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発明の名称 エレベータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−210720(P2007−210720A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−30390(P2006−30390)
出願日 平成18年2月8日(2006.2.8)
代理人 【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
発明者 前田 太一 / 岩倉 昭太 / 佐々木 康二 / 有賀 正記 / 早野 富夫
要約 課題
エレベータにおいて、ロープやシーブの劣化を簡便に評価する。

解決手段
ロープ式のエレベータ100では、乗りかご1とカウンターウェイト6とが、ロープ2で接続されている。ロープを装架したシーブ4をモータで回転駆動して、乗りかごを昇降させる。ポジテクタ9は、所定の距離だけ離れて設置された遮蔽板8,8間を通過する時間と遮蔽板の間隔とから、乗りかごの速度を測定する。演算部16の有する記憶手段には、乗りかご速度とロープまたはシーブの劣化の関係が記憶されており、この記憶手段を参照してロープまたはシーブの劣化を判断する。
特許請求の範囲
【請求項1】
乗りかごとカウンターウェイトとをロープで接続し、このロープを装架するシーブを駆動して乗りかごを昇降させるロープ式エレベータにおいて、
前記乗りかごまたはこの乗りかごが接続されたロープの少なくともいずれかの速度を検出する速度検出手段と、乗りかごおよび/またはロープの速度と前記シーブの劣化の関係を記憶する記憶手段を有する演算手段とを設け、この演算手段は検出された乗りかごおよび/またはロープの速度を用いて前記記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定することを特徴とするエレベータ。
【請求項2】
前記エレベータの運転時間を検出する運転時間検出手段を設け、前記記憶手段は運転時間とロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化の関係を記憶し、前記演算手段は、測定した運転時間を用いて前記記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記シーブの回転量を検出する回転量検出手段を設け、前記記憶手段は乗りかごおよび/またはロープの速度と前記シーブの劣化の関係の代わりにシーブの回転量に基づくシーブの移動距離とロープの移動距離との差であるすべり量とロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化の関係を記憶し、前記演算手段は、前記速度検出手段が検出した速度に基づくロープの移動距離と前記回転量検出手段が検出したシーブの回転量に基づくシーブの移動距離との差から求めたすべり量を用いて前記記憶手段を参照し、ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記乗りかごおよびロープの少なくともいずれかの移動距離を検出する移動距離検出手段を設け、前記演算手段は、前記速度検出手段が検出した速度に基づくロープの移動距離の代わりに、この移動距離検出手段が検出した移動距離を用いてすべり量を演算することを特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
【請求項5】
エレベータが停止する各階に遮蔽板を、前記乗りかごに前記速度検出手段をそれぞれ設け、この速度検出手段は遮蔽板を検出すると信号を出力することを特徴とする請求項1または3に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記乗りかごに固定されループ状に形成された検出用ロープと、この検出用ロープが装架され乗りかごが昇降する昇降路の上下方向に配置された一対のプーリーとを有し、この一対のプーリーの少なくともいずれかに前記速度検出手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
【請求項7】
前記演算手段は、乗りかごの速度がほぼ一定のときに検出された前記速度検出手段および前記回転量検出手段の出力に基づいて、前記ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判断することを特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
【請求項8】
前記演算手段は、上下に隣り合う少なくとも2つの階間で前記乗りかごを運転および停止させるときに、運転直後の加速状態が過ぎてから前記速度検出手段が上下に隣り合う遮蔽板の一方を横切り、前記速度検出手段が上下に隣り合う遮蔽板の他方を横切らせてから減速させて停止させるようにして、乗りかごの速度をほぼ一定にしたときに検出した前記速度検出手段の出力に基づいて、ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判断することを特徴とする請求項7に記載のエレベータ。
【請求項9】
前記乗りかごが昇降する昇降路に温度および湿度を計測する温湿度検出手段を設け、前記記憶手段は、温度および湿度と、乗りかご速度と運転時間とすべり量の少なくともいずれかとの関係を記憶することを特徴とする請求項1または3に記載のエレベータ。
【請求項10】
前記シーブに取り付けた回転量検出手段がエンコーダであることを特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
【請求項11】
前記乗りかごの積載量を測定する積載量測定手段を設け、前記記憶手段は、積載量とすべり量との関係を記憶すること特徴とする請求項3に記載のエレベータ。
【請求項12】
乗りかごとカウンターウェイトとをロープで接続し、このロープを装架するシーブを駆動して乗りかごを昇降させるロープ式エレベータにおいて、
前記乗りかごまたはこの乗りかごが接続されたロープの少なくともいずれかの移動距離を求める第1の移動距離手段と、シーブの移動距離を求める第2の移動距離手段と、この第1,第2の移動距離手段の出力からすべり量を演算する演算手段と、この演算手段に設けられすべり量と乗りかごおよび/またはロープの移動距離との関係を記憶する記憶手段とを有し、前記演算手段は演算したすべり量を用いて前記記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定することを特徴とするエレベータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータに係り、特にエレベータに用いるシーブの異常検出に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のエレベータ装置では、エレベータシーブを小径化するために、ワイヤロープを構成する複数の素線を樹脂被覆し、さらに全体を樹脂被覆している。このような樹脂被覆ワイヤロープを用いたエレベータでは、樹脂が劣化すると樹脂の硬さが増加してシーブとの間の摩擦係数が低下する。
【0003】
そこで、ロープとシーブとのすべり量を定期的にメンテナンスする必要が生じている。このすべり量の点検方法が、特許文献2に記載されている。この公報では、軽荷重運転が多いエレベータにおいてすべり量を測定するために、駆動シーブに等間隔で反射テープを配置している。そして乗りかごが基準階に停止したときに、制御回路を作動させて反射テープからの反射信号を取り出し、カウンターで計数してすべり量を把握している。
【0004】
着床精度を向上させる従来の例が、特許文献3に開示されている。この公報に記載のエレベータでは、シーブに取り付けたロータリーエンコーダで運転中の乗りかごの相対位置変化を測定する。一方、乗りかごに取り付けた位置検出器と昇降路に取り付けた遮蔽板とを用いて、乗りかごの絶対位置変化を測定する。これら乗りかごの相対位置変化と絶対位置変化とから着床制御の誤差を計算し、着床位置を修正している。この誤差には、ロープとシーブとのすべりを含む。
【0005】
【特許文献1】特開2001−262482号公報
【特許文献2】特開平7−10412号公報
【特許文献3】特開2003−118946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1では、シーブを小径化したときのワイヤロープの摩耗低減については考慮されているものの、摩耗の進展を把握することについては十分には考慮されていない。また、上記特許文献2では、シーブとロープとの間のすべりを測定するために、光電装置や反射テープなどを付加しているので、既に設置されている数多くのエレベータにこれら装置を取り付けることは困難であるとともに、費用が嵩む。また、保守員が現地に出向いてメンテナンスしなければならず、運転停止等の不具合も生じる。
【0007】
上記特許文献3では、エレベータを運転中にロープとシーブとのすべり量を測定し、乗りかごの位置を求めているが、使用開始時のロープまたはシーブに生じる正常時のすべり量と劣化時の異常すべり量を区別することが困難である。
【0008】
本発明は上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的はエレベータにおいて、ロープやシーブの劣化を簡単な方法で判断することにある。本発明の他の目的は、エレベータに高価なすべり測定装置を付加することなく、かつ無人ですべり量を測定することにある。本発明のさらに他の目的は、メンテナンス費用を増大させずに信頼性の高いエレベータを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の特徴は、乗りかごとカウンターウェイトとをロープで接続し、このロープを装架するシーブを駆動して乗りかごを昇降させるロープ式エレベータにおいて、乗りかごまたはこの乗りかごが接続されたロープの少なくともいずれかの速度を検出する速度検出手段と、乗りかごおよび/またはロープの速度とシーブの劣化の関係を記憶する記憶手段を有する演算手段とを設け、この演算手段は検出された乗りかごおよび/またはロープの速度を用いて記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定するものである。
【0010】
そしてこの特徴において、エレベータの運転時間を検出する運転時間検出手段を設け、記憶手段は運転時間とロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化の関係を記憶し、演算手段は、測定した運転時間を用いて記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定するのが好ましい。また、シーブの回転量を検出する回転量検出手段を設け、記憶手段は乗りかごおよび/またはロープの速度とシーブの劣化の関係の代わりにシーブの回転量に基づくシーブの移動距離とロープの移動距離との差であるすべり量とロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化の関係を記憶し、演算手段は、速度検出手段が検出した速度に基づくロープの移動距離と回転量検出手段が検出したシーブの回転量に基づくシーブの移動距離との差から求めたすべり量を用いて記憶手段を参照し、ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判定するものであってもよい。
【0011】
上記特徴において、乗りかごおよびロープの少なくともいずれかの移動距離を検出する移動距離検出手段を設け、演算手段は、速度検出手段が検出した速度に基づくロープの移動距離の代わりに、この移動距離検出手段が検出した移動距離を用いてすべり量を演算するものであってもよい。また、エレベータが停止する各階に遮蔽板を、乗りかごに速度検出手段をそれぞれ設け、この速度検出手段は遮蔽板を検出すると信号を出力するようにしてもよい。
【0012】
さらに上記特徴において、乗りかごに固定されループ状に形成された検出用ロープと、この検出用ロープが装架され乗りかごが昇降する昇降路の上下方向に配置された一対のプーリーとを有し、この一対のプーリーの少なくともいずれかに速度検出手段を設けるようにしてもよく、演算手段は、乗りかごの速度がほぼ一定のときに検出された速度検出手段および回転量検出手段の出力に基づいて、前記ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判断するものであってもよい。
【0013】
さらにまた、演算手段は、上下に隣り合う少なくとも2つの階間で前記乗りかごを運転および停止させるときに、運転直後の加速状態が過ぎてから速度検出手段が上下に隣り合う遮蔽板の一方を横切り、さらに上下に隣り合う遮蔽板の他方を横切らせてから減速させて停止させるようにして、乗りかごの速度をほぼ一定にしたときに検出した前記速度検出手段の出力に基づいて、ロープおよびシーブの少なくともいずれかの劣化を判断するようにしてもよい。
【0014】
乗りかごが昇降する昇降路に温度および湿度を計測する温湿度検出手段を設け、記憶手段は、温度および湿度と、乗りかご速度と運転時間とすべり量の少なくともいずれかとの関係を記憶してもよく、シーブに取り付けた回転量検出手段がエンコーダであってもよい。さらに、乗りかごの積載量を測定する積載量測定手段を設け、記憶手段は、積載量とすべり量との関係を記憶するようにしてもよい。
【0015】
上記目的を達成する本発明の他の特徴は、乗りかごとカウンターウェイトとをロープで接続し、このロープを装架するシーブを駆動して乗りかごを昇降させるロープ式エレベータにおいて、乗りかごまたはこの乗りかごが接続されたロープの少なくともいずれかの移動距離を求める第1の移動距離手段と、シーブの移動距離を求める第2の移動距離手段と、この第1,第2の移動距離手段の出力からすべり量を演算する演算手段と、この演算手段に設けられすべり量と乗りかごおよび/またはロープの移動距離との関係を記憶する記憶手段とを有し、演算手段は演算したすべり量を用いて記憶手段を参照し、ロープとシーブの少なくともいずれかの劣化を判定するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、乗りかご速度と運転時間とすべり量の少なくともいずれか求める手段をエレベータ装置が備え、これらの量とロープおよびはシーブの少なくともいずれかとの劣化の関係を記憶手段に記憶したのでロープまたはシーブの劣化を簡便に判断できる。また、専用のすべり測定装置が不要であるとともに、無人ですべりを測定できる。その結果、メンテナンス費用を増大させずに、信頼性の高いエレベータを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るエレベータを、図面を用いて説明する。図1に、エレベータ100の一実施例を、模式図で示す。エレベータ100では、ロープ2の一方端に乗りかご1が連結されており、ロープ2の他端にはカウンターウェイト6が連結されている。ロープ2の途中の部分は、乗りかご1の上方に配置した駆動装置3に取り付けたシーブ4と、シーブ4から離れた位置にあるそらせ車5に巻きかけられている。シーブ4には、このシーブ4の回転量を計測するシーブエンコーダ12が取り付けられている。
【0018】
乗りかご1は、昇降路内に配置されており、昇降路の側壁にはレール7が取り付けられている。乗りかご1は、レール7に案内されて昇降路内を昇降する。レール7の各階床に対応した位置には、遮蔽板8が取り付けられている。一方、乗りかご1の上部には、位置検出装置であるポジテクタ9が取り付けられている。ポジテクタ9は、乗りかご1が遮蔽板8を通り過ぎると、検出信号を発生する。
【0019】
乗りかご1の速度を検出するために、乗りかご1の側方であって下方および上方にはガバナプーリー11a,11bが配置されており、このガバナプーリー11a,11bには、ガバナロープ10が装架されている。ガバナロープ10は、ループ状に形成されている。乗りかご1の側面には、ガバナロープ10に係合する係合手段が設けられている。したがって、ガバナロープ10は乗りかご1とともに移動する。ガバナプーリー11aには、このプーリー11aの回転速度を検出するガバナプーリーエンコーダ13を取り付ける。
【0020】
このように構成したエレベータ100では、駆動装置3がシーブ4を回転させて、乗りかご1を昇降路内で上下に移動させる。乗りかご1が遮蔽板を横切ると、ポジテクタ9のスイッチがONになり、乗りかご1が各階の乗降場に達したことを検出する。このとき、シーブ4の速度をシーブ4に取り付けたシーブエンコーダ12が検出する。さらに、ガバナプーリー11aに取り付けたガバナプーリーエンコーダ13を用いて、高精度に乗りかご1の昇降速度を検出する。
【0021】
これらのエンコーダ12,13の信号は配線15a,15bにより演算部16に送られる。また、ポジテクタ9の信号はテールコード14により演算部16に送られる。演算部16は記憶手段を有し、記憶手段にはデータベース17が収納されている。データベース17には、すべり量と摩擦係数のデータが17を用いて以下に記載の演算を実行する。演算の結果、ロープ2やシーブ4が劣化していることが明らかになった場合には、電話回線18を用いて警報手段19を作動させる。
【0022】
ところで、ロープ2とシーブ4との間には、ロープ2とシーブ4間に発生するすべりで速度差がある。図2に、乗りかご1の速度とシーブ4の速度の時間変化を示す。乗りかご1を無積載の状態にして、エレベータ100を往復運転して求めたグラフである。乗りかご1の速度22を実線で、シーブ4の速度24を破線で示す。時間軸よりも上側の上昇運転時の乗りかご速度がVu、時間軸よりも下側の下降運転時の乗りかご速度がVdである。上昇運転の運転時間がTu、下降運転の運転時間がTdである。
【0023】
乗りかご1は、搭乗者がいない無積載の状態なので、乗りかご1よりもカウンターウェイト6の方が重い。乗りかご1が上昇してロープ2がシーブ4を通過するときは、シーブ4の回転速度よりも乗りかご1の速度が早い。乗りかご1が下降するときは、逆に乗りかご1の速度の方が遅い。このように乗りかご1の上昇時と下降時の双方で、ロープ2とシーブ4間に速度差が生じており、ロープ2とシーブ4がすべる。
【0024】
ロープ2とシーブ4間の摩擦係数が低下すると、シーブ4の速度は変化せずに定められた速度で回転するが、乗りかご1の上昇速度Vuは、Vu′まで増加し、下降速度VdはVd′に減少する。図2では、ロープ2とシーブ4との摩擦係数が低下したときの乗りかご速度26を、一点鎖線で示している。乗りかご1の速度Vが変化したので、運転時間も変化する。上昇運転では、運転時間がΔTuだけ減少し、下降運転ではΔTdだけ増加する。乗りかご速度Vおよび運転時間Tが変化したので、ロープ2とシーブ4とのすべり量も変化する。
【0025】
乗りかご速度,運転時間およびすべり量の少なくともいずれかの値が予め定めた値を超えると、乗りかご1は定められた着床位置からずれた位置で停止する。この乗りかご速度,運転時間およびすべり量の少なくともいずれかの値の増加量が限界量を超えると、ロープ2とシーブ4との摩擦係数が減少して駆動装置3が停止しているにも関わらず、乗りかご1またはカウンターウェイト6のいずれか質量の大きい方が落下する。そこで本実施例では、乗りかご速度,運転時間およびすべり量の少なくともいずれかを測定し、ロープ2とシーブ4の劣化を、以下の方法により評価する。
【0026】
図3を用いて、乗りかご速度Vを用いてロープ2およびシーブ4の劣化を評価する手法を説明する。図3に、図1に示したエレベータ100が有する乗りかご速度監視システムを、フローチャートで示す。乗りかご監視システムが作動すると、初めにエレベータ100が無積載で所定区間運転される(ステップ31)。このときの乗りかご1の速度を、測定する(ステップ32)。測定した乗りかご1の速度を用いて、記憶手段に予め記憶した速度データベース17を参照する(ステップ33)。
【0027】
測定した乗りかご1の速度が速度データベース17に記憶された規定速度の範囲内にあるか否かを判定する(ステップ34)。測定した乗りかご1の速度が規定範囲内であればステップ31に戻り、測定を繰り返す。その際、所定間隔をおいて、ステップ31〜ステップ34を繰り返す。測定した乗りかご1の速度が規定範囲外であれば、ロープ2またはシーブ4が劣化しているものと判定し、ステップ35にて警報手段を作動させる。
【0028】
図4に、記憶手段が備える乗りかご速度のデータベース17の詳細を、グラフで示す。乗りかご速度のデータベース17は、エレベータ100を上昇運転および下降運転させて求める。同図(a)に示すように、乗りかご1を上昇運転させた時に、乗りかご1の速度が予め定めた上限値Vu1以上に増加したら、ロープ2とシーブ4の間のすべりが規定値を超えていることになる。この場合、過去の実績等に基づいてロープ2やシーブ4の表面の劣化が進行していると判断され、使用限界を超えているものと判断する。
【0029】
また、乗りかご1の速度が予め定めた下限値Vu2以下に減少するのは、エレベータ
100に異常が発生して、ロープ2とシーブ4との間がすべりにくい状態になったからである。乗りかご1の速度が、上限値Vu1から下限値Vu2の間の速度の場合は、たとえロープ2やシーブ4の表面が劣化していても、劣化の程度が無視できることを示しているので、この状態を正常運転状態とする。このように、乗りかご1を上昇運転させて異常運転と正常運転を規定し、データベース17に格納する。
【0030】
同様に下降運転の場合には、図4(b)に示すように、異常運転と正常運転とを規定する。すなわち、乗りかご1を下降運転させたときに、ロープ2やシーブ4の表面の劣化が進行して、乗りかご1の速度が下限値Vd2以下に低下したら、異常と判断する。また、乗りかご1の速度が上限値Vd1以上に増加したときも異常と判断し、乗りかご1の速度がこれら上限値Vd1から下限値Vd2の間なら正常運転と判断する。このデータもデータベース17に記憶する。
【0031】
エレベータ100を上昇運転および下降運転させたときの乗りかご1およびシーブ4の速度の変化を、図5に示す。横軸は時間であり、縦軸は乗りかご1の速度50,52,
56,58およびシーブ4の速度54である。実線で示した速度50は、正常状態での上昇運転時の乗りかご1の速度であり、速度52は、正常状態での下降運転時の速度である。シーブの速度54を、破線で示す。一点鎖線で示した速度56は、乗りかご1の速度が正常状態よりも増加したときの上昇運転時の速度であり、速度58は、乗りかご1の速度が正常状態よりも低下したときの下降運転時の速度である。
【0032】
ほぼ一定速度になったときの乗りかご1の速度とシーブ4の速度とを比較する。上昇運転では、乗りかご1の速度の方がシーブ4の速度よりΔVuだけ速い。下降運転では、乗りかご1の速度が、シーブ4の速度よりΔVdだけ遅い。そこで、乗りかご1の速度差
ΔVを、次式で定義する。ΔV=ΔVu+ΔVd。ロープ2またはシーブ4が劣化して上昇時の乗りかご1の速度差がΔVu′、下降時の乗りかご1の速度差がΔVd′にそれぞれ増加すると、乗りかご1の速度差の合計ΔV′も、ΔV′=ΔVu′+ΔVd′に変化する。ロープ2またはシーブ4が劣化する前に比較して、乗りかご1の速度差は増加する。
【0033】
エレベータ100が備える乗りかご速度差監視システムの、処理内容を図6にフローチャートで示す。乗りかご速度差監視システムでは、初めにステップ61で、エレベータ
100を無積載で所定区間だけ往復運転させる。このとき、ほぼ一定速度になったときの乗りかご1の速度を測定する(ステップ62)。測定した乗りかご1の速度から、乗りかご1の上昇時と下降時の速度差を演算する(ステップ63)。
【0034】
求めた乗りかご1の速度差を用いて、予め記憶手段が備えるデータベース17を参照する(ステップ64)。求めた乗りかご1の速度が、規定範囲に入っているか否かを判断する(ステップ65)。乗りかご1の速度差が規定範囲内であれば、ステップ61に戻り、所定間隔でステップ61からステップ65を繰り返す。求めた乗りかご1の速度差が規定範囲外であれば、警報手段を作動させて(ステップ66)、監視を停止する。
【0035】
記憶手段が備えるデータベース17に格納する速度差データの詳細を、図7のグラフを用いて説明する。過去の実績等に基づいて、乗りかご1の速度差が予め定めた規定値
ΔV1以上に増加したら、ロープ2とシーブ4の間のすべりが限界値を超えており、ロープ2やシーブ4の表面の劣化が進行していると判断する。また、乗りかご1の速度が
ΔV2以下まで低下したら、なんらかの異常が発生してロープ2とシーブ4とがすべりにくくなったものと判断する。これら2つの状態は、異常状態である。乗りかご1の速度がΔV1〜ΔV2の間の速度では、たとえ表面劣化があったとしても、その劣化の程度を無視できるものと判断し、正常運転状態とする。これらのデータを、データベース17に格納する。
【0036】
ところで、乗りかご1の速度および乗りかご1の速度差は、昇降路内の温度や湿度などの要因に影響される。ロープ2やシーブ4の劣化を、乗りかご1の速度の変化から求める場合に、測定した乗りかご1の速度から温度や湿度の影響を取り除けば、より高精度にロープ2やシーブ4の劣化を判断できる。
【0037】
そこで、温度や湿度の影響を取り除く方法を、以下に説明する。ロープ2とシーブ4との間の摩擦係数は、温度や湿度により変化するので、乗りかご1の速度も温度や湿度の変化に応じて変化する。図8に、温度および湿度の影響を補償する測定システムを示す。この図8では、図1に示したエレベータ100に、温度および湿度の検出手段を付加している。温度計20aと湿度計20bが、昇降路内であってシーブの近傍に設けられている。
【0038】
上述した温度計20aと湿度計20bを用いて、乗りかごの速度を補正する乗りかご速度監視システムの処理内容を、図9にフローチャートで示す。初めに、無積載にしてエレベータ100を予め定めた区間だけ昇降運転する(ステップ91)。この昇降運転において、乗りかご1の速度がほぼ一定速度になったときに、乗りかご1の速度を測定する(ステップ92)。温度を温度計20aで、湿度を湿度計20bで測定する(ステップ93)。測定した温度および湿度、乗りかご1の速度を用いてエレベータ100の記憶手段が備える温度と湿度のデータベース17を参照する(ステップ94)。そして、温度および湿度補償をした乗りかご1の速度を求める。補正された乗りかご1の速度を用いて、乗りかご1の補正された速度データベース17を参照する(ステップ95)。
【0039】
補正された乗りかご1の速度が上限値および下限値の範囲内にあるか否かを判断する
(ステップ96)。範囲内であれば、正常状態にあるものと判断し、ステップ91に戻る。所定間隔で、ステップ91〜ステップ96を繰り返す。範囲外のときは、警報を発し、エレベータ100を停止する(ステップ97)。
【0040】
ステップ94の詳細を、図10を用いて説明する。同図(a)は、乗りかご1が上昇しているときの、温度および湿度と乗りかご1の速度の関係を示すグラフであり、同図(b)は下降時の温度および湿度と乗りかご1の速度との関係を示すグラフである。
【0041】
ステップ91〜ステップ93を実行して、ロープ2とシーブ4を運転する。使用前の状態を基準状態とし、このときの温度をtemp1、湿度をhum1とする。乗りかご監視システムを用いて定期的に測定したとき(ステップ93)の温度が、temp2、湿度がhum2である。温度および湿度が増加すると、ロープ2とシーブ4との間の摩擦係数が低下する。乗りかご1を上昇運転させると、乗りかご1の速度Vuは増加する。一方、乗りかご1を下降運転させると、乗りかご1の速度Vdは減少する。
【0042】
測定した上昇時および下降時の乗りかご速度Vu,Vdを、図10(a),(b)に示した補正曲面を用いて、基準状態に換算する。具体的には、データベース17には乗りかご1の速度Vu=Vu(hum,temp),Vd=Vd(hum,temp)が、温度および湿度をパラメータとして格納されている。これらは離散的データで格納されているので、(hum2,temp2)におけるVd2,Vu2および(hum1,temp1)におけるVd1,Vu1を離散データから補間して求める。
【0043】
本実施例では、補間に曲面を用いる。基準状態の温度temp1および湿度hum1で補正されて、上昇時の乗りかご1の速度はVu2からVu1に、下降時の乗りかご1の速度はVd2からVd1に変化する。以下、この補正された乗りかご1の速度Vu2,Vd2を用いて、ロープ2およびシーブ4の劣化を判断する。本実施例では、乗りかご1の速度を用いてロープおよびシーブの劣化を評価しているが、乗りかご1の速度の代わりに上昇時と下降時の乗りかご1の速度差を用いてもよい。この場合、図9のステップ92,94,95,96における乗りかご1の速度を、乗りかご1の速度差に置換する。
【0044】
次に、運転時間によりロープおよびシーブの劣化を判断する方法を、図11に示した運転時間監視システムのフローチャートを用いて説明する。エレベータ100は、運転時間監視システムを有している。このシステムを作動させるときには、初めにエレベータ100を無積載で所定区間運転する(ステップ111)。この所定区間だけエレベータ100を運転したときに要する運転時間を測定する(ステップ112)。測定した所定区間に対する運転時間を用いてデータベースを参照する(ステップ113)。予め求めたロープ2およびシーブ4の劣化と所定区間に対する運転時間との関係に基づいて、ロープ2またはシーブ4が正常であるか否かを判定する(ステップ114)。所定区間の運転に要する運転時間が所定時間内であれば、所定時間後にステップ111〜114を繰り返す。所定区間の運転に要する運転時間が所定時間を超えていれば、警報手段を作動させて(ステップ
115)、エレベータ100を停止する。
【0045】
図12は図11のステップ113で用いる所定運転区間の運転に要する運転時間のデータベースである。このデータベースは以下のようにして予め求められる。所定運転区間に対する運転時間が減少してTu2以下になることは、ロープ2やシーブ4の表面の劣化が進行してロープ2とシーブ4の間のすべりが増加したことを示しているから、使用限界を超えている。一方、所定運転区間について運転したときに要する運転時間が増加してTu1以上になることは、エレベータ100になんらかの異常が発生してロープ2とシーブ4との間がすべりにくくなっている状態を示している。所定区間運転したときの運転時間がTu1〜Tu2の間では、たとえ表面劣化があったとしても、その劣化を無視できる正常運転状態を示している。上記は上昇運転についての説明であるが、乗りかご1を下降運転させた時に所定区間運転するのに要する運転時間Tdのデータベースも、上記と同様に求めることができる。
【0046】
ロープ2やシーブ4の劣化を運転時間で評価するときは、エレベータ運転中のロープ2やシーブ4の環境条件をも考慮すれば、より高精度に劣化を評価できる。そこで、速度差を用いたロープ2やシーブ4の劣化の評価と同様に、昇降路内の温度および湿度を計測して、環境条件で補正する。このときの補正方法は、図10(a)の縦軸を乗りかご下降時の運転時間Tdとし、図10(b)の縦軸を乗りかご上昇時の運転時間Tuとしたものとなる。
【0047】
ロープ2やシーブ4の劣化を判断する他の例は、すべり量を用いる方法である。図13に、エレベータ100が備えるすべり量監視システムの処理内容を、フローチャートで示す。上記各例と同様に、初めにエレベータ100を無積載で所定区間運転する(ステップ131)。このときのロープ2または乗りかご1の移動量およびシーブ4の回転量を測定する(ステップ132)。測定したロープ2または乗りかご1の移動量およびシーブ4の回転量から、ロープ2とシーブ4の間のすべり量Sを求める(ステップ133)。求めたすべり量Sを用いて、エレベータ100の記憶手段に記憶されたすべり量データベース
17を参照する(ステップ134)。
【0048】
データベース17に記憶されたデータと演算したすべり量とを比較して、すべり量が規定範囲内に入るか否かを判定する(ステップ135)。規定範囲内であれば正常と判断し、所定時間経過したら、ステップ131〜ステップ135を繰り返す。規定範囲外であれば、警報手段を作動させ(ステップ136)、エレベータ100を停止する。
【0049】
すべり量データベース17の詳細を、図14を用いて説明する。すべり量Sが増加してS1以上であれば、ロープ2やシーブ4の表面の劣化が許容範囲を超えて進行していることが、事前の実験または経験から知られている。このため、すべり量がS1を超えたら異常と判断する。また、すべり量Sが低下してS2以下になったときは、エレベータ100になんらかの異常が発生し、ロープ2とシーブ4がすべりにくくなっているので、これも異常と判断する。すべり量がS1からS2の間の場合には、たとえ表面劣化があったとしても、その劣化は無視できる程度であり、正常と判断する。このすべり量Sを用いた劣化の判断においても、環境条件である昇降路内の温度および湿度を測定して、それらですべり量を補正すればより高精度な劣化判断が可能になる。
【0050】
上記乗りかご1の速度Vおよび運転時間T、すべり量Sの検出には、以下の方法を用いる。乗りかご1の速度を検出するために、乗りかご1に位置検出器であるポジテクタ9を設置する。ポジテクタ9が階毎に設けた遮蔽板8の1つを横切り、その後他の階の遮蔽板を横切るまでの時間Tを測定する。ポジテクタ9の位置は予め測定して求めているので、ポジテクタ9,9間の距離Hは既知である。この測定区間における遮蔽板8の間隔Hから次式で乗りかご1の速度Vを求める。
V=H/T ………(1)
運転時間Tに関しては、ガバナプーリーエンコーダ13を用いて測定する。なお、乗りかご1の速度Vの計測にも、ガバナプーリーエンコーダ13を用いることができる。
【0051】
すべり量Sは、乗りかご1の移動量Lとシーブ4の回転量を表す回転角Q、ロープ2をシーブ4に巻き付けたときのロープ2の曲率半径Rを用いて、式(2)で求められる。
S=|L−Q×R| ………(2)
ここで、シーブ4の回転角Qを、シーブ4に取り付けたシーブエンコーダ12が検出する。ロープ2の曲率半径Rは、シーブ4にロープ2を巻き付けたときのロープ2の中心が通る円の半径である。
【0052】
エレベータ100の使用に伴い、ロープ2およびシーブ4が摩耗してロープ2の曲率半径Rは減少する。この減少量は、ロープ2の曲率半径Rの1%程度であるから、すべり量Sの値にはほとんど影響しない。ロープ2の曲率半径Rは、シーブ4の内径にロープ2の径を加えた値の1/2である。エレベータ100の運転距離である乗りかご1の移動量Lは、ポジテクタ9が遮蔽板8を通過する回数から求められる。したがって、これらの値は既知である。
【0053】
すべり量Sを、ロープ2の速度とシーブ4の回転量からも求めることができる。この例を、図15に示したすべり量監視システムのフローチャートを用いて説明する。エレベータ100を無積載で所定区間運転する(ステップ151)。このときの乗りかご1の速度およびシーブ4の回転速度を測定する(ステップ152)。乗りかご1の速度Vを、2つの遮蔽板8,8の間隔と、この2つの遮蔽板8,8間をポジテクタ9が通過するときの時間から求める。または、ガバナプーリーエンコーダ13で直接ロープ2の速度Vを測定する。
【0054】
測定した乗りかご1の速度とシーブ4の回転速度とから、式(3)を用いてすべり量Sを求める(ステップ153)。この際、乗りかご1の速度Vを運転時間Tで積分して、乗りかご移動量を求める。同様に、シーブ4の回転速度V′を運転時間Tで積分して、シーブ4の回転量を求める。
【0055】
S=|∫V(T)dT−∫V′(T)dT| ………(3)
乗りかご1の速度V,運転時間Tおよびすべり量Sを、遮蔽板8およびポジテクタ9を用いて求めるときは、乗りかご1の加減速によりロープ2が伸縮するので測定精度が低下する。そこで、遮蔽板8とポジテクタ9を用いてこれら諸量を測定する場合には、加減速の影響を補償すればより高精度に測定できる。
【0056】
図16に、1階から10階まで乗りかご1を上昇させたときの、乗りかご1の速度とシーブ4の速度の変化例を示す。下段に、ポジテクタ9の検出信号をあわせて示す。ポジテクタ9が各階に対応して設けられた遮蔽板8i(i=1,…,10) を検出すると、ポジテクタの信号は、LoからHiに変化する。
【0057】
このとき、シーブエンコーダ12の回転角変化から求めたシーブ4の速度162と、ポジテクタ9の信号および遮蔽板8i(i=1,…,10) 間の距離から求めた乗りかご1の速度160は、図16に示すように、中間部に速度一定領域160a,162aを有する台形に近似した形になる。
【0058】
すなわち、全運転領域は、加速時のロープ2の伸縮領域Ra、ロープ2の伸縮が無い領域Rb、減速時のロープ2の伸縮領域Rcに分けられる。そこで、エレベータ100の運転パターンに含まれる速度一定領域Rbを利用して、精度の低下を補償する。具体的には、乗りかご1を加速させた後の乗りかご1の速度がほぼ一定になる領域Rbでの乗りかご1の速度と運転時間、シーブ4の回転速度を比較する。そして、求めた乗りかご1の速度とシーブ4の回転速度と運転時間から、すべり量を算出する。
【0059】
これにより、領域Ra,Rcにおけるロープ伸縮の影響を排除できる。本実施例では、ロープの伸縮がない4階から7階までを測定区間Int74とした。このときの、すべり量は式(4)から求められる。
S=|V−V′|×Ts ………(4)
ここでTsは、速度一定での運転時間である。
【0060】
ロープ2の伸縮が無い領域Rbは、以下のように求める。エレベータ100の運転速度Vと加速度α1,減速度α2は、エレベータ100の仕様で定まる。運転速度Vを加速度
α1または減速度α2で除算すれば、加速時間t1および減速時間t2を算出できる。エレベータ100を運転してからt1 秒後には速度がほぼ一定となるから、エレベータ運転からt1 秒経過後に最初に乗りかご1が横切った遮蔽板8から、速度一定の領域が始まる。エレベータ100の停止よりもt2秒以上前であって、最もt2秒に近い時間に乗りかご1が遮蔽板8を横切るまでの時間が、速度一定の領域である。
【0061】
加速度センサーを乗りかご1に取り付け、起動直後の乗りかご1の加速が済んで、加速度が0となった後に乗りかご1が横切った遮蔽板8から速度一定の領域が始まるとしてもよい。この場合、乗りかごが減速し始めて加速度が0から変化する直前に横切った遮蔽板8までの時間を速度一定の領域とする。
【0062】
加速度の影響を補償した乗りかご1の速度や運転時間、すべり量を測定する他の方法を、図17を用いて説明する。乗りかご1を上昇させる場合を例にとる。エレベータ100の移動階が少ない、低層の建物等に有効な測定方法である。エレベータ100の停止階数が4以上あれば、経験的に乗りかご1の速度が一定速度になる区間に、遮蔽板8を2箇所以上設定できる。
【0063】
これに対して、停止階数が2階しかないエレベータ100では、ポジテクタ9が遮蔽板8を横切るのは、乗りかご1が移動したすぐ後か、または停止直前である。このような状況では、ポジテクタ9が検出した乗りかご1の移動量には、ロープ2の伸びの影響が含まれる。そこで、搭乗者がいる場合の通常の運転モードよりも加速度を大きくして、ポジテクタ9の信号がLoに変化する前に、一定速度で運転する。
【0064】
乗りかご1を停止するときは、ポジテクタ9の信号がHiに変化してから、減速させて停止する。または、通常の運転モードでの加速時間を短くし、ポジテクタ9の信号がLoに変化する前に、一定速度で運転する。乗りかご1を停止するときは、ポジテクタ9の信号がHiに変化してから減速する。速度一定領域Rbで乗りかご1の速度や運転時間、すべり量を測定する。
【0065】
乗りかご速度や運転時間,すべり量を、使用開始時に測定し、所定時間経過後に再びこれらの量を測定する。使用開始時の値と再計測時の値とを比較して、ロープ2やシーブ4の劣化を判断する。乗りかご速度や運転時間,すべり量は、積載条件の影響を受けるので、最初に測定した条件と同じ条件で測定する。そのためには、同一条件を設定しやすい、深夜から早朝の搭乗者がいない時間を利用するのがよい。
【0066】
通常走行時にしか測定できない等の理由で、乗りかご速度や運転時間,すべり量を通常走行時に比較するときは、積載量を変化させて測定したときのデータベースを用いて積載量の影響を補償する。図18に、このときに用いるデータベース17の一例を示す。横軸には、定格積載量を100%としたときの積載量を百分率で示す。
【0067】
積載量が増加すると、同図(a)に示した乗りかご1の上昇速度Vuが低下し、同図
(b)に示した下降速度Vdは増加する。同図(c)に示した速度差ΔVは、積載量が
50%近くになると、ほぼ0になる。積載量が0から50%の間であるD%のときには、積載量が0%のときと比べて上昇速度Vuが減少し、下降速度Vdが増加する。また速度差ΔVは、減少する。
【0068】
図18に示したデータベース17を用いて、積載量がD%のときの値を、0%のときの値に換算する。図18(a)の縦軸を乗りかご下降時の運転時間Tdに、同図(b)の縦軸を乗りかご上昇時の運転時間Tuに、同図(c)の縦軸をすべり量Sに置き換えて、運転時間とすべり量の補正に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るエレベータの一実施例の模式図である。
【図2】エレベータにおける乗りかご速度とシーブ速度の変化を説明するグラフである。
【図3】図1に示したエレベータが備える乗りかごの速度を監視するフローチャートである。
【図4】図1に示したエレベータの異常診断を説明するグラフである。
【図5】図1に示したエレベータが備える乗りかごの速度とシーブ速度の変化を説明するグラフである。
【図6】図1に示したエレベータが備える乗りかごの速度差を監視するフローチャートである。
【図7】図1に示したエレベータの異常診断を説明するグラフである。
【図8】本発明に係るエレベータの他の実施例の模式図である。
【図9】図8に示したエレベータが備える乗りかごの速度を監視するフローチャートである。
【図10】図8に示したエレベータが備える乗りかごの速度と温湿度との関係を説明するグラフである。
【図11】エレベータの運転時間を監視するフローチャートである。
【図12】図11のステップ114を説明するグラフである。
【図13】すべり量監視のフローチャートである。
【図14】図13のステップ135を説明するグラフである。
【図15】すべり量監視のフローチャートである。
【図16】乗りかごの速度とシーブ速度の変化を説明するグラフである。
【図17】乗りかごの速度とシーブ速度の変化を説明するグラフである。
【図18】乗りかごの積載量とすべり量との関係を説明するグラフである。
【符号の説明】
【0070】
1…乗りかご、2…ロープ、3…駆動装置、4…シーブ、5…そらせ車、6…カウンターウェイト、7…レール、8…遮蔽板、9…ポジテクタ、10…ガバナロープ、11…ガバナプーリー、12…シーブエンコーダ、13…ガバナプーリーエンコーダ、14…テールコード、15…配線、16…演算部、17…データベース、18…電話回線、19…警報手段。




 

 


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