Warning: copy(.htaccess): failed to open stream: Permission denied in /home/jp321/public_html/header.php on line 8
ポリアリレート、光学フィルム、および、画像表示装置 - 富士フイルム株式会社
米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 化学;冶金 -> 富士フイルム株式会社

発明の名称 ポリアリレート、光学フィルム、および、画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−56216(P2007−56216A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−246497(P2005−246497)
出願日 平成17年8月26日(2005.8.26)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 望月 宏顕 / 大林 達彦
要約 課題
線熱膨張係数が小さく、高温で各種機能層を形成可能な耐熱性を有し、かつ優れた光学特性とフィルム成形可能な力学特性とを有するポリアリレートを提供する。

解決手段
主鎖中に下記一般式(1)または(2)で表わされる構造の少なくとも1つを繰り返し単位に有することを特徴とするポリアリレート。
特許請求の範囲
【請求項1】
主鎖中に下記一般式(1)または(2)で表わされる構造の少なくとも1つと、下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位の少なくとも1つと、を有することを特徴とするポリアリレート。
【化1】


[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【化2】


[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【化3】


[一般式(3)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に二価の芳香族連結基を表し、Lは2価の連結基を表わす。]
【請求項2】
前記一般式(3)においてLで表される2価の連結基が、前記一般式(1)または(2)で表わされる構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のポリアリレート。
【請求項3】
ガラス転移温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリレート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアリレートからなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項5】
1軸または2軸の方向に1.1〜5.0倍の延伸倍率で延伸することにより得られたことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
0〜200℃における線熱膨張係数が50ppm/℃以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の光学フィルム。
【請求項7】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム上にガスバリア層を有することを特徴とする光学フィルム。
【請求項9】
請求項4〜7のいずれか一項に記載の光学フィルム上に透明導電層を有することを特徴とする光学フィルム。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか一項に記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性と光学特性とに優れたポリアリレート、およびそれを用いた光学フィルムに関するものである。さらには、これら光学フィルムを用いた表示品位に優れた画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」という)等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに置き換えることが検討されている。特に、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置の分野では、プラスチック基板に対する強い要望がある。
【0003】
前記プラスチック基板は導電性を有することが必要である。そこで、近年、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化スズ、またはスズ−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、または前記半導体膜と前記金属膜とを組み合わせた複合膜からなる透明導電層を形成したプラスチック基板を、表示素子の電極基板として用いることが研究されている。具体的には、耐熱性の非晶ポリマー(例えば、変性ポリカーボネート(変性PC)(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(PES)(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば特許文献3参照))からなるプラスチックフィルム上に、透明導電層、さらにはガスバリア層を積層したプラスチック基板が知られている。
【0004】
しかし、前記のような耐熱性プラスチックフィルムを用いても、十分な耐熱性を有するプラスチック基板を得ることはできなかった。すなわち、これら耐熱性プラスチックフィルム上に導電層を形成した後に、配向膜などの付与のために150℃以上の温度にさらすと導電性やガスバリア性が大きく低下してしまうという問題があった。
【0005】
それにもかかわらず、近年では、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する場合により高い温度にさらすことが避けられなくなっており、さらに高いレベルの耐熱性を有するプラスチック基板が要求されるようになっている。例えば、300℃以下の温度にさらす方法として、SiH4を含むガスをプラズマ分解することにより300℃またはそれ以下の温度で多結晶シリコン膜を形成する方法(特許文献4参照)や、エネルギービームを照射して高分子基板上にアモルファスシリコンと多結晶シリコンとが混合された半導体層を形成する方法(特許文献5参照)や、熱的バッファ層を設け、パルスレーザビームを照射して300℃以下の温度でプラスチック基板上に多結晶シリコン半導体層を形成する方法(特許文献6参照)などが知られている。しかしながら、300℃以下でTFTを形成するこれらの方法は、構成や装置が複雑で高コストになるという問題がある。このため、実際には300℃以上の高温下でTFTを形成することが望まれており、300℃以上の耐熱性を有するプラスチック基板を提供できることが求められている。さらに、TFTの電気特性を安定して発現させるためにはより高い温度でのTFT形成が求められているため、不良製品数低下の観点からより優れた耐熱性を有するプラスチック基板を提供することが望まれている。
【0006】
また、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「ビスフェノールフルオレン」とも称する)とイソフタル酸およびテレフタル酸から誘導されるポリアリレートフィルムとに関する記載がある(例えば、特許文献7および特許文献8参照)。さらに、アルキル置換されたビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリアリレートフィルムに関する記載がある(例えば、また特許文献9参照)。これらの置換または無置換のビスフェノールフルオレンとイソフタル酸およびテレフタル酸とから誘導されるポリアリレートは、いずれも安価な原料から合成可能であり、かつ、ガラス転移温度(Tg)が300℃付近またはそれ以上であり、透明性、破断伸びに優れた柔軟なフィルムを提供できる。しかしながら、これらのフィルムであっても、いずれもプラスチック基板に求められる前記の耐熱性の要求に対しては必ずしも十分ではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2000−227603号公報(全頁)
【特許文献2】特開2000−284717号公報(全頁)
【特許文献3】特開2001−150584号公報(全頁)
【特許文献4】特開平7−81919号公報(全頁)
【特許文献5】特表平10−512104号公報(全頁)
【特許文献6】特開平11−102867号公報(全頁)
【特許文献7】特開昭57−192432号公報(全頁)
【特許文献8】特開平3−28222号公報(全頁)
【特許文献9】WO99/18141(全頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、線熱膨張係数が小さく、高温で各種機能層を形成可能な耐熱性を有し、かつ優れた光学特性とフィルム成形可能な力学特性とを有するポリアリレート、および、これを用いた光学フィルムを提供することにある。
さらに本発明のもう一つの目的は、前記光学フィルムを用い表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記目的を達成するために、ポリアリレートの構造を鋭意検討した結果、ある特定の繰り返し単位を有するポリアリレートであれば、画像表示素子として用いられるプラスチック基板に要求される耐熱性、光学特性および力学特性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の前記課題は以下の手段によって達成される。
(1) 主鎖中に下記一般式(1)または(2)で表わされる構造の少なくとも1つと、下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位の少なくとも1つと、を有することを特徴とするポリアリレート。
【化1】


[一般式(1)中、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環αは、スピロ結合により連結されている。]
【化2】


[一般式(2)中、環βおよび環γは、単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。]
【化3】


[一般式(3)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に二価の芳香族連結基を表し、Lは2価の連結基を表わす。]
【0011】
(2) 前記一般式(3)においてLで表される2価の連結基が、前記一般式(1)または(2)で表わされる構造を有していることを特徴とする(1)に記載のポリアリレート。
(3) ガラス転移温度が250℃以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアリレート。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つに記載のポリアリレートからなることを特徴とする光学フィルム。
(5) 1軸または2軸の方向に1.1〜5.0倍の延伸倍率で延伸することにより得られたことを特徴とする(4)に記載の光学フィルム。
(6) 0〜200℃における線熱膨張係数が50ppm/℃以下であることを特徴とする(4)または(5)に記載の光学フィルム。
【0013】
(7) 全光線透過率が80%以上であることを特徴とする(4)〜(6)のいずれか1つに記載の光学フィルム。
【0014】
(8) フィルム上にガスバリア層を有することを特徴とする(4)〜(7)のいずれか1つに記載の光学フィルム。
(9) フィルムの上に透明導電層を有することを特徴とする(4)〜(8)のいずれか1つに記載の光学フィルム。
(10) (4)〜(9)のいずれか1つに記載の光学フィルムを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、線熱膨張係数が小さく、高温で各種機能層を形成可能な耐熱性を有し、かつ優れた光学特性とフィルム成形可能な力学特性とを有するポリアリレート、および、これを用いた光学フィルム、並びに、表示品位に優れた画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下において、本発明のポリアリレートおよび光学フィルムについて詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0017】
[ポリアリレート]
本発明のポリアリレートは、下記一般式(1)または一般式(2)で表わされる構造の少なくとも1つと、一般式(3)で表わされる繰り返し単位の少なくとも1つとを主鎖中に有することを特徴とする。
下記一般式(1)または(2)で表わされる構造は、一般式(3)で表わされる繰り返し単位とは異なる繰り返し単位中(例えばポリアリレートを形成するジオールモノマー単位中、あるいは一般式(3)以外の構造のジカルボン酸モノマージオールモノマー単位中)に含まれていてもよいが、一般式(3)で表わされる繰り返し単位中に含まれていてもよい。また両者に含まれていてもよい。
【0018】
本発明のポリアリレートは、下記一般式(1)または(2)で表わされる、透明性、溶解性に優れる高耐熱アモルファスポリマーを形成する部分構造に対して、下記一般式(3)で表わされる分極性が高く、凝集力の高い液晶性成分を有する部分構造を共重合することにより、分子の配向性を高め、線熱膨張を抑制したことを特徴とする。
【0019】
下記一般式(1)において、環αは単環式または多環式の環を表し、2つの環αはスピロ結合によって結合されている。2つの環αは同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
【化4】


【0021】
下記一般式(2)において、環βおよび環γは単環式または多環式の環を表し、2つの環γはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、2つの環γは、環β上の1つの4級炭素に連結されている。
【0022】
【化5】


【0023】
一般式(1)および(2)における環α、環βおよび環γで表される単環式または多環式の環としては、例えば、一般式(1)における環αの例としては、インダン環、クロマン環、2,3−ジヒドロベンゾフラン環、インドリン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環βの例としては、フルオレン環、インダンジオン環、インダノン環、インデン環、インダン環、テトラロン環、アントロン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環等が挙げられる。
一般式(2)における環γとしては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ピリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾチアゾール環、インダン環、クロマン環、インドール環、α-ピロン環等が挙げられる。
【0024】
一般式(1)で表されるスピロ構造を有する連結基構造の好ましい例としては、下記一般式(4)で表されるスピロビインダン構造、下記一般式(5)で表されるスピロビクロマン構造、および、下記一般式(6)で表されるスピロビベンゾフラン構造が挙げられる。
【0025】
【化6】


【0026】
一般式(4)中、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R13は置換基を表わす。R11〜R13で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。また、R11、R12のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R13のより好ましい例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
【0027】
【化7】


【0028】
一般式(5)中、R21は水素原子または置換基を表し、R22は置換基を表す。R21、R22で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R21のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R22のより好ましい例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
【0029】
【化8】


【0030】
一般式(6)中、R31は水素原子または置換基を表し、R32は置換基を表わす。R31、R32で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜3の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R31のより好ましい例は、水素原子、メチル基またはフェニル基であり、R32のより好ましい例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
【0031】
また、一般式(2)で表されるカルド構造を有する連結基の好ましい例として、下記一般式(7)で表されるフルオレン構造が挙げられる。
【0032】
【化9】


【0033】
一般式(7)中、R41、R42は置換基を表す。R41、R42で表わされる置換基が複数ある場合、それぞれの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれが連結して環を形成してもよい。mおよびnは0〜4の整数を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。R41、R42のより好ましい例は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
【0034】
次に、下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位について説明する。
【0035】
【化10】


【0036】
一般式(3)において、Ar1およびAr2はそれぞれ独立に、二価の芳香族連結基を表す。Ar1およびAr2の好ましい例としては、置換または無置換のフェニレン基、置換または無置換のナフタレン基である。好ましい置換基の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。より好ましい例としては、水素原子である。
【0037】
Lは2価の連結基を表わす。Lの好ましい例としては、置換または無置換のフェニレン基、置換または無置換のビフェニレン基、置換または無置換のビスフェニレン基(2つのフェニレン基の間に−O−や−SO2−や−CH2−等の2価の連結基が存在する基)、あるいは前記一般式(1)または(2)で表わされる連結基である。好ましい前記置換基の例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。より好ましい例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはフェニル基である。
【0038】
一般式(3)で表される繰り返し単位を形成するジオールは、対応するジオール誘導体とヒドロキシ安息香酸誘導体またはヒドロキシナフタレンカルボン酸誘導体とから、LIQUID CRYSTALS, 2001, Vol. 28, No.11, 1611-1621に記載の方法等に従って合成することができる。
【0039】
本発明のポリアリレートは、一般式(1)または(2)で表わされる単位構造を有するモノマー(ジカルボン酸誘導体、ジオール等)の1種または複数種と、一般式(3)で表わされる単位構造を有するジオールの少なくとも1種または複数種と、必要に応じてこれら以外のジカルボン酸誘導体(例えば、テレフタル酸、テレフタル酸クロライド、イソフタル酸、イソフタル酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド等)、ジオール(ハイドロキノン、2,6−ナフタレンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等)、あるいはヒドロキシカルボン酸(ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸等)等のモノマーの1種あるいは複数種を組み合わせ、重縮合を行うことにより得ることができる。
【0040】
一般式(1)または(2)で表わされる構造を有する繰り返し単位は、本発明のポリアリレート中に5〜100mol%の範囲で含まれていることが好ましく、10〜100mol%の範囲がより好ましく、20〜100mol%の範囲が特に好ましい。
一般式(3)で表わされる繰り返し単位は本発明のポリアリレート中に1〜90mol%の範囲で含まれていることが好ましく、5〜80mol%の範囲がより好ましく、10〜70mol%の範囲が特に好ましい。
【0041】
その他の重合成分が共重合されている場合、該その他の重合性分の含有率は、0〜70mol%の範囲が好ましく、0〜60mol%の範囲がより好ましく、0〜50mol%の範囲が特に好ましい。
【0042】
一般式(1)または(2)で表される構造と一般式(3)で表わされる繰り返し単位とのモル比は、1:0.1〜1:5が好ましく、1:0.2〜1:4がより好ましく、1:0.3〜1:3が特に好ましい。
【0043】
以下に本発明のポリアリレートの具体例(例示化合物P−1〜P−40)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、繰り返し単位の数字は共重合比(mol%)を表す。
【0044】
【化11】


【0045】
【化12】


【0046】
【化13】


【0047】
【化14】


【0048】
本発明のポリアリレートは、対応するビスフェノール化合物とジカルボン酸とを重縮合させて得ることができる。重縮合の方法としては、脱酢酸による溶融重縮合法、脱フェノールによる溶融重縮合法、ジカルボン酸化合物を酸クロライドとして有機塩基を用いポリマーが可溶となる有機溶媒系で行う脱塩酸均一重合法、ジカルボン酸化合物を酸クロライドとしてアルカリ水溶液と水非混和性有機溶媒の2相系で行う界面重縮合法などいずれの公知の方法を用いてもよい。Tgが300℃以上である本発明のポリアリレートを合成する場合、溶融重縮合は困難を伴うが、特開平7−188405号公報に記載されているように高沸点可塑剤を併用することで、反応温度300℃程度で重合してもよい。
【0049】
本発明のポリアリレートを合成する場合、界面重縮合法が簡便で好ましい。典型的な公知の界面重縮合方法は、ビスフェノールAと、テレフタル酸、イソフタル酸を用いる方法に代表されるようにビスフェノール化合物とをアルカリ水溶液に可溶ならしめ、ジカルボン酸クロライドを水非混和性有機溶媒(代表的にはジクロロメタンなど)に可溶ならしめ短時間で混合する方法がとられる。しかしながら、本発明においてはビスフェノール化合物のアルカリ水溶液に対する溶解度が低い場合がある。また、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド等の酸ハライドが水非混和性有機溶媒に対する溶解度が低く、公知の方法では高分子量のポリアリレートを合成できない場合がある。この場合、予め水、水非混和性有機溶媒、ビスフェノール化合物、ジカルボン酸クロライドをスラリー状混合撹拌しておき、高濃度のアルカリ水溶液を徐々に添加していく方法が高分子量化に有効である。
【0050】
本発明のポリアリレートの好ましい分子量は重量平均分子量で1万〜50万、より好ましくは2万〜30万、特に好ましくは、3万〜20万である。分子量が低すぎる場合、フィルム成形が難しくなったり、力学特性が低下することがある。分子量が高すぎる場合、合成上分子量のコントロールが難しかったり、溶液の粘度が高すぎて取扱いが難しくなることがある。なお、分子量は対応する粘度を目安にすることもできる。
【0051】
本発明のポリアリレートの分子量は、前記した製造方法の如何によらず、重合時に一官能の物質を添加することにより調整することができる。ここでいう分子量調節剤として用いられる一官能物質としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノールなどの一価フェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメートなどの一価酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸などの一価のカルボン酸などが挙げられる。
【0052】
本発明のポリアリレートのカルボキシル価は300μmol/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μmol/g以下であり、特に好ましくは10μmol/g以下である。カルボキシル価が高すぎると、耐アーク放電性や誘電率など電気特性に影響を与えたり、溶剤に溶解して調製したポリマー溶液の保存安定性にも影響したり、溶液キャスト法により得られるキャストフィルムの表面特性に影響を与える場合がある。樹脂のカルボキシル価は、電位差滴定装置を利用した中和滴定など公知の方法で測定することができる。
【0053】
本発明のポリアリレート中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、50ppm以下であることが好ましく、特に好ましくは10ppm以下である。残留アルカリ金属量およびハロゲン量が高すぎると、上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合があるので、好ましくない。本発明のポリアリレート中の残留アルカリ金属量およびハロゲン量は、イオンクロマトグラフ分析法、原子吸光法、プラズマ発光分光分析法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0054】
また、本発明のポリアリレート中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒の量は200ppm未満であることが好ましく、より好ましくは100ppm未満である。残留する触媒量が高すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。本発明のポリアリレート中に残留する第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩などの触媒はHPLC、ガスクロマトグラフ法などを利用して定量できる。
【0055】
さらに本発明のポリアリレート中に残留するフェノールモノマーおよびジカルボン酸量は3000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下である。残留するフェノールモノマーおよびカルボン酸量が高すぎると上述した電気特性が低下する傾向にあり、さらにはフィルムの表面特性にも悪影響を与え、また導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。例えばフィルム上に透明導電膜を形成する際、成膜時の加熱やプラズマの影響等が原因で、残留するフェノールモノマーやカルボン酸成分等のガスを発生させたり、熱分解等が生じることにより、透明導電膜中に結晶粒塊が生じたり、また「抜け」と呼ばれるようなコーティングされない部分が生じ、透明導電膜の低抵抗化が阻害されるなどの悪影響を及ぼすことがある。ポリアリレートおよびそのフィルム中に残留するフェノールモノマーおよびジカルボン酸量は、HPLCや核磁気共鳴法など公知の方法で分析することができる。
【0056】
本発明のポリアリレートのガラス転位温度は250℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上が特に好ましい。
本発明のポリアリレートのガラス転位温度が250℃以上であると、アモルファスシリコンなどの高温を要する無機機能層のフィルム上への設置が可能になる。
また、本発明のポリアリレートのガラス転位温度の上限は特に限定はないが、延伸操作を行なう場合には、ガラス転位温度が高すぎと困難であり、溶媒を含ませた形態でのウエット延伸を想定してもポリマーのガラス転位温度は500℃以下が好ましく、より好ましくは400℃以下の場合である。
【0057】
[光学フィルム]
次に本発明の光学フィルムについて説明する。
本発明の光学フィルムは、上述の本発明のポリアリレートからなる光学フィルムである。なお、本発明で用いる光学フィルムとは厚みが10〜700μmの範囲であり、420nmにおける光線透過率が40%以上であり全光透過率が60%以上のフィルムを意味する。
【0058】
本発明のポリアリレートをフィルムまたはシート形状に成形する方法としては公知の方法が採用できるが、溶液流延法が好ましい方法として挙げられる。溶液流延法における流延および乾燥方法については、米国特許第2,336,310号明細書、米国特許第2,367,603号明細書、米国特許第2,492,078号明細書、米国特許第2,492,977号明細書、米国特許第2,492,978号明細書、米国特許第2,607,704号明細書、米国特許第2,739,069号明細書、米国特許第2,739,070号明細書、英国特許第640731号明細書、英国特許第736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載がある。溶液流延法にて製造する製造装置の例としては特開2002−189126号公報、段落[0061]〜[0068]に記載の製造装置、図1、図2などが例として挙げられる。但し、本発明で用いることができる製造装置はこれらに限定されるものではない。
【0059】
溶液流延法においては、本発明のポリアリレートを溶媒に溶解する。使用する溶媒は本発明のポリアリレートを溶解するものであればいずれの溶媒を用いても構わないが、特に本発明のポリアリレートを25℃において固形分濃度10質量%以上溶解できる溶媒が好ましい。また、使用する溶媒の沸点は200℃以下のものが好ましく、さらに好ましくは150℃以下のものである。沸点が高い場合、溶媒の乾燥が不十分となり、フィルム中に残存する恐れがある。また、本発明のポリアリレートの溶解性を損なわない範囲で貧溶媒を混合することも可能で、この場合、溶液流延後の剥ぎ取りや乾燥速度の観点で有利になる場合がある。
【0060】
本発明のポリアリレートを溶解するために用いることができる溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、ベンジルアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、酢酸エチル、アセトン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。但し、本発明で用いることができる溶媒はこれらに限定されるものではない。
また、前記溶媒は2種以上を混合して用いてもよく、乾燥性と溶解性との両立を図る観点からはむしろ混合溶媒が好ましい。また、混合溶媒とすることで、本発明の光学フィルムの透明性を向上させることができる場合もあり、係る観点からも混合溶媒を用いることが好ましい。
【0061】
溶液流延に用いる溶液中のポリアリレートの濃度は好ましくは5〜60質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは10〜30質量%である。溶液中のポリアリレートの濃度が低すぎると粘度が低く厚さの調節が困難となり、高すぎると成膜性が悪くムラが大きくなる。また、溶液流延前に必要に応じてろ過することで本発明の光学フィルムの透過率やフィルム内の不純物を低減させることが可能となる。
【0062】
溶液流延する方法は特に限定されないが、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターブレード、ロールコート、ダイコート等を用いて平板、またはロール上に流延することができる。
【0063】
溶媒を乾燥する温度は、使用する溶媒の沸点によって異なるが、2段階に分けて乾燥することが好ましい。第一段階としては30〜100℃で溶媒の質量濃度が好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下になるまで乾燥する。次いで、第二段階として平板またはロールからフィルムを剥がし、60℃以上、樹脂のガラス転移温度以下の温度範囲で乾燥するのが好ましい。
平板またはロールからフィルムを剥がす際、第一段階の乾燥終了直後に剥がしても、いったん冷却してから剥がしてもよい。
【0064】
本発明の光学フィルムは加熱乾燥が不足すれば残留溶媒量が多く、また極度に加熱しすぎるとポリアリレートの熱分解を引き起こし、残留するフェノールモノマー量が多くなる。さらに急激な加熱乾燥は含有溶媒の急速な気化を生じ、フィルムに気泡等の欠陥を生じさせる。本発明の光学フィルム中に残留する溶媒量は2000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。残留する溶媒量が多すぎると、フィルム表面の特性が悪化し表面処理等に悪影響を及ぼしたり、導電膜、半導体膜等を付与した機能性フィルムの性能低下を引き起こす場合がある。本発明のポリアリレートフィルム中に残留する溶媒量はガスクロマトグラフ法など公知の方法を利用して定量することができる。
【0065】
本発明の光学フィルムは、回転ドラムもしくはバンド上への溶液流延、剥ぎ取り、乾燥を連続的に行い、ロール状に巻取ることにより製造することが好ましい。このように、本発明の光学フィルムを機械的に搬送する場合などは、フィルムの力学強度が高いことが好ましい。力学強度の目安として、フィルムの引張試験から得られる破断応力、破断伸度を用いることができる。好ましい力学強度は搬送装置にもよることから一概には言えないが、好ましい破断応力は50MPa以上であり、より好ましくは80MPa以上であり、さらに好ましくは100MPa以上である。破断伸度はサンプル作製条件などによっても変動するため信頼性が低いが、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。
【0066】
本発明の光学フィルムは延伸されていてもよい。本発明の光学フィルムは、延伸によりフィルムの線熱膨張を低減させることができ、耐折強度などの機械的強度も改善され取扱性も向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTMD1504、以下「ORS」と略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が良好であることから好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに凍結されている、延伸により生じた内部応力である。
【0067】
延伸には公知の延伸方法を採用することができ、例えば、特開昭62−115035号公報、特開平4−152125号公報、特開平4−284211号公報、特開平4−298310号公報、特開平−48271号公報などに記載されている方法を採用することができる。本発明のポリアリレートが300℃以上のガラス転移温度を有する場合、単なる加熱のみでの延伸は難しいものとなるため、溶媒を含んだ状態での延伸が可能である。この場合、乾燥途中過程で延伸を行うことが好ましく、例えば溶媒を含んだ状態のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。
【0068】
延伸倍率は1軸または2軸の方向に1.1〜5.0倍が好ましく、より好ましくは1.1〜3.5倍であり、特に好ましくは1.1〜2.0倍である。また、延伸は1段で行ってもよく、多段で行ってもよい。多段で行なう場合は各延伸倍率の積がこの範囲にはいるようにすればよい。
延伸速度は5%/分〜1000%/分であることが好ましく、さらに10%/分〜500%/分であることが好ましい。
【0069】
延伸はヒートロールおよび/または放射熱源(IRヒーター等)、温風により行うことが好ましい。また、温度の均一性を高めるために恒温槽を設けてもよい。ロール延伸で一軸延伸を行う場合、ロール間距離(L)と該光学フィルムのフィルム幅(W)との比であるL/Wは2.0〜5.0であることが好ましい。
【0070】
延伸前には、予熱工程を行うことが好ましい。また、延伸後に熱処理を行ってもよい。熱処理温度は光学フィルムのガラス転移温度より20℃低い温度から10℃高い温度で行うことが好ましく、熱処理時間は1秒〜3分であることが好ましい。また、加熱方法はゾーン加熱であっても、赤外線ヒータを用いた部分加熱であってもよい。
【0071】
本発明の光学フィルムに用いる本発明のポリアリレートは、1種類だけからなるものであっても2種類以上が混合されたものであってもよい。また、本発明の光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で本発明のポリアリレート以外のポリマーを含んでいてもよい。また、耐溶剤性、耐熱性、力学強度などを改善するために、架橋樹脂を添加してもよい。架橋樹脂の種類としては、種々の公知の熱硬化性樹脂や放射線硬化性樹脂を特に制限なく用いることができる。
【0072】
前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂などが挙げられる。また、前記以外の架橋方法であっても、共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物とを用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は成膜前のポットライフが問題になる場合が多いため、通常は、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型のものが用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤などを用いることができる。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製「B−882N」、日本ポリウレタン工業(株)製「コロネート2513」(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製「サイメル303」(メチル化メラミン樹脂)などが知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1のようなブロック化カルボン酸も知られている。
【0073】
【化15】


【0074】
前記放射線硬化性樹脂は、ラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂とに大別される。ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート;ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法としては、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基などの開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
【0075】
本発明の光学フィルムには前記で挙げた熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化性樹脂とを併用してもよい。また、架橋性樹脂と架橋性基とを有さないポリマーと混合して用いてもよい。
【0076】
さらに本発明の光学フィルムに用いる本発明のポリアリレートに架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上で挙げた汎用の架橋性樹脂を併用せずに架橋することができる。
【0077】
本発明の光学フィルムには、金属の酸化物および/または金属の複合酸化物、およびゾルゲル反応により得た金属酸化物を含有させることができる。これらを含有させることによって、前記の架橋樹脂と同様に、本発明の光学フィルムに耐熱性や耐溶剤性を付与することができる。さらに必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤、および潤滑剤などの樹脂改質剤を添加してもよい。
【0078】
本発明の光学フィルムの厚みは、30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズ値は3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光線透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0079】
本発明の光学フィルムの耐熱温度は高い方が好ましく、DSC測定によるガラス転移温度を目安にすることができる。この場合、好ましいガラス転移温度は250℃以上、より好ましくは300℃以上、特に好ましくは320℃以上である。なお、本発明の光学フィルムを本発明のポリアリレートのみを用いて溶液流延法により作製する場合、乾燥が十分であれば、用いたポリアリレートのTgと光学フィルムのガラス転移温度との差はほとんどなく、測定誤差範囲内である。
【0080】
本発明の光学フィルムの線熱膨張係数は0〜200℃の範囲、より好ましくは0〜300℃の範囲において、−30〜50ppm/℃であることが好ましく、−20〜45ppm/℃であることがより好ましく、−10〜40ppm/℃であることが特に好ましい。
【0081】
本発明の光学フィルムの表面には用途に応じて他の層を形成したり、部品との密着性を高めるためにフィルム基板表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行ったりすることができる。さらに、フィルム表面に接着層、アンカー層を設けてもよい。また、表面平滑化のため平滑化層、耐傷性付与のためのハードコート層、耐光性を高めるための紫外線吸収層、フィルムの搬送性を改良させるための表面粗面化層など目的に応じて種々の公知の機能性層を付与することができる。
【0082】
本発明の光学フィルムには透明導電層を設置することができる。前記透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、前記金属酸化物膜としては、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムおよび酸化スズ;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
【0083】
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよいが、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号公報、特開2002−322561号公報、特開2002−361774号公報等の各公報記載の方法で成膜することができる。
中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0084】
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、より好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。このような透明導電層を設ける前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、コロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
このようにして得られた透明導電層の膜厚は20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm〜300nmが好ましい。
また、このようにして得られた透明導電層の、25℃、相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は0.1Ω/□〜200Ω/□が好ましく、より好ましくは0.1Ω/□〜100Ω/□であり、さらに好ましくは0.5Ω/□〜60Ω/□である。さらに光透過性は80%以上、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0085】
本発明の光学フィルムには、ガス透過性を抑制するためにガスバリア層を設けることも好ましい。好ましいガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物からなる層を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50℃〜200℃に昇温してもよい。
【0086】
このようにして得られたガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm〜200nmである。
このようなガスバリア層は透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよいが、反対側に設けるほうがより好ましい。
このようにして得られたガスバリア層を有するフィルム(ガスバリアフィルム)のバリア性は、40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が5g/m2・day以下が好ましく、より好ましくは1g/m2・day以下、さらに好ましくは0.5g/m2・day以下である。40℃、相対湿度90%で測定した酸素透過度は1ml/m2・day以下が好ましく、より好ましくは0.7ml/m2・day以下であり、さらに好ましくは0.5ml/m2・day以下である。
【0087】
バリア性を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を設けるのが特に望ましい。欠陥補償層としては、(1)米国特許第6,171,663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層を利用する方法、(2)米国特許第6,413,645号明細書記載のように有機物層を利用する方法、また、真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、あるいは、塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させることで作製することができる。
塗布方式で作製する場合には、従来用いられる種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
【0088】
本発明の光学フィルムは、その光学的特性を利用することができる様々な用途に適用することができる。特に、以下に記載するような画像表示装置に好ましく適用することができる。また、本発明の光学フィルムは太陽電池、タッチパネルなどの用途にも利用可能である。タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
【0089】
[画像表示装置]
特に、本発明の光学フィルムは必要に応じて各種機能層を設けた上で画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置としては特に限定されず、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなど従来知られているものを用いることができる。また、本発明の光学フィルムを用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)、蛍光表示管、発光ダイオードなどが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。
【0090】
また、本発明の光学フィルムは薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として用いることができる。TFTアレイの作製方法は特表平10−512104号公報に記載の方法等が挙げられる。さらにこれらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターはいかなる方法を用いて作製されてもよいが、好ましくはフォトリソグラフィー手法が好ましい。
【0091】
本発明の光学フィルムを液晶表示用途などに使用する場合には、光学的均一性を達成するためにフィルムが非晶性ポリマーからなるものであることが好ましい。また、そのような用途に使用する場合は、本発明の光学フィルムの複屈折が小さい方が好ましく、特に面内レタデーション(Re)が50nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。本発明のポリアリレートのみを用いて複屈折の小さい光学フィルムを得るためには、溶液流延時の溶媒および乾燥条件を適宜調節することで可能となる。また、必要に応じて延伸して調節することもできる。さらに、レタデーション(Re)、およびその波長分散を制御する目的で固有複屈折の符号が異なる樹脂を組み合わせたり、波長分散の大きい(あるいは小さい)樹脂を組み合わせたりすることができる。また、本発明の光学フィルムはレターデーション(Re)の制御を行ったり、ガス透過性や力学特性の改良を行ったりする目的で異種樹脂の積層等を好適に用いることができる。また、公知の位相差板を併用して位相差補償を行うこともできる。
なお、ここでいうReは、フィルムを25℃・相対湿度60%にて24時間調湿後、自動複屈折計(KOBRA−21ADH:王子計測機器(株)製)を用いて25℃・相対湿度60%において測定した値である。ReはKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnm(通常はλ=590±5nm)の光をフィルム法線方向に入射させて測定する。
【0092】
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなるのが一般的である。このうち本発明の光学フィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(上下各基板)としての利用が好ましく、さらには透明性の観点から透明電極および配向膜付上基板として使用することも好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなるのが一般的である。このうち本発明の光学フィルムは光学特性の調節によりλ/4板、偏光膜用保護フィルムとして用いてもよいが、その耐熱性の観点から基板(上下各基板)としての利用が好ましく、透明電極および配向膜付基板として使用することが好ましい。また、必要に応じてガスバリア層、TFTなどを設けることもできる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0093】
液晶層(液晶セル)の種類として、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-P1ane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta1)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optica1ly Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)および、HAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードによるものが提案されている。また、前記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の光学フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効に用いることができる。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効に用いることができる。
【0094】
これらの液晶表示装置については、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers (予稿集)30(1999)206、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para−A(LCD/PDP Iternational`99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the−18th−Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開W098/48320号公報、特許第3022477号公報、および国際公開WO00/65384号公報等に記載されている。
【0095】
本発明の光学フィルムは、前記のように、必要に応じてガスバリア層、TFTを設け、透明電極付基板として有機EL表示用途に使用できる。
有機EL表示素子としての具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0096】
本発明の光学フィルムを使用できる有機EL素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流電圧または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。直流電圧は通常2ボルト〜40ボルトであり、必要に応じて交流成分を含んでもよい。
これら発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許第5,828,429号、同6,023,308号等の各明細書、特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
【実施例】
【0097】
以下に合成例と実施例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0098】
[合成例1]例示化合物P−1の合成
1)ジヒドロキシ安息香酸エステル(1)の合成
攪拌装置および還流脱水装置を備えた1000mlの3つ口フラスコにハイドロキノン(HQ)13.2g、4−ヒドロキシ安息香酸(HBA)33.15g、p−トルエンスルフォン酸一水和物2.3g、キシレン600mlを添加し、150℃で加熱還流、脱水しながら四日間攪拌した。
反応終了後に反応液をろ過し、得られた沈殿物をエタノールで洗浄した後、乾燥させることにより対応するビスヒドロキシ安息香酸エステル(1)28.0gを得た。生成物は400MHz1HNMRによって同定した。
【化16】


【0099】
1HNMR(d6-DMSO)、δ(ppm):10.56ppm(s,2H)、8.01ppm(d,4H)、7.32ppm(s,4H)、6.94ppm(d,4H)
【0100】
2)例示化合物P-1の合成
攪拌装置および還流冷却管を備えた300mlの3つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン4.20g、前記1)に従って合成したビスヒドロキシ安息香酸エステル(1)2.80g、ハイドロサルファイトナトリウム60mg、テトラブチルアンモニウムクロライド278mg、ジクロロメタン65mlおよび水75mlを投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで攪拌を行った。
【0101】
15分後、テレフタル酸クロライド2.03g、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド2.53gをジクロロメタン30mlに懸濁させた溶液を投入した。
さらに上記溶液を攪拌しながら、窒素気流下2mol/L水酸化ナトリウム水溶液21ml、4−tert−ブチルフェノール120.2mgおよび水9mlを1時間かけて滴下した。その後3時間攪拌を継続した後、ジクロロメタン1.5L、0.1mol/L塩酸水溶液99.4mlおよび水500mlを添加し、有機層を分離した。得られた有機層を1Lのメタノール中に投入した。析出した白色沈殿を濾取しメタノール1Lで洗浄した後、40℃で12時間加熱乾燥後、70℃で3時間、減圧下で乾燥し、例示化合物P−1を9.60g得た。
【0102】
得られたP−1の分子量をGPC(テトラヒドロフラン溶媒;ポリスチレン換算(東ソー(株)製、HLC−8120GPC))で測定した結果、重量平均分子量は55000であった。ガラス転移温度は328℃であり、5%質量減少温度は467℃であった。
【0103】
本発明の他のポリアリレートも前記合成例1と同様の方法によって合成することができる。
【0104】
[比較合成例2]比較ポリマー(BPFL−I/T)の合成
フルオレンビスフェノール−イソフタル酸/テレフタル酸から誘導されるポリアリレート(以降BPFL−I/Tとも称する)を以下の手順で合成した。
【化17】


【0105】
BPFL(商品名;JFEケミカル(株)製)25.3g、テトラブチルアンモニウムクロライドを9.17g、ジクロロメタン222ml、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液69.3ml、水を38ml、攪拌装置を備えた反応容器中に投入し、窒素気流下、水浴中300rpmで撹拌を行った。30分後、イソフタル酸クロライドを6.7g、テレフタル酸クロライド6.7gを74mlのジクロロメタンに溶解した溶液を添加した。その後3時間撹拌を継続した後、ジクロロメタン100mLを添加し、有機相を分離した。さらに12mol/L塩酸水0.66mlを水250mlで希釈した溶液を添加し有機層を洗浄した。さらに水250mlで2回洗浄を行った後、分離した有機層にジクロロメタン100mlを添加し、希釈した後、激しく撹拌した2.5lのメタノール中に1時間かけて投入した。メタノール中、得られた白色沈殿を濾取し、40℃で12時間加熱乾燥後、70℃で3時間、減圧下で乾燥し、比較ポリマーBPFL−I/Tを28g得た。
得られたBPFL−I/Tの分子量をGPC(THF溶媒)で測定した結果、重量平均分子量は50000であった。また、DSCで測定したガラス転移点は320℃であった。
【0106】
[実施例1]
(光学フィルム試料の作製と評価)
本発明のポリアリレートおよび比較ポリマーとしてBPFLとイソフタル酸/テレフタル酸(等モル)から誘導されるポリアリレート(BPFL−I/T)とを、それぞれジクロロメタンに溶解後の溶液粘度が500〜1500mPa・sの範囲になる濃度で溶解した。この溶液を5μmのフィルターを通してろ過した後、ドクターブレードを用いてガラス基板上に流延した。流延後、室温で20分間、35℃で10分間、200℃で2時間加熱乾燥させた後、フィルムをガラス基板より剥離し光学フィルム試料(試料101〜104および109)を作製した。また、ガラス板流延後、乾燥不十分な状態(溶媒約20質量%含有)で剥ぎ取り、得られたフィルムの一辺を固定して100℃の温度で縦1軸方向に張力をかけて1.1〜1.3倍に延伸した後、張力を取り除き200℃で1時間加熱処理することにより光学フィルム試料(試料105〜108および110)を作製した。
【0107】
《評価》
得られた光学フィルム試料の線熱膨張係数、全光線透過率、膜厚を以下の方法で測定した。また、使用したポリマーの重量平均分子量とガラス転移温度(Tg)とを以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
【0108】
<線熱膨張係数>
TMA8310(理学電気(株)製、Thermo Plusシリーズ)により測定し、0〜200℃の平均値を算出した。
【0109】
<フィルムの全光線透過率>
スガ試験機(株)社製ヘイズメーター:型番HGM−2DPで測定した。
【0110】
<膜厚>
ダイヤル式厚さゲージにより測定した(アンリツ(株)製、K402B)。
【0111】
<重量平均分子量>
テトラヒドロフランを溶媒とするポリスチレン換算GPC測定により、GPC(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用いて、ポリスチレンの分子量標準品と比較し求めた。
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(セイコー(株)製、DSC6200)を用いて、窒素中、昇温温度10℃/分の条件で各光学フィルム試料のTgを測定した。
【0112】
【表1】


【0113】
表1から、本発明の試料は比較例の試料と同等レベルの高いTgおよび透明性を有し、かつ比較例に比べて低い線熱膨張係数を有することが分かる。
【0114】
[実施例2]
(有機EL素子試料の作製)
<ガスバリア層の設置>
前記で作製した光学フィルム試料101〜110の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、酸素を導入し、圧力を0.1Paとして出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成した光学フィルム試料の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day以下であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は0.1ml/m2・day以下であった。
【0115】
<透明導電層の設置>
ガスバリア層を設置した光学フィルム試料を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、SnO25質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を、片面に設けた。透明導電層を設置した光学フィルム試料の25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
【0116】
<透明導電層付光学フィルムの加熱処理>
前記で得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料に対して、TFT設置を想定して300℃で1時間の加熱処理を行った。
【0117】
<有機EL素子の作製>
前記で加熱処理を行った透明導電層を設置した光学フィルム試料の透明電極層より、アルミニウムのリ−ド線を結線し、積層構造体を形成した。なお、比較例の試料109および110から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料は変形が激しかったため、有機EL素子の作製は行わなかった。本発明の試料101〜108から得られた透明導電層を設置した光学フィルム試料について、有機EL素子の作製を行った。
透明導電層(電極)の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製、スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0118】
〔組成〕
・ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製): 40質量部
・トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体):1質量部
・ジクロロエタン:3200質量部
【0119】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0120】
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、UPILEX−50S)片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
【0121】
〔組成〕
・ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製):10質量部
・1−ブタノール:3500質量部
・下記構造を有する電子輸送性化合物:20質量部
【0122】
【化18】


【0123】
基板XYと基板Zとを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、光学フィルム101〜108よりそれぞれ対応する有機EL素子試料201〜208を得た。
【0124】
得られた有機EL素子試料201〜208をソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明の試料201〜208が発光することを確認した。
【0125】
前記実施例より、本発明の光学フィルムは、高いガラス転位温度と低い線熱膨張係数とを有し、透明性にも優れていることが明らかとなった。また、ガスバリア層、透明導電層を積層可能でTFT工程を想定した加熱処理を行っても有機EL素子用基板フィルムとして機能することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明のポリアリレートと光学フィルムは高いガラス転位温度と低い線熱膨張係数を有し、かつ透明性に優れる。また、この光学フィルムは高温プロセスを要するTFT設置工程等の各種機能層設置工程に適しており、有機EL等のプラスチックディスプレイ用基板として適している。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013