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発明の名称 乗客コンベア装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−76755(P2007−76755A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−262972(P2005−262972)
出願日 平成17年9月9日(2005.9.9)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 木村 弘之 / 石川 佳延
要約 課題
振動、騒音が小さく、コンパクトで移動距離の長い踏段チェーンを駆動可能な駆動機構を有する乗客コンベア装置を提供する。

解決手段
複数の踏段3と、複数の踏段3を連結して循環移動する無端状の踏段チェーン5と、踏段チェーン5の内周側に設けられ、往路側の前記踏段チェーン及び帰路側の前記踏段チェーンの少なくとも一方と噛合して駆動力を伝達する中間部駆動装置10とを備える乗客コンベア装置である。中間部駆動装置10は、踏段チェーン5と噛合する歯を有し二次側リニアモータ13が取り付けられた複数のリンクを、この歯を外周側にして互いに回動可能に連結して環状にした歯付循環リンク11と、循環リンク11を踏段チェーン5と噛合する循環経路で案内する循環用レール12と、歯付循環リンク11の内周側で二次側リニアモータ13に対向して設けられた一次側リニアモータ11cとを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の踏段と、
前記複数の踏段を連結して循環移動する無端状の踏段チェーンと、
前記踏段チェーンの一方の折り返し部と他方の折り返し部との間に設けられ、前記複数の踏段を案内するガイドレールと、
前記踏段チェーンの内周側に設けられ、往路側の前記踏段チェーン及び帰路側の前記踏段チェーンの少なくとも一方と噛合して駆動力を伝達する中間部駆動装置とを備え、
前記中間部駆動装置が、前記踏段チェーンと噛合する歯を有し二次側リニアモータが取り付けられた複数のリンクを、この歯を外周側にして互いに回動可能に連結して環状にした歯付循環リンクと、
前記循環リンクを前記踏段チェーンと噛合する循環経路で案内する循環用レールと、
前記歯付循環リンクの内周側で前記二次側リニアモータに対向して設けられた一次側リニアモータと
を備えることを特徴とする乗客コンベア装置。
【請求項2】
前記中間部駆動装置の他に、前記踏段チェーンの一方の折り返し部に踏段チェーン駆動装置を備える請求項1記載の乗客コンベア装置。
【請求項3】
前記二次側リニアモータが導電体である請求項1又は2記載の乗客コンベア装置。
【請求項4】
前記二次側リニアモータが永久磁石である請求項1又は2記載の乗客コンベア装置。
【請求項5】
前記循環用レールの間隔が、各リンクの長さとほぼ等しいことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア装置。
【請求項6】
前記踏段の両端部に設けられた左右の踏段チェーンの折り返し部に、各踏段チェーンと噛合するスプロケットをそれぞれ備え、これらのスプロケットが同一回転軸に取り付け固定されていることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア装置。
【請求項7】
前記スプロケット及び前記中間部駆動装置の少なくとも一方に、制動装置を設けたことを特徴とする請求項6記載の乗客コンベア装置。
【請求項8】
前記踏段の両端部に立設された欄干と、この欄干に沿って設けられ前記踏段と同一方向に同一速度で循環移動する手すりベルトと、この手すりベルトを駆動する手すりベルト駆動装置とを更に備え、この手すりベルト駆動装置は、前記中間部駆動装置より駆動力が伝達されるものであることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベア装置。
【請求項9】
前記踏段の両端部に立設された欄干と、この欄干に沿って設けられ前記踏段と同一方向に同一速度で循環移動する手すりベルトと、この手すりベルトを駆動する手すりベルト駆動装置とを更に備え、この手すりベルト駆動装置は、前記スプロケット又は回転軸より駆動力が伝達されるものであることを特徴とする請求項6又は7記載の乗客コンベア装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや動く歩道等の乗客コンベア装置は、前後にガイドローラが設けられた複数の踏段を備えている。これら複数の踏段は、トラス内で乗口と降口との間に配設された踏段ガイドレールに各ガイドローラを係合させることによって支持されて、往路側で運搬される乗客が乗り込む踏面を水平に保ちながら、この踏段ガイドレール上を各ガイドローラが転動移動することによって乗口と降口との間を循環移動するようになっている。通常、複数の踏段は無端状の踏段チェーンによって連結され、この踏段チェーンを駆動することによって全ての踏段が同期して隙間なく動くように構成されている。
【0003】
踏段チェーンを駆動する駆動機構は、無端状の踏段チェーンの折り返し部に設けられたスプロケットに踏段チェーンを巻きかけて、このスプロケットに伝達された駆動力により踏段チェーンを駆動するタイプのものが一般的である。このような駆動機構は、乗口付近又は降口付近に設けられる。しかしながら、踏段チェーンの移動距離の長い乗客コンベア装置においては、踏段チェーンにかかる負担が大きいため、踏段チェーン端部に設けられた駆動機構だけでは十分な駆動力を伝達できない場合がある。そこで、移動距離の長い乗客コンベア等においては、長尺な踏段チェーンの途中、すなわち、踏段チェーンが進行方向を変えて折り返す端部以外の中間部に、駆動力を踏段に与えることのできる駆動機構を設けた乗客コンベア装置が提案されている。例えば、踏段チェーンの駆動機構を、踏段チェーンの往路側と帰路側との間に設け、その駆動機構を分散配置した駆動装置(例えば、特許文献1参照)や、帰路側の踏段よりも下側にリニアモータを配置して、このリニアモータによる電磁力によりリニア駆動する装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載された従来の駆動装置について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、特許文献1に記載された、中間部に駆動装置を設けた乗客コンベア装置としてのエスカレータの模式図である。同図において、エスカレータ101は、トラス102内に複数の踏段103を備えている。なお、同図ではエスカレータ101に設けられた複数の踏段のうちの一部のみを図示している。踏段103は、前後にガイドローラ103aを備えている。トラス102内には踏段ガイドレール104が設けられ、この踏段ガイドレール104に踏段103のガイドローラ103aが係合するように踏段103が取り付けられて、この踏段ガイドレール104に沿って踏段103が移動できるようになっている。
【0005】
踏段103は、無端状の踏段チェーン105により連結されていて、この踏段チェーン105が駆動されることによりトラス102内で循環移動を行う。図10において、踏段チェーン105は、踏段ガイドレール104とほぼ平行に位置しているため、同図では踏段ガイドレール104を一部破断して示している部分に踏段チェーン105が示されている。
【0006】
無端状の踏段チェーン105の折り返し部には、反転レール106及び107が設けられ、この反転レール106及び107に沿って踏段チェーン105の移動方向が反転される。
【0007】
踏段チェーン105は内周側に歯105aを備える歯付チェーンであり、この踏段チェーン105の歯105aに噛合して駆動力を伝達するための駆動装置110が、トラス102の中間部において、踏段チェーン105の往路側と帰路側との間に設けられている。
【0008】
この駆動装置110を同図(b)を用いて説明する。駆動装置110は、電動機111と、この電動機111の回転力を伝達するベルト112と、このベルト112から回転力が入力される減速機113と、この減速機113の出力側の回転軸に取り付けられた駆動鎖車114と、この駆動鎖車114と平行に設けられた従動鎖車115と、この従動鎖車115及び駆動鎖車114とに巻きかけられた無端状の駆動チェーン116とを備えている。この駆動チェーン116は、ピンローラ116aを有し、このピンローラ116aが、駆動鎖車114と従動鎖車115との間の直線移動領域で、踏段チェーン105の歯と噛み合うように駆動チェーン116は設けられている。そして、電動機111からの駆動力が、減速機113を介して駆動鎖車114に伝達されると、この駆動鎖車114と従動鎖車115とに巻きかけられている駆動チェーン116が循環移動し、この駆動チェーン116のピンローラ116aと噛み合う踏段チェーン105の歯105aに駆動力を伝達することにより、踏段チェーン105は循環移動する。
【0009】
図11は、特許文献2に記載された、リニアモータにより踏段を駆動する駆動装置の要部を示す模式図である。同図においてエスカレータ121は、フレーム122内に複数の踏段123を備えている。各踏段123は、ガイドローラ124を備え、ガイドローラ124近傍で連結している無端状の踏段チェーン125の移動により一方の乗降口と他方の乗降口との間を循環移動する。
【0010】
踏段123の循環移動経路における往路側よりも下方の帰路側において、踏段123は、帰路側ガイドレールに案内されて踏面123aが傾斜面とほぼ平行に一直線に並ぶように保持された状態で降口から乗口まで移動する。また、踏段123は、踏面が鉄やアルミニウムなどの導電体よりなる。
【0011】
この帰路側の踏段123の移動経路よりも下側でかつ、踏段123の踏面123aに対向させて平行に、リニアモータの一次コイルを有する一次鉄心126が配設され、トラス122の図示しないフレームに取り付け固定される。そして、このこの一次鉄心126の一次コイルに三相交流を印加することにより、この一次鉄心124に対向する踏段の踏面123aがリニアモータの二次導体となり、踏段123に推進力を生じさせる。
【特許文献1】特公昭61−41834号公報(第1−6頁、第1図、第2図)
【特許文献2】特公平5−4310号公報(第1−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した図10に示されるエスカレータ101では、駆動装置110の駆動チェーン116により踏段103と連結する歯付の踏段チェーン105を駆動している。しかしながら、このような歯付の踏段チェーン105を、踏段103を連結するチェーンとして使用した場合、この歯付の踏段チェーン105が移動方向を変えて折り返す端部では、通常の踏段チェーンに比べて速度ムラがあるため、等速で回転する円形スプロケットを用いて反転させることが困難である。このため、踏段チェーンとして図10に示した歯付の踏段チェーン105を使用した場合には、この歯付の踏段チェーン105を擬似円弧形状の反転レール等を用いて反転させる必要があり、チェーン端部を駆動する駆動機構として、安価で標準的なスプロケットを用いた駆動機構を併用することが難しかった。また、前述した速度ムラに起因して、振動が大きいという問題もあった、また、前記のような振動課題以外にも、駆動チェーン116で歯付の踏段チェーン105を機械的に駆動するため、駆動チェーン116と踏段チェーン105との噛み合わせ時に生じる騒音が大きいという課題がある。
【0013】
一方、前述した図11に示される乗客コンベア装置では、リニアモータによる電磁的で非接触な推進力により踏段チェーン125を駆動しているために、騒音は小さくできる。しかしながら、図11に示したエスカレータ121では、踏段チェーン125を駆動するための駆動装置としての一次鉄心126が、帰路側の踏段123よりも下側に配設され、一次鉄心126に対向する踏面に対して駆動力を付与する構成になるから、この駆動装置としての一次鉄心126は、必然的に搬走路の下に配置されることになる。そのため、エスカレータの深さ方向にスペースが必要となる、全体として大きな設置スペースが必要となるという課題がある。更に、設置スペースが大きいことにより、工事費用が高くなったり、場所によってはスペースを確保できず設置できないという課題がある。
【0014】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、振動、騒音が小さく、コンパクトで移動距離の長い踏段チェーンを駆動可能な駆動機構を有する乗客コンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の乗客コンベア装置は、複数の踏段と、前記複数の踏段を連結して循環移動する無端状の踏段チェーンと、前記踏段チェーンの一方の折り返し部と他方の折り返し部との間に設けられ、前記複数の踏段を案内するガイドレールと、前記踏段チェーンの内周側に設けられ、往路側の前記踏段チェーン及び帰路側の前記踏段チェーンの少なくとも一方と噛合して駆動力を伝達する中間部駆動装置とを備え、前記中間部駆動装置が、前記踏段チェーンと噛合する歯を有し二次側リニアモータが取り付けられた複数のリンクを、この歯を外周側にして互いに回動可能に連結して環状にした歯付循環リンクと、前記循環リンクを前記踏段チェーンと噛合する循環経路で案内する循環用レールと、前記歯付循環リンクの内周側で前記二次側リニアモータに対向して設けられた一次側リニアモータとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗客コンベア装置によれば、振動・騒音が少なく、コンパクトな中間部駆動装置を備える乗客コンベア装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の乗客コンベア装置の実施例について、図面を参照して説明する。
【0018】
(実施例1)
図1ないし図6を用いて実施例1を説明する。まず、図1は、本発明の乗客コンベア装置の第1の実施例としてのエスカレータを示す全体図である。本実施例のエスカレータ1は、自重及び積載荷重を支えるトラス2内に、複数の踏段3を備えている。なお、同図では複数の踏段のうちの一部のみを図示している。各踏段3は、前後にガイドローラを備えている。これらの踏段3をトラス2内で乗口と降口との間を案内するために、踏段ガイドレール4が設けられている。踏段3は、そのガイドローラを踏段ガイドレール4に合わせて取り付けられ、踏段3のガイドローラが踏段ガイドレール4上を転動することにより踏段ガイドレール4に沿って移動可能になっている。
【0019】
複数の踏段3は、無端状の踏段チェーン5により連結され、この踏段チェーン5が駆動されることによりトラス2内で循環移動を行う。この踏段チェーン5は、ピンローラ5aを有するチェーンであって、歯を有するものではない。この踏段チェーン5としては、踏段チェーンの折り返し部でスプロケットにより駆動されるような、一般的な乗客コンベア装置で使用される踏段チェーンを用いることができる。
【0020】
この踏段チェーン5の進行方向が反転する上階側及び下階側の折り返し部には、スプロケット6及びスプロケット7がそれぞれ設けられ、踏段チェーン5は、これらのスプロケット6及びスプロケット7に巻きかけられて進行方向が反転される。
【0021】
トラス2の上側には、踏段の両端部に欄干8が設けられ、この欄干8に沿って手すりベルト9が取り付けられている。手すりベルト9は、図示しない手すりベルト駆動装置により挟圧駆動されて踏段3と同一方向に同一速度で移動するようになっている。
【0022】
前記踏段チェーン5を駆動するための中間駆動装置としてのチェーン駆動装置10が、エスカレータ1の中間部でかつ、踏段チェーン5の内周側に設けられている。このチェーン駆動装置10を、図2を用いて詳述する。
【0023】
図2は、チェーン駆動装置10の詳細図である。チェーン駆動装置10は、歯付循環リンク11と、この歯付循環リンク11を前記踏段チェーン5と噛合する循環経路で案内する循環用レール12と、歯付循環リンク11の内周側に設けられた一次側リニアモータ13とを備えている。
【0024】
この歯付循環リンク11は、隣り合う複数のリンク11aが、各リンク11aの両端部に取り付けられたピン11bを介して回動可能に連結されることにより環状になっている。また、複数のリンク11aのそれぞれは、歯付循環リンク11の内周側となる位置に、二次側リニアモータとしての導電体11cが取り付け固定されている。前記一次側リニアモータ13は、循環用レール12により案内される歯付循環リンク11の循環経路に沿って、この導電体11cに近接して対向するように配設されている。
【0025】
図3はリンク11aの斜視図である。同図に示すように、各リンク11aは、踏段チェーン5と噛み合う歯11dを有し、この歯11dが歯付循環リンク11においては外周側に位置される。また、各リンク11の幅方向両端部のうち一方の端部には、他方の端部の厚みよりも大きな間隙を有する縦溝11eが設けられている。この縦溝11eに、隣り合うリンク11aの幅方向端部が嵌め合わされた状態で、当該端部にピン11bを貫通させることにより隣り合うリンク11aは回動可能に連結される。
【0026】
図4は、図2のA−A断面図である。同図に示すように、ピン11bの両端部には回転可能なローラ11fがそれぞれ設けられ、このローラ11fが循環用レール12に沿って案内されることにより、歯付循環リンク11は、移動経路の一部で踏段チェーン5と噛合しつつ循環移動する。歯付循環リンク11と踏段チェーン5との噛合は、往路側及び帰路側の踏段チェーン5の少なくとも一方と噛合すれば良いが、歯付循環リンク11から踏段チェーン5に効率良く駆動力を伝達するためには、往路側及び帰路側の両方で踏段チェーン5に歯付循環リンク11が噛合することが望ましい。
【0027】
歯付循環リンク11の内周側に取り付け固定されている二次側リニアモータとしての導電体11cは、普通鋼やステンレス鋼やアルミニウム等の材料を用いることができる。この導電体11cは、近接して設けられる一次側リニアモータ13との相互作用により推進力を生じさせるためのものである。したがって、十分な推進力を得るために、導電体11cは、一次側リニアモータ13と対向する側の表面積をある程度は確保することが望ましい。
【0028】
図4に示した例では、導電体11cは、一次側リニアモータ13とは上下方向で対向しているが、導電体11cの構成は、図4に示した例に限られない。図5は、導電体11cと一次側リニアモータ13との位置関係の別の例を示す断面図である。なお、図4において、図3と同一の部材については同一の符号を付し、以下では重複する説明を省略する。
【0029】
図5に示す例では、導電体11cは、リンク11aの内周側において、厚み方向をリンク11aと同じくして取り付け固定されている。そして、一対の一次側リニアモータ14がこの導電体11cを挟むように、導電体11cとは水平方向に対向して近接して配設されている。図5に示した例では、導電体11cの両側に一次側リニアモータ14が配設されることにより、導電体11cと一方の一次側リニアモータ14との間に生じる吸引力が、他方の一次側リニアモータ14との間に生じる吸引力で打ち消される。
【0030】
図1〜5を用いて説明した本実施例のエスカレータ1においては、前記歯付循環リンク11の内周側において、歯付循環リンク11の導電体11cに対向して配設された一次側リニアモータ13に交流を流すことにより移動磁界を発生させ、誘導式リニアモータとしての作用により前記導電体11cに推進力が加わる。この推進力によって歯付循環リンク11が循環用レール12に沿って駆動される。そうすると歯付循環リンク11の歯11dが、踏段チェーン5のピンローラ5aと噛合して歯付循環リンク11の移動方向と平行な方向に押すことによって、踏段チェーン5が駆動される。このようにして、踏段チェーン5に連結されている踏段3が駆動される。
【0031】
なお、チェーン駆動装置10の駆動力は,導電体11cと一次側リニアモータ13との間隔に依存し、この間隔が狭いほど推進力は大きくなるが、その一方で導電体11cと一次側リニアモータ13との吸引力も大きくなる。この吸引力を支えるローラ11f、循環用レール12及び重量を支えるトラス2が、前記吸引力に耐えられる構造とすることで、前記間隔を狭くすることができ、推進力を大きくすることができる。また、導電体11cと一次側リニアモータ13とが非接触のチェーン駆動装置10により踏段チェーン5を駆動するため、振動、騒音が小さくなる。
【0032】
以上のことから、本発明によれば、踏段チェーン5の内周側にチェーン駆動装置10を配設するため、従来技術のようにエスカレータの深さ方向に踏段チェーン駆動装置のための新たなスペースを設けることが不要である。また、導電体11cと一次側リニアモータ13とにより構成されるリニアモータが非接触に駆動力を生じさせるため、振動、騒音が小さい。更に、チェーン駆動装置10をエスカレータ1の中間部に複数個を分散配置できるため、移動距離の長い乗客コンベア装置であっても、その移動距離に応じた適切な駆動力を得ることができる。
【0033】
また、踏段チェーン5について、従来の歯付チェーンのような特殊な踏段チェーンを用いる必要がないので、踏段チェーンの折り返し部においては安価で標準的なスプロケットにより反転させることができる。
【0034】
踏段チェーン5は、踏段3の両端部に、すなわち踏段3の左右に、それぞれ設けられる。踏段チェーン5に噛合して駆動するチェーン駆動装置10は、左右の踏段チェーンの両方に取り付けることもできるし、片方のみに取り付けることもできる。駆動力の観点からは、両方に取り付けることが有利である。いずれの場合であっても、左右の踏段チェーンの移動速度を同期させることが必要である。そのため、図1に示すように左右の踏段チェーン5の上階側の折り返し部には、スプロケット6が、また、下階側の折り返し部にはスプロケット7がそれぞれ配設されて、スプロケット6、7はいずれも、左右のスプロケットが共通の回転軸6a、7aによって連結されている。これにより、両側を駆動される踏段3が偏って駆動されることはない。
【0035】
踏段チェーン5を駆動するための駆動機構は、踏段チェーンの中間部に1箇所又は複数箇所に配設されたチェーン駆動装置10を用いるばかりでなく、さらに前記踏段チェーン5の折り返し部に設けられたスプロケット6又は7に駆動力を伝達する別の駆動装置を配設してもよい。例えば上階側のスプロケット6に駆動力を伝達する駆動装置を設けることにより、この上階側のスプロケットに駆動利類を伝達する駆動装置と、エスカレータの中間部に設けられたチェーン駆動装置とに駆動力を分担させることができ、適切な駆動力を効果的に得ることができる。
【0036】
さらに、前記踏段チェーン5の折り返し部及び前記各チェーン駆動装置10(中間部駆動装置)の何れか一方又は両方に、踏段チェーン5の循環を停止させる制動装置を配置することできる。その例を図6を用いて説明する。
【0037】
図6は、エスカレータ1の下階側の踏段チェーン5の折り返し部近傍の模式図である。図6において、左右の踏段チェーン5は、折り返し部に設けられたスプロケット7に巻きかけられている。左右のスプロケット7は、共通の回転軸7aによって連結されている。左右のスプロケット7には、制動装置としてのブレーキ21が設けられている。この制動装置21は、トラス2内に取り付けられ、開閉可能な先端部がスプロケット7を挟圧することによりスプロケット7の回転を制動するものである。なお、図6における符号22は、回転軸7aを回動可能に支持する支持装置、符号23は、踏段チェーン5の緊張装置である。
【0038】
図6に示されるように、ブレーキ21を設けることにより、安全に乗客コンベア装置を停止することができる。図6では、スプロケット7にブレーキ21を配設しているが、回転軸7aにスプロケット7とは別のブレーキ用ディスクを設けて、そのブレーキ用ディスクにブレーキ21を取り付けても良い。
【0039】
また、前記チェーン駆動装置10の循環運動を利用して、手すりベルト9を駆動する手すりベルト駆動装置に駆動力を伝達することもできる。この場合、手すりベルト9と踏段3との送り速度を容易に一致させることができ、乗客に手すりベルト9と踏段3とがずれたような違和感を感じさせることがない。
【0040】
また、前記折り返し部に配設した駆動装置の回転運動を利用して、手すりベルト9を駆動する手すりベルト駆動装置に駆動力を伝達することもできる。この場合、手すりベルト9と踏段3との送り速度を容易に一致させることができ、乗客に手すりベルト9と踏段3とがずれたような違和感を感じさせることがない。
【0041】
(実施例2)
次に本発明の実施例2について、図7を用いて説明する。図7は、乗客コンベア装置におけるチェーン駆動装置10の別の例を説明する模式図である。なお、図7においては、実施例1で述べた構成と異なる部分を特徴的に示してあり、実施例1と同一の部材については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、歯付循環リンク11は、歯11dとは反対側となる内周側に取付板11gが固定され、この取付板11gに永久磁石11hが長手方向に複数個を並べて配設されている。また、この永久磁石11hに対向して配設される一次側リニアモータ13のコイル13aは、樹脂13bによってモールドされている。
【0043】
このような構成を有する乗客コンベア装置においては、前記複数個が並べられた永久磁石11hと前記一次側リニアモータ13とから、永久磁石リニアモータが構成されるため、実施例1に示した誘導式リニアモータと同様に、歯付循環リンク11を駆動することができる。
【0044】
したがって、本実施例によっても、従来のように振動・騒音を発生することもなく、また、新たな設置スペースが不要な乗客コンベア装置を提供することができる。
【0045】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3を図8、図9を用いて説明する。図8及び図9は、本発明による乗客コンベアのチェーン駆動装置10の他の例の説明図である。なお、同図において、実施例1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図8に示す本実施例では、歯付循環リンク11を、踏段チェーン5と噛合する循環経路で案内するための循環用レールが上下に分割されて、循環用レール12A及び循環用レール12Bとからなる。前記循環用レール12A及び循環用レール12Bの端部におけるローラ11fと接する面は、これらの循環用レール12A、12Bにより案内されるローラ11fの移動軌跡に従う曲面状になる。また、歯付循環リンク11のピッチL1と前記循環用レール12A及び12B間の距離L2とがほぼ等しい構成になっている。
【0046】
このように構成された乗客コンベア装置においては、歯付循環リンク11のピッチL1と前記循環用レール12A及び12B間の距離L2とがほぼ等しいため、上側の循環用レールと下側の循環用レールとの間で循環に伴い移動するピン11bの位置が一意的に決まる。このため、上側の循環用レール12Aと下側の循環用レール12Bとの間には循環用レールを設置する必要がない。また、このように構成することで、ローラ11fの動きをより滑らかにすることができる。
【0047】
更に図9に示すように、チェーン駆動装置10は、上側のチェーン駆動部と下側のチェーン駆動部とを独立して駆動させることができるため、例えば下側のローラ11fの位置をA0点からA1点まで移動させた状態でも駆動させることができる。これにより、踏段チェーン5が長期間の使用によって多少伸びた場合でも、上側の駆動部と下側の駆動部の相対位置をずらして問題なく駆動させることができる。このため、駆動についての効率を下げることがない。
【0048】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、更に振動、騒音が小さく、踏段チェーンの伸びにも対応可能な乗客コンベア装置を提供することができる。
【0049】
なお、以上述べた実施例では、本発明の乗客コンベア装置を建物の上下階に跨って設置されるエスカレータに適用した例を説明したが、本発明は動く歩道などのように、踏段に乗客を載せて運搬する他のコンベア装置に対しても有効に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の乗客コンベア装置の第1の実施例としてのエスカレータを示す全体図である。
【図2】チェーン駆動装置の詳細図である。
【図3】リンクの斜視図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】導電体と一次側リニアモータとの位置関係の別の例を示す断面図である。
【図6】エスカレータの下階側の踏段チェーンの折り返し部近傍の模式図である。
【図7】乗客コンベア装置におけるチェーン駆動装置の別の例を説明する模式図である。
【図8】本発明による乗客コンベアのチェーン駆動装置10の他の説明図である。
【図9】本発明による乗客コンベアのチェーン駆動装置10の他の説明図である。
【図10】従来のエスカレータの模式図である。
【図11】従来のエスカレータの駆動装置の要部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
1 エスカレータ(乗客コンベア装置)
2 トラス
3 踏段
4 踏段ガイドレール
5 踏段チェーン
6 スプロケット
7 スプロケット
7a 回転軸
8 欄干
9 手すりベルト
10 チェーン駆動装置
11 歯付循環リンク
11c 導電体(二次側リニアモータ)
12 循環用レール
13 一次側リニアモータ
21 ブレーキ(制動装置)




 

 


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