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発明の名称 糸巻取装置及び糸巻取方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−161449(P2007−161449A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−362135(P2005−362135)
出願日 平成17年12月15日(2005.12.15)
代理人 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
発明者 関谷 登 / 牟田 勝文
要約 課題
糸を巻き取るための巻取ボビン6,7を回転駆動するパッケージ駆動モータ41と、糸を綾振るためのトラバース装置5と、を備え、このトラバース装置が、トラバースガイド11と、トラバースガイド駆動モータ45と、を有する糸巻取ユニット2を用いて、巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保ちながら巻き取り、かつトラバースガイド駆動モータ45の故障、発熱、脱調等を防止できる糸巻取方法を提供する。

解決手段
巻取ボビン径Dが所定の限界径Dendになるまでは、限界回転速度基準制御手段83により、前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmax以下になるように前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Tを調整する。巻取ボビン径Dが限界径Dendに到達した後は、糸巻取速度基準制御手段85により、糸巻取速度WSが要求糸巻取速度WSdとなるように前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを調整する。
特許請求の範囲
【請求項1】
糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備え、
前記トラバース装置が、
糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、
前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、
を有する糸巻取装置を用いて、前記巻取ボビンへの糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保ちながら糸を前記巻取ボビンに巻き取る糸巻取方法において、
前記巻取ボビンの径が所定の径になるまでは、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度以下になるように前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を調整し、
前記巻取ボビンの径が所定の径に到達した後は、糸巻取速度が要求される糸巻取速度となるように前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を調整することを特徴とする、糸巻取方法。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取方法であって、
前記トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転により前記トラバースガイドを往復移動させることを特徴とする、糸巻取方法。
【請求項3】
糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備え、
前記トラバース装置が、
糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、
前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、
を有し、
かつ、前記巻取ボビン回転駆動モータ及び前記トラバースガイド駆動モータを制御する制御装置を備える糸巻取装置において、
前記制御装置は、
前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度と前記トラバースガイド駆動モータの回転速度との関係式を記憶する関係式記憶手段と、
前記トラバースガイド駆動モータの限界回転速度を記憶する限界回転速度記憶手段と、
前記関係式記憶手段に記憶された関係式の関係を維持しつつ、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度が前記限界回転速度記憶手段で記憶されたトラバースガイド駆動モータの限界回転速度以下になるように、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を制御する限界回転速度基準制御手段と、
を有することを特徴とする、糸巻取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の糸巻取装置であって、
前記トラバース装置は、前記トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転により前記トラバースガイドを往復移動させるように構成されていることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の糸巻取装置であって、
前記制御装置は、
糸巻取速度の要求値を記憶する要求糸巻取速度記憶手段と、
前記関係式記憶手段に記憶された関係式の関係を維持しつつ、糸巻取速度が前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度となるように前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を制御する糸巻取速度基準制御手段と、
糸巻取速度を前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度にすることと前記トラバースガイド駆動モータの回転速度を前記限界回転速度記憶手段に記憶した限界回転速度以下にすることとが可能な条件のときに、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度の制御を前記限界回転速度基準制御手段から前記糸巻取速度基準制御手段に切り替える制御切替手段と、
を有することを特徴とする、糸巻取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の糸巻取装置であって、
前記巻取ボビンの径を検出する巻取ボビン径検出手段を備え、
前記関係式記憶手段に記憶された関係式は、前記巻取ボビンへの糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保つための式であり、
前記制御切替手段における、糸巻取速度を前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度にすることと前記トラバースガイド駆動モータの回転速度を前記限界回転速度記憶手段に記憶した限界回転速度以下にすることとが可能な条件とは、巻取ボビン径が所定の径を上回ることであり、
前記制御切替手段は、前記巻取ボビン径検出手段にて検出された前記巻取ボビン径が前記所定の径を上回ると、前記限界回転速度基準制御手段から前記糸巻取速度基準制御手段に切り替えることを特徴とする、糸巻取装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸をトラバース装置で綾振りしながら巻取ボビンに巻き取る糸巻取装置及び糸巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の糸巻取装置は例えば特許文献1に開示されており、この特許文献1の糸巻取装置は、糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備えている。特許文献1の糸巻取装置において、トラバース装置は、糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、を有している。また、特許文献1の糸巻取装置には、前記巻取ボビン回転駆動モータ及び前記トラバースガイド駆動モータを制御する制御装置が備えられている。
【0003】
そして特許文献1は、トラバースガイド駆動モータが巻取ボビン回転駆動モータと別個に設けられることで、プレシジョン巻やステッププレシジョン巻である巻取形式のパッケージを製造できる旨を開示する。
【特許文献1】特開2002−68587号公報(0002、0029〜0031等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のプレシジョン巻方式は、巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保ちながら巻き取る方式である。このプレシジョン巻では、巻取速度(巻取ボビンの周面速度)をWS、巻取ボビンの径をD、巻取ボビンの回転速度をB、綾角をWA、ワインド数をWN、糸綾振り速度をTSとすると、次の式(a)〜(c)が成り立つ。
WS=π×D×B ・・・(a)
TS=WS×tanWA ・・・(b)
tanWA=2×TW/(π×D×WN) ・・・(c)
【0005】
そして、式(a)と式(c)を式(b)に代入すると、次の式(d)が成り立つ。
TS=WS×tanWA=B×2×TW/WN ・・・(d)
【0006】
このプレシジョン巻では、生産性を確保するために要求糸巻取速度にて糸を巻き取るようにすると、ワインド数WNの設定値が小さい場合にトラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えてしまう可能性がある。特に、巻取ボビンの径Dが小さいときは糸綾振り速度TSが高速になるため、その可能性が大である。このことは、トラバースガイド駆動モータがそのモータ軸の正逆回転によりトラバースガイドを往復移動させるように構成した場合に、慣性モーメントの関係で限界回転速度が低くなることから、特に問題となる。
【0007】
本願発明は以上の点に鑑みてされたものであり、その目的は、トラバースガイド駆動モータの限界回転速度を超えないように制御できる糸巻取装置及び糸巻取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備え、前記トラバース装置が、糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、を有する糸巻取装置を用いた、以下のような糸巻取方法が提供される。
即ち、前記巻取ボビンへの糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保ちながら糸を前記巻取ボビンに巻き取る糸巻取方法において、前記巻取ボビンの径が所定の径になるまでは、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度以下になるように前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を調整し、前記巻取ボビンの径が所定の径に到達した後は、糸巻取速度が要求される糸巻取速度となるように前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を調整する。
【0010】
この方法により、糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保ちながら糸を巻取ボビンに巻き取るようにした場合に、巻取ボビンの径が所定の径になるまでは、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度以下になるように、巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を要求糸巻取速度を達成するための回転速度よりも低回転速度とし、巻取ボビンの径が所定の径に到達した後は、巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を要求糸巻取速度にすることができる。従って、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えることを防止でき、モータの発熱や故障、脱調等を回避することができるとともに、巻取ボビンの径が所定の径に到達した後は、要求糸巻取速度で糸を巻き取ることができる。
【0011】
前記の糸巻取方法においては、前記トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転により前記トラバースガイドを往復移動させることが好ましい。
【0012】
上記のように、トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転によってトラバースガイドを往復運動させて糸を綾振り運動させるタイプのトラバース装置を用いた場合、慣性力の関係でトラバースガイド駆動モータの限界回転速度が低くなる。しかしながら、このような場合であっても上記の方法によれば、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えることを防止できる。
【0013】
本発明の第2の観点によれば、以下のように構成する糸巻取装置が提供される。即ち、糸を巻き取るための巻取ボビンを回転駆動するための巻取ボビン回転駆動モータと、前記巻取ボビンへの糸の巻取りの際にその糸を綾振るためのトラバース装置と、を備え、前記トラバース装置が、糸と係合して糸を綾振りさせるためのトラバースガイドと、前記巻取ボビン回転駆動モータとは切り離されて駆動し、前記トラバースガイドを移動させるためのトラバースガイド駆動モータと、を有する。かつ、前記糸巻取装置は、前記巻取ボビン回転駆動モータ及び前記トラバースガイド駆動モータを制御する制御装置を備える。
そして、前記制御装置は、前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度と前記トラバースガイド駆動モータの回転速度との関係式を記憶する関係式記憶手段と、前記トラバースガイド駆動モータの限界回転速度を記憶する限界回転速度記憶手段と、前記関係式記憶手段に記憶された関係式の関係を維持しつつ、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度が前記限界回転速度記憶手段で記憶されたトラバースガイド駆動モータの限界回転速度以下になるように、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を制御する限界回転速度基準制御手段と、を有する。
【0014】
この構成により、巻取ボビン回転駆動モータの回転速度とトラバースガイド駆動モータの回転速度とが所定の関係式の関係を維持するように巻取ボビン回転駆動モータとトラバースガイド駆動モータとを関連付けて制御した場合に、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えることを防止でき、モータの発熱や故障、脱調等を回避することができる。
【0015】
前記の糸巻取装置においては、前記トラバース装置は、前記トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転により前記トラバースガイドを往復移動させるように構成されていることが好ましい。
【0016】
この構成により、トラバースガイド駆動モータのモータ軸の正逆回転によってトラバースガイドを往復運動させて糸を綾振り運動させるタイプのトラバース装置を使った場合であっても、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えることを防止できる。
【0017】
前記の糸巻取装置においては、以下のように構成することが好ましい。即ち、前記制御装置は、糸巻取速度の要求値を記憶する要求糸巻取速度記憶手段と、前記関係式記憶手段に記憶された関係式の関係を維持しつつ、糸巻取速度が前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度となるように前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度を制御する糸巻取速度基準制御手段と、糸巻取速度を前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度にすることと前記トラバースガイド駆動モータの回転速度を前記限界回転速度記憶手段に記憶した限界回転速度以下にすることとが可能な条件のときに、前記トラバースガイド駆動モータの回転速度及び前記巻取ボビン回転駆動モータの回転速度の制御を前記限界回転速度基準制御手段から前記糸巻取速度基準制御手段に切り替える制御切替手段と、を有する。
【0018】
この構成により、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えないようにして、可能な限り要求される糸巻取速度にて糸を巻き取ることができる。
【0019】
前記の糸巻取装置においては、以下のように構成することが好ましい。即ち、前記巻取ボビンの径を検出する巻取ボビン径検出手段を備える。前記関係式記憶手段に記憶された関係式は、前記巻取ボビンへの糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保つための式である。前記制御切替手段における、糸巻取速度を前記要求糸巻取速度記憶手段に記憶した要求糸巻取速度にすることと前記トラバースガイド駆動モータの回転速度を前記限界回転速度記憶手段に記憶した限界回転速度以下にすることとが可能な条件とは、巻取ボビン径が所定の径を上回ることである。前記制御切替手段は、前記巻取ボビン径検出手段にて検出された前記巻取ボビン径が前記所定の径を上回ると、前記限界回転速度基準制御手段から前記糸巻取速度基準制御手段に切り替える。
【0020】
この構成により、糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数を保ちながら糸を巻取ボビンに巻き取るようにした場合に、トラバースガイド駆動モータの回転速度が限界回転速度を超えることを防止でき、モータの発熱や故障、脱調等を回避することができるとともに、巻取ボビンの径が所定の径に到達した後は、要求糸巻取速度で糸を巻き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットを示す正面模式図及びブロック図である。図2は本実施形態においてプレシジョン巻を実現するための巻取速度及びトラバースガイドの制御を説明するフローチャート図、図3は本実施形態における巻始めからの糸巻取速度、トラバース駆動モータの回転速度及びパッケージ駆動モータの回転速度の変化を示すグラフ図、図4はトラバース装置の変形例を示す模式正面図及びブロック図である。
【0022】
最初に図1に基づいて、自動ワインダ1の糸巻取ユニット(糸巻取装置)2を説明する。この糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3の糸4をトラバース装置5でトラバースさせながら巻取チューブ6に巻き取って糸層を形成し、所定長で所定形状のパッケージ7を形成するものである。図1では糸巻取ユニット2を1台しか図示していないが、このような糸巻取ユニット2が図略の機台上に多数列設されることで、自動ワインダ1が構成されている。なお本明細書では、巻取チューブ6及びパッケージ7を総称して巻取ボビンと呼ぶ。即ち、糸層が形成されていない巻取ボビンが巻取チューブ6であり、糸層が形成された巻取ボビンがパッケージ7である。
【0023】
糸巻取ユニット2は、巻取チューブ6を着脱可能に支持するクレードル(巻取ボビン支持部材)8と、前記パッケージ7の糸層の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ9と、を備えている。前記クレードル8は、前記巻取チューブ6の両端を挟持して回転自在に支持できるように構成されている。また、このクレードル8は揺動軸10を中心に傾動自在に構成されており、巻取チューブ6,7への糸4の巻取りに伴う巻太り(糸層の径の増大)を、クレードル8が揺動することによって吸収できるように構成されている。
【0024】
前記クレードル8の巻取チューブ6を挟持する部分にはパッケージ駆動モータ(巻取ボビン回転駆動モータ)41が取り付けられており、このパッケージ駆動モータ41により巻取チューブ6を回転駆動して糸4を巻き取るように構成されている。パッケージ駆動モータ41のモータ軸は、巻取チューブ6をクレードル8に把持させたときに、当該巻取チューブ6と相対回転不能に連結されるようになっている(いわゆるダイレクトドライブ方式)。このパッケージ駆動モータ41の作動はパッケージ駆動制御部42により制御され、このパッケージ駆動制御部42はユニット制御部50からの信号を受けて前記パッケージ駆動モータ41の運転/停止を制御するように構成している。
【0025】
また、前記クレードル8にはパッケージ回転センサ(巻取ボビン回転角度センサ)43が取り付けられており、このパッケージ回転センサ43は、クレードル8に取り付けられた巻取ボビン(巻取チューブ6、パッケージ7)の回転(巻取ボビンが何回転したか)を検出するように構成している。この巻取ボビン6,7の回転角度検出信号は、パッケージ回転センサ43から、前記パッケージ駆動制御部42や前記ユニット制御部50へ送信される。更に、前記回転角度検出信号は、後述するトラバース制御部46へも入力される。
【0026】
また、前記クレードル8にはロータリエンコーダ等からなるパッケージ径センサ(巻取ボビン径検出手段)44が取り付けられており、このパッケージ径センサ44は、クレードル8に取り付けられた巻取チューブ6、あるいはこの巻取チューブ6に糸4を巻き取って形成されたパッケージ7の径を、クレードル8の揺動角を検出することで検出できるように構成されている。このパッケージ径センサ44は、糸4を巻き取っているときにも糸4の巻取を停止しているときにも巻取ボビン6,7の径の検出が可能なものである。パッケージ径センサ44で取得された巻取ボビン6,7の径は、ユニット制御部50へ送信されるとともに、ユニット制御部50からパッケージ駆動制御部42及びトラバース制御部46へ転送される。
【0027】
前記接触ローラ9の近傍には前記トラバース装置5が設けられており、このトラバース装置5によって、糸4が綾振りされながら巻取ボビン6,7に巻き取られるようになっている。このトラバース装置5は、トラバース方向に往復移動自在に設けられたトラバースガイド(糸ガイド)11と、このトラバースガイド11を往復駆動する駆動手段としてのトラバースガイド駆動モータ45と、を備えている。
【0028】
前記トラバース装置5は、前記接触ローラ9の近傍に無端状のタイミングベルト31を配置し、このタイミングベルト31にトラバースガイド11を固定するとともに、当該タイミングベルト31を、例えばパルスモータとしてのトラバースガイド駆動モータ45によって往復駆動するように構成されている。このタイミングベルト31は、トラバースガイド11のトラバース方向両端部に設置される従動プーリ32・32と、トラバースガイド駆動モータ45の出力軸(モータ軸)に固定した駆動プーリ33の外側に巻回されている。そして、トラバースガイド駆動モータ45の出力軸を正逆回転することにより、駆動プーリ33、タイミングベルト31を介して、トラバースガイド11を往復移動させることができるようになっている。
【0029】
このトラバースガイド駆動モータ45の作動はトラバース制御部46により制御され、このトラバース制御部46はユニット制御部50からの信号を受けて前記トラバースガイド駆動モータ45の運転/停止を制御するように構成している。また、トラバース装置5はロータリエンコーダ等からなるトラバースガイド位置センサ47を備えており、駆動プーリ33の回転位置(ひいては、トラバースガイド11の位置)を検出して、位置信号を前記トラバース制御部46へ送信できるように構成されている。
【0030】
なお、本実施形態では図1に示すように、巻取ボビン6,7を駆動するパッケージ駆動モータ41と、トラバースガイド11を駆動するトラバースガイド駆動モータ45とは、別々に設けられており、巻取ボビン6,7とトラバースガイド11とは別個独立に駆動(制御)されるように構成されている。これにより、巻取ボビン6,7への糸4の巻取りの際に、プレシジョン巻、ステッププレシジョン巻、ランダム巻等、多種多様な巻き方を実現することができる。特に本実施形態では、後述の制御により、巻取開始から巻取終了まで単一(固定)のワインド数で巻き取るプレシジョン巻を行えるように構成されている。
【0031】
次に、糸継装置14及びヤーンクリアラ15を説明する。即ち、前記糸巻取ユニット2は、給糸ボビン3と接触ローラ9との間の糸走行経路中に、給糸ボビン3側から順に、糸継装置14とヤーンクリアラ15を配設した構成となっている。
【0032】
糸継装置14は、ヤーンクリアラ15が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸解舒中の糸切れ時に、給糸ボビン3側の下糸と、パッケージ7側の上糸とを糸継ぎするように構成されている。
【0033】
また、ヤーンクリアラ15は糸4の太さ欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ15の検出部の部分を通過する糸4の太さを適宜のセンサで検出し、このセンサからの信号をアナライザ23で分析することで、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。このヤーンクリアラ15には、糸欠陥を検出した時に直ちに糸4を切断するためのカッタ16が付設されている。
【0034】
糸継装置14の下側と上側には、給糸ボビン3側の下糸を吸引捕捉して案内する下糸捕捉案内手段17と、パッケージ7側の上糸を吸引捕捉して案内する上糸捕捉案内手段20が設けられている。上糸捕捉案内手段20はパイプ状に構成されており、軸21を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側にマウス22を設けている。同様に下糸捕捉案内手段17もパイプ状に構成されており、軸18を中心に上下回動可能に設けられるとともに、その先端側には吸引口19を設けている。上糸捕捉案内手段20及び下糸捕捉案内手段17には適宜の負圧源が接続されており、先端のマウス22及び吸引口19に吸引作用を生じさせるようになっている。
【0035】
以上のようにして本実施形態の自動ワインダ1が構成されており、この自動ワインダ1の糸巻取ユニット2においてプレシジョン巻を行うための制御部(制御装置)60は、ユニット制御部50、パッケージ駆動制御部42、及びトラバース制御部46を少なくとも含んで構成されている。
【0036】
次に、上記のプレシジョン巻を行うための、ユニット制御部50及びパッケージ駆動制御部42、トラバース制御部46の制御について、図2のフロー等を参照して説明する。本実施形態において、前記パッケージ駆動制御部42やトラバース制御部46はマイクロコンピュータ式に構成されて、図示しない演算手段としてのCPUや、記憶手段としてのROM、RAM等を備えている。また、ユニット制御部50も同様に図略のCPUやROM、RAM等を備えている。
【0037】
ユニット制御部50は、関係式記憶手段81と、限界回転速度記憶手段82と、限界回転速度基準制御手段83と、要求糸巻取速度記憶手段84と、糸巻取速度基準制御手段85と、制御切替手段86と、を備えている。
【0038】
関係式記憶手段81は、パッケージ駆動モータ41の回転速度とトラバースガイド駆動モータ45の回転速度との間の、次の関係式(1)を記憶している。
T=B×2×TW/(π×Dpl×WN) ・・・(1)
ここで、Tはトラバースガイド駆動モータ45の回転速度、Bはパッケージ駆動モータ41の回転速度、TWはトラバース幅、Dplは駆動プーリ33の直径、WNはワインド数である。トラバース幅TW及び駆動プーリ33の直径Dplは、予め決められた数値であり、ワインド数WNは固定値に定められる。
【0039】
この糸巻取ユニット2での糸巻取制御においては、巻取ボビン6,7への糸4の巻取開始から巻取終了まで、上記関係式(1)の関係が維持される。即ち、巻取ボビン6,7への糸4の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保つようにトラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及びパッケージ駆動モータ41の回転速度Bが制御される。これによって、糸巻取ユニット2においてプレシジョン巻を行うことができる。
【0040】
上記トラバース幅TW、駆動プーリ33の直径Dpl及びワインド数WNは、自動ワインダ1に設けられた上位コンピュータの設定器87により設定可能であり、変更することもできる。
【0041】
なお、上記の関係式(1)は、次のようにして導かれた式である。糸の巻取速度(巻取ボビン6,7の周面速度)をWS、巻取ボビン6,7の直径をD、綾角をWA、糸綾振り速度をTSとすると、幾何学的に次の式が成り立つ。
WS=π×D×B ・・・(2)
TS=WS×tanWA ・・・(3)
tanWA=2×TW/(π×D×WN) ・・・(4)
TS=T×π×Dpl ・・・(5)
なお、上記の式(2)〜(4)は、前記の式(a)〜(c)と同一である。そして、式(2)、(4)、(5)を式(3)に代入することにより、関係式(1)を導くことができる。
【0042】
限界回転速度記憶手段82は、トラバースガイド駆動モータ45の限界回転速度Tmaxを記憶している。この限界回転速度Tmaxは、設定器87により設定及び変更可能になっている。本実施形態では、限界回転速度Tmaxは、トラバースガイド駆動モータ45の性能やモータに加わる慣性力を考慮して、経験的に求めた値が設定されている。
【0043】
限界回転速度基準制御手段83は、関係式記憶手段81に記憶した関係式(1)の関係を維持しつつ、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度記憶手段82で記憶した限界回転速度Tmax以下になるように、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及びパッケージ駆動モータ41の回転速度Bを制御するものである。
【0044】
要求糸巻取速度記憶手段84は、糸巻取速度WSの要求値WSdを記憶している。この要求糸巻取速度WSdは、前記設定器87により、設定及び変更可能になっている。
【0045】
糸巻取速度基準制御手段85は、関係式記憶手段81で記憶された前記関係式(1)の関係を維持しつつ、糸巻取速度WSが要求糸巻取速度記憶手段84で記憶された要求糸巻取速度WSdとなるようにトラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及びパッケージ駆動モータ41の回転速度Bを制御するものである。
【0046】
制御切替手段86は、糸巻取速度WSを要求糸巻取速度記憶手段84に記憶した要求糸巻取速度WSdにすることと、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを限界回転速度記憶手段82に記憶した限界回転速度Tmax以下にすることとが可能な条件のときに、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及びパッケージ駆動モータ41の回転速度Bの制御を限界回転速度基準制御手段83から糸巻取速度基準制御手段85に切り替えるものである。
【0047】
ここで、上記可能な条件とは、巻取ボビン6,7の直径Dが所定径(限界径)Dendを上回ることである。この限界径Dendは、前記関係式(1)の「T」に「Tmax」を代入して「B」を求め、前記式(2)の「WS」に「WSd」を代入するとともに、同式(2)の「B」に関係式(1)で求めた「B」を代入することにより、自動的に求めることができる。即ち、限界径Dendは、次の式(6)により自動的に求められる。
end=2×WSd×TW/(π2×Dpl×WN×Tmax) ・・・(6)
本実施形態において限界径Dendを計算するのは自動ワインダ1内の上位コンピュータであるが、糸巻取ユニット2のユニット制御部50で計算してもよい。
【0048】
前述したように、糸巻取ユニット2においては、上記関係式(1)に従ってパッケージ駆動モータ41及びトラバースガイド駆動モータ45を制御することでプレシジョン巻を実現するようになっている。しかしながら、上述したように、単純に上記の関係式(1)及び式(2)に設定ワインド数WN、トラバース幅TW、及び要求糸巻取速度WSdを当てはめて制御すると、トラバースガイド駆動モータ45に問題が発生する場合がある。即ち、式(2)から判るように、仮に空の巻取ボビン6に対して要求糸巻取速度WSdで糸4を巻くとすると、巻き始めた直後の段階では巻取ボビン6,7の直径Dが小さいために、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bが大きくなる。よって、関係式(1)の関係を保つためには、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを大きくしなければならない。従って、巻取ボビン6,7への糸4の巻始めの段階ではトラバースガイド駆動モータ45の高速回転が必要になり、この回転速度Tがトラバースガイド駆動モータ45で許容される最高回転速度を超えてしまうと、トラバースガイド駆動モータ45の故障あるいは寿命の大幅な短縮を招いてしまう。
【0049】
本実施形態ではこの点に鑑み、ユニット制御部50に、トラバースガイド駆動モータ45が許容できる限界回転速度Tmaxを予め設定して記憶できるように構成されている。そしてユニット制御部50は、前記の要求糸巻取速度WSdとなるように巻取ボビン6,7を回転させても、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが前記限界回転速度Tmaxを上回らなくなる巻取ボビン6,7の径Dendを、巻取開始前に予め上位コンピュータから入力し記憶しておく。
【0050】
図2は、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2における巻取制御のフローチャート図である。本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2では、先ず図2のS101の処理で、巻取チューブ6への糸4の巻取りを開始する。
【0051】
この糸巻取開始後は、ユニット制御部50は、巻取チューブ6に巻き取られて形成された糸層の直径(巻取ボビン径)Dをパッケージ径センサ44から取得し(S102)、得られた巻取ボビン径Dを前記の限界径Dendと比較する(S103)。
【0052】
そして、現在の巻取ボビン径Dが前記の限界径Dendを上回らないときは、巻始めの時期であってトラバースガイド駆動モータ45の過回転が上述のように懸念されるので、次の式(7)に示すように、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを前記の限界回転速度Tmaxとする。
T=Tmax ・・・(7)
【0053】
また、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bは、以下の式(8)に従って求める。
B=π×Dpl×WN×Tmax/(2×TW) ・・・(8)
なお、上記の式は、前記の関係式(1)の「T」に「Tmax」を代入して、B=の形に変形したものである。
【0054】
以上に示すように、現在の巻取ボビン径Dが限界径Dendを上回らないとき、S104の処理で、ユニット制御部50は上記の式(8)に基づいてパッケージ駆動モータ41の回転速度Bを計算し、これに従ってパッケージ駆動制御部42はパッケージ駆動モータ41を制御する。同様に、ユニット制御部50はトラバース制御部46に指令し、トラバース制御部46は上記の式(7)に従って、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxとなるようにトラバースガイド駆動モータ45を制御する。そして、ユニット制御部50は巻取りが終了したか否かをS106の処理で判定し、巻取りが終了していない場合は、上記のS102の処理に戻る。巻取りが終了したと判定された場合は、一連の処理を終了する。なお、巻取終了の条件としては、糸4が巻取チューブ6に所定長巻き取られて満巻になった場合や、上位コンピュータからの緊急停止信号を受信した場合等、様々な条件が考えられる。
【0055】
一方、上記S103の処理で、パッケージ径センサ44により検出された現在の巻取ボビン径Dが限界径Dendを上回っていると判定された場合は、要求糸巻取速度WSdとなるように巻取ボビン6,7を回転させても、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが前記限界回転速度Tmaxを上回らなくなるので、過回転のおそれはなくなる。即ち、糸巻取速度WSを要求糸巻取速度WSdとしながら糸4を巻くことと、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを前記限界回転速度Tmax以下にすることとが可能になる。従って、この場合はS105の処理に移り、ユニット制御部50はパッケージ駆動モータ41の回転速度Bを以下の式(9)に従って求める。
B=WSd/(π×D) ・・・(9)
なお、上記の式は、前記の式(2)の「WS」に「WSd」を代入して、B=の形に変形したものである。
【0056】
また、ユニット制御部50はトラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを以下の式(10)に従って求める。
T=2×TW×WSd/(π2×Dpl×WN×D) ・・・(10)
なお、上記の式は、前記の関係式(1)の「B」に式(9)の「B」を代入したものである。
【0057】
そして、ユニット制御部50は、巻取りが終了したか否かをS106の処理で判定し、巻取りが終了していない場合は上記のS102の処理に戻り、巻取りが終了した場合は一連の処理を終了する。
【0058】
上記の制御による糸巻取速度WS、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及びパッケージ駆動モータ41の回転速度Bの変化を図3で説明する。図3の(a)のグラフには糸巻取速度WSの変化を示し、(b)のグラフにはトラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tの変化を示し、(c)のグラフにはパッケージ駆動モータ41の回転速度Bの変化を示し、各グラフの横軸には巻取ボビン径D(言い換えれば、糸4の巻取りの進み度合い)をとっている。
【0059】
巻始めの段階としての第1の巻取工程(D≦Dend)では、図2のS104の処理(限界回転速度基準制御手段83による制御)が行われるので、(b)のグラフに示すようにトラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tは限界回転速度Tmaxで一定であり、また(a)のグラフに示すように糸巻取速度WSは巻取ボビン径Dの増加に伴って、低速側から要求糸巻取速度WSdに近づくように徐々に増速してゆく。なお、(c)のグラフに示すように、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bは所定の速度で一定である。この制御により、トラバースガイド駆動モータ45の過回転による故障、発熱、脱調等を防止しつつ、最大限生産効率の良いプレシジョン巻を実現している。
【0060】
そして、糸4の巻取りが進んでD>Dendとなると、第2の巻取工程に移行して図2のS105の処理(糸巻取速度基準制御手段85による制御)が行われるので、今度は(a)のグラフに示すように糸巻取速度WSは要求糸巻取速度WSdで一定であり、また(b)のグラフに示すようにトラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tは巻取ボビン径Dの増加に伴って徐々に減少してゆく。なお、糸巻取速度WSを上記のように要求糸巻取速度WSdで一定とするために、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bは、(c)のグラフに示すように、巻取ボビン径Dの増加に従って徐々に減少する。この制御により、要求糸巻取速度WSdでの通常のプレシジョン巻が実現される。
【0061】
以上に示すように、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、糸4を巻き取るための巻取ボビン6,7を回転駆動するためのパッケージ駆動モータ41と、前記巻取ボビン6,7への糸4の巻取りの際にその糸4を綾振るためのトラバース装置5と、を備える。そしてトラバース装置5は、糸4と係合して糸4を綾振りさせるためのトラバースガイド11と、前記パッケージ駆動モータ41とは切り離されて駆動し、前記トラバースガイド11を移動させるためのトラバースガイド駆動モータ45と、を有している。そして、以下の方法によって、前記巻取ボビン6,7への糸の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保ちながら糸4を前記巻取ボビン6,7に巻き取っている。即ち、前記巻取ボビン径Dが所定の径(限界径Dend)になるまでは、前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxに等しくなるように前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを調整する。前記巻取ボビン径Dが限界径Dendに到達した後は、糸巻取速度が要求糸巻取速度WSdとなるように前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを調整する。
【0062】
従って、糸4の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保ちながら糸を巻取ボビン6,7に巻き取るようにした場合に、巻取ボビン径Dが限界径Dendになるまでは、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度が限界回転速度Tmax以下になるように、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを要求糸巻取速度WSdを達成するための回転速度よりも低回転速度とし、巻取ボビン径Dが限界径Dendに到達した後は、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを要求糸巻取速度WSdにすることができる。従って、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxを超えることを防止でき、トラバースガイド駆動モータ45の発熱や故障、脱調等を回避することができるとともに、巻取ボビン径Dが限界径Dendに到達した後は、要求糸巻取速度WSdで糸4を巻き取ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、前記トラバースガイド駆動モータ45のモータ軸の正逆回転により前記トラバースガイド11を往復移動させている。この場合、トラバースガイド11やタイミングベルト31、駆動プーリ33、従動プーリ32、トラバースガイド駆動モータ45の回転子の部分等に作用する慣性力の関係で、トラバースガイド駆動モータ45の限界回転速度Tmaxが低くなり易い。しかしながら、このような場合であっても上記の糸巻取方法によれば、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxを超えることを防止できる。
【0064】
また、本実施形態の糸巻取ユニット2では、前記パッケージ駆動モータ41及び前記トラバースガイド駆動モータ45を制御する制御装置60を備えている。そして、この制御装置60を構成するユニット制御部50は、前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bと前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tとの関係式(前記の関係式(1))を記憶する関係式記憶手段81と、前記トラバースガイド駆動モータ45の限界回転速度Tmaxを記憶する限界回転速度記憶手段82と、前記関係式記憶手段81に記憶された関係式(1)の関係を維持しつつ、前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度が前記限界回転速度記憶手段82で記憶されたトラバースガイド駆動モータ45の限界回転速度Tmaxに等しくなるように、前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及び前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを制御する限界回転速度基準制御手段83と、を有する。
【0065】
従って、パッケージ駆動モータ41の回転速度Bとトラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tとが前記関係式(1)の関係を維持するようにパッケージ駆動モータ41とトラバースガイド駆動モータ45とを関連付けて制御した場合に、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxを超えることを防止でき、トラバースガイド駆動モータ45の発熱や故障、脱調等を回避することができる。
【0066】
また、前記制御装置60は、糸巻取速度の要求値WSdを記憶する要求糸巻取速度記憶手段84と、前記関係式記憶手段81に記憶された関係式(1)の関係を維持しつつ、糸巻取速度WSが前記要求糸巻取速度記憶手段84に記憶した要求糸巻取速度WSdとなるように前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及び前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bを制御する糸巻取速度基準制御手段85と、糸巻取速度WSを前記要求糸巻取速度記憶手段84に記憶した要求糸巻取速度WSdにすることと前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを前記限界回転速度記憶手段82に記憶した限界回転速度Tmax以下にすることとが可能な条件のときに、前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度T及び前記パッケージ駆動モータ41の回転速度Bの制御を前記限界回転速度基準制御手段83から前記糸巻取速度基準制御手段85に切り替える制御切替手段86と、を有する。
【0067】
従って、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxを超えないようにして、要求糸巻取速度WSdにて可能な限り糸4を巻き取ることができ、生産効率を高めることができる。
【0068】
また、本実施形態の自動ワインダ1の糸巻取ユニット2は、前記巻取ボビン径Dを検出するパッケージ径センサ44を備える。また、前記関係式記憶手段81に記憶された関係式(1)は、前記巻取ボビン6,7への糸4の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保つための式になっている。そして、前記制御切替手段86における、糸巻取速度WSを前記要求糸巻取速度記憶手段84に記憶した要求糸巻取速度WSdにすることと前記トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを前記限界回転速度記憶手段82に記憶した限界回転速度Tmax以下にすることとが可能な条件とは、巻取ボビン径Dが所定の限界径Dendを上回ることとされている。また、前記制御切替手段86は、前記パッケージ径センサ44にて検出された巻取ボビン径Dが限界径Dendを上回ると、前記限界回転速度基準制御手段83から前記糸巻取速度基準制御手段85に切り替えるように構成している。
【0069】
従って、糸4の巻取開始から巻取終了まで単一のワインド数WNを保ちながら糸4を巻取ボビン6,7に巻き取るようにした場合に、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tが限界回転速度Tmaxを超えることを防止でき、トラバースガイド駆動モータ45の発熱や故障、脱調等を回避することができるとともに、巻取ボビン径Dが限界径Dendに到達した後は、要求糸巻取速度WSdで糸4を巻き取ることができる。
【0070】
なお、上記に開示された構成は一例であって、例えば以下のように変更することができる。
【0071】
図2のS102の処理で、トラバースガイド駆動モータ45の回転速度Tを、限界回転速度Tmaxと等しくするのではなく、当該限界回転速度Tmaxよりも低い所定の速度となるように制御しても良い。
【0072】
糸4の巻取りの進み度合いを取得するための巻取ボビン径検出手段としては、糸4の巻取を停止している状態でも巻取ボビン6,7の径が検出可能なものが良い。ただし、巻取りの進み度合いは、パッケージ径センサ44から巻取ボビン径Dを取得することに代えて、例えば糸4の巻取開始からの累積巻取長さや、巻取開始時からの経過時間等から取得することができる。
【0073】
図1で図示したトラバース装置5に代えて、図4に示すように、支軸まわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材13の先端にトラバースガイド11’をフック状に設けるとともに、このアーム部材13の基端部を、ボイスコイルモータで構成されるトラバースガイド駆動モータ45’のモータ軸に固着し、図4の矢印のようにアーム部材13を往復旋回駆動させる構成に変更することができる。また、ドラム状のトラバースカムの外周面にカム溝を螺旋状に設け、このカム溝にトラバースガイドを係合する構成等、他の構成のトラバース装置に変更することもできる。
【0074】
本発明は、自動ワインダ1に限らず、糸を巻き取るための巻取ボビンをセット可能とし、トラバースガイドで糸を綾振りながら巻取ボビンに糸を巻き取る構成の糸巻取装置(例えば、合糸機、撚糸機等)に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動ワインダの糸巻取ユニットの模式正面図及びブロック図。
【図2】本実施形態においてプレシジョン巻を実現するための巻取速度及びトラバースガイドの制御を説明するフローチャート図。
【図3】本実施形態における巻始めからの糸巻取速度、トラバース駆動モータの回転速度及びパッケージ駆動モータの回転速度の変化を示すグラフ図。
【図4】トラバース装置の変形例を適用した本発明の別の実施形態を示す模式正面図及びブロック図。
【符号の説明】
【0076】
1 自動ワインダ
2 糸巻取ユニット(糸巻取装置)
4 糸
6 巻取チューブ(空の巻取ボビン)
7 パッケージ(糸層付の巻取ボビン)
11 トラバースガイド
41 パッケージ駆動モータ
44 パッケージ径センサ(巻取ボビン径センサ)
45 トラバースガイド駆動モータ
50 ユニット制御部
60 制御装置
81 関係式記憶手段
82 限界回転速度記憶手段
83 限界回転速度基準制御手段
84 要求糸巻取速度記憶手段
85 糸巻取速度基準制御手段
86 制御切替手段




 

 


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