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発明の名称 セルロース体組成物、それを用いたセルロース体フィルム、偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料、およびセルロース体フィルム用改質剤
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−31516(P2007−31516A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214807(P2005−214807)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人 【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
発明者 野副 寛 / 吉田 愛子 / 内田 修 / 浜崎 亮 / 橋本 幸典 / 桜沢 守
要約 課題
光学異方性が小さく、さらには光学異方性の波長分散が小さいセルロース体組成物、セルロース体フィルムおよび該フィルムを用いて作製した偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体を提供する。

解決手段
セルロース体と下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを含有するセルロース体組成物。
特許請求の範囲
【請求項1】
セルロース体と下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とするセルロース体組成物。
【化1】


[式中、X11、X12およびX13はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR11−(R11は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y1、Y12およびY13は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y11、Y12およびY13のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y11、Y12またはY13が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX11、X12またはX13は単結合である。]
【請求項2】
前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のセルロース体組成物。
【化2】


[式中、X21およびX22はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR22−(R22は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y21およびY22は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y21およびY22のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y21またはY22が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX21またはX22は単結合である。R21は脂肪族基または芳香族基を表す。]
【請求項3】
前記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(III)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース体組成物。
【化3】


[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38およびRはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38もしくはR39を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
【請求項4】
前記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(IV)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース体組成物。
【化4】


[式中、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47およびR48はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47もしくはR48を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、XまたはX22により連結するものとする。]
【請求項5】
前記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(V)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース体組成物。
【化5】


[式中、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57およびR58はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57もしくはR58を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X、またはX22により連結するものとする。]
【請求項6】
前記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(VI)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする請求項1または項2記載のセルロース体組成物。
【化6】


[式中、R61、R62、R63、R64およびR65はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R61、R62、R63、R64もしくはR65を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
【請求項7】
前記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(VII)で表される紫外線吸収性残基であることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース体組成物。
【化7】


[式中、R71、R72、R73およびR74はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Z71およびZ72はそれぞれ独立に水素原子、置換基または下記一般式(VIII)で表される置換基を表す。]
【化8】


[式中、R76、R77、R78およびR79はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R75は水素原子または脂肪族基を表す。また、*は一般式(VII)で表される紫外線吸収性残基と結合する位置を表す。ただし、任意の位置の置換基R71、R72、R73、R74、Z71、Z72、R75、R76、R77、R78もしくはR79を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
【請求項8】
前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項にセルロース体組成物からなるセルロース体フィルム。
【請求項9】
請求項8に記載のセルロース体フィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
【請求項10】
請求項8に記載のセルロース体フィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
請求項8に記載のセルロース体フィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【請求項12】
下記一般式(I)または(II)で表される化合物からなるセルロース体フィルム用改質剤。
【化9】


[式中、X11、X12およびX13はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR11−(R11は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y1、Y12およびY13は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y11、Y12およびY13のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y11、Y12またはY13が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX11、X12またはX13は単結合である。]
【化10】


[式中、X21およびX22はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR22−(R22は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y21およびY22は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y21およびY22のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y21またはY22が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX21またはX22は単結合である。R21は脂肪族基または芳香族基を表す。]

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース体組成物およびセルロース体フィルムに関し、詳しくは光学異方性や波長による光学異方性の変化を小さくする、セルロース体フィルム用改質剤、該改質剤を含有するセルロース体組成物、およびそのフィルムに関する。さらに本発明は、該セルロース体フィルムを用いた偏光板保護膜、液晶表示装置、およびハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セルロースアシレートフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向から見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
【0003】
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板には偏光子の少なくとも片側に偏光子の保護フィルムが貼合によって形成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光子の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。この偏光子の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。
【0004】
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、より光学的に等方性であることが求められている。より光学的に等方性である(すなわち光学異方性が小さい)とは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことをいい、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)が小さいことをいう。つまり、斜め方向からの表示良化、具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価する際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
【0005】
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムはあったが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。そこでセルロースアシレートフィルムの代わりにポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィルムを用いた、Reの角度変化の小さい光学透明フィルムが提案されている(例えば、特許文献1,2,製品としてはZEONOR(日本ゼオン社製)や、ARTON(JSR社製)など)。しかし、これらの光学透明フィルムは、偏光子の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題がある。またフィルム面内全体の光学特性が不均一である問題も残っている。
【0006】
この解決法として、PVAへの貼合適正に優れるセルロースアシレートフィルムを、より光学的異方性を低下させて改良することが強く望まれている。理想的には、セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした、光学的に等方性である光学透明フィルムである。
【0007】
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に製膜性能を良化するため可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステル類などが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果を有するものが知られており、例えば、特定の脂肪酸エステル類が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、従来知られているこれらの化合物を用いたセルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果は十分とはいえない。
【0008】
さらに、可塑剤を増量することによって、セルロースアシレートフィルムのガラス転移点がますます低下し、フィルムの軟化によって寸法安定性が悪化するという問題があった。また、低分子可塑剤は、低分子量のため熱揮散性が高く、製造時の乾燥工程で揮散するという問題があり、工程汚染の主要因として問題視されていた。
【0009】
前述の熱揮散性の課題に対しては、ロジン樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂およびトルエンスルホンアミド樹脂のような高分子化合物を用いることで揮散性を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、高分子可塑剤であることから相溶性が十分ではなく、低分子可塑剤ほどの相溶性が得られない。
【0010】
また、最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学透明フィルムは、波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
【特許文献1】特開2001−318233号公報
【特許文献2】特開2002−328233号公報
【特許文献3】特開2001−247717号公報
【特許文献4】特開2002−146044号公報
【非特許文献1】プラスチック材料講座、第17巻、日刊工業新聞社、「繊維素系樹脂」、121頁(昭和45年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、光学異方性が小さく、さらには光学異方性の波長分散が小さいセルロース体組成物、セルロース体フィルムの提供を目的とする。また本発明は、セルロース体に添加したときの揮散量の少ないセルロース体フィルム用改質剤(本発明において、セルロース体フィルム用改質剤とは、セルロース体に添加して性質を改善する添加剤をいい、例えば、光学異方性を小さくする添加剤、波長分散調整剤などをいう。)、それを用いたセルロース体組成物、およびそのフィルムの提供を目的とする。
さらに本発明は、光学異方性が小さく、さらには光学異方性の波長分散が小さいセルロース体フィルムを用いて作製した偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、下記手段により達成された。
(1)セルロース体と、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロース体組成物。
【0013】
【化1】


【0014】
[式中、X11、X12およびX13はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR11−(R11は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y1、Y12およびY13は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y11、Y12およびY13のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y11、Y12またはY13が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX11、X12またはX13は単結合である。]
(2)前記一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする(1)記載のセルロース体組成物。
【0015】
【化2】


【0016】
[式中、X21およびX22はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR22−(R22は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)、および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y21およびY22は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y21およびY22のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y21またはYが紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX21またはX22は単結合である。R21は脂肪族基または芳香族基を表す。]
【0017】
(3)前記一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(III)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする(1)または(2)記載のセルロース体組成物。
【0018】
【化3】


【0019】
[式中、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38およびRはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38もしくはR39を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
【0020】
(4)前記一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(IV)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする(1)または(2)記載のセルロース体組成物。
【0021】
【化4】


【0022】
[式中、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47およびR48はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47もしくはR48を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、XまたはX22により連結するものとする。]
(5)前記一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(V)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする(1)または(2)記載のセルロース体組成物。
【0023】
【化5】


【0024】
[式中、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57およびR58はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57もしくはR58を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、XまたはX22により連結するものとする。]
【0025】
(6)前記一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(VI)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする(1)または(2)記載のセルロース体組成物。
【0026】
【化6】


【0027】
[式中、R61、R62、R63、R64およびR65はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R61、R62、R63、R64もしくはR65を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
(7)前記一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基が下記一般式(VII)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基であることを特徴とする(1)または(2)記載のセルロース体組成物。
【0028】
【化7】


【0029】
[式中、R71、R72、R73およびR74はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Z71およびZ72はそれぞれ独立に水素原子、置換基または下記一般式(VIII)で表される置換基を表す。]
【0030】
【化8】


【0031】
[式中、R76、R77、R78およびR79はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R75は水素原子または脂肪族基を表す。また、*は一般式(VII)で表される紫外線吸収性残基と結合する位置を表す。ただし、任意の位置の置換基R71、R72、R73、R74、Z71、Z72、R75、R76、R77、R78もしくはR79を取り去った箇所の炭素原子が、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21またはX22により連結するものとする。]
【0032】
(8)前記一般式(I)または(II)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のセルロース体組成物からなるセルロース体フィルム。
【0033】
(9)前記セルロース体がセルロースアシレートであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のセルロース体組成物からなるセルロース体フィルム。
【0034】
(10)セルロースアシレートと、セルロースアシレートの0.1乃至30質量%の量の前記一般式(I)または(II)で表される化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【0035】
(11)セルロースアシレートのアシル置換度が2.60乃至3.00である上記(10)に記載のセルロースアシレート(セルロース体)フィルム。
【0036】
(12)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.85乃至2.95であり、その平均重合度が180乃至550である(10)に記載のセルロースアシレート(セルロース体)フィルム。
(13)セルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基、プロピオニル基、およびブタノイル基からなる群より選ばれる少なくとも2種類からなり、その全置換度が2.50乃至3.00である(10)に記載のセルロースアシレート(セルロース体)フィルム。
【0037】
(14)(8)〜(13)のいずれか1項に記載のセルロース体フィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
(15)(8)〜(13)のいずれかに1項に記載のセルロース体フィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
(16)(8)〜(13)のいずれかに1項に記載のセルロース体フィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
(17)下記一般式(I)または(II)で表される化合物からなるセルロース体フィルム用改質剤。
【0038】
【化9】


【0039】
[式中、X11、X12およびX13はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR11−(R11は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y1、Y12およびY13は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y11、Y12およびY13のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y11、Y12またはY13が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX11、X12またはX13は単結合である。]
【0040】
【化10】


【0041】
[式中、X21およびX22はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR22−(R22は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。Y21およびY22は、それぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y21およびY22のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y21およびY22が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX21またはX22は単結合である。R21は脂肪族基または芳香族基を表す。]
【発明の効果】
【0042】
本発明のセルロース体組成物、およびそのフィルムは光学異方性および波長による光学異方性の変化が非常に小さいという優れた効果を発揮する。また本発明のセルロース体組成物は、揮散量の小さいセルロース体フィルム用改質剤を用いることで製造工程の汚染の改善を可能とするものである。
さらに本発明のセルロース体組成物は、セルロース体フィルムとして用い、優れた偏光板保護膜、液晶表示装置、ハロゲン化銀写真感光材料などとすることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明のセルロース体組成物には、セルロース体と、一般式(I)または(II)で表される化合物とが含まれる。以下、一般式(I)および(II)で表される化合物に関して詳細に説明する。
【0044】
【化11】


【0045】
上記の一般式(I)で表される化合物において、X11、X12、およびX13はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR11−(R11は脂肪族基もしくは芳香族基を表す)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−CO−、−NR11−、および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれることが好ましい。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基(置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。)を有していてもよい。Y11、Y12、およびY13はそれぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y11、Y12、およびY13のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y11、Y12、またはY13が紫外線吸収性残基である場合、該紫外線吸収性残基に連結するX11、X12、またはX13は単結合である。Y11、Y12、またはY13が水素原子である場合、水素原子に連結するX11、X12、およびX13は脂肪族基または芳香族基であることが好ましい。
【0046】
上記一般式(I)において、Y11、Y12またはY13で表される置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、
【0047】
スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
【0048】
11、Y12、もしくはY13のいずれかが紫外線吸収性残基であってもかまわないが、好ましくは、Y11もしくはY12が紫外線吸収性残基である。また、一般式(I)で表される化合物について、二つ以上の紫外線吸収性残基を含有してもよく、この場合、一種類の紫外線吸収性残基を二つ以上有していても、二種類以上の紫外線吸収性残基を一つずつ有していてもかまわない。
【0049】
また、上記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【0050】
【化12】


【0051】
上記一般式(II)で表される化合物において、X21、およびX22はそれぞれ独立に単結合、または、−O−、−CO−、−NR22−(R22は脂肪族基もしくは芳香族基を表す。)および脂肪族基もしくは芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれる1種以上で形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−CO−、−NR22−、および脂肪族基または芳香族基から形成される連結基からなる群から選ばれることが好ましい。脂肪族基および芳香族基はそれぞれ独立に置換基(置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。)を有していてもよい。Y21またはY22はそれぞれ独立に水素原子、置換基または紫外線吸収性残基を表し、Y21またはY22のうち少なくとも1つは紫外線吸収性残基である。ただし、Y21およびY22が紫外線吸収性残基である場合、紫外線吸収性残基に連結するX21およびX22は単結合である。Y21またはY22が水素原子である場合、水素原子に連結するX21およびX22は脂肪族基または芳香族基であることが好ましく、芳香族基であることがより好ましい。R21は脂肪族基または芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。
上記の一般式(II)において、Y21またはY22で表される置換基は、上記一般式(I)のY11、Y12およびY13と同義である。
【0052】
本発明のセルロース体組成物に含まれる化合物における脂肪族基について以下に説明する。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、1乃至20のものがより好ましく、2乃至15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシルなどが挙げられる。
【0053】
本発明のセルロース体組成物に含まれる化合物における芳香族基について以下に説明する。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6乃至24のものが好ましく、6乃至12のものがより好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、またはビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、またはキノリンが特に好ましい。
【0054】
本発明において、紫外線吸収性残基とは200〜400nmの紫外線を吸収し、そのエネルギーを主として無害な熱エネルギーとして再輻射し、しかも自身はなんら変質しない化合物群を指す。紫外線吸収性残基として好ましい化合物は、例えば、一般的に紫外線吸収剤と呼ばれるベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0055】
上記一般式(I)または(II)で表される化合物中の紫外線吸収性残基としては、下記一般式(III)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基が好ましい(本発明において、化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基とは、化合物中の置換基を取り去り一価の置換基とした紫外線吸収性残基をいう。)。
【0056】
【化13】


【0057】
上記一般式(III)において、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、およびR39はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、もしくはR39を取り去った箇所の炭素原子と、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21、またはX22とが連結するものとする。連結する置換位置は特に限定されないが、R31、R33、R37もしくはR38の位置で連結することが好ましく、R31の位置がより好ましい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0058】
また、上記一般式(I)または(II)で表される化合物中の紫外線吸収性残基として、下記一般式(IV)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基が好ましい。
【0059】
【化14】


【0060】
上記一般式(IV)において、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R、およびR48はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、もしくはR48を取り去った箇所の炭素原子と、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X、X12、X13、X21、またはX22とが連結するものとする。連結基の置換位置は特に限定されないが、R42、R45、R46もしくはR47の位置で連結することが好ましく、R46もしくはR47の位置がより好ましい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0061】
また、上記一般式(I)または(II)で表される化合物中の紫外線吸収性残基として、下記一般式(V)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基が好ましい。
【0062】
【化15】


【0063】
上記一般式(V)において、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R、およびR58はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、もしくはR58を取り去った箇所と、一般式(I)または(II)で表される化合物中の2価の連結基X11、X12、X13、X21、またはX22とが連結するものとする。連結基の置換位置は特に限定されないが、R55、もしくはR56の位置で連結することが好ましく、R56の位置がより好ましい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0064】
また、上記一般式(I)または(II)で表される化合物中の紫外線吸収性残基として、下記一般式(VI)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基が好ましい。
【0065】
【化16】


【0066】
上記一般式(VI)において、R61、R62、R63、R64、およびR65はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。ただし、任意の位置の置換基R61、R62、R63、R64、もしくはR65を取り去った箇所の炭素原子と、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21、またはX22とが連結するものとする。連結基の置換位置は特に限定されないが、R61、R62、R63またはR64の位置で連結することが好ましく、R61またはR63の位置がより好ましい。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
また、上記一般式(I)および一般式(II)で表される化合物中の紫外線吸収性残基として、下記一般式(VII)で表される化合物を基本構造とする紫外線吸収性残基が好ましい。
【0067】
【化17】


【0068】
上記一般式(VII)において、R71、R72、R73、およびR74はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。Z71およびZ72はそれぞれ独立に水素原子、置換基、または下記一般式(VIII)で表される置換基を表す。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0069】
【化18】


【0070】
一般式(VIII)で表される置換基において、R76、R77、R78およびR79はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R75は水素原子または脂肪族基を表す。また、*は一般式(VII)で表される紫外線吸収性残基と結合する位置を表す。ただし、任意の位置の置換基R71、R72、R73、R74、Z71、Z72、R75、R76、R77、R78、もしくはR79を取り去った箇所と、一般式(I)または(II)で表される化合物中の単結合X11、X12、X13、X21、またはX22とが連結するものとする。前記単結合X11、X12、X13、X21またはX22による連結位置は特に限定されないが、R71、R73、R77またはR78の位置で連結することが好ましい。
置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
【0071】
本発明のセルロース体組成物に含まれる化合物における置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素原子数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素原子数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素原子数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、より好ましくは、炭素原子数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。
【0072】
例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素原子数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、
【0073】
例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基
【0074】
(好ましくは炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、
【0075】
例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素原子数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
【0076】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0077】
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0078】
また、本発明のセルロース体組成物において、一般式(I)または(II)で表される化合物の含有量(複数を含有する場合はその総量)は、含まれるセルロース体の質量に対して0.01乃至30質量%であることが好ましく、1乃至25質量%であることがより好ましく、5乃至20質量%であることが特に好ましい。
セルロース体と、一般式(I)または(II)で表される化合物との混合については、後述の波長分散調整剤の添加混合方法と同様である。
【0079】
次に、一般式(I)または(II)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0080】
【化19】


【0081】
【化20】


【0082】
【化21】


【0083】
【化22】


【0084】
【化23】


【0085】
一般式(I)または(II)で表される化合物は、一般的に紫外線吸収性残基を有するアミン誘導体とカルボニルクロリド誘導体、アミン誘導体と紫外線吸収性残基を有するカルボニルクロリド、もしくは各々紫外線吸収性残基を有するアミン誘導体とカルボニルクロリド誘導体との反応により製造することができる。
【0086】
本発明のセルロース体組成物に用いられるセルロース体に関して詳細に説明する。
本発明において、セルロース体とは、セルロースを基本構造とする化合物をいい、特に制限はないが、なかでもセルロースエステルが好ましく、セルロースアシレートがより好ましい。
【0087】
[セルロースアシレート原料綿]
本発明のセルロース体組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートの原料となるセルロースは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などが挙げられ、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
【0088】
[セルロースアシレート置換度]
本発明のセルロース体組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましく、置換度2.75〜3.00がより好ましく、2.85〜3.00が特に好ましい。
【0089】
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素原子数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されず、単一でも2種類以上の混合物でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、へプタノイ
ル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、またはシンナモイルが好ましく、アセチル、プロピオニル、またはブタノイルがより好ましい。
【0090】
セルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基、プロピオニル基、およびブタノイル基から選ばれる少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00であることが好ましく、2.60〜3.00がより好ましく、2.65〜3.00が特に好ましい。
【0091】
[セルロースアシレートの重合度]
本発明のセルロース体組成物に好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700の範囲であり、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明のセルロース体組成物で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることが特に好ましい。
【0092】
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で製造したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。
【0093】
なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを製造することができる。本発明のセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。好ましいセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0094】
本発明のセルロース体組成物においては、置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
【0095】
[添加剤]
本発明のセルロース体組成物の製造において、セルロース体(セルロースアシレート)溶液に、各調製工程において、光学異方性を低下する一般式(I)または(II)で表される化合物以外にも、用途に応じた種々の添加剤(その他の光学異方性を低下する化合物(例えば、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れにおいて添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
【0096】
[波長分散調整剤]
セルロース体フィルムの波長分散を低下させる化合物(以下、波長分散調整剤ともいい、特に断らない限り一般式(I)または(II)で表される化合物を含む。)について説明する。
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは光学異方性が小さいこと、つまりReおよびRthの値が小さいことが好ましく、Rthは−25〜25nmであることが好ましく、−25〜10nmがより好ましい。また、波長による光学異方性の変化、つまりReおよびRthの波長分散(以下、それぞれΔReおよびΔRthともいう。)が小さいことがこのましく、ΔRthは−25〜25nmが好ましく、−20〜20nmがより好ましい。
【0097】
セルロース体フィルムのRthの波長分散を良化させるためには、下記式(iv)で表されるRthの波長分散(ΔRth)を低下させる化合物(波長分散調整剤)を、下記式(v)、(vi)をみたす範囲で少なくとも一種含有することが好ましい。
(iv)ΔRth=|Rth(400)−Rth(700)
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−2.0
(vi)0.01≦B≦30
上記式(v)、(vi)は
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−3.0
(vi)0.05≦B≦25
であることがより好ましく、
(v)(ΔRth(B)−ΔRth(0))/B≦−4.0
(vi)0.1≦B≦20
であることが特に好ましい。ここで、ΔRth(B)はΔRthを低下させる化合物をB%含有したフィルムのΔRth(nm)を表し、ΔRth(0)はΔRthを低下させる化合物を含有しないフィルムのΔRth(nm)を表す。
【0098】
上記の波長分散調整剤は、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムのΔRe(|Re(400)−Re(700)|)およびΔRth(|Rth(400)−Rth(700)|)を低下させる化合物であることが好ましい。
セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの値は一般に短波長側よりも長波長側が大きい波長分散特性となる。したがって相対的に小さい短波長側のRe、Rthを大きくすることによって波長分散を平滑にすることが要求される。一方200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ化合物は短波長側よりも長波長側の吸光度が大きい波長分散特性をもつ。この化合物自身がセルロースアシレートフィルム内部で等方的に存在していれば、化合物自身の複屈折性、ひいてはRe、Rthの波長分散は吸光度の波長分散と同様に短波長側が大きいと想定される。
【0099】
したがって上述したような、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、化合物自身のRe、Rthの波長分散が、短波長側が大きいと想定されるものを用いることによって、セルロースアシレートフィルムのRe、Rthの波長分散を調整することができる。このためには波長分散を調整する化合物はセルロースアシレートに十分均一に相溶することが要求される。
したがって、本発明のセルロース体組成物に用いられる一般式(I)または(II)で表される化合物に含まれる紫外線吸収性残基に関し、その吸収帯範囲は200〜400nmが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmが特に好ましい。
【0100】
また、近年テレビやノートパソコン、モバイル型携帯端末などの液晶表示装置ではより少ない電力で輝度を高めるに、液晶表示装置に用いられる光学部材の透過率が優れたものが要求されている。その点においては、200〜400nmの紫外領域に吸収を持ち、フィルムのΔRe(|Re(400)−Re(700)|)およびΔRth(|Rth(400)−Rth(700)|)を低下させる化合物をセルロースアシレートフィルムに添加する場合、分光透過率が優れていることが要求される。本発明のセルロース体組成物においては、そのフィルムの波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
【0101】
一般式(I)または(II)で表される化合物を含め、波長分散調整剤は揮散性の観点から、分子量が250〜1000であることが好ましく、260〜800がより好ましく、270〜800がさらに好ましく、300〜800が特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
【0102】
波長分散調整剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。波長分散調整剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。またこれら波長分散調整剤は、単独で用いても、2種以上の化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
波長分散調整剤を添加・混合する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
【0103】
一般式(I)または(II)で表される化合物以外の波長分散調整剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。
【0104】
[マット剤微粒子]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がよりに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0105】
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がより好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が特に好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
【0106】
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)社製、商品名)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
【0107】
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0108】
2次平均粒子径の小さな粒子を有するフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
【0109】
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
【0110】
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0111】
[化合物添加の比率]
本発明のセルロース体組成物においては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロース体の質量に対して5〜45%であることがのぞましい。より好ましくは10〜40%であり、さらに好ましくは15〜30%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下が特に好ましい。これら化合物の総量が5%以下であると、セルロースアシレート単体の性質が出やすくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題がある。またこれら化合物の総量が45%以上であると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
【0112】
[有機溶媒]
本発明のセルロース体組成物は、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムとすることが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムとして製造することができる。主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
本発明のセルロース体組成物をフィルムとするとき、塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよく特に限定されるものではない。
【0113】
その他、本発明のセルロース体組成物及びそのフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許公報に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752などの各公報に記載されている。これらの特許公報によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
【0114】
[セルロース体フィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロース体組成物において、その溶液(ドープ)の調製に際し、溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明のセルロース体組成物において、その溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
【0115】
本発明のセルロース体組成物において、その溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましく、88%以上がより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。本発明のセルロース体組成物において、その溶液には、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認することが好ましい。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所社製)で550nmの吸光度を測定することができる。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出することができる。
【0116】
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロース体組成物において、その溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロース体組成物をフィルムとして製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。セルロース体フィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロース体フィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmが特に好ましい。
【0117】
[セルロースアシレートフィルム物性評価]
本発明のセルロース体組成物でなるフィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃90%RH(本発明において、RHとは相対湿度をいう。)に240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が、15nm以下であることが好ましく、12nm以下がより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
[高温度処理後のフィルムの光学性能変化]
また、80℃240時間処理したフィルムのReおよびRthの変化量が、15nm以下であることが好ましく、12nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムにおいて、添加剤は80℃240時間処理したフィルムからの化合物の揮散量において、30%以下であることが好ましく、0〜25%がより好ましく、0〜20%であることが特に好ましい。揮散量が多すぎると、工程汚染の主要因となり問題となる。
なお、フィルムからの揮散量は、80℃240時間処理したフィルムおよび未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に溶かし出し、液体高速クロマトグラフィーにて化合物を検出し、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記式により算出することができる。
揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
【0118】
[フィルムのガラス転移温度Tg]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムのガラス転移温度Tgは、80〜165℃の範囲にあることが好ましく、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、フィルム試料10mgを、常温から200度まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計(DSC2910、T.A.インスツルメント)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
【0119】
[フィルムのヘイズ]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムのヘイズは0.01〜2.0%であることが好ましく、0.05〜1.5%であることがより好ましく、0.1〜1.0%であることが特に好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定することができる。
【0120】
[フィルムのRe、Rthの湿度依存性]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、面内レターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、25℃10%RHにおけるRth値と25℃80%RHにおけるRth値の差(Rth10%RH−Rth80%RH)が0〜50nmであることが好ましく、0〜40nmがより好ましく、0〜35nmが特に好ましい。
【0121】
[フィルムの平衡含水率]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましく、0.1〜3.5%であることがより好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。0.4%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎてしまい好ましくない。
含水率の測定法は、フィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定することができる。水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
【0122】
[フィルムの透湿度]
本発明のセルロース体組成物を光学補償シートとして用いるフィルムの透湿度は、JIS規格JISZ0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24hを越えると、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまう。また、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超える傾向が強くなってしまい好ましくない。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、セルロースアシレートフィルムの透湿度が400g/m2・24h未満では、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、セルロースアシレートフィルムにより接着剤の乾燥が妨げられ、接着不良を生じる。
セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求めた。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、フィルム試料70mmφを25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後重量−調湿前重量で求めることができる。
【0123】
[フィルムの寸度変化]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率および90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.15%以下が特に好ましい。
具体的な測定方法としては、フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ(新東科学(株))にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とする。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定することができる。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定することができる。60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100、として寸度変化率を求めることができる。
【0124】
[フィルムの弾性率]
(弾性率)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましく、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、特に好ましくは270〜440kgf/mmである。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン製万能引っ張り試験機STM T50BPを用い、23℃・70%雰囲気中、引っ張り速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めることができる。
【0125】
[フィルムの光弾性係数]
(光弾性係数)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの光弾性係数は、50×10−15cm/dyne以下であることが好ましい。30×10−15cm/dyne以下であることがより好ましく、20×10−15cm/dyne以下であることが特に好ましい。具体的な測定方法としては、フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出することができる。
【0126】
[延伸前後における正面レターデーション変化、遅相軸の検出]
試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)または垂直方向(TD方向)に延伸を行うことがよい。延伸前後における各試料の正面レターデーションは自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定することができる。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定することができる。延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの面内正面レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの面内正面レターデーション(nm)としたときに、|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0を有することが好ましく、|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3以下がより好ましい。
【0127】
[遅相軸を有する方向]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを偏光子の保護フィルムに用いる場合、偏光子が機械搬送方向(MD方向)に吸収軸を持つため、セルロースアシレートフィルムは遅相軸がMD方向近傍またはTD近傍にあることが好ましい。遅相軸が偏光子と平行または直交させることにより光漏れや色味変化を低減できる。近傍とは、遅相軸とMDまたはTD方向が0〜10°、好ましくは0〜5°の範囲にあることを表す。
【0128】
[固有複屈折が正であるセルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、フィルム面内において、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなる。このことは固有複屈折が正であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と垂直方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。
【0129】
[固有複屈折が負であるセルロース体フィルム]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、遅相軸を有する方向に延伸すると正面レターデーションReが小さくなり、遅相軸を有する方向と垂直な方向に延伸すると正面レターデーションReが大きくなる場合もある。このことは固有複屈折が負であることを示しており、フィルム中で発現したReを打ち消すには遅相軸と同一の方向に延伸することが有効である。この方法としては例えば、フィルムが機械搬送方向(MD方向)に遅相軸を有している場合にMD方向の機械搬送ロールの張力を強めて延伸することによって正面Reを小さくすることが考えられる。逆の例として、TD方向に遅相軸を有している場合にはMDとは垂直な方向(TD方向)にテンター延伸を用いて正面Reを小さくすることが考えられる。
【0130】
[セルロース体フィルムの評価方法]
本発明のセルロース体フィルムの評価として、以下の方法で各項目の測定を実施することができる。
【0131】
(面内のレターデーションRe、膜厚方向のレターデーションRth)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、Re(λ)は自動複屈折計KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)社製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定することができる。また、Rth(λ)は前記Re(λ)と、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向を0°としてサンプルを10°ごとに50°まで傾斜させて波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力し算出することができる。
【0132】
(Re、Rthの波長分散測定)
試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーターM−150(日本分光(株)社製)において波長780nmから380nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより各波長でのReをもとめ、Reの波長分散を測定することができる。また、Rthの波長分散については、前記Re、面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から780〜380nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値、および面内の遅相軸を傾斜軸としてフィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長780〜380nmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48および膜厚を入力して算出することができる。
【0133】
(分子配向軸)
試料70mm×100mmを、25℃、65%RHで2時間調湿し、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))にて、垂直入射における入射角を変化させた時の位相差より分子配向軸を算出することができる。
(軸ズレ)
また、自動複屈折計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株))で軸ズレ角度を測定することができる。幅方向に全幅にわたって等間隔で20点測定し、絶対値の平均値を求めることができる。また、遅相軸角度(軸ズレ)のレンジとは、幅方向全域にわたって等間隔に20点測定し、軸ズレの絶対値の大きいほうから4点の平均と小さいほうから4点の平均の差をとったものである。
【0134】
(透過率)
試料20mm×70mmを、25℃,60%RHで透明度測定器(AKA光電管比色計、KOTAKI製作所社製)で可視光(615nm)の透過率を測定することができる。
(分光特性)
試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所社製)にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定することができる。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めることができる。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表し、吸収端は、透過率0.4%の波長で表すことができる。これより380nmおよび350nmの透過率を評価することができる。
【0135】
[フィルム表面の性状]
フィルムの表面は、JISB0601−1994に基づく該膜の表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、最大高さ(Ry)が0.2μm以下がより好ましい。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
【0136】
[レターデーションの面内ばらつき]
本発明のセルロースアシレートフィルムは次の式を満たすことが好ましい。
|Re(MAX)−Re(MIN)|≦3かつ|Rth(MAX)−Rth(MIN)|≦5
[式中、Re(MAX)、Rth(MAX)−は任意に切り出した1m四方のフィルムの最大レターデーション値、Re(MIN)、Rth(MIN)は最小値である。]
【0137】
[フィルムの保留性]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムにおいては、フィルムに添加した各種化合物の保留性が要求される。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを80℃/90%RHの条件下に48時間静置した場合のフィルムの質量変化が、0〜5%であることが好ましい。より好ましくは0〜3%であり、特に好ましくは0〜2%である。
〈保留性の評価方法〉
試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置し、処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算することができる。
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
【0138】
[フィルムの力学特性]
(カール)
フィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明のセルロース体組成物からなるフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際のラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値が前述の範囲外では、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きることがある。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触するために発塵しやすくなり、フィルム上への異物付着が多くなり、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えることがある。又、カールを上述の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
【0139】
(引裂き強度)
JISK7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)が、本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、特に好ましくは6〜25gである。また、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
【0140】
[フィルムの残留溶剤量]
フィルムに対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明に用いる透明支持体の残留溶剤量は1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0%以下であることがより好ましい。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
【0141】
[フィルムの吸湿膨張係数]
フィルムの吸湿膨張係数は30×10−5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10−5/%RH以下とすることが好ましく、10×10−5/%RH以下であることがよりに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10−5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
【0142】
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンのようなフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
【0143】
[アルカリ鹸化処理によるフィルム表面の接触角]
本発明のセルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとしてアルカリ鹸化処理が上げられる。この場合、アルカリ鹸化処理後のフィルム表面の接触角が55°以下であることが好ましい。より好ましくは50°以下であり、45°以下であることが特に好ましい。接触角の評価法はアルカリ鹸化処理後のフィルム表面に直径3mmの水滴を落とし、フィルム表面と水滴のなす角をもとめる通常の手法によって親疎水性の評価として用いることができる。
【0144】
(耐光性)
本発明のセルロース体組成物において、その光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を240時間照射したフィルムの色差ΔE*abが20以下であることが好ましい。より好ましくは18以下であり、15以下であることが特に好ましい。色差の測定は、UV3100(島津製作所社製)を用いることができる。測定の仕方は、フィルムを25℃60%RHに2時間以上調湿した後にキセノン光照射前のフィルムのカラー測定を行ない初期値(L0*、a0*、b0*)を求めることができる。その後、フィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーターSX-75(スガ試験機(株)社製)にて、150W/m2、60℃50%RH条件にてキセノン光を240時間照射し、所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、25℃60%RHに2時間調湿した後に、再びカラー測定を行い、照射経時後の値(L1*、a1*、b1*)を求めることができる。これらから、色差ΔE*ab=((L0*-L1*)2+(a0*-a1*)2+(b0*-b1*)20.5を求めることができる。
【0145】
[機能層]
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。これらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており好ましく用いることができる。
【0146】
[偏光板]
本発明のセルロース体組成物、およびそのフィルムは偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号の各公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
【0147】
[光学補償フィルム]
本発明のセルロース体組成物、およびそのフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明のセルロース体組成物フィルムは、光学補償フィルムとして用いる場合、ReおよびRthが0≦Re≦10nmかつ|Rth|≦25nmと光学的異方性が小さいことが好ましく、ΔRe(|Re(400)−Re(700)|)≦10nmかつΔRth(|Rth(400)−Rth(700)|)≦35nmと波長分散が小さいことが好ましい。このようなフィルムであれば、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
【0148】
したがって本発明のセルロース体組成物フィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe=0〜200nmかつ|Rth|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でもよい。本発明のセルロース体組成物、およびそのフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
【0149】
(ディスコティック液晶性化合物)
ディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
【0150】
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのがより好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
【0151】
(棒状液晶性化合物)
棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
【0152】
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのがより好ましい。重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号などの各公報に記載の化合物が含まれる。
【0153】
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセ
ーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
【0154】
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることがより好ましい。
【0155】
また、光学異方性層を形成するポリマーフィルムとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミドポリエステルイミド、およびポリアリールエーテルケトン、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー材料を用い、これを溶媒に溶解した溶液を基材に塗布し、溶媒を乾燥させてフィルム化する方法も好ましく用いることができる。この際、上記ポリマーフィルムと基材とを延伸して光学異方性を発現させて光学異方性層として用いる手法も好ましく用いることができ、本発明のセルロース体組成物、およぼそのフィルムは上記基材として好ましく用いることができる。また、上記ポリマーフィルムを別の基材の上で作製しておき、ポリマーフィルムを基材から剥離させたのちに本発明のセルロース組成物からなるフィルムと貼合し、あわせて光学異方性層として用いることも好ましい。この手法ではポリマーフィルムの厚さを薄くすることができ、50μm以下であることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0156】
(一般的な液晶表示装置の構成)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
【0157】
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロース体組成物、およびそのフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロース体組成物およびそのフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0158】
(TN型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)に記載がある。
【0159】
(STN型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0160】
(VA型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのReレターデーション値を0乃至150nmとし、Rthレターデーション値を70乃至400nmとすることが好ましい。Reレターデーション値は、20乃至70nmであることがより好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は70乃至250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRthレターデーション値は150乃至400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
【0161】
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロース体組成物からなるフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のリターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのがより好ましい。
【0162】
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38(1999)p.2837)に記載がある。
【0163】
(反射型液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。
【0164】
(その他の液晶表示装置)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
【0165】
(ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
【0166】
(写真フィルム支持体)
さらに本発明のセルロース体組成物およびそのフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、上述の各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445にカラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
【0167】
(透明基板)
本発明のセルロース体組成物からなるフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリア性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のセルロースアシレートフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のセルロースアシレートフィルムの少なくとも片面にSiO等を蒸着したり、あるいは塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のセルロース体組成物からなるフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079や特開2000−227603などに公開されている。
【実施例】
【0168】
以下に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(製造例1) 化合物A−2の製造
下記スキームにしたがって化合物A−2を製造した。
【0169】
【化24】


【0170】
中間体(T−1)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた500mlの三ツ口フラスコに14.9gの無水コハク酸、および200mlのニトロベンゼンを量り取り、室温にて攪拌した。この反応液に、室温下、13.8gの2,4−ジメトキシベンゼン、14.6gの塩化アルミニウムを順次ゆっくりと添加したのち、さらに2時間50℃にて加熱攪拌した。反応の進行をTLCにて確認した後に、反応液を室温にもどし、14.6gの塩化アルミニウムをさらに添加し、続いてさらに2時間80℃にて加熱攪拌した。得られた反応混合物を水300mlへ攪拌しながら投入し、100mlの酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。得られた粗生成物をアセトニトリルで再結晶することで中間体(T−1)を17.5g得た(収率64%)。
【0171】
例示化合物(A−2)の製造
温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(T−1)17.5g、およびトルエン100ml、DMF1mlを量り取り、室温にて攪拌した。この反応溶液に5.2mlの塩化チオニルをゆっくりと滴下した後、80℃で1時間反応させた。反応液が均一になったのを確認した後、アスピレーターを用いて反応系をそのまま濃縮し、過剰量の塩化チオニルを留去することで油状生成物を得た。新たにメカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコにN−メチルアニリン7.6g、トリエチルアミン9.9mlおよび150mlのTHFを量り取り、氷冷下、上記反応で得られた油状物をゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温に戻してさらに4時間反応させた。得られた反応混合物を水300mlへ攪拌しながら投入し、300mlの酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を300mlの1N塩酸水、300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。得られた粗生成物をアセトニトリルで再結晶することで例示化合物(A−2)を白色固体として18.1g得た(収率78%)。
【0172】
(製造例2) 例示化合物B−1の製造
下記スキームにしたがって例示化合物B−1を製造した。
【0173】
【化25】


【0174】
中間体(S−1)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた2000mlの三ツ口フラスコにo−ニトロアニリン51g、2N塩酸水600mlを量り取り、氷冷下、亜硝酸ナトリウム25.5gをゆっくりと添加したのち、さらに1時間攪拌することでジアゾニウム塩を形成させた。別のメカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた2000mlの三ツ口フラスコにm−アミノフェノール40g、2mol/l塩酸水400mlを量り取り、氷冷下、先の反応で得られたジアゾニウム塩溶液をゆっくりと添加し、さらに、室温にて二時間攪拌を続けた。反応終了後、水500ml、メタノール250mlの混合溶液に反応混合物を添加し、析出した固体をろ別した。こうして得られた中間体(S−1)の粗生成物はさらにメタノール1000mlで二度洗浄し、乾燥させた後、これ以上の精製は行わず、次工程に用いた。
【0175】
中間体(S−2)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた2000mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−1)を全量、テトラヒドロフラン(以下THFともいう)1000mlを量り取り、室温にて攪拌溶解させた。この溶液に、無水酢酸174ml、N,N-ジメチルアミノピリジン4.5g、トリエチルアミン259mlを順次添加し、その後、反応溶液を6時間加熱還流させた。反応の進行をTLCにて確認した後、THF約700mlを減圧留去した。この反応混合物を氷水1000ml中にゆっくりと添加し、析出した中間体(S−2)をろ別、水洗した。こうして得られた中間体(S−2)はこれ以上の精製は行わず、次工程に用いた。
【0176】
中間体(S−3)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた3000mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−2)を全量、4N水酸化ナトリウム水溶液850ml、メタノール850mlを量り取り、窒素気流下、攪拌しながら反応溶液を65℃に加熱した。この溶液に、ホルムアミジンスルフィン酸91gを5分割して注意深く添加し、その後、反応溶液を6時間65℃にて攪拌を続けた。反応の進行をTLCにて確認した後、反応液を室温に冷却し、この反応混合物を氷水2000ml中にゆっくりと添加した。析出した中間体(S−3)をろ別、水洗することで中間体(S−3)(71g)(m−アミノフェノールより収率63%)を得た。
【0177】
中間体(S−4)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた1000mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−3)71g、濃塩酸125ml、メタノール500mlを量り取り、攪拌しながら反応溶液を加熱し、3時間60℃にて攪拌を続けた。反応の進行をTLCにて確認した後、反応液を室温に冷却し、この反応混合物を氷冷、攪拌下、飽和重曹水1000mlにゆっくりと添加した。500mlの酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。得られた粗生成物をアセトニトリルで再結晶することで白色固体の中間体(S−4)を33g得た(収率64%)。
【0178】
中間体(S−5)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−4)16.1g、THF200mlを量り取り、氷冷下で攪拌した。ここに無水トリフルオロ酢酸16.7ml、トリエチルアミン16.9mlを順次内温が10℃を越えないようにゆっくりと滴下し、滴下後さらに室温にて1時間攪拌した。反応の進行をTLCにて確認した後、反応液を氷水500mlに注意深く注ぎ、得られた粗生成物を濾取した。
別のメカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体を全量(21g)、炭酸カリウム11.8g、DMF150mlを量り取り、この反応溶液にヨウ化メチル5.3mlを添加したのち、60℃で2時間加熱攪拌した。炭酸カリウム5g、ヨウ化メチル2mlを追添したのち、60℃でさらに1時間加熱攪拌し、原料の消失をTLCにて確認した。反応液を氷水500mlに注意深く注ぎ、得られた粗生成物を濾取した。
別のメカニカルスターラー、温度計、冷却管をつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体を全量(22g)、水酸化ナトリウム2.7g、メタノール150mlを量り取り、室温にて6時間攪拌した。反応の進行をTLCにて確認したのち、反応液を氷冷、攪拌下、希塩酸水500mlに注意深く注いだ。300mlの酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を300mlの0.5mol/l塩酸水、300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。得られた中間体(S−5)はこれ以上の精製は行わず次工程に用いた。(16.3g、収率90%)
【0179】
中間体(S−6)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−5)15.2g、THF100mlを量り取り、氷冷下で攪拌した。ここに、ベンゾイルクロリド7.4ml、ジイソプロピルエチルアミン16.5mlを順次、内温が10℃を越えないようにゆっくりと滴下し、添加後さらに室温にて2時間攪拌した。反応の進行をTLCにて確認した後、反応液を氷冷、攪拌下、希塩酸水500mlに注意深く注いだ。生成物を300mlの酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を300mlの0.5N塩酸水、300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2〜2/1)によって精製し、中間体(S−6)を黄白色固体として得た。(20.3g、収率95%)
【0180】
例示化合物(B−1)の製造
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた500mlの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体(S−6)20g、塩化メチレン100mlを量り取り、氷冷下で攪拌した。ここに三臭化ホウ素(1M塩化メチレン溶液)106mlを内温が10℃を越えないようにゆっくりと滴下し、添加後さらに室温にて2時間攪拌した。反応の進行をTLCにて確認した後、反応液を氷冷、攪拌下、水500mlに注意深く注いだ。生成物を300mlの酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を300mlの0.5mol/l塩酸水、300mlの飽和重曹水、300mlの飽和食塩水で2回ずつ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、濃縮した。粗生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液、酢酸エチル/n−ヘキサン=1/5〜1/1)によって精製し、例示化合物(B−2)を黄白色固体として得た。(14.2g、収率74%)
【0181】
(調製例) 原料溶液の調製
下記の原料をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、溶解し、セルロースアシレート溶液A組成を有する溶液を調製した。
【0182】
<セルロースアシレート溶液A組成>
置換度2.86のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
【0183】
下記の原料を別のミキシングタンクを用いて、加熱しながら攪拌して、溶解し、添加剤溶液B組成を有する溶液を調製した。
このとき、表1に示すとおり、添加剤1(光学異方性を低下させる化合物F−1)は全ての溶液に添加し、添加剤2についてはG−1〜5、A−2、B−1、C−1、D−1、またはE−1と代えて、それぞれ別の溶液として調製した。
【0184】
<添加剤溶液B組成>
添加剤1・・化合物F−1 12質量部
添加剤2・・表1参照 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
【0185】
【化26】


【0186】
【化27】


【0187】
さらに下記の原料を別のミキシングタンクを用いて、加熱しながら攪拌して、溶解し、添加剤溶液C組成を有する溶液を調製した。
このとき、表1に示すとおり、添加剤1(化合物F−1)は全ての溶液に添加し、添加剤2についてはG−1、G−5、A−2、またはE−1と代えて、それぞれ別の溶液として調製した。
【0188】
<添加剤溶液C組成>
添加剤1・・化合物F−1 9質量部
添加剤2・・表1参照 5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
【0189】
さらに下記の原料を別のミキシングタンクを用いて、加熱しながら攪拌して、溶解し、添加剤溶液D組成を有する溶液を調製した。
【0190】
<添加剤溶液D組成>
添加剤2・・表1参照 14質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 49質量部
メタノール(第2溶媒) 7質量部
【0191】
(実施例1〜7、比較例1〜8)
<セルロースアセテートフィルム試料001の作製>
セルロースアシレート溶液A組成の溶液562質量部を流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号公報の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料001(比較例1)を作製した。
【0192】
<セルロースアセテートフィルム試料002〜011の作製>
セルロースアシレート溶液A組成の溶液562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液B組成の溶液70質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
このドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料002(比較例2)を作製した。
また、添加剤溶液B組成の溶液において、添加剤2が表1のとおりそれぞれ異なるものを用いた以外、上記と同様にして比較のためのフィルム試料003〜006(比較例3〜6)、および本発明のセルロース体組成物のフィルム試料007〜011(実施例1〜5)を作製した。
【0193】
<セルロースアセテートフィルム試料012〜015の作製>
セルロースアシレート溶液A組成の溶液562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液C組成の溶液の70質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
このドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料012(比較例7)を作製した。
また、添加剤溶液C組成の溶液において、含まれる添加剤が表1のとおりそれぞれ異なるものを用いた以外、上記と同様にして、比較のためのフィルム試料013(比較例8)および本発明のセルロース体組成物のフィルム試料014、15(実施例6,7)を作製した。
【0194】
<セルロースアセテートフィルム試料016〜017の作製>
セルロースアシレート溶液A組成の溶液562質量部に、添加剤G−1を含む添加剤溶液D組成の溶液の60質量部を添加し、充分に攪拌して、ドープを調製した。
このドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延した。溶媒含有率70質量%の場外で剥ぎ取り、フィルムの巾方向の両端をピンテンター(特開平4−1009号の図3に記載のピンテンター)で固定し、溶媒含有率が3乃至5質量%の状態で、横方向(機械方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み80μmの比較のためのフィルム試料016(比較例9)を作製した。
また、添加剤溶液D組成の溶液において、含まれる添加剤が表1のとおり異なるものを用いた以外、上記と同様にして、本発明のセルロース体組成物のフィルム試料017(実施例8)を作製した。
【0195】
【表1】


【0196】
フィルム試料の評価は、前述の方法(揮散量については[フィルム加熱処理後の化合物揮散量]に記載の方法、Rth、ΔRthについては[セルロース体フィルムの評価方法]に記載の方法)に従って行った。ブリードアウトとは、添加剤がセルロース体フィルムと相溶せずにフィルム面上に析出する現象であり、セルロース体フィルムを作製した際、フィルム表面を目視で観察することにより評価を行った。ブリードアウトが全くないものを○として、部分的もしくは全体的にブリードアウトがあるものを×として表1に結果を示した。なお、RthおよびΔRthに関して部分的もしくは全体的にブリードアウトしたものを測定不能として示した。
表1より、本発明のセルロース体組成物のフィルム試料は、添加剤を含まない試料001に対して、光学異方性(Rth)および波長による光学異方性の変化(ΔRth)を小さくする効果があることがわかる。
また本発明のセルロース体組成物のフィルム試料は、常用の紫外線吸収剤(G−1、G−2、G−3、G−4、またはG−5)に対して、低いRthおよびΔRthの値を維持し、かつ製造上問題とされる熱揮散量を小さくすることができることがわかる。また、添加剤2の添加量を多くした場合でもブリードアウトしないフィルムが作製できることがわかる。
【0197】
(実施例8)
表1に示したフィルム試料001を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、フィルムの表面をけん化した(けん化フィルム試料001)。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理したけん化フィルム試料001を2枚用意して、偏光膜を間にして貼り合わせて、両面がけん化フィルム試料001によって保護された偏光板を得た。この際両側のけん化フィルム試料001の遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
表1のフィルム試料001に代え、それぞれ試料002〜011を用いた以外、上記と同様にして偏光板を作製し評価した。
比較例のセルロース体組成物に比べ、本発明のセルロース体組成物により得られた偏光板保護膜を用いた楕円偏光板(フィルム試料007〜011から作製した保護膜を用いた偏光板)の光学特性は優れたものであった。
【0198】
(実施例9)
表1のフィルム試料001〜011に関して、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置を作成し評価したところ、比較例のセルロース体組成物を用いた場合に比べ、本発明のセルロース体組成物により得られた液晶表示装置(フィルム試料007〜011を用いて作製した液晶表示装置)については、いずれの場合においても良好な性能が得られた。
【0199】
(実施例10)
表1のフィルム試料001〜011に関して、その膜厚を120nmにした以外は、実施例1〜7および比較例1〜8と同様にしてフィルム試料401〜411を作製した。得られたフィルムの一方に特開平4−73736号公報の実施例1記載の第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作成した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対面に、特開平11−38568号公報の実施例1に記載の試料105を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。
比較例のセルロース体組成物を用いた場合に比べ、本発明のセルロース体組成物により得られたハロゲン化銀写真感光材料(試料407〜411を用いたハロゲン化銀写真感光材料)については、優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。




 

 


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