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発明の名称 エレベータ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84229(P2007−84229A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−273972(P2005−273972)
出願日 平成17年9月21日(2005.9.21)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 高崎 一彦
要約 課題
客先電源の変動に対し、充電電流指令と放電電流指令との偏りを無くする。

解決手段
エレベータの電動機を駆動する電力変換装置の直流ライン間に充放電回路を介して蓄電装置を接続したエレベータ制御装置であって、充放電開始を決める充放電電圧指令値を出力する充放電電圧指令出力部20,21と、直流ライン間の直流電圧が充電電圧指令値を越えた場合に充電電流指令を出力する充電優先制御手段18,23と、直流ライン間の直流電圧が放電電圧指令値よりも低下した場合に放電電流指令を出力する放電優先制御手段19,25と、客先電源の変動に伴う直流電圧の電圧基準値の変動時に予め定めるバイアス電圧を前記電圧指令出力部20,21段に追加的に設定し、正負の充電電流指令と前記放電電流指令とを偏りのない対象波形に生成するバイアス設定部16,17とを設けたエレベータ制御装置である。
特許請求の範囲
【請求項1】
客先電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路の出力側の直流ライン間に接続され、前記変換された直流電圧のリプルを平滑化する直流コンデンサと、この平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換し出力するインバータと、このインバータから出力される交流電圧を用いて駆動し乗りかごを昇降運転する巻上機と、予め定める運転パターンに従って前記インバータを制御するインバータ制御手段と、前記直流ライン間に充放電回路を介して接続され、回生運転時に前記巻上機を構成する電動機の発電する回生エネルギーを蓄電し、力行運転時に蓄電されたエネルギーを前記直流ライン間に放電する蓄電装置とを設けたエレベータ制御装置において、
前記直流ライン間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、充電開始を決めるしきい値となる充電電圧指令値を出力する充電電圧指令出力手段と、放電開始を決めるしきい値となる放電電圧指令値を出力する放電電圧指令出力手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値を越えている場合に充電優先と判断し、当該直流電圧が越えた期間にわたって充電電流指令を出力する充電優先制御手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値よりも低下した場合に放電優先と判断し、当該直流電圧が低下している期間にわたって放電電流指令を出力する放電優先制御手段と、前記客先電源の変動に伴う前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に予め定めるバイアス電圧を前記電圧指令出力手段に追加的に設定し、正負の前記充電電流指令と前記放電電流指令とを偏りのない対象波形に生成するバイアス設定手段と、前記充電優先制御手段から出力される充電電流指令と前記蓄電装置への充電電流との電流偏差または前記放電優先制御手段から出力される放電電流指令と前記蓄電装置からの放電電流との電流偏差に相当する電流指令値に基づいて前記充放電回路を充放電制御する充放電制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記充電優先制御手段は、前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値とを比較し、直流電圧が充電電圧指令値を越えている場合に充電と判断し、当該直流電圧と当該充電電圧指令値との電圧偏差を出力する充電判断手段と、この充電判断手段から出力される電圧偏差に応じた正の前記充電電流指令に変換し出力する充電電圧制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記放電優先制御手段は、前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値とを比較し、直流電圧が放電電圧指令値よりも低下している場合に放電と判断し、当該直流電圧と当該放電電圧指令値との電圧偏差を出力する放電判断手段と、この放電判断手段から出力される電圧偏差に応じた負の前記充電電流指令に変換し出力する放電電圧制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記バイアス設定手段は、充電バイアス電圧を設定する充電バイアス設定手段と、放電バイアス電圧を設定する放電バイアス設定手段とを設け、前記充電バイアス設定手段は、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に前記充電バイアス電圧を前記充電電圧指令出力手段に追加的に設定し、前記放電バイアス設定手段は、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に前記放電バイアス電圧を前記放電電圧指令出力手段に追加的に設定することを特徴とする請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
客先電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路の出力側の直流ライン間に接続され、前記変換された直流電圧のリプルを平滑化する直流コンデンサと、この平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換し出力するインバータと、このインバータから出力される交流電圧を用いて駆動し乗りかごを昇降運転する巻上機と、予め定める運転パターンに従って前記インバータを制御するインバータ制御手段と、前記直流ライン間に充放電回路を介して接続され、回生運転時に前記巻上機を構成する電動機の発電する回生エネルギーを蓄電し、力行運転時に蓄電されたエネルギーを前記直流ライン間に放電する蓄電装置とを設けたエレベータ制御装置において、
前記直流ライン間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準となる第1の電圧基準値を設定する第1の基準電圧設定手段と、前記客先電源の変動に伴って前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準電圧値の変動分に相当する充電バイアス電圧が設定され、前記直流電圧の電圧基準値の変動時に前記直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に当該充電バイアス電圧を加算的に与えて出力させる充電バイアス設定手段と、前記客先電源の変動に伴って前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準電圧値の変動分に相当する放電バイアス電圧が設定され、前記直流電圧の電圧基準値の変動時に前記直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に前記放電バイアス電圧を減算的に与えて出力させる放電バイアス設定手段と、前記直流電圧の基準となる第2の電圧基準値を設定する第2の基準電圧設定手段と、この第2の基準電圧設定手段の電圧基準値と前記充電バイアス設定手段から加算的に与えて出力された電圧との加算電圧を取り込んで充電電圧指令値として出力する充電電圧指令出力手段と、前記第2の基準電圧設定手段の電圧基準値と前記放電バイアス設定手段から減算的に与えて出力された電圧との加算電圧を取り込んで放電電圧指令値として出力する放電電圧指令出力手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値を越えている場合に充電優先と判断し、当該直流電圧が越えた期間にわたって充電電流指令を出力する充電優先制御手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値よりも低下した場合に放電優先と判断し、当該直流電圧が低下している期間にわたって放電電流指令を出力する放電優先制御手段と、前記充電優先制御手段から出力される充電電流指令と前記蓄電装置への充電電流との電流偏差または前記放電優先制御手段から出力される放電電電流指令と前記蓄電装置からの放電電流との電流偏差に相当する電流指令値に基づいて前記充放電回路を充放電制御する充放電制御手段とを備えたことを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のエレベータ制御装置において、
前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記第1の基準電圧設定手段の電圧基準値との電圧偏差の出力ラインが2分岐され、その一方の出力ラインに設けられ、当該電圧偏差を所定の充電リミット電圧で制限した電圧偏差を出力するとともに、電圧異常信号を出力する充電リミット手段と、前記他方の出力ラインに設けられ、前記電圧偏差を所定の放電リミット電圧で制限した電圧偏差を出力するとともに、電圧異常信号を出力する放電リミット手段と、前記リミット手段から出力される電圧異常信号に基づいて所定の個所に異常を通知する電圧異常検出手段とを設けたことを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項7】
請求項1、請求項5及び請求項6の何れか一項に記載のエレベータ制御装置において、
前記電圧検出手段の出力側に接続され、当該電圧検出手段で検出される直流電圧に含む誤差要因となる高周波成分電圧をカットするフィルタ装置を設け、前記電圧検出手段による検出電圧誤差を制限することを特徴とするエレベータ制御装置。
【請求項8】
請求項1、請求項5及び請求項6の何れか一項に記載のエレベータ制御装置において、
前記電圧検出手段の出力側に接続され、当該電圧検出手段で検出される直流電圧を複数回取り込み、加算平均値を求めて出力する加算平均装置を設け、前記電圧検出手段による検出電圧誤差を制限することを特徴とするエレベータ制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの回生運転時の回生エネルギーを蓄電装置に蓄電し、この蓄電エネルギーを有効に利用するエレベータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は従来のエレベータ制御装置を示す構成図である。同図において、101は三相交流電源である客先電源、102は整流回路、103は直流コンデンサ、104は順逆変換可能なインバータである。これらの構成要素102〜104は電力変換装置を構成する。105は必要に応じて回生エネルギーを熱消費するスイッチング素子と抵抗からなる回生抵抗装置である。106は電動機であって、当該電動機106の回転軸にはメインシーブ107が取り付けられている。メインシーブ107にはメインロープ108が掛け渡されている。メインロープ108の一端部には乗りかご109が吊り下げられ、またメインロープ108の他端部にはカウンタウエイト110が吊り下げられている。
【0003】
また、エレベータ制御装置は、電力変換装置の直流ラインP,N間に複数の自己消弧可能なスイッチング素子111a,111bをシリアル接続した充放電回路111が接続されている。さらに、充放電回路111には、シリアル接続された直流リアクトル112と蓄電装置113が接続されている。
【0004】
114は蓄電装置113への充放電電流を検出する電流検出装置、115は直流ラインP,N間の直流電圧を検出する電圧検出装置である。電圧検出装置115の出力側にはそれぞれ偏差演算機能を持った充電判断部116及び放電判断部117が接続されている。充電判断部116は、電圧検出装置115で検出される直流ラインP,N間の直流電圧が充電電圧指令出力部118の充電電圧指令値を越えたとき、充電用スイッチ119をオンし、直流電圧と充電電圧指令値との電圧偏差を出力する。放電判断部117は、電圧検出装置115で検出される直流ラインP,N間の直流電圧が放電電圧指令出力部120の放電電圧指令値よりも低下したとき、放電用スイッチ121をオンし、直流電圧と放電電圧指令値との電圧偏差を出力する。122及び123はそれぞれ電圧偏差に応じた正の充電電流指令及び負の放電電流指令に変換して出力する充電電圧制御部及び放電電圧制御部である。124は電流指令値を出力する偏差演算要素である。偏差演算要素124は、電流検出装置114で検出される電流と充電電圧制御部122または放電電圧制御部123から出力される正の充電電流指令または負の放電電流指令との電流偏差を電流指令値として出力する機能を持っている。125は電流指令値に基づき、充放電回路111の充電制御及び放電制御を実行する充放電電流制御部である。
【0005】
ところで、以上のようなエレベータ制御装置は、予め定める運転パターンに従って電動機106、ひいてはエレベータの回生運転及び力行運転を実施している。この電動機106の回生運転時には充電電圧制御部122から出力される充電電流指令に基づき、充放電電流制御部125が充放電回路111を充電制御する。これにより、電動機106で発電する回生エネルギーを蓄電装置113に蓄電する。また、電動機106の力行運転時には放電電圧制御部123から出力される放電電流指令に基づき、充放電電流制御部125が充放電回路112を放電制御し、蓄電装置113に蓄電されている蓄電エネルギーを直流ラインP,N間に放電することにより、電力の再利用を図っている。また、蓄電装置113に蓄電された電力は、客先電源1の停電時にはバックアップ電源として使用する。
【0006】
図11は図10に示すエレベータ制御装置の動作波形図である。同図(a)は直流ラインP,N間の直流電圧正常時の動作波形図、同図(b)は客先電源101の電源変動に伴う直流ラインP,N間の直流電圧変動時の動作波形図である。客先電源101の電源変動は、客先電源101に接続される多数の負荷状況による容量変化や季節変化によって生じるものである。同図において、電圧基準値Vrefとは、直流ラインP,N間の直流電圧例えば270(V)〜290(V)の範囲から定められる一定の電圧値を意味する。今、客先電源101が200(V)である場合、当該客先電源電圧200(V)を整流回路102で整流したとき、200(V)×1.35倍=270(V)の直流電圧の電圧検出波形S2となる。さらに、整流回路102から出力される直流電圧のリプル除去による直流電圧の保持と客先電源101の電圧変動とを考慮すると、直流コンデンサ103には270(V)〜290(V)の直流電圧が蓄積される。すなわち、直流ラインP,N間の直流電圧の検出電圧波形S2は、ほぼ一定の電圧値として現れるが、エレベータの運転パターンS1による上昇運転と下降運転とを時間的に圧縮して繋いでいるので、正弦波状の電圧検出波形S2となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、以上のようなエレベータ制御装置では、運転パターンS1によるエレベータの上昇運転時及び下降運転時、電圧検出装置115で検出される直流ラインP,N間の電圧検出波形S2の変化を利用し、充放電電流制御部125が充放電回路112の充放電制御を実施している。
【0008】
ところで、直流ラインP,N間の直流電圧が図11(a)に示すように正常な電圧状態にある場合、予め定められる直流電圧の電圧基準値Vref及び充電電圧指令出力部118の充電電圧指令値の偏差Vdeと、電圧基準値Vref及び放電電圧指令出力部120の放電電圧指令値の偏差Vdeとはほぼ同じ大きさとすることができる。その結果、充電判断部116と放電判断部117とからほぼ等しい充電時間及び放電時間をもって充電用スイッチ119及び放電用スイッチ121をオンすることが可能となる。その結果、充電電圧制御部122から変換出力される充電電流指令Icrefと放電電圧制御部123から変換出力される放電電流指令Idrefは正負対象となる。
【0009】
しかし、前述したように客先電源101が容量の変化や季節変化によって変動し、図11(b)に示すように直流電圧の電圧検出波形S2の電圧基準値が予め定めている電圧基準値Vrefよりも大きくなった場合、充電電圧指令出力部118の充電電圧指令値及び放電電圧指令出力部120の放電電圧指令値が一定値を保っているので、充電判断部116で充電優先と判断される充電時間と放電判断部117で放電優先と判断される放電時間とが極端に異なってくる。その結果、充電電圧制御部122と放電電圧制御部123から出力される充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefとが正負非対象となる。
【0010】
すなわち、直流ラインP,N間直流電圧の実電圧基準値が電圧基準値Vrefよりも高くなった場合、充電時電流指令Icrefが増加し、逆に放電時電流指令Idrefが低下する。よって、充電と放電との間に偏りが生じ、充放電のつりあいが取れなくなる。よって、蓄電装置113に対する充放電効率が悪くなり、蓄電装置113に蓄電される電力を有効に利用できない問題がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、客先電源の変動にも拘らず、充放電時の充電電流指令と放電電流指令との偏りをなくし、蓄電装置に蓄電される電力を有効に利用可能とするエレベータ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、客先電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路の出力側の直流ライン間に接続され、前記変換された直流電圧のリプルを平滑化する直流コンデンサと、この平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換し出力するインバータと、このインバータから出力される交流電圧を用いて駆動し乗りかごを昇降運転する巻上機と、予め定める運転パターンに従って前記インバータを制御するインバータ制御手段と、前記直流ライン間に充放電回路を介して接続され、回生運転時に前記巻上機を構成する電動機の発電する回生エネルギーを蓄電し、力行運転時に蓄電されたエネルギーを前記直流ライン間に放電する蓄電装置とを設けたエレベータ制御装置において、前記直流ライン間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、充電開始を決めるしきい値となる充電電圧指令値を出力する充電電圧指令出力手段と、放電開始を決めるしきい値となる放電電圧指令値を出力する放電電圧指令出力手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値を越えている場合に充電優先と判断し、当該直流電圧が越えた期間にわたって充電電流指令を出力する充電優先制御手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値よりも低下した場合に放電優先と判断し、当該直流電圧が低下している期間にわたって放電電流指令を出力する放電優先制御手段と、前記客先電源の変動に伴う前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に予め定めるバイアス電圧を前記電圧指令出力手段に追加的に設定し、正負の前記充電電流指令と前記放電電流指令とを偏りのない対象波形に生成するバイアス設定手段と、前記充電優先制御手段から出力される充電電流指令と前記蓄電装置への充電電流との電流偏差または前記放電優先制御手段から出力される放電電電流指令と前記蓄電装置からの放電電流との電流偏差に相当する電流指令値に基づいて前記充放電回路を充放電制御する充放電制御手段とを設けた構成である。
【0013】
この発明は以上のような構成とすることにより、客先電源の変動に伴い、電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値が変動した場合、予め定めるバイアス電圧を前記電圧指令出力手段に設定される充放電電圧指令値に、バイアス設定手段に設定されるバイアス電圧を追加的に設定する。そして、電圧検出手段で検出される直流電圧及び充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値の偏差と、電圧検出手段で検出される直流電圧及び放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値の偏差とを等しくする。これにより、充電優先制御手段から出力される充電電流指令と放電優先制御手段から出力される放電電流指令との偏りをなくし、蓄電装置に対する充放電効率を高めることにより、蓄電装置に蓄電される電力を有効に活用する。
【0014】
なお、前述した充電優先制御手段としては、前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値とを比較し、直流電圧が充電電圧指令値を越えている場合に充電と判断し、当該直流電圧と当該充電電圧指令値との電圧偏差を出力する充電判断手段と、この充電判断手段から出力される電圧偏差に応じた正の前記充電電流指令に変換し出力する充電電圧制御手段とを設けた構成とすることができる。
【0015】
これにより、電圧検出手段で検出されたP,N間直流電圧の電圧検出波形の電圧基準値が予め定める電圧基準値よりも大きくなっても、充電バイアス電圧分だけ充電電圧指令値が大きくなるので、電圧基準値の変動分の影響を相殺し、充電判断手段から直流電圧正常時に相当する充電優先の電圧偏差を出力できる。
【0016】
また、前述した放電優先制御手段としては、前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値とを比較し、直流電圧が放電電圧指令値よりも低下している場合に放電と判断し、当該直流電圧と当該放電電圧指令値との電圧偏差を出力する放電判断手段と、この放電判断手段から出力される電圧偏差に応じた負の前記充電電流指令に変換し出力する放電電圧制御手段とを設けた構成とすることができる。
【0017】
これにより、電圧検出手段で検出されたP,N間直流電圧の電圧検出波形の電圧基準値が予め定める電圧基準値よりも大きくなっても、放電バイアス電圧分だけ放電電圧指令値が大きくなるので、電圧基準値の変動分の影響を相殺し、放電判断手段から直流電圧正常時に相当する放電優先の電圧偏差を出力できる。
【0018】
(2) また、本発明は、客先電源の交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路の出力側の直流ライン間に接続され、前記変換された直流電圧のリプルを平滑化する直流コンデンサと、この平滑化された直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換し出力するインバータと、このインバータから出力される交流電圧を用いて駆動し乗りかごを昇降運転する巻上機と、予め定める運転パターンに従って前記インバータを制御するインバータ制御手段と、前記直流ライン間に充放電回路を介して接続され、回生運転時に前記巻上機を構成する電動機の発電する回生エネルギーを蓄電し、力行運転時に蓄電されたエネルギーを前記直流ライン間に放電する蓄電装置とを設けたエレベータ制御装置において、前記直流ライン間の直流電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準となる第1の電圧基準値を設定する第1の基準電圧設定手段と、前記客先電源の変動に伴って前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準電圧値の変動分に相当する充電バイアス電圧が設定され、直流電圧の基準電圧値の変動時に前記直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に前記充電バイアス電圧を加算的に与えて出力させる充電バイアス設定手段と、前記客先電源の変動に伴って前記電圧検出手段で検出される直流電圧の基準電圧値の変動分に相当する放電バイアス電圧が設定され、前記直流電圧の基準電圧値の変動時に前記直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に前記放電バイアス電圧を減算的に与えて出力させる放電バイアス設定手段と、前記直流電圧の基準となる第2の電圧基準値を設定する第2の基準電圧設定手段と、この第2の基準電圧設定手段の電圧基準値と前記充電バイアス設定手段から加算的に与えて出力された電圧との加算電圧を取り込んで充電電圧指令値として出力する充電電圧指令出力手段と、前記第2の基準電圧設定手段の電圧基準値と前記放電バイアス設定手段から減算的に与えて出力された電圧との加算電圧を取り込んで放電電圧指令値として出力する放電電圧指令出力手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値を越えている場合に充電優先と判断し、当該直流電圧が越えた期間にわたって充電電流指令を出力する充電優先制御手段と、前記電圧検出手段で検出される直流電圧が前記放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値よりも低下した場合に放電優先と判断し、当該直流電圧が低下している期間にわたって放電電流指令を出力する放電優先制御手段と、前記充電優先制御手段から出力される充電電流指令と前記蓄電装置への充電電流との電流偏差または前記放電優先制御手段から出力される放電電流指令と前記蓄電装置からの放電電流との電流偏差に相当する電流指令値に基づいて前記充放電回路を充放電制御する充放電制御手段とを設けたエレベータ制御装置である。
【0019】
この発明は以上のような構成とすることにより、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に当該直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に前記充電バイアス電圧を加算した後、さらにこの加算電圧に第2の基準電圧設定手段の電圧基準値を加算し、充電電圧指令出力手段の充電電圧指令値とすることにより、充電優先制御手段における電圧検出手段で検出される直流電圧と充電電圧指令値との差を明確にし、充電充電を的確に判断することが可能となる。
【0020】
また、前記電圧検出手段で検出される直流電圧の電圧基準値の変動時に当該直流電圧と前記第1の電圧基準値との電圧偏差に前記放電バイアス電圧を減算した後、さらにこの減算電圧に第2の基準電圧設定手段の電圧基準値を加算し、放電電圧指令出力手段の放電電圧指令値とすることにより、放電優先制御手段における電圧検出手段で検出される直流電圧と放電電圧指令値との差を明確にし、放電優先を的確に判断することが可能となる。
【0021】
また、直流電圧の電圧基準値の変動時に充電バイアス電圧、放電バイアス電圧を与えることにより、電圧検出手段で検出される直流電圧及び充電電圧指令出力手段から出力される充電電圧指令値の偏差と、電圧検出手段で検出される直流電圧及び放電電圧指令出力手段から出力される放電電圧指令値の偏差とを等しくできる。これにより、充電優先制御手段から出力される充電電流指令と放電優先制御手段から出力される放電電流指令との偏りをなくし、蓄電装置に対する充放電効率を高めることにより、蓄電装置に蓄電される電力を有効に活用できる。
【0022】
さらに、本発明に係るエレベータ制御装置は、前記(2)項の構成に新たに、前記電圧検出手段で検出される直流電圧と前記第1の基準電圧設定手段の基準電圧値との電圧偏差の出力ラインが2分岐され、その一方である充電出力ラインに設けられ、当該電圧偏差を所定の充電リミット電圧で制限した電圧偏差を出力するとともに、電圧異常信号を出力する充電リミット手段と、前記出力ラインの他方である放電出力ラインに設けられ、前記電圧偏差を所定の放電リミット電圧で制限してするとともに、電圧異常信号を出力する放電リミット手段と、前記リミット手段から出力される電圧異常信号に基づいて所定の個所に異常を通知する電圧異常検出手段とを設けた構成である。
【0023】
この発明は以上のような構成とすることにより、例えば電圧検出手段で検出される直流電圧が異常となった場合、リミット電圧で制限して充放電動作の保護を図り、さらに異常状態を通知することにより、早期の回復を可能とする。
【0024】
(3) さらに、本発明に係るエレベータ制御装置は、電圧検出手段で検出される直流電圧に含む誤差要因となる高周波成分電圧をカットするフィルタ装置または電圧検出手段で検出される直流電圧を複数回取り込み、加算平均値を求めて出力する加算平均装置を設けることにより、前記電圧検出手段による検出電圧誤差を制限し、充放電制御の安定性を確保するこが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、客先電源の変動にも拘らず、充放電時の充電電流指令と放電電流指令との偏りをなくすことができ、蓄電装置に蓄電される電力を有効に利用できるエレベータ制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係るエレベータ制御装置の第1の実施形態を示す構成図である。
図1において、1は三相交流電源である客先電源、2は客先電源1から供給される交流電力を直流電力に変換する整流回路、3は整流回路2で変換された直流電力のリプルを平滑化する直流コンデンサ、4は直流コンデンサ3に保持される直流電力を可変電圧可変周波数の交流電力に変換する順逆変換可能なインバータである。これら構成要素2〜4は電力変換装置を構成する。さらに、電力変換装置には、予め定める運転パターンに従ってインバータ4を制御するインバータ制御手段(図示せず、以下の各実施の形態においても同様である)が設けられている。5は必要に応じて回生エネルギーを熱消費するスイッチング素子と抵抗からなる回生抵抗装置である。
【0027】
6はインバータ4から出力される可変電圧可変周波数の交流電力の供給を受けて回転駆動する電動機であって、この電動機6の回転軸にはメインシーブ7が取り付けられている。メインシーブ7にはメインロープ8が掛け渡され、当該メインロープ8の一端部には乗りかご9が吊り下げられ、またメインロープ8の他端部にはカウンタウエイト10が吊り下げられている。
【0028】
前記電力変換装置の直流ラインP,N間には充放電回路11が接続されている。充放電回路11は、自己消弧可能な複数の充放電制御用スイッチング素子11a,11bがシリアルに接続されている。充放電制御用スイッチング素子11a,11bの共通接続部には直流ラインP,N間に現れる直流電力のリプルを平滑化する直流リアクトル12を介して蓄電装置13の正側電極が接続され、当該蓄電装置13の負側電極は直流ラインNに接続されている。蓄電装置13は、繰り返し充放電可能な機能を有する二次電池などが使用され、回生運転時に電動機6で発電された電力エネルギーを蓄電し、また力行運転時には蓄電装置13に蓄電された電力エネルギーを直流ラインP,N間に放電する。また、蓄電装置13は、客先電源1の停電時にはバックアップ電源として使用する。
【0029】
14は充放電回路11と蓄電装置13との間に流れる充放電電流を検出する電流検出装置、15は直流コンデンサ3の保持電圧ないし電力変換装置の直流ラインP,N間直流電圧(主回路直流電圧)を検出する電圧検出手段としての電圧検出装置である。この電圧検出装置15の出力側には、充電バイアス設定部(充電バイアス設定手段)16と、放電バイアス設定部(放電バイアス設定手段)17と、偏差演算機能を持った充電判断部(充電判断手段)18と、偏差演算機能を持った放電判断部(放電判断手段)19がそれぞれ接続されている。
【0030】
充電バイアス設定部16には、予め定めた直流電圧に対する電圧基準値及び客先電源1の電源変動に伴う直流ラインP,N間の過去の直流電圧変動分に相当する充電バイアス電圧が設定されている。充電バイアス設定部16は、電圧検出装置15で検出される直流電圧から得られる実基準電圧値が予め設定される電圧基準値よりも大きくなったとき、つまり直流電圧の基準電圧値が変動したとき、充電バイアス電圧を充電電圧指令出力部20に追加的に設定する機能をもっている。
【0031】
放電バイアス設定部17は、予め定めた直流電圧に対する電圧基準値及び客先電源1の電源変動に伴う直流ラインP,N間の過去の直流電圧変動分に相当する放電バイアス電圧が設定されている。放電バイアス設定部17は、電圧検出装置15で検出される直流電圧から得られる実基準電圧値が予め設定される電圧基準値よりも大きくなったとき、つまり直流電圧の基準電圧値が変動したとき、放電バイアス電圧を放電電圧指令出力部21に追加的に設定する機能をもっている。なお、充電バイアス設定部16及び放電バイアス設定部17は、充電及び放電別に設けたが、例えば1つのバイアス設定部から充放電バイアス電圧を充電電圧指令出力部20及び放電電圧指令出力部21に設定する構成であってもよい。
【0032】
充電電圧指令出力部20は、予め設定されている充電電圧指令値を充電判断部18に送出するが、充電バイアス設定部17から充電バイアス電圧が入力されたとき、充電電圧指令値+充電バイアス値からなる充電電圧指令値を充電判断部18に送出する。放電電圧指令出力部21は、予め設定されている放電電圧指令値を放電判断部19に送出するが、放電バイアス設定部18から放電バイアス電圧が入力されたとき、放電電圧指令値+放電バイアス値からなる放電電圧指令値を放電判断部19に送出する。
【0033】
充電判断部18は、電圧検出装置15で検出された直流電圧が充電電圧指令値を越えたとき、充電優先と判断し、充電用スイッチ22を閉とし、直流電圧と充電電圧指令値との電圧偏差を充電電圧制御部(充電電圧制御手段)23に送出する。この充電電圧制御部23は充電電圧偏差に基づいて電流変換して充電電流指令を出力する。
【0034】
前記放電判断部19は、電圧検出装置15で検出された直流電圧が放電電圧指令値よりも低下したとき、放電優先と判断し、放電用スイッチ24を閉とし、直流電圧と放電電圧指令値との電圧偏差を放電電圧制御部(放電電圧制御手段)25に送出する。この放電電圧制御部25は放電電圧偏差に基づいて電流変換して放電電流指令を出力する。これら充電判断部18及び充電電圧制御部23は充電優先制御手段を構成する。また、放電判断部19及び放電電圧制御部25は放電優先制御手段を構成する。以下の各実施の形態においても同様である。
【0035】
26は偏差演算要素である。偏差演算要素26は、電流検出装置14で検出される充電電流と充電電圧制御部23から出力される充電電流指令との偏差に応じた充電電流指令値を出力する。また、偏差演算要素26は、電流検出装置14で検出される放電電流と放電電圧制御部25から出力される放電電流指令との偏差に応じた放電電流指令値を出力する。
【0036】
27は偏差演算要素26の出力である充電電流指令値または放電電流指令値に応じて充電電流または放電電流となるように充放電回路11を充放電制御する充放電電流制御部(充放電電流制御手段)である。
【0037】
次に、以上のようなエレベータ制御装置の動作について図2を参照して説明する。
今、予め定める運転パターンS1に従ってエレベータを運転した場合、電圧検出装置15は、電力変換装置を構成する直流ラインP,N間から図2に示すような電圧検出波形S2の直流電圧を検出する。但し、この電圧検出波形S2は、運転パターンS1による上昇運転と下降運転とを時間的に圧縮して繋いでいることから、正弦波状の電圧検出波形S2となっている。
【0038】
ところで、客先電源1の電源変動が生じている場合、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧検出波形S2から明らかなように、直流電圧の実際の電圧基準値が予め定める電圧基準値Vrefよりも全体として増加した状態で変化している。つまり、客先電源1の電源変動に伴って直流電圧が変動した状態となっている。
【0039】
そこで、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧検出波形S2を、充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19にそれぞれ送出する。
【0040】
充電バイアス設定部16及び放電バイアス設定部17には、それぞれ電圧基準値Vrefの他、客先電源1の電源変動に伴う直流ラインP,N間の過去の直流電圧変動値に相当する充電バイアス値Vcb及び放電バイアス値Vdbが設定されている。
【0041】
ここで、充電バイアス設定部16は、直流電圧の電圧検出波形S2から実際の電圧基準値を求めた後、当該電圧基準値が予め定める電圧基準値Vrefを越えているとき、つまり実際の電圧基準値が常に電圧基準値Vrefよりも大きいとき、既に設定されている充電バイアス電圧Vcbを取り出し、充電電圧指令出力部20に追加的に加える。同様に、放電バイアス設定部17は、直流電圧の電圧検出波形S2から実際の電圧基準値を求めた後、当該電圧基準値が電圧基準値Vrefを越えているとき、つまり実際の電圧基準値が常に電圧基準値Vrefよりも大きいとき、既に設定されている放電バイアス値Vdbを取り出し、放電電圧指令出力部21に追加的に加える。その結果、客先電源1の電源変動に伴う直流ラインP,N間の直流電圧が変動した場合、充電電圧指令出力部20からバイアス付き充電電圧指令値Vcが充電判断部18に送られる。一方、放電電圧指令出力部21からバイアス付き放電電圧指令値Vdが放電判断部19に送られる。
【0042】
ここで、充電判断部18は、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧検出波形S2と充電電圧指令出力部20から出力されるバイアス付き充電電圧指令値Vcとを比較し、直流電圧の電圧検出波形S2が充電電圧指令値Vcを越えたとき、充電優先と判断し、充電用スイッチ22をオンする。すなわち、客先電源1の電源正常時と較べて、充電用スイッチ22のオン時間が短くなる。
【0043】
一方、放電判断部19は、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧検出波形S2と放電電圧指令出力部21から出力されるバイアス付き放電電圧指令値Vdとを比較し、直流電圧の電圧検出波形S1が放電電圧指令値Vdよりも下がったとき、放電優先と判断し、放電用スイッチ24をオンする。放電の場合には、客先電源1の電源正常時と較べて、放電用スイッチ24のオン時間が長くなる。よって、充電用スイッチ22のオン時間と放電用スイッチ24のオン時間とが等しくなる。
【0044】
そして、充電判断部18及び放電判断部19から図2に示すような電圧偏差Vdeが出力され、充電優先時の電圧偏差Vdeが充電電圧制御部23に供給され、また、放電優先時の電圧偏差Vdeが放電電圧制御部25に供給される。充電電圧制御部23は、充電優先時の電圧偏差Vdeに応じた充電電流指令Icrefに変換して偏差演算要素26に送出する。また、放電電圧制御部24は、放電優先時の電圧偏差Vdeに応じた放電電流指令Idrefに変換して偏差演算要素26に送出する。つまり、充電優先時の電圧偏差Vdeに応じた充電電流指令Icrefと放電優先時の電圧偏差Vdeに応じた放電電流指令Idrefとが正負対象となる。充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefとは偏りのない対称な波形となる。
【0045】
そして、充放電電流制御部27は、充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefとに応じた電流指令値Irefが例えば所定のしきい値を越えたタイミングをもって充電パルス及び放電パルスを作成し、充放電回路11を充放電制御する。
【0046】
以上のような実施の形態によれば、客先電源1の電圧変動に伴う直流ラインP,N間に現れる直流電圧の電圧検出波形S2の実電圧基準値の変動に対し、充電バイアス設定部16及び放電バイアス設定部17に設定される電圧基準値Vrefの変動に応じて充電バイアス電圧Vcb及び放電バイアス電圧Vdbを、充電電圧指令値出力部20及び放電電圧指令値出力部21に追加的に入力する。その結果、充電電圧指令値出力部20からは、電圧基準値Vrefの変動分に相当する電圧を増加させたバイアス付き充電電圧指令値Vcを充電判断部18に設定する。そして、充電判断部18は、充電電圧指令値よりもバイアス分だけ高い充電電圧指令値Vcと電圧検出装置15で検出された直流電圧とを比較し、充電優先を判断する。一方、放電判断部17は、電圧基準値の変動分に相当する電圧を増加させたバイアス付き放電電圧指令値Vcとを比較し、放電優先を判断する。その結果、充電判断部18及び放電判断部19は充電優先時間と放電優先時間とが等しい充電優先信号及び放電優先信号を取り出すことができる。
【0047】
よって、充電判断部18及び放電判断部19は、充電優先信号と放電優先信号に基づいてそれぞれ充電用スイッチ22及び放電用スイッチ24をオンすれば、直流電圧及びバイアス付き充電電圧指令値の電圧偏差Vdeと、直流電圧及びバイアス付き放電電圧指令値との電圧偏差Vdeを等しくすることができる。そして、充電電圧制御部23と放電電圧制御部25とでそれぞれ電圧偏差Vdeに応じた充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefに変換し出力すれば、偏りのない正負対称の充電電流指令Icref及び放電電流指令Idrefを取り出すことができる。
【0048】
これにより、蓄電装置13に対する充放電効率を高めることができ、蓄電装置13に蓄電される電力を有効に活用できる。
【0049】
(第2の実施の形態)
図3は本発明に係るエレベータ制御装置の第2の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
【0050】
この実施の形態は図1とほぼ同様な構成である。特に異なる部分は、電圧検出装置15の出力側にローパスフィルタなどのフィルタ装置31を設けたことにある。従って、図3は、フィルタ装置31を除けば、図1と全く同様な構成となっている。
【0051】
フィルタ装置31は、電圧検出装置15で検出される直流ラインP,N間の直流電圧に重畳される高周波成分の電圧をカットオフすることにより、インバータ4を含む本発明制御装置の設備機器から発生するノイズその他外来ノイズによって生じる誤差要因を除去する機能をもっている。すなわち、フィルタ装置31は、誤差要因となる高周波成分電圧をカットオフし、電圧検出装置15で検出される直流ラインP,N間に現れる直流電圧だけを通し、前述した充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19に送出する構成である。
【0052】
この実施の形態によれば、電圧検出装置15の出力側にフィルタ装置31を設け、直流ラインP,N間に現れる直流電圧に重畳される高周波成分電圧をカットオフして誤差の影響を除去するので、真に電圧基準値Vrefの変動分を伴った直流電圧だけを取り出すことができる。そして、変動分を伴った直流電圧に基づいて充電判断部18及び放電判断部19が変動分電圧に相当する充電バイアス値及び放電バイアス値をそれぞれ対応する充電電圧指令出力部20及び放電電圧指令出力部21に与えるので、直流ラインP,N間の直流電圧の電圧検出波形S2に高周波成分信号が重畳されていても、充電電圧制御部23及び放電電圧制御部25から均等な充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefを取り出すことができる。従って、この実施の形態におけるエレベータ制御装置においては、インバータ4を含む本発明制御装置の設備機器から発生するノイズによって生じる誤差要因をフィルタ装置31で除去することにより、充放電電流制御部27が充放電回路11を対して均等に充電制御及び放電制御を実施することができ、蓄電装置13に対する充放電効率を改善でき、蓄電装置13に蓄電される電力を有効に活用できる。
【0053】
(第3の実施の形態)
図4は本発明に係るエレベータ制御装置の第3の実施形態を示す構成図である。
この実施の形態は、電圧検出装置15の出力側に、フィルタ装置31に代えて、加算平均装置41を接続した構成である。加算平均装置41は、電圧検出装置15から出力される直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んで平均化演算を実施し、平均化した直流電圧を取り出す。そして、加算平均装置41は、平均化した直流電圧を前述した充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19に送出する。その他の構成は図1と全く同様の構成である。
【0054】
このようなエレベータ制御装置においては、加算平均装置41が電圧検出装置15で検出された直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んだ後、これらN個の直流電圧を加算する。そして、加算平均装置41は、N個の直流電圧の加算電圧をNで除算することにより、平均化した直流電圧を取り出す。具体的に説明すると、加算平均装置41は、図5に示すようにエレベータの停止中に電圧検出装置15で検出された直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んだ後、次の演算式によって加算平均値VdAVEを求める。今、電圧検出装置15から取り込んだ直流電圧をVd(1)、…、Vd(N)とすると、加算平均値VdAVEは、
VdAVE={Vd(1)+Vd(2)+…、Vd(N)}/N
となる。
【0055】
そして、上式に基づいて求めた加算平均値VdAVEは、充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19に送出する。充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19の動作は前述した通りである。
【0056】
このような実施の形態によれば、加算平均装置41の出力である加算平均値VdAVEを直流ラインP,N間に現れる直流電圧とするので、電圧検出装置15が検出する個別的な直流電圧に誤差を含んでいる場合でも、直流電圧に含む検出誤差分がトータル的に制限された状態の直流電圧として取り出し、充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17、充電判断部18及び放電判断部19に送出できる。その結果、検出誤差分を制限することにより、充電バイアス設定部16及び放電バイアス設定部17は、電圧基準値Vrefに対する直流電圧の電圧基準値の変動分を正確に検出し、変動分電圧に相当する充電バイアス値及び放電バイアス値をそれぞれ対応する充電電圧指令出力部20及び放電電圧指令出力部21に加算的に与えることができる。よって、充電電圧制御部23及び放電電圧制御部25から偏りのない正負対称な充電電流指令Icref及び放電電流指令Idrefを取り出すことができる。そして、本制御装置においては、均等な充電電流指令Icref及び放電電流指令Idrefを用いて、充放電電流制御部27が充放電回路11を充放電制御を行うことにより、従来と比較して充放電効率を上げることができ、蓄電装置13に蓄電される電力を有効に活用できる。
【0057】
(第4の実施の形態)
図6は本発明に係るエレベータ制御装置の第4の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この実施の形態の異なる部分は、電圧検出装置15の出力側には、電圧検出装置15で検出される直流電圧と第1の基準電圧設定部(第1の基準電圧設定手段)61aに設定される電圧基準値Vrefとの電圧偏差を取り出す偏差演算要素60で接続されている。従って、偏差演算要素60は、客先電源1が電圧変動の伴わない通常時、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧基準値と第1の基準電圧設定部61aの電圧電圧値とが等しいので、零の電圧偏差を出力することになる。このことは、偏差演算要素60は、電圧検出装置15で検出される直流電圧の電圧基準値が変動したとき、変動分に相当する電圧偏差を取り出すことが可能となる。
【0058】
また、偏差演算要素60の出力端が2つに分岐され、それぞれの分岐ラインには偏差演算要素62,63が接続されている。各偏差演算要素62,63には、対応する充電バイアス設定部16、放電バイアス設定部17が接続されている。充電バイアス設定部16は、予め定めた直流電圧に対する電圧基準値及び客先電源1の電源変動に伴う直流ラインP,N間の過去の直流電圧変動分に相当する充電バイアス電圧が設定されている。充電バイアス設定部16は、電圧検出装置15で検出される直流電圧から得られる実基準電圧値が予め設定される電圧基準値よりも大きくなったとき、つまり直流電圧の基準電圧値が変動したとき、偏差演算要素62に充電バイアス電圧を印加する機能をもっている。放電バイアス設定部17は、充電バイアス設定部16と同様な機能を有し、直流電圧の基準電圧値が変動したとき、偏差演算要素63に放電バイアス電圧を印加する機能をもっている。
【0059】
さらに、各偏差演算要素62,63の出力側には、それぞれ個別的に加算演算要素64,65が接続され、これら加算演算要素64,65にはそれぞれ第2の基準電圧設定部61bに設定される電圧基準値Vrefが印加されている。そして、加算演算要素64の出力側には充電電圧指令出力部20、加算演算要素65の出力側には放電電圧指令出力部21が接続されている。
【0060】
このようなエレベータ制御装置では、充電電圧指令出力部20は、電圧検出装置15の直流電圧と基準電圧設定部61aの電圧基準値との差分電圧に充電バイアス設定部16の充電バイアス電圧を加算し、この加算電圧に第2の基準電圧設定部61bの電圧基準値を加算し、充電電圧指令出力部20の充電電圧指令値Vcとすることにより、電圧基準値Vrefと充電電圧指令値Vcとの差を明確にし、偏差演算機能を持つ充電判断部18に供給する。
【0061】
一方、放電電圧指令出力部21は、電圧検出装置15の直流電圧と基準電圧設定部61aの電圧基準値との差分電圧から放電バイアス設定部17の放電バイアス電圧を減算し、この減算電圧に第2の基準電圧設定部61bの電圧基準値を加算し、放電電圧指令出力部21の放電電圧指令値Vdとすることにより、基準圧値Vrefと放電電圧指令値Vdとの差を明確にし、偏差演算機能を持つ放電判断部19に供給する。
【0062】
充電判断部18は、電圧検出装置15により検出された直流電圧と充電電圧指令出力部20の充電電圧指令値Vcとを比較し、電圧検出装置15の直流電圧が充電電圧指令値Vcよりも大きくなったとき、充電優先と判断する。そして、充電判断部18は、充電優先と判断した場合、充電用スイッチ22をオンし、電圧基準値Vrefと充電電圧指令値Vcとの電圧偏差Vdeを充電電圧制御部23に供給する。
【0063】
放電判断部19は、電圧検出装置15により検出された直流電圧と放電電圧指令出力部21の放電電圧指令値Vdとを比較し、電圧検出装置15の直流電圧が放電電圧指令値Vdよりも小さくなったとき、放電優先と判断する。そして、放電判断部19は、放電優先と判断した場合、放電用スイッチ24をオンし、電圧基準値Vrefと放電電圧指令値Vdとの電圧偏差Vdeを放電電圧制御部25に供給する。
【0064】
その結果、電圧基準値Vrefと充放電電圧指令値Vc,Vdとの差を明確にすることにより、充電判断部18及び放電判断部19が充電優先及び放電優先を確実に判断することができるだけでなく、変動分を伴った直流電圧であっても、充電バイアス電圧及び放電バイアス電圧を与えることにより、等しい充電優先時間と放電優先時間を生成することができる。よって、充電電圧制御部23と放電電圧制御部25とから偏りのない正負均等な充電電流指令Icrefと放電電流指令Idrefとを取り出すことができる。
【0065】
この実施の形態によれば、電圧検出装置15で検出された直流電圧が第1の基準電圧設定部61aの電圧基準値より大きくなったとき、電圧基準値Vrefに対する充電電圧指令出力部20の充電電圧指令値との差を明確にした状態で取り出すことができる。また、電圧基準値Vrefに対する放電電圧指令出力部21の放電電圧指令値との差を明確にした状態で取り出すことができる。しかも、直流電圧の電圧基準値の変動時、電圧基準値のずれ相当分だけバイアス電圧を与えて充電電圧指令値及び放電電圧指令値を変更することにより、充電判断部18及び放電判断部19は、正確に充電優先及び放電優先を判断できる。そして、充電判断部18及び放電判断部19は、等しい充電優先時間と放電優先時間を生成することができる。よって、充電電圧制御部23及び放電電圧制御部25から偏りのない正負対称な充電電流指令Icref及び放電電流指令Idrefとを取り出すことができる。
【0066】
よって、本制御装置では、均等な充電時電流指令Icref及び放電時電流指令Idrefを用いて、充放電電流制御部27が充放電回路10を充放電制御することにより、充放電効率を上げることができ、蓄電装置13に蓄電される電力を有効に活用できる。
【0067】
(第5の実施の形態)
図7は本発明に係るエレベータ制御装置の第5の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図6と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この実施の形態においては、図6に示す偏差演算要素60と偏差演算要素62及び63とを結ぶ各分岐ラインに個別に充電リミット部(充電リミット手段)71、放電リミット部(放電リミット手段)72を介挿した構成である。充電リミット部71は、電圧検出装置15で検出される直流電圧と第1の基準電圧設定部61aの電圧基準値との差電圧が充電電圧指令出力部20の充電電圧指令値に異常を与えるに相当する大きな値となった場合、予め定める充電リミット電圧で制限し、異常な充電電圧指令値とならないように保護する機能をもっている。
【0068】
放電リミット部72は、電圧検出装置15で検出される直流電圧と第1の基準電圧設定部61aの電圧基準値との差電圧が放電電圧指令出力部21の放電電圧指令値に異常を与えるに相当する大きな値となった場合、予め定める放電リミット電圧で制限し、異常な放電電圧指令値とならないように保護する機能をもっている。
【0069】
この充電リミット部71及び放電リミット部72の出力側には電圧異常検出部(電圧異常検出手段)73が接続されている。電圧異常検出部73は、充電リミット部71または放電リミット部72から直流電圧と電圧基準値の差電圧が充電リミット電圧または放電リミット電圧を越えたことを表す電圧異常信号を受けた場合、管理室またはサービスセンタ(図示せず)の監視盤やエレベータの制御盤(図示せず)に電圧異常状態を発報し、必要に応じてエレベータの運転を停止させるとか、早期の保守点検を促す。
【0070】
なお、その他の構成については、図6と同様であるので、ここでは省略する。
【0071】
以上のようなエレベータ制御装置においては、偏差演算要素60の出力側に充電リミット部71及び放電リミット部72を設けることにより、電圧検出装置15で検出される直流電圧と第1の基準電圧設定部61aの電圧基準値との差電圧が上下限値として設定される充電リミット部71及び放電リミット部72の充電リミット電圧または放電リミット電圧を越えたとき、これら充電リミット電圧または放電リミット電圧で制限された電圧を差電圧として出力し、偏差演算要素62,63を経由して最終的に充電電圧指令出力部20及び放電電圧指令出力部21に与えることができる。これにより、異常な充電電圧指令値及び放電電圧指令値とならないようにすることにより、充放電動作を保護することができる。
【0072】
従って、このような実施の形態によれば、何らかの原因によって直流ラインP,N間の直流電圧が大きくなり、また電圧検出装置15自体の異常によって直流電圧が大きくなった場合、当該直流電圧と第1の基準電圧設定部61aの電圧基準値との差電圧が大きくなる。このとき、差電圧が充電リミット部71の充電リミット電圧または放電リミット部72のは放電リミット電圧を越えた場合でも、これら充電リミット電圧または放電リミット電圧で制限するので、充電電圧指令値、放電電圧指令値に異常を与えることを回避できる。その結果、充電判断部18及び放電判断部19における充電優先、放電優先の判断に影響を与えることがなくなる。よって、充電電圧制御部23及び放電電圧制御部25から偏りの少ない正負の充電電流指令Icref及び放電電流指令Idrefとを取り出すことができる。
【0073】
また、充電リミット部71及び放電リミット部72は、差電圧が充電リミット電圧または放電リミット電圧を越えたことを表す電圧異常信号を電圧異常検出部73に送信するので、電圧異常検出部73から管理室またはサービスセンタ、制御盤等に直流電圧などの異常状態を速やかに発報できる。
【0074】
(第6の実施の形態)
図8は本発明に係るエレベータ制御装置の第6の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図7と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この実施の形態は、電圧検出装置15の出力側にローパスフィルタなどのフィルタ装置31を設けた構成である。従って、図8は、フィルタ装置31を除けば、図7と全く同様の構成である。
【0075】
フィルタ装置31は、電圧検出装置15で検出される直流ラインP,N間の直流電圧に重畳される高周波成分の電圧をカットオフすることにより、インバータ4を含む本発明制御装置の設備機器から発生するノイズその他外来ノイズによって生じる誤差要因を除去する機能をもっている。すなわち、フィルタ装置31は、誤差要因となる高周波成分電圧をカットオフし、電圧検出装置15で検出される直流ラインP,N間に現れる直流電圧だけを通し、前述した偏差演算要素60、充電判断部18及び放電判断部19に送出する構成である。
【0076】
この実施の形態によれば、電圧検出装置15の出力側にフィルタ装置31を設け、直流ラインP,N間に現れる直流電圧に重畳される高周波成分電圧をカットオフして誤差の影響を除去するので、電圧検出装置15による検出誤差を制限できる。また、偏差演算要素60の出力側に充電リミット部71及び放電リミット部72を設けたので、前述したように電圧検出装置15による検出誤差を制限するだけでなく、充電リミット電圧または放電リミット電圧で制限するので、充電電圧指令値、放電電圧指令値に影響を与えることが少なくなる。
【0077】
さらに、偏差演算要素60の差電圧が充電リミット電圧または放電リミット電圧を越えたとき、充電リミット部71または放電リミット部72から充電リミット電圧または放電リミット電圧を越えたことを表す電圧異常信号を電圧異常検出部73に送信するので、電圧異常検出部73から電圧異常信号を外部に出力でき、エレベータの運転を停止させるとか、早期の保守点検を促すことができる。
【0078】
(第7の実施の形態)
図9は本発明に係るエレベータ制御装置の第6の実施形態を示す構成図である。なお、同図において、図7と同一部分には同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この実施の形態は、電圧検出装置15の出力側に、フィルタ装置31に代えて、加算平均装置41を接続した構成である。加算平均装置41は、電圧検出装置15から出力する直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んで平均化演算を実施し、直流ラインP,N間に現れる複数個の平均化した直流電圧を取り出す。そして、加算平均装置41は、加算平均化された直流電圧を前述した偏差演算要素60、充電判断部18及び放電判断部19に送出する。その他の構成は図7と全く同様の構成である。
【0079】
このようなエレベータ制御装置では、加算平均装置32が電圧検出装置15で検出された直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んだ後、これらN個の直流電圧を加算する。そして、加算平均装置41は、N個の直流電圧の加算電圧をNで除算することにより、平均化した直流電圧を取得する。具体的に説明すると、加算平均装置41は、図5に示すようにエレベータの停止中に電圧検出装置15で検出された直流ラインP,N間のN個の直流電圧を取り込んだ後、次の演算式によって加算平均値VdAVEを求める。すなわち、取り込んだ直流電圧をVd(1)、…、Vd(N)とすると、加算平均値VdAVEは、
VdAVE={Vd(1)+Vd(2)+…、Vd(N)}/N
となる。
【0080】
そして、以上のようにして求めた加算平均値VdAVEは、電圧検出装置15で検出された直流電圧とし、偏差演算要素60、充電判断部18及び放電判断部19に送出する。偏差演算要素60、充電判断部18及び放電判断部19の動作は前述した通りである。
【0081】
この実施の形態によれば、加算平均装置41の出力である加算平均値VdAVEを直流ラインP,N間に現れる直流電圧とするので、電圧検出装置15が検出する個別的な直流電圧に誤差を含んでいる場合でも、電圧検出装置15で検出される直流電圧に含む検出誤差分がトータル的に制限された状態の直流電圧として取り出し、偏差演算要素60、充電判断部18及び放電判断部19に送出できる。
【0082】
また、偏差演算要素60の出力側に充電リミット部71及び放電リミット部72を設けたので、前述したように電圧検出装置15による検出誤差を制限するだけでなく、充電リミット値または放電リミット値で制限するので、充電電圧指令値、放電電圧指令値に影響を与えることが少なくなる。
【0083】
さらに、偏差演算要素60の差電圧が充電リミット値または放電リミット値を越えたとき、充電リミット部71または放電リミット部72から充電リミット値または放電リミット値を越えたことを表す信号を電圧異常検出部73に送信するので、電圧異常検出部73から電圧異常検出信号を外部に出力でき、エレベータの運転を停止させるとか、早期の保守点検を促すことができる。
【0084】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば充電バイアス設定部16及び放電バイアス設定部17は、予め定める電圧基準値に対する過去の直流電圧の電圧基準値の変動分を充電バイアス電圧及び放電バイアス電圧として設定したが、これら充電バイアス電圧及び放電バイアス電圧には例えば予め定める電圧基準値と直流電圧の実際の電圧基準値との差の電圧を充放電バイアス値として出力する技術的手段も含むものである。
【0085】
また、各実施の形態は組み合わせて実施することが可能であり、その場合には組み合わせによる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るエレベータ制御装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】図1に示すエレベータ制御装置の各構成要素の出力波形図。
【図3】本発明に係るエレベータ制御装置の第2の実施形態を示す構成図。
【図4】本発明に係るエレベータ制御装置の第3の実施形態を示す構成図。
【図5】図4に示す加算平均装置の処理動作を説明する図。
【図6】本発明に係るエレベータ制御装置の第4の実施形態を示す構成図。
【図7】本発明に係るエレベータ制御装置の第5の実施形態を示す構成図。
【図8】本発明に係るエレベータ制御装置の第6の実施形態を示す構成図。
【図9】本発明に係るエレベータ制御装置の第7の実施形態を示す構成図。
【図10】従来のエレベータ制御装置を示す構成図。
【図11】客先電源の通常時と変動時における従来のエレベータ制御装置の各構成要素の出力波形図。
【符号の説明】
【0087】
1…客先電源、2…整流回路、3…直流コンデンサ、4…インバータ、6…電動機、7…メインシーブ、9…乗りかご、10…カウンタウエイト、11…充放電回路、13…蓄電装置、14…電流検出装置、15…電圧検出装置、16…充電バイアス設定部、17…放電バイアス設定部、18…充電判断部、19…放電判断部、20…充電電圧指令出力部、21…放電電圧指令出力部、22…充電用スイッチ、23…充電電圧制御部、24…放電用スイッチ、25…放電電圧制御部、26…偏差演算要素、27…電流制御部、31…フィルタ装置、41…加算平均装置、60,62〜65…偏差演算要素、61a,61b…基準電圧設定部、71…充電リミット部、72…放電リミット部、73…電圧異常検出部。




 

 


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