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発明の名称 セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31711(P2007−31711A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2006−175691(P2006−175691)
出願日 平成18年6月26日(2006.6.26)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 桜沢 守 / 野副 寛 / 小川 智宏
要約 課題
光学的異方性(特にRth)が小さく、さらには広い波長範囲での光学的異方性(特にRth)が小さく波長分散の小さい、優れたセルロースアシレートフィルムを提供すること、光学的異方性が小さく、広い波長範囲での光学的異方性が小さく波長分散の小さい、優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した作製した光学補償フィルム、偏光板などの光学材料を提供すること、このようなこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供すること。

解決手段
レターデーション調節剤の少なくとも1種と、700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有しかつ450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が30.0以下である近赤外線吸収剤の少なくとも1種とを含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
特許請求の範囲
【請求項1】
(A)450nm以上800nm以下の波長領域において、1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が0.1以下であるレターデーション調節剤の少なくとも1種と、(B)700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有しかつ450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が30.0以下である近赤外線吸収剤の少なくとも1種と、を含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【請求項2】
前記レターデーション調節剤が下記一般式(1)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
【化1】




{一般式(1)中、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基及びアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(2):
【化2】




{一般式(2)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(3):
【化3】




{一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。X31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。}
一般式(4):
【化4】




{一般式(4)中、R41は置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表し、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(5):
【化5】




{一般式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。R51及びR52の炭素数の総和は10以上である。}
一般式(6):
【化6】




{一般式(6)中、R61は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、R62は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。L61は、2価〜6価の連結基を表し、eはL61の価数に応じた2〜6の整数を表す。}
【請求項3】
前記レターデーション調節剤が、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項4】
前記レターデーション調節剤が、エチレン性不飽和モノマーの重合体であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項5】
前記近赤外線吸収剤が、450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が15.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項6】
前記近赤外線吸収剤が、800nm以上950nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項7】
前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRthとReが、それぞれ下記数式(1A)および数式(1B)の範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm
【請求項8】
400nm以上700nm以下の波長範囲において、前記セルロースアシレートフィルムのRthの変動が50nm以下であり、且つReの変動が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項9】
前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
(但しRe630≧1)
【請求項10】
前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)および数式(3B)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
{数式(3A)および数式(3B)中、Re630(max)およびRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)およびRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。}
【請求項11】
前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00であり、且つその平均重合度が180〜700である請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項12】
前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.50〜2.95であり、その平均重合度が180〜550である請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項13】
膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項14】
前記セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下である請求項1〜13のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項15】
前記延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、Reが下記数式(4)の関係を満足する請求項14に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
{式中、Re(n)はn(%)延伸されたフィルムの630nmにおけるRe、Re(0は延伸していないフィルムの630nmにおけるReである。}
【請求項16】
偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
【請求項17】
液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が請求項16に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項18】
液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルロースアシレートフィルムは、その強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
【0003】
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことが重要である。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価する際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
【0004】
また、最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
【0005】
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムは知られていたが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムが強く望まれている。
【0006】
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に製膜性能を良化するため可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル;フタル酸エステル類などが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果を有するものが知られているが、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果は十分とはいえない。
また特許文献1には特定構造のリン酸系可塑剤を含有するセルロースアシレートフィルムが開示されているが、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果はまだ十分とはいえない。
さらに、レターデーション調整剤あるいはレターデーション調節剤を用いることによりRthの値を十分に小さくしたセルロースアシレートフィルムや、高置換度のセルロースアシレートを用いることでレターデーションを低下させることも知られているが、Rthの波長分散を小さくする効果は十分とはいえない。
【0007】
一方、セルロースアシレートフィルムに種々の機能を持たせるために、様々な添加剤を添加することも行われてきた。その一つに赤外線吸収剤が挙げられる。
特許文献2には赤外吸収染料を含有する光学フィルムが開示され、Re、Rthの値を小さくし得る技術が提案されている。また特許文献3には二色性を示すレターデーション調整剤として赤外線吸収剤および/または紫外線吸収剤を用い、該レターデーション調整剤を屈折率異方性を有する樹脂に混合して得られるフィルムのReが広い波長域にわたり変化を小さくする技術が提案されている。しかしながら、赤外線吸収剤を用いた従来の方法では、液晶表示装置に用いる場合にはRthの波長分散調整を調整する効果が不十分であるか、または可視領域の着色が小さくなく透明性が不十分であるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−41911号公報
【特許文献2】特開2001−194522号公報
【特許文献3】特開2004−325523号公報
【非特許文献1】プラスチック材料講座、第17巻、日刊工業新聞社、「繊維素系樹脂」、121頁(昭和45年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光学的異方性(特にRth)が小さく、さらには広い波長範囲での光学的異方性(特にRth)が小さく波長分散の小さい、優れたセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明のさらなる目的は、光学的異方性が小さく、広い波長範囲での光学的異方性が小さく波長分散の小さい、優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、及びこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題に鑑み、本発明者らは光学異方性を小さくしつつ、かつ波長分散を小さくしようと鋭意検討した結果、可視領域の長波長側に負の屈折率を発現する近赤外線吸収剤をフィルムに添加することで、相対的に大きい長波長側のセルロースアシレートフィルムのレターデーションを低下させ、可視領域の波長範囲におけるレターデーションの波長分散を小さくすることができ、効率的に低レターデーションと低波長分散を両立させることに成功した。
また、赤外線吸収剤を添加したフィルムでは着色が生じがちであるという問題に対し、可視領域における吸光度が特定範囲内である近赤外線吸収剤を用いることで、透明性と透過性の求められる光学フィルム用途に実用上問題なく利用できることを見出した。
すなわち、以下に記載するセルロースアシレートフィルムにより、本発明の課題が達成された。
【0010】
1. (A)450nm以上800nm以下の波長領域において、1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が0.1以下であるレターデーション調節剤の少なくとも1種と、(B)700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有しかつ450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が30.0以下である近赤外線吸収剤の少なくとも1種と、を含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
2. 前記レターデーション調節剤が下記一般式(1)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1.に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
【0011】
【化7】



【0012】
{一般式(1)中、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基及びアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(2):
【0013】
【化8】



【0014】
{一般式(2)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(3):
【0015】
【化9】



【0016】
{一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。X31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。}
一般式(4):
【0017】
【化10】



【0018】
{一般式(4)中、R41は置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表し、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(5):
【0019】
【化11】



【0020】
{一般式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。R51及びR52の炭素数の総和は10以上である。}
一般式(6):
【0021】
【化12】



【0022】
{一般式(6)中、R61は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、R62は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。L61は、2価〜6価の連結基を表し、eはL61の価数に応じた2〜6の整数を表す。}
3. 前記レターデーション調節剤が、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1.または2.に記載のセルロースアシレートフィルム。
4. 前記レターデーション調節剤が、エチレン性不飽和モノマーの重合体であることを特徴とする上記1.に記載のセルロースアシレートフィルム。
【0023】
5. 前記近赤外線吸収剤が、450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が15.0以下であることを特徴とする上記1.〜4.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
6. 前記近赤外線吸収剤が、800nm以上950nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有することを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
7. 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRthとReが、それぞれ下記数式(1A)および数式(1B)の範囲を満たすことを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm
8. 400nm以上700nm以下の波長範囲において、前記セルロースアシレートフィルムのRthの変動が50nm以下であり、且つReの変動が10nm以下であることを特徴とする上記1.〜7.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【0024】
9. 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(2)の関係を満たすことを特徴とする上記1.〜8.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
(但しRe630≧1)
10. 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)および数式(3B)の関係を満たすことを特徴とする上記1.〜9.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
{数式(3A)および数式(3B)中、Re630(max)およびRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)およびRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。}
11. 前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00であり、且つその平均重合度が180〜700である上記1.〜10.のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【0025】
12. 前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.50〜2.95であり、その平均重合度が180〜550である上記1.〜11.のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
13. 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする上記1.〜12.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
14. 前記セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下である上記1.〜13.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
【0026】
15. 前記延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、Reが下記数式(4)の関係を満足する上記14.に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
{式中、Re(n)はn(%)延伸されたフィルムの630nmにおけるRe、Re(0は延伸していないフィルムの630nmにおけるReである。}
16. 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が上記1.〜15.のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
17. 液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が上記16.に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
18. 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする上記17.に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、光学的異方性(特にRth)が小さく、さらには広い波長範囲での光学的異方性(特にRth)が小さい、優れたセルロースアシレートフィルムを作製することができ、このセルロースアシレートフィルムを用いて光学補償フィルム、偏光板などの光学材料、及びこれらを用いた液晶表示装置を提供することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔セルロースアシレートフィルムのレターデーション〕
以下にレターデーションRe及びRthについて詳細に説明する。
本発明において、Reλ、Rthλ(あるいは、Re(λ)、Rth(λ)と記す)は、それぞれ、波長λにおける正面方向のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。
【0029】
[レターデーション値の測定]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムのレターデーションの測定方法について説明する。
【0030】
(正面方向のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフイルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフイルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
【0031】
【数1】


【0032】
注記:上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。式(1)におけるdは、膜厚(nm)を表す。
【0033】
【数2】


【0034】
測定されるフイルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフイルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
【0035】
以下に、本発明のセルロースアシレートフィルムに含有される化合物について、順次説明する。
【0036】
〔レターデーション調節剤〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記のレターデーション調節剤を含有する。すなわち、1.0g/リットル換算の良溶媒、例えばジクロロメタン溶液のセル長1cmでのレターデーション調節剤による吸光度が、450nm以上800nm以下の波長領域で0.1以下であるレターデーション調節剤である。ジクロロメタンが良溶媒である場合は、ジクロロメタンを溶媒として使用した時の吸光度を採用する。
本発明のレターデーション調節剤とは下記数式(I)及び(II)を満たす化合物である。
(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(II)0.01≦A≦30
ここで、
Rth(A):レターデーション調節剤をA%含有したフィルムのRth(nm)
Rth(0):レターデーション調節剤含有しないフィルムのRth(nm)
A:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときのレターデーション調節剤の質量(%)である。
【0037】
上記数式(I)及び(II)は好ましくは下記数式(Ia)及び(IIa)を満たすことが好ましい。
(Ia)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(IIa)0.01≦A≦15
尚、数式(I)、(II)、(Ia)、及び(IIa)におけるレターデーション値の測定波長は630nmである。
【0038】
本発明のレターデーション調節剤は前記一般式(1)〜(6)から選ばれる少なくとも1種のレターデーション調節剤であることが好ましい。以下に、本発明で用いられる一般式(1)〜(6)で表されるレターデーション調節剤について詳細に説明する。
【0039】
まず、一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(1):
【0040】
【化13】


【0041】
上記一般式(1)において、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。Rがアリール基であるとき、R13はアルキル基でもアリール基でもよいが、アルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。アリール基は炭素数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
【0042】
次に、一般式(2)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(2):
【0043】
【化14】


【0044】
上記一般式(2)において、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。R21は環状のアルキル基であることが好ましく、R22及びR23の少なくとも一方が環状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基は炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
【0045】
上記一般式(1)及び(2)におけるアルキル基及びアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
【0046】
次に、一般式(1)又は(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
なお、(A− )と付してある化合物が一般式(1)で表される化合物の具体例であり、(B− )と付してある化合物が一般式(2)で表される化合物の具体例である。
【0047】
【化15】


【0048】
【化16】


【0049】
【化17】


【0050】
【化18】


【0051】
上記の化合物は、いずれも既知の方法により製造することができる。すなわち、一般式(1)及び一般式(2)の化合物は、縮合剤{例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など}を用いた、カルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、又はカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
【0052】
次に、前記一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3):
【0053】
【化19】


【0054】
上記一般式(3)において、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
【0055】
31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X31、X32、X33及びX34の組み合わせは、特に限定されないが、−CO−、−NR35−から選ばれるのがより好ましい。a、b、c及びdは0以上の整数であり、0又は1であることが好ましく、a+b+c+dは2以上であり、2〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z31の価数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、2又は3が最も好ましい。有機基とは、有機化合物からなる基をいう。
【0056】
また、上記一般式(3)としては、好ましくは下記一般式(3−1)で表される化合物である。
一般式(3−1):R311−X311−Z311−X312−R312
【0057】
上記一般式(3−1)において、R311及びR312は、それぞれ、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。X311及びX312は、それぞれ独立に、−CONR313−又は−NR314CO−を表し、R313及びR314は、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。Z311は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR31−、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる、1種以上の基から形成される2価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z311の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR315−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
【0058】
上記一般式(3−1)としては、好ましくは下記一般式(3−2)〜(3−4)で表される化合物である。
一般式(3−2):
【0059】
【化20】


【0060】
一般式(3−3):
【0061】
【化21】


【0062】
一般式(3−4):
【0063】
【化22】


【0064】
上記一般式(3−2)〜(3−4)において、R321、R322、R323及びR24は、それぞれ置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。Z321は−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−NR325−(R325は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。Z321の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR325−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
【0065】
以下に、上記の置換もしくは無置換の脂肪族基について説明する。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、t−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
【0066】
以下に、上記の芳香族基について説明する。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
【0067】
また、以下に前記の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基など)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0068】
一般式(3)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0069】
【化23】


【0070】
【化24】


【0071】
【化25】


【0072】
本発明に用いられる化合物は、いずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(3)及び(3−1)〜(3−4)のいずれかで表される化合物は、例えば、カルボニルクロリドとアミンとの縮合反応により得られる。
【0073】
次に、一般式(4)及び(5)の化合物について説明する。
一般式(4):
【0074】
【化26】


【0075】
上記一般式(4)において、R41は置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表し、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。また、R41、R42及びR43の炭素数の総和が10以上であることが特に好ましい。
【0076】
一般式(5):
【0077】
【化27】


【0078】
また、一般式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。また、R51及びR52の炭素数の総和は10以上であり、それぞれ、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
【0079】
置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が特に好ましい。
【0080】
またアルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。
【0081】
アリール基としては炭素数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。
【0082】
一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0083】
【化28】


【0084】
【化29】


【0085】
【化30】


【0086】
【化31】


【0087】
【化32】


【0088】
以下、本発明一般式(6)で表される化合物について説明する。
一般式(6):
【0089】
【化33】


【0090】
上記一般式(6)において、R61は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、R62は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。置換基としては好ましくは前記の置換基Tが挙げられる。L61は2〜6価の連結基を表す。L61の価数として、好ましくは2〜4、より好ましくは2又は3である。eはL61の価数に応じた2〜6の整数を表し、2〜4がより好ましく、2又は3が特に好ましい。
1つの化合物の中に含まれる2つ以上のR61及びR62は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは同一である。
【0091】
上記一般式(6)として好ましくは、下記一般式(6−1)で表される化合物である。
一般式(6−1):
【0092】
【化34】


【0093】
上記一般式(6−1)において、R611は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。R611として好ましくは、置換もしくは無置換の芳香族基であり、さらに好ましくは無置換の芳香族基である。R612は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。R612として好ましくは水素原子、又は置換もしくは無置換の脂肪族基であり、さらに好ましくは水素原子である。L611は−O−、−S−、−CO−、−NR613−(R613は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR613−及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。また、連結基は、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれる2以上からなる連結基が好ましい。
【0094】
以下に上記置換もしくは無置換の脂肪族基について説明する。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、t−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
【0095】
以下に上記芳香族基について説明する。芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
【0096】
また、前記の置換基Tは上記の一般式(3)で説明したものと同義である。
【0097】
上記一般式(6)としては、下記一般式(6−2)で表される化合物であることがより好ましい。
一般式(6−2):
【0098】
【化35】


【0099】
上記一般式(3)において、R621、R622、R623、R624、R625、R626、R627、R628、R629及びR630は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては例えば前記の置換基Tが適用できる。
【0100】
621、R622、R623、R624、R625、R626、R627、R628、R629及びR630としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のものであり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、具体的には例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。これらの置換基はさらに置換されてもよく、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。R621とR626、R622とR627、R623とR28、R624とR629、及びR62えとR630はそれぞれ同一であることが好ましい。さらに、R621〜R630はいずれも水素原子である場合がより好ましい。
【0101】
621は、−O−、−S−、−CO−、−NR631−(R631は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR631−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。また、連結基は、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれる2以上からなる連結基がさらに好ましい。
【0102】
一般式(6)、一般式(6−1)、又は一般式(6−2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0103】
【化36】


【0104】
【化37】


【0105】
【化38】


【0106】
本発明に用いられる化合物は、いずれも既知の化合物より製造することができる。
一般式(6)、(6−1)及び(6−2)のいずれか1種以上で表される化合物は、一般的には、スルホニルクロリドと多官能アミンとの縮合反応により得られる。
【0107】
本発明に用いられるレターデーション調節剤である一般式(1)〜(6)で表される化合物のうち、鹸化耐性の観点から一般式(1)〜(3)で表される化合物が好ましく、一般式(2)で表される化合物が最も好ましい。鹸化耐性の優れたレターデーション調節剤を用いることで鹸化処理前後におけるフィルムのレターデーション変化を抑制することができる。
【0108】
また、上記一般式(1)〜(6)で表される化合物以外のレターデーション調節剤として、特開2006−30937号公報に記載の脂肪酸エステル(例えば、特開2006−30937号公報に記載の一般式(2)〜(12)の化合物)、エチレン不飽和モノマーの共重合体(例えば、特開2003−12859号公報に記載のアクリル系ポリマーおよびオリゴマー等)、二塩基酸とグリコールの共重合体(例えば、アジピン酸ポリエステル、コハク酸ポリエステル、フタル酸ポリエステル等)、下記一般式(7)で表される化合物も好ましく用いることができる。
【0109】
【化39】


【0110】
(式中、X2はB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、PまたはP=Oを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表す。)
【0111】
2はB、C−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、P=Oを表しX2として好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、N、P=Oであり、更に好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
【0112】
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0113】
以下に前述の置換基Tについて説明する。置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(7)で表される化合物に関して具体例をあげるが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
【0114】
【化40】


【0115】
【化41】


【0116】
【化42】


【0117】
【化43】


【0118】
【化44】


【0119】
【化45】



【0120】
上記一般式(1)〜(6)で表される化合物以外のレターデーション調節剤として、エチレン性不飽和モノマーの重合体も好ましく使用できる。
【0121】
以下に、本発明で使用されるエチレン性不飽和モノマーの重合体について説明する。
【0122】
本発明で使用されるエチレン性不飽和モノマーの重合体は重量平均分子量が500以上10,000以下であることが好ましく、オリゴマーから低分子量ポリマーの間にあると考えられるものである。重量平均分子量が10,000以下であればセルロースエステルとの相溶性が良好である。重量平均分子量が10,000を超えるとブリードアウトの発生が増加してしまう。重量平均分子量は800以上8,000以下であることがより好ましく、1000以上5,000以下であることがさらに好ましい。
【0123】
かかる重合体を構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれらに限定されない。
【0124】
エチレン性不飽和モノマーを重合して得られる重合体を構成するエチレン性不飽和モノマー単位としては:ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等;アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル等;メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることが出来る。上記モノマーで構成される重合体はコポリマーでもホモポリマーでもよく、ビニルエステルのホモポリマー、ビニルエステルのコポリマー、ビニルエステルとアクリル酸またはメタクリル酸エステルとのコポリマーが好ましい。特にアクリル系重合体が好ましい。
【0125】
本発明において、アクリル系重合体とは、芳香環あるいはシクロヘキシル基を有するモノマー単位を有しないアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステルのホモポリマーまたはコポリマーを指す(以下、当該構成のアクリル系重合体を、単に「アクリル系重合体」という)。
本発明において、芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体というのは、必ず芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系重合体である。
また本発明において、シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体というのは、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系重合体である。
【0126】
芳香環及びシクロヘキシル基を有さないアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。
【0127】
アクリル系重合体は上記モノマーのホモポリマーまたはコポリマーであるが、アクリル酸メチルエステルモノマー単位が30質量%以上を有していることが好ましく、また、メタクリル酸メチルエステルモノマー単位が40質量%以上有することが好ましい。特にアクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチルのホモポリマーが好ましい。
【0128】
芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(o、mまたはp−トリル)、メタクリル酸(o、mまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)等を挙げることが出来るが、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニチル、メタクリル酸フェネチルを好ましく用いることが出来る。
【0129】
芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体中、芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位が20〜40質量%を有し、且つアクリル酸またはメタクリル酸メチルエステルモノマー単位を50〜80質量%有することが好ましい。該重合体中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を2〜20質量%有することが好ましい。
【0130】
シクロヘキシル基を有するアクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等を挙げることが出来るが、アクリル酸シクロヘキシル及びメタクリル酸シクロヘキシルを好ましく用いることが出来る。
【0131】
シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体中、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を20〜40質量%を有し且つ、アクリル酸またはメタクリル酸メチルエステルモノマー単位を50〜80質量%有してもよい。また、該重合体中、水酸基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を2〜20質量%好ましく有することもできる。
【0132】
本発明において、側鎖に水酸基を有する重合体も好ましく用いることができる。水酸基を有するモノマー単位としては、前記したモノマーと同様であるが、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸−p−ヒドロキシメチルフェニル、アクリル酸−p−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることが出来、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。重合体中に水酸基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルモノマー単位は重合体中2〜20質量%含有することが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
【0133】
本発明で使用されるエチレン性不飽和モノマーの重合体構成に有用な、官能基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、ポリマーの側鎖に紫外線吸収性基や帯電防止性基を有しているものを用いても良い。コポリマーとしてTgが50℃以下になるような基であれば制限なく用いられる。官能基を有するエチレン性不飽和モノマーのエチレン性基としては、ビニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基で、これらは好ましく用いられる。
【0134】
本発明に有用な紫外線吸収性基を有するエチレン性不飽和モノマーの紫外線吸収性基としては、ベンゾトリアゾール基、サリチル酸エステル基、ベンゾフェノン基、オキシベンゾフェノン基、シアノアクリレート基等を挙げることができ、本発明においては何れも好ましく用いることが出来る。
【0135】
紫外線吸収性基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、特開平6−148430号公報に記載の紫外線吸収性ポリマーを構成する紫外線吸収性モノマー、特開2002−20410号公報に記載の紫外線吸収性モノマーを好ましく用いることができる。
【0136】
帯電防止性基を有するエチレン性不飽和モノマーの帯電防止性基としては、4級アンモニウム基、スルホン酸塩の基、ポリエチレンオキサイド基等を挙げることが出来るが、溶解性や帯電性能の観点から4級アンモニウム基が好ましい。特開2002−20410号公報に記載の帯電防止性基を有するエチレン性不飽和モノマーを好ましく用いることができる。
【0137】
下記にかかる重合体の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0138】
【化46】


【0139】
【化47】



【0140】
【化48】


【0141】
かかる重合体の合成法は、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法、特開2002−20410号公報及び特開2003−12859号公報等に記載の合成方法を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いられる。
【0142】
また本発明に用いられるレターデーション調節剤としては、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましく、中でも一般式(1)〜(6)の化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。化合物のlogP値が7以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が優れており、フィルムの白濁や粉吹きを生じるなどの問題が生じないので好ましい。またlogP値が0以上であれば、親水性が高くなりすぎてセルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させるなどの問題が生じないので好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
【0143】
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000年)に記載のフラスコ震盪法により実施することができる。またオクタノール−水分配係数(logP値)は、実測に代わって計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。
計算方法としては、Crippen’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,27巻、p.21(1987年)}、Viswanadhan’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,29巻、p.163(1989年)}、Broto’s fragmentation法{“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻、p.71(1984年)}などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が前記の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断するものとする。
【0144】
本発明で使用されるレターデーション調節剤のうち、上記一般式(7)で表される化合物以外のものは、分子量が150以上3000以下であることが好ましく、170以上2000以下であることがより好ましく、200以上1000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
【0145】
レターデーション調節剤は、好ましくは25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またレターデーション調節剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
【0146】
レターデーション調節剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
【0147】
レターデーション調節剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
【0148】
レターデーション調節剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
【0149】
レターデーション調節剤は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80〜99%であることが好ましい。本発明に用いられる化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面及び中心部の化合物量を測定して求めることができる。
【0150】
[近赤外線吸収剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムは700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近赤外線吸収剤を少なくとも1種含有する。
本発明の近赤外線吸収剤について説明する。
光の波長と屈折率との関係については、Kramers−Kronigの関係式から、化合物の吸収極大の近傍で屈折率が大きく変化し、吸収極大の短波長側では負の屈折率が、吸収極大の長波長側では正の屈折率が発現することが知られている。
700〜1200nmに吸収極大を有する近赤外線吸収剤はセルロースアシレートフィルム中での存在状態が好適であれば、可視領域に負の屈折率異方性を発現し、Rthの値を低下することができる。
【0151】
本発明の近赤外線吸収剤は少なくとも1つの極大吸収波長が700nm以上1200nm以下にあることが好ましく、800nm以上950nm以下であることがより好ましい。800nm以上900nm以下であることが最も好ましい。本発明においては、極大吸収波長が測定法によって異なる場合、極大吸収波長はジクロロメタンを溶媒として測定して得られた値を採用する。
【0152】
本発明の近赤外線吸収剤は、セルロースアシレートフィルムの透明性の観点から、近赤外線吸収剤の1.0g/リットル換算の良溶媒、例えばジクロロメタン溶液のセル長1cmでの近赤外線吸収剤による吸光度が450nm以上650nm以下の波長領域で30.0以下であり、15.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
さらに400nm以上700nm以下の波長領域の吸光度が20.0以下であり、10.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
【0153】
本発明の近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポリメチン系化合物、チオール系金属錯塩、アミノチオフェレート系金属錯塩、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、アミニウム塩、ピリリウム系化合物、スクアリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、トリアリルメタン系化合物、アズレニウム系化合物、インドフェノール系化合物およびアントラキノン系化合物等の有機化合物、及びアルミニウム塩等の無機化合物等を挙げることができる。
【0154】
具体的には、特開平6−256564及び特開2001−208913に開示されている各種化合物、特開昭61−154888、特開昭61−197281、特開昭61−246091、特開昭63−37991、特開昭63−39388、特開昭62−233288、特開昭63−312889、特開平2−43269、特開平2−138382、特開平2−296885、特開平3−43461、特開平3−77840、特開平3−100066、特開平3−62878、特開平6−214113、特開平10−78509等に開示されているフタロシアンニン類あるいはナフタロシアニン類、特公昭58−56533、特開昭62−54143、特公平2−4881、特開平4−45546、特開2003−221523、特開2003−327865等に開示されているようなチオール系金属錯塩、特開昭63−112593、特開2001−89492等に開示されているようなアミノチオフェレート系金属錯塩、特開2003−96040、特開2003−327865等に開示されているようなジインモニウム系化合物、特開2002−286931、特開2001−194522等に開示されているようなピリリウム系化合物、スクアリリウム系化合物あるいはクロコニウム系化合物、特開昭61−291651、特開昭61−291652、特開昭62−15260、特開昭62−132963、特開平1−129068、特開平1−172458等に開示されているようなアントラキノン類が挙げられる。
【0155】
本発明の近赤外線吸収剤の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
KAYASORB IRG−022、KAYASORB IRG−040(日本化薬社製)、NIR−IM1、NIR−IM2、NIR−IM3、NIR−IM4(ナガセケムテックス社製)、MIR−369(山本化成社製)、IR−301(山田化学工業社製)、SDA4428、SDA4927、SDA5688、SDA6104、SDA7611、SDA7775、SDA9800、SDG7047(H.W.SANDS社製)、Projet830NP、Projet900NP(アビシア社製)、下記式化合物IR−1、IR−2及びIR−3等が挙げられる。
【0156】
【化49】


【0157】
本発明の近赤外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対して0.001〜2質量%であることが好ましく、0.002〜1質量%であることがより好ましく、0.01〜0.5質量%であることが特に好ましい。
【0158】
本発明の近赤外線吸収剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
【0159】
本発明の近赤外線吸収剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
【0160】
〔セルロースアシレート〕
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
【0161】
[セルロースアシレート置換度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明において好適なセルロースアシレートについて記載する。
本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素数が2のアセチル基から炭素数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明においてセルロースアシレートにおける、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。
【0162】
上記のように、セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることが好ましく、2.85〜3.00であることがより好ましい。
【0163】
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、又は芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、i−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどが好ましく、アセチル、プロピオニル、ブタノイルがより好ましい。最も好ましい基はアセチルである。
【0164】
上記のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学的異方性がより好適に低下できる。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらに好ましくは2.65〜3.00である。
上記のセルロースアシレートのアシル置換基が、実質的にアセチル基のみからなる場合においては、その全置換度が2.50〜2.95の場合にセルロースアシレートフィルムの光学的異方性がより好適に低下できる。
【0165】
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が該上限値以下であれば、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎることがなく流延によるフィルム作製が容易にできるので好ましい。重合度が該下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定できる。この方法は特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。
【0166】
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜4.0であることがさらに好ましく、2.3〜3.4であることが最も好ましい。
【0167】
さらにセルロースアシレートの低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。
【0168】
なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
【0169】
本発明のセルロースアシレートフィルムの製造時に使用される際には、セルロースアシレートの含水率は、2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは水を含有しており、含水率2.5〜5質量%程度が知られている。本発明でセルロースアシレートの好ましい含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。これらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0170】
本発明においてセルロースアシレートは、置換基、置換度、重合度、分子量分布など前記した範囲であれば、単一又は異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
【0171】
〔セルロースアシレートへの添加剤〕
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において、前記のレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤の外に、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期は、ドープ作製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0172】
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、マット剤として微粒子を含有することが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができるためより好ましい。見かけ比重は90〜200g/Lが好ましく、100〜200g/Lがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が低減するため好ましい。
【0173】
これらの微粒子は、通常、平均粒子径が0.1〜3.0μmの二次粒子を形成しており、フィルム中では1次粒子の凝集体として存在して、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
【0174】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、「アエロジルR972」、「アエロジルR972V」、「アエロジルR974」、「アエロジルR812」、「アエロジル200」、「アエロジル200V」、「アエロジル300」、「アエロジルR202」、「アエロジルOX50」、「アエロジルTT600」{以上、日本アエロジル(株)製}などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、「アエロジルR976」及び「アエロジルR811」{以上、日本アエロジル(株)製}の商品名で市販されており、使用することができる。
【0175】
これらの中では「アエロジル200V」及び「アエロジルR972V」が、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0176】
本発明において、2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るため、微粒子の分散液を調製する際に、いくつかの手法が考えられる。例えば、溶媒と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液を予め作製し、この微粒子分散液を、別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。他にも、溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶媒などと混合して分散するときの、二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
【0177】
使用される溶媒は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
【0178】
〔紫外線吸収剤〕
本発明には、200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ紫外線吸収剤を含有することもできる。本発明で用いられる紫外線吸収剤の吸収帯範囲は、200〜400nmであることが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。さらに250nm以上360nm以下の波長範囲に少なくとも1つの吸収極大を有することが好ましく、300nm〜360nmの波長範囲に少なくとも1つの吸収極大を有することがより好ましい。
【0179】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体構造としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、スルホ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。トリアジン系化合物が好ましい。
【0180】
上記のような、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、揮散性の観点から、分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
【0181】
本発明で使用する紫外線吸収剤はより好ましくは下記一般式(8)で表される化合物である。
一般式(8):Q71−Q72−OH
式中、Q71はトリアジン環、Q72は芳香族環を表す。
【0182】
71で表されるトリアジン環は、更に置換基を有してもよく、置換基としては後述する置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
【0183】
72は芳香族環を表す。Q72で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
【0184】
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
【0185】
72で表される芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q72は更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
【0186】
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、
【0187】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、
【0188】
ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0189】
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0190】
以下に一般式(8)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
【0191】
【化50】


【0192】
【表1】


【0193】
紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
【0194】
(紫外線吸収剤添加量)
上記した本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
【0195】
(紫外線吸収剤添加の方法)
またこれら紫外線吸収剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。さらにこれら紫外線吸収剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
【0196】
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、前記のレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤及び紫外線吸収剤などの他に、各調製工程において、用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、劣化防止剤、剥離剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。
すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収剤の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。更に、各素材の添加量は、機能が発現する限りにおいて特に限定されない。またさらに、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよく、例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0197】
本発明のフィルム中に用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等、特開2003−12823号公報に記載の多価アルコールエステル、を単独あるいは併用するのが好ましい。可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0198】
[各化合物添加の比率]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが望ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに望ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては、上述したように、レターデーション調節剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が該下限値以上であれば、セルロースアシレート単体の性質が出すぎることがないので、例えば温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題が生じない。またこれら化合物の総量が該上限値以下であれば、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超えて、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じないので、これら化合
物は総量として該範囲内で用いることが好ましい。さらにその添加する時期は、ドープ調製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最終工程として、添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
【0199】
本発明においてセルロースアシレートに添加する、レターデーション調節剤、近赤外線吸収剤など、分子量3000以下の全ての低分子化合物の平均logPは、2以上7以下が好ましく、2.5以上6以下がさらに好ましく、3以上5以下が最も好ましい。平均logPが小さすぎなければ低分子化合物の保留性が問題となることはなく、大きすぎなければ波長分散の調節が不十分となることはない。
【0200】
なお平均logPは下記数式(6)により定義できる。
数式(6):平均logP=Σ(m×logP
ここで、mはi番目の低分子化合物のトータル低分子化合物添加量に対する質量分率、logPはi番目の低分子化合物のlogPを表す。
【0201】
本発明においてlogP値は、実際の水/ブタノール間の分配率測定値のほかに、液体クロマトグラフの保持時間を基に算出した値、及び市販の計算プログラムによる計算値を用いることができる。
【0202】
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、この方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明において主溶媒として、好ましく用いられる有機溶媒は、炭素数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル及び、炭素数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0203】
以上、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく、特に限定されるものではない。また本発明にはセルロースアシレートは、主溶媒以外にセルロースアシレートの貧溶媒を用いてもよい。貧溶媒は主溶媒に対して5〜50質量%用いてよく、5〜30質量%がより好ましい。貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。
【0204】
その他、セルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、本発明における好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876号公報、特開平12−95877号公報、特開平10−324774号公報、特開平8−152514号公報、特開平10−330538号公報、特開平9−95538号公報、特開平9−95557号公報、特開平10−235664号公報、特開平12−63534号公報、特開平11−21379号公報、特開平10−182853号公報、特開平10−278056号公報、特開平10−279702号公報、特開平10−323853号公報、特開平10−237186号公報、特開平11−60807号公報、特開平11−152342号公報、特開平11−292988号公報、特開平11−60752号公報、特開平11−60752号公報などに記載されている。これらの特許によると、本発明におけるセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
【0205】
〔セルロースアシレートフィルムの製造工程〕
[溶解工程]
本発明においてセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製に際して、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解方法でもよく、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
【0206】
(ドープの透明度)
本発明におけるセルロースアシレート溶液である、ドープの透明度としては、85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。本発明においては、セルロースアシレートドープ溶液に、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認する。具体的なドープの透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを予めブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度とドープの吸光度との比から、ドープの透明度を算出した。
【0207】
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供される、溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が好適に用いられる。当該方法においては、溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調整をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、次いでドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを、乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して、巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、その目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途としての、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
【0208】
本発明のセルロースアシレートフィルムの、流延製膜工程上の任意の点における残留溶媒含有率は下記数式(7)で定義される。
数式(7):(W−W)×100/W
:実測ドープ膜の測定質量。
:乾燥終了後、さらに110℃、3時間乾燥したときのフィルム質量。
剥離点における残留溶媒含有率は5〜90質量%の範囲であることが好ましく、また該残留溶媒のうち貧溶媒の含有率が10〜95質量%の範囲であることが好ましい。
【0209】
[延伸]
本発明のセルロースアシレートフィルムは延伸を施してもよく、延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸される。または、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸してもよい。
【0210】
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中に延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。
【0211】
長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
【0212】
本発明のセルロースアシレートフィルムの、搬送方向(長手方向)の延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、1〜100%の範囲にあることが好ましく、1〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、1〜35%の範囲にあることが最も好ましい。また搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)の延伸倍率は1〜100%にあることが好ましく、5〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、10〜40%の範囲にあることが最も好ましい。
【0213】
〔セルロースアシレートフィルム物性〕
[膜厚]
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。また本発明のセルロースアシレートフィルムの、任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は、厚さの平均値に対し10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0214】
[光学性能]
レターデーションの測定方法については、既に説明した通りである。
本発明において、光学的異方性(Re、Rth)が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、波長630nmにおける正面方向のレターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthが、それぞれ下記数式(1A)及び数式(1B)の範囲を満たすことが好ましい。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm。
さらに好ましくは、レターデーションRthが下記数式(1A−1)及び数式(1B−1)の範囲を満たすことであり、特に好ましくは下記数式(1A−2)及び数式(1B−2)の範囲を満たすことである。
数式(1A−1):−30nm≦Rth630≦15nm
数式(1B−1): 0nm≦Re630≦5nm、
数式(1A−2):−10nm≦Rth630≦10nm
数式(1B−2): 0nm≦Re630≦2nm。
【0215】
本発明のセルロースアシレートフィルムの、波長630nmにおける正面方向のレターデーションReが1以上の値の場合、膜厚方向のレターデーションRthと下記数式(2)の関係を満たすことが好ましい。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
【0216】
(Re、Rthの400nm以上700nm以下の波長範囲での変動)
セルロースアシレートフィルム試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーター“M−150”{日本分光(株)製}を用いて、波長700nmから400nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより、各波長でのReをもとめ、Reの波長による変動を測定した。また、Rthの波長による変動については、このReと、面内の遅相軸を傾斜軸として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から、700〜400nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値と、面内の遅相軸を傾斜軸として、フィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から、波長700〜400nmの光を入射させて測定したレターデーション値との、計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
【0217】
また本発明のセルロースアシレートフィルムの、400nm以上700nm以下の波長範囲において、Rthの変動が50nm以下で、且つReの変動が10nm以下であることが好ましく、Rthの変動が30nm以下で、且つReの変動が5nm以下であることがさらに好ましく、Rthの変動が20nm以下で且つReの変動が3nm以下であることが特に好ましい。
【0218】
(高湿度処理後のフィルムの光学性能変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムの、環境変化による光学性能の変化については、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムの630nmにおけるRe及びRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0219】
(高温度処理後のフィルムの光学性能変化)
また、80℃、240時間処理したフィルムの630nmにおけるRe及びRthの変化量は15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
【0220】
(フィルムのRe、Rthの湿度依存性)
本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚方向の630nmにおけるレターデーションRthは、湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には下記数式(8)で示される25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差ΔRthが0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
数式(8):ΔRth=Rth10%RH−Rth80%RH
【0221】
(延伸前後における正面レターデーション変化)
セルロースアシレートフィルムの試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて、温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)又は、搬送方向に対して垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーション(Re)は、自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。
延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの630nmにおける正面方向レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの630nmにおける正面方向レターデーション(nm)としたときに、下記数式(4)の関係を満足することが好ましく、下記数式(4−1)の関係を満足することがさらに好ましい。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
数式(4−1):|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3
【0222】
(セルロースアシレートフィルムのレターデーションの面内ばらつき)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)及び数式(3B)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(3A−1)及び数式(3B−1)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
数式(3A−1):|Re630(max)−Re630(min)|≦3
数式(3B−1):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦5
{式中、Re630(max)及びRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)及びRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。}
【0223】
(光弾性係数)
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10−13cm/dyne以下であることが好ましい。30×10−13cm/dyne以下であることがより好ましく、20×10−13cm/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引張応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター“M150”{日本分光(株)製}で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
【0224】
(フィルムのヘイズ)
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは、0.01〜2.0%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}を用いJIS K−6714に従って測定した。
【0225】
(分光特性、分光透過率)
セルロースアシレートフィルムの試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計“U−3210”{(株)日立製作所}にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nm及び350nmの透過率を評価した。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
【0226】
[物理的特性]
(フィルムのガラス転移温度Tg)
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は、80〜165℃であることが好ましい。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200℃まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計“DSC2910”(T.A.インスツルメント社製)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
【0227】
(フィルムの平衡含水率)
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃、80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0〜3.2%であることがより好ましく、0.1〜3.2%であることがさらに
好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。平衡含水率が4.0%以下であれば、光学補償フィルムの支持体として用いる際に、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎることがなく好ましい。平衡含水率が3.2%以下であれば、レターデーションの湿度変化が小さくさらに好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
【0228】
(フィルムの透湿度)
フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、60℃、95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算することによって求められる。
透湿度は、セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ小さくなり、膜厚が薄ければ大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも、基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式(9)に従って行うことができる。
数式(9):80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚(μm)/80(μm)。
【0229】
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁「蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)」に記載の方法を適用することができる。
具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを、25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)製}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)し、下記数式(10)に従って求めた。
数式(10):透湿度=調湿後質量−調湿前質量
【0230】
本発明のセルロースアシレートフィルムの透湿度は、400〜2000g/m・24hであることが好ましい。500〜1600g/m・24hであることがより好ましく、600〜1200g/m・24hであることが特に好ましい。透湿度が2000g/m・24h以内であれば、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えるなどの不都合が生じることがなく、また、本発明のセルロースアシレートフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えることがないので好ましい。さらにこのようなフィルムを用いて作製された光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こすことがないので好ましい。一方、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m・24h以上であれば、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられることがなく、優れた接着性を発揮するので好ましい。
【0231】
(フィルムの寸度変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
【0232】
具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)製}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L)を測定した。全ての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定し、下記数式(11)及び(12)に従って寸度変化率を求めた。
数式(11):60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L−L|/L}×100
数式(12):90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L−L|/L}×100
【0233】
(フィルムの弾性率)
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mmであることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mmであり、さらに好ましくは270〜440kgf/mmである。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70RH%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
【0234】
[フィルム表面の性状]
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JIS B−0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
【0235】
[フィルムの化合物保留性]
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加されたレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤などの各種化合物の保留性が要求される。
【0236】
(フィルム加熱処理後の化合物揮散量)
本発明のセルロースアシレートフィルムに添加された、レターデーション調節剤、近赤外線吸収剤などの化合物は、80℃、240時間処理したフィルムからのそれらの揮散量が30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは25質量%以下であり、20質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、フィルムからの化合物の揮散量は、80℃、240時間処理したフィルム及び未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に浸漬し、浸漬後の溶媒を液体高速クロマトグラフィーにて分析して、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記数式(13)により算出した。
数式(13):揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
【0237】
(フィルム高温高湿処理後の化合物保留性)
本発明のセルロースアシレートフィルムに添加された、レターデーション調節剤、近赤外吸収剤などの化合物のフィルム高温高湿処理後の保留性、具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを、80℃、90%RHの条件下に48時間静置したときのフィルムの質量変化が、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
【0238】
(保留性の評価方法)
セルロースアシレートフィルム試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、次いで80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、下記数式(14)に従って高温高湿処理後の化合物の保留性を計算した。
数式(14):高温高湿処理後の化合物保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
【0239】
[フィルムの力学特性]
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際の、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、フィルムの幅方向のカール値が上記の範囲内であれば、フィルムのハンドリングに支障をきたしてフィルムの切断が起きるなどの問題が生じることがない。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵し、フィルム上への異物付着が多くなって光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えるなどの問題も生じることがない。さらにカールを上記の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができるので好ましい。
【0240】
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
【0241】
(引裂き強度)
フィルムの引裂き強度は、JIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく方法(エルメンドルフ引裂き法)により測定される。本発明のセルロースアシレートフィルムの引裂き強度は、膜厚20〜80μmの範囲において2g以上であることが好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また60μm換算では8g以上であることが好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、セルロースアシレートフィルム試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に、軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
【0242】
[フィルムの残留溶媒量]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その製膜に際して、フィルムに対する残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを、反射防止フィルムや光学補償フィルムなどの透明支持体としてもちいるとき、その残留溶媒量は、1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0質量%以下であることがより好ましい。これは、前述のドープを用いた流延法(ソルベントキャスト法)による成膜時の残留溶媒量を少なくすることで、自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
【0243】
[フィルムの吸湿膨張係数]
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10−5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10−5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10−5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10−5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
(吸湿膨張係数の測定)
作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RHの雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、一定時間放置した。次に、一定温度のまま、湿度を80%RHにして、長さの変形量を測定した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
【0244】
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。セルロースアシレートフィルムの表面処理には、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
【0245】
ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0246】
(鹸化処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとして、アルカリ鹸化処理が挙げられる。
【0247】
以下、アルカリ鹸化処理を具体的に説明する。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0248】
上記の鹸化処理において、セルロースアシレートフィルム中の添加剤の含量は、下記数式(15)の関係を満たすことが好ましく、数式(15−1)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(15):0.9<Cm/Cm≦1.0
数式(15−1):0.95<Cm/Cm≦1.0
(式中、Cmは鹸化処理前の含量、Cmは鹸化処理後の含量である。)
【0249】
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることがさらに好ましい。接触角の評価法は、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
【0250】
一般に、固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社 1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明のセルロースアシレートフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
【0251】
(フィルム表面を鹸化処理する前と鹸化処理した後におけるRe、Rth値の変化)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と後の、波長630nmにおけるRe、Rth値の変化が、下記数式(16)の関係を満たすことが好ましく、数式(16−1)の関係を満たすことがより好ましく、数式(16−2)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(16):|Re630(0)−Re630(s)|≦10で、且つ|Rth630(0)−Rth630(s)|≦20、
数式(16−1):|Re630(0)−Re630(s)|≦8で、且つ|Rth30(0)−Rth630(s)|≦15、
数式(16−2):|Re630(0)−Re630(s)|≦5で、且つ|Rth30(0)−Rth630(s)|≦10。
上記式中、Re630(0)はアルカリ溶液で鹸化する前の波長630nmにおけるRe、Re630(s)はアルカリ溶液で鹸化した後の波長630nmにおけるReを表し、Rth630(0)はアルカリ溶液で鹸化する前の波長630nmにおけるRth、Rth630(s)はアルカリ溶液で鹸化した後の波長630nmにおけるRthを表す。
上記の範囲内であれば、保護フィルムの光学性能に遜色なく、偏光板、光学補償フィルム、液晶表示装置に適用した際に、光り漏れが起こらない。
【0252】
なお本発明での具体的なアルカリ鹸化処理とは、10cm×10cmのフィルムサンプルを55℃、1.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、30℃で0.05モル/Lの硫酸溶液で中和し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、100℃で乾燥する手順をいう。
【0253】
[耐光性]
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーター“SX−75”{スガ試験機(株)製、60℃、50%RH条件}にて、キセノン光を22万Lxで200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。
【0254】
また、光耐久性の指標として色差ΔEを用いてもよく、上記と同様の条件でスーパーキセノン光を照射し、その前後の色差ΔEが20以下であることが好ましい。より好ましくは18以下であり、15以下であることがさらに好ましい。
【0255】
色差の測定には、“UV3100”{(株)島津製作所製}を用いた。測定の仕方は、フィルムを25℃、60%RHに2時間以上調湿した後に、キセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行い、初期値(L、a、b)を求めた。その後、フィルム単体で、60℃、50%RH条件にてキセノン光を照射し、所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃、60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L、a、b)を求めた。これらから、下記数式(17)に従って色差ΔEを求めた。なお、耐光性の試験には、同様の加速試験であるカーボンアーク照射を用いてもよい。
数式(17):ΔE=[(L−L+(a−a+(b−b1/2
【0256】
<セルロースアシレートフィルムの用途>
〔光学用途〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として例えば光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途として液晶表示装置に用いられることが好ましい。液晶表示装置は、一般に2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光板を配置した構成であり、本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板の保護フィルムとして、または、後述する機能層を付与して液晶表示装置に用いることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANが好ましい。
【0257】
[機能層]
上記の光学用途に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層が付与される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。
【0258】
本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0259】
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は、特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムはその表面をアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬・延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液などを用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
【0260】
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
【0261】
偏光板は、偏光子及びその両面を保護する保護フィルムを含んで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは、偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられ、またセパレートフィルムは、液晶セルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
【0262】
液晶表示装置には、通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のセルロースアシレートフィルムを適用した偏光板保護フィルムは、どの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に、液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが特に好ましい。
【0263】
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
【0264】
従って本発明のセルロースアシレートフィルムを、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のRe及びRthは、Re=0〜200nmで且つ|Rth|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でもよい。
【0265】
本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の、液晶セルの光学性能や駆動方式は、特に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成してもよいし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成してもよい。
【0266】
(液晶性化合物を含有してなる光学異方性層)
光学異方性層として液晶性化合物を含有してなるものを用いる場合、液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
【0267】
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献[C.Destradeらの“Mol.Crysr.Liq.Cryst.”,71巻,p.111(1981年);日本化学会編「季刊化学総説」第22号「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohneらの“Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.”,p.1794(1985年);J.Zhangらの“J.Am.Chem.Soc.”,116巻,p.2655(1994年)]に記載の化合物が含まれる。
【0268】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性化合物の分子は、配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物について、特開2001−4387号公報に開示されている。
【0269】
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0270】
光学異方性層において、棒状液晶性化合物の分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、“Makromol.Chem.”,190巻、2255頁(1989年)、“Advanced Materials”,5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同第5622648号明細書、同第5770107号明細書、国際公開第95/22586号パンフレット、同第95/24455号パンフレット、同第97/00600号パンフレット、同第98/23580号パンフレット、同第98/52905号パンフレット、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、及び特開2001−328973号公報などに記載の化合物が含まれる。
【0271】
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
前記した様に、本発明における光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学的異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなど)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテートなど)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
【0272】
ポリマーフィルムの光学的異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸又は二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、又はポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、2枚以上のポリマーフィルムを用いて、2枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
【0273】
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、及びポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、これらのポリマーフィルムと基材とを延伸して光学的異方性を発現させ、光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムは、この場合の基材として好ましく用いることができる。また、これらポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、そのポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに、本発明のセルロースアシレートフィルムと貼合して、光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、その厚さは50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0274】
[一般的な液晶表示装置の構成]
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光素子、及び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
【0275】
液晶セルの液晶層は、通常は、2枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0276】
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0277】
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn.J.Appl.Phys.”,36巻(1997年)p.143及びp.1068)に記載がある。
【0278】
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性化合物の分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性化合物の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0279】
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのレターデーション値Reを0〜150nmとし、レターデーション値Rthを70〜400nmとすることが好ましい。レターデーション値Reは、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Reは70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Rthは150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
【0280】
(IPS型液晶表示装置及びECB型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置又はECBモードの液晶セルを有するECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で、液晶分子を基板面に対して平行配向させて黒表示する。これらの態様において、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を、少なくとも液晶セルの片側に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
【0281】
(OCB型液晶表示装置及びHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても用いてもよい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となるような方向が、光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{“Jpn.J.Appl.Phys.”,38巻(1999年)p.2837}に記載がある。
【0282】
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
【0283】
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)らの論文{Kume et al.,“SID 98 Digest 1089”,(1998年)}に記載がある。
【0284】
[ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか又はそれらの全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
【0285】
[写真フィルム支持体]
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該写真感光材料の特許明細書に記載されている各種の素材や処方、さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報に、カラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
【0286】
[液晶セルの透明基板]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
【0287】
液晶を封入する透明基板は、ガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて、本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、SiO等を蒸着したり、又は塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど、相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設けたりする方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
【0288】
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極は、特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって形成することができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、特に酸化スズを主成分とし、酸化亜鉛を2〜15質量%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は、例えば特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報などに公開されている。
【実施例】
【0289】
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0290】
実施例1<セルロースアシレートフィルム1の作製>
[セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート原液を調製した。なおセルロースアシレートとしては、アシル化度(Ac:OH=2.86:0.14)、平均重合度310であるものを用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率である。
【0291】
{セルロースアシレート原液(CAL−1)組成}
セルロースアシレート(アシル化度Ac=2.86) 100.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0292】
[マット剤溶液(ML−1)の調製]
平均粒径16nmのシリカ粒子{“AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製}を20質量部及びメタノール80質量部を、30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液(ML−1)を調製した。
【0293】
{マット剤溶液(ML−1)組成}
シリカ粒子(平均粒径16nm)の分散液 10.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 10.3質量部
【0294】
[添加剤溶液(AD−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(AD−1)を調製した。
【0295】
{添加剤溶液(AD−1)組成}
レターデーション調節剤(明細書中記載化合物SA−19)
66.3質量部
近赤外線吸収剤(SDA5688(H.W.SANDS社(製))
0.55質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート原液(CAL−1) 12.8質量部
【0296】
[セルロースアシレートフィルム試料1の作製]
前記のセルロースアシレート原液(CAL−1)を94.6質量部、マット剤溶液(ML−1)を1.3質量部及び添加剤溶液(AD−1)を、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。添加剤溶液(AD−1)の添加量はレターデーション調節剤(SA−19)及び近赤外線吸収剤(化合物SDA5688)のセルロースアシレートに対する質量比が、それぞれ12質量%、0.2質量%になるように調製した。残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、138℃で20分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム試料1を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム1の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
【0297】
〔セルロースアシレートフィルム試料2〜15の作製〕
近赤外線吸収剤およびレターデーション調節剤の種類(明細書中記載の化合物)、添加量を下表2の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料2〜15を作製した。尚表2中のエチルフタリルエチルグリコレートは、レターデーション調節剤ではなく、既知の可塑剤である。表2中のレターデーション調節剤は全て450nm以上800nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算セル長1cmでの吸光度が0.01以下であった(測定溶媒:ジクロロメタン)。セルロースアシレートフィルム試料14に使用した重合体P−11(本明細書記載)は重量平均分子量5000であった。
【0298】
【表2】


【0299】
また、表2のレターデーション調節剤の、下記数式(I)により算出される値を、セルロースアシレートフィルム試料3に対して化合物を等重量置き換えて算出した。
数式(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
ここで、
Rth(A):レターデーション調節剤をA%含有したフィルムのRth(nm)
Rth(0):レターデーション調節剤含有しないフィルムのRth(nm)
A:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときのレターデーション調節剤の質量(%)である。(測定波長:630nm)
数式(I)の値を以下に示す。
SA−19 −2.5
SB−5 −2.3
SC−7 −2.3
A−11 −2.4
B−3 −2.6
CA−5 −3.3
P−11 −1.5
【0300】
セルロースアシレートフィルム試料1〜15の膜厚は何れも79.5〜80.5μmの範囲であった。また試料1〜15では、任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は厚さの平均値に対し何れも5%以内であった。
なお、セルロースアシレートフィルム試料1〜15のRe、Rthの、1m四方のフィルム内でのばらつきは、何れの試料も|Re630(max)−Re630(min)|が3nm以下、|Rth630(max)−Rth630(min)|が5nm以下であり、好ましいものであった。
【0301】
[フイルムの色味]
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料を、白紙の上に配置しフィルムの着色に対して官能評価を行った。
AA:着色がなく透明性は非常に良好
A:着色が小さく透明性は良好
B:着色はあるが許容できる
C:着色が目立ち許容外
【0302】
[面状評価]
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料をクロスニコルに配置した2枚の偏光板の間にはさみ込み、面状故障の頻度を確認し、以下のように評価を行った。
○:0〜2個
△:3〜10個
×:11個以上
【0303】
表2の結果から、本発明の近赤外線吸収剤と一般式(1)ないし(6)で表されるレターデーション調節剤を併用することで、Rthを小さく、かつRthの400〜700nmの波長範囲での変動を、既知の可塑剤エチルフタリルエチルグリコレートと併用した場合より小さくすることが可能である。またこの機構は明らかではないが、近赤外線吸収剤がレターデーション調節剤存在下で好適な状態となり、近赤外線吸収剤の優れたRth調整効果を引き出していると推定される。また、本発明の近赤外線吸収剤の面状故障がレターデーション調節剤存在下で大きく減少し製造適性上優れた結果を示すことが明らかである。
【0304】
実施例2
(セルロースアシレートフィルム21の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液CAL-2を調製した。
【0305】
{セルロースアシレート溶液CAL-2組成}
アセチル化度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
可塑剤:トリフェニルフォスフェート 4.0質量部
可塑剤:ジフェニルビフェニルフォスフェート 4.0質量部
レターデーション調節剤:CA−5 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0306】
<マット剤溶液ML−2の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0307】
{マット剤溶液ML−2組成}
平均粒径20nmのシリカ粒子
(日本アエロジル(株)製アエロジルR972) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液(CAL−2) 10.3質量部
【0308】
<添加剤溶液AD−2の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0309】
{添加剤溶液AD−2組成}
近赤外線吸収剤(MIR−369(山本化成社(製)) 0.7質量部
極大吸収波長=862nm、可視領域(450〜650nm)の極大吸光度=12
レターデーション調節剤:(明細書中記載化合物CA−5) 6.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(CAL−2) 12.8質量部
【0310】
上記セルロースアシレート溶液(CAL-2)を93.9質量部、マット剤溶液(ML−2)を1.3質量部、添加剤溶液(AD−2)を4.8質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量35%でフィルムをバンドから剥離し、残留溶剤含有量21%、膜面温度は68℃のフィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定しテンターで8%の延伸倍率で横延伸した。さらに延伸後のフィルムの両端をカットした後、140℃の乾燥ゾーンを20分間通過させた。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は85μmであった。
【0311】
このようにして作製したセルロースアシレートフィルム試料21を実施例1と同様にして評価した結果を表3に示した。Rth及びRthの400〜700nmの範囲の波長分散、フィルムの色味、面状故障において好ましい結果が得られた。また、セルロースアシレートフィルム試料21の延伸によるReの変化率( |Re(n)−Re(0)|/n)は0.38であり(前記式中、Re(n)はn(%)延伸されたフィルムの630nmにおけるRe、Re(0)は延伸していないフィルムの630nmにおけるReである)、延伸前後のReの変化も小さく好ましいことが分かった。
【0312】
【表3】


【0313】
[実施例3](IPS型液晶表示装置への実装評価)
(偏光板の作製)
実施例1で得た本発明のセルロースアセテートフィルム試料1を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理したセルロースアシレートフィルム試料1を2枚用意して偏光膜を間にして貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルム1によって保護された偏光板1を得た。
【0314】
(実装評価)
偏光板1に対して、アートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内レターデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
上記の偏光板1と光学補償フィルムの積層体を2組作製し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板1と光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+偏光板1と光学補償フィルムの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、0.1%以下であった。本発明のセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板は、光漏れ率が十分小さく、コントラスト視野角が広く好ましいことがわかった。




 

 


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