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発明の名称 フィルムおよびフィルムの製造方法、ガスバリア層付フィルム、透明導電層付フィルム、並びに、画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−63417(P2007−63417A)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
出願番号 特願2005−251476(P2005−251476)
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 相木 康弘 / 石塚 孝宏
要約 課題
高温で各種機能層を形成し得る優れた耐熱性と光学特性とを併有するおよびフィルムの製造方法、並びに、これを用いたガスバリア層付フィルム、透明導電層付フィルムおよび画像表示装置を提供する

解決手段
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなり、かつ前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上であって、100℃〜(Tg−20)℃までの測定範囲での線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃であることを特徴とするフィルム。
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなり、かつ前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上であって、100℃〜(Tg−20)℃までの測定範囲での線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃であることを特徴とするフィルム。
【化1】


〔一般式(1)中、Xは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、または、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
【請求項2】
前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【化2】


〔一般式(2)中、R1は独立に置換基を表わし、置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表わし、nは正の整数を表わす。〕
【請求項3】
前記ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位中、15mol%以上の前記一般式(2)で表される部分構造を含んでいることを特徴とする請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項5】
厚さが50μmの場合における全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法であって、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなるフィルムを延伸することを特徴とするフィルムの製造方法。
【化3】


〔一般式(1)中、Xは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、または、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
【請求項7】
前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする請求項6に記載のフィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムの上にガスバリア層を有することを特徴とするガスバリア層付フィルム。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムの上または請求項8に記載のガスバリア層付フィルムの上に、透明導電層を有することを特徴とする透明導電層付フィルム。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム、請求項8に記載のガスバリア層付フィルムまたは請求項9に記載の透明導電層付フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性および光学特性に優れたフィルムおよび該フィルムの製造方法、ガスバリア層付フィルム、透明導電層付フィルム、並びに、これらフィルムを用い表示品位に優れた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という。)等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置の分野では、プラスチック基板に対する強い要望がある。
【0003】
フラットパネルディスプレイ分野で用いられるプラスチック基板には導電性が要求される。このため、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫もしくは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、または該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を表示素子の電極基板として用いることが検討されている。
【0004】
前記目的で使用される電極性基板としては、耐熱性の非晶ポリマー、例えば、変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)からなるプラスチック基板上に透明導電層とガスバリア層とを積層したものが知られている。しかし、このような耐熱性プラスチックを用いてもプラスチック基板として十分な耐熱性が得られなかった。すなわち、これら耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板に導電層を形成させた後、配向膜などの付与のため150℃以上の温度にさらすと、導電性やガスバリア性が大きく低下するという問題があった。
【0005】
その一方、近年では、アクティブマトリクス型画像素子作製のためにTFTを設置する際に、さらに高いレベルの耐熱性が基材フィルムに要求されるようになっている。このような高いレベルの要求に応えるため、例えば、SiH4を含むガスをプラズマ分解することによって、300℃もしくはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、エネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンとが混合された半導体層を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献5参照)。さらに、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射してプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法も提案されている(例えば、特許文献6参照)。このように300℃以下でTFT用多結晶シリコン膜を形成する方法は、種々提案されているが、構成や装置が複雑であり、高コストとなることから、300℃〜350℃の耐熱性がプラスチック基板に求められている。
【0006】
また、TFT用多結晶シリコン膜を形成する工程は複数の高温処理工程を必要とするため、たとえ耐熱性が高くとも、プラスチック基板の線熱膨張率が大きいと、基板の変形によって透明導電層が剥離したり、導電層の抵抗値が上がるなどの問題があった。
更に、線熱膨張係数が低いポリマーとしてポリイミドが知られている。しかし、ポリイミドは電荷移動相互作用による吸収のため着色するので、透明性が悪いという問題があった。
一方、透明性の高いポリイミドとして脂環式モノマーを用いたものが知られているが、線熱膨張率の低いものを得ることができなかった(例えば、特許文献7参照)。
【0007】
以上のように、高い耐熱性を有し、力学特性や光学特性などの要求性能を十分に満足し、かつ、線熱膨張係数が小さなプラスチックフィルムの開発が強く望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開2000−227603号公報(請求項7、[0009]〜[0019])
【特許文献2】特開2000−284717号公報([0010]、[0021]〜[0027])
【特許文献3】特開2001−150584号公報([0027]〜[0039])
【特許文献4】特開平7−81919号公報(請求項3、[0016]〜[0020])
【特許文献5】特表平10−512104号公報(第14〜22頁、図1、図7)
【特許文献6】特開平11−102867号公報(請求項1〜10、[0036])
【特許文献7】特開2004−111152号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高温で各種機能層を形成し得る優れた耐熱性と光学特性とを併有するおよびフィルムの製造方法、並びに、これを用いたガスバリア層付フィルムおよび透明導電層付フィルムを提供することにある。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、前記フィルムを用い、表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、以下のフィルムにより解決される。
【0012】
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなり、かつ前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上であって、100℃〜(Tg−20)℃までの測定範囲での線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃であることを特徴とするフィルム。
【化1】


〔一般式(1)中、Xは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、または、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
【0013】
[2] 前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される構造を含むことを特徴とする[1]に記載のフィルム。
【化2】


〔一般式(2)中、R1は独立に置換基を表わし、置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよい。pは0〜4の整数を表わし、nは正の整数を表わす。〕
【0014】
[3] 前記ポリマーは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位中、15mol%以上の前記一般式(2)で表される部分構造を含んでいることを特徴とする[2]に記載のフィルム。
【0015】
[4] 前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のフィルム。
【0016】
[5] 厚さが50μmの場合における全光線透過率が80%以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のフィルム。
【0017】
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載のフィルムの製造方法であって、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなるフィルムを延伸することを特徴とするフィルムの製造方法。
【化3】


〔一般式(1)中、Xは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。Yは単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、または、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。〕
【0018】
[7] 前記一般式(1)におけるXがシクロヘキサン環であることを特徴とする[6]に記載のフィルムの製造方法。
【0019】
[8] [1]〜[5]のいずれかに記載のフィルムの上にガスバリア層を有することを特徴とするガスバリア層付フィルム。
【0020】
[9] [1]〜[5]のいずれかに記載のフィルムの上または[8]に記載のガスバリア層付フィルムの上に、透明導電層を有することを特徴とする透明導電層付フィルム。
【0021】
[10] [1]〜[5]のいずれかに記載のフィルム、[8]に記載のガスバリア層付フィルムまたは[9]に記載の透明導電層付フィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低熱膨張特性と優れた耐熱性と光学特性とを併有するフィルムおよびその製造方法、ガスバリア層付フィルム、並びに、透明導電層付フィルムを提供することができる。
これにより、本発明のフィルムには、各種機能層を高温で形成することができるため、耐熱性と光学特性とに加えて用途に応じた様々な機能をさらに付加することができる。
【0023】
さらに、本発明のフィルムを用いた本発明の画像表示素子は、加熱処理を伴う製造法で製造することが可能であり、表示品位に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のフィルムおよび該フィルムを用いた画像表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
【0025】
[本発明のフィルム]
本発明のフィルムは、後述の一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーを含有する樹脂からなり、かつ前記ポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上であって、100℃〜(Tg−20)℃までの測定範囲での線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃であることを特徴とする。
【0026】
(ポリマー)
本発明のフィルムは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー(以下、「本発明におけるポリマー」とも称する。)を含有することを特徴とする。本発明におけるポリマーは、一般式(1)で表される繰り返し単位を含み、且つ、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上のポリマーである。
まず、一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーについて説明する。
【0027】
【化4】


【0028】
一般式(1)中、Xは単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である4価の連結基を表す。
前記Xとして好ましくは、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が4〜20である4価の連結基である。さらに好ましくは、単環式脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が5〜12である4価の連結基、または、縮合多環式脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が5〜16である4価の連結基、である。特に好ましくは、単環式脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が5〜9である4価の連結基である。
【0029】
前記Xの具体例をテトラカルボン酸の形で挙げると、置換あるいは無置換のシクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸などが挙げられる。また、樹脂やフィルムが高温にさらされた際の熱安定性の観点から、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]へプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸が好ましく、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸またはビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸がさらに好ましく、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸が特に好ましい。
【0030】
一般式(1)中、Yは単環式もしくは縮合多環式の芳香族基、または、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し、構成する炭素原子数が4〜30である2価の連結基を表す。
即ち、前記Yは、炭素原子数が5〜30であり且つ単環式もしくは縮合多環式の芳香族基を含有する2価の連結基、または、炭素原子数が4〜30であり且つ単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有する2価の連結基を表す。
前記Yとして好ましくは、芳香族基を含有し構成する炭素原子数が6〜28である2価の連結基、あるいは、単環式もしくは縮合多環式の脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が4〜20である2価の連結基である。さらに好ましくは、芳香族基を含有し構成する炭素原子数が7〜28である2価の連結基、あるいは、単環式脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が4〜12である2価の連結基、縮合多環式脂肪族基を含有し構成する炭素原子数が7〜20である2価の連結基、である。特に好ましくは、芳香族基を含有し構成する炭素原子数が12〜28である2価の連結基である。
【0031】
前記単環式もしくは縮合多環式芳香族基の環構造の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピリジン環、ピラジン環、ベンゾフラン環、カルバゾール環などが挙げられ、中でもベンゼン環、ナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。また、前記単環式もしくは縮合多環式脂肪族基の環構造の例としては、シクロブタン環、シクロヘキサン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロオクタン環、アダマンタン環、ジアマンタン環、モルホリン環などが挙げられる。
Yは前記の環構造1つから構成されていてもよいし、複数の環構造を有するものでもよい。前記Yが複数の環構造を有する場合、該複数の環構造は単結合で結合されていてもよいし、環を連結する基(カルボニルやメチレン、エーテルなど)で連結されていてもよい。
【0032】
熱膨張係数を低下させる観点から、前記一般式(1)におけるYが、下記一般式(2)で表される繰り返し単位をポリマー中に含むことが好ましい。
【0033】
【化5】


【0034】
一般式(2)中、R1は独立に置換基を表す。置換基の種類は特に制限されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基が好ましく、より好ましくは塩素原子、臭素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基である。一般式(2)中にR1が複数個ある場合は、各R1が表す置換基は互いに同じであっても異なっていてもよく、複数の置換基は互いに結合して環を形成してもよい。置換基同士が結合して環を形成する場合には5〜6員環が好ましく、より好ましくは6員環の場合である。
pは0〜4の整数を表わし、好ましくは2〜4の整数であり、nは正の整数を表わし、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。nが2または3の場合、n個のフェニレン基の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一の場合が好ましい。
主鎖との連結位は、1,3位、または1,4位であることが好ましく、より好ましくは1,4位である。pが1〜4の場合、主鎖との連結位とR1の置換位置との関係は特に制限されない。
【0035】
前記一般式(2)で表されるYの具体例をジアミンの形態で挙げると、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジフルオロ−4,4'−ジアミノビフェニル、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノ−ビフェニル等であり、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0036】
一般式(2)で表される繰り返し単位以外のY成分の具体例をジアミンの形態で挙げると、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフロオロプロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン等が挙げられる。これらのジアミンを用いるとTgは低下する傾向にあるが、延伸性を向上させる観点からこれらを一般式(2)で表される繰り返し単位と組み合わせて用いてもよい。
【0037】
また、延伸によってフィルムの熱膨張係数を低下させる観点から、前記ポリマーは、一般式(1)で表される繰り返し単位中、15mol%以上の一般式(2)で表される部分構造を含んでいることが好ましく、25モル%以上含んでいることがさらに好ましく、35モル%以上含んでいることが特に好ましい。
【0038】
その他のテトラカルボン酸類をカルボン酸構造として例示すると次のものが例として挙げられる。
すなわち、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジフェニルピロメリット酸、ジメチルピロメリット酸、ビス〔3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ〕ピロメリット酸、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、2,3',3,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン、1,4,5,8−テトラカルボキシナフタレン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルメタン、3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、2,2',5,5'−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシベンゾフェノン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕プロパン、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ジフルオロピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
【0039】
例えば、Xを含むテトラカルボン酸類とYを含むジアミン類とから一般式(1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドを得ることができる。テトラカルボン酸類とジアミン類とからポリイミドを得る方法としては、高温の有機極性溶媒中でテトラカルボン酸無水物とジアミンとを重合させ、ポリイミドを生成させる1段重合法と、低温でまずテトラカルボン酸無水物とジアミンとからポリアミド酸を合成し、塗布製膜後、高温でイミド化する2段重合法とがある。
前記1段重合法における重合温度は通常100〜250℃、好ましくは150〜200℃であり、重合時間は通常0.5時間〜20時間、好ましくは1〜15時間である。重合後の溶液をそのままガラス板や金属板などの基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることによってポリイミドフィルムを製造することができる。また、必要に応じて重合溶液をメタノール、水などの貧溶媒に再沈した後、固形物を良溶媒に溶解させ、その溶液をガラス板や金属板などの基板上に塗布し、溶媒を蒸発させることによっても製造することができる。また、イミド化が不十分な場合には塗布製膜した後、ポリマーのガラス転移温度付近まで加熱することによってイミド化を行い、製造することができる。2段重合法の場合はポリアミド酸合成を0〜120℃、好ましくは15〜120℃、さらに好ましくは20℃〜110℃の温度で0.5〜100時間、好ましくは1〜70時間で行い。重合後の溶液をそのままガラス板や金属板などの基板上に塗布し、200℃〜350℃に加熱して、イミド化させることによってポリイミドフィルムを製造することができる。
【0040】
本発明におけるポリマーがポリイミドの場合、上述の1段重合法で合成することが好ましい。前記反応は、使用するテトラカルボン酸無水物とジアミン類との種類にもよるが、重合の際の溶質濃度は5〜60質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。
【0041】
また、重合温度や重合時間や溶質濃度を調節しても、高分子量の本発明におけるポリマーが得られない場合、添加剤を加えて重合してもよい。
前記添加剤としては触媒(例としてはトリエチルアミンやピリジンが挙げられる)、共沸剤(例としてはトルエンやキシレンが挙げられる)および縮合剤、脱水剤(例として亜リン酸トリフェニルや無水酢酸が挙げられる)などを用いる。本発明におけるポリマーは添加剤の中でも亜リン酸トリフェニルとピリジンとを用いて製造されることが好ましい。
本発明におけるポリマーとしてポリイミドを合成する場合、これを高分子量化するためには、酸二無水物やジアミンの昇華精製、再結晶精製が必要だが、亜リン酸トリフェニルとピリジンとを用いると、未精製のモノマーを用いても簡便に高分子量のポリイミドを得ることができる。添加剤の濃度はモノマーに対して、0.5〜70mol%であることが好ましく、1〜50mol%であることがさらに好ましく、5〜30mol%であることが特に好ましい。
【0042】
本発明におけるポリマーを重合および塗布する場合に用いられる溶剤(有機溶媒)は、ジアミン類とテトラカルボン酸類、および生じたポリアミド酸やポリイミド等を溶解可能な溶剤であればいかなる溶剤であってもよい。そのような溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、p−クロロフェノール、m−クレゾール等が挙げられる。また、本発明におけるポリマーがアセトン、2−ブタノン、テトラハイドロフラン等の低沸点溶剤に溶解可能であれば、製膜の際に使用でき、大幅にコストを削減できる。溶剤は、単独または2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
また、本発明におけるポリマーとしてポリイミドおよびポリイミド前駆体(「ポリイミド前駆体」とは、加熱または化学的作用により閉環してイミド環を形成し、ポリイミドを生成し得る有機化合物)を合成する際に、分子量の調整や着色防止のためにジカルボン酸類やモノアミンを併用することができ、特にジカルボン酸無水物を添加することが好ましい。
本発明におけるポリマーの分子量は、重量平均分子量で2万〜50万であることが好ましく、2万〜30万であることがより好ましく、3万〜20万であることが特に好ましい。本発明におけるポリマーの分子量が2万以上あれば、フィルム成形が可能であり、かつ良好な力学特性を維持しやすいため好ましい。一方、本発明におけるポリマーの分子量が50万以下であれば、合成上分子量をコントロールしやすく、また適度な粘度の溶液が得られやすいため好ましい。本発明におけるポリマーの分子量はポリイミド溶液またはポリイミド前駆体溶液の粘度を目安とすることができる。
【0044】
ポリイミドおよびポリイミド前駆体等を本発明におけるポリマーとして調製する場合における溶液の粘度は、0.5〜200Pa・sであることが好ましく、2000〜10万mPa・sであることがより好ましく、1万〜6万mPa・sであることがさらに好ましい。また、本発明におけるポリマーを溶液にして用いる場合の濃度は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。本発明におけるポリマーの濃度が10質量%以上であれば、塗工の際の生産性を高めることができる。また本発明におけるポリマーの濃度の上限は、本発明におけるポリマーを溶媒に十分に溶解させる観点から80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
【0045】
本発明におけるポリマーの耐熱温度は高い方が好ましく、該耐熱性はDSC測定によるガラス転移温度(Tg)を目安として評価することができる。本発明におけるポリマーのガラス転移温度は200℃以上である。本発明におけるポリマーのガラス転移温度が200℃未満であると、本発明のフィルムの耐熱性が不十分となってしまう。本発明におけるポリマーの好ましいTgは350℃以上であり、より好ましくは380℃以上であり、特に好ましくは400℃以上である。Tgの上限値は高い方が好ましいが、700℃以下であることがより好ましい。
【0046】
以下に一般式(1)で表される構造を有するポリマーの好ましい具体例(例示化合物P−1〜P−15)を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例示化合物中、「a」および「b」は各構造単位の任意のモル比率を表す。
【0047】
【化6】


【0048】
【化7】


【0049】
【化8】


【0050】
(フィルム)
次に本発明におけるポリマーを含有する樹脂からなるフィルム(本発明のフィルム)について説明する。本発明のフィルムは、本発明におけるポリマーを含有する樹脂からなり、且つ、100℃〜(Tg−20)℃までの測定範囲での線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃である。
【0051】
本発明のフィルムは光学フィルムとして使用することが好ましい。本明細書において、「光学フィルム」とは、厚みが10μm〜700μmであり、厚みが50μmの場合における波長420nmの光線透過率が40%以上であり、全光線透過率が60%以上であるものを意味する。
【0052】
本発明のフィルムは、本発明におけるポリマーを溶解した溶液としてポリイミド溶液を用いる場合、ポリイミド溶液を基体上に塗工し、剥離することにより得られる。また、本発明におけるポリマーを溶解した溶液としてポリイミド前駆体溶液を用いる場合、ポリイミド前駆体溶液を基体上に塗工し、加熱してイミド化すると、ポリイミド塗膜が得られ、さらにポリイミド塗膜を基体から剥離することで本発明のフィルムが得られる。具体的には、ポリイミド前駆体溶液を従来公知のスピンコート法、スプレーコート法を用い、あるいはスリット状ノズルから押し出し、またはバーコーター等により基体上に塗工し、乾燥して溶媒をある程度除去し、剥離可能になった状態で、膜を基体から剥離し、さらに加熱することにより本発明のフィルムが得られる。膜を基体から剥離した後の加熱条件の最大温度は200〜400℃であることが好ましく、250〜350℃であることがさらに好ましい。前記加熱条件が200〜400℃の範囲内であれば、イミド化が進行しやすく、また熱による塗膜の変形、劣化が起こりにくいため好ましい。
【0053】
本発明のフィルムの厚みは、特に規定されないが、好ましくは30μm〜700μmであり、より好ましくは40μm〜200μmであり、さらに好ましくは50μm〜150μmである。また、本発明のフィルムは、ヘイズ値が3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また本発明のフィルムの全光線透過率は、70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。前記光線透過率は、JIS K7105に準拠し、例えば、ヘイズメーター(日本電色(株)製、Z−Σ80)を用いて測定することができる。
【0054】
本発明のフィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度(Tg)を目安として評価することができる。この場合、好ましいTgは350℃以上であり、より好ましくは380℃以上であり、特に好ましくは400℃以上である。
なお、本発明のフィルムを本発明におけるポリマーとしてポリイミドのみを用いて溶液流延法により作製する場合、乾燥が十分であれば、用いたポリイミドのTgとフィルムのTgとの差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
【0055】
本発明のフィルムは線熱膨張係数を下げる目的で延伸処理を施すことが好ましい。
ここで、本発明のフィルムの製造方法は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマーからなるフィルムを延伸することを特徴とする。前記延伸法としては、公知の方法が使用でき、例えば、特開昭62−115035号公報、特開平4−152125号公報、特開平4−284211号公報、特開平4−298310号公報、特開平11−48271号公報などに記載されている、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。
【0056】
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、1軸延伸でもよく2軸延伸でもよい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。延伸倍率は1.1〜4.0倍(面積比)であることが好ましく、1.2〜3.5倍(面積比)であることがさらに好ましく、1.3〜3倍(面積比)であることが特に好ましい。
【0057】
本発明のフィルムを延伸する際、見かけのTgを下げることを目的として溶剤を含有させた状態で延伸することができる。Tgが高いフィルムの場合、熱延伸では熱分解してしまうが、溶剤を含有させることで熱分解温度以下での延伸が可能となる。
【0058】
含有させる溶剤量は、0.1〜70質量%が好ましく、1〜50質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。
【0059】
溶剤を含有させた状態で延伸する温度は、100〜300℃が好ましく、125〜300℃がさらに好ましく、150〜250℃が特に好ましい。
【0060】
溶剤を含有させる方法として、フィルムの乾燥過程の状態を利用する方法と、フィルムを乾燥させた後に溶剤を含有させる方法があるが、前者が特に好ましい。含有させる溶剤はフィルムの良溶媒であれば使用可能だが、ドープに用いた溶媒(本発明におけるポリマーを溶解した溶媒)と同じ種類のものが好ましい。
【0061】
溶剤を含有させた状態で延伸する条件としては、前記で示した延伸法を使用することができる。
【0062】
本発明のフィルムはその製造過程において、延伸後、残留応力の除去を目的として熱処理してもよい。前記熱処理温度は100〜400℃が好ましく、150〜390℃がさらに好ましく、180〜390℃が特に好ましい。
【0063】
また、本発明のフィルムの線熱膨張係数は100℃から(Tg−20)℃の温度範囲で、−20〜30ppm/℃であり、−10〜30pm/℃であることが好ましく、−10〜25ppm/℃であることがより好ましい。線熱膨張係数が−20〜30ppm/℃である本発明のフィルムは無機材料を積層した場合に熱膨張率の差によって加熱工程などで生じる無機層の欠陥を抑制できる。
【0064】
本発明のフィルムの表面には用途に応じて他の層を形成したり、あるいは部品とフィルム表面との密着性を高めるために、ケン化処理、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の表面処理を行うことができる。さらに、フィルム表面に接着層やアンカー層を形成してもよい。また、表面平滑化のための平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
【0065】
(透明導電層:透明導電層付フィルム)
本発明のフィルムは少なくとも片面に、透明導電層を形成することで透明導電層付フィルムとすることができる。また、前記透明導電層は、後述するガスバリア層を有するガスバリア層付フィルム上に設けてもよい。この場合、透明導電層は、ガスバリア層の上、または、ガスバリア層が設けられていない側の面に設けることができ、更に、ガスバリア層と本発明のフィルムとの間に透明導電層を設けることもできる。
前記透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できるが、中でも透明性、導電性および機械特性の観点から、金属酸化物膜を適用することが好ましい。前記金属酸化物膜としては、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズまたは酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜は、透明性および導電性が優れているため好ましく用いられる。
【0066】
前記透明導電層の製膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよい。前記製膜方法とては、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜を形成する気相堆積法などが適しており、例えば、特許第3400324号公報、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報に記載の方法で製膜することができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法を用いて製膜することが好ましい。
【0067】
このようなスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Paであり、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を形成する前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように本発明のフィルムに表面処理を加えておくこと好ましい。
また透明導電層を設けている間に本発明のフィルムを50〜300℃に昇温してもよい。
【0068】
本発明のフィルム上に形成される透明導電層の膜厚は20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
【0069】
本発明のフィルム上に形成される透明導電層の25℃・相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、より好ましくは0.1〜100Ω/□であり、さらに好ましくは0.5〜60Ω/□である。さらに本発明のフィルムの透明導電層の光透過性は80%以上であり、83%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
【0070】
(ガスバリア層:ガスバリア層付フィルム)
本発明のフィルムにおいては少なくとも片面に、ガス透過性を抑制するために、ガスバリア層を形成し、ガスバリア層付フィルムとすることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、およびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜を形成する気相堆積法により作製することができる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。またガスバリア層を形成している間に本発明のフィルムを50〜200℃に昇温してもよい。
【0071】
本発明のフィルム上に形成される無機ガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmであることが好ましく、30nm〜200nmであることがさらに好ましい。
【0072】
前記ガスバリア層は、本発明のフィルムに透明導電層を設ける場合、透明導電層と同じ側または反対側のいずれに形成してもよいが、透明導電層と反対側に設ける方が好ましい。
【0073】
ガスバリア層が形成された本発明のフィルム(ガスバリア層付フィルム)のガスバリア性は、40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下であることが好ましく、1g/m2・day以下であることがより好ましく、0.5g/m2・day以下であることがさらに好ましい。また、40℃、相対湿度90%で測定した酸素透過度は1ml/m2・day・atm(1×105ml/m2・day・Pa)以下であることが好ましく、0.7ml/m2・day・atm(7×104ml/m2・day・Pa)以下であることがより好ましく、0.5ml/m2・day・atm(5×104ml/m2・day・Pa)以下であることがさらに好ましい。
【0074】
(欠陥補償層)
本発明のフィルムは、バリア性を向上させる目的で、欠陥補償層を隣接させることが特に望ましい。欠陥補償層としては、(1)米国特許第6,171,663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6,413,645号明細書、同64,163,645号明細書に記載のように有機物層を利用する方法や、また、これらの補償層は、記載のように真空か下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、あるいは、塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させる事で作製することができる。前記欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、バーコート法等の公知の方法を用いることができる。
【0075】
[画像表示装置]
本発明のフィルムは、薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は、例えば、特表平10−512104号公報に記載された方法等を用いることができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。前記カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
【0076】
本発明のフィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置は特に限定されず、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどフラットパネルディスプレイなど従来知られているものを用いることができる。また、本発明のフィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。前記フラットパネルディスプレイとしては、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。前記タッチパネルとしては、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用できる。
【0077】
本発明のフィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するために本発明のフィルムを構成するポリマーが非晶性ポリマーであることが好ましい。また、この場合、本発明のフィルムの複屈折は小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。なお、ここでいう「Re」は、フィルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて25℃・相対湿度60%において測定した値である。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnm(通常はλ=590±5nm)の光をフィルム法線方向に入射させて測定する。
【0078】
本発明のフィルムは液晶表示装置用途に好適である。該液晶表示装置は、反射型液晶表示装置と透過型液晶表示装置とに大別することができる。
前記反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる。このうち本発明の光学フィルムは、光学特性の調節によりλ/4板および偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(上下各基板)としての利用が好ましく、さらには、透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することが好ましい。また、前記反射型液晶表示装置には、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0079】
前記透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板および偏光膜からなる。このうち本発明のフィルムは、光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(上下各基板)としての利用が好ましく、さらには、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、前記透過型液晶表示装置には必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0080】
前記液晶層(液晶セル)の構造としては、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型のいずれの液晶表示装置においても有効であり、さらには半透過型の液晶表示装置においても有効に用いることができる。
【0081】
これら液晶表示装置については、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206)、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
【0082】
本発明のフィルムは、必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用することもできる。
前記有機EL表示素子の具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0083】
本発明のフィルムが使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40ボルト)、または直流電流を印加することにより、発光が得られる。
【0084】
前記の発光素子の駆動については、例えば、特許第2784615号公報、特開平2−148687号公報、特開平6−301355号公報、特開平5−29080号公報、特開平7−134558号公報、特開平8−234685号公報、特開平8−241047号公報、米国特許5,828,429号明細書、同6,023,308号明細書等に記載された方法を利用することができる。
【実施例】
【0085】
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0086】
[実施例1]
1.フィルムの作製
(1)フィルムF−1〜F−6の作製
温度計、攪拌器、窒素導入管を備えた反応容器に2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル17.0g、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル4.0gを入れ、N−メチル−2−ピロリドン 200gに溶解した後、15℃で1,2,4,5,−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物 22.4gを徐々に添加した。30℃で1時間、次いで70℃で1時間、さらに100℃で1時間反応させたところ、透明な溶液が得られた。次に添加剤として亜リン酸トリフェニルを6.2g、ピリジン1.6gを徐々に滴下したのち、100℃で0.5時間攪拌、130℃で0.5時間、150℃で0.5時間、170℃で5時間攪拌した。その後溶液を放冷し、放冷後、メタノール2Lと水2Lの混合溶液に再沈し、ポリマーP−1(上述の例示化合物P−1)を得た。これをろ過し、沈殿物を乾燥させたのち、再びN,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、ドープを調製した。次いで、ガラス板上にドクターブレードにてドープを流延し、80℃にて乾燥させた。ドープが完全に乾燥しきる前にガラス板より剥離し、120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機により延伸した。延伸条件は樹脂温度120℃、延伸速度200mm/分(縦、横共に)、チャック間距離100mm、延伸倍率1.7倍(面積比)とした。作製した延伸フィルムを枠張りし、200℃で2h真空乾燥させたのち、枠をはずして、300℃で2h加熱した。
また、フィルムF−2〜F−6も各添加物を下記表1の組成に変更し、同様の方法により作製した。
【0087】
(2)フィルムF−7の作製(ドライ延伸)
前記(1)と同様の方法によりポリマーP−1を合成したのち、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、ドープを調製した。ドープをガラス板上にドクターブレードにて流延し、窒素雰囲気下80℃で2時間、さらに150℃で1時間乾燥後、200℃で1時間、250℃で1時間乾燥させた。ガラス板より剥離し、120mm×120mmの大きさに切り出して、同時二軸延伸機により延伸した。延伸条件は樹脂温度310℃、延伸速度200mm/分(縦、横共に)、チャック間距離100mm、延伸倍率1.7倍(面積比)とした。作製した延伸フィルムを枠張りし、200℃で2h真空乾燥させたのち、枠をはずして、300℃で2h加熱し、フィルムF−7を得た。
【0088】
[比較例1]
1.フィルムF−8、F−9の作製
実施例と同様の方法によりポリマーP−1、P−12(上述の例示化合物P−12)を合成したのち、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、ドープを調製した。ドープをガラス板上にドクターブレードにて流延し、窒素雰囲気下80℃で2時間、さらに150℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間乾燥後、フィルムF−8とF−9を得た。
【0089】
〔特性値の測定〕
(1)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC6200、セイコー(株)製)を用いて、窒素中、昇温温度10℃/分の条件で各フィルム試料のTgを測定した。結果を表1に示す。
【0090】
(2)線熱膨張係数の測定
フィルムサンプル(19mm×5mm)を作製し、TMA(理学電機(株)製、TMA8310)を用いて測定した。測定速度は、3℃/minとした。測定は3サンプルを行い、その平均値を用いた。線熱膨張係数の計算温度範囲は100〜(Tg−20)℃とした。結果を表1に示す。
【0091】
(3)透明性
得られたフィルム試料の透明性を肉眼で観察し、色のないものを良、色のあるものを不良とした。結果を表1に示す。
【表1】


【0092】
前記表1中、各化合物を下記のように省略して記載した。
1,2,4,5,−シクロへキサンテトラカルボン酸二無水物:HPMDA
ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物:BOEDA
2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル:DMDAB
4,4'−ジアミノジフェニルエーテル:4,4'−ODA
【0093】
表1から本発明では延伸によって、線熱膨張係数の低いフィルムを得ることができることがわかる。また、一般式(2)で表される成分がY成分全体に対して15mol%以上含むP−1およびP−12を延伸することによって得られたフィルムF−1、F−2、F−3、F−5、F−7の線熱膨張係数がさらに低いことがわかる。
【0094】
[実施例2] ガスバリア層および透明導電層の設置
1.ガスバリア層の形成
前記で作製した各フィルムの両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし、500Paの真空下で、Ar雰囲気下、酸素を導入し、圧力を0.1Paとして、出力5kWでスパッタリングしガスバリア層を製膜した。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成したフィルム試料の40℃・相対湿度90%で測定した水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であり、40℃・相対湿度90%で測定した酸素透過度は0.1ml/m2・day以下であった。
【0095】
2.透明導電層の形成
ガスバリア層を形成したフィルム試料を300℃に加熱しながら、ITO(In23 95質量%、SnO2 5質量%)をターゲットとし、DCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下および出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設けた。透明導電層を設置したフィルム試料の表面電気抵抗は、フィルム試料の25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
【0096】
3.透明導電層付フィルムの加熱処理
前記で得られた透明導電層を設置したフィルム試料を、TFT設置を想定して50℃から300℃まで5℃/minで昇温した後、300℃で30分保持し、300℃から50℃まで5℃/minで降温するサイクルを3回行った後、全光線透過率と光学顕微鏡による観察を行った。結果を下記表2に示す。
【0097】
実施例2において、透明導電層付フィルムの評価は以下のように行った。
<全光線透過率>
JIS K7105に準拠し、全光線透過率をヘイズメーター(日本電色(株)製、Z−Σ80)を用いて測定した。
<透明導電層の表面観察>
SiO2層、ITO層の割れの有無を光学顕微鏡にて観察した。割れのないものを「A」、割れが観察されたものを「B」とした
【0098】
【表2】


【0099】
表2から明らかなように、F−1〜7を用いた透明導電層付フィルムには無機層の割れは観察されなかったが、F−8およびF−9を用いた透明導電層付フィルムには無機層の割れが観察された。
【0100】
[実施例3] 有機EL素子試料E−1およびE−5の作製
実施例2の結果を考慮し、フィルムF−1およびF−5を使用した透明導電層付フィルムを用いて、有機EL素子の作製を行った。
【0101】
実施例2で加熱処理を行った透明導電層を形成した各透明導電層付フィルムの透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。延伸フィルムF−1、F−5から得られた透明導電層を形成したフィルム試料(透明導電層付光学フィルム)も若干の変形が見られたが、顕著ではなかった。
【0102】
透明導電層(電極)の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
【0103】
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製、スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0104】
〔組成〕
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製):40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
・ジクロロエタン:3200質量部
【0105】
前記基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0106】
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX−50S、宇部興産(株)製)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmのAl電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層(Al電極)と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
【0107】
〔組成〕
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール:3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物:20質量部
【0108】
【化9】


【0109】
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、延伸フィルムF−1、F−5からそれぞれ有機EL素子E−1、E−5を得た。
【0110】
得られた有機EL素子E−1、E−5をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し、本発明の有機EL素子E−1、E−5が、発光することを確認した。
【0111】
前記実施例より、本発明のフィルムは、耐熱性と透明性とに優れていることが明らかとなった。また、ガスバリア層や透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明のフィルムは、優れた耐熱性および光学特性を併有するため、必要に応じて各種機能層を設けた上で、液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどフラットパネルディスプレイなどの画像表示装置に用いることができる。また、本発明のフィルムは、太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。




 

 


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