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発明の名称 複合材料、ならびにそれを用いたフィルムおよび画像表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−51214(P2007−51214A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−237077(P2005−237077)
出願日 平成17年8月18日(2005.8.18)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 高本 哲文
要約 課題
温度条件や波長等に影響を受けることなく常に高い透明性が維持され、耐熱性、光学特性および力学特性に優れており、かつ線熱膨張係数および吸湿による変形量が小さな繊維強化複合材料を提供すること。

解決手段
平均繊維径が5〜300nmの合成樹脂繊維とマトリクス材料とを含有し、50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である複合材料。
特許請求の範囲
【請求項1】
平均繊維径が5〜300nmの合成樹脂繊維とマトリクス材料とを含有し、50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である複合材料。
【請求項2】
前記合成樹脂繊維の含有率が5〜95質量%であることを特徴とする請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記合成樹脂繊維の熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記合成樹脂繊維が、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ベンゾオキサゾール結合、スルホン結合、エーテル結合から選ばれる少なくとも一種の結合を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記マトリクス材料の熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項6】
熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
平衡含水状態における線膨張率が0.5%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項9】
前記合成樹脂繊維の平衡含水率が5.0%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の複合材料よりなることを特徴とするフィルム。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルムにガスバリア層を設けたことを特徴とするガスバリアフィルム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のフィルムに透明導電層を設けたことを特徴とする導電性フィルム。
【請求項13】
請求項10または11に記載のフィルムに透明電極を設けたことを特徴とする透明電極付きフィルム。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか一項に記載のフィルムに薄膜トランジンスタ(TFT)を設けたことを特徴とするTFT付きフィルム。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか一項に記載のフィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載の画像表示方式が液晶方式もしくは有機エレクトロルミネッセンス方式であることを特徴とする画像表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料と、この複合材料を用いてなるフィルム、ガスバリアフィルム、導電性フィルム、透明電極付きフィルム、TFT付きフィルムおよび画像表示装置に係り、詳しくは、可視光の波長よりも細い合成樹脂繊維径の繊維にマトリクス材料を含浸させてなる高透明性の繊維強化複合材料および、この繊維強化複合材料を用いたフィルムおよび画像表示装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ガラス材料は、透明性および耐熱性に優れ、かつ光学異方性も小さいことから、透明材料として広く使用されている。しかし、無機ガラスは、比重が大きく、かつ脆いため、成型されたガラス製品は重く、破損しやすい等の欠点を有している。このような欠点に鑑みて、近年は、無機ガラス材料に代替するプラスチック材料の開発が盛んに行われている。
【0003】
こうした無機ガラス材料の代替を目的としたプラスチック材料として、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が知られている。これらのプラスチック材料は、軽量で力学特性に優れ、かつ加工性にも優れているため、最近では、例えばレンズやフィルムなどの様々な用途に使用されている。
【0004】
また、液晶表示装置、有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイ分野においても、耐破損性の向上、軽量化、薄型化のニーズが高まっていることから、ガラス基板からフィルム基板に置き換えることが検討されている。フィルム基板はフレキシブルな基板となり得るため、携帯電話や、電子手帳、ラップトップ型パソコンなど携帯情報端末などの移動型情報通信機器用表示装置の基板として利用できるため、特に高いニーズがある。
【0005】
上記目的に使用される耐熱性プラスチックとしては、これまでに耐熱性の非晶ポリマー、例えば変性ポリカーボネート(例えば、特許文献1参照)、ポリエーテルスルホン(例えば、特許文献2参照)、シクロオレフィンコポリマー(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、これらの耐熱性プラスチックを用いてもプラスチックフィルム基板として十分な耐熱性が得られないという問題があった。すなわち、これらの耐熱性プラスチックを用いたプラスチック基板にガスバリア層や導電層を形成させた後、配向膜などを付与するため150℃以上の温度に曝した場合、導電性とガスバリア性が大きく低下するという問題があった。これはプラスチック基板の面内の線熱膨張がガスバリア層や導電層の線熱膨張に比べて大きいためである。また、アクティブマトリクス型画像素子作製時のTFTを設置する際には、更なる耐熱性が要求されていることから、一段と優れた耐熱性を有するフィルム基板を提供することが望まれていた。
【0006】
線熱膨張を低下させる技術として繊維強化複合材料が挙げられる。繊維強化複合材料として最も一般的なものに、ガラス繊維に樹脂を含浸させたガラス繊維強化樹脂が知られている。通常、このガラス繊維強化樹脂は不透明なものであるが、ガラス繊維の屈折率とマトリクス樹脂の屈折率とを一致させて、透明なガラス繊維強化樹脂を得る方法が、特許文献4や特許文献5に開示されている。
【0007】
特許文献4に開示される従来のガラス繊維強化樹脂は、使用条件によっては不透明となる場合がある。即ち、物質の屈折率は温度依存性を有しているため、特許文献4に開示されるガラス繊維強化樹脂は、ある温度条件では透明であっても、その温度条件と異なる条件においては、半透明ないし不透明となる。また、屈折率は、物質ごとに波長依存性を有しており、可視光波長のうち特定波長において繊維とマトリクス樹脂との屈折率を合わせても、可視帯域全域においては屈折率がずれる領域が存在する可能性があり、この領域においては、やはり透明性を得ることができない。またマトリクスに耐熱性の低い樹脂を用いているため、複合材料の耐熱性も低いという問題を有している。
【0008】
繊維としてナイロン4,6を用いた強化複合材料が非特許文献1に開示されている。しかしながら、ナイロン4,6はガラス転移温度が80℃程度であるため、それ以上の温度に加熱したときに物性(特に力学物性)の低下が見られ、耐熱性が十分ではない。
【0009】
また繊維として可視光の波長より短い平均繊維系のバクテリアセルロースを用いて透明化した繊維強化複合材料が特許文献5に開示されているが、バクテリアセルロースは、熱分解温度が240℃程度であるため、それ以上の温度の加熱により着色、物性の低下が見られ、耐熱性が十分ではない。
【0010】
熱膨張による変形に加えて、吸湿による変形が小さいことが求められる。特許文献5に開示されているバクテリアセルロースを用いた繊維強化複合材料は線熱膨張は小さいが、フィラーであるバクテリアセルロースの平衡含水率が大きいため吸湿による変形量が大きいという問題を有している。
【0011】
以上のようなことから、高い耐熱性、透明性、力学物性などの要求性能を十分に満足し、熱による変形量および吸湿による変形量が小さい材料の開発が強く望まれていた。
【特許文献1】特開2000−227603号公報(請求項7、[0009]〜[0019])
【特許文献2】特開2000−284717号公報([0010]、[0021]〜[0027])
【特許文献3】特開2001−150584号公報([0027]〜[0039])
【特許文献4】特開平7−156279号公報
【特許文献5】特開2005−60680号公報
【非特許文献1】Advanced Materials誌.1999年、11巻、16号、1362頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は従来のプラスチック材料の問題点を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、温度条件や波長等に影響を受けることなく常に高い透明性が維持され、耐熱性、光学特性および力学特性に優れており、かつ線熱膨張係数および吸湿による変形量が小さな繊維強化複合材料を提供することにある。また、本発明のもう一つの目的は、当該複合材料を用いて応用用途範囲が広いフィルムを提供し、表示品位に優れた画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は鋭意検討した結果、以下の構成を有する本発明によれば課題を解決しうることを見出した。
[1] 平均繊維径が5〜300nmの合成樹脂繊維とマトリクス材料とを含有し、50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である複合材料。
[2] 前記合成樹脂繊維の含有率が5〜95質量%であることを特徴とする[1]に記載の複合材料。
[3] 前記合成樹脂繊維の熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする[1]または[2]に記載の複合材料。
[4] 前記合成樹脂繊維が、エステル結合、アミド結合、イミド結合、ベンゾオキサゾール結合、スルホン結合、エーテル結合から選ばれる少なくとも一種の結合を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の複合材料。
[5] 前記マトリクス材料の熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の複合材料。
[6] 熱変形開始温度が250℃以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか一項に記載の複合材料。
[7] 線熱膨張係数が40ppm/℃以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか一項に記載の複合材料。
[8] 平衡含水状態における線膨張率が0.5%以下であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれか一項に記載の複合材料。
[9] 前記合成樹脂繊維の平衡含水率が5.0%以下であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか一項に記載の複合材料。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の複合材料よりなることを特徴とするフィルム。
[11] [10]に記載のフィルムにガスバリア層を設けたことを特徴とするガスバリアフィルム。
[12] [10]または[11]に記載のフィルムに透明導電層を設けたことを特徴とする導電性フィルム。
[13] [10]または[11]に記載のフィルムに透明電極を設けたことを特徴とする透明電極付きフィルム。
[14] [10]〜[13]のいずれか一項に記載のフィルムに薄膜トランジンスタ(TFT)を設けたことを特徴とするTFT付きフィルム。
[15] [10]〜[14]のいずれか一項に記載のフィルムを用いたことを特徴とする画像表示装置。
[16] [15]に記載の画像表示方式が液晶方式もしくは有機エレクトロルミネッセンス方式であることを特徴とする画像表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の複合材料およびフィルムは、透明性、耐熱性、光学特性および力学特性に優れており、かつ線熱膨張係数および吸湿による変形量が小さいという特徴を有する。また、本発明の複合材料は、ガラス繊維強化樹脂より比重を低くすることができるため、ガラス繊維強化樹脂の応用分野において、その代替材料として用いれば製品の軽量化を図ることができる。さらに、本発明の画像表示装置は、表示品位に優れており、特に液晶表示装置や有機EL表示装置等として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下において、本発明のフィルムおよび画像表示装置について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0016】
<複合材料>
(特徴)
本発明の複合材料は、平均繊維径が5〜300nmの合成樹脂繊維とマトリクス材料とを含有し、50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上で高透明性であることを特徴とする。この光線透過率は、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である。
本発明の複合材料は、熱変形開始温度が250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。本発明では、熱変形開始温度を後述する試験例4に記載される方法で測定する。また、本発明の複合材料は、窒素雰囲気下で3時間加熱した後の50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である加熱温度の下限値が、250℃以上のものが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。
本発明の複合材料中の繊維の含有率は5〜95質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがさらに好ましく、15〜80質量%であることが特に好ましい。
【0017】
本発明の複合材料は、線熱膨張係数が−20〜40ppm/℃であることが好ましく、−20〜35ppm/℃であることがさらに好ましく、−20〜30ppm/℃であることが特に好ましい。
また、本発明の複合材料は、曲げ強度が、好ましくは30MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。曲げ強度が30MPaより小さいと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。曲げ強度の上限については、通常600MPa程度であるが、繊維の配向を調整するなどの改良手法により、1GPa、さらには1.5GPa程度の高い曲げ強度を実現することも期待される。
本発明の複合材料をフィルムとして用いる場合には、その膜厚が25〜250μmであることが好ましい。膜厚は、後述する繊維の集合体の厚みを制御することで調整可能である。
【0018】
(合成樹脂繊維)
本発明において用いられる合成樹脂繊維は、熱変形開始温度が250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。また、本発明において用いられる合成樹脂繊維は、窒素雰囲気下で3時間加熱した後の50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である加熱温度の下限値が、250℃以上のものが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。
【0019】
本発明において用いられる合成樹脂繊維の平均繊維径は、5〜300nmであり、10〜250nmであることがより好ましく、20〜200nmであることが特に好ましい。なお、本発明の平均繊維径はSEM測定の画像から任意の300箇所における繊維中の直径を測定し、それを算術平均することによって求めた値である。
【0020】
本発明において用いられる合成樹脂繊維の繊維長については特に限定されないが、平均長さで100nm以上が好ましい。繊維の平均長さが100nm以上であれば、補強効果が得られやすく、製造される複合材料に十分な強度を与えやすい。本発明において用いられる繊維中には繊維長さ100nm未満のものが含まれていても良いが、その割合は30質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本発明において用いられる合成樹脂繊維としては、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスルフィド、ポリケトン、ポリアリール、ポリベンゾオキサゾールなどの縮合系ポリマー、ポリノルボルネンなどのポリシクロオレフィン系ポリマーが挙げられる。
【0022】
本発明において用いられる合成樹脂繊維は、ガラス転移温度が250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。融点を持つものである場合は、融点が250℃以上であることが好ましく、270℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。また、熱分解温度(質量減少が5質量%になる温度)が300℃以上であることが好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることが特に好ましい。
【0023】
本発明において用いられる合成樹脂繊維の力学物性としては、引張弾性率が1GPa以上であることが好ましく、5GPa以上であることがさらに好ましく、10GPa以上であることが特に好ましい。
【0024】
本発明において用いられる合成樹脂繊維の繊維方向の線熱膨張係数は−20〜40ppm/℃であることが好ましく、−20〜35ppm/℃であることがさらに好ましく、−20〜30ppm/℃であることが特に好ましい。
【0025】
本発明において用いられる合成樹脂繊維の平衡含水率は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることが特に好ましい。
【0026】
合成樹脂繊維の作製法としては、湿式紡糸、乾式紡糸、湿乾式紡糸など一般的な製造法が挙げられるが、平均繊維径を300nm以下にするために、エレクトロスピニング法、レーザー溶融紡糸法を採用することが好ましい。また、物理的処理(例えば超高圧ホモジナイザーによる強力な機械的せん断処理)によって繊維を微細化して平均繊維径を300nm以下にすることもできる。
【0027】
エレクトロスピニング法としては、加工技術、2005年、40巻、No.2、101頁、および167頁;Polymer International誌、1995年 36巻、 195〜201頁;Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁;Journal of Macromolecular Science :Physics誌、1997年、B36、169頁などに開示されている方法を用いることができる。
【0028】
エレクトロスピニング法では、溶融法、溶液法の両方を用いることができるが、繊維径を小さくするためには溶液法が好ましい。
【0029】
エレクトロスピニング法に用いられる溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、THF、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒など、合成樹脂繊維に用いられる樹脂を溶解するものであれば何でも用いることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。
【0030】
エレクトロスピニング法に用いられる樹脂溶液に、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどの塩を添加してもよい。
【0031】
本発明において用いられる合成樹脂繊維を構成する樹脂の具体例を以下に示すが、本発明で用いることができる合成樹脂繊維用の樹脂はこれらに限られるものではない。なお、繰り返し単位の右下に記載される数字はモル%を表す。また、nは50以上の整数を表す。
【0032】
【化1】


【0033】
【化2】


【0034】
【化3】


【0035】
【化4】


【0036】
【化5】


【0037】
本発明において用いられる合成樹脂繊維を構成する合成樹脂は、新高分子実験学3(共立出版)、365項から372項に記載されている方法等にて合成することができる。
合成樹脂繊維に用いられる樹脂は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせてもよい。
【0038】
(マトリクス材料)
本発明に用いられるマトリクス材料は、熱変形開始温度が250℃以上のものが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。また、本発明に用いられるマトリクス材料は、窒素雰囲気下で3時間加熱した後の50μm厚換算における波長400〜700nmの光線透過率が50%以上である加熱温度の下限値が、250℃以上のものが好ましく、270℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。
【0039】
このような耐熱性を持つマトリクス材料としては、無機高分子としては、ガラス、シリケート材料、チタネート材料などのセラミックス等が挙げられ、これらは例えばアルコラートの脱水縮合反応により形成することができる。また、有機高分子としては、合成高分子が挙げられる。軽量化の観点から、マトリクスは有機高分子であることが好ましい。
【0040】
合成高分子としては、合成樹脂繊維に挙げたような樹脂に加えて、硬化樹脂を用いることができる。
【0041】
硬化樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化型ポリイミド、スチリルピリジン系樹脂、トリアジン系樹脂等を用いることができる。
【0042】
本発明において、好ましい透明マトリクス樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ノボラック樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化型ポリイミド、スチリルピリジン系樹脂、トリアジン系樹脂等の熱硬化樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の縮合系樹脂が挙げられ、これらの中でも特にアクリル樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドが好ましい。
【0043】
マトリクス材料に用いることができる硬化樹脂の原料の具体例を、合成樹脂繊維の例に加えて以下に示すが、本発明でマトリクス材料に用いることができる硬化樹脂はこれらに限定されるものではない。
アクリル系多官能性モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エポキシ系では脂環式エポキシ基を持つもの(例えば、セロキサイド2021、セロキサイド2081(いずれもダイセル社製))、エポキシ基を3つ以上有するもの(例えばエポリードGT301、エポリードGT401(いずれもダイセル社製))、アリル基を持つものとしては、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレートなどが挙げられる。
【0044】
これらのマトリクス材料は、1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0045】
(複合材料の製造方法)
本発明の複合材料を製造するには、上述のようなマトリクス材料を形成し得る含浸用液状物を、前記合成樹脂繊維に含浸させ、次いでこの含浸用液状物を硬化させる方法を採用することが好ましい。
【0046】
ここで、含浸用液状物としては、流動状のマトリクス材料、流動状のマトリクス材料の原料、マトリクス材料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の溶液、およびマトリクス材料の原料の溶液から選ばれる1種または2種以上を挙げることができる。
【0047】
上記流動状のマトリクス材料としては、マトリクス材料そのものが流動状であるもの等をいう。また、上記流動状のマトリクス材料の原料としては、例えば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体等が挙げられる。
さらに、上記マトリクス材料を流動化させた流動化物としては、例えば、熱可塑性のマトリクス材料を加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
さらに、上記マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物としては、例えば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体が固形状の場合、これらを加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
【0048】
また、上記マトリクス材料の溶液やマトリクス材料の原料の溶液とは、マトリクス材料やマトリクス材料の原料を溶媒等に溶解させた溶液が挙げられる。この溶媒は、溶解対象のマトリクス材料やマトリクス材料の原料に合わせて適宜決定されるが、後工程でこれを除去するに当たり、蒸発除去する場合、上記マトリクス材料やマトリクス材料の原料の分解を生じさせない程度の温度以下の沸点を有する溶媒が好ましい。
【0049】
このような含浸用液状物を、合成樹脂繊維の集合体の単層体、または複数枚積層した積層体に含浸させて、合成樹脂繊維間に含浸用液状物を十分に浸透させる。この含浸工程は、その一部または全部を、圧を変化させた状態で行うのが好ましい。この圧を変化させる方法としては、減圧または加圧が挙げられる。減圧または加圧とした場合、合成樹脂繊維間に存在する空気を上記含浸用液状物と置き換えることが容易となり、気泡の残存を防止することができる。
【0050】
上記の減圧条件としては、0.133kPa(1mmHg)〜93.3kPa(700mmHg)が好ましい。減圧条件が93.3kPa(700mmHg)超で大きすぎると、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、減圧条件が0.133kPa(1mmHg)未満で低すぎると、減圧設備が過大となりすぎる傾向がある。
【0051】
減圧条件下における含浸工程の処理温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。この温度が0℃未満で低すぎると、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。なお、温度の上限は、例えば含浸用液状物に溶媒を用いた場合、その溶媒の沸点(当該減圧条件下での沸点)が好ましい。この温度より高くなると、溶媒の揮散が激しくなり、かえって、気泡が残存しやすくなる傾向がある。
【0052】
上記の加圧条件としては、1.1〜10MPaが好ましい。加圧条件が1.1MPa未満で低すぎると、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、加圧条件は10MPaより高くてもよいが、高くしすぎると加圧設備が過大となることがある。
【0053】
加圧条件下における含浸工程の処理温度は、0〜300℃が好ましく、10〜100℃がより好ましい。この温度が0℃未満で低すぎると、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、300℃超で高すぎると、マトリクス材料が変性するおそれがある。
【0054】
繊維に含浸させた含浸用液状物を硬化させるには、当該含浸用液状物の硬化方法に従って行えば良く、例えば、含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の場合は、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。また、含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の原料の場合は、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。
【0055】
また、含浸用液状物がマトリクス材料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等が挙げられる。また、含浸用液状物がマトリクス材料の原料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等の組合せが挙げられる。
【0056】
また、含浸用液状物がマトリクス材料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の蒸発や風乾等による除去等が挙げられる。さらに、含浸用液状物がマトリクス材料の原料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の除去等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等との組合せが挙げられる。なお、上記蒸発除去には、常圧下における蒸発除去だけでなく、減圧下における蒸発除去も含まれる。
【0057】
<複合材料の利用>
本発明の複合材料の表面には、用途に応じて他の層を形成してもよいし、また他の部品との密着性を高める目的で、フィルム表面上にケン化、コロナ処理、火炎処理、グロー放電処理等の処理を行ってもよい。さらに、フィルム表面にアンカー層を設けてもよい。
【0058】
本発明のフィルムの少なくとも片面側には、透明導電層を積層してもよい。透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等を適用できる。中でも、透明性、導電性、機械的特性に優れた金属酸化物膜を透明導電層とすることが好ましい。金属酸化物膜は、例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウムまたは酸化スズの金属酸化物膜;不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
【0059】
これら透明導電層の成膜方法は、目的の薄膜を形成できる方法であれば、いかなる方法でもよい。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法などが適しており、特許第3400324号、特開2002−322561号、特開2002−361774号の各公報記載の方法で成膜することができる。中でも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0060】
スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、またはプラズマCVD法の好ましい真空度は0.133mPa〜6.65Pa、好ましくは0.665mPa〜1.33Paである。透明導電層を形成する前に、プラズマ処理(逆スパッタ)、またはコロナ処理のように基材フィルムに表面処理を加えることが好ましい。また透明導電層を設けている間に50〜200℃に昇温してもよい。
【0061】
このようにして得られた透明導電層の膜厚は、20〜500nmであることが好ましく、50〜300nmであることがさらに好ましい。
【0062】
透明導電層の25℃、相対湿度60%で測定した表面電気抵抗は、0.1〜200Ω/□であることが好ましく、0.1〜100Ω/□であることがより好ましく、0.5〜60Ω/□であることがさらに好ましい。また、透明導電層の光透過性は、80%以上であることが好ましく、83%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
【0063】
本発明のフィルムには、ガス透過性を抑制するために、少なくとも片面にガスバリア層を積層することもできる。好ましいガスバリア層としては、例えば、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウムおよびタンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物で形成された膜を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物で形成された膜が良好である。これら無機化合物からなるガスバリア層は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、Cat−CVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製できる。中でも、特に優れたガスバリア性が得られるスパッタリング法およびCat−CVD法が好ましい。またガスバリア層を設けている間に50〜250℃に昇温してもよい。
【0064】
上記ガスバリア層の厚みは、10〜300nmであることが好ましく、30〜200nmであることがさらに好ましい。
【0065】
上記ガスバリア層は、透明導電層と同じ側、反対側いずれに設けてもよい。
【0066】
本発明のフィルムのガスバリア性能は、40℃、相対湿度90%で測定した水蒸気透過度が0〜5g/m2・dayであることが好ましく、0〜3g/m2・dayであることがより好ましく、0〜2g/m2・dayであることがさらに好ましい。また、40℃、相対湿度90%で測定した酸素透過度は、0〜1ml/m2・day・atmであることが好ましく、0〜0.7ml/m2・day・atmであることがより好ましく、0〜0.5ml/m2・day・atmであることがさらに好ましい。ガスバリア性能が上記範囲内であれば、例えば有機EL表示装置や液晶表示装置に用いた場合、水蒸気および酸素によるEL素子の劣化を実質的になくすことができるため好ましい。
【0067】
ガスバリア性能を向上させる目的で、ガスバリア層と隣接して欠陥補償層を形成することが好ましい。欠陥補償層としては、例えば、(1)米国特許第6,171,663号明細書、特開2003−94572号公報記載のようにゾルゲル法を用いて作製した無機酸化物層、(2)米国特許第6,413,645号明細書、第6,416,3645号明細書に記載の有機物層を用いることができる。これらの欠陥補償層は、真空下で蒸着後、紫外線または電子線で硬化させる方法、または塗布した後、加熱、電子線、紫外線等で硬化させることにより作製することができる。欠陥補償層を塗布方式で作製する場合には、従来の種々の塗布方法、例えば、スプレーコート、スピンコート、バーコート等の方法を用いることができる。
【0068】
上記ガスバリア層と欠陥補償層を交互に複数積層しても良い。
【0069】
本発明のフィルムには、耐薬品性付与を目的として無機バリア層、有機バリア層、有機−無機ハイブリッドバリア層などを設けてもよい。
【0070】
<画像表示素子>
以上説明した本発明のフィルムは、画像表示装置に用いることができる。ここで、画像表示装置の種類は特に限定されず、従来知られているものを挙げることができる。また、本発明のフィルムを基板として用いて表示品質に優れたフラットパネルディスプレイを作製できる。フラットパネルディスプレイとしては液晶、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、無機エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管、発光ダイオード、電界放出型などが挙げられ、これら以外にも従来ガラス基板が用いられてきたディスプレイ方式のガラス基板に代わる基板として用いることができる。さらに、本発明のフィルムは、フラットパネルディスプレイ以外にも太陽電池、タッチパネルなどの用途にも応用が可能である。タッチパネルは、例えば、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載のものに応用することができる。
【0071】
本発明のフィルムは、特に薄膜トランジスタ(TFT)表示素子用基板として好ましく用いることができる。TFTアレイの作製方法は、例えば、特表平10−512104号公報に記載された方法等を用いることができる。さらに、これらの基板はカラー表示のためのカラーフィルターを有していてもよい。カラーフィルターは、いかなる方法を用いて作製してもよいが、フォトリソグラフィー手法を用いて作製することが好ましい。
【0072】
反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を一般に有している。このうち本発明のフィルムは、透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に形成することが好ましい。
【0073】
透過型液晶表示装置は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、および偏光膜の構成を一般に有している。このうち本発明のフィルムは上透明電極および/または上基板として用いることができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
【0074】
液晶層(液晶セル)の種類は特に限定されないが、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti-ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensated Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertical Aligned)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のフィルムは、表示モードの液晶表示装置に用いることも有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置に用いても有効である。
【0075】
液晶セルおよび液晶表示装置については、特開平2−176625号公報、特公平7−69536号公報、MVA(SID97,Digest of tech. Papers(予稿集)28(1997)845)、SID99, Digest of tech. Papers(予稿集)30(1999)206)、特開平11−258605号公報、SURVAIVAL(月刊ディスプレイ、第6巻、第3号(1999)14)、PVA(Asia Display 98,Proc.of the-18th-Inter. Display res. Conf.(予稿集)(1998)383)、Para-A(LCD/PDP International 99)、DDVA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)838)、EOC(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)319)、PSHA(SID98, Digest of tech. Papers(予稿集)29(1998)1081)、RFFMH(Asia Display 98, Proc. of the-18th-Inter. Display res. Conf. (予稿集)(1998)375)、HMD(SID98, Digest of tech. Papers (予稿集)29(1998)702)、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報、および国際公開第00/65384号パンフレット等に記載されている。
【0076】
本発明のフィルムは、有機EL表示用途にも使用できる。有機EL表示装置の具体的な層構成としては、陽極/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/透明陰極、陽極/正孔輸送層/発光層/透明陰極、陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極等が挙げられる。
【0077】
本発明のフィルムが使用できる有機EL表示装置は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2〜40V)、または直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。これら発光素子の駆動については、例えば、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号等の各公報、米国特許第5,828,429号、同6,023,308号の各明細書、日本特許第2784615号公報等に記載の方法を利用することができる。
【0078】
有機EL表示装置のフルカラー表示方式としては、カラーフィルター方式、3色独立発光方式、色変換方式などいずれの方式を用いてもよい。
【0079】
液晶表示措置、有機EL表示装置の駆動方式としてはパッシブマトリクス、アクティブマトリクスのいずれでもよい。
【0080】
本発明のフィルムは、光学フィルム、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、透明導電フィルム、表示装置用基板、フレキシブルディスプレイ用基板、フラットパネルディスプレイ用基板、太陽電池用基板、タッチパネル用基板、フレキシブル回路用基板、光ディスク保護フィルムなどに用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0082】
[合成樹脂繊維の作製]
(製造例1)
上記J−5のN,N−ジメチルアセトアミド:塩化リチウム(20:1)10質量%溶液を調製し、Journal of Macromolecular Science: Physics誌、1997年、B36、169頁に記載の方法にてナノファイバー不織布を作製した。この不織布を蒸留水に浸漬し、室温にて一晩放置することで、繊維中の残留溶媒および塩化リチウムを除去した。真空中にて乾燥したのち、窒素雰囲気下、熱プレス機にて350℃、5MPaで5分間熱処理することで、膜厚85μmの不織布N−1を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、170nmであった。
【0083】
(製造例2)
上記J−6のN,N−ジメチルアセトアミド10質量%溶液を調製し、製造例1と同じ方法にてナノファイバー不織布を作製し、真空乾燥にて繊維中の残留溶媒を除去した。窒素雰囲気下、熱プレス機にて320℃、5MPaで5分間熱処理することで、膜厚75μmの不織布N−2を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、190nmであった。
【0084】
(製造例3)
Polymer Preprints誌、2000年、41(2)号、1193頁に開示されている方法にて、ノーメックス(デュポン社製)のナノファイバー不織布を作製し、窒素雰囲気下で熱プレス機にて320℃、5MPaで5分間熱処理することで、膜厚80μmの不織布N−3を得た。SEMで平均繊維径を測定したところ、150nmであった。
【0085】
(製造例4)
製造例1の樹脂溶液の濃度を15質量%に変える他は製造例1と同じ操作を行うことによって、平均繊維径350nm、膜厚78μmの不織布N−4を得た。
【0086】
[繊維強化複合材料フィルムの作製]
(実施例1〜5)
実施例1〜5では、それぞれ表2に記載されるフィラーとマトリクスの組み合わせを採用して、繊維強化複合材料フィルムF−1〜F−5を作製した。
製造例1〜3で得られた不織布N−1〜N−3のいずれかを、表1に示す硬化樹脂モノマー含有組成物K−1〜K−3のいずれかに減圧下(0.08MPa)で12時間浸漬処理した。その後、K−1を用いた場合は熱プレス機にて1MPaの圧力下、80℃で1時間加熱した後、さらに120℃で2時間加熱することで樹脂を硬化させた。一方、K−2かK−3を用いた場合は紫外線照射して樹脂を硬化させた(照射後、加熱なし)。これらの硬化処理を行うことによって、繊維強化複合材料フィルムF−1〜F−5を作製した。
【表1】


【0087】
(比較例1)
硬化樹脂K−1のみを硬化させてフィルムH−1を作製した。
【0088】
(比較例2)
不織布N−4と硬化樹脂モノマー含有組成物K−1を用いて、実施例1と同じ方法によりフィルムH−2を作製した。
【0089】
(比較例3)
特開2005−60680号公報に開示されている方法にて、バクテリアセルロースを原料として作成したシート(BCシート)と硬化樹脂モノマー含有組成物K−1を用いて繊維複合材料フィルムH−3を作製した。
【0090】
(比較例4)
特開平7−156279に開示されている方法にて、ポリメタクリル酸メチル22.9重量%とポリスチレン/アクリロニトリル共重合体(SAN)77.1重量%の混合物に、さらに該混合物100質量部に対してグラスファイバー(GF)20重量部を配合したGF強化樹脂組成物フィルムH−4を作製した。
【表2】


【0091】
[試験および評価]
上で作成したフィルムF−1〜F−5およびH−1〜H−4の厚さ、線熱膨張係数、400〜700nmでの光線透過率、熱変形開始温度を以下の方法で測定した。
【0092】
(試験例1) フィルムの厚さ
アンリツ(株)製、K402Bを用いて、ダイヤル式厚さゲージにより各フィルムの厚さを測定した。
【0093】
(試験例2) 線熱膨張係数
各フィルムから19mm×5mmのサイズのサンプルを切り出し、TMA(理学電機(株)製、TMA8310)を用いて線熱膨張係数を測定した。チャック間距離は15mm、測定速度は3℃/minとした。測定は3サンプルに対して行い、それらの測定結果の平均値をもって線熱膨張係数とした。線熱膨張係数は100℃〜270℃の温度範囲で算出した。ただし、比較例4は30〜100℃の温度範囲で算出した。
【0094】
(試験例3) 光線透過率
各フィルムの波長400〜700nmにおける光線透過率を分光光度計(島津製作所(株)製、分光光度計UV−3100PC)を用いて測定した。光線透過率はフィルムの膜厚を50μmに換算して算出した。
【0095】
(試験例4) 熱変形開始温度
各フィルムから19mm×5mmのサイズのサンプルを切り出し、TMA(理学電機(株)製、TMA8310)を用いて線熱膨張係数を測定した。チャック間距離は15mm、測定速度は3℃/minとした。測定は3サンプルに対して行い、それらの測定結果の平均値をもって熱変形開始温度とした。熱変形開始温度は、線熱膨張係数の変化率が、100℃〜150℃の線熱膨張係数の平均変化率を基準とて、その平均変化率より50%増加または減少した温度とした。
【0096】
[フラットパネルディスプレイの作製および評価(TN型液晶表示装置)]
(実施例6〜10および比較例5〜7)
上記のフィルムのうち光線透過率が50%以上であったフィルムF−1〜F−5およびH−1、H−3、H−4を用いて、以下の作製と評価を行った(実施例6〜10および比較例5〜7)。
(1) ガスバリア層の形成
フィルムF−1〜F−5およびH−1、H−3、H−4の両面にDCマグネトロンスパッタリング法により、Si02をターゲットとし500Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWでスパッタリングした。得られたガスバリア層の膜厚は60nmであった。ガスバリア層を形成したフィルムの40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は0.1g/m2・day未満であり、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は0.1ml/m2・day・atm未満であった。なおガスバリア性はMOCON法により試験した。
【0097】
(2) 透明導電層の形成
ガスバリア層を設置したフィルムF−1〜F−5およびH−1、H−3、H−4を100℃に加熱しながら、ITO(In2395質量%、Sn025質量%)をターゲットとしてDCマグネトロンスパッタリング法により、0.665Paの真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで140nmの厚みのITO膜からなる透明導電層を片面に設けた。透明導電層を設置したフィルムの25℃、相対湿度60%における表面電気抵抗は30Ω/□であった。
【0098】
(3) 加熱試験および吸湿試験
上記で得られた透明導電層を設置したフィルムF−1〜F−5およびH−1、H−3、H−4に対して、TFT設置プロセスを想定して270℃で1時間の加熱処理を行った(加熱試験)。室温に冷却後、SiO2層、ITO層の割れの有無を観察したところ、F−1〜F−5に割れは見られなかったが、H−1、H−3、H−4では割れが見られた。
本発明のフィルムF−1〜F−5は、比較例のフィルムH−1、H−3、H−4よりも面内の線熱膨張係数が大きく低下しているため加熱による無機層の割れがなくなっていた。H−4のシートは熱変形開始温度が160℃と低いため、270℃の加熱では大きく変形した。また、H−3はBCシートの熱分解に起因する着色、それに伴う光線透過率の低下がみられた(表3)。
【0099】
次に、リソグラフィープロセスを想定し、25℃の純水浴中に3時間浸漬した(吸湿試験)。乾燥後、SiO2層、ITO層の割れの有無を観察したところ、F−1〜F−5、H−4に割れは見られなかったが、H−1、H−3では割れが見られた。
本発明のフィルムF−1〜F−5および比較例H−4は、比較例のフィルムH−3よりもフィラーの平衡含水率が小さいために吸湿による変形量が小さく、無機層の割れが抑制されている。フィラーを添加していないH−1は吸湿による変形量が大きく無機層の割れが見られた。H−4は含水によりガラスとマトリクスとの界面に水が浸入し、光線透過率が大きく低下した。
加熱試験および吸湿試験後のフィルムのガスバリア性および表面電気抵抗値を測定したところ、F−1〜F−5に変化は見られなかったが、H−1、H−3、H−4の40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は1.0g/m2・dayより大きく、40℃、相対湿度90%における酸素透過度は1.0ml/m2・day・atmより大きく、いずれも加熱前に比べて悪化していた。また、表面電気抵抗も250Ω/□に増加していた(表3)。H−4のシートについては、加熱処理で大きく変形したため以後の評価は行わなかった。
【表3】


【0100】
(4) 円偏光膜の作製
本発明のフィルムF−1と比較例フィルムH−1、H−3を用いて作製したフィルム基板の透明導電層の反対側に、特開2000−826705号公報、特開2002−131549号公報に記載のλ/4板を積層し、さらにその上に特開2002−865554号公報に記載の偏光板を積層し円偏光板を形成した。なお、偏光膜の透過軸とλ/4板の遅相軸との角度は45°となるように配置した。
【0101】
(5) TN型液晶表示装置の作製
本発明のフィルムF−1と比較例フィルムH−1、H−3並びに微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板の透明導電層(ITO)側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成し、200℃で30分熱処理した。
さらに、ラビング処理を行った後、1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板(ガラス基板とプラスチック基板)を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110°の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70°、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製した。
さらに、フィルム基板のITOと反対面に上記λ/4板、偏光板を積層し反射型液晶表示装置を作製した。
本発明のフィルムF−1を用いたものは良好な画像が得られた。一方、比較例フィルムH−1、H−3を用いたものは、ガスバリア性の低下に起因する黒点故障(画層部に細かな黒い点となり画像が表示されない)や、導電層の割れに起因する色ずれが発生した。
【0102】
[有機EL素子の作製および評価]
(実施例11および比較例8〜9)
本発明のフィルムF−1と比較例フィルムH−1、H−3をそれぞれ用いて、有機EL素子試料A(実施例11)、B(比較例8)およびC(比較例9)を作製した。
上記で加熱処理を行った透明導電層を形成した基板フィルムの透明電極層より、アルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100nmのホール輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Xとした。
一方、厚さ188μmのポリエーテルスルホン(住友ベークライト(株)製スミライトFS−1300)からなる仮支持体の片面上に、下記組成を有する発光性有機薄膜層用塗布液を、スピンコーターを用いて塗布し、室温で乾燥することにより、厚さ13nmの発光性有機薄膜層を仮支持体上に形成した。これを転写材料Yとした。
【0103】
ポリビニルカルバゾール(Mw=63000、アルドリッチ社製) 40質量部
トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体) 1質量部
ジクロロエタン 3200質量部
【0104】
基板Xの有機薄膜層の上面に転写材料Yの発光性有機薄膜層側を重ね、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、仮支持体を引き剥がすことにより、基板Xの上面に発光性有機薄膜層を形成した。これを基板XYとした。
【0105】
また、25mm角に裁断した厚さ50μmのポリイミドフィルム(UPILEX-50S、宇部興産製)の片面上に、パターニングした蒸着用のマスク(発光面積が5mm×5mmとなるマスク)を設置し、約0.1mPaの減圧雰囲気中でAlを蒸着し、膜厚0.3μmの電極を形成した。Al23ターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリングにより、Al23をAl層と同パターンで蒸着し、膜厚3nmとした。Al電極よりアルミニウムのリード線を結線し、積層構造体を形成した。得られた積層構造体の上に下記組成を有する電子輸送性有機薄膜層用塗布液をスピンコーター塗布機を用いて塗布し、80℃で2時間真空乾燥することにより、厚さ15nmの電子輸送性有機薄膜層を形成した。これを基板Zとした。
【0106】
ポリビニルブチラール2000L(Mw=2000、電気化学工業社製) 10質量部
1−ブタノール 3500質量部
下記構造を有する電子輸送性化合物 20質量部
【0107】
【化6】


【0108】
基板XYと基板Zを用い、電極同士が発光性有機薄膜層を挟んで対面するように重ね合せ、一対の熱ローラーを用い160℃、0.3MPa、0.05m/minで加熱・加圧し、貼り合せ、有機EL素子試料A、B、Cを得た。
【0109】
得られた有機EL素子試料A、B、Cをソースメジャーユニット2400型(東洋テクニカ(株)製)を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加した。本発明の試料Aは、発光することを確認した。一方、比較試料B、Cは一瞬発光したもののすぐに発光しなくなった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のフィルムは、必要に応じて各種機能層を設けた上で、液晶、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、無機エレクトロルミネッセンス、蛍光表示管、発光ダイオード、電界放出型などフラットパネルディスプレイなどの画像表示装置に用いることができる。また、本発明のフィルムは、太陽電池、タッチパネル、プリント配線基板などの用途にも利用可能である。したがって、本発明の産業上の利用可能性は高い。




 

 


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