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発明の名称 免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45547(P2007−45547A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−229524(P2005−229524)
出願日 平成17年8月8日(2005.8.8)
代理人 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次
発明者 首 藤 正 志
要約 課題
建物内における有効利用可能な床面積が削減されることを極力抑制し、また、構成部材の取付構造の複雑化を回避すること。

解決手段
地震発生時に免震装置1の働きによってN階とN+1階との間に相対変位が生じても、この相対変位に追従するように、N階の乗場ドア支持部材17が回転して乗場ドア囲み部材10及び乗場ドア9が垂直姿勢を維持した状態で水平移動する。したがって、ガイドレール3とかご6との間の距離が大きく変動するのを防ぐことができ、利用者は乗場ドア9を通ってかご6に対する乗降を支障なく行うことができると共に、かご6は乗場ドア9にぶつかることなくN階を通過することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
免震層階の乗降口に配設され、地震発生時における免震層階とその上方隣接階との相対変位に追従して、乗降口の乗降方向への傾斜又は乗降口の間口方向への水平変位が可能な乗場ドア支持部材と、
前記乗場ドア支持部材に取り付けられ、前記乗場ドア支持部材の傾斜又は水平変位に追従した水平移動を、垂直姿勢を維持した状態で行う乗場ドアと、
を備えたことを特徴とする免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項2】
前記乗場ドア支持部材は、前記免震層階の乗降口の上部及び下部にそれぞれ配設された上部軸支部材及び下部軸支部材に軸支されることにより前記傾斜を可能とするものである、
ことを特徴とする請求項1記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項3】
前記上部軸支部材又は下部軸支部材のいずれか一方は前記乗降口の間口方向に延びる長寸状部材であり、前記乗場ドア支持部材はこの長寸状部材に沿って前記水平変位を行うものである、
ことを特徴とする請求項2記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項4】
前記長寸状部材の中間部に取り付けられ、前記免震層階とその上方隣接階との相対変位が水平面内での回転成分を含んだものである場合に、前記乗場ドアに水平面内での回転を許容するユニバーサルジョイント部材を備えた、
ことを特徴とする請求項3記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項5】
前記乗場ドア支持部材には前記乗降方向に長い長孔部が設けられていると共に、前記乗場ドアの側面部にはこの長孔部を挿通する係着ロッドが固着されており、
更に、前記乗場ドア支持部材と前記乗場ドアとの間には、乗場ドア支持部材17が傾斜動作を急停止させた場合又は傾斜方向を急転換させた場合に、前記係着ロッドが前記長孔部内側に強く衝突するのを防止するバネ部材が介挿されている、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項6】
エレベータガイドレールを昇降路内で支持するレール支持部材は、昇降路区間中のうちの前記免震層階を通る区間には配設されない、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
【請求項7】
前記乗場ドアの周囲には、前記乗場ドアの水平移動に伴って生じる空隙部を覆うための乗場ドア囲み部材が取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間部に免震装置を有する免震建物に用いられるエレベータの乗場ドア設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免震建物は、中間部に免震装置を設け、地震発生時には免震装置の上方階床と下方階床との間の水平方向における相対変位を許容して地震エネルギーを分散させ、これにより構造物の損壊を防止しようとするものである。このような免震建物に設置されるエレベータ設備では、免震装置が設けられている階床(免震層階)とその直ぐ上の階床(上方隣接階)との間の大きな相対変位により昇降路も変形することになる。このときの昇降路の変形により、ガイドレールと乗場ドアとの間の距離が大きく変化すると、これらの階床におけるエレベータかごの通過やエレベータかごに対する乗客の乗降が不可能になる。したがって、免震建物に設置されるエレベータ設備では、免震層階及び上方隣接階におけるガイドレールとエレベータかごとの間の距離を極力変化させない構造とすることが要求される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図10は、この特許文献1に開示された従来技術の説明図である。この図において、基礎51に低層部52が建設され、この低層部52の上方に免震装置53を介して高層部54が建設されている。これら低層部52及び高層部54の中央部には、垂直方向に内部を貫通する昇降路55が形成されている。昇降路55の内部にはガイドレール56が設けられ、このガイドレール56に沿ってかご57が昇降路55内を昇降動するようになっている。
【0004】
そして、免震装置53を中心とする上下方向には、昇降支柱体58が昇降路55内に設けられている。昇降支柱体58の下部側は拘束材59,60により昇降路壁61に固定されている。また、この昇降支柱体58には乗場ドア62が設けられている。
【0005】
免震装置53を中心とする昇降支柱体58の低層部側高さH1及び高層部側高さH2は等しくなっており、昇降支柱体58と低層部側及び高層部側昇降路壁61との間の各クリアランスはL1,L2となっている。
【0006】
そして、地震発生時には昇降支柱体58が変形すると共に、免震装置53の働きにより高層部側と低層部側との間に相対変位が生じ、高層部54の最大変位位置は破線で示す位置となる。クリアランスはL1,L2の値は、このときの高層部54の変位量L0の2分の1とすることができる。
【特許文献1】特開平10−88847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図10に示したような、昇降路55内に昇降支柱体58を配設する構成とすると、昇降支柱体58の配設分だけ昇降路55の横断面積を大きくしなければならず、しかも、このような大きな横断面積の昇降路55を有する階床は複数階床(図10のH1,H2の範囲の階床)にわたることになる。したがって、その分だけ建物内における有効利用可能な床面積が削減されることになり、建物の価値の低下につながることになる。このようなことから、特許文献1のような昇降支柱体を用いる構成は、主として大規模なビルのみに適用され、中規模以下のビルに適用されることは余りなかった。
【0008】
また、図9の構成では、複数階床にわたり昇降支柱体58でガイドレール56を支持しているが、地震発生時におけるガイドレール56の変形に追従するように昇降支柱体58も変形するようにしなければならない。しかし、このような変形を可能にするための剛性の確保が難しく、昇降支柱体58及びその他の構成部材の取付構造が複雑になるという問題を有していた。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、建物内における有効利用可能な床面積が削減されることを極力抑制し、また、構成部材の取付構造の複雑化を回避することが可能な免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、免震層階の乗降口に配設され、地震発生時における免震層階とその上方隣接階との相対変位に追従して、乗降口の乗降方向への傾斜又は乗降口の間口方向への水平変位が可能な乗場ドア支持部材と、前記乗場ドア支持部材に取り付けられ、前記乗場ドア支持部材の傾斜又は水平変位に追従した水平移動を、垂直姿勢を維持した状態で行う乗場ドアと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記乗場ドア支持部材は、前記免震層階の乗降口の上部及び下部にそれぞれ配設された上部軸支部材及び下部軸支部材に軸支されることにより前記傾斜を可能とするものである、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記上部軸支部材又は下部軸支部材のいずれか一方は前記乗降口の間口方向に延びる長寸状部材であり、前記乗場ドア支持部材はこの長寸状部材に沿って前記水平変位を行うものである、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記長寸状部材の中間部に取り付けられ、前記免震層階とその上方隣接階との相対変位が水平面内での回転成分を含んだものである場合に、前記乗場ドアに水平面内での回転を許容するユニバーサルジョイント部材を備えた、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記乗場ドア支持部材には前記乗降方向に長い長孔部が設けられていると共に、前記乗場ドアの側面部にはこの長孔部を挿通する係着ロッドが固着されており、更に、前記乗場ドア支持部材と前記乗場ドアとの間には、乗場ドア支持部材17が傾斜動作を急停止させた場合又は傾斜方向を急転換させた場合に、前記係着ロッドが前記長孔部内側に強く衝突するのを防止するバネ部材が介挿されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、エレベータガイドレールを昇降路内で支持するレール支持部材は、昇降路区間中のうちの前記免震層階を通る区間には配設されない、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、前記乗場ドアの周囲には、前記乗場ドアの水平移動に伴って生じる空隙部を覆うための乗場ドア囲み部材が取り付けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、建物内における有効利用可能な床面積が削減されることを極力抑制し、また、構成部材の取付構造の複雑化を回避することが可能な免震建物用エレベータの乗場ドア設置構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る乗場ドア設置構造を示す昇降路回りの縦断面図である。免震装置1は、ある特定の階床(N階)に設置されており、地震発生時にはN階とN+1階との間の相対変位を許容するようになっている。そして、建物内には昇降路2が形成され、この昇降路2内にはかご用ガイドレール3及びカウンタウェイト用ガイドレール4がレール支持部材5により配設されている。かご6及びカウンタウェイト7は、これらのガイドレール3,4に沿って互いに反対方向に昇降動するようになっている。なお、地震発生時には、免震装置1の働きによりN階とN+1階(上方隣接階)との間に相対変位が生じるので、N階における昇降路2を形成している内壁8の位置は寸法Lだけ外側にずれて大きな昇降路面積が確保されている。
【0019】
各階床の乗降口には乗場ドア9が設置されているが、これらのうち免震層階であるN階に設置されている乗場ドア9は、その周囲が乗場ドア囲み部材10により覆われている。天井から下方に延びる壁部11、及び床部12には、それぞれ溝部11a,12aが形成されている。そして、これら溝部11a,12aに、乗場ドア囲み部材10の上端部及び下端部が嵌合しており、乗場ドア囲み部材10は乗降口の乗降方向に水平移動可能になっている。
【0020】
昇降路2側に面した壁部11の壁面には一対の取付座13が設置されており、この一対の取付座13を1本の上部軸支部材15が挿通している。この上部軸支部材15は、乗降口の間口方向に延びる長寸状部材である。また、昇降路2側に面した床部12に続く壁面には一対の取付座14が設置されており、それぞれの取付座14を短寸状部材である下部軸支部材16が挿通している。そして、これら軸支部材15,16に、一対の乗場ドア支持部材17の上端部及び下端部が軸支されている。
【0021】
図2は、図1における乗場ドア支持部材17回りの取付構造を示す斜視図である。この図に示すように、一対の乗場ドア支持部材17は、乗場ドア囲み部材10に周囲が覆われている乗場ドア9の両サイドに配置されており、その各上端部は、乗降口の間口方向に延びる長寸状部材である1本の上部軸支部材15により一対の取付座13に軸支されている。また、一対の乗場ドア支持部材17の各下端部は、短寸状部材である2本の下部軸支部材16により一対の取付座14に軸支されている。なお、本明細書において、乗降口の「間口方向」とは矢印Y1に示す方向であり、乗降口の「乗降方向」とは矢印Y2に示す方向である。
【0022】
乗場ドア支持部材17には、乗降方向に長い形状に形成された長孔部17a,17bが設けられている。一方、乗場ドア9の側面部には、係着ロッド18,19が固着されている。これら係着ロッド18,19の先端部は乗場ドア囲み部材10を突き抜けて長孔部17a,17bを挿通した状態になっている。
【0023】
また、長孔部17a,17bの間には、切り欠き部17cが形成されており、この切り欠き部17cに取付座20が固着されている。一方、乗場ドア9の側面部には取付座21が固着され、この取付座21は乗場ドア囲み部材10を突き抜けて取付座20と対向した状態となっている。そして、これら取付座20,21間にバネ部材22(例えばコイルバネ)が介挿されている。このバネ部材22は、圧縮された状態で介挿されており、取付座20,21間には常時一定以上の反発力が作用するようになっている。
【0024】
図3は、上記のバネ部材22が介挿された状態を示す断面図である。取付座21には、心棒23の基端部が溶着されており、この心棒23がバネ部材22の内部を挿通した状態になっている。そして、心棒23の先端部は、取付座20に形成されている孔部20aを通過して反対側に突出している。
【0025】
次に、上記のように構成される第1の実施形態の作用につき説明する。通常時すなわち地震が発生していない時には、N階とN+1階との間の相対変位量は殆どなく、したがって図1に示されるように、ガイドレール3,4も変形することなく昇降路2内を直線状に上下に延びた状態になっている。
【0026】
しかし、地震が発生すると、免震装置1の働きによりN階とN+1階との間の相対変位量が大きくなり、ガイドレール3,4も通常時の位置から大きく水平方向に変位して変形する。図4は、N階に対してN+1階が左方に変位した状態を示し、図5は、N階に対してN+1階が右方に変位した状態を示している。
【0027】
ここで、ガイドレール3,4を支持する支持部材は、昇降路2区間中のN階(免震層階)を通る区間には配設されておらず、この区間ではガイドレール3,4はN階とN+1階との間の相対変位に容易に追従して変形できるようになっている。つまり、図4又は図5において、レール支持部材5,5Aの取付位置はN階に対してそれぞれ下方及び上方になっており、レール支持部材5,5A間の距離が長くなっているため、必要な強度を維持しつつ変形が可能になっている。これに対し、N階とN−1階との間の相対変位は、N階とN+1階との間ほどには大きくならないため、レール支持部材5,5B間の距離はそれほど長くする必要はない。
【0028】
図4に示した状態では、N+1階の左方への相対変位に伴って、乗場ドア支持部材17が左方へ傾斜し、またガイドレール3及びかご6も左方に傾斜した状態になっている。しかし、溝部11a,12aに上端部及び下端部が嵌合している乗場ドア囲み部材10は乗降口の乗降方向に水平移動可能であるため、乗場ドア囲み部材10及びその内部に配設されている乗場ドア9は垂直姿勢を維持している。
【0029】
したがって、乗場ドア9上部側ではかご6上部側との距離が小さくなって接近した状態となり、一方、乗場ドア9下部側ではかご6下部側との距離が大きくなって離間した状態となる。しかし、下部軸支部材16と長孔部17aとの間の距離は、下部軸支部材16と上部軸支部材15との間の距離の約4分の3となっているため、乗場ドア9及び乗場ドア囲み部材10の移動量も、N階とN+1階との間の相対変位量の約4分の3となる。そのため、乗場ドア9上部側とかご6上部側とが接触することはなく、かご6はN階を通過することが可能である。
【0030】
一方、図5に示した状態では、N+1階の右方への相対変位に伴って、乗場ドア支持部材17が右方へ傾斜し、またガイドレール3及びかご6も右方に傾斜した状態になっている。しかし、溝部11a,12aに上端部及び下端部が嵌合している乗場ドア囲み部材10は乗降口の乗降方向に水平移動可能であるため、乗場ドア囲み部材10及びその内部に配設されている乗場ドア9は垂直姿勢を維持している。
【0031】
したがって、乗場ドア9下部側ではかご6下部側との距離が小さくなって接近した状態となり、一方、乗場ドア9上部側ではかご6上部側との距離が大きくなって離間した状態となる。しかし、下部軸支部材16と長孔部17bとの間の距離は、下部軸支部材16と上部軸支部材15との間の距離の約4分の1となっているため、乗場ドア9及び乗場ドア囲み部材10の移動量も、N階とN+1階との間の相対変位量の約4分の1となる。そのため、乗場ドア9上部側とかご6上部側とが接触することはなく、かご6はN階を通過することが可能である。
【0032】
また、図5の状態では、N+1階の右方への相対変位に伴って、乗場ドア9が昇降路2側にせり出した状態となっているが、乗場ドア9の周囲は乗場ドア囲み部材10で覆われており、この乗場ドア囲み部材10の幅は乗場ドア9の幅よりも充分に大きなものとなっている。したがって、乗場ドア9の前に立っている利用者が、床部12の縁部と乗場ドア9との間に生じた下方の隙間から足を踏み外したり、また、上方又は側方の隙間からの落下物にぶつかるなどの事故を防止することができる。
【0033】
図4及び図5は、N階とN+1階との間の相対変位が乗降口の乗降方向である場合の状態を示したものであるが、地震発生の際の実際の相対変位は、乗降方向ばかりでなく間口方向についても同時に発生する。図6は、図5のVI-VI方向矢視図であり、乗降口の間口方向におけるN階とN+1階との間の相対的水平変位の状態を示した説明図である。この図に示すように、N+1階がN階に対してδだけ右方に水平変位したので(あるいはN階がN+1階に対してδだけ左方に水平変位したので)、左側乗場ドア支持部材17と左側取付座13との間の隙間はゼロであるが、右側乗場ドア支持部材17と右側取付座13との間の隙間gは大きくなっている。つまり、乗場ドア支持部材17は、N階とN+1階との間に間口方向へのズレが生じても、長寸状部材である上部軸支部材15に沿って乗降口の間口方向に水平変位を行うことができるので、変形又は破損を生じることがない。この場合、乗場ドア9は乗降口の間口方向に変位するため、かご6に対する乗降範囲の幅がある程度狭められることにはなるが、利用者の乗降に支障が生じるほどのものではなく実用上問題になることはない。
【0034】
なお、本実施形態では、一対の乗場ドア支持部材17の上端部を1本の長寸状上部軸支部材15で軸支し、下端部を2本の短寸状下部軸支部材16で軸支する構成を採用しているが、これを逆にして、一対の乗場ドア支持部材17の上端部を2本の短寸状上部軸支部材で軸支し、下端部を1本の長寸状下部軸支部材で軸支する構成を採用してもよい。
【0035】
ここで、図2において、取付座20,21間に介挿されているバネ部材22の機能につき説明する。現在、取付座20,21間にはバネ部材22の反発力が働いており、係着ロッド18,19はそれぞれ長孔部17a,17bの右側縁部に内接した状態になっている。
【0036】
この状態で地震が発生し、壁部11が乗降方向(Y2)のうちの一方の方向(例えば左方奥側)に移動すると、乗場ドア支持部材17は、下部軸支部材16を中心として、左方奥側へある角度だけ回転(傾斜)する。したがって、係着ロッド18が長孔部17aの右側縁部に規制されることにより乗場ドア9も左方奥側へ水平移動する。なお、係着ロッド19も長孔部17bに規制されているが、下部軸支部材16を中心とする円弧の長さは係着ロッド19よりも係着ロッド18の方が大きいので、乗場ドア9の水平移動量は係着ロッド19の移動量により決まる。
【0037】
乗場ドア9がこのような水平移動を行っている間、取付座21はバネ部材22により常時反発力を受けている。したがって、乗場ドア支持部材17の回転動作(傾斜動作)が急停止した場合に、係着ロッド18が長孔部17aの左側縁部に対して勢いよくぶつかることを防止することができる。
【0038】
次いで、壁部11が移動方向を反転させ、今度は乗降方向(Y2)のうちの他方の方向(右方手前側)に移動すると、係着ロッド18が長孔部17aの左側縁部に規制されることにより、乗場ドア9は右方手前側へ水平移動する。この水平移動の間も取付座21はバネ部材22により常時反発力を受けている。したがって、今度も乗場ドア支持部材17の回転動作(傾斜動作)が急停止した場合に、係着ロッド18が長孔部17aの右側縁部に対して勢いよくぶつかることを防止することができる。
【0039】
このように、バネ部材22は、地震発生の際に乗場ドア支持部材17が回転(傾斜)を急停止したり回転方向(傾斜方向)を急転換させた場合のダンパとして機能している。したがって、地震発生の際の振動が急峻な場合でも、係着ロッド18,19が長孔部17a,17bの内側と激しく衝突して乗場ドア9側に大きな衝撃を与え、各種部材又は機器類に悪影響を及ぼすような事態を回避することができる。
【0040】
なお、図2においては、長孔部17a,17bの長軸形成方向は矢印Y2方向に沿った水平方向になっており、乗場ドア囲み部材10の水平移動を可能にしている。ところが、乗場ドア支持部材17は下部軸支部材16を中心とした回転動作を行っているので、この回転動作を重視した観点からは、これら長孔部17a,17bの形状も、下部軸支部材16を中心とする円弧の一部とすべきであるともいえる。しかし、実際には乗場ドア支持部材17の回転角度はそれほど大きなものではなく、また長孔部17a,17bの幅(すなわち短軸長さ)を係着ロッド18,19の直径よりもある程度余裕を持って大きくしておけば、図2のように長軸形成方向が水平方向であっても実用上問題が生じることはない。
【0041】
このように、第1の実施形態の構成では、地震発生時に免震装置1の働きによってN階とN+1階との間に相対変位が生じても、この相対変位に追従するように、N階の乗場ドア支持部材17が回転して乗場ドア囲み部材10及び乗場ドア9が垂直姿勢を維持した状態で水平移動する。したがって、ガイドレール3とかご6との間の距離が大きく変動するのを防ぐことができ、利用者は乗場ドア9を通ってかご6に対する乗降を支障なく行うことができると共に、かご6は乗場ドア9にぶつかることなくN階を通過することができる。
【0042】
そして、第1の実施形態の構成は、図9に示した従来構成のように、昇降支柱体を用いるものではないので、昇降路2の面積を大きくする必要はなく、建物内における有効利用可能な床面積が削減されることはない。
【0043】
また、第1の実施形態の構成は、免震層階における乗場ドアの取付構造も複雑なものではないため、新規な建物は勿論のこと、既存の建物を免震構造とするような場合にも積極的に採用することができると共に、ビルの規模の大小を問わず採用することが可能である。
【0044】
更に、第1の実施形態の構成は、乗場ドア9側とガイドレール3側との間が機械的に連結された構造となっているわけではなく、切り離された構造となっているので、乗場ドア9側とガイドレール3側との間に垂直方向の大きな相対変位が生じたとしても、これにより乗場ドア9付近の部材に大きな力が加わり、破損するような事態を回避することができる。
【0045】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る乗場ドア設置構造を示す昇降路回りの縦断面図である。免震層階であるN階と、その上方隣接階であるN+1階との間の相対変位には、建物の規模や免震層階の設置位置によっては、水平面内での回転成分が含まれるような場合も生じるが、この実施形態はこのような場合に有効に機能する。
【0046】
図7が図1と異なる点は、取付座13の代わりにユニバーサルジョイント部材24が壁部11に設置されており、乗場ドア支持部材17の上端部は上部軸支部材15を介してこのユニバーサルジョイント部材24に取り付けられている点である。
【0047】
図8は、図7における乗場ドア支持部材17回りの取付構造を示す斜視図である。この図に示すように、ユニバーサルジョイント部材24は、長寸状部材である上部軸支部材15の中間部に取り付けられている。したがって、乗場ドア9は、地震発生時に、矢印Y3で示すような水平面内での回転、あるいは矢印Y1に示すような間口方向への水平変位が許容される。
【0048】
図9は、図7のIX-IX方向矢視図であり、乗降口の間口方向におけるN階とN+1階との間の相対的水平変位の状態を示した説明図である。この図に示すように、N+1階がN階に対してδだけ右方に水平変位したので(あるいはN階がN+1階に対してδだけ左方に水平変位したので)、ユニバーサルジョイント部材24は上部軸支部材15の中央部よりやや右方にずれている。
【0049】
なお、乗場ドア9の回転又は水平変位が許容されるといっても、これらの回転又は水平変位は乗場ドア9上方の壁部11に対して相対的なものである。つまり、図8において、実際には乗場ドア9上方の壁部11が矢印Y3で示すように水平面内で回転したり、あるいは矢印Y1に示すように間口方向に水平変位したりしても、乗場ドア9はこれらの回転又は水平変位に影響されることなく、そのままの静止状態を維持することができると表現した方が理解しやすい。
【0050】
次に、このように構成される第2の実施形態の作用につき説明する。地震が発生し、乗場ドア9上方の壁部11が矢印Y2の乗降方向に変位すると、これに応じて一対の乗場ドア支持部材17が下部軸支部材16を中心として左方奥側又は右方手前側に回転(傾斜)し、したがって乗場ドア9及び乗場ドア囲み部材10が左方奥側又は右方手前側に水平移動する。このときの詳しい動作は第1の実施形態で既述した通りである。
【0051】
そして、乗場ドア9上方の壁部11は、矢印Y2の乗降方向に水平変位すると同時に、水平面内で矢印Y3方向に回転(又は捩れ)を生じる場合がある。このような場合、この壁部11の回転に追従してユニバーサルジョイント部材24も上部軸支部材15に対して矢印Y3方向に回転する。したがって、壁部11の回転による影響は上部軸支部材15に伝達されることはなく、一対の乗場ドア支持部材17の上端部に捩れが生じることが回避される。
【0052】
また、乗場ドア9上方の壁部11が矢印Y1の間口方向に変位すると、ユニバーサルジョイント部材24もこれに追従して上部軸支部材15上をスライドする。例えば、壁部11が左方手前側に変位すると、ユニバーサルジョイント部材24も上部軸支部材15に沿って左方手前側に移動する。したがって、一対の乗場ドア支持部材17、乗場ドア9及び乗場ドア囲み部材10は、壁部11の矢印Y1の間口方向への変位の影響を受けることがない。
【0053】
なお、本実施形態では、一対の乗場ドア支持部材17の上端部側にユニバーサルジョイント部材24を取り付ける構成を採用しているが、このユニバーサルジョイント部材24を一対の乗場ドア支持部材17の下端部側に取り付ける構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る乗場ドア設置構造を示す昇降路回りの縦断面図。
【図2】図1における乗場ドア支持部材17回りの取付構造を示す斜視図。
【図3】図1におけるバネ部材22が介挿された状態を示す断面図。
【図4】第1の実施形態の作用を示す縦断面図であり、N階に対してN+1階が左方に変位した状態を示す説明図。
【図5】第1の実施形態の作用を示す縦断面図であり、N階に対してN+1階が右方に変位した状態を示す説明図。
【図6】図5のVI-VI方向矢視図であり、乗降口の間口方向におけるN階とN+1階との間の相対的水平変位の状態を示した説明図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る乗場ドア設置構造を示す昇降路回りの縦断面図。
【図8】図7における乗場ドア支持部材17回りの取付構造を示す斜視図。
【図9】図7のIX-IX方向矢視図であり、乗降口の間口方向におけるN階とN+1階との間の相対的水平変位の状態を示した説明図。
【図10】従来技術の説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 免震装置
2 昇降路
3 ガイドレール
4 ガイドレール
5,5A,5B レール支持部材
6 かご
7 カウンタウェイト
8 内壁
9 乗場ドア
10 乗場ドア囲み部材
11 壁部
11a 溝部
12 床部
12a 溝部
13 取付座
14 取付座
15 上部軸支部材
16 下部軸支部材
17 乗場ドア支持部材
17a 長孔部
17b 長孔部
17c 切り欠き部
18 係着ロッド
19 係着ロッド
20 取付座
21 取付座
21a 孔部
22 バネ部材
23 心棒
24 ユニバーサルジョイント部材




 

 


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