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焼結含油軸受油用組成物、並びにそれを用いた軸受け装置及び摺動部材 - 富士フイルム株式会社
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発明の名称 焼結含油軸受油用組成物、並びにそれを用いた軸受け装置及び摺動部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−56213(P2007−56213A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−246318(P2005−246318)
出願日 平成17年8月26日(2005.8.26)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 根来 雅之 / 河田 憲
要約 課題
油膜形成能力が高く、使用温度範囲が広く、軸受装置の長寿命化に寄与する焼結含油軸受油用組成物を提供する。

解決手段
基油と、(R−X−)m−Dで表される化合物の少なくとも一種とを含有する焼結含油軸受油用組成物である。式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。mは2〜11の整数を表す。
特許請求の範囲
【請求項1】
基油と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種とを含有する焼結含油軸受油用組成物。
【化1】


(式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。mは2〜11の整数を表す。)
【請求項2】
前記基油が、合成炭化水素を含有する請求項1に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【請求項3】
前記基油が、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物から選ばれる少なくとも1種からなる請求項1又は2に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、0.1〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【請求項5】
前記基油が、アルキルナフタレンを50〜99.9質量%、及びポリα−オレフィン水素化物又はエチレン−α−オレフィン共重合体水素化物を50〜0.1質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【請求項6】
前記一般式(1)中、Dが、下記一般式[1]〜[74]のいずれかで表される環状の基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【化2】


【化3】


(式中、nは2以上の整数を表し、*は側鎖との結合可能部位を意味する。但し*は2以上であれば全ての部位に側鎖が結合していなくてもよい。Mは金属イオン又は2つの水素原子を表す。)
【請求項7】
前記一般式(1)中、Dが5〜7員環構造の複素環残基を表す請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【請求項8】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される請求項1〜7のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【化4】


(式中、X1、X2およびX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R11、R12およびR13は各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。)
【請求項9】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される請求項1〜8のいずれか1項に記載の焼結含油軸受油用組成物。
【化5】


(式中、X21、X22およびX23は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R21、R22およびR23は各々独立に置換基を表す。a21、a22およびa23は各々独立して1〜5の整数を表す。)
【請求項10】
回転する軸を回転可能に支持する軸受け装置であって、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を含む焼結体からなる軸受け装置。
【請求項11】
多孔性の焼結体と、該焼結体の孔中に保持される請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物とを有する摺動部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結含油軸受油として用いられる組成物に関し、より詳細には、主に工業的に使用されているすべり軸受において、摺動面を構成する焼結体中に含有させて用いられる軸受油用の組成物に関する。特に、油膜形成能力が高く、軸受の長寿命化に寄与する焼結含油軸受油組成物に関する。また本発明は、かかる組成物を利用した軸受け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑油を含浸させた焼結体を軸受けの摺動面に用いた含油軸受け装置は、給油を必要としないという特長を有し、比較的高速で且つ軽荷重用のモータである小型モータに広く使用されている。近年、この小型モーターが普及したことに伴い、かかる含油軸受け装置は、自動車、音響機器、事務機器、家電製品、農業機械などあらゆる分野に広く使われている。各種機器の高性能化に伴い、含油軸受け装置に求められる性能も高度化、多様化され、その要求に応えるために、高度な潤滑技術が要求されるようになってきた。従来、含油軸受けの材質について種々研究開発が行われ改善が図られてきたが、最近は軸受の材質よりもそれに含浸される潤滑油の特性を重視する傾向がある。その背景は、油潤滑とはいえ、含油軸受け装置に用いられる潤滑油が、流体潤滑よりも境界潤滑に近い状態で使用されることにある。そのため、含油軸受け装置の軸受性能は、焼結体に含有される潤滑油の特性に大きく依存し、油膜形成能力の高い潤滑油が要望されている。
【0003】
また、含油軸受用潤滑油に対して要求される特性は、一般的に、電流値が低く(消費電力が少ない)、馴染みが早く、経時変化せず(油膜形成能力が高い)、低温から高温の広範囲で使用でき(−40〜120℃)、高速に耐えられ(30,000rpm程度)、低速に耐えられる(60〜180rpm)などである。
【0004】
従来の含油軸受用潤滑油としては、パラフィン系、ナフテン系の各種鉱油や、ジエステル、ポリオールエステル、ポリα−オレフィン水素化物等の合成油が特性に応じて使用されているが、含油軸受用の専用潤滑油はなく、市販の油圧作動油やエンジン油等を転用しているのが現状である。
【0005】
一般に、鉱油系潤滑油には、鉱油系基油に酸化防止剤、防錆剤、耐摩耗剤、消泡剤、金属不活性剤などが配合され、必要に応じて清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤等の添加剤が配合されている。
【0006】
低温から高温の広範囲で使用できる潤滑油としては、現在、自動車用エンジン油やATFとしての用途の多いポリα−オレフィン水素化物が良好な低温特性と蒸発損失の少なさから適切な基油であるとされている。これに対し、鉱油を基油に用いると、鉱油中のパラフィン分が低温下でワックスとして析出して電流値を高めたり、高温下においても不純物や不純物と反応した添加剤がスラッジとして析出して軸の摩耗を促進し電流値を高めることがある。不純物を含有せず、スラッジの溶解力が高いことから、合成油の使用が好ましい。
例えば、使用中のスラッジの発生が少なく、使用温度範囲が広く、潤滑性が優れ、長寿命の焼結含油軸受油として、所定の合成油である基油に、ジアルキルジチオ燐酸亜鉛、Mo−ジアルキルジチオカ−バメ−ト、Mo−ジアルキルジチオフォスフェ−ト及び硫黄−燐系極圧添加剤を添加した焼結含油軸受油が提案されている(特許文献1)。また、油膜形成能力が高く、使用温度範囲が広く、潤滑性が優れ、長寿命の焼結含油軸受油組成物として、所定の合成油である基油に、リン酸エステルを所定の割合で添加した焼結含油軸受油組成物が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−53984号公報
【特許文献2】特開平10−287892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、油膜形成能力が高く、使用温度範囲が広く、潤滑性に優れ、長寿命の焼結含油軸受油組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置を提供すること、及び該軸受け装置に有用な摺動部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 基油と、下記一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種とを含有する焼結含油軸受油用組成物。
【0009】
【化1】


【0010】
式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。mは2〜11の整数を表す。
【0011】
[2] 前記基油が、合成炭化水素を含有する[1]の焼結含油軸受油用組成物。
[3] 前記基油が、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物から選ばれる少なくとも1種からなる[1]又は[2]の焼結含油軸受油用組成物。
[4] 前記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、0.1〜10質量%含有する[1]〜[3]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
[5] 前記基油が、アルキルナフタレンを50〜99.9質量%、及びポリα−オレフィン水素化物又はエチレン−α−オレフィン共重合体水素化物を50〜0.1質量%含有する[1]〜[4]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
[6] 前記一般式(1)中、Dが、下記一般式[1]〜[74]のいずれかで表される環状の基である[1]〜[5]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
【0012】
【化2】


【0013】
【化3】


【0014】
(式中、nは2以上の整数を表し、*は側鎖との結合可能部位を意味する。但し*は2以上であれば全ての部位に側鎖が結合していなくてもよい。Mは金属イオン又は2つの水素原子を表す。)
【0015】
[7] 前記一般式(1)中、Dが5〜7員環構造の複素環残基を表す[1]〜[6]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
[8] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される[1]〜[7]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
【0016】
【化4】


【0017】
(式中、X1、X2およびX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R11、R12およびR13は各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。)
【0018】
[9] 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される[1]〜[8]のいずれかの焼結含油軸受油用組成物。
【0019】
【化5】


【0020】
(式中、X21、X22およびX23は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、R21、R22およびR23は各々独立に置換基を表す。a21、a22およびa23は各々独立して1〜5の整数を表す。)
【0021】
[10] 回転する軸を回転可能に支持する軸受け装置であって、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、[1]〜[9]のいずれかの組成物を含む焼結体からなる軸受け装置。
[11] 多孔性の焼結体と、該焼結体の孔中に保持される[1]〜[9]のいずれかの組成物とを有する摺動部材。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、油膜形成能力が高く、使用温度範囲が広く、潤滑性が優れ、長寿命の焼結含油軸受油組成物を提供することができる。また、本発明によれば、寿命が長く、安定的に作動可能な軸受け装置、及びかかる軸受け装置に有用な摺動部材を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の焼結含油軸受油用組成物は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも一種を含有する。
【0024】
【化6】


【0025】
式中、Dはm個の側鎖と結合可能な環状の基を表し、Xは各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表し、Rは各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。mは2〜11の整数を表す。
【0026】
前記一般式(1)で表される化合物は、環状の基Dと、該環状の基に結合したm個(mは2〜11)の側鎖(R−X−)とを有する化合物である。前記化合物は、円盤状化合物であるのが好ましい。本明細書において、「円盤状化合物」とはその中心部に円盤状の部分構造を有する化合物をいう。円盤状の部分構造は、分子構造から側鎖部を除いた中心の部分構造であり、その形態的特徴を、例えば、その原形となる化合物である水素置換体について説明すれば、以下のように表現することができる。
まず、以下の1)〜5)の方法により、円盤状の部分構造の原形となる水素置換体についての分子の大きさを求める。
1) 対象となる分子につき、できる限り平面に近い、好ましくは平面分子構造を構築する。この場合、結合距離、結合角としては、軌道の混成に応じた標準値を用いる事が好ましく、例えば日本化学会編、化学便覧改訂4版基礎編、第II分冊15章(1993年刊 丸善)を参照することができる。
2) 前記1)で得られた構造を初期値として、分子軌道法や分子力場法にて構造最適化する。方法としては例えば、Gaussian92、MOPAC93、CHARMm/QUANTA、MM3が挙げられる。好ましくはGaussian92である。
3) 構造最適化によって得られた構造の重心を原点に移動させ、座標軸を慣性主軸(慣性テンソル楕円体の主軸)にとる。
4) 各原子にファンデルワールス半径で定義される球を付与し、これによって分子の形状を記述する。
5) ファンデルワールス表面上で各座標軸方向の長さを計測し、それらそれぞれをa、bおよびcとする。
以上の手順1)〜5)により求められたa、bおよびcを用いて、円盤状の形態を定義すると、a≧b>c且つa≧b≧a/2を満足する形態、好ましくはa≧b>c且つa≧b≧0.7aを満足する形態である。また、b/2>cを満足する形態も好ましい。
【0027】
また、円盤状部分構造の原形となる水素置換体である円盤状化合物の具体例を挙げると、例えば、日本化学会編、季刊化学総説No.22「液晶の化学」第5章、第10章2節(1994年刊 学会出版センター);C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.liq.Cryst.71巻、111頁(1981年);B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年);J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年);J.Zhang、J.s.Mooreらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.,116巻、2655頁(1994年);に記載の母核化合物およびその誘導体が挙げられる。例えば、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、アントラセン誘導体、ヘキサエチニルベンゼン誘導体、ジベンゾピレン誘導体、コロネン誘導体およびフェニルアセチレンマクロサイクル誘導体が挙げられる。さらに、日本化学会編、“化学総説No.15 新しい芳香族の化学”(1977年 東京大学出版会刊)に記載の環状化合物およびそれらの複素原子置換等電子構造体を挙げることができる。
【0028】
前記一般式(1)中、Dが表す環状の基の例には、芳香族基および複素環基が含まれる。芳香族基の芳香族環の例には、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環およびピレン環が含まれる。芳香族基は置換基を有していてもよい。
複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。トリアジン環が好ましく、1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合していてもよい。ただし、単環式複素環が好ましい。
【0029】
以下に環状の基Dの好ましい例[1]〜[74]を示す。
【0030】
【化7】


【0031】
【化8】


【0032】
前記式中、nは2以上の整数を表し、*は側鎖との結合可能部位を意味する。但し*は2以上であれば全ての部位に側鎖が結合していなくてもよい。nは好ましくは3以上の整数を表す。Mは金属イオン又は2つの水素原子を表す。
母核は、極性元素を含むπ共役系の骨格を有するのが好ましく、上記の中で、[1]、[2]、[3]、[6]、[11]、[12]、[21]、[23]、[28]及び[56]が好ましく、その中でも[1]、[2]、[3]、[6]、[11]及び[21]がより好ましく、特に好ましくは[1]、[2]及び[3]である。
【0033】
前記一般式(1)中、Xは単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。Xが単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。一般式(1)のXは、硫黄原子またはNR1基が好ましく、R1は炭素数が3以下のアルキル基または水素原子が好ましい。
【0034】
前記一般式(1)中、Rがアルキル基の場合は、炭素数が1〜40であるのが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ等)、アルキルもしくはアリールチオ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルキルチオ基、もしくは炭素数6〜40の、好ましくは炭素数6〜20のアリールチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、フェニルチオ等)、アルキルアミノ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ、プロピルアミノ等)、アシル基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数2〜20のアシル基で、例えば、アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル等)およびアシルオキシ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基およびウレイド基等が挙げられる。
一般式(1)のRがアルケニル基またはアルキニル基の場合には、炭素数が2〜40であるのが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルケニル基およびアルキニルは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、アルキル基と同様の置換基を有していてもよい。
【0035】
前記一般式(1)中、Rがアリール基の場合は、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基およびピレニル基等が挙げられるが、フェニル基やナフチル基が好ましい。さらに、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、上記アルキル基の置換基で例示したものの他、炭素数1〜40のアルキル基が挙げられ、炭素数8〜30の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基、例えばアルキル基(オクチル、デシル、ヘキサデシル、2−エチルヘキシル等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基およびデシルスルファモイル基等で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0036】
前記一般式(1)中、Rが複素環基の場合では、Dと同様に、5〜7員環構造の複素環基が好ましく、5員環または6員環がより好ましく、6員環が最も好ましい。これらの骨格の具体的な例も、岩波理化学辞典 第3版増補版(岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁および表5.主要縮合複素環式化合物の名称 1607頁に記載される化合物が挙げられる。また、これらは、アリール基と同様の置換基を有していてもよく、炭素数8〜30の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0037】
Rのうち少なくとも1つは、エステル結合を有しているのが好ましく、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがより好ましい。さらに、Rの全てがエステル結合を含んでいるのがさらに好ましく、全てが、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがさらにより好ましい。即ち、Rのうち少なくとも1つは、後述する式(4a)又は(4b)で表される基を含んでいるのが好ましく、式(4)〜(6)のいずれかで表される基を含んでいるのがより好ましい。
また、R−X−のうち少なくとも一つが、後述する一般式(7)で表される基であるのも好ましく、全てが一般式(7)で表される基であるのもより好ましい。
【0038】
前記一般式(1)で表される化合物は、m個の側鎖(R−X−)の少なくとも一つが、エステル結合を含んでいるのが好ましい。特に、側鎖の少なくとも一つが、下記一般式(4a)または一般式(4b)で表される基を含んでいるのが好ましい。なお、以下の式中、左側(−X0)が、一般式(1)中のD側に結合する。
【0039】
【化9】


【0040】
【化10】


【0041】
式中、X0は単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。
0は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20の、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキレン基を表す)、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。二価の連結基は置換基を有していてもよい。L0はアルキレン基が好ましい。
また、X0とL0との組み合わせの基としては、−O(C=O)−アルキレン−、−O(C=O)−シクロアルキレン−が好ましい。
0は化合物の側鎖末端に位置し、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。R0で表されるアルキル基およびアリール基は、前記Rで表される基で説明したアルキル基およびアリール基と同じ意味の基を表す。
【0042】
また、前記側鎖のうち少なくとも一つは、前記一般式(4a)で表される基を含んでいるのがより好ましい。中でも、側鎖が下記一般式(4)で表される基を含んでいるのがさらに好ましい。なお、以下の式中、左側(−L01)が一般式(1)中の環状の基D側に結合する。
【0043】
【化11】


【0044】
01はX0と同義である。L01は酸素原子、硫黄原子、−(C=O)O−、−NH−(C=O)O−であるのが好ましい。R01は炭素原子数が1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、pおよびqは各々整数を表す。R01の炭素原子数は1〜40であるのが好ましく、1〜20であるのがより好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ等)、スルフィド基(メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等)、アルキルアミノ基(メチルアミノ、プロピルアミノ等)、アシル基(アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル等)およびアシルオキシ基(アセトキシ、ピバロイルオキシ、バンゾイルオキシ等)や、アリール基、複素環基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基、およびウレイド基等が挙げられる。pは1〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。qは1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0045】
また、前記側鎖のうち少なくとも一つが、下記一般式(5)又は(6)で表される基を含んでいるのも好ましい。
【0046】
【化12】


【0047】
式中、R01は炭素原子数が1〜30の置換もしくは無置換のアルキル基を表し、mおよびnは各々整数を表し、一般式(4)におけるR01と同じ意味の基を表す。
【0048】
【化13】


【0049】
式中、R25は置換基を表し、a24は1〜5の整数を表す。
【0050】
また、前記側鎖の少なくとも一部が、下記一般式(7)で表される基であるのも好ましい。
【0051】
【化14】


【0052】
式中、L21は、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、アルキレン基、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。好ましくは、酸素原子、オキシアルキレン基、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、カルボニルオキシ基およびカルボニル基であり、オキシカルボニル基およびカルボニル基がより好ましい。
【0053】
前記式中、置換基R25、R71およびR72の例には、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルキル基で、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル)、アルケニル基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアルケニル基で、例えば、ビニル、2−ブテン−1−イル、オレイル)、アルキニル基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアルキニル基で、例えば、プロパルギル)、アリール基(炭素原子数6〜40の、好ましくは6〜20のアリール基で、例えば、フェニル、ナフチル)、ヘテロ環基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のヘテロ環基で、例えば、2−フリル、2−チエニル、4−ピリジル,2−イミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、1−ベンゾイミダゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ)、アリールオキシ基(炭素原子数6〜40の、好ましくは6〜20のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、シリルオキシ基(炭素原子数3〜40の、好ましくは3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ)、ヘテロオキシ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のヘテロオキシ基で、例えば、2−フリルオキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ、3−ピリジルオキシ、2−イミダゾリルオキシ)、アシルオキシ基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ブタノイルオキシ、オクタノイルオキシ、ドデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ)、カルバモイルオキシ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、2−エチルへキルオキシカルボニルオキシ、ドデシルオキシカルボニルオキシ、ヘキサデシルオキシカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(炭素原子数7〜40の、好ましくは7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(炭素原子数0〜40の、好ましくは1〜20のアミノ基で、例えば、アミノ、N−メチルアミノ、N−2−エチルヘキシルアミノ、N−テトラデシルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジオクチルアミノ)、アシルアミノ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアシルアミノ基で、例えば、アセチルアミノ、オクタノイルアミノ、ドデカノイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアミノカルボニルアミノ基で、例えば、N,N−ジオクチルカルバモイルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ、テトラデシルオキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(炭素原子数7〜40の、好ましくは7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のスルファモイルアミノ基で、例えば、N,N−ジメチルスルファモイルアミノ)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルキルおよびアリールスルホニルアミノ基で、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、ドデシルスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、2−エチルヘキシルチオ、ドデシルチオ)、アリールチオ基(炭素原子数6〜40の、好ましくは6〜20のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のヘテロ環チオ基で、例えば、4−ピリジルチオ、チアゾール−2−イルチオ、ベンゾオキサゾール−2−イルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ、1,3,4−チアジアゾール−2−イルチオ)、スルファモイル基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルキルおよびアリールスルフィニル基で、例えば、メチルスルフィニル、フェニルスルフィニル)、アルキルおよびアリールスルホニル基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアルキルおよびアリールスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、ブチルスルホニル、ヘキサデシルスルホニル、p−トリルスルホニル)、アシル基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアシル基で、例えば、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、テトラデカノイル、ベンゾイル)、アリールオキシカルボニル基(炭素原子数7〜40の、好ましくは7〜20のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フォノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(炭素原子数2〜40の、好ましくは2〜20のアルコキシカルボニル基で、例えば、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−ドデシルカルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(炭素原子数1〜40の、好ましくは1〜20のアリールおよびヘテロ環アゾ基で、例えば、フェニルアゾ、3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルアゾ、2−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−5−イルアゾ)、イミド基(炭素原子数4〜40の、好ましくは4〜20のイミド基で、例えば、スクシンイミド、フタルイミド)、ホスフィノ基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のホスフィノ基)、ホスフィニル基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(炭素原子数0〜40の、好ましくは0〜20のホスフィニルアミノ基)、シリル基(炭素原子数3〜40の、好ましくは3〜20のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル)が含まれる。さらに、置換基R71及びR72は、これらの置換基から選ばれる1種以上の置換基によって置換されたこれらの置換基も含まれる。R71の置換基としては直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換された、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基およびアシル基が好ましい。aは0あるいは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3である。
71の炭素原子数は1〜40であるのが好ましく、1〜20であるのがより好ましい。
【0054】
また、前記m個の側鎖(R−X−)の少なくとも一つが、部分フッ化炭素基、フッ化炭素基を含んでいるのも好ましい。すなわち、前記一般式(4a)、(4b)、(4)、(5)、(6)および(7)の少なくとも一つが、部分フッ化炭素基、フッ化炭素基を含んでいるのも好ましい。フッ化炭素基について二重結合、分岐、環状基、芳香環の有無は問わない。
【0055】
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0056】
【化15】


【0057】
式中、X1、X2およびX3は各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。X1、X2、X3が単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。X1、X2、X3は、単結合でない場合、NR1基(R1は、炭素数が1〜30のアルキル基または水素原子)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基、例えば、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ウレイレン基、オキシスルホニル基、スルファモイル基等を表す。硫黄原子またはNR1基が好ましく、R1は、炭素数が3以下のアルキル基または水素原子が好ましい。この中では、イミノ基(−NH−)がより好ましい。
【0058】
前記一般式(2)中、R11、R12およびR13は、各々独立に、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基または複素環基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、スルフィド基、カルボキシ基またはその塩、スルホ基またはその塩、ヒドロキシアミノ基、ウレイド基またはウレタン基を表す。
【0059】
11、R12、R13でそれぞれ表されるアルキル基は、炭素数が1〜40であり、2〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルキル基は、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ等)、アルキルもしくはアリールチオ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルキルチオ基、もしくは炭素数6〜40の、好ましくは炭素数6〜20のアリールチオ基で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、フェニルチオ等)、アルキルアミノ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数1〜20のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ、プロピルアミノ等)、アシル基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数2〜20のアシル基で、例えば、アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル等)およびアシルオキシ基(炭素数1〜40の、好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)や、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基およびウレイド基等が挙げられる。
一般式(1)のRがアルケニル基またはアルキニル基の場合には、炭素数が2〜40であるのが好ましく、2〜30であることがより好ましく、4〜30であることがさらに好ましく、6〜30であることが最も好ましい。アルケニル基およびアルキニルは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。また、アルキル基と同様の置換基を有していてもよい。
【0060】
11、R12、R13でそれぞれ表されるアリール基では、フェニル基、インデニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、フルオレニル基、フェナンスレニル基、アントラセニル基およびピレニル基等が挙げられるが、フェニル基やナフチル基が好ましく、さらに、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、上記アルキル基の置換基で例示したものの他、炭素数1〜40のアルキル基が挙げられ、さらに、炭素数8〜30の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基、例えばアルキル基(オクチル、デシル、ヘキサデシル、2−エチルヘキシル等)、アルコキシ基(ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、2−ヘキシルデシルオキシ、ヘキシルオキシエチレンオキシエチレンオキシ等)、スルフィド基(ヘキサデシルチオ等)、置換アミノ基(ヘプタデシルアミノ等)、オクチルカルバモイル基、オクタノイル基およびデシルスルファモイル基等で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0061】
11、R12、R13でそれぞれ表される複素環基では、一般式(1)のDと同様に、5〜7員環構造の複素環残基が好ましく、5員環または6員環がより好ましく、6員環が最も好ましい。これらの骨格の具体的な例も、岩波理化学辞典 第3版増補版(岩波書店発行)の付録11章 有機化学命名法 表4.主要複素単環式化合物の名称 1606頁および表5.主要縮合複素環式化合物の名称1607頁に記載される化合物が挙げられる。また、これらは、アリール基と同様の置換基を有していてもよく、炭素数8以上の直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されることが好ましい。また、これらの置換基は、2つ以上置換していることが好ましく、さらに、上記の置換基の他にも、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基等に置換されていてもよい。
【0062】
11、R12およびR13のうち少なくとも1つは、エステル結合を有しているのが好ましく、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがより好ましい。さらに、R11、R12およびR13の全てがエステル結合を含んでいるのがさらに好ましく、全てが、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがさらにより好ましい。即ち、R11、R12およびR13のうち少なくとも1つは、前記式(4a)又は(4b)で表される基を含んでいるのが好ましく、前記式(4)〜(6)のいずれかで表される基を含んでいるのがより好ましい。
11−X1−、R12−X2−及びR13−X3−のうち少なくとも一つが、前記一般式(7)で表される基であるのも好ましく、全てが前記一般式(7)で表される基であるのもより好ましい。
【0063】
さらに前記一般式(2)で表される化合物のより好ましい態様として、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【化16】


【0065】
式中、X21、X22およびX23は、各々独立に、単結合、NR1基(R1は、水素原子または炭素数が1〜30のアルキル基)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基を表す。X21、X22、X23が単結合の場合、複素環基でピペリジンのように遊離原子価をもった窒素原子で直接結合してもよく、さらに、遊離原子価がなくともヘテロ原子で結合し、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩のようにオニウム塩を形成してもよい。X21、X22、X23が単結合でない場合、NR1基(R1は、炭素数が1〜30のアルキル基または水素原子)、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基またはこれらの組み合わせからなる二価の連結基、例えば、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、ウレイレン基、オキシスルホニル基、スルファモイル基等を表す。X21、X22およびX23は、硫黄原子またはNR1基であるのが好ましく、R1は炭素数が3以下のアルキル基または水素原子が好ましい。この中では、イミノ基(−NH−)がより好ましい。
【0066】
式中、R21、R22およびR23は各々独立に置換基を表す。置換基R21、R22およびR23は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシアミノカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が含まれる。これらの基の好ましい炭素数および具体例は、置換基R25、R71およびR72で説明したものと同じである。さらに、置換基R21、R22およびR23は、これらの置換基から選ばれる1種以上の置換基によって置換されたこれらの置換基も含まれる。
【0067】
21、R22およびR23のうち少なくとも1つは、エステル結合を有しているのが好ましく、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがより好ましい。さらに、R21、R22およびR23の全てがエステル結合を含んでいるのがさらに好ましく、全てが、エステル結合を含有する直鎖状あるいは分枝状のアルキル残基を含む置換基で置換されたアルコキシ基であるのがさらにより好ましい。即ち、R21、R22およびR23のうち少なくとも1つは、前記式(4a)又は(4b)で表される基を含んでいるのが好ましく、前記式(4)〜(6)のいずれかで表される基を含んでいるのがより好ましい。
また、式中の(R21a21−Ph−X21−、(R22a22−Ph−X22−及びR23a23−Ph−X23−のうち少なくとも一つが、前記一般式(7)で表される基であるのも好ましく、全てが前記一般式(7)で表される基であるのもより好ましい。
【0068】
前記式中、a21、a22およびa23は各々独立して1〜5の整数を表す。
【0069】
以下に、本発明に使用可能な前記一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。
【0070】
【化17】


【0071】
【化18】


【0072】
【化19】


【0073】
【化20】


【0074】
【化21】


【0075】
【化22】


【0076】
【化23】


【0077】
【化24】


【0078】
【化25】


【0079】
【化26】


【0080】
【化27】


【0081】
【化28】


【0082】
【化29】


【0083】
【化30】


【0084】
【化31】


【0085】
【化32】


【0086】
【化33】


【0087】
【化34】


【0088】
【化35】


【0089】
前記一般式(1)で表される化合物は、安価に入手可能な塩化シアヌルから容易に合成できる。
【0090】
本発明の焼結含油軸受油用組成物は、前記一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、0.1〜10質量%含有するのが好ましく、1〜10質量%含有するのがより好ましく、1〜5質量%含有するのがさらに好ましい。含有量が前記範囲であると、油膜形成能力が向上し、耐久性向上効果の点で好ましい。
【0091】
本発明の焼結含油軸受油組成物は、基油を含有する。基油の種類については特に制限はなく、鉱油及び合成油いずれも用いることができるが、スラッジの軽減の観点からは合成油を用いるのが好ましく、特に合成炭化水素系油を含有するのが好ましい。中でも、基油として、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物、ポリ−α−オレフィンまたはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物、エチレン−α−オレフィン共重合体またはその水素化物とアルキルナフタレンとの混合物から選ばれる少なくとも1種を用いると、前記一般式(1)で表される化合物との相溶性もよく、スラッジの軽減、耐熱性等の観点から好ましい。
【0092】
本発明に使用可能なポリα−オレフィン水素化物(以下、PAOという)については特に制限されず、種々のものを用いることができる。通常、平均分子量が200〜1600のPAOが好ましく、400〜800のPAOがより好ましい。このようなPAOは、デセン−1、イソブデン等をルイス酸コンプレックス又は酸化アルミニウム触媒等で重合させて得られた重合物を水素化することにより得られる。PAOを基油に用いることで、耐熱性の向上が図れ、なおかつ油から生じるスラッジの量を極端に抑えることができる。
【0093】
本発明に使用可能なエチレン−α−オレフィン共重合体水素化物(以下、PEAOという)については特に制限されず、種々のものを用いることができる。PEAOとしては、例えばエチレンと1−デセン、イソブテン等のα−オレフィンをルイス酸触媒等で重合させて得られた重合物を水素化することにより得られたものを用いることができる。通常、数平均分子量が200〜4000PEAOを用いるのが好ましく、1000〜2000のPEAOを用いるのがより好ましい。
【0094】
また、本発明に使用可能なアルキルナフタレンは、ナフタレン環上に1個以上のアルキル基を有するものであれば、特に制限なく種々のものを用いることができる。好ましくはアルキル基の炭素数の合計が5〜25程度のモノ、ジ又はトリアルキルナフタレンであり、より好ましくは低級アルキル基と高級アルキル基の両方を有するものである。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、高級アルキル基は、特に制限されるものではなく、直鎖アルキル基又は分枝アルキル基であってもよいが、粘度指数と潤滑性が優れている直鎖アルキル基を有するものが好ましい。このようなアルキルナフタレンは、例えば特開平8−302371号公報に記載されている、ナフタレン環上にメチル基1個と炭素数10〜24の第2級アルキル基を有するジアルキルナフタレン又はその混合物が挙げられる。実用的には、公知のもの、特に市販されているものが入手の容易さの点で有利である。
【0095】
本発明に用いる基油としては、PAO及びPEAOとアルキルナフタレンとの混合物が好ましく、その配合割合は、前者が0.1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%で、後者が50〜99.9重量%、好ましくは60〜98重量%である。PAO及びPEAOとアルキルナフタレンとの配合割合が前記好ましい範囲であると、耐熱性をより向上させることができるとともに、油膜形成率がより改善される。
【0096】
本発明の組成物には、種々の用途に適応した実用性能を確保するため、各種添加剤、すなわち摩耗防止剤、極圧剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、腐食防止剤、防錆剤、消泡剤等を本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0097】
本発明の焼結含油軸受油用組成物は、焼結体中に含有された状態で、例えば、多孔性の焼結体の孔中に保持された状態で、軸受け装置の摺動部の少なくとも一部に用いられる。回転する軸と軸受けの摺動部において、本発明の組成物が焼結体から供給され、摺動部の低摩擦化及び低磨耗化に寄与する。本発明の組成物は、基油に所定の円盤状化合物が添加されているので、例えば、基油にモリブデンや亜鉛等の金属化合物を添加した従来の組成物や、基油にリン酸エステルを添加した従来の組成物と比較して、低摩擦を達成でき、耐摩耗性が改善されると考えられる。
【0098】
本発明は、回転体である軸を回転可能に支持し、回転する軸との摺動部の少なくとも一部が、本発明の組成物を含む焼結体からなることを特徴とする軸受け装置、及び多孔性の焼結体と、該焼結体の孔中に保持される本発明の組成物とを有する摺動部材にも関する。焼結体の材質については特に制限されず、例えば、一般的に用いられている銅、鉄、及びアルミニウムの中から選択される1種以上の金属粉末を主原料とし、必要に応じて、すず、亜鉛、鉛、黒鉛の粉末又はこれらの合金粉末を混合し、焼結して得られた焼結金属を用いることができる。上記構成とすることによって、軸受け装置の寿命を格段に長期化できるとともに、作動の安定性も改善することができる。
【0099】
本発明の軸受け装置は、自動車、音響機器、事務機器、家電製品、農業機械など種々の分野に広く使用されている小型モータ等に利用することができる。
【実施例】
【0100】
本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例における摩擦係数は、往復動型摩擦試験機(SRV摩擦摩耗試験機)を用いて測定し、下記の試験条件で摩擦試験を行った。また、耐磨耗性は、表面粗さ計にて摩耗深さを測定することにより行った。
本発明の化合物としてN−8、N−28、N−34、S−34および潤滑剤基油を用いて、実施例1〜7の焼結含油軸受油用組成物を調製した。また、潤滑剤基油のみを用いて比較例1〜4を調製した。
[試験条件]
試験条件はシリンダ−オンプレートの条件で行った。
試験片(摩擦材):SUJ−2
プレート:φ24×6.9mm
以下の3種の焼結金属層を表面に形成したプレートを作製し、表1に記載の潤滑剤組成物をそれぞれ含有させた。
・鉄基焼結含油層(実施例1及び4〜7、並びに比較例1〜4について使用)
鋳鉄基板上に、鉄粉末に銅粉末3質量%、化学炭素0.6質量%の混合物を設置し、250MPaで圧縮成形したものを還元気流中で770℃一時間焼結して作製した。
・銅基焼結含油層(実施例2について使用)
鋳鉄基板の上に銅粉末88質量%、スズ10質量%、黒鉛2質量%の混合物を設置し、250MPaで圧縮成形したものを還元気流中で770℃一時間焼結して作製した。
・TiO2焼結含油層(実施例3について使用)
33質量%のTi(OC817−n)4にTiO2の微粉末57質量%とPEO(MW3000)を混合し、鋳鉄上に設置し、UV光を照射しつつ560℃に3hrs加熱焼結した。
シリンダ:φ15×22mm
温度:50℃、80℃
荷重:50N、100N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
試験時間:試験開始5分間
実施例1〜6の結果を表1に、比較例1〜4及び実施例7の結果を表2に各々示した。下記表に示す結果より、実施例1〜7は、比較例1〜4と比較して、低摩耗性であることが理解できる。さらに、基油として、合成炭化水素系の基油を用いた実施例1〜6のほうが、鉱油を用いた実施例7よりも、より低摩耗性であることが理解できる。
【0101】
【表1】


【0102】
【表2】


【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明によれば、工業的に使用されている焼結含油軸受の油膜形成能力を高め、軸受寿命の延長を図るための焼結含油軸受油用組成物を提供することができる。また本発明によれば、摺動部の磨耗が軽減され、安定に作動可能であり、且つ長寿命な軸受け装置を提供することができる。




 

 


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