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発明の名称 エアバッグ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−253922(P2007−253922A)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
出願番号 特願2006−218768(P2006−218768)
出願日 平成18年8月10日(2006.8.10)
代理人 【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
発明者 石川 敏弘 / 山路 直樹 / 橋爪 智樹 / 添本 和彦 / 森谷 圭介
要約 課題
エアバッグへの侵入に合わせたタイミングでガス抜きをし、常に効果的な衝撃緩和を可能とする。

解決手段
エアバッグ10の一側端縁部にベントホール18を設け、第三の基布20の一端部を、ベントホール18を閉鎖する第1の縫合部23を介してエアバッグ10に縫合し、第三の基布20の他端部を第2の縫合部24を介してエアバッグ10の他側端縁部に縫合するとともに、第三の基布20から前記第1および第2の縫合部23,24に引張り力が加わったとき、先に第1の縫合部23が剥離されてベントホール18が開放されるように、第1の縫合部23を第2の縫合部24より縫合力を弱くする。
特許請求の範囲
【請求項1】
インフレータから発生するガスにより膨張する表面側基布及び裏面側基布からなるエアバッグを備えたエアバッグ装置であって、
前記エアバッグに排気用の第1のベントホールを設け、該エアバッグの表面を覆い膨張時に該エアバッグの膨張を規制する第三の基布の両側部を前記エアバッグの前記表面側・裏面側基布と共に縫合し、該縫合部のうち一方側縫合部で前記第1のベントホールを閉鎖し、
前記エアバッグの膨張状態において、前記第三の基布に人が侵入することによって、該エアバッグの膨張で前記第三の基布の縫合部を破断して、前記ベントホールを開放するようにしたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたエアバッグ装置において、
前記第三の基布の縫合部の少なくとも一方の端部を、前記膨張状態のエアバッグの前記第三の基布に人が侵入したときに、該エアバッグの前記第三の基布により膨張が規制される部分と、これに隣接する膨張が規制されない部分との境界部近傍に設けたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、
前記エアバッグ内部には、該エアバッグの膨張時にその表面側と前記第三の基布との間に空間が形成されるようその膨張を規制する複数条の内部テザーを設けたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記第三の基布の長さは前記エアバッグの膨張時に該エアバッグの膨張によるテンションが作用しない長さであることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記エアバッグの前記第1のベントホールと間隔を隔てて排気用の第2のベントホールを設け、前記第三の基布の縫合部のうち他方側縫合部で前記第2のベントホールを閉鎖したことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記第三の基布の縫合部のうち前記他方側縫合部の縫合力を前記一方側縫合部の縫合力よりも強くしたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記各縫合部は、前記ベントホールの開口部分を直線状に縫合する第1の縫合部と、第1の縫合部に連続し前記開口部に隣接する部分をジグザグ状に縫合する第2の縫合部とからなり、前記第2の縫合部の長さを変えることで前記縫合部の破断力を変えたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記エアバッグ内部を複数列の内部テザーで区画したことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
前記エアバッグの裏面側基布に、前記エアバッグの膨張時に該エアバッグの裏面側の横方向への膨張を規制する第四の基布を設けたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、
車両のボンネットの後端縁に沿う開口より展開することを特徴とするエアバッグ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ装置に関し、特に、挙動が特定し難い保護対象者が車両に衝突した時の衝撃緩和を図るための、車両に搭載されるエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、走行中の車両が歩行者等に衝突した場合、その歩行者等は衝突時の衝撃によりボンネット上に跳ね上げられ、車両のフロントガラスを打ち破って車内に飛び込んだり、フロントピラー等に衝突するなど二次衝突して大惨事を引き起こす恐れがある。
そこで、このような二次衝突による衝撃を吸収緩和するため、歩行者用のエアバッグ装置が種々提案されているが、歩行者用のエアバッグでは、エアバッグで保護する対象(歩行者)がエアバッグに侵入するまでエアバッグを比較的長く膨張を維持する必要がある。
【0003】
一般に、歩行者用のエアバッグ装置は、車両が歩行者に衝突した時、その衝撃によりインフレータで発生したガスをエアバッグに導入して膨張展開し、その状態で跳ね上げられて飛んでくる歩行者を受け止めて、衝撃を緩和すると共に、前記二次衝突を防止するようになっている。
【0004】
しかしながら、車と衝突して飛ばされ跳ね上げられた場合、とくに、人は通常頭から運転席側に飛ばされてくるから、膨張中のエアバッグの反発力で、頭部に対して強い衝撃を受け重大な損傷が生じる恐れがある。
【0005】
そこで、歩行者が膨張展開したエアバッグに衝突したときエアバッグからガスを抜くことで衝撃を緩和するようエアバッグの一部にガス抜きホール(又は排気用ベントホール)を形成して過剰な圧力を緩和するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたエアバッグ装置のように、エアバッグに単にベントホールを形成しただけの構造では、衝撃吸収前の段階でガスが抜けてしまい、初期段階での適切な衝撃吸収特性が得られない虞がある。
【特許文献1】特開2001−322518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上で述べた従来のエアバッグ装置の問題を解決しようとするもので、その目的は、簡易な構成により、例えば、跳ね上げられた歩行者などが衝突するまではガス抜きは行わず、歩行者などのエアバッグへの侵入に合わせたタイミングでガス抜きをして、エアバッグの安全性を向上すると共に、そのようなエアバッグ装置を簡易な構成で実現することにより、エアバッグ装置を低コストで得ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、インフレータから発生するガスにより膨張する表面側基布及び裏面側基布からなるエアバッグを備えたエアバッグ装置であって、前記エアバッグに排気用の第1のベントホールを設け、該エアバッグの表面を覆い膨張時に該エアバッグの膨張を規制する第三の基布の両側部を前記エアバッグの前記表面側・裏面側基布と共に縫合し、該縫合部のうち一方側縫合部で前記第1のベントホールを閉鎖し、前記エアバッグの膨張状態において、前記第三の基布に人が侵入することによって、該エアバッグの膨張で前記第三の基布の縫合部を破断して、前記ベントホールを開放するようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたエアバッグ装置において、前記第三の基布の縫合部の少なくとも一方の端部を、前記膨張状態のエアバッグの前記第三の基布に人が侵入したときに、該エアバッグの前記第三の基布により膨張が規制される部分と、これに隣接する膨張が規制されない部分との境界部近傍に設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載されたエアバッグ装置において、前記エアバッグ内部には、該エアバッグの膨張時にその表面側と前記第三の基布との間に空間が形成されるようその膨張を規制する複数条の内部テザーを設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第三の基布の長さは前記エアバッグの膨張時に該エアバッグの膨張によるテンションが作用しない長さであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記エアバッグの前記第1のベントホールと間隔を隔てて排気用の第2のベントホールを設け、前記第三の基布の縫合部のうち他方側縫合部で前記第2のベントホールを閉鎖したことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記第三の基布の縫合部のうち前記他方側縫合部の縫合力を前記一方側縫合部の縫合力よりも強くしたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記各縫合部は、前記ベントホールの開口部分を直線状に縫合する第1の縫合部と、第1の縫合部に連続し前記開口部に隣接する部分をジグザグ状に縫合する第2の縫合部とからなり、前記第2の縫合部の長さを変えることで前記縫合部の破断力を変えたことを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記エアバッグ内部を複数列の内部テザーで区画したことを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、前記エアバッグの裏面側基布に、前記エアバッグの膨張時に該エアバッグの裏面側の横方向への膨張を規制する第四の基布を設けたことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載されたエアバッグ装置において、車両のボンネットの後端縁に沿う開口より展開することを特徴とする。
【0009】
(作用)
本発明のエアバッグ装置は、人がエアバッグに侵入したときの衝撃を利用して排気用のベントホールを開口することで、エアバッグのガス抜きをタイミング良く行い衝撃荷重を低減する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、膨張するエアバッグに人が侵入したときに、そのタイミングに合わせて反発力を軽減することで侵入した人が受ける衝撃を緩和して、安全に受け止めることができる。また、エアバッグ装置を簡易な構成としたことにより低コストで得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の1実施形態に係るエアバッグ装置を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のエアバッグ装置を装着した車両の要部側面図である。本実施形態のエアバッグ装置1は、車両2のボンネット3の後部3a内側部分に、支持機構4を介して折り畳まれた状態で収納されている。ボンネット3は、その後部3aが上下に開閉するようになっており、通常は周知の保持機構により閉じた下降位置に保持されている。図中、5はフロントウインドウガラス、6はフロントピラー、7はダッシュパネル、8はフェンダーパネルである。
【0012】
図2は、前記エアバッグ装置1の展開状態の正面図、図3は図2の矢視III−IIIでみた断面図である。
エアバッグ装置1は、エアバッグ10と、衝突時にこのエアバッグ10内にガスを送出して膨張させるインフレータ11とを備えている。エアバッグ10は、袋状のエアバッグ本体12と、エアバッグ本体12内に取り付けられた膨張を規制する内部テザー13とで構成されている。
【0013】
エアバッグ本体12は、図中上部側の幅広の略矩形の袋体であるピラー部12aと、下部側の幅狭の管状の袋体である基部12bからなり、歩行者が衝突する面である表面側(又は表側)基布14及びこれと同形状の裏面側基布15とを、その外周縁部に沿った図2に点線で示す縫合部16で縫合することにより、袋状に形成される。
表面側基布14および裏面側基布15の材料としては、一般にエアバッグに採用されている布や合成樹脂などの生地材料を使用することができる。
【0014】
縫合部16は、ピラー部12aの図2中左側端部のところで外端側に向かう縫合部16a間に縫合しない部分を残し、この部分を後述するベントホール18としている。
前記エアバッグ10の表面側基布14の表面には、展開したとき略矩形のピラー部12aよりも縦方向(図中上下方向)幅が狭く、かつその横方向(図中、左右方向)に略同一の長さを有する略矩形の第三の基布(表面テザーともいう)20が設けられている。この第三の基布20は、ピラー部12aの横方向の長さよりも短い伸張性のない生地からなり、その幅方向一端部が前記ベントホール18の部分で前記表面側・裏面側基布14、15と一体に第1の縫合部23で縫合されると共に、他端部は前記ベントホール18の幅方向反対側縁部19で第2の縫合部24で縫合されている。
なお、第三の基布20とエアバッグ10との縫合部は、シリコンで目止めするか接着縫製のいずれかにより気密に縫合されている。
ここで、前記内部テザー13は、エアバッグ10の膨張時にエアバッグの表面側と前記第三の基布20との間に空間ができるようにその膨張時の厚みを規制する長さを有し、かつ、前記第三の基布20の長さはエアバッグ10の膨張時に、その膨張によりテンション(引っ張り力)が作用する長さに設定され、後述するように表面側及び裏面側基布14,15に縫合されてエアバッグ10の表面側に配置されている。
【0015】
ここで、第三の基布20の両側縁を前記表面側・裏面側基布14、15に一体に縫いつける第1、第2の縫合部23、24は、それぞれ直線状縫合部23a、24aとその両側部のジグザグ状の縫合部23b、24bとからなっている。直線状縫合部23aは縫合糸が切れたときに素早くベントホール18が開口できるようにするためで、ベントホール18の開口部分に設けられている。また、第1の縫合部23のジグザグ状の縫合部23bを第2の縫合部24のジグザグ状の縫合部24bより短くして、第1の縫合部23を第2の縫合部24より縫合力を弱くしている。
これは、エアバッグ10の膨張時に、例えば人の頭部がエアバッグ10の第三の基布20に当たってエアバッグ10を押し込み、それによってエアバッグ10内部の圧力が増大することによる張力と、膨張するエアバッグ10による張力により、第三の基布20の縫合部23,24に大きな張力が作用しても、第1の縫合部23だけが切れて第三の基布20が外れ、同時に表面側及び裏面側の基布14,15の縫合も外れてベントホール18が確実に形成できるようにするためである。
【0016】
エアバッグ10内の内部テザー13(図3参照)は、図2に示すように、ピラー部12aの図示左右2箇所に縦にほぼ第三の基布20の縦方向長さより僅かに短い長さで取り付けられており、前述のように、エアバッグ10の膨張時に、エアバッグ10の表面側基布14と第三の基布20との間に空間を形成することに加え、排気用のベントホール18が開放したときに、このテザー13間に充填されたガスが一挙にベントホール18から排出されるのを防止する、急激なガス圧の低下を防止する機能をも果たしている。
【0017】
エアバッグ本体12内には、その基部12bの図2中の下端位置に車両の衝撃時にガスを発生させるインフレータ11が取り付けられている。
【0018】
次に本実施形態に係るエアバッグ装置1の動作を説明する。
走行中に車両が歩行者に衝突すると、図示しない歩行者衝突検出センサによりその衝突が検出され、所定値以上の衝撃を検出すると、エアバッグ装置1のインフレータ11に作動信号が出力され、作動信号を受けたインフレータ11はガスを発生しそのガスでエアバッグ10が膨張する。
エアバッグ10の膨張に伴ってボンネット3aの後部が押し上げられ、エアバッグ10は、図4の断面図で示すように、ボンネット3の後端縁部3aと車体のカウルパネル29との間の開口よりフロントウインドウ5の方向に立ち上がり展開する。
【0019】
車両2と衝突してボンネット3上に跳ね上げられた人は、フロントウインドウ5やフロントピラー6の前部で膨張展開したエアバッグ10のピラー部12aに通常は頭から突っ込むように侵入する。
即ち、人の頭部27が第三の基布20の上からエアバッグ10のピラー部12aに衝突すると、図5に示すように、エアバッグ10の当たった部分が凹むことで内部圧力が増大し、それと共に第三の基布20の長さをエアバッグ10の表面側基布14よりも短くしたことで膨張するエアバッグ10を変形させ、変形したエアバッグ10の復元による大きなテンションが、第三の基布20の両端の第1の縫合部23および第2の縫合部24に作用する。
本実施形態においては、ベントホール18側の前記第1の縫合部23の縫合力を第2の縫合部24のそれより弱くしているため、必ず第1の縫合部23の糸が切断する。これにより、ベントホール18を縫合する糸が外れて開放し、ここからガスが抜け、頭部27が侵入したことにより発生する過大な圧力が急激に緩和され、頭部27を、その衝撃を吸収しつつエアバッグ10の表面側で安全に受け止めることができる。
【0020】
以上の第1の実施形態に係るエアバッグ装置1では、エアバッグ10の膨張展開時に第三の基布20のエアバッグ10との縫合部23,24に張力が作用するように、第三の基布20を表面側基布14に対してその長さを短く設定している。そのため、衝突時に人が第三の基布20に当たったときには、エアバッグ10の内圧が増大して第三の基布20には更に大きなテンションが作用し、第三の基布20の縫合部23を容易かつ確実に切断することができる。
しかし、この構造では、前記縫合部23は、エアバッグ10の高圧展開時には切断せず、しかし低圧時であっても人(ダミー)が侵入したときには切断するようにその切断強度を設定する必要があるが、そのような縫製構造にすることは必ずしも容易ではない。また、第三の基布20にはエアバッグ10の膨張時にテンションが作用しているから、この構造ではロバスト性(温度変化に基づく張力変化に対する適応性)に欠け、テンションがバラついても本エアバッグ装置1に求められる第三の基布20の性能を満足させることができるようにするためには、第三の基布20の破断荷重の設定範囲は狭くならざるを得ない。
【0021】
そこで、図6にその断面を示す第2の実施形態に係るエアバッグ装置においては、第三の基布20の長さを第1の実施形態のものよりも長くして、エアバッグの膨張によるテンションが第三の基布20には作用しないようにしてこの問題を解決している。
つまり、エアバッグ10が膨張しても第三の基布20にはテンションが作用しないように構成し、かつ、エアバッグ10の厚みを規制する内部テザー13のベルト長を前記第1の実施形態における内部テザー13のベルト長よりも短くして、エアバッグ10により大きな凹凸(第三の基布20とエアバッグ10との間の空間)を持たせ、この場合も、第三の基布20の長さに比してエアバッグ10の表面側基布の長さを長く設定して、人(ダミー)が第三の基布20に侵入した時に、縫合部23にテンションが発生し、そのテンションが所定の荷重に達したときに、第三の基布20の第1の縫合部23を破断してベントホール18を開放するようにしている。
【0022】
また、エアバッグ10の裏面側には、その表面に沿ってその両端部をエアバッグ10の裏面側基布15の両端部を含む適所に縫合又は接着剤で接合された第四の基布(又は裏面テザーともいう)21が設けられており、人がエアバッグ10の表面側に侵入したときに、エアバッグ10が容易に変形してその裏面側が外側(又は横)に開き、エアバッグ10が侵入した人を包み込むように折れ曲がるのを防ぐことができる。
なお、この第四の基布21は、第1の実施形態に係るエアバッグ10の裏面側に設けてもよいことは勿論である。
【0023】
この実施形態では、人(ダミー)が第三の基布20に侵入するまでは同基布20にはテンションが作用しないので、第三の基布20はエアバッグ10の内圧の影響を受けることがなく、温度に対するロバスト性に優れている(温度により噴出するガスの量が変わり、また、第三の基布20の縫合部23,24に樹脂が使用されている場合は温度によりその強度が変わるが、テンションが作用していないのでその影響を受けることがない)。
また、エアバッグ10の内圧の影響を受けないため、第三の基布20の縫合部23,24の縫合強度を弱く設定することができ、縫製による強度のバラツキの影響を抑制することができる。
更に、第三の基布20とエアバッグ10の表面に基布の長さの違いにより第三の基布20とエアバッグ10の表面の基布間に空間ができるため、人(ダミー)の侵入時には、第三の基布20に作用するテンションがより大きくなり安定した状態でその縫合部23を破断することができる。
【0024】
図7は、エアバッグ10に衝突荷重が加わったときの、時間tに対する人(この場合はダミーの頭部)に作用する加速度Gの変化を示す図である。同図において、実線L1は本発明のエアバッグ装置1、鎖線L2はベントホールを設けていない従来のエアバッグ装置における変化を示している。
【0025】
同図に示すように、ベントホールがない場合には、エアバッグ装置では時間t1で頭部が当たるとエアバッグ10が凹み、その変形によりエアバッグ10の圧力が急激に増大し、従って頭部に作用する加速度Gが急激に上昇する。
これに対し、本実施形態のエアバッグ装置1では第三の基布20に頭部が侵入すると、時間tで第三の基布20の前記第1の縫合部23が切れ、ベントホール18が開放される。ベントホール18が開放するとエアバッグ10内のガスが逃げて圧力が低下する。したがって、頭部に与える衝撃が緩和され人体を守る働きをする。
【0026】
なお、第1、2の実施形態のエアバッグ装置では、ベントホール18の縫合部分の上に人が侵入した場合は、第三の基布20の第1の縫合部23に沿った縫合糸が切れず、従ってベントホール18が開放されない事態が生じる虞がある。
【0027】
そこで、次に、この問題を解決するための構造を備えた第3の実施形態に係るエアバッグ装置について説明する。なお、以下の各実施形態に係るエアバッグ装置における第三の基布20の構造は、それぞれ既に述べた第2の実施形態の第三の基布20の取付構造を備えるものとするがその説明は省略する(第1の実施形態の第三の基布20の取付構造を採用することも勿論可能である)。また、第四の基布21も必要に応じて備えることができる。
図8は、本発明の第3の実施形態に係るエアバッグ装置の正面図である。
第3実施形態に係るエアバッグ装置は、ピラー部12aの図示左右両側縁部40、41に、第1のベントホール18Aと第2のベントホール18Bを形成し、第三の基布20の両端縁(又は両側部)を、前記第1のベントホール18Aと第2のベントホール18Bの部分で第1の縫合部23と第2の縫合部24に沿って表面側・裏面側基布14,15と共に縫いつけ、その直線状縫合部23a,24aに沿って両ベントホール18A,18Bを縫合して閉鎖した構造である。その他の構成は、前記第1の実施形態に係るエアバッグ装置と同一の構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0028】
本実施形態では、例えば人の頭部が第三の基布20とベントホール18Aを縫合する縫合部23上に侵入し、頭部が第三の基布20の第1の接合線23を押さ込んで接合線23が切断しない場合には、代わりに、第三の基布20の第2の縫合部24側が引っ張られて、縫合糸が切れて第2のベントホール18Bが開放される。
また、ピラー部12aのその他の部分に衝突したときは、第1実施形態と同様、縫合力の弱い第1の縫合部23の縫合糸が切断して第1のベントホール18Aが開放される。
なお、例えば人の頭部がエアバッグ10の内部テザー13間、つまり第三の基布20の中央部に侵入すると、希にベントホール18A及び18Bが両方とも開放することがあるが、その場合でも、内部テザー13がガス圧の急激な低下を抑制するから、内部テザー13間に充填されたガスの極めて大きいテンションが一挙に失われて底付くことはない。また、ベントホール18A、18Bの大きさを縮小することで底付きを防止することもできる。
【0029】
以上のように、第3実施形態では、人がエアバッグ10のどの部分に侵入した場合でも、必ずベントホール18A,18Bのいずれかが開放できるので第1、2の実施形態のものよりも安全性が一層向上する。
【0030】
図9は、本発明の第4の実施形態に係るエアバッグ装置を示す。
第4の実施形態では、略矩形のピラー部12aに基部12bを突出して設けた形状であり、ピラー部12aの図示上縁部26に第1のベントホール18Aおよび第2のベントホール18Bを適宜離間して設けている。
また、一端部で前記第1及び第2のベントホール18A、18Bと共に縫合される第1及び第2の第三の基布20(1)、20(2)がピラー部12aを覆うように並行して設けられている。
【0031】
本実施形態は、エアバッグ10のピラー部12aの横方向にベントホールを設けることができない場合に用いる。
なお、第4の実施形態において、ピラー部12aのベントホール18を一個のみとし、例えば図示上縁部26に設けてもよく、また、ピラー部12aの下縁部27に第3及び第4のベントホール18C、18Dを設けることもできる。この場合は、人がエアバッグ10のどこに侵入しても確実にベントホールが開放するが、複数のベントホールが同時に開くと一挙に圧力が逃げてエアバッグ10の底付きが発生する虞がある。
そこで、排気用ベントホールと第三の基布20を縫合する各縫合部23,24、30,31の縫合力の差を大きくしたり、内部テザーを増やし、排気を若干阻害する構造とするなどの措置を講じることが好ましい。
【0032】
ここで、以上の各実施形態のエアバッグ10では、膨張状態において第三の基布20に人が侵入したとき、第三の基布20により膨張が規制される部分に対して、隣接する膨張が規制されない部分が大きく膨張し、その境界部付近に位置する第三の基布20(ここでは第三の基布20の各縫合部の端部)に、より大きな力が作用する。
【0033】
図10は、そのような状態のエアバッグ10を模式的に示す正面図である。
即ち、エアバッグ10は、第三の基布20が取り付けられた部分に対して第三の基布20を挟んだ上下部分がより膨張し易くなっており、図示のように、人が侵入したとき、又は、その前の膨張時において、第三の基布20(各縫合部23、24)の上下方向の端部23C、24Cを境界として、エアバッグ10が第三の基布20の外側に向かって膨出(図の膨出部12F)する。この膨出部12Fは、第三の基布20の上下方向の端部付近に沿ってエアバッグ10の表面側基布14の全体に亘って形成され、例えばエアバッグ10の両側面部ではそれぞれエアバッグ10の幅方向外側(図では右側又は左側)に向かって膨出し、エアバッグ10の表側面部ではエアバッグ10の厚さ方向外側(図では紙面の手前側)に向かって膨出する等、表面側基布14の各表面に略直交する方向にそれぞれ膨出する。
【0034】
このような膨出部12Fの境界部近傍に位置する各縫合部23、24の端部23C、24Cには、膨出部12F付近の膨張しようとする力により、他の部分に比べて大きなテンション(破断力)が作用する。その結果、膨張したエアバッグ10で人を受け止めたときに、縫合部23、24が、最もテンションが大きくなる端部23C、24C(ここでは、縫合力がより弱い縫合部23の端部23C)から破断し易い等、境界部が第三の基布20の縫合部の破断の起点として作用する。これにより、第三の基布20の縫合部の破断が円滑かつ安定して行われて、ベントホール18の開放が確実かつ迅速化し、衝突した人を安全に保護することができる。
【0035】
なお、第三の基布20の規制力により膨出部12Fを生じさせる他に、エアバッグ10を、予め膨出部12Fが生じ易い形状に形成する、即ち、第三の基布20が取り付けられて膨張が規制される部分に対して、膨張が規制されない端部23C、24C付近から外側部分を、より大きく膨張できるように膨らみを持たせて縫合し(図10参照)、エアバッグ10を形成してもよい。この場合には、エアバッグ10が膨張した状態で膨出部12Fが既にある程度膨出(膨張)しており、エアバッグ10に人が侵入したとき、膨出部12Fがより大きく膨出して各縫合部23、24の端部23C、24Cに作用するテンションもより大きくなる。このとき、エアバッグ10の膨出部12Fとなる部分を、各縫合部23、24の端部23C、24Cよりも内側(中心部側)となる位置から形成した場合には、人が侵入した時の端部23C、24Cに作用するテンションが更に大きくなるため、第三の基布20の縫合部の破断の起点としてより有効に作用する。また、以上の各効果等を得るためには、第三の基布20の縫合部の少なくとも一方の端部を、膨張状態のエアバッグ10の第三の基布20に人が侵入したときに、エアバッグ10の第三の基布20により膨張が規制される部分と、これに隣接する膨張が規制されないより大きく膨張する部分(膨張部12F)との境界部近傍に位置するように設ければよい。
【0036】
以上で説明した各実施形態に係るエアバッグ10は、フロントウインドウ5における両側のフロントピラー6の前方およびその近辺のフロントガラス5aの前方を、別体のエアバッグ10で覆うようになっているものとして説明したが(図11参照)、本発明は、この形態に限定するものではなく、ピラー部12aがフロントガラス5aの全体を覆うような幅広い構造のものにして、ボンネット3の中央部に1個のエアバッグ装置1を設置する構造のものにも適用可能である。
また、以上の説明では本エアバッグ装置が歩行者を保護対象とする場合について説明したが、本発明はこれに限ることものではなく、車両の乗員を保護対象とするエアバッグ装置にも当然適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のエアバッグ装置が設置された車両の要部側面図である。
【図2】本発明のエアバッグ装置の第1実施形態を示す正面図である。
【図3】図2の矢視III−IIIでみた断面図である。
【図4】本発明のエアバッグの膨張展開時の側断面図である。
【図5】人体衝突時のエアバッグの断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る第三の基布を備えたエアバッグ装置の断面図である。
【図7】本発明のエアバッグ装置と従来のエアバッグ装置の衝撃緩和特性を示す図である。
【図8】本発明のエアバッグ装置の第3実施形態を示す正面図である。
【図9】本発明のエアバッグ装置の第4実施形態を示す正面図である。
【図10】本発明のエアバッグ装置のエアバッグが膨張展開した状態を模式的に示す正面図である。
【図11】膨張時のエアバッグを示す車両の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・エアバッグ装置、2・・・車両、3・・・ボンネット、5・・・フロントウインドウ、10・・・エアバッグ、11・・・インフレータ、12・・・エアバッグ本体、13・・・内部テザー、18・・・ベントホール、18A・・・ベントホール、18B・・・ベントホール、18C・・・ベントホール、18D・・・ベントホール、20・・・第三の基布、21・・・第四の基布、23・・・第1の縫合部、24・・・第2の縫合部、23a、24a・・・直線状縫合部、23b、24b・・・ジグザグ状の縫合部




 

 


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