクジェットにより画像を形成した際の、色純度や濃度を高めるには平均粒子サイズを小さくすることが必須である。体積平均粒径で好ましくは1μm以下、より好ましくは5〜100nmである。
【0180】
前記分散粒子の体積平均粒径および粒度分布の測定方法には静的光散乱法、動的光散乱法、遠心沈降法のほか、実験化学講座第4版の417〜418ページに記載されている方法を用いるなど、公知の方法で容易に測定することができる。例えば、インク中の粒子濃度が0.1〜1質量%になるように蒸留水で希釈して、市販の体積平均粒径測定機(例えば、マイクロトラックUPA(日機装(株)製))で容易に測定できる。更に、レーザードップラー効果を利用した動的光散乱法は、小サイズまで粒径測定が可能であり特に好ましい。
体積平均粒径とは粒子体積で重み付けした平均粒径であり、粒子の集合において、個々の粒子の直径にその粒子の体積を乗じたものの総和を粒子の総体積で割ったものである。体積平均粒径については「高分子ラテックスの化学(室井 宗一著 高分子刊行会)」の119ページに記載がある。
【0181】
本発明のインク組成物は、上記成分に加えて更に滲み防止剤、消泡剤、一般式(1)の化合物以外の他のブロンズ改良剤、キレート剤、乾燥防止剤(湿潤剤)、浸透促進剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘度調整剤、分散剤、防錆剤、及びpH調整剤からなる群から選択される添加剤の1種以上を含有することが好ましい。本発明のインク組成物は、これらを適宜選択して適量使用することができる。既述の成分及びこれら添加剤は一種の化合物で一つ又は二つ以上の機能を発揮し得るものも含む。従って、これらの添加剤の配合割合において、機能が重複する場合の添加剤成分の取り扱いは、その化合物を各機能性成分に独立に算入させるものとする。
【0182】
本発明に使用される乾燥防止剤としては水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
本発明に使用される浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に10〜30質量%含有すれば充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0183】
本発明で画像の保存性を向上させるために使用される紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンゾオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0184】
本発明では、画像の保存性を向上させるために使用される酸化防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0185】
本発明に用いるインクは、さらにインク中に防腐剤を含有するという特徴を有する。本発明において、防腐剤とは微生物、特に細菌・真菌(カビ)の発生、発育を防止する機能を有するものを言う(防黴剤とも言う)。
本発明に有用な防腐剤として、以下のものが効果的に使用することができる。
【0186】
無機系の防腐剤として重金属イオンを含有する(銀イオン含有物や銅錯体化合物など)やそれらの塩類をまず挙げることができる。有機系の防腐剤としては、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロリド、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、セチルピリジニウムクロリド、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等)、フェノール誘導体(フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、キシレノール、ビスフェノール等)、フェノキシエーテル誘導体(フェノキシエタノール等)、複素環化合物(ベンゾトリアゾール、プロキセル(PROXEL)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等)、酸アミド類、カルバミン酸、カルバメート類、アミジン・グアニジン類、ピリジン類(ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド等)、ジアジン類、トリアジン類、ピロール・イミダゾール類、オキサゾール・オキサジン類、四硝酸ペンタエリスリトール、ベンゾトリアゾール類、チアゾール・チアジアジン類、チオ尿素類、チオセミカルバジド類、ジチオカルバメート類、スルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、スルファミド類、抗生物質類(ペニシリン、テトラサイクリン等)、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびその塩など種々のものが使用可能である。防腐剤としては防菌防微ハンドブック(技報堂:1986)、防菌防黴剤事典(日本防菌防黴学会事典編集委員会編)等に記載のものも使用できる。
【0187】
これらの化合物は油溶性の構造、水溶性の構造のものなど種々のものが使用可能であるが、好ましくは水溶性の化合物である。
中でも本発明では、これらの防腐剤を2種以上併用して使用すると、インクの長期間の経時における吐出安定性が格段に向上し、本発明の効果がさらに良好に発揮される。2種以上組み合わせる場合、その防腐剤種は異なった化学構造の骨格を有するものであることが好ましい。また、2種以上の防腐剤を含有する場合には、少なくとも1種の防腐剤が、複素環化合物であることが好ましい。例えば、複素環化合物と抗生物質の組み合わせ、複素環化合物とフェノール誘導体との組み合わせ等が好ましく挙げられる。
防腐剤の添加量は広い範囲で使用可能であるが、0.001〜10質量%、好ましくは、0.02〜5.00質量%、より好ましくは、0.1〜5質量%である。
【0188】
本発明に使用されるpH調整剤はpH調節、分散安定性付与などの点で好適に使用する事ができ、25℃でのインクのpHが4〜11に調整されていることが好ましい。pHが4未満である場合は染料の溶解性が低下してノズルが詰まりやすく、11を超えると耐水性が劣化する傾向がある。pH調製剤としては、塩基性のものとして有機塩基、無機アルカリ等が、酸性のものとして有機酸、無機酸等が挙げられる。
【0189】
前記有機塩基としてはトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミンなどが挙げられる。前記無機アルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、アンモニウムなどが挙げられる。また、前記有機酸としては酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸などが挙げられる。前記無機酸としては、塩酸,硫酸、リン酸などが挙げられる。
【0190】
粘度の測定方法は、JISのZ8803に詳細に記載されているが、市販品の粘度計にて簡便に測定することができる。例えば、回転式では東京計器のB型粘度計、E型粘度計がある。本発明では山一電機の振動式VM−100A−L型により25℃にて測定した。粘度の単位はパスカル秒(Pa・s)であるが、インクジェット用インクには通常ミリパスカル秒(mPa・s)を用いる。
【0191】
本発明で用いるインクジェット記録用インクは、25℃での静的表面張力が20mN/m以上、とくに25〜50mN/mであることが好ましい。さらに、25℃での静的表面張力が30〜40mN/mであることが好ましい。インクの静的表面張力が50mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生(例えば、シアンベタ上に黒文字を印字した場合などに、黒文字からヒモ状に滲みが発生することがある)などのように印字品質が著しく低下する。また、インクの静的表面張力が20mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
【0192】
静的表面張力測定法としては、毛細管上昇法、滴下法、吊環法等が知られているが、本発明においては、垂直板法を静的表面張力測定法として用いる。垂直板法の原理を以下に示す。
ガラスまたは白金の薄い板を液体中に一部分浸して垂直に吊るすと、液面と板との接する部分に表面張力が下向きに働く。この表面張力は板を吊るしている上向きの力と釣り合わせることで測定することができる。
本発明で用いるインクの動的表面張力は、25℃において20mN/m以上、とくに25〜50mN/mであることが好ましく、30〜40mN/mであることがさらに好ましい。動的表面張力が50mN/mを超えると、吐出安定性の低下、混色時の滲みの発生、ひげ発生などのように印字品質が著しく低下する。また、20mN/mに満たないと、吐出時にハード表面へのインクの付着等が生じ、印字不良となる場合がある。
また、200msecでの動的表面張力と、1secでの動的表面張力の差が10mN/m以内であることが好ましい。10mN/mを超えると、高周波で吐出する場合にサテライトの発生等の印字品質低下を招くおそれがある。
【0193】
動的表面張力測定方法としては、例えば「新実験化学講座、第18巻、界面とコロイド」[(株)丸善、p.69〜90(1977)]に記載されるように、振動ジェット法、メニスカス落下法、最大泡圧法等が知られており、さらに、特開平3−2064号公報に記載されているような液膜破壊法が知られているが、本発明においては、動的表面張力測定法として、バブルプレッシャー差圧法を用いている。以下、その測定原理と方法を説明する。
界面活性剤を添加した溶液を撹拌して均一とし、溶液中で気泡を生成すると、新たな気−液界面が生成され、溶液中の界面活性剤分子が水の表面に一定速度で集まってくる。バブルレート(気泡の生成速度)を変化させたとき、生成速度が遅くなれば、より多くの界面活性剤が泡の表面に集まってくるため、泡がはじける直前の最大泡圧が小さくなり、バブルレートに対する最大泡圧(表面張力)が検出できる。本発明における動的表面張力測定では、大小2本のプローブを用いて溶液中で気泡を生成させ、2本のプローブの最大泡圧状態での差圧を測定し、動的表面張力を算出する。
【0194】
静的表面張力および動的表面張力の調整は、表面張力調整剤を用いることにより行うことができ、上記範囲とすることが可能である。
表面張力調整剤としては、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。例えばアニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石油スルホン酸塩など)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができ、ノニオン系界面活性剤としては、アセチレン系ジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンデシルエーテル、アセチレン系ジオールのエチレンオキシド付加物など)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等を挙げることができる。
【0195】
また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
インクからの析出や分離が起こりにくく、発泡性が少なくいことから、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているアニオン性界面活性剤や疎水性部位の中央付近に親水性基を有するアニオン性またはノニオン性界面活性剤、疎水性部位が2本鎖あるいは疎水性部位が分岐しているノニオン性界面活性剤が好ましい。
この目的のための界面活性剤の含有量は、インクに対して0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量である。
【0196】
インク組成物の調製方法については、先述の特許文献以外にも特開平5−295312号、同7−97541号、同7−82515号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインク組成物の調製にも利用できる。
【0197】
本発明に係わるインクには、他の染料あるいは顔料を併用してもよい。他の染料を併用する場合は、他の染料の合計が、全染料100質量部中に、0.1質量部以上30質量部以下含有するのが好ましく、0.2質量部以上20質量部以下含有するのがより好ましく、0.5〜15質量部含有するのがさらに好ましい。
【0198】
本発明に用いるインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、本発明のインク組成物のほかにシアン色調インク、マゼンタ色調インク等を用いることができ、各色についてそれぞれ濃淡2色のインクを用いることもできる。更には、ブルーやオレンジといった中間色調のインクを用いることもできる。
【0199】
本発明におけるインクセットに用いることのできる染料としては、各々任意のものを使用する事が出来るが、例えば特開2003−306623号公報の段落番号0090〜0092に記載の各染料が利用できる。
【0200】
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。受像材料としては支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料が好ましい。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
【0201】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特開2002−166638号、特開2002−121440号、特開2002−154201号、特開2002−144696号、特開2002−080759号、特願2000−299465号、特願2000−297365号に記載された方法を好ましく用いることができる。
【0202】
インクは、前述のようにカラー画像形成のためにそれを含むインクセットとしてもよい。本発明においては、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0203】
[画像記録媒体] 本発明のインクによって描画される画像記録媒体すなわち記録紙及び記録フィルムについて説明する。本発明では、公知の被記録材、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
【0204】
以下に本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来の公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。支持体としては、これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
【0205】
支持体にそのまま受像層及びバックコート層を設けて本発明のインクの受像材料としてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、受像層及びバックコート層を設けて受像材料としてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。
本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテンおよびそれらのコポリマー)やポリエチレンテレフタレートでラミネートした紙およびプラスチックフイルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例、酸化チタン、酸化亜鉛)または色味付け染料(例、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0206】
支持体上に設けられる受像層について述べる。受像層は、多孔質材料や水性バインダーが含有される。また、受像層には顔料を含むのが好ましく、顔料としては、白色顔料が好ましい。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。特に好ましくは、多孔性の白色無機顔料がよく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法(気相法)によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能である。
【0207】
上記顔料を受像層に含有する記録紙としては、具体的には、特開平10−81064号、同10−119423、同10−157277、同10−217601、同11−348409、特開2001−138621、同2000−43401、同2000−211235、同2000−309157、同2001−96897、同2001−138627、特開平11−91242、同8−2087、同8−2090、同8−2091、同8−2093、同8−174992、同11−192777、特開2001−301314などに開示されたものを用いることができる。
【実施例】
【0208】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(インクの調製)
表1に示す組成を有する各成分を30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろかして、ブラックインク試料A1〜A6、B1〜B6、C1〜C6、D1〜D3及びE1〜E3を得た。表1中の単位はインク試料全量に対する質量%の値である。
【0209】
【表1】


【0210】
実施例で使用した染料の構造を次に示す。
【0211】
【化35】


【0212】
(インクジェット記録)
次に、上記の各ブラックインク試料を、エプソン社製インクジェットプリンターPM-G800の各インクカートリッジに充填し、同機にて富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩写真仕上げ」上に印画(プリント)を行い、プリントした画像の特性などについて下記の評価を行った。
【0213】
各試料のインク物性及び記録画像の性能の測定と評価は次のように行った、
・ 粘度測定:山一電機製振動式粘度計VM−100A−L型により25℃環境で測定した。
・ 表面張力測定:協和界面科学社製表面張力計CBVP−A3型により25℃環境で測定した。
・ 接触角の測定::協和界面科学社製接触角計DropMasterにオートディスペンサーを装着し25℃環境で3μlの体積の被検液を滴下し、500ms経時したときの記録媒体(記録メディア)面との角度を付属ソフトウエアによりΘ/2法で測定した。
・ 吐出性の測定:プリント済みメディア上の着弾滴の位置を光学顕微鏡で観察して下記尺度で評価した。
○ 所望の位置にほぼ正確に着弾している
△ 着弾位置が一部乱れている
× 着弾位置が乱れている
γ/ηは、高粘度、低表面張力で小さな値をとるため、この値が小さいほど吐出性は不安定となり、着弾位置が乱れる。したがって着弾位置の状態から吐出性を評価できる。
・ 記録画像の光学濃度測定:Gretag社製濃度計SpectrolightのVisual反射濃度を測定して下記尺度の評価に用いた。
○ 光学濃度2.3以上
△ 光学濃度2.1以上、2.3未満
× 光学濃度2.1未満
接触角が大きいと、記録メディア面上でのインク滴の広がりが小さく、メディアの白地部分が多く露出するために反射濃度の低下をきたす。したがって接触角の大きさが画像濃度に影響する。
【0214】
・ 乾燥性の測定方法:記録済みプリントがプリンタから排出された直後に、普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製C2)と重ね合わせ、ローラーで圧接させて普通紙への転写状態を観察して次の尺度で評価した。
試験は、(1)低速プリント(40cm/分)と(2)高速プリント(60cm/分)の2つのプリント速度条件で行った。
○ 転写しない
△ 僅かに転写が認められる
× はっきりと紙上に転写が認められる
・ ブロンズ光沢の評価方法:記録済みプリント面の正反射を観察し、色味が変化した光沢が発生しているか否かを目視で調べ、下記基準で評価した。
○ ブロンズが発生しない
△ 僅かにブロンズが認められる
× はっきりと紙上にブロンズが認められる
【0215】
試験結果を表2に示す。表2において、1,6−ジオール、1,2−ジオールはそれぞれ1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオールを指し、表面張力、粘度及び接触角の単位は、それぞれmN/m,mPa・s及び度(deg)である。
【0216】
【表2】


【0217】
表2の結果より、本発明のインクジェット記録方法では、ブロンズ光沢が改良されていることが分かる。さらに以下のように画像記録適性又は記録されたプリント画像の性能又は画質向上が観察される。
実施例中、比較試料A群と本発明試料B群の比較によって、1,6−ヘキサンジオールに代表される両端に水溶性基を持つ溶媒をもちいることにより、しかも染料濃度を高くしても、ブロンズ光沢が大幅に軽減されることが判明した。
また、乾燥性試験条件(1)と(2)の比較から、単位時間あたりの打滴量が多い、すなわち高速にプリントする場合にはブロンズが出やすいことに加えて、メディア上のインクが乾燥時間の不足からプリント後のプリンター内のメディア搬送ローラーに接触して汚れを発生したり、あるいはプリント後のトレイに収納された後、次のプリントが重畳収納されたときに次のプリントとの間でインク移りが発生したりする等の弊害が発生することが判るが、このような現象を回避するためには、インクがメディアに浸透する速度を速くすることが有効であり、メディアに対してインクの濡れが良い状態を作り出すことにより広い面積にインクが均等に広がり、浸透が速くなるとともに、乾燥性も向上する。具体的には多孔質吸収層に毛細管現象で速く浸透するために、表面張力γと粘度ηの比を大きくすることがあげられる。その点は、比較試料である試料D群とE群とを対比しても明らかであるが、1,6−ヘキサンジオールを用いた本発明の同様の対比である試料C群と試料Dを対比すると、本発明ではγ/η比の効果が一層顕著に現れて、γ/ηが4以上のときに浸透を速め、乾燥も速くなることが判った。
【0218】
一方、本発明例同士の対比の例として、試料B群と試料C群を対比すると1,2ヘキサンジオールに代表されるような一般式(11)で表される化合物、すなわち水溶性基を複数有し、かつその間の炭素チェーンのような疎水部分が小さい化合物、を溶媒に加えて用いると、粘度を上げず、浸透性を損なうことなくメディアとの濡れ性を良好にすることが出来る。
すなわち、表2記載の試料B群と試料C群の吟味から、一般式(1)の化合物である1,2−ヘキサンジオールを含有すると、接触角を下げるとともに、界面活性剤とあわせて表面張力を制御することが可能となり、ブロンズ光沢がなく、乾燥性も良好で、かつ濃度の高い画像(表2には記載がないが)を記録することが可能なことが判る。
したがって、乾燥性に関しても、高速記録、とくに記録幅分のノズルを有するラインヘッドにより、メディア上に短時間内に隣接して打滴される場合に顕著に有効であることは、表2C群のデータから読み取ることができる。また、表2C群は、表2B群の試料よりも乾燥性に優れていて、インク移りや画面汚れの防止に効果が大きいことも判る。また、先に打滴されるインクの表面張力は、後から打滴されるインクより0.3mN/m以上高いことが望ましく、この点でも有利な結果が示されている。
【0219】
なお、本発明において使用する受像紙をセイコーエプソン株式会社製の写真用紙、キャノン社製のPR101に変更した場合でも、上記結果と同様の効果が見られた。




 

 


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