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発明の名称 エレベータのドア制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84189(P2007−84189A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−272346(P2005−272346)
出願日 平成17年9月20日(2005.9.20)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 渡辺 尚央
要約 課題
エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、電動機を高精度に速度制御してかごドアを開閉動作するエレベータのドア制御装置を提供する。

解決手段
電動機4の速度を推定するための速度推定部15が設けられる。速度推定部15は、電動機4の電圧値Vfbと電流値Ifb、さらに、電動機定数設定部16によって設定される回路定数情報に基づいて電動機4の速度を推定する。上記回路定数情報は、電動機4の回路特性を示す情報であって、抵抗値R、インダクタンス値L、誘起電圧定数Kを含む。この推定速度Nestは、積分演算器17および差分器D3に与えられる。このような構成により、エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、電動機を高精度に速度制御してかごドアを開閉動作することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
かごドアを駆動するための電動機と、
この電動機の電圧と電流、さらに、上記電動機の回路特性を示す回路定数情報に基づいて上記電動機の速度を推定する速度推定手段と、
この速度推定手段によって推定された速度を積分して上記かごドアの移動距離を算出する移動距離算出手段と、
この移動距離算出手段によって算出された上記かごドアの移動距離に応じて速度指令を設定する速度指令設定手段と、
この速度指令設定手段によって設定された速度指令と上記推定速度とに基づいて上記電動機の速度制御を行う速度制御手段と
を具備したことを特徴とするエレベータのドア制御装置。
【請求項2】
上記回路定数情報は、上記電動機の抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧定数を含むことを特徴する請求項1記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項3】
上記かごドアの全開位置を検出する第1の位置検出手段と、
上記かごドアの全閉位置を検出する第2の位置検出手段と、
上記第1の位置検出手段によって検出された全開位置または上記第2の位置検出手段によって検出された全閉位置で上記電動機の電流値または電圧値を強制的に変化させる強制変化手段と、
この強制変化手段による電流値の変化量に対する電圧値の変化量または電圧値の変化量に対する電流値の変化量に基づいて、上記電動機の抵抗値とインダクタンス値を補正する補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項2記載のエレベータのドア制御装置。
【請求項4】
上記かごドアが所定の区間を移動中であることを検出する位置検出手段と、
上記位置検出手段によって検出された上記所定の区間での上記かごドアの移動速度を算出するドア速度算出手段と、
このドア速度算出手段によって得られた上記かごドアの移動速度と上記電動機の推定速度とを比較して上記電動機の誘起電圧定数を補正する補正手段と
を具備したことを特徴とする請求項2記載のエレベータのドア制御装置
【請求項5】
上記かごドアが全開または全閉する手前の減速位置にきたことを検出する位置検出手段と、
この位置検出手段によって検出される上記減速位置での上記かごドアの速度を算出するドア速度算出手段と、
このドア速度算出手段によって得られた上記かごドアの速度と予め設定された異常速度とを比較して速度異常を検出する速度異常検出手段と
を具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータのドア制御装置
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごドアを開閉制御するためのドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エレベータのかごドアの駆動には電動機が用いられており、速度検出器を通じて電動機の回転速度を検出することにより、かごドアを所定の速度で開閉動作させている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このような速度制御方式では、電動機の回転速度を検出するためにエンコーダ等の速度検出器を設置する必要がある。このため、例えばエレベータ設備をリニューアルした場合に、電動機に速度検出器を取り付ける作業が必要となるなどの問題がある。そこで、回転速度検出器を必要としない電圧制御方式が用いられることが多い。
【0004】
図10は従来のエレベータのドア制御装置の構成を示す図であり、電圧制御方式を用いた場合の構成が示されている。
【0005】
一対のかごドア1a,1bは、ベルト2を介して中央中開で左右方向に開閉自在に支持されており、電動機4の駆動により開閉動作する。この電動機4の電圧フィードバック制御を行うため、電力変換器9の出力部には電圧検出器11が設けられ、また、電流フィードバック制御を行うため、電流検出器10が設けられている。
【0006】
電圧指令設定部30には、全閉スイッチ5、全開スイッチ6、第1スイッチ7a、第2スイッチ7b、第3スイッチ7cの動作信号が入力される。
【0007】
全閉スイッチ5はかごドア1a,1bが全閉状態(完全に閉まった状態)のときにオン動作し、全開スイッチ6はかごドア1a,1bが全開状態(完全に開いた状態)のときにオン動作する。また、第1スイッチ7a、第2スイッチ7b、第3スイッチ7cは、図11に示すように、かごドア1a,1bの移動と共に、それぞれに所定のタイミングでオン/オフ動作するスイッチであり、かごドア1a,1bの開閉パターンを作成するために使用する。
【0008】
電圧指令設定部30は、これらのスイッチの動作状態に基づいて電圧指令Vrefを生成する。電圧制御器31は、差分器D1から出力される電圧指令Vrefと電圧値Vfbとの差分値に基づいて、電流指令Irefを生成する。電流制御器14は、差分器D2から出力される電流指令Irefと電流値Ifbとの差分値に基づいて、電力変換器9に対する電圧指令Vconを生成する。電力変換器9は、この電圧指令Vconに従って電動機4に対して所要の電圧を印加する。
【0009】
なお、電圧指令を電流指令に変えて電流制御を行うのは、電動機4の応答特性を良くするためである。つまり、電圧制御だけでも電動機4を駆動できるが、電流制御も同時に行っていないと、電動機4を逆転する場合に応答特性が悪くなるためである。
【0010】
図11は従来方式の電圧指令パターンを示す図である。図11(a)は戸開時の電圧指令Vrefのパターン、同図(b)は戸閉時の電圧指令Vrefのパターンを示している。また、同図(c)〜(e)はスイッチ7a〜7cのオン/オフのタイミングを示している。
【0011】
かごドア1a,1bを開くときは、所定のジャーク、加速度、一定速度によって電圧パターンが決まり、減速時には第2スイッチ7b、第3スイッチ7cのタイミングにより2段階で減速する。つまり、スイッチ7a〜7cは、かごドア1a,1bの開く方向の移動に伴って順に所定の重複期間を持ってオンするように配置されている。したがって、図11(d),(e)に示すように、第2スイッチ7bがオン状態で、第3スイッチ7cがオンしたときのタイミングで1回目の減速を行い、続いて、第2スイッチ7bがオフしたときのタイミングで2回目の減速を行う。
【0012】
同様に、かごドア1a,1bを閉めるときには、所定のジャーク、加速度、一定速度によって電圧パターンが決まり、図11(c),(d)に示すように、減速時には第1スイッチ7a、第2スイッチ7bのタイミングにより2段階で減速する。
【0013】
なお、ジャークとは、加速の前段階のことである。また、図11(a),(b)に示すように、かごドア1a、1bの全開時と全閉時ともに、ドアロックのために所定の電圧が印加された状態にある。
【特許文献1】特開平2−286588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した電圧制御方式は、スイッチのタイミングで電動機の電圧を制御するため、その電圧パターンの調整が難しく、その調整作業に時間がかかる。また、例えばかごドアの摩擦やドア重量が変化した場合に、電圧制御方式では開閉動作が均一でなくなるなどの問題もある。また、作業者によって調整値の差異により、複数のドアで開閉時間が一定にならない場合も起こり得る。
【0015】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、電動機を高精度に速度制御してかごドアを開閉動作するエレベータのドア制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るエレベータのドア制御装置は、かごドアを駆動するための電動機と、この電動機の電圧と電流、さらに、上記電動機の回路特性を示す回路定数情報に基づいて上記電動機の速度を推定する速度推定手段と、この速度推定手段によって推定された速度を積分して上記かごドアの移動距離を算出する移動距離算出手段と、この移動距離算出手段によって算出された上記かごドアの移動距離に応じて速度指令を設定する速度指令設定手段と、この速度指令設定手段によって設定された速度指令と上記推定速度とに基づいて上記電動機の速度制御を行う速度制御手段とを具備して構成される。
【0017】
このような構成によれば、電動機の電圧と電流、さらに、電動機の回路特性を示す回路定数情報に基づいて電動機の速度が推定される。したがって、エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、電動機を高精度に速度制御してかごドアを開閉動作することができる。
【0018】
また、上記回路定数情報としては、電動機の抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧定数が含まれる。このような回路定数情報を用いて電動機の速度を推定することで、電圧と電流だけで推定するよりも正確な速度を算出することができ、より高精度な速度制御を実現できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電動機の電圧と電流の他に、電動機の回路特性を示す回路定数情報を用いて電動機の速度を推定する構成としたことにより、エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、電動機を高精度に速度制御してかごドアを開閉動作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明のエレベータのかごドア制御装置に用いられるかごドアの構成について説明する。
【0022】
図1はそのかごドアの構成を示す図であり、2枚のドアパネルを有する左右中開きタイプのかごドアの構成が示されている。
【0023】
一対のかごドア(ドアパネル)1a,1bは、ベルト2を介して中央中開で左右方向に開閉自在に支持されている。ベルト2は、一対のプーリ3a,3bに巻き掛けられており、一方のプーリ3bの軸に電動機4が連結されている。かごドア1a,1bは、それぞれベルト2の上側、下側に結合され、電動機4の回転方向に応じて、ドア開方向またはドア閉方向に移動する。
【0024】
また、このかごドア1a,1bの移動に伴い、オン/オフ動作する全閉スイッチ5と全開スイッチ6、スイッチ7a〜7cが設けられている。全閉スイッチ5は、かごドア1a,1bが全閉状態のときにオン動作するスイッチである。全開スイッチ6は、かごドア1a,1bが全開状態のときにオン動作するスイッチである。
【0025】
第1スイッチ7a、第2スイッチ7b、第3スイッチ7cは、それぞれにかごドア1aに接続された第1検出板8a、第2検出板8b、第3検出板8cに覆われた場合にオン動作するスイッチであり、かごドア1a,1bの開閉パターンを作成するために使用する。これらのスイッチ7a〜7cの動作タイミングは、戸開時には、かごドア1a,1bの全開位置への移動に伴い、第1スイッチ7a→第2スイッチ7b→第3スイッチ7cの順で所定の期間オン動作し、戸閉時には、かごドア1a,1bの全閉位置への移動に伴い、第3スイッチ7c→第2スイッチ7b→第1スイッチ7aの順で所定の期間オン動作する(図11(c)〜(d)参照)。また、各スイッチ7a〜7cは、所定の重複期間を持ってオン動作するように構成されている。
【0026】
次に、かごドア1a,1bを開閉駆動するためのドア制御装置の構成について説明する。
【0027】
図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。このドア制御装置は、図10に示した従来の電圧制御方式に対し、速度制御方式である点が異なる。なお、図10と同じ部分には、同一符号を付してある。
【0028】
図2に示すように、第1の実施形態におけるドア制御装置は、速度指令設定部12、速度制御器13、電流制御器14、速度推定部15、電動機定数設定部16、積分演算器17を備える。
【0029】
なお、D3とD4はそれぞれ差分器を示している。差分器D3は、速度指令設定部12の出力値(Nref)から速度推定部15の出力値(Nest)を減算する。差分器D4は、速度制御器13の出力値(Iref)から電流検出器10の出力値(Ifb)を減算する。
【0030】
速度指令設定部12は、かごドア1a,1bの位置に応じて電動機4を駆動制御するための速度指令Nrefを設定する。この速度指令設定部12には、全閉スイッチ5および全開スイッチ6が接続されると共に積分演算器17が接続される。
【0031】
速度制御器13は、速度指令設定部12から出力される速度指令Nrefと速度推定部15によって推定された推定速度Nestとの差分値に基づいて電流指令Irefを生成する。
【0032】
電流制御器14は、差分器D4から出力される電流指令Irefと電流値Ifbとの差分値に基づいて電圧指令Vconを生成し、電力変換器9に対して出力する。
【0033】
電力変換器9は、この電圧指令Vconに従って電動機4に対して所要の電圧を印加する。この電力変換器9の出力部には、電流検出器10および電圧検出器11が設けられており、電流検出器10によって検出された電流値Ifbが差動器D4にフィードバックされると共に速度推定部15に与えられる。また、電圧検出器11によって検出された電圧値Vfbが速度推定部15に与えられる。
【0034】
電動機定数設定部16は、電動機4の回路特性を示す回路定数情報を設定し、速度推定部15に出力する。上記回路定数情報には、電動機4の抵抗値R、インダクタンス値L、誘起電圧定数Kが含まれる。
【0035】
速度推定部15は、電動機4の回転速度を推定する部分である。この速度推定部15は、電動機4の電圧値Vfbと電流値Ifb、そして、電動機定数設定部16で設定された電動機4の抵抗値R、インダクタンス値L、誘起電圧定数Kに基づいて、電動機4の推定速度Nestを以下の式により算出する。なお、Eemfは誘起電圧値であり、推定速度Nestに比例乗数のKを乗じることで求められる。
【0036】
Eemf=K×Nest
Nest=(Vfb−R×Ifb−L×dIfdb/dt)/K
ここで、Vfbの代わりに電力変換器9への電圧指令Vconを使用することもできる。
【0037】
積分演算器17は、速度推定部15によって得られた推定速度Nestを積分して、かごドア移動距離Xestを算出する。このかごドア移動距離Xestは、速度指令設定部12に出力される。
【0038】
このような構成において、かごドア1a,1bの開閉時に速度推定部15によって電動機4の回転速度が推定される。この速度推定部15によって得られた推定速度Nestは、積分演算器17にて積分処理され、かご移動距離Xestとして速度指令設定部12に与えられる。これにより、速度指令設定部12では、かごドア移動距離Xestと全閉スイッチ5の動作信号と全開スイッチ6の動作信号に基づいてドア位置Xtを算出し、それに基づいて速度指令Nrefを決定する。
【0039】
図3は速度指令Nrefのパターンとドア位置との関係を示したものであり、ドア位置Xtが遷移していくのに伴い、速度指令Nrefも所定のジャーク、加速度、一定速度、減速度へと切り換わる。この速度指令Nrefと推定速度Nestとの差分値が速度制御器13に与えられて電動機4が回転制御され、それに伴い、かごドア1a,1bが所定の速度で開閉動作する。
【0040】
このように、電動機4の電圧と電流、そして、回路定数情報から電動機4の速度を推定して速度フィード制御を行う構成としたことにより、例えばエレベータ設備をリニューアルする場合に、エンコーダ等の速度検出器を必要とせずに、ソフトウェア的な変更のみで柔軟に対応することができる。
【0041】
また、上記回路定数情報としては、電動機の抵抗値、インダクタンス値、誘起電圧定数が含まれる。このような回路定数情報を用いて電動機4の速度を推定するようにしたことで、電圧と電流だけで推定するよりも正確な速度を算出することができ、より高精度な速度制御を実現できる。
【0042】
また、速度制御方式を採用しているため、開閉調整を簡略化でき、また、開閉動作の均一化を実現できる。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、上記第1の実施形態の構成に加え、さらに電動機4の抵抗値Rとインダクタンス値Lの補正機能を備えることを特徴としている。
【0044】
図4は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図4において、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、ここでの説明は省略する。
【0045】
図4において、図2の構成と異なる点は、トルク制御部18、制御モード切換スイッチ19、回路定数補正部20が追加されている点である。
【0046】
トルク制御部18は、トルク制御切換信号Tmodeとトルク指令Tholdを制御モード切換スイッチ19に対して出力する。トルク制御切換信号Tmodeは、通常の速度制御モードとトルク制御モードを切り換えるための信号である。上記トルク制御モードとは、ここでは定数補正用に強制的にトルクを変化させるための補正用モードのことを言う。
【0047】
トルク指令Tholdは、かごドア1a,1bの全閉位置と全開位置にて電動機4のトルク(ここでは電流)を強制変化させるための指令であり、予め設定された所定のパターンを有する(図5参照)。
【0048】
制御モード切換スイッチ19は、速度制御器13と差分器D4との間に設けられる。この制御モード切換スイッチ19は、トルク制御切換信号Tmodeに基づいて、速度制御器13の出力信号である電流指令Irefまたはトルク制御部18の出力信号であるトルク指令Tholdを選択する。
【0049】
回路定数補正部20は、電動機4の回路定数情報に含まれる抵抗値Rとインダクタンス値Lを補正する。詳しくは、この回路定数補正部20は、上記トルク制御部18から出力されるトルク制御切換信号Tmodeがトルク制御モード(つまり、補正用モード)の場合に、そのときに電圧検出器11によって検出される電動機4の電圧値Vfbと、電流検出器10によって検出される電流値Ifbに基づいて抵抗値R’、インダクタンス値L’を算出して、電動機定数設定部16に設定された抵抗値R、インダクタンス値Lを補正する。
【0050】
このような構成において、通常は、トルク制御部18から出力されるトルク制御切換信号Tmodeが速度制御モードに切り換えられており、制御モード切換スイッチ19は速度制御器13から出力される電流指令Irefを選択している。したがって、上記第1の実施形態と同様に、速度推定部15によって推定される速度Nestを用いて電動機4が速度制御され、それに伴い、かごドア1a,1bが所定の速度で開閉動作することになる。
【0051】
一方、トルク制御切換信号Tmodeがトルク制御モードの場合には、制御モード切換スイッチ19はトルク制御部18から出力されるトルク指令Tholdを選択する。これにより、電動機4はこのトルク指令Tholdに従って駆動制御され、全開時と全閉時に電流検出器10によって検出される電流値Ifbと電圧検出器11によって検出される電圧値Vfbがそれぞれ回路定数補正部20に与えられる。
【0052】
回路定数補正部20では、この電流値Ifbと電圧値Vfbに基づいて電動機4の抵抗値R’、インダクタンス値L’を求める。このときの様子を図5に示す。
【0053】
図5は第2の実施形態の動作を説明するための図であり、図5(a),(c)はかごドア全開時、かごドア全閉時のトルク指令Tholdのパターン、図5(b),(d)はそれに対する電動機4の電流値Ifbの変化を示している。
【0054】
トルク指令Tholdのパターンは、抵抗値演算領域とインダクタンス値演算領域に分けられる。抵抗値演算領域では一定の割合で段階的に変化し、インダクタンス値演算領域では最小値(ほぼゼロ)になっている。
【0055】
まず、抵抗値演算領域では、一定の割合で段階的に増加するトルク指令Tholdを用いて、電動機4の電流値Ifを例えば1アンペアずつに徐々に変化させる。そして、この電流値Ifbの変化量に対する電圧値Vfbの変化量を計測することで、電圧と電流との関係から電動機4に含まれる抵抗値R’を算出する。
【0056】
一方、インダクタンス値演算領域では、トルク指令Tholdに対し、電流値Ifbの下降、上昇の時定数τを算出し、τ=L/Rの関係からインダクタンス値L’を算出する。この場合、Rについては、上記抵抗値R’として既に算出されているので、時定数τを求めば、インダクタンス値L’を得ることができる。
【0057】
かごドア1a、1bの全開位置と全閉位置で、上記のような方法により抵抗値R’、インダクタンス値L’をそれぞれ算出する。そして、この両方の算出結果を平均して最終値として決定する。
【0058】
このようにして、最終的に得られた抵抗値R’、インダクタンス値L’は電動機定数設定部16に与えられる。これにより、以後の速度制御では、この抵抗値R’、インダクタンス値L’が新たな回路定数情報のR,Lとして速度推定部15に適用されることになる。
【0059】
このように、温度などの環境変化に左右される電動機4の抵抗値Rやインダクタンス値Lを適宜補正することにより、速度推定部15による速度推定の精度を高めることができ、より高精度な速度制御を実現できる。
【0060】
なお、上記実施形態では、かごドア1a、1bの全開位置と全閉位置の両方で抵抗値R’、インダクタンス値L’をそれぞれ算出したが、少なくとも一方の位置で算出し、これを最終的な補正値として用いても良い。
【0061】
また、全開位置と全閉位置の両方で抵抗値R’、インダクタンス値L’を算出した場合に、その両方の算出結果を平均化して用いるのではなく、これらの値を電動機4の正転時(例えばドア開方向への回転)と逆転時(例えばドア閉方向への回転)にそれぞれに個別に使用することでも良い。このようにすれば、より高精度な速度制御を実現できる。
【0062】
また、上記実施形態では、図5に示したように、電動機4の電流値Ifbを強制的に変化させて、それに対する電圧値Vfbの変化量から抵抗値R’、インダクタンス値L’を算出したが、その逆でも良い。すなわち、電動機4の電圧値Vfbを強制的に変化させて、それに対する電流値Ifbの変化量を求めることでも、上記同様に抵抗値R’、インダクタンス値L’を得ることができる。
【0063】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、上記第1の実施形態の構成に加え、さらに誘起電圧定数Kの補正機能を備えることを特徴としている。
【0064】
図6は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図6において、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、ここでの説明は省略する。
【0065】
図6において、図2の構成と異なる点は、中間位置検出スイッチ21、かごドア速度演算部22、誘起電圧補正部23が追加されている点である。
【0066】
中間位置検出スイッチ21は、戸開時あるいは戸閉時にかごドア1a,1bが全開と全閉の中間位置にきたときにオン動作するスイッチである。具体的には、この中間位置検出スイッチ21として、図1に示した第2スイッチ7bが用いられる。
【0067】
かごドア速度演算部22は、中間位置検出スイッチ21の動作信号に基づいて、かごドア1a,1bが中間位置を移動しているときの速度Vxを移動距離と時間との関係から求める。
【0068】
誘起電圧補正部23は、電動機4の回路定数情報に含まれる誘起電圧定数Kを補正する。詳しくは、この誘起電圧補正部23は、かごドア速度演算部22によって算出された中間位置移動時のドア移動速度Vxと速度推定部15によって得られた電動機4の推定速度Nestとを比較することにより、その差を誘起電圧定数Kによるものとして補正する。
【0069】
ここで、図7を参照して誘起電圧定数Kの補正処理について説明する。
図7は第3の実施形態の動作を説明するための図であり、電動機4に対する速度指令Nrefと中間位置検出スイッチ21の動作タイミングとの関係を示している。
【0070】
中間位置検出スイッチ21は第2スイッチ7bから構成され、その第2スイッチ7bがオンする距離Xは、図1に示した第2検出板8bの長さによって決まる(図11(d)参照)。
【0071】
ここで、戸開時に中間位置検出スイッチ21がオンしている時間をtopとすると、そのときのかごドア1a、1bの移動速度Vxは、X/topとして求められる。また、戸閉時に中間位置検出スイッチ21がオンしている時間をtclとすると、そのときのかごドア1a、1bの移動速度Vxは、X/tclとして求められる。
【0072】
一方、中間位置移動時における電動機4の速度は、速度推定部15によって求められる。この速度推定部15によって得られる推定速度Nestは、誘起電圧定数Kを含む回路定数情報などを用いて求められたものであって、実速度とは異なる。そこで、この推定速度Nestと移動速度Vxとを比較することにより、その差を誘起電圧定数Kの誤差分として算出する。
【0073】
具体的には、推定速度Nestと移動速度Vxとが比例定数Mの関係にある場合には、以下のような式が成立する。X/tは戸開時あるいは戸閉時のかごドア移動速度(Vx)を示している。
【0074】
(X/t)/M×K’=(Vfb−R×Ifb−L×dIfb/dt)
この式から誘起電圧定数K’を算出する。なお、リンク式ドアのように、推定速度Nestと移動速度Vxとが比例関係にない場合には、両者の関係を関数fに置き換えても良い。この誘起電圧定数K’は、戸開時と戸閉時にそれぞれに算出し、その両方の算出結果を平均して最終値を決定する。
【0075】
このようにして、電動機4の誘起電圧定数Kを補正することにより、速度推定部15による速度推定の精度を高めることができ、より高精度な速度制御を実現できる。
【0076】
なお、上記実施形態では、戸開時と戸閉時の両方で誘起電圧定数K’をそれぞれ算出したが、少なくとも一方で算出した結果を最終的な補正値として用いても良い。
【0077】
また、戸開時と戸閉時の両方で算出した誘起電圧定数K’を平均化して用いるのではなく、これらの値を電動機4の正転時(例えばドア開方向への回転)と逆転時(例えばドア閉方向への回転)にそれぞれに個別に使用することでも良い。このようにすれば、より高精度な速度制御を実現できる。
【0078】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、上記第1の実施形態の構成に加え、さらにかごドアの速度異常検出機能を備えることを特徴とする。
【0079】
図8は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図8において、上記第1の実施形態における図2の構成と同じ部分には同一符号を付して、ここでの説明は省略する。
【0080】
図8において、図2の構成と異なる点は、開側減速位置検出スイッチ24、閉側減速位置検出スイッチ25、減速位置速度演算部26、速度異常検出部27が追加されている点である。
【0081】
開側減速位置検出スイッチ24は、戸開時における減速領域付近でオン動作するスイッチである。また、閉側減速位置検出スイッチ25は、戸閉時における減速領域付近でオン動作するスイッチである。具体的には、開側減速位置検出スイッチ24として、図1に示した図1に示した第2スイッチ7bと第3スイッチ7cが用いられる。また、閉側減速位置検出スイッチ25として、図1に示した第1スイッチ7aと第2スイッチ7bが用いられる。
【0082】
減速位置速度演算部26は、開側減速位置検出スイッチ24と閉側減速位置検出スイッチ25の動作タイミングから、減速位置におけるかごドア速度Vyを算出する。
【0083】
速度異常検出部27は、減速位置速度演算部26によって算出されたかごドア速度Vyと予め設定された異常検出速度Nerrとを比較することで、かごドア1a,1bが異常な速度で移動しているか否かを判断する。速度異常であると判断した場合には、速度異常検出部27は、速度指令設定部12が出力する速度指令Nrefを強制的に零または負値にする。
【0084】
ここで、図9を参照して速度異常の検出処理について説明する。
図9は第4の実施形態の動作を説明するための図であり、戸開時の速度指令Nrefと開側減速位置検出スイッチ24の動作タイミングとの関係、戸閉時の速度指令Nrefと閉側減速位置検出スイッチ25の動作タイミングとの関係を示している。
【0085】
開側減速位置検出スイッチ24は、第2スイッチ7bと第3スイッチ7cとから構成され、第2スイッチ7bがオンからオフに切り替わり、かつ、第3スイッチ7cがオン状態であるときを戸開時の減速位置として検出する(図11(d),(e)参照)。また、閉側減速位置検出スイッチ25は、第1スイッチ7aと第2スイッチ7bとから構成され、第2スイッチ7bがオンからオフに切り替わり、かつ、第1スイッチ7aがオン状態であるときを戸閉時の減速位置として検出する(図11(c),(d)参照)。
【0086】
ここで、開側減速位置検出スイッチ24がオンする距離をXlop、オンする時間をtlopとすると、そのときのかごドア速度Vyは、Xlop/tlopとして求められる。また、閉側減速位置検出スイッチ25がオンする距離をXlcl、オンする時間をtlclとすると、そのときのかごドア速度Vyは、Xlocl/tlclとして求められる。
【0087】
このXlop/tlopまたはXlocl/tlclが予め設定された異常検出速度Nerrを超える場合に、速度異常検出部27から異常検出信号が速度指令設定部12に対して出力され、速度指令Nrefが強制的に零または負値に制御される。
【0088】
このように、戸開時または戸閉時において、速度異常状態を検出することにより、何らかの原因で電動機4の速度制御に異常が生じ、かごドア1a,1bの異常動作により乗客に危害を加えてしまうような事態を防ぐことができる。
【0089】
なお、上記各実施形態では、かごドアの構成として、2枚パネルで左右中開きタイプのものを例にして説明したが、本発明はドア構成について特に限定されるものではなく、電動機の駆動により開閉するドアであれば、その全てに適用可能である。
【0090】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は本発明のエレベータのドア制御装置が適用されるかごドアの構成を示す図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は第1の実施形態における速度指令Nrefのパターンとドア位置Xtとの関係を示す図である。
【図4】図4は本発明の第2の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は第2の実施形態の動作を説明するための図であり、かごドア全開時、かごドア全閉時のトルク指令Tholdのパターンとそれに対する電流値Ifbの変化を示している。
【図6】図6は本発明の第3の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は第3の実施形態の動作を説明するための図であり、速度指令Nrefと中間位置検出スイッチの動作タイミングとの関係を示している。
【図8】図8は本発明の第4の実施形態に係るエレベータのドア制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は第4の実施形態の動作を説明するための図であり、戸開時の速度指令Nrefと開側減速位置検出スイッチの動作タイミングとの関係、戸閉時の速度指令Nrefと閉側減速位置検出スイッチの動作タイミングとの関係を示している。
【図10】図10は従来のエレベータのドア制御装置の構成を示す図である。
【図11】図11は従来方式の電圧指令パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0092】
1a,1b…かごドア、2…ベルト、3a,3b…プーリ、4…電動機、5…全閉スイッチ、6…全開スイッチ、7a…第1スイッチ、7b…第2スイッチ、7c…第3スイッチ、8a…第1検出板、8b…第2検出板、8c…第3検出板、9…電力変換器、10…電流検出器、11…電圧検出器、12…速度指令設定部、13…速度制御器、14…電流制御器、15…速度推定部、16…電動機定数設定部、17…積分演算器、18…トルク制御部、19…制御モード切換スイッチ、20…回路定数補正部、21…中間位置検出スイッチ、22…かごドア速度演算部、23…誘起電圧補正部、24…開側減速位置検出スイッチ、25…閉側減速位置検出スイッチ、26…減速位置速度演算部、27…速度異常検出部、30…電圧指令設定部、31…電圧制御器、D1〜D4…差分器。




 

 


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