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発明の名称 エレベータの制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−84188(P2007−84188A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−272345(P2005−272345)
出願日 平成17年9月20日(2005.9.20)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 松岡 寛晃
要約 課題
蓄電装置を備えたハイブリット駆動型のエレベータにおいて、エレベータの運転状態に応じて蓄電装置に流入出する電流を正確に検出し、リセット動作を必要とせずに蓄電装置の充電量を精度良く推定する。

解決手段
蓄電制御装置31内の充放電制御装置34は、エレベータの運転状態を判断する機能と、電流検出器39のゲインを切り替える機能とを備え、エレベータが待機中の場合には第1のゲイン、エレベータが運転中の場合には第2のゲインに切り替えて蓄電装置32に流入出する電流を正確に検出する。これにより、リセット動作を必要とせずに蓄電装置32の充電量を精度良く推定することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
エレベータの回生運転時に発生するエネルギーを蓄電装置に充電し、力行運転時にその蓄電装置に蓄えられたエネルギーを電源供給ラインに放電するハイブリット駆動型のエレベータの制御装置において、
上記蓄電装置に流入出する電流を検出する電流検出手段と、
エレベータの運転状態を判断する運転状態判断手段と、
この運転状態判断手段によって判断されたエレベータの運転状態に応じて、上記電流検出手段の検出範囲を変化させる検出範囲可変手段と、
上記電流検出手段で検出された電流値に基づいて上記蓄電装置の充電量を推定する充電量推定手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの制御装置。
【請求項2】
上記検出範囲可変手段は、エレベータが待機中の場合には上記蓄電装置から流れる微小な電流に対して設定された第1のゲインを用い、エレベータが運転中の場合には上記蓄電装置に流入出する所定レベル以上の電流に対して設定された第2のゲインを用いて上記電流検出手段の検出範囲を変化させることを特徴とする請求項1記載のエレベータの制御装置。
【請求項3】
エレベータの回生運転時に発生するエネルギーを蓄電装置に充電し、力行運転時にその蓄電装置に蓄えられたエネルギーを電源供給ラインに放電するハイブリット駆動型のエレベータの制御装置において、
上記蓄電装置に流入出する電流の検出精度が異なる複数の電流検出手段と、
エレベータの運転状態を判断する運転状態判断手段と、
この運転状態判断手段によって判断されたエレベータの運転状態に応じて、上記各電流検出手段の中で適切な検出精度を有する電流検出手段を選択する選択手段と、
この選択手段によって選択された上記電流検出手段で検出された電流値に基づいて上記蓄電装置の充電量を推定する充電量推定手段と
を具備したことを特徴とするエレベータの制御装置。
【請求項4】
上記選択手段は、エレベータが待機中の場合には上記蓄電装置から流れる微小な電流を検出可能な電流検出手段を選択し、エレベータが運転中の場合には上記蓄電装置に流入出する所定レベル以上の電流を検出可能な電流検出手段を選択することを特徴とする請求項3記載のエレベータの制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、回生エネルギーを利用してエレベータ(乗りかご)を駆動するハイブリッド駆動型のエレベータの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エレベータでは、電動機(巻上げ機)の回転軸に巻き掛けられたロープの両端に乗りかごとカウンタウェイトが吊り下げられ、上記電動機の回転によりロープを介して乗りかごがカウンタウェイトと反対方向につるべ式に昇降動作する。
【0003】
ここで、例えば乗りかごが昇降路の下方向に動く場合に、そのときの乗りかごの荷重がカウンタウェイトより重ければ、動力を必要としないため、電動機が発電機として機能することになり、回生エネルギーが生じる。また、乗りかごが上方向に動く場合に、そのときの乗りかごの荷重がカウンタウェイトより軽ければ、動力を必要としないため、回生エネルギーが生じる。
【0004】
このように、動力を必要とせずに乗りかごを運転することを「回生運転」と呼び、そのときに乗りかごが移動する方向を「回生方向」と呼ぶ。また、その逆に、動力を必要する運転を「力行運転」と呼び、そのときに乗りかごが移動する方向を「力行方向」と呼んでいる。
【0005】
ところで、近年の省電力化の要求に伴い、上述した回生運転時に生じる電力つまり回生エネルギーを蓄電装置に蓄えておき、次の力行運転時に上記蓄電装置に蓄えた回生エネルギーを利用して乗りかごを運転するハイブリッド駆動型のエレベータが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この種のハイブリッド駆動型のエレベータは、回生エネルギーを直流電力として貯蔵する蓄電装置と、この蓄電装置に対する充電動作を切り替える充放電回路により構成される。蓄電装置としては、一般的に、ニッケル水素電池などの2次電池や電気二重層コンデンサなどの大容量コンデンサ等が用いられる。
【特許文献1】特開平2001−240322号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したハイブリッド駆動型のエレベータにおいて、蓄電装置の性能を十分に引き出すためには、蓄電装置の充電量(SOC:State Of Charge)を管理し、全容量の50〜70%程度の範囲以内で充放電を繰り返すことが好ましい。この場合、蓄電装置の充電量を直接検出することはできないため、電流検出器を用いて蓄電装置に流出入する電流を検出し、その電流値から充電量を推定する方式が一般的に用いられている。
【0008】
ここで、上記電流検出器としては、エレベータが運転を行う際に蓄電装置に流出入する最大電流を検出可能な精度を必要とする。しかし、その一方で、エレベータが待機中にあっても、蓄電装置からは自己放電や測定器からの漏れ電流などの微小電流が流れ続けている。このようなエレベータの待機中に流れる電流は、運転時の電流に対して極めて微小であり、同じ電流検出器にて検出することは困難であることから、充電量の推定計算に誤算が生じてしまう問題がある。
【0009】
通常、このような誤算を解消するため、蓄電装置を一旦フル充電の状態にしてから計算をやり直す方法が用いられる。これをリセット動作と呼ぶ。しかし、このリセット動作は、蓄電装置に過充電による負荷をかけるため、何度も繰り返すと、蓄電装置の性能が低下し、寿命を短くしまう問題がある。また、リセット動作時は通常の運転サービスを停止しなければならないため、エレベータの利用者にも迷惑がかかるなどの問題もある。
【0010】
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、蓄電装置を備えたハイブリット駆動型のエレベータにおいて、エレベータの運転状態に応じて蓄電装置に流入出する電流を正確に検出し、リセット動作を必要とせずに蓄電装置の充電量を精度良く推定することのできるエレベータの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一観点によれば、エレベータの回生運転時に発生するエネルギーを蓄電装置に充電し、力行運転時にその蓄電装置に蓄えられたエネルギーを電源供給ラインに放電するハイブリット駆動型のエレベータの制御装置において、上記蓄電装置に流入出する電流を検出する電流検出手段と、エレベータの運転状態を判断する運転状態判断手段と、この運転状態判断手段によって判断されたエレベータの運転状態に応じて、上記電流検出手段の検出範囲を変化させる検出範囲可変手段と、上記電流検出手段で検出された電流値に基づいて上記蓄電装置の充電量を推定する充電量推定手段とを具備したことを特徴とするエレベータの制御装置が提供される。
【0012】
本発明の他の観点によれば、エレベータの回生運転時に発生するエネルギーを蓄電装置に充電し、力行運転時にその蓄電装置に蓄えられたエネルギーを電源供給ラインに放電するハイブリット駆動型のエレベータの制御装置において、上記蓄電装置に流入出する電流の検出精度が異なる複数の電流検出手段と、エレベータの運転状態を判断する運転状態判断手段と、この運転状態判断手段によって判断されたエレベータの運転状態に応じて、上記各電流検出手段の中で適切な検出精度を有する電流検出手段を選択する選択手段と、この選択手段によって選択された上記電流検出手段で検出された電流値に基づいて上記蓄電装置の充電量を推定する充電量推定手段とを具備したことを特徴とするエレベータの制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓄電装置を備えたハイブリット駆動型のエレベータにおいて、エレベータの運転状態に応じて蓄電装置に流入出する電流を正確に検出することができる。これにより、リセット動作を必要とせずに、蓄電装置の充電量を精度良く推定して、効率的な充放電制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド駆動型エレベータの制御装置の構成を示す図である。
【0016】
このエレベータは、電動機11、この電動機11の回転軸に取り付けられたシーブ12、このシーブ12に巻き掛けられたロープ13、このロープ13の両端に吊り下げられた乗りかご14とカウンタウェイト(釣り合い重り)15などを備える。
【0017】
また、駆動系として、商用電源21、この商用電源21の交流電圧を直流電圧に変換する整流器22と、直流電圧のリプルを平滑化する平滑コンデンサ23、直流電圧を交流電圧に変換して電動機11に供給するインバータ24などを備える。
【0018】
上記商用電源21としては三相交流電源が用いられる。この三相交流電源から供給される交流電圧は整流器22で全波整流され、平滑コンデンサ23にてリプル分が吸収されて直流に平滑化される。この平滑化された直流がインバータ24に与えられ、所定周波数の交流電圧に変換されて電動機11に駆動電力として供給される。
【0019】
このような電力供給により、電動機11が回転駆動され、これに伴いシーブ12が回転し、そこに巻き掛けられたロープ13を介して乗りかご14とカウンタウェイト15が昇降路内をつるべ式に昇降動作する。
【0020】
なお、図中の25は抵抗チョッパ回路である。この抵抗チョッパ回路25は、自己消弧形のスイッチング素子26と抵抗器27からなり、平滑コンデンサ23に並列接続されている。28はインバータ24と抵抗チョッパ回路25の駆動制御を含むエレベータ全体の制御を行う主制御装置である。
【0021】
また、上記のような駆動系の構成に加え、ハイブリッド駆動系として、さらに蓄電制御装置31を備える。この蓄電制御装置31は、蓄電装置32、電圧検出器33、充放電制御装置34、充放電回路35、直流リアクトル36、温度検出器37、電圧検出器38、電流検出器39からなる。
【0022】
蓄電装置32は、ニッケル水素電池などの二次電池や、電気二重層コンデンサなどの大容量コンデンサからなり、回生電力を蓄えておくための蓄電手段として用いられる。電圧検出器33は、電力供給ラインである直流母線間に設置され、平滑コンデンサ23の両端電圧を検出する。充放電制御装置34は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンと称す)からなり、電圧検出器33によって検出された電圧値に基づいて充放電回路35の充放電動作を制御する。
【0023】
充放電回路35は、蓄電装置32に対する充放電動作を切り替えるための回路であり、自己消弧形のスイッチング素子35a,35bを有する。このスイッチング素子35a,35bは、インバータ24への電力供給ラインである直流母線間に並列に接続されており、スイッチング素子35aは充電用、スイッチング素子35bは放電用として用いられる。
【0024】
直流リアクトル36は、スイッチング素子34,35の間に接続され、直流電力を平滑化する機能を有する。温度検出器37は、蓄電装置32の温度を検出し、その検出信号を充放電制御装置34に出力する。電圧検出器38は、蓄電装置32の電圧を検出し、その検出信号を充放電制御装置34に出力する。
【0025】
電流検出器39は、この蓄電装置32の一端にその端子近くに設置され、蓄電装置32に流入出する電流を検出し、その検出信号を充放電制御装置34に出力する。この電流検出器39によって検出される電流は、蓄電装置32の充電量(State of Charge)を推定するために用いられる。
【0026】
ここで、第1の実施形態において、充放電制御装置34は、エレベータの運転状態に応じて、上記電流検出器39のゲインを切り替える機能を備える。上記エレベータの運転状態は、大別して運転中と待機中に分けられる。「運転中」とは、エレベータの主電源がオン状態にあり、乗りかご14が階床間を走行している状態を言う。これに対し、「待機中」とは、エレベータの主電源がオン状態にあって、乗りかご14が呼び待ちで停止している状態と、エレベータの主電源がオフ状態にあって、エレベータの運転サービス自体を休止している状態の両方を言う。
【0027】
なお、エレベータの主電源がオフ状態にあっても、充放電制御装置34による蓄電装置32の充電量の監視は継続的に行われている。
【0028】
充放電制御装置34は、主制御装置28からエレベータの運転状態を示す信号を入力し、現在の運転状態が走行中であるか待機中であるかを判断してゲイン切り替えを行う。この場合、待機中は最大レンジが数アンペア程度となるようにゲイン1に切り替え、走行中は最大レンジが数十アンペア程度となるようにゲイン2に切り替える。これにより、1つの電流検出器39を用いて、運転中に蓄電装置32に流入出する所定レベル(エレベータの駆動に必要な最低限のレベル)以上の電流をレンジオーバすることなく検出でき、また、待機中に流れる微小な電流も検出することができる。
【0029】
なお、上記ゲイン1,2は、以下のようにして設定される。
【0030】
(1)ゲイン1の設定
エレベータの待機中は、マイコン(充放電制御装置34)、制御系(主制御装置28)などを待機させておくための電源だけが働いている。この待機中における蓄電装置32の所要電流は、上記マイコンの所要電流及びその他、制御機器の待機電流と各々の電圧の積を蓄電装置32の電圧で割った値となる。すなわち、待機中における蓄電装置32に流出入する電流をISTとすると、次の(1)式で表される。
【0031】
ST=(IMCTR×VMCTR+ICTR×VCTR+…)/VBAT …(1)
ただし、IMCTR:マイコン所要電流
MCTR:マイコン電圧
CTR:制御系(リレー、電源等)の所要電流
CTR:制御電圧
BAT:蓄電装置の電圧。
【0032】
本電流ISTを最も精度良く検出できるように、充放電制御装置34内にゲイン1として予め設定しておく。なお、突発的な電流変動等を考慮し、所要電流ISTのおよそ3倍程度を最大レンジ値として設定する。
【0033】
(2)ゲイン2の設定
エレベータの運転中は、待機中の電源に加え、主回路、ブレーキ、運転シーケンスなどに対応した電源が必要となる。運転中における蓄電装置32に流出入する電流をIOPとすると、次の(2)式で表される。
【0034】
OP=(Imain×Vmain)/VBAT+IST
≒(Imain×Vmain)/VBAT …(2)
ただし、Imain:主回路所要電流≫IST
main:主回路電圧
BAT:蓄電装置の電圧。
【0035】
本電流IOPを最も精度良く検出できるように、充放電制御装置34内にゲイン2として予め設定しておく。なお、加減速時の電流変動等を考慮し、所要電流IOPのおよそ3倍程度を最大レンジ値として設定する。
【0036】
次に、第1の実施形態における動作を説明する。
【0037】
まず、主制御装置28にてエレベータが待機中であるか、運転中であるかが判断される。蓄電制御装置31に備えられた充放電制御装置34では、主制御装置28を通じてエレベータが運転中であることを確認すると、蓄電装置32に流出入する最大電流を十分検出可能なように、電流検出器39の電流検出信号に対するゲインを上記ゲイン1に切り替える。
【0038】
ここで、エレベータが回生運転を行っている場合には、電動機11は発電機として働き、交流電力を発生する。この交流電力は回生エネルギーとしてインバータ24を介して直流電力に変換され、平滑コンデンサ23に蓄積される。これに伴い、母線間電圧である平滑コンデンサ23の端子電圧が増加する。
【0039】
充放電制御装置34は、平滑コンデンサ23の両端電圧を電圧検出器33にて監視しており、その電圧値がある一定値以上に上昇すると、充放電回路35のスイッチング素子35aをオンする。これにより、回生エネルギーが蓄電制御装置31に取り込まれ、蓄電装置32に充電される。
【0040】
その際、充放電制御装置34は、蓄電装置32の両端電圧を電圧検出器38にて検出し、蓄電装置32の充電制御を行う。また、蓄電装置32に流入する電流つまり充電電流を電流検出器39にて検出し、その充電電流の上限を監視する。蓄電装置32がある一定量まで充電された状態で回生運転が継続されると、主制御装置28を通じて抵抗チョッパ回路25のスイッチング素子26がオンされ、充電仕切れなかった余分な回生エネルギーが抵抗器27にて熱エネルギーに変えて消費される。
【0041】
エレベータが力行運転を行っている場合は、平滑コンデンサ23の端子電圧が低下する。そして、その電圧値がある一定値以下に下降すると、充放電制御装置34は、充放電回路35のスイッチング素子35bをオンして蓄電装置32に充電された回生エネルギーを放出し、駆動系の母線間に直流の駆動電力として供給する。その際、電流検出器39を用いて放電電流の上限を監視する。
【0042】
ここで、エレベータ運転中において、回生運転あるいは力行運転によって蓄電装置32に流出入した電流は電流検出器39により検出される。充放電制御装置34では、この電流検出器39によって検出された電流を積算処理することで、蓄電装置32の充電量(State of Charge)を推定する。つまり、流入した電流をプラス、流出した電流をマイナスとして電流値を逐次次積算していくこと、蓄電装置32の充電量を推定する。そして、蓄電装置32の充電量がある一定範囲内(例えば、全容量の50〜70%程度)となるように充放電動作を制御することで、蓄電装置32の長寿命化を図る。
【0043】
一方、充放電制御装置34が主制御装置28を通じてエレベータが待機中であることを確認すると、蓄電装置32から流出する微小電流を検出可能なように、電流検出器39の電流検出信号に対するゲインを上記ゲイン2に切り替える。これにより、エレベータの待機中に流れる微小な電流を電流検出器39にて検出可能とし、その微小電流を充電量の推定処理に反映させることができる。
【0044】
図2は上述した充放電制御装置34によるゲイン切替えを含む処理動作を示したフローチャートである。
【0045】
まず、主制御装置28から得られる運転状態を示す信号に基づいてエレベータが待機中であるか否かを判断する(ステップS11)。その結果、エレベータが待機中であれば(ステップS11のYes)、第1のゲインに切替えて(ステップS12)、蓄電装置32から流れる微小電流を電流検出器39にて検出する(ステップS14)。
【0046】
一方、エレベータが運転中であれば(ステップS11のNo)、第2のゲインに切替えて(ステップS13)、回生運転または力行運転に応じて蓄電装置32に流出入する所定レベル以上の電流を電流検出器39にて検出する(ステップS14)。
【0047】
このようにして検出された電流値を逐次積算して、現在の蓄電装置32の充電量を推定する(ステップS15)。そして、この蓄電装置32の充電量がある一定範囲内となるように充放電動作を制御する(ステップS16)。
【0048】
このように、エレベータの運転状態に応じて電流検出器39のゲインを切り替えることにより、エレベータの待機中に流れる微小な電流も含めて正確に検出することができ、その検出結果を用いて蓄電装置32の充電量を正確に推定できる。したがって、従来のように、待機中の微小電流による誤差分を解消するために、定期的にリトライ動作を行う必要がなくなり、その結果、蓄電装置32に対するフル充電の負荷をなくして長寿命化を図ることができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、エレベータの待機中と運転中とで第1のゲインと第2のゲインを切り替えるようにしたが、エレベータの運転状態に応じて、さらに細かくゲインを設定して適宜切替えるようにしても良い。そのようにすれば、充電量の推定精度がさらに上がり、より効率的な充放電制御を行うことができる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0051】
図3は本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド駆動型エレベータの制御装置の構成を示す図である。なお、上記第1の実施形態における図1の構成と同じ部分には、同一符号を付して、ここでは異なる部分のみについて説明する。
【0052】
図1の構成と異なる部分は、蓄電制御装置31において、2つの電流検出器39a,39bが設けられていることである。一方の電流検出器39aはエレベータの待機中に用いられ、他方の電流検出器39bはエレベータの運転中に用いられる。
【0053】
すなわち、電流検出器39a,39bはそれぞれに検出精度が異なり、電流検出器39aはエレベータの待機中に蓄電装置32に流れる微小な電流を検出可能な精度を有し、電流検出器39bはエレベータの運転中に蓄電装置32に流入出する所定レベル(エレベータの駆動に必要な最低限のレベル)以上の電流を検出可能な精度を有する。この場合、電流検出器39aの検出範囲をRa、電流検出器39bの検出範囲をRbとすると、それぞれに図4に示すような電流範囲をカバーしている。
【0054】
図4はエレベータの待機中と運転中に流れる電流の特性を示した図である。
【0055】
エレベータの待機中では、蓄電装置32からの自然放電や計測器からの漏れ電流などにより電流値はゼロとならず、数mアンペア程度の微小な電流が流れている。これに対し、エレベータの運転中では、数10〜数100アンペアの大電流が蓄電装置32に流入出する。このように、待機中と運転中との電流差は非常に大きく、そのすべての電流範囲をカバーできるようなセンサはない。
【0056】
そこで、2つの電流検出器39a,39bを用いることで、両方の電流範囲をカバーする。この場合、電流検出器39aの検出範囲Raは、上記(1)式に示した待機中の所要電流ISTを満足する範囲に設定されており、その最大レンジIは電流ISTのおよそ3倍程度に設定されている。電流検出器39bの検出範囲Rbは、上記(2)式に示した運転中の所要電流IOPを満足する範囲に設定されており、その最大レンジIは電流IOPのおよそ3倍程度に設定されている。また、図4に示すように、検出範囲Raと検出範囲Rbは多少オーバラップして設定されていることが好ましい。
【0057】
次に、第2の実施形態における動作を説明する。
【0058】
まず、主制御装置28にてエレベータが待機中であるか、運転中であるかが判断される。蓄電制御装置31に備えられた充放電制御装置34では、主制御装置28を通じてエレベータが運転中であることを確認すると、蓄電装置32に流出入する最大電流を十分検出可能なように、電流検出器39bを選択する。
【0059】
ここで、エレベータが回生運転を行っている場合には、電動機11は発電機として働き、交流電力を発生する。この交流電力は回生エネルギーとしてインバータ24を介して直流電力に変換され、平滑コンデンサ23に蓄積される。これに伴い、母線間電圧である平滑コンデンサ23の端子電圧が増加する。
【0060】
充放電制御装置34は、平滑コンデンサ23の両端電圧を電圧検出器33にて監視しており、その電圧値がある一定値以上に上昇すると、充放電回路35のスイッチング素子35aをオンする。これにより、回生エネルギーが蓄電制御装置31に取り込まれ、蓄電装置32に充電される。
【0061】
その際、充放電制御装置34は、蓄電装置32の両端電圧を電圧検出器38にて検出し、蓄電装置32の充電制御を行う。また、蓄電装置32に流入する電流つまり充電電流を電流検出器39bにて検出し、その充電電流の上限を監視する。蓄電装置32がある一定量まで充電された状態で回生運転が継続されると、主制御装置28を通じて抵抗チョッパ回路25のスイッチング素子26がオンされ、充電仕切れなかった余分な回生エネルギーが抵抗器27にて熱エネルギーに変えて消費される。
【0062】
エレベータが力行運転を行っている場合は、平滑コンデンサ23の端子電圧が低下する。そして、その電圧値がある一定値以下に下降すると、充放電制御装置34は、充放電回路35のスイッチング素子35bをオンして蓄電装置32に充電された回生エネルギーを放出し、駆動系の母線間に直流の駆動電力として供給する。その際、電流検出器39bを用いて放電電流の上限を監視する。
【0063】
ここで、エレベータ運転中において、回生運転あるいは力行運転によって蓄電装置32に流出入した電流は電流検出器39により検出される。充放電制御装置34では、この電流検出器39によって検出された電流を積算処理することで、蓄電装置32の充電量(State of Charge)を推定する。つまり、流入した電流をプラス、流出した電流をマイナスとして電流値を逐次次積算していくことで、蓄電装置32の充電量を推定する。そして、蓄電装置32の充電量がある一定範囲内(例えば、全容量の50〜70%程度)となるように充放電動作を制御することで、蓄電装置32の長寿命化を図る。
【0064】
一方、充放電制御装置34が主制御装置28を通じてエレベータが待機中であることを確認すると、蓄電装置32から流出する微小電流を検出可能なように、電流検出器39aを選択する。これにより、エレベータの待機中に流れる微小な電流を電流検出器39aにて検出可能とし、その微小電流を充電量の推定処理に反映させることができる。
【0065】
図5は上述した充放電制御装置34による電流検出器の切替えを含む処理動作を示したフローチャートである。
【0066】
まず、主制御装置28から得られる運転状態を示す信号に基づいてエレベータが待機中であるか否かを判断する(ステップS21)。その結果、エレベータが待機中であれば(ステップS21のYes)、使用する検出器を電流検出器39aに切替えて(ステップS22)、蓄電装置32から流れる微小電流を電流検出器39aにて検出する(ステップS24)。
【0067】
一方、エレベータが運転中であれば(ステップS21のNo)、使用する検出器を電流検出器39bに切替えて(ステップS23)、回生運転または力行運転に応じて蓄電装置32に流出入する所定レベル以上の電流を電流検出器39bにて検出する(ステップS24)。
【0068】
このようにして検出された電流値を逐次積算して、現在の蓄電装置32の充電量を推定する(ステップS25)。そして、この蓄電装置32の充電量がある一定範囲内となるように充放電動作を制御する(ステップS26)。
【0069】
このように、エレベータ運転時には最大電流を検出可能な電流検出器39bに、また、エレベータ待機時には微小電流を検出可能な電流検出器39aに切り替えることでも、上記第1の実施形態と同様に、エレベータの待機中に流れる微小な電流も含めて正確に検出することができ、その検出結果を用いて蓄電装置32の充電量を正確に推定できる。したがって、従来のように、待機中の微小電流による誤差分を解消するために、定期的にリトライ動作を行う必要がなくなり、その結果、蓄電装置32に対するフル充電の負荷をなくして長寿命化を図ることができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、2つの電流検出器を切り替えるようにしたが、さらに多数の電流検出器を用い、エレベータの運転状態に応じた最適な検出精度を有する電流検出器を適宜選択することでも良い。そのようにすれば、充電量の推定精度がさらに上がり、より効率的な充放電制御を行うことができる。
【0071】
要するに、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の形態を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を省略してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド駆動型エレベータの制御装置の構成を示す図である。
【図2】図2は同実施形態におけるエレベータの充放電制御装置によるゲイン切替えを含む処理動作を示したフローチャートである。
【図3】図3は本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド駆動型エレベータの制御装置の構成を示す図である。
【図4】図4は同実施形態におけるエレベータの待機中と運転中に流れる電流の特性を示した図である。
【図5】図5は同実施形態におけるエレベータの充放電制御装置による電流検出器の切替えを含む処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
11…電動機、12…シーブ、13…ロープ、14…乗りかご、15…カウンタウェイト、21…商用電源、22…整流器、23…平滑コンデンサ、24…インバータ、25…抵抗チョッパ回路、26…スイッチング素子、27…抵抗器、28…主制御装置、31…蓄電制御装置、32…蓄電装置、33…電圧検出器、34…充放電制御装置、35…充放電回路、36…直流リアクトル、37…温度検出器、38…電圧検出器、39,39a,39b…電流検出器。




 

 


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