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発明の名称 乗客コンベアの乗降板、乗客コンベアの乗降板の製造方法及び乗客コンベア
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−76821(P2007−76821A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−267102(P2005−267102)
出願日 平成17年9月14日(2005.9.14)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 小谷 信幸
要約 課題
乗降板表面の摩耗を抑制し、乗降板の交換頻度を低減して交換作業の手間を少なくし、ひいてはランニングコストを低減させることのできる乗客コンベアの乗降板を提供する。

解決手段
ステンレス鋼の板材11の上面部に凸部11a及び凹部11bにより形成された模様を有し、この模様の凸部11aが表面硬化されている乗降板。このような乗降板は、ステンレス鋼の板材11の上面部の表面に向けて鋼球12を衝突させるショットピーニング処理により製造することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ステンレス鋼よりなる板の上面部に凹凸により形成された模様を有し、この模様の凸部が表面硬化されている凸部であることを特徴とする乗客コンベアの乗降板。
【請求項2】
前記凸部が、ショットピーニング処理により表面硬化されている凸部であることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの乗降板。
【請求項3】
前記凸部の表面が、ショットピーニング処理による梨地仕上げされたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の乗客コンベアの乗降板。
【請求項4】
ステンレス鋼よりなる板材の上面部に選択的なエッチング処理を行って凹凸による模様を形成する工程と、
前記上面部にショットピーニング処理を行って、前記模様の凸部を表面硬化させる工程と
を備えることを特徴とする乗客コンベアの乗降板の製造方法。
【請求項5】
ステンレス鋼よりなる板の上面部に凹凸により形成された模様を有し、この模様の凸部が表面硬化されている凸部である乗降板を備えることを特徴とする乗客コンベア。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの乗降板、乗客コンベアの乗降板の製造方法及び乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道といった乗客コンベアは、無端状に連結された複数の踏段を備え、これらの踏段が一方の乗降口と他方の乗降口との間を循環移動することによって、踏段上の乗客を一方の乗降口と他方の乗降口まで運搬する。この乗客が乗り降りする乗降口には、乗降板が着脱可能に設けられている。この乗降板の上面部は、乗客のすべり止めのために、また、乗降板の意匠性を向上させるために、表面の凹凸により形成された模様を有している。
【0003】
乗降板は、金属製の板であり、屋外又は屋内における耐食性が求められていることから、なかでもステンレス鋼の板を素材として製造されることが一般的である。前記乗降板の製造工程のうち、前記模様が形成される工程の例を説明すると次のとおりである。
【0004】
まず、ステンレス鋼の板材の一方の表面における特定の平面形状となる部分にマスキング材を被覆する、マスキング処理を行う。次いで、前記板材の一方の表面に化学的なエッチング処理を行って、前記マスキング処理されていない部分を表面から選択的にエッチングして凹部を形成させる。次いで、塗装処理を行って、形成された前記凹部に黒色又は灰色の塗膜を被覆形成させる。その後、板材表面のマスキング材を除去する。これらの工程を経て、板材の前記マスキング材が除去された部分がエッチングされていない凸部となり、また、エッチングされた部分が凹部となり、この凹部に塗膜が被覆形成された模様が形成されることになる。次いで、この凸部の表面にはヘアライン処理が施されて、乗降板の美観を向上させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の乗降板は、乗降口に配設されて長期間使用されていると、乗客の乗降板への乗り込みにより乗降板表面が摩耗し、その結果、上面部の表面の凹凸差(段差)が減少して模様が薄くなり、さらには凹凸が消滅して模様が消滅することがあった。これでは、乗降板の滑り止めの機能を十分に果すことが難しくなり、また、模様が薄く、さらには消滅したのでは意匠性、美観性の面でも望ましくない。
【0006】
乗降板の表面が摩耗したときに、乗降板を交換すれば上記問題は解消するが、乗降板を頻繁に交換したのでは、ランニングコストの増大につながり望ましくない。
【0007】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、乗降板表面の摩耗を抑制し、乗降板の交換頻度を低減して交換作業の手間を少なくし、ひいてはランニングコストを低減させることのできる乗客コンベアの乗降板、乗客コンベアの乗降板の製造方法及び乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乗客コンベアの乗降板は、ステンレス鋼よりなる板の上面部に凹凸により形成された模様を有し、この模様の凸部が表面硬化されている凸部であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の乗客コンベアの乗降板の製造方法は、ステンレス鋼よりなる板材の上面部に選択的なエッチング処理を行って凹凸による模様を形成する工程と、前記上面部にショットピーニング処理を行って、前記模様の凸部を表面硬化させる工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の乗客コンベアは、ステンレス鋼よりなる板の上面部に凹凸により形成された模様を有し、この模様の凸部が表面硬化されている凸部である乗降板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の乗客コンベアの乗降板によれば、乗降板の上面部の模様を形成している凸部が表面硬化しているから、長期間の使用によっても摩耗が少なく、乗降板の交換頻度を低減することができる。
【0012】
また、本発明の乗客コンベアの乗降板の製造方法によれば、上記本発明の乗降板を有利に製造することができる。
【0013】
また、本発明の乗客コンベアによれば、上記本発明の乗降板を具備しているので、意匠性を有する乗降板の摩耗が少なく、乗降板の交換頻度が少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の乗客コンベアの乗降板の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態の乗降板を備える乗客コンベアとしてのエスカレータについて、下階側の乗降口近傍を示す模式図である。同図に示すエスカレータは、複数の踏段1a、1b、1c、1dなどが無端状に連結されて配設され、図示された下階側の乗降口と、図示しない上階側の乗降口との間を隙間なく循環移動するようになっている。複数の踏段1a、1b、1c、1dなどの両側端部には左右の欄干2a、2bがそれぞれ立設されている。紙面左側の欄干2aは、次に述べる構成を有している。強化ガラス又はプラスチックよりなる透光性を有する複数の内側板3a、3b等が設けられている。これらの内側板3a、3b等の上端部には、手すりデッキに案内されて摺動する無端状の手すりベルト4aが設けられている。前記内側板3a、3bの下端部近傍には、内レッジ5a及び外デッキ6aが、前記内側板3a、3bを挟むように設けられている。前記内レッジ5aと連結し、かつ、踏段1a、1b、1c、1dの側端部に近接して、スカートガードパネル7が設けられている。スカートガードパネル7、内レッジ5a及び外デッキ6aの踏段進行方向端部に連結して、先端スカート8aが設けられている。この先端スカート8aには、手すりベルト4aの出入口9aが形成されている。
【0015】
紙面右側の欄干2bは、上記下左側の欄干2aと同じ構成を有していて、強化ガラス又はプラスチックよりなる透光性を有する複数の内側板3c、3d等が設けられている。これらの内側板3c、3d等の上端部には、手すりデッキに案内されて摺動する無端状の手すりベルト4bが設けられている。前記内側板3c、3dの下端部近傍には、内レッジ5b及び外デッキ6bが、前記内側板3c、3dを挟むように設けられている。内レッジ5b及び外デッキ6bの踏段進行方向端部に連結して、先端スカート8bが設けられている。この先端スカート8bには、手すりベルト4bの出入口9bが形成されている。なお、図示されないが、右側の欄干2bにおいても前記内レッジ5bと連結し、かつ、踏段1a、1b、1c、1dの側端部に近接して、スカートガードパネルが設けられている。
【0016】
先端スカート8a及び8b近傍の乗降口には、乗降板10が配設されている。この乗降板10は、上面部に凸部10aと凹部10bとからなる凹凸により形成された模様を有していて、乗客の滑り止めと美観の向上を図っている。なお、図示した乗降板10の模様は、凸部10aを矩形の平面形状を有するものとして、この矩形形状の凸部10aが踏段進行方向及びこの踏段進行方向に直交する方向に繰り返し配置されてなる模様の例が示されているが、本発明の乗降板は、図示された模様に限定されるものでない。
【0017】
従来の乗降板においては、乗降板の上面部の凸部と凹部とが、単にエッチングにより形成されていたため、乗降板の上面部の表面硬度は、素材であるステンレス鋼そのものの硬度と同じであり、乗降板内部の硬度と変わりがない。このような従来の乗降板では、長期間の使用により凸部が摩耗することがあったことは既に述べたとおりである。
【0018】
これに対して、本実施形態の乗降板10は、少なくとも凸部10aが表面硬化していて、従来の乗降板よりも凸部10aの表面硬度が高くなっている。乗降板10の摩耗は凸部10aの減摩により生じるのであり、この点、本実施形態の乗降板10は、凸部10aの表面硬度が高くなっていることから、耐摩耗特性が向上していて、これにより乗降板の摩耗が効果的に抑制される。
【0019】
なお、乗降板の摩耗を抑制する目的のためには、乗降板の材質を変更して、ステンレス鋼よりも硬度の高い素材よりなる乗降板とすることも考えられるが、そのような素材では、耐候性や靭性がステンレス鋼よりも劣ることも考えられ、また、製造時の加工性が良好でなく製造コストの増大を招くことも考えられる。したがって、ステンレス鋼よりなる乗降板の表面のみが硬化している本実施形態の乗降板が有利に適合する。
【0020】
この表面硬化された凸部10aは、ショットピーニング処理に容易に得ることができる。また、このショットピーニング処理により、凸部10aの表面が、梨地仕上げされたものとなり、美観性に優れている。
【0021】
凸部10aの表面硬度の度合いは、例えばショットピーニング処理によって得られる程度の表面硬度とすることができる。
【0022】
次に、本実施形態の乗降板10の製造方法について説明する。図2〜4は、本実施形態の乗降板の製造工程を時系列的に示す断面模式図である。まず、図2に示されるように、乗降板の素材となるステンレス鋼の板材11を用意する。このステンレス鋼としては、例えばSUS304やSUS430などといった、乗降板として通常用いられる素材を使用することができる。
【0023】
次に、図3に示されるように、このステンレス鋼の板材11の上面部に選択的なエッチング処理を行って、凸部11aと凹部11bとを作成する。この選択的なエッチング処理では、例えば、上面部の凸部となる位置に、マスキング材を部分的に被覆させる、マスキング処理を行う。次いで、マスキング処理された前記板材11の上面部の表面に化学的なエッチング処理を行う。このエッチング処理により、板材11の上面部における前記マスキング処理されていない部分が、表面から選択的にエッチングされて、凹部11bが形成される。このエッチング処理により形成された凸部11aと凹部11bとの段差は、従来の乗降板と同様に、例えば0.4mmとすることができる。このエッチング処理後に、前記マスキング材を上面部の表面から除去する。
【0024】
次に、板材11の上面部にショットピーニング処理を行って、凸部11aを表面硬化させる。ショットピーニング処理は、多数の鋼球を非処理材の表面に向けて衝突させる処理であり、鋼球の衝突により非処理材の表面をミクロ的に塑性変形させることで、加工硬化により表面硬度を増大させる。また、繰り返し荷重に対しては、凸部の表面層に付与された圧縮残留応力が相殺する形で作用し、疲れ強さが増し、よって乗降板の耐摩耗性が向上する。一例として、SUS304の板材11の場合に、ショット径0・3mmのショットピーニング処理を施したところ、その前後で、表面から約0.2mmの範囲に深さにわたり、ビッカース硬度Hvが約380から約420へと、硬度が上昇した。図4は、ショットピーニング処理を板材11に行っているところを模式的に示していて、鋼球12を代表的に一個で示してある。
【0025】
なお、表面硬化法には、一般に、ショットピーニング処理の他に、表面焼入れや浸炭、浸窒などもあるが、SUS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼では、表面焼入れや浸炭、浸窒は困難である。これに対して、ショットピーニング処理は、屋外用の乗降板に使用されるSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼にも適用することができる。
【0026】
そればかりでなく、ショットピーニング処理により凸部11aの表面は、無数の衝突痕が形成され、あたかも梨地仕上げが施されたのと同様の性状となる。すなわち、ショットピーニング処理の前後で、一例として表面粗さがRmaxで約5μmから約15μmへと粗度が増大する。したがって、ショットピーニング処理後には、特別に表面仕上げ処理を施す必要がなく、凸部11aが梨地仕上げされた美麗な乗降板を得ることができる。
【0027】
本実施形態の乗降板を製造するに当たっては、乗降板上面部の少なくとも凸部11aにショットピーニング処理を施すことが必要であるが、凹部11bについては、ショットピーニング処理を施してもよいし、施さなくてもよい。すなわち、ショットピーニング処理時の鋼球が凹部11bに衝突してもよいし、模様の形状の如何などによって、鋼球が凹部11bに衝突しなくても構わない。要するに、長期間の使用によって摩耗する凸部11aの硬度が向上するようにショットピーニング処理を行えばよい。
【0028】
図4に示したショットピーニング処理後は、従来技術のように塗装処理を行ってもよいが、行わなくても良い。また、従来技術のように乗降板の上面部の凸部にヘアライン処理を施す必要はない。前述したようにショットピーニング処理によって梨地仕上げの表面性状になっているからである。ヘアライン処理が不要である点でも本実施形態の乗降板は、製造プロセスを簡略化することができるので有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】エスカレータの下階側の乗降口近傍を示す模式図である。
【図2】乗降板の製造工程を時系列的に示す断面模式図である。
【図3】乗降板の製造工程を時系列的に示す断面模式図である。
【図4】乗降板の製造工程を時系列的に示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0030】
10 乗降板
10a 凸部
11 ステンレス鋼の板材
11b 凹部
11a 凸部
11b 凹部
12 鋼球




 

 


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