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透明フィルム及びその製造方法、並びにその透明フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置 - 富士フイルム株式会社
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発明の名称 透明フィルム及びその製造方法、並びにその透明フィルムを用いた偏光板及び液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−23157(P2007−23157A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−207145(P2005−207145)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 小林 孝史
要約 課題

優れた透明性、弾性率、透湿度、寸度安定性を有する透明フィルム、及びその製造方法並びに、それを用いて得られる偏光板及び、光漏れが抑制され耐久性にも優れた液晶表示装置を提供すること。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂及びこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノ樹脂と、セルロースアシレートを含有することを特徴とする透明フィルム。
【請求項2】
アミノ樹脂が、アミノ樹脂前駆体が架橋されて形成された構造を含有する請求項1記載の透明フィルム。
【請求項3】
アミノ樹脂とセルロースアシレートの残留水酸基とが架橋された構造を含有する請求項1または2に記載の透明フィルム。
【請求項4】
アミノ樹脂前駆体とセルロースアシレートの残留水酸基とが架橋された構造を含有する請求項2または3に記載の透明フィルム。
【請求項5】
セルロースアシレート及びアミノ樹脂前駆体を含有するセルロースアシレート溶液を流延する工程(流延工程)と、該流延工程により形成されたフィルムを加熱する加熱工程とを有することを特徴とする透明フィルムの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の透明フィルム、又は請求項5の製造方法により製造された透明フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の透明フィルム、請求項5の製造方法により製造された透明フィルム、又は請求項6に記載の偏光板の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースアシレートフィルムは透明で、優れた物理的、機械的性質を有し、且つ温度湿度変化に対する寸法変化が少なく、従来からハロゲン化銀感光材料フィルム用支持体、製図トレーシングフィルム、電気絶縁材料などの広い分野で使用され、最近では液晶画像表示装置の偏光板用保護フィルムとして使用されている。
【0003】
近年、液晶画像表示装置は高精細化・大型化がますます進み、偏光板用保護フィルムとして優れた光透過性、光学的な無配向性、偏光素子との良好な接着性、優れた平面性、紫外線吸収性、帯電防止性等の性質、及び温湿度変化に対する耐久性が求められている。
【0004】
また、液晶表示装置に用いられる光学的に異方性を有する光学補償フィルムは、液晶表示装置を斜めから見ると表示性能が低下するという液晶表示装置特有の視野角特性を改良するために、その重要性がますます高まっている。
【0005】
光学補償フィルムは、液晶表示装置の動作モードにより種々のタイプのものが考案・市販されており、例えばセルロースアシレートフィルムそのものに光学的異方性を付与したもの;セルロースアシレートフィルムを支持体として用い、その上に液晶性化合物又は、光学的に異方性をもつ高分子化合物を積層したもの;などが知られている。この分野においてもセルロースアシレートフィルムの温湿度変化に対する耐久性が求められている。
【0006】
上記課題に対しセルロースアシレートフィルムを改質する方法として、架橋剤により三次元架橋されているセルロースエステルフィルムを含んで構成されることを特徴とする光学フィルム(特許文献1);セルロースエステルの残留ヒドロキシル基が共有結合を介して架橋構造を形成し、且つ架橋部分に芳香族環を少なくとも1つ以上有し、面内リターデーション値Roが20〜300nmであり、延伸されていることを特徴とするセルロースエステルフィルム(特許文献2);熱架橋性有機化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム(特許文献3);などがある。
【特許文献1】特開2004−109307号公報
【特許文献2】特開2004−244497号公報
【特許文献3】特開2004−292558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの特許文献では、架橋剤としてジビニル化合物、アルデヒド化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、エチレンイミン等が記載されているが、弾性率、透湿度、寸度安定性は向上するものの未だ不十分であった。
【0008】
従って本発明の目的は、優れた弾性率、透湿度、寸度安定性を有する透明フィルムを提供することにある。
他の本発明の目的は、それを用いて得られる偏光板、液晶表示装置を提供することである。
更には、光モレが抑制された耐久性に優れた液晶表示装置を提供することである。
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、セルロースアシレートフィルムに、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂及びこれらの混合物からなる群から選ばれる樹脂(以下、アミノ樹脂とも称す)を含有させることによって、さらに該アミノ樹脂の形成材料であるアミノ樹脂前駆体によって架橋構造が形成されたセルロースアシレートフィルムが非常に優れた弾性率、透湿度、寸度安定性を有することを見出した。
【0010】
本発明は、セルロースアシレート溶液(ドープ)中に、アミノ樹脂前駆体と、必要に応じて硬化触媒を共存させて溶液流延方法で流延し、且つ熱により架橋反応させることによって、架橋したアミノ樹脂(自己縮合物)及び/又はアミノ樹脂とセルロースアシレートの架橋物をセルロースアシレートフィルム中に形成・含有するものである。これにより相分離のない光学的に透明な、膜強度、温湿度特性に優れたフィルムが作製されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、上記課題は、下記の構成により解決されることが見出された。
(1)尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂及びこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノ樹脂とセルロースアシレートを含有することを特徴とする透明フィルム。
【0012】
(2)アミノ樹脂が、アミノ樹脂前駆体が架橋されて形成された構造を含有する上記(1)に記載の透明フィルム。
(3)アミノ樹脂とセルロースアシレートの残留水酸基とが架橋された構造を含有する上記(1)または(2)に記載の透明フィルム。
【0013】
(4)アミノ樹脂前駆体とセルロースアシレートの残留水酸基とが架橋された構造を含有する上記(2)または(3)に記載の透明フィルム。
(5)セルロースアシレート及びアミノ樹脂前駆体を含有するセルロースアシレート溶液を流延する工程(流延工程)と、該流延工程により形成されたフィルムを加熱する加熱工程とを有する透明フィルムの製造方法。
【0014】
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の透明フィルム、又は上記(5)の製造方法により製造された透明フィルムを偏光子の保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
【0015】
(7)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の透明フィルム、上記(5)の製造方法により製造された透明フィルム、又は上記(6)に記載の偏光板の少なくともいずれかを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の、アミノ樹脂とセルロースアシレートとを含む透明フィルムは、光学的に透明で、膜強度(弾性率)に優れ、透湿度及び寸度変化などの温湿度特性が良好であり、それらを用いて作製した偏光板からなる液晶表示装置も、光漏れが抑制され耐久性にも優れる。
本発明の透明フィルムは、特に液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野拡大フィルム、液晶表示装置・プラズマディスプレー等に用いられる反射防止フィルムなどの各種機能フィルム、ハロゲン化銀写真感光材料に用いられる支持体フィルム、また、有機ELディスプレー等にも使用できる各種機能フィルム等の光学用途に好適に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の透明フィルムとその製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0018】
<透明フィルム>
本発明の透明フィルムは、セルロースアシレート、アミノ樹脂前駆体、並びに必要に応じて硬化触媒を含有するセルロースアシレート溶液を流延する工程(流延工程)と、該流延工程により形成されたフィルムを熱により架橋反応させる工程とを含む、溶液流延方法により製造されるものである。
【0019】
〔セルロースアシレート〕
セルロースアシレートの原料のセルロースとしては、綿花リンター、ケナフ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)等があり、何れの原料セルロースから得られるセルロースエステルでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。
【0020】
本発明においては、セルロースをエステル化してセルロースアシレートを作製するが、特に好ましい上記のセルロースがそのまま利用できる訳ではなく、綿花リンター、ケナフ、パルプ等を精製して用いられる。
【0021】
本発明においてセルロースアシレートとは、セルロースの総炭素数2〜22のカルボン酸エステルのことである。
【0022】
[アシル基]
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族アシル基でも芳香族アシル基でもよく、特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、シクロアルキルカルボニルエステル、又は芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。
【0023】
これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、シクロヘキサンカルボニル、アダマンタンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、(メタ)アクリロイル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、より好ましいアシル基は、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、シクロヘキサンカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ナフチルカルボニルなどであり、特に好ましいアシル基としてはアセチル、プロピオニル、ブタノイルである。
【0024】
セルロースアシレートの合成方法は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行 発明協会)p.9に詳細に記載されている。
【0025】
本発明に好適に用いられるセルロースアシレートとしては、セルロースの水酸基への置換度が下記数式(1)及び(2)を満足するものが好ましい。
数式(1):2.3≦SA'+SB'≦3.0
数式(2):0≦SA'≦3.0
【0026】
ここで、SA'はセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基の置換度、またSB'はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。なお、SAはセルロースの水酸基の水素原子を置換しているアセチル基を表し、SBはセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3〜22のアシル基を表す。
【0027】
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部又は全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位及び6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(各位それぞれ100%のエステル化は置換度1)を意味する。
【0028】
本発明では、SAとSBの置換度の総和(SA'+SB')は、より好ましくは2.6〜3.0であり、特に好ましくは2.80〜3.00である。また、SAの置換度(SA')はより好ましくは1.4〜3.0であり、特には2.3〜2.9である。
【0029】
更に、下記数式(3)を同時に満足することが好ましい。
数式(3):0≦SB"≦1.2
ここで、SB"はセルロースの水酸基の水素原子を置換している炭素原子数3又は4のアシル基を表す。
【0030】
さらにSB"はその28%以上が6位水酸基の置換基であるのが好ましく、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。
【0031】
また更に、セルロースアシレートの6位のSA'とSB"の置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85以上であり、特には0.90以上であるセルロースアシレートも好ましいものとして挙げることができる。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
【0032】
なお、置換度はセルロース中の水酸基に結合した脂肪酸の結合度を測定し、計算によって得られる。測定方法としては、ASTM D−817−91、ASTM D−817−96に準拠して測定することができる。また、水酸基へのアシル基の置換の状態は、13
NMR法によって測定される。
【0033】
上記透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルム(以下、単にセルロースアシレートフィルムともいう)は、フィルムを構成するポリマー成分としてのセルロースアシレートが、実質的に前記の数式(1)及び(2)を満足するセルロースアシレートからなることが好ましい。
ここで「実質的に」とは、全セルロースアシレート成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。セルロースアシレートは単独もしくは2種類以上の併用であってもよい。
【0034】
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは230〜550、更に好ましくは230〜350であり、特に好ましくは粘度平均重合度240〜320である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
【0035】
またセルロースアシレートの数平均分子量Mnは、好ましくは7〜25×104の範囲、より好ましくは、8〜15×104の範囲にあることが望ましい。また、該セルロースアシレートの質量平均分子量Mwとの比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。なお、セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定でき、これを用いて上記Mn及びM
wを算出し、Mw/Mnを計算することができる。
【0036】
〔アミノ樹脂〕
本発明の透明フィルムは、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂及びこれらの混合物からなる群から選ばれる樹脂(アミノ樹脂)を含有することを特徴とする。本発明の透明フィルムは、アミノ樹脂が有する架橋構造、さらに、セルロースアシレートの残留水酸基との架橋構造を含有することが好ましい。アミノ樹脂はアミノ樹脂前駆体の縮合によって形成されることが好ましい。また、アミノ樹脂前駆体とセルロースアシレートの残留水酸基とが架橋された構造を含有することも好ましい態様である。
【0037】
本明細書においてアミノ樹脂前駆体とは、前記アミノ樹脂(尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂及びこれらの混合物からなる群から選ばれる樹脂)の形成に用いることが可能な化合物を指し、通常、該化合物が縮合することによってアミノ樹脂が形成される。
本発明に用いられるアミノ樹脂前駆体としては、下記一般式(1)、(2)、(3)、(4)及びその多核体が好ましい。多核体の平均重合度は、1を超えて5以下である。
一般式(1):
【0038】
【化1】


【0039】
11及びR12は、水素原子又はCH2OR10(R10は水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)を表し、R11及びR12は同一であっても異なっていてもよい。CH2OR10基のR10は、上記一般式(1)の中で同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
10がアルキル基の場合、炭素数は1〜12であり、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。炭素数が該上限値以内であれば、セルロースアシレートとの相溶性が低下するといった問題が生じないため好ましい。
【0041】
11及びR12の具体例を下記に示す。
H、CH2OCH3、CH2OC25、CH2OC37(n)、CH2OC37(i)、CH2OC49(n)、CH2OC49(i)、CH2OH等。
【0042】
一般式(2):
【0043】
【化2】


【0044】
21〜R24は、水素原子又はCH2OR20(R20は水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)を表し、R21〜R24は同一であっても異なっていてもよい。CH2OR20基のR20は、上記一般式(2)のなかで同一であっても異なっていてもよい。
【0045】
20がアルキル基の場合、炭素数は1〜12であり、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。炭素数が該上限値以内であれば、セルロースアシレートとの相溶性が低下するといった問題が生じないため好ましい。
【0046】
21〜R24の具体例を下記に示す。
H、CH2OCH3、CH2OC25、CH2OC37(n)、CH2OC37(i)、CH2OC49(n)、CH2OC49(i)、CH2OH等。
【0047】
一般式(3):
【0048】
【化3】


【0049】
31〜R34は、水素原子又はCH2OR30(R30は水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)を表し、R31〜R34は同一であっても異なっていてもよい。CH2OR30基のR30は、上記一般式(3)のなかで同一であっても異なっていてもよい。
【0050】
30がアルキル基の場合、炭素数は1〜12であり、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。炭素数が該上限値以内であれば、セルロースアシレートとの相溶性が低下するといった問題が生じないため好ましい。
【0051】
31〜R34の具体例を下記に示す。
H、CH2OCH3、CH2OC25、CH2OC37(n)、CH2OC37(i)、CH2OC49(n)、CH2OC49(i)、CH2OH等。
【0052】
一般式(4):
【0053】
【化4】


【0054】
41及びR42は、水素原子又はCH2OR40(R40は水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基を表す)を表し、R41及びR42は同一であっても異なっていてもよい。CH2OR40基のR40は、上記一般式(4)のなかで同一であっても異なっていてもよい。
43は水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基を表す。
【0055】
40がアルキル基の場合、炭素数は1〜12であり、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。炭素数が該上限値以内であれば、セルロースアシレートとの相溶性が低下するといった問題が生じないため好ましい。
【0056】
41及びR42の具体例を下記に示す。
H、CH2OCH3、CH2OC25、CH2OC37(n)、CH2OC37(i)、CH2OC49(n)、CH2OC49(i)、CH2OH等。
【0057】
[アミノ樹脂前駆体の好適例]
下記に、本発明において好ましいアミノ樹脂前駆体を例示する。これらの多核体も好ましい化合物に含まれる。また本発明に用いられるアミノ樹脂前駆体は下記化合物例に限定されるものではない。
【0058】
【化5】


【0059】
【化6】


【0060】
【化7】


【0061】
【化8】


【0062】
これらの化合物のうち、架橋のしやすさ、フィルム強度の観点から、アミノ樹脂前駆体は(A−1)、(B−1)、(C−1)及び(D−1)の少なくともいずれかを用いることが最も好ましい。これらの複数を用いてもよい。
【0063】
本発明に用いられるアミノ樹脂前駆体は、各社より市販されているアミノ樹脂形成材料
に含有されている。例えば、「ニカラックMX−270」、「ニカラックMX−280」、「ニカラックMX−290」、「ニカラックBL−60」、「ニカラックBX−37」、「ニカラックBX−4000」{以上、(株)三和ケミカル製}などを例示することができる。
【0064】
アミノ樹脂前駆体の添加量は、セルロースアシレートに対し3〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは7〜40質量%である。3質量%以上であれば、メラミン樹脂の良好な添加効果が発揮され、60質量%以下であれば、フィルムが脆くなってリワーク性が低下するなどの問題が生じないので、この添加量範囲で使用することが好ましい。
【0065】
アミノ樹脂形成材料の工業的製法は次の2つに大別される:
(1)低固形分型アミノ樹脂形成材料の製造方法、
(2)高固形分型アミノ樹脂形成材料の製造方法。
低固形分型アミノ樹脂形成材料は一段法で製造されるが、高固形分型アミノ樹脂形成材料は多段法で製造される。この製法の違いによって、アミノ樹脂形成材料に含まれる、アミノ樹脂形成用単量体・多核体のアルキルエーテル化置換度、平均重合度、遊離ホルムアルデヒド含有量が異なる。
【0066】
次ぎに、一段法、多段法の反応機構を、メラミンを例として以下に説明するが、本発明において好適に用いられるアミノ樹脂前駆体を含むアミノ樹脂形成材料についても同様に製造することができる。
(1)一段法:
【0067】
【化9】


【0068】
上記式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは水素原子、CH2OH、CH2−[メラミン](多核体)を表す。
【0069】
一段法は、メラミン、ホルムアルデヒド、アルコールを、酸性条件下でメチロール化反応させ、同条件下で、過剰のアルコール、ホルムアルデヒドと、原料ホルムアルデヒドに含まれる水及びアルコキシ化反応によって生成する水を留去しながら、アルコキシ化反応させてアミノ樹脂を得る方法である。酸性条件下、アルコールや水を留去するような高い温度条件下では、多核化の反応速度も速くなり、アルコキシ化と多核化が同時進行することになる。また、原料ホルムアルデヒド中の水と、反応によって生成する水は、アルコキシ化反応の進行を妨げる方向に働きアルコキシ化を不完全にする。このようにメチロール化とアルコキシ化の2つの反応を一工程で行う一段法では、メチロール基が残って多核化された樹脂構造をもち、遊離ホルムアルデヒドの多いアミノ樹脂形成材料(この例ではメラミン樹脂形成材料)となる。
【0070】
(2)多段法:
【0071】
【化10】


【0072】
上記式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基である。
【0073】
多段法では、アルカリ条件化でメチロール化反応を行った後、酸性条件下、比較的低い温度で、不完全にアルコキシ化反応を行い、次いで再びアルカリ条件にして多核化を防ぎながら、反応溶液中のアルコール、水(アルコキシ化によって生成した水も含まれる。)
、過剰のホルムアルデヒドを留去し、再びアルコールを加えて酸性条件下、比較的低い温度でアルコキシ化反応を行い、さらに反応溶液中の揮発成分を留去し、必要に応じて所定の濃度になるように希釈溶媒を加えて製造される。このようにメチロール化反応とアルコキシ化反応を別の条件下で、しかも、反応と蒸留を繰り返して行う多段法による製造法は、多核体の少ないメチロール基当量がコントロールされた、しかも遊離ホルムアルデヒド含量の少ないアミノ樹脂形成材料(この例ではメラミン樹脂形成材料)が得られる。なお詳細に関しては「色材」、63巻[1]、p.19〜28(1990年)に記載がある。
【0074】
本発明において好適なアミノ樹脂形成材料は、遊離ホルムアルデヒド含量が少ないため、多段法により製造されたものが好ましい。好ましい遊離ホルムアルデヒド含量は5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、最も好ましくは1質量%以下である。遊離ホルムアルデヒド含量が5質量%以下であれば、環境負荷の少なくなる観点から好ましい。
【0075】
〔硬化触媒〕
本発明では、ドープ中に硬化触媒として酸触媒を加えてもよい。この酸触媒は、例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、デカンジカルボン酸、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸類;パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレン(ジ)スルホン酸等のスルホン酸類;ジメチルリン酸、ジブチルリン酸、ジメチルピロリン酸、ジブチルピロリン酸等の有機アルキルリン酸エステル化合物などが挙げられる。これらの有機酸のうち硬化性の点から、スルホン酸類、なかでもドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ジノニルナフタレン(ジ)スルホン酸が特に好ましい。
【0076】
ドープの貯蔵安定性の点からは、上記の酸触媒を、通常の一般的なセルロースアシレートフィルムの製膜温度で解離するブロック剤でブロックして用いるのが好ましい。ブロックされた酸触媒を用いると、ドープの貯蔵安定性が不良となるなどの不具合が生じないので好ましい。
【0077】
ブロック剤としてはアミンを用いるのがよく、そのようなアミンとしては、炭素原子数40個以下の第一級、第二級、又は第三級のアルキルアミン、アルカノールアミン、脂環式アミン、及びN−ヘテロ環式アミンが好ましく、特にエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n−、i−、s−及びt−ブチルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、及びトリ−イソプロパノールアミン等が好ましい。
【0078】
なお、酸触媒の市販品としては、例えば、「ネイキュア155」、「ネイキュア1051」、「ネイキュア5076」、「ネイキュア4054J」(KING INDUSTRIES,INC社製)等が挙げられる。ブロックする場合には、これらの酸触媒を上述のブロック剤でブロックして用いる。市販品としては、「ネイキュア2500」、「ネイキュア5225」、「ネイキュアX49−110」、「ネイキュア3525」、「ネイキュア4167」(KING INDUSTRIES、INC社製)等が挙げられる。
【0079】
硬化触媒の添加量は、フィルム乾燥温度、乾燥時間に拠るため一概に決められないが、アミノ樹脂前駆体に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.2〜8.0質量%、より好ましくは0.3〜5.0質量%が好適である。0.1%以上であれば、硬化が十分に進行し、10.0質量%以下であればドープの液安定性が不良になるなどの問題が生じない。
【0080】
〔添加剤〕
本発明の透明フィルムは、前記セルロースアシレートに対し、可塑剤{特に好ましくは
、後述するオクタノール/水分配係数(logP値)が0〜10である可塑剤}、及び微粒子(特に好ましくは、後述する平均一次粒径3〜100nmの微粒子)を各々少なくとも1種含有してもよい。
【0081】
次に、本発明において、透明フィルムに含有させることができる可塑剤及び微粒子など、各種の添加剤について説明する。
【0082】
〔添加剤〕
[可塑剤]
本発明で用いられる可塑剤は、透明フィルムに対し、さらに、柔軟性を与え、寸法安定性を向上させ、耐湿性を向上させるために添加される成分である。好ましい可塑剤は、沸点が200℃以上で、25℃で液体であるか、又は融点が25〜250℃である固体であることが好ましい。更に好ましくは沸点が250℃以上で、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である可塑剤が挙げられる。可塑剤が液体の場合は、その精製は通常減圧蒸留によって実施され、高真空ほど好ましく、本発明では、特に200℃における蒸気圧が1333Pa以下の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧667Pa以下、更に好ましくは133〜1Paの化合物が好ましい。
【0083】
これらの好ましく添加される可塑剤としては、上記の物性の範囲内にあるリン酸エステル、カルボン酸エステル、ポリオールエステル等が用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が含まれる。
【0084】
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジエチルヘキシルフタレート等が挙げられる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。これらの好ましい可塑剤は、25℃においてTPP(融点約50℃)以外は液体であり、沸点も250℃以上である。
【0085】
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。グリコール酸エステルの例としては、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなどがある。
【0086】
また、特開平5−194788号、特開昭60−250053号、特開平4−227941号、特開平6−16869号、特開平5−271471号、特開平7−286068号、特開平5−5047号、特開平11−80381号、特開平7−20317号、特開平8−57879号、特開平10−152568号、特開平10−120824号の各公報などに記載されている可塑剤も好ましく用いられる。これらの公報によると可塑剤の例示だけでなく、その利用方法又はその特性についての好ましい記載が多数あり、本発明においても好ましく用いられるものである。
【0087】
その他の可塑剤としては、特開平11−124445号公報記載の(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、特開平11−246704号公報記載のグリセロールエステル類、
特開2000−63560号公報記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号公報記載のクエン酸エステル類、特開平11−90946号公報記載の置換フェニルリン酸エステル類、特開2003−165868号公報等記載の芳香環とシクロヘキサン環を含有するエステル化合物などが好ましく用いられる。
【0088】
更には本発明では、オクタノール/水分配係数(logP値)が0〜10である可塑剤が特に好ましく用いられる。化合物のlogP値が10以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性が良好で、フィルムの白濁や粉吹きなどの不具合を生じることがなく、またlogP値が0よりも大きければ、親水性が高くなりすぎることがないので透明フィルムの耐水性を悪化させるなどの弊害が生じにくいため、上記範囲内のものを用いることが好ましい。logP値として、さらに好ましい範囲は1〜8であり、特に好ましい範囲は2〜7である。
【0089】
オクタノール/水分配係数(logP値)の測定は、JIS Z−7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール/水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法又は経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法[“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,27巻21頁(1987)]、Viswanadhan's fragmentation法[“J.Chem.Inf.Comput.Sci.”,29巻163頁(1989)]、Broto's fragmentation法[“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻71頁(1984)]などが好ましく用いられるが、中でもCrippen's fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
【0090】
また、分子量1000〜10万の樹脂成分を有する高分子可塑剤も好ましく用いられる。例えば、特開2002−22956号公報に記載のポリエステル及び又はポリエーテル、特開平5−197073号公報に記載のポリエステルエーテル、ポリエステルウレタン又はポリエステル、特開平2−292342号公報に記載のコポリエステルエーテル、特開2002−146044号公報等記載のエポキシ樹脂又はノボラック樹脂等が挙げられる。
【0091】
これらの可塑剤は単独もしくは2種類以上を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して2〜30質量部、特に5〜20質量部が好ましい。
【0092】
[微粒子]
本発明の透明フィルムに好ましく用いられる微粒子は、フィルムの摩擦特性の向上、機械的強度並びにさらなる寸法安定性の向上及び耐湿性を向上させるために添加されるもので、疎水性であるのが好ましい。
【0093】
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、1〜100nmであり、より好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは3〜80nmであり、特に好ましくは5〜60nmであり、最も好ましくは、5〜50nmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を測定し、平均粒径を求めることができる。
【0094】
微粒子の見掛け比重としては、70g/L以上が好ましく、更に好ましくは、90〜2
00g/Lであり、特に好ましくは、100〜200g/Lである。
【0095】
微粒子の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して0.005〜2質量部、特に0.01〜1.0質量部とするのが好ましい。
【0096】
微粒子の好ましい具体例は、無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロンチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであり、透明フィルムのヘイズ上昇を抑制できるので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
【0097】
本発明の透明フィルムに好適に用いられる微粒子としては、セルロースアシレート溶液(ドープ)中及び製膜後のフィルム中での凝集が抑制されて、微粒子として安定に分散されるなどの理由から、表面処理されていることが好ましい。表面処理は、微粒子の表面を有機化合物で処理するなどして行われ、その際用いることができる有機化合物の例には、従来公知の金属酸化物や無機顔料等の無機フィラー類の表面改質剤などを挙げることができ、例えば「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」第一章(技術情報協会、2001年刊行)等に記載されている。具体的には、該微粒子表面と親和性を有する極性基を有する有機化合物、カップリング化合物があげられる。
【0098】
微粒子表面と親和性を有する極性基としては、カルボキシ基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、環状酸無水物基、アミノ基等があげられ、分子中に少なくとも1種を含有する化合物が好ましい。例えば、長鎖脂肪族カルボン酸(例えばステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等)、ポリオール化合物{例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ECH(エピクロルヒドリン)変性グリセロール等}、ホスホノ基含有化合物{例えばEO(エチレンオキシド)変性リン酸等}、アルカノールアミン{エチレンジアミンEO付加体(5モル)等}等が挙げられる。
【0099】
カップリング化合物としては、従来公知の有機金属化合物が挙げられ、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。具体的には、例えば山下普三、金子東助「架橋剤ハンドブック」(大成社、1981年刊)記載のカップリング化合物が挙げられる。
表面処理に際しては、上記の化合物を2種類以上併用することもできる。
【0100】
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。シリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、東芝シリコーン(株)から上市されている「トスパール」の商品名を有する市販品が使用できる。
【0101】
本発明で使用される微粒子の形状は、特に限定されないが米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、不定形状が好ましい。微粒子は単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
【0102】
本発明に好ましく供される微粒子は、製膜後のフィルム中に均一に分散されることが好ましい。そこで微粒子は、以下のような態様等で微粒子分散物を調製した後にドープ液に導入されることが好ましい。
【0103】
(1)溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、ドープ液に加えて撹拌する。
(2)溶媒と微粒子を撹拌混合した後、分散機で微粒子分散液とし、別に溶媒に少量のセルロースアシレートを加え、撹拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌して得られる微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
(3)溶媒に少量のセルロースアシレートを加えて撹拌溶解し、これに微粒子を加えて分散機で分散して微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
【0104】
分散物中の微粒子の一次粒子の質量平均径は3〜200nmであることが好ましく、より好ましくは3〜150nm、さらに好ましくは3〜100nm、特に好ましくは5〜80nmである。特に、本発明における湿式分散物中の分散微粒子は、分散時において微粒子の比表面積を過度に大きくしないために、微粒子を一次粒径以上に実質的に維持することが好ましい。更には、湿式分散物中の分散微粒子中には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。更には、500nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが好ましく、300nm以上の平均粒子径の大粒子が含まれないことが特に好ましい。このことにより、光学的欠陥のない、ヘイズ値の小さい透明性良好なフィルムであり、表面に粗大な凹凸のない、微細な凹凸形状を形成することができる。
【0105】
[紫外線防止剤]
本発明の透明フィルムには、フィルム自身の耐光性向上、或いは偏光板、液晶表示装置の液晶化合物等の画像表示部材の劣化防止のために、更に紫外線防止剤を添加することが好ましい。
【0106】
紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な画像表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものを用いることが好ましい。特に、波長370nmでの透過率が、20%以下であることが望ましく、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。
【0107】
このような紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、前記のような紫外線吸収性基を含有する高分子紫外線吸収化合物等があげられるが、これらに限定されない。紫外線吸収剤は2種以上用いてもよい。
【0108】
紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、アルコールやメチレンクロリド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してから添加してもよいし、また直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒とセルロースアシレート中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0109】
本発明において紫外線吸収剤の使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.1〜5.0質量部、好ましくは0.5〜2.0質量部、より好ましくは0.8〜2.0質量部である。
【0110】
[レターデーション調整剤]
本発明の透明フィルムには、レターデーション調整剤を含有させることができる。レターデーション調整剤の使用によってフィルムの光学特性を所望の範囲に調節することが可能となり、液晶表示装置に用いる偏光板保護フィルムなどの光学用途に好適な透明フィルムを得ることができる。
【0111】
本発明の透明フィルムは、レターデーションを上昇させる化合物(レターデーション上昇剤)を添加し延伸することで、レターデーションを発現させることが可能になり、位相差フィルムとして使用できる。レターデーション上昇剤としては、棒状の構造や平面性の構造を有する化合物が好ましく用いられる。
【0112】
また、フィルム中のセルロースアシレートが面内及び膜厚方向に配向するのを抑制する化合物(レターデーション低減剤)を含有させることで、光学異方性の小さい透明フィルムを得ることができ、偏光板保護膜や光学補償フィルムの支持体として好ましく使用できる。このためには光学異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。本発明においてレターデーション調整剤の好ましい使用量は、セルロースアシレート100質量部に対し0.01〜30質量部、好ましくは1〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
【0113】
[他の添加剤]
更に、本発明に用いられるセルロースアシレート溶液(ドープ)には、各調製工程において用途に応じた他の種々の添加剤{例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)、剥離剤、帯電防止剤、赤外吸収剤等}を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。さらにまた、赤外吸収剤としては例えば特開平2001−194522号公報に記載のものが使用できる。
【0114】
これらの添加剤を添加する時期は、ドープ作製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、本発明の透明フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開平2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。上記の紫外線吸収剤を含めてこれらの詳細は、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)16〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0115】
これらの添加剤の使用量は、セルロースアシレート溶液(ドープ)中の全固形分に基づいて、0.001〜20質量%の範囲で適宜用いられることが好ましい。
【0116】
〔溶媒〕
次に、本発明に用いられるセルロースアシレートを溶解する有機溶媒について記述する。用いられる有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒が挙げられ、例えば溶解度パラメーターで17〜22の範囲ものが好ましい。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup,E.H.等の“Polymer Handbook”,第4版、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。低級脂肪族炭化水素の塩化物、低級脂肪族アルコール、炭素原子数3〜12のケトン、炭素原子数3〜12のエステル、炭素原子数3〜12のエーテル、炭素原子数5〜8の脂肪族炭化水素類、炭素数6〜12の芳香族炭化水素類、フルオロアルコール類(例えば、特開平8−143709号公報段落番号[0020]、同11−60807号公報段落番号[0037]等に記載の化合物)等が挙げられる。
【0117】
本発明においてセルロースアシレートは、有機溶媒に10〜30質量%溶解している溶液であることが好ましいが、より好ましくは13〜27質量%であり、特には15〜25
質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを調製する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように調製してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度溶液に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれかの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
【0118】
〔ドープの調製〕
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製について、その溶解方法は、特に限定されるものではなく、室温溶解法、冷却溶解法又は高温溶解方法により実施され、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号などの各公報にセルロースアシレート溶液の調製法が記載されている。これらのセルロースアシレートの有機溶媒への溶解方法は、本発明においても、その範囲内であればこれらの技術を適宜適用できるものである。これらの詳細、特に非塩素系溶媒系については、前記の公技番号2001−1745号の22〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。
【0119】
さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮、濾過が通常実施され、同様に前記の公技番号2001−1745号の25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
【0120】
本発明に用いられるアミノ樹脂前駆体は、熱硬化性であり通常80℃〜200℃の範囲で硬化反応が進む。従ってアミノ樹脂前駆体の添加後において、過剰な温度がかからないように注意する必要がある。好ましくは、アミノ樹脂前駆体以外の各種添加剤を含むセルロースアシレート溶液を調製後、アミノ樹脂前駆体を含む溶液を添加・混合することが望ましい。
【0121】
アミノ樹脂前駆体を含む溶液は、通常濾過が実施され、セルロースアシレート溶液との混合には、スタティックミキサー、回転攪拌装置等の混合装置が好ましく用いられる。
【0122】
本発明のセルロースアシレート溶液は、その溶液の粘度と動的貯蔵弾性率が特定の範囲であることが好ましい。試料溶液1mLをレオメーター“CLS500”に直径4cm/2゜の“Steel Cone”(共にTA Instrumennts社製)を用い、測定条件はOscillation Step/Temperature Rampで40℃〜−10℃の範囲を2℃/分で可変して測定し、40℃の静的非ニュートン粘度n*(Pa・sec)及び5℃の貯蔵弾性率G'(Pa)を求める。試料溶液は、予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始する。本発明では、40℃での粘度が1〜300Pa・secであり、且つ−5℃での動的貯蔵弾性率が1万〜100万Paであることが好ましい。より好ましくは、40℃での粘度が1〜200Pa・secであり、且つ−5℃での動的貯蔵弾性率が3万〜50万Paである。
【0123】
〔透明フィルムの製造方法〕
次に、上記セルロースアシレート溶液を用いた本発明の透明フィルムとしてのセルロー
スアシレートフィルムの製造方法について述べる。上記セルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、セルローストリアセテートフィルム製造に供するドラム方法又はバンド方法と称される、従来公知の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。
【0124】
流延工程でもちいる金属支持体は、その表面が算術平均粗さ(Ra)が0.015μm以下で、十点平均粗さ(Rz)が0.05μm以下であることが好ましい。より好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.01μmで、十点平均粗さ(Rz)が0.001〜0.02μmである。更に好ましくは、(Ra)/(Rz)比が0.15以上である。このように、金属支持体の表面粗さを所定の範囲とすることで、製膜後のフィルムの表面形状を後述する好ましい範囲内に制御できる。
【0125】
以下、バンド法を例として製膜の工程を説明する。
調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して、巻き取り機で所定の長さに巻き取る。乾燥工程における乾燥温度は40〜250℃、特に70〜180℃が好ましい。
【0126】
アミノ樹脂の硬化反応は、上記乾燥工程の熱により進行させることが好ましい。硬化反応に適した乾燥温度・時間は、アミノ樹脂前駆体の含有量、酸触媒添加量により異なるが、通常40℃〜250℃、3分〜40分である。例えば乾燥温度130℃の場合、20分〜30分が好適である。
【0127】
更に残留溶媒を除去するために、50〜160℃で乾燥させ、その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶媒を蒸発させることが好ましい。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載されている。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができる。使用する溶媒によって乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組み合わせに応じて適宜選ぶことができる。最終仕上がりフィルムの残留溶媒量は2質量%以下、更に0.4質量%以下であることが、寸度安定性良好なフィルムを得る上で好ましい。これらの乾燥工程の具体的な方法は、例えば、前述の発明協会公開技報に記載の従来公知の方法及び装置のいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。これらの各製造工程については、前記の公技番号2001−1745号25〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離、延伸などに分類される。
【0128】
流延工程では1種類のセルロースアシレート溶液を単層流延してもよいし、2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び/又は逐次共流延してもよい。
【0129】
本発明の透明フィルムの膜厚は、20〜150μmであることが好ましく、より好ましくは、30〜120μmである。
【0130】
〔透明フィルムの特性〕
本発明の透明フィルムは偏光板用保護フィルムとして好適に使用され、該透明フィルムは、以下のような特性を有する。
【0131】
[フィルム表面の性状]
偏光板用保護フィルムとして用いる透明フィルムは、特定の表面形状を有するのが好ましい。以下、透明フィルムの表面形状について説明する。
【0132】
前記透明フィルムの反射防止膜を設ける側の表面は、JIS B−0601−1994に基づくフィルムの表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.08μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.1μm、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることがより好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.0002〜0.015μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.05μm、且つ最大高さ(Ry)が0.05μm以下であることがさらに好ましく、算術平均粗さ(Ra)が0.001〜0.010μm、十点平均粗さ(Rz)が0.002〜0.025μm、且つ最大高さ(Ry)が0.04μm以下であることが特に好ましい。これらの範囲内において、塗布ムラの無い均一な塗布面状で、且つ偏光板用保護フィルムとの密着性が良好な反射防止膜が設けられ、且つ偏光子の透明保護フィルムとして偏光子と貼り合せた場合に密着性が良好となり好ましい。
【0133】
表面の凹と凸の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により評価することができる。
【0134】
また、上記透明フィルムにおける大きさ100μm以上の視覚的な光学的欠陥の数は、1m2当たり1個以下であるのが、均一で鮮明なフィルムを得率よく生産できる等の点から好ましい。この光学的な欠陥は、偏光顕微鏡を用い、クロスニコル下でフィルムの遅相軸を偏光子の吸収軸と平行にして観察することができる。輝点として見える欠点を円形に面積近似し、その直径が100μm以上のものを数える。100μm以上の輝点は、肉眼で容易に観測できる。
【0135】
すなわち、上記透明フィルムは、その表面が、JIS B−0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.0001〜0.1μm、十点平均粗さ(Rz)が0.0001〜0.3μm、且つ大きさが100μm以上である視覚的な光学的欠陥の数が1m2当たり1個以下であるのが好ましい。以上のような表面形状としたフィルムとすることで、光学的な欠陥や輝度向上のムラ等の表示画像の不均一さが著しく軽減され、このましい。
【0136】
[フィルムの力学特性]
(寸度変化)
本発明の透明フィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率及び、90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率がいずれも0.5%以下であることがのぞましい。よりのぞましくは0.3%以下であり、さらにのぞましくは0.15%以下である。
【0137】
具体的な測定方法としては、透明フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。1枚の試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定、もう1枚の試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。各条件における寸度変化率は、次の数式(4)及び(5)により求めることができる。
数式(4):60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100、
数式(5):90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100。
【0138】
(弾性率)
透明フィルムの弾性率は、フィルム中のセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度と相関があり、弾性率が大きいものほどセルロースアシレート分子鎖の運動の自由度が小さく、したがって、フィルム中の、水等の低分子化合物の拡散速度も小さくなる。透明フィルムの弾性率は架橋構造を導入することにより大きくすることが可能である。透明フィルムの弾性率は引っ張り試験により求めることができる。
【0139】
具体的には、サンプルを25℃、60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K−7127に記載の方法に従って弾性率を測定する。引張試験機は(株)エー・アンド・デイ製「テンシロン」などを用いることができる。
【0140】
上記透明フィルムは、幅方向又は長手方向のいずれかの方向における25℃、60%RHの弾性率が、3800N/mm2以上であることが好ましく、4410N/mm2以上5880N/mm2以下であることがより好ましい。3800N/mm2以上であれば、透湿度が大きくなりすぎることがなく、額縁ムラ等の表示特性が悪化するなどの問題が生じないので好ましい。また、5880N/mm2以下であれば、フィルムの加工適性が損なわれるという問題が起こらず、好ましい。
【0141】
(カール)
本発明の透明フィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。本発明の透明フィルムには、後述する表面処理、光学異方性層を塗設するとき、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、本発明の透明フィルムの幅方向のカール値がこの範囲内であれば、フィルムのハンドリングに支障をきたし、フィルムの切断が起きたりするなどの問題が生じない。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触することがないので、発塵しやすくなったりフィルム上への異物付着が多くなったりすることがないので、光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えるなどの問題が生じない。さらに、カールをこの範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光子貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができ、好ましい。
【0142】
カール値は、アメリカ国家規格協会の規定する測定方法(ANSI/ASCPH1.29−1985)に従い測定することができる。
【0143】
(引裂き強度)
JIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法に基づく引裂き強度(エルメンドルフ引裂き法)は、本発明の透明フィルムの膜厚が20〜80μmの範囲において、2g以上が好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また、60μm換算で8g以上が好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に、軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
【0144】
[光学性能]
(高湿度処理後のフィルムの光学性能変化)
本発明の透明フィルムの環境変化による光学性能の変化については、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
【0145】
(高温度処理後のフィルムの光学性能変化)
また、80℃、240時間処理したフィルムのRe及びRthの変化量が15nm以下であることがのぞましい。よりのぞましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらにのぞましい。
【0146】
(フィルムのRe、Rthの湿度依存性)
本発明の透明フィルムの、面内のレターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthは、ともに湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には、下記数式(6)で示される25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差ΔRthが0〜35nmであることが好ましい。より好ましくは0〜30nmであり、さらに好ましくは0〜25nmであり、特に好ましくは0〜20nmである。
数式(6):ΔRth=Rth10%RH−Rth80%RH
【0147】
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λにおける面内のリターデーション及び厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)は、“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は、この面内リターデーションRe(λ)並びに、面内の遅相軸(“KOBRA 21ADH”により判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向及び−40°傾斜した方向から、それぞれ波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の計3つの方向で測定したレターデーション値と、平均屈折率の仮定値と、入力された膜厚値とを基に“KOBRA 21ADH”が算出する。ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY & SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。
【0148】
主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
【0149】
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、“KOBRA 21ADH”はnx、ny、nzを算出する。本明細書においては、特にことわりのない限り、レターデーション値の測定波長は590nmである。
【0150】
[フィルムの透湿度]
本発明の透明フィルムは、透湿度は、JIS Z−0208をもとに、温度60℃、湿度95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24時間であることが望ましい。500〜1800g/m2・24時間であることがより好ましく、600〜1600g/m2・24時間であることが特に好ましい。透湿度が2000g/m2・24時間以下であれば、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えるなどの問題が生じない。また、本発明の透明フィルムに光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えることがないので好ましい。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合には、色味の変化や視野角の低下を引き起こすことがない。また、透明フィルムの透湿度が400g/m2・24時間以上であれば、偏光子の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、透明フィルムにより接着剤の乾燥が妨げられることがなく、良好な接着性を示す。
【0151】
本発明の透明フィルムの膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式(7)に従って求めた。
数式(7):80μm換算の透湿度=実測の透湿度×{実測の膜厚(μm)/80(μm)}。
【0152】
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(「高分子実験講座4」共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明の透明フィルム試料70mmφを、60℃、95%RHで24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
【0153】
本発明の透明フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、透明フィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
【0154】
ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。
【0155】
なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
【0156】
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することで行ことも好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。
【0157】
アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。
【0158】
アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、2秒以上1分以下がさらに好ましく、3秒以上30秒以下が特に好ましい。
【0159】
アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗するか又は、酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。更に、本発明で得られる透明フィルムとしてのセルロースアシレー
トフィルムは、アルカリ処理を浸漬法で実施してもよい。すなわち、アルカリ処理浴、水洗浴、酸処理浴更に水洗浴、場合によりリンス浴などを連続的又は間歇的に配置して、表面処理を実施できる。この場合各溶液は、塗布方式で使用される対応する溶液と内容としては、同一の組成である。
【0160】
フィルムと乳剤層との接着を達成するために、表面活性化処理をしたのち、直接上記透明フィルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法と、一旦何がしかの表面処理をした後、又は表面処理なしで、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。また本発明の透明フィルムとしてのセルロースアシレートフィルムに設けることのできる機能層についても、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている各種の機能層を適用することができる。
【0161】
〔透明フィルムの用途〕
本発明で作製された透明フィルムの用途についてまず簡単に述べる。
【0162】
[偏光板用保護フィルム]
本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板用保護フィルム用として有用である。偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
【0163】
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは、偏光板出荷時や製品検査時等において、偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶セルへ貼合する面の反対面側に用いられる。一方、セパレートフィルムは液晶セルへ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板(液晶セル)が配置されているが、本発明の透明フィルムを適用した偏光板用保護フィルムは、どの部位に配置しても優れた表示特性が得られる。液晶表示装置の表示側最表面の偏光板用保護フィルムに用いた場合には、透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等がこの上に設けられてもよい。
【0164】
[光学補償シート]
本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償シートに適用することもできる。
【0165】
本発明の透明フィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper T
wisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明の透明フィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
【0166】
本発明の透明フィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体又は偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いられる。弾性率等が改良されている本発明の透明フィルムをTN型液晶表示装置に用いることで、額縁ムラを改善し、表示性能を向上させることができる。
【0167】
本発明の透明フィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360゜の範囲にねじれており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
【0168】
本発明の透明フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、又は偏光板保護フィルムとしても有利に用いられる。弾性率等が改良されている本発明の透明フィルムをVA型液晶表示装置に用いることで、コーナームラを改善し、表示性能を向上させることができる。
【0169】
本発明の透明フィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体又は偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
【0170】
本発明の透明フィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シート又は偏光板保護フィルムとして用いてもよい。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。
【0171】
反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
【0172】
本発明の透明フィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているという特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文{Kume ら,“SID 98 Digest”,p.1089(1998年)}に記載がある。
【0173】
[ハロゲン化銀写真感光材料用支持体]
また、本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料用支持体としても有用である。本発明の透明フィルムは、印刷製版用、医療用、一般写真用等のいずれのハロゲン化銀写真感光材料の支持体として用いることができる。また、その膜厚は30〜250μmであることが好ましい。このようなハロゲン化銀写真感光材料についてはT.H.Jamesら,“The Theory of the
Photographic Process”,第4版(Macmillan Publishing Co.,Inc. 1977年)等に記載されている。
【0174】
以上述べてきたこれらの詳細な透明フィルムの用途は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて45頁〜59頁の詳細な記載を適用できる。
【実施例】
【0175】
以下に、本発明の透明フィルムについての具体的な実施例を記述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0176】
<セルロースアシレートフィルムの作製>
実施例1−1
〔セルロースアシレートフィルム001(本発明の透明フィルム)の作製〕
[セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製]
攪拌羽根を有するステンレス製溶解タンクに、下記の溶媒溶液を容れてよく攪拌しつつ、セルロースアシレート粉体(平均サイズ2mm)を徐々に添加してドープを調製した。添加後、室温(25℃)にて1時間、35℃にて放置しセルロースアシレートを膨潤させた。実施例1−1のドープの調製に用いた各成分の成分比を下記に示す。
【0177】
(セルロースアシレート溶液組成)
セルローストリアセテート 18質量部
置換度2.83、6位のアシル化の置換度0.93、2,3位のアシル化の置換度1.90、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロリド溶液中6質量%の粘度305mPa・s
メチレンクロリド 80質量部
アミノ樹脂前駆体(A−1) 3.6質量部
硬化触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.18質量部
【0178】
次ぎに、このドープに弱い超音波照射することで泡抜きを実施した。脱泡したドープは1.5MPaに加圧した状態で、最初、公称孔径5μmの焼結金属フィルターを通過させ、次いで公称孔径2.5μmの焼結金属フィルターを通過させた。それぞれの1次圧は、1.6、1.3MPaであり、2次圧はそれぞれ0.9、0.7MPaであった。濾過後のドープの温度は35℃に調整して、ステンレス製のストックタンク内に貯蔵した。ストックタンクは中心軸にアンカー翼を有して周速0.3m/秒で常時攪拌された。
【0179】
[フィルム製膜]
上記の溶解法で得られたドープを40℃にし、流延ギーサーを通して表面温度20℃とした鏡面ステンレス支持体上に流延して製膜した。バンド上に流延されたドープは、最初に平行流の乾燥風を送り乾燥した。乾燥する際の乾燥風からのドープへの総括伝熱係数は24kcal/m2・時・℃であった。乾燥風の温度はバンド上部で140℃、下部で100℃とした。
【0180】
流延後5秒間は遮風装置により乾燥風が直接ドープに当らないようにし、しかる後に、多数のロールを有する乾燥ゾーンを搬送することで、厚さ80μmのセルロースアシレートフィルム(001)を作製した。なお乾燥ゾーンの温度は140℃、乾燥時間は20分であった。
【0181】
実施例1−2〜1−10及び比較例1−1〜1−3
実施例1において、表1に示すとおり、セルロースアシレート溶液配合における溶媒の
種類、架橋剤の種類及び/もしくは量を変え、又はこれを用いず、さらに硬化触媒を用い又は用いない以外は実施例1と同様にして、本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルム(002)〜(010)、並びに比較例のセルロースアシレートフィルム(101)〜(103)を作製した。セルロースアシレート溶液の組成を表1に示す。
【0182】
〔フィルムの評価〕
得られたセルロースアシレートフィルム試料について、以下の特性評価を行った。各フィルム試料の特性値の測定結果を表2に示す。
【0183】
[弾性率測定]
作製したフィルム試料を25℃、60%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K−7127に記載の方法に従って弾性率を測定した。引っ張り試験機は(株)エー・アンド・デイ製「テンシロン」を用いた。
【0184】
[透湿度測定]
作製したフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)製}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求めた。
【0185】
[寸度変化測定]
作製したフィルム試料30mm×120mmを、25℃、60%RHで24時間調湿し、自動ピンゲージ{新東科学(株)製}にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とした。フィルム試料を60℃、90%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。得られた寸法(L0)及び(L1)を用い、前記数式(4)に従って、60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率を求めた。
またフィルム試料を90℃、5%RHにて24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した。得られた寸法を用い、前記数式(5)に従って、90℃、5%RH(高温)の寸度変化率を求めた。
【0186】
[Rth湿度依存性測定]
作製したフィルム試料の膜厚方向レターデーション値Rthを、本文記載に従い、測定波長590nmにて“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}で測定し、前記数式(6)に従って、25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差を求めた。
【0187】
【表1】


【0188】
【表2】


【0189】
<偏光板の作製>
実施例2−1
〔偏光子の作製〕
PVAフィルムを、ヨウ素2.0g/L、ヨウ化カリウム4.0g/Lの水溶液に25℃にて240秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、テンター延伸機に導入し、5.3倍に延伸し、以降、幅を一定に保ち、収縮させながら80℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱して巻き取った。
延伸開始前のPVAフィルムの含水率は31%で、乾燥後の含水率は1.5%であった
。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。
得られた偏光子の550nmにおける透過率43.7%、偏光度は99.97%であった。
【0190】
〔偏光板(P001)の作製〕
上記で製膜した本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルム(001)2枚を、55℃の1.5mol/L NaOH水溶液に1分間浸漬してそれぞれ両面を鹸化した後、希硫酸及び水で十分洗浄し、乾燥後それぞれのセルロースアシレートの片側にポリビニルアルコール系接着剤を約30μmの厚みに塗布し、上記偏光子の両側に貼り合わせ、さらに80℃で乾燥して偏光板(P001)を作製した。
【0191】
実施例2−2〜2−10及び比較例2−1〜2−3
実施例2−1において、セルロースアシレートフィルム(001)を用いる代わりに、セルロースアシレートフィルム(002)〜(010)、並びに(101)〜(103)の何れかを用いて偏光板(P002)〜(P010)、並びに(P101)〜(P103)を作製した。
【0192】
〔液晶表示装置への実装評価〕
TN型液晶セルを使用した20インチの液晶表示装置“LC−20V1”{シャープ(株)製}に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記実施例2−1〜2−10、並びに比較例2−1〜2−3で作製した偏光板(P001)〜(P0010)、並びに(P101)〜(P103)を、粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に1枚ずつ貼り付けることで液晶表示装置を作製した。この際、観察者側の偏光板の透過軸とバックライト側の偏光板の透過軸が直交するように配置した。
【0193】
作製した液晶表示装置を、温度60℃、湿度90%RHの環境下で48時間処理した後、温度25℃、湿度60%RHの環境条件において、バックライトを24時間連続点灯し、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察して光漏れを、下記の基準に従って評価した。結果を表3に示す。
【0194】
(評価基準)
○:光漏れが全く観察されない。
△:光漏れが少し観察されるが実用上問題ではない。
×:光漏れがあり実用上問題となる場合がある。
【0195】
【表3】


【0196】
表3に示すように、比較例の偏光板では液晶表示装置の表示画面において額縁状の光漏れが観測されたのに対して、本発明の偏光板では観測されないか又は極わずかであった。
【0197】
本発明の透明フィルムであるセルロースアシレートフィルムの膜の強度(弾性率)、透湿度及び寸度変化は良好であり、それらを用いて作製した偏光板からなる液晶表示装置も耐久性は良好であった。本発明の透明フィルムの弾性率が大きいこと、透湿度及び寸度変化が小さいことが光漏れの向上に寄与したものと考えられる。
【0198】
一方、比較例1−1〜1−3のセルロースアシレートフィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムと比較して、弾性率、透湿度、寸度変化が劣っていた。また、液晶表示装置とした場合にも耐久性が不充分であった。さらに、比較例1−2において架橋剤量を20%まで増やしたものは、セルロースアシレートフィルムが脆くなり評価できないも
のであった。
【0199】
以上の様に、本発明の透明フィルム及びそれを用いた液晶表示装置は、優れた性能を示した。




 

 


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