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発明の名称 インクジェットプリンタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−153602(P2007−153602A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−355056(P2005−355056)
出願日 平成17年12月8日(2005.12.8)
代理人 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三
発明者 岩田 弾
要約 課題
インクジェットプリンタにおいてロール紙の曲げ癖を抑えるために必要以上の吸引力で用紙をプラテン上に平らに密着させることのないようにし、用紙搬送の精度の低下を抑え、また消費電力を軽減すること。

解決手段
印刷装置には用紙残量計測手段と、用紙残量記憶手段と、ロール紙をプラテンに未着させる吸着手段と、ロール紙の用紙種と用紙残量とによって吸着手段の制御量を定めた吸着力決定手段と、吸着制御手段を有し、吸着力決定手段においてロール紙の曲げ癖が用紙種に依存し、また、芯に近づくほど大きくなることを考慮し、吸着手段の制御量を用紙種と用紙残量の組み合わせ毎に定めておく。印刷時の用紙種と用紙残量により吸着力の制御量を変化させることで上記の課題を解決する。
特許請求の範囲
【請求項1】
ロール紙に印刷可能であるインクジェットプリンタであって、
用紙残量を計測する用紙残量計測手段と
用紙残量計測手段により計測した用紙残量を記憶する用紙残量記憶手段と
ロール紙をプラテンに密着させる吸着手段と
ロール紙の用紙種と用紙残量とによって吸着手段の制御量を定める吸着力決定手段と
用紙残量記憶手段に記憶した用紙残量と吸着力決定手段により吸着力を決定して吸着手段を制御する吸着制御手段とを有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
上記吸着力決定手段が用紙の種類と用紙残量の組み合わせ毎に吸着手段の制御量を定めたテーブルであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
上記吸着力決定手段は、用紙残量が少なくなるにつれて吸着手段の吸着力が大きくなるように定めたことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
上記吸着手段は吸引ファンによる空気吸引力によりロール紙をプラテンに密着させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェットプリンタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はロール紙を用いるインクジェットプリンタの用紙搬送、用紙をプラテンに密着させるための吸着力の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙は長時間芯を中心として巻かれていたために、真っ直ぐに引き出されても曲げ癖によりカールする。そのため、インクジェットプリンタではインクの着弾精度をよくするためにロール紙をプラテン上に平らに固定する必要がある。固定する方法の一つとして、プラテンの下から吸引ファンにより空気を吸引し、用紙をプラテンに密着させる方法がある。
【0003】
公知の例として、ロール紙が最もカールするときを想定して常時一定の吸引力で吸引するように構成したプリンタがある。
【0004】
又、別の従来例としては、特許文献1及び特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開2000-191175号公報
【特許文献2】特開平03-251473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、必要以上に吸引力が大きいと用紙の搬送時の摩擦が大きくなり、用紙搬送の精度が低下し、逆にインクの着弾精度が低下する。また、吸引ファンを駆動するための電力も多く消費し、ファンの音も大きくなる。
【0006】
一般にロール紙の曲げ癖の強弱は用紙の種類やロール紙の使用状態によって異なり、吸引プラテンの吸引力を最悪の条件に合わせて設計していた。公知の例として用紙の種類に関しては、用紙の種類毎に吸引力を定めるように構成した印刷装置が発明されている。つまり、曲げ癖の強い用紙種に対しては吸引力が大きくなるように設定する。しかし、同じ用紙種に対しては常に同じ設定値であり、ロール紙の使用状態を考慮していない。また、プリンタに備わったパネルの操作により、吸引力を調整できる構成のものもあるが、ユーザの操作を介さずに自動調整することが望ましい。
【0007】
本発明はロール紙の芯に近くなるほど、つまり残量が少なくなるほど、曲げ癖が強くなることに注目し、用紙残量が多いときには小さく、少ないときには大きくなるように吸引力を制御し、最適な吸引力でロール紙をプラテン上に平らに固定することでインクの着弾精度を高め、かつ消費電力の削減を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ロール紙に印刷可能であるインクジェットプリンタであって、用紙残量を計測する用紙残量計測手段と用紙残量計測手段により計測した用紙残量を記憶する用紙残量記憶手段とロール紙をプラテンに密着させる吸着手段とロール紙の用紙種と用紙残量とによって吸着手段の制御量を定める吸着力決定手段と用紙残量記憶手段に記憶した用紙残量と吸着力決定手段により吸着力を決定して吸着手段を制御する吸着制御手段とを備えている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタであって、上記吸着力決定手段が用紙の種類と用紙残量の組み合わせ毎に吸着手段の制御量を定めたテーブルであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1、又は請求項2に記載のインクジェットプリンタであって、上記吸着力決定手段は、用紙残量が少なくなるにつれて吸着手段の吸着力が大きくなるように定めたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェットプリンタであって、上記吸着手段は吸引ファンによる空気吸引力によりロール紙をプラテンに密着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば用紙をプラテンに固定する吸引力を用紙残量に応じて変化させ、用紙残量が多いときには小さな吸引力で、用紙残量が少ないときには大きな吸引力で、印刷するように構成できるので、吸引力を一定とする場合よりも用紙搬送の精度をよくし、ひいてはインクの着弾精度を高める。また、必要以上の電力を使用することなく印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明は例えば図2に示すようにLAN(Local Area Network)2900により接続されたホストコンピュータ2000とインクジェットプリンタ1000により構成される印刷システムにおいて実施される。
【0015】
(システム構成)
情報処理装置であるホストコンピュータ2000(以下、ホスト)は、図2に示すような機能ブロックで構成される。CPU2010はホスト2000全体の制御を司っている。RAM2020では各種の実行プログラムやデータの書込みや読出しが行われる。ROM2030は各種のデータやプログラムを記憶している。FDD2050、HDD2060はブートプログラム、各種のアプリケーションソフト、プリンタドライバ(印刷コマンド生成プログラム)2061などを格納している。VRAM2070には画像表示や印刷設定画面をユーザに提供するCRT2080が接続されている。また、LAN I/F2040は外部と通信を行うための通信手段である。各部はシステムバス2090により接続される。
【0016】
印刷装置であるインクジェットプリンタ1000(以下、プリンタ)は、図1に示すような機能ブロックで構成される。また、主要な機械構成を図3、図4に示す。
【0017】
プリンタ1000の制御を司るCPU1010、プリンタ動作時に各種のデータ書込みや読出しが行われるRAM1020、プリンタの制御プログラムを格納したROM1030、通信手段であるLAN I/F1040からなる。さらに、パネル1050は液晶ディスプレイ(LCD)や発光ダイオード(LED)、キーを装備している。パネル1050は、メニューを表示してユーザへ状態を知らせ、またキー入力によりユーザの設定を受信するインタフェースである。LFモータ1060(紙送りモータ)はLFローラ3020(紙送りローラ)を駆動するモータである。CRモータ1070(キャリッジモータ)はキャリッジ3050を移動するモータである。吸引ファン1080は吸引プラテン3040にあけられた複数の穴から下に空気を吸引するために使用するファンである。吸引ファン1080により吸引プラテン3040上に搬送された用紙を空気の吸引力を利用することでプラテン上に平らに保持することが可能である。読取りセンサ1090は、光源と受光部を持ち、光源から発した光の反射を読取ることで、紙端や、ロール紙に印刷された用紙情報のバーコードを読み込むことができる。各部はシステムバス1100により接続される。
【0018】
なお、プリンタ1000の制御を司るCPU1010は、他の機能ブロックを使用して用紙残量測定手段、吸着制御手段を実現する。また、ROM1030はロードしているロール紙の用紙残量を記憶する用紙残量記憶部1031、ロードしているロール紙の用紙種を記憶する用紙種記憶部1032、用紙の種類と用紙残量の組み合わせ毎に吸引ファンの制御量を定めたテーブルである吸着力決定部1033を実現する。吸着力決定部1033は例えば図5に示すようなテーブルであり、プリンタ1000が扱う用紙種毎に用紙残量の範囲に分けて定める。このように用紙種毎に曲げ癖の強弱が異なるために用紙種毎にし、さらにロール紙の芯に近づくほど曲げ癖が強くなることより、用紙残量が少ないほど吸引力が大きくなるように吸引ファンの制御量を設定している。この制御量を使用すれば、最適な吸引力でロール紙を吸引プラテン3040上に平らに固定することで用紙搬送の精度を高め、消費電力を最小限に抑えることができる。
【0019】
LFローラ3020はLFモータ1060により回転し、LFローラ3020と圧接ローラ3030に挟まれたロール紙3010を搬送する。LFローラ3020にはエンコーダ3021がついており、図示しないセンサによりLFローラの回転量を計測することで用紙の搬送量を測定することができる。圧接ローラ3030はLFローラ3020と連動してロール紙3010を挟み、キャリッジ3050が通過する領域の直前でロール紙3010を吸引プラテン3040上に抑える。吸引プラテン3040は印字する際に用紙を下から支える部分であり、前述したように吸引ファン1080による吸引力により用紙を平らに保持することができる。キャリッジ3050には印字ヘッド3060や読取りセンサ1090が装備され、CRモータ1070により用紙搬送方向に垂直に移動する。印字ヘッド3060は図示しないインクタンクより供給されるインクを用紙上に吐出する。
【0020】
(用紙残量の管理)
ロール紙をセットする場合、ユーザは図示しない紙抑えレバーを解除することで圧接ローラ3030を上に上げ、ロール紙3010を引き出して、吸引プラテン3040上に設置する。そして、紙抑えレバーにより圧接ローラ3030を下げる。
【0021】
図示しないセンサにより用紙がセットされたことを検知すると、CPU1010は吸引ファン1080を駆動し、ロール紙3010を吸引プラテン3040上に吸着させる。そして、ユーザに設置した用紙の種類をパネル1050にて入力させる。入力が済むと、LFモータ1060を駆動し、LFローラ3020により用紙を吸引プラテン3040方向へ搬送する。搬送の際、用紙を送り戻ししながらCRモータ1070によりキャリッジ3050を駆動し、読取りセンサ1090により用紙の先端を検出することで先端の位置出しを行う。また、同時に用紙の左右端を検出することで用紙が斜行していないことを確認する。
【0022】
ロール紙3010の先端の位置出し後、再びLFモータ1060によりロール紙を搬送し、CRモータ1070によりキャリッジ3050を駆動、読取りセンサ1090により用紙に印刷された用紙情報のバーコードを読取る。ここで、用紙情報とは例えば用紙種や用紙残量の情報である。
【0023】
バーコードを読み込めなかった場合には、パネル1050によりユーザによる用紙残量の入力を求める。ユーザによりパネルから例えば30.0mと用紙残量が入力されると、その値を用紙残量記憶部1031に記憶する。また、ロール紙セット時に入力された用紙種を用紙種記憶部1032に記憶する。
【0024】
バーコードを読み込めた場合には読み込んだ用紙残量を用紙残量記憶部1031に、用紙種を用紙種記憶部1032に記憶する。そして、バーコードが印刷された部分を図示しないカッターによって切り落とす。
【0025】
そして、ロール紙3010の先端をLFローラ3020の下まで逆搬送する(以降、これをロール紙の待機状態と呼ぶ)。
【0026】
ロール紙の取り外しはユーザがパネル1050にある用紙取り外しキーを押すことにより行う。用紙取り外しキーが押されると、CPU1010は用紙残量記憶部1031より用紙残量を、用紙種記憶部1032より用紙種を取得し、ロール紙3010に印刷する用紙情報としてバーコードの画像パターンへと変換する。そして、吸引ファン1080を駆動して用紙を吸引できるようにし、LFモータ1060を使用して吸引プラテン3040上にロール紙3010を搬送する。その後、LFモータ1060による紙送りとCRモータ1070による印字ヘッド3060の移動、印字ヘッド3060によるインクの吐出によりバーコードの印刷を行う。印刷が終了したらLFモータ1060を逆回転させてロール紙3010をLFローラ3020から外れる位置まで搬送する。
【0027】
(印刷処理)
ホスト2000のCPU2010は図示しないキーボードやマウスによりユーザから指示を受けると、アプリケーションを起動し、FDD2050やHDD2060に記憶している画像データや文書データ等をCRT2080に表示する。そして、同じくキーボードやマウスによりユーザから印刷の支持を受けると、プリンタドライバ2061を使用して、印刷に使用する用紙種やサイズ、マージンを決定する。そして、プリンタ1000が解釈可能な形式の画像データを含む印刷コマンドを作成し、LAN I/F2040を介してプリンタ1000にデータを送信する。
【0028】
プリンタ1000のCPU1010はLAN I/F2040で印刷コマンドを受信するとRAM1020のジョブバッファにそれを一旦記憶する。そして、印刷コマンドを解釈し、用紙種やサイズ、マージンなどの印刷に必要な設定値を認識、画像データをRAM1020にレンダリングする。また、同時にパネル1050の表示により印刷中であることをユーザに知らせる。ここで、印刷コマンドにより指定された用紙サイズを印刷するのに用紙残量が足りない場合は、下記で説明するような印字処理を一時停止し、パネル1050に用紙残量が足りない旨を表示し、キャンセルや他のロール紙のセット、印刷続行等のユーザの対応を待つ。
【0029】
印刷に必要な設定値がそろったら、吸引ファン1080を駆動して用紙を吸引できるようにし、LFモータ1060を使用して吸引プラテン3040方向へロール紙3010の搬送を開始する。搬送はLFモータ1060と読取りセンサ1090を用いて設定された上マージンをとった部分まで行う。そして、LFモータ1060による紙送りとCRモータ1070による印字ヘッド3060の搬送、印字ヘッド3060によるインクの吐出により印刷を行う。印刷が終了したら下マージン分を確保し、カッターによりロール紙3010を切断する。そして、ロール紙3010を待機状態に戻し、パネル1050の表示により待機状態であることをユーザに知らせる。この間、用紙残量測定手段はLFローラ3020のエンコーダ3021により用紙送りの総量を読取り、用紙種に応じた係数を使用してロール紙から切り離された用紙の長さを算出する。そして、算出された用紙使用量(例えば1189.2mm)を用紙残量記憶部1031に記憶している用紙残量から減算し、用紙残量記憶部1031に上書き記憶する。
【0030】
(用紙残量による吸引ファンの制御)
上記において図6に示す制御フローにより吸引ファン1080の制御を行う。
【0031】
用紙を吸引プラテン3040上に搬送するとともに吸引ファン制御を開始。
【0032】
S601でCPU1010は用紙残量記憶部1031から用紙残量を取得する。
【0033】
そして、S602で用紙種記憶部1032から現在ロードしているロード紙の用紙種を取得する。
【0034】
S603でS601、S602において取得した用紙残量と用紙種を使用して吸着力決定部1033から吸引ファン1080の制御量を取得する。
【0035】
S604でS603において取得した制御量を使用して吸引ファン1080を駆動する。
【0036】
例えば用紙種が「コウタクシ」で用紙残量が10000.0mmの場合は図5に従って制御量F2を使用して吸引ファンを駆動する。従来の方法では最悪の条件を鑑みて大きな吸引力を得るよう制御量F3を使用していた。この場合に比べ、本発明によれば最小限の吸引力でプラテン上にロール紙3010を密着させるのでLFローラ3020の制御が行いやすく、搬送精度がよくなる。また、吸引ファンの駆動にかかる消費電力も最小限に抑えることができる。
【0037】
実施例では吸引ファンによりプラテンにロール紙を固定する印刷システムを示したが、静電気力を使用する方法を使用した印刷システムなどにも本発明は使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例におけるプリンタのブロック図である。
【図2】本発明の実施例における印刷システムの構成図とホストコンピュータのブロック図である。
【図3】本発明の実施例におけるプリンタの概略平面図である。
【図4】本発明の実施例におけるプリンタの概略側面図である。
【図5】本発明の実施例における吸着力決定部のテーブルである。
【図6】本発明の実施例における吸引ファン(吸着力)の制御フローである。
【符号の説明】
【0039】
1000 インクジェットプリンタ
1010 CPU
1030 RAM
1040 LAN I/F
1050 パネル
1060 LFモータ
1070 CRモータ
1080 吸引ファン
1090 読取りセンサ
1100 システムバス
2000 ホストコンピュータ
2900 LAN
3010 ロール紙
3020 LFローラ
3030 圧接ローラ
3040 吸引プラテン
3050 キャリッジ
3060 印字ヘッド




 

 


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