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作業車両の制御装置 - 株式会社小松製作所
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発明の名称 作業車両の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−168647(P2007−168647A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−370222(P2005−370222)
出願日 平成17年12月22日(2005.12.22)
代理人 【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
発明者 中川 智裕 / 山本 茂 / 竃門 光彦
要約 課題
サイクルタイム短縮のため、車両が前進状態で後進操作がなされる場合があり、このような場合、後進クラッチに大きな熱負荷がかかる。また変速ショックが大きい。これをブレーキ制御にて対応する。

解決手段
車体の現在の走行方向が前進走行方向Fであるか後進走行方向Rであるかを判別し、走行操作レバーの選択操作位置が切り換えられた際に、走行操作レバーで選択されている走行方向位置(例えばR)と、上記の判別されている走行方向(たとえばF)とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ装置を作動させる。また、走行操作レバーの選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に、ブレーキ装置の作動を解除する。
特許請求の範囲
【請求項1】
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度を検出する車体速度検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段の選択操作位置と、前進クラッチまたは後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向であるか後進走行方向であるかを判別する走行方向判別手段と、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、操作手段で選択されている走行方向位置と、走行方向判別手段で判別されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項2】
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度を検出する車体速度検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段の選択操作位置と、前進クラッチまたは後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向であるか後進走行方向であるかを判別する走行方向判別手段と、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、操作手段で選択されている走行方向位置と、走行方向判別手段で判別されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御するとともに、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に、ブレーキ手段の作動を解除するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項3】
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度および走行方向を検出する車体速度・走行方向検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段で選択されている走行方向位置と、車体速度・走行方向検出手段で検出されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置。
【請求項4】
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度および走行方向を検出する車体速度・走行方向検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段で選択されている走行方向位置と、車体速度・走行方向検出手段で検出されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御するとともに、操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に、ブレーキ手段の作動を解除するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えたことを特徴とする作業車両の制御装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばブルドーザのような作業車両に搭載されて好適な制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザなどの作業車両では、エンジンの出力が、変速機(油圧クラッチ)を介して、駆動輪(スプロケット)に伝達される。変速機は、前進クラッチが接続されることにより選択される前進走行段と、後進クラッチが接続されることにより選択される後進走行段と、速度段切換クラッチが切換接続されることにより選択される速度段とを備えて構成されている。
【0003】
作業車両では、オペレータが操作レバーなどの走行操作装置を前進走行方向位置(「F」位置)に操作すると、前進操作指令が出力される。前進操作指令が出力されると、前進クラッチが接続されて、エンジンの動力が変速機の前進走行段および現在選択されている速度段を介して駆動輪に伝達される。これにより、車両が前進する。また、オペレータが走行操作装置を後進走行方向位置(「R」位置)に操作すると、後進操作指令が出力される。後進操作指令が出力されると、後進クラッチが接続されて、エンジンの動力が変速機の後進走行段および現在選択されている速度段を介して駆動輪に伝達される。これにより、車両が後進する。
【0004】
一般に、作業車両の前進動作と後進動作とを相互に切り換える際には、作業車両を一旦停止させてから、走行操作装置を操作して前進操作と後進操作の切り換えを行うことが、クラッチの保護のために好ましい。
【0005】
しかし、サイクルタイムを短縮するために、例えば車両が前進している状態で走行操作装置が操作されて、後進動作が行われるのが実情である。
【0006】
作業車両が前進走行しているときに、オペレータが走行操作装置を操作して後進操作指令が出力されると、後進クラッチが漸次に接続される。これにより、車両の運動エネルギは、後進クラッチで吸収され、車両は、減速される。
【0007】
前進走行中の車両が後進クラッチの接続動作によって減速されると、以下のような問題点が発生する。
【0008】
(A)後進クラッチをすべり作動状態とする際に、変速機から駆動輪に対して車両を後進させるような動力が瞬間的に伝達される。このため変速ショックが生じる。
【0009】
(B)車両を減速させるために後進クラッチは、多大な熱負荷を受ける。このため、後進クラッチの寿命が低下する。なお、後進クラッチが受ける熱負荷を抑制するために、後進クラッチの接続動作を短時間で行うことも考えられるが、この場合には、車両が急減速して多大な変速ショックが生じる。
【0010】
(C)車両減速時に多大な熱負荷を受けた後進クラッチにそれ以上の熱負荷がかかるのを抑制するために、減速動作後において車両を後進させる際の後進クラッチの接続動作を短時間で行う必要がある。かかる接続動作によって、やはり変速ショックが生じる。
【0011】
なお、後進走行中の車両を前進走行に切り換える際にも、上記問題点と同様の問題点が生じる。
【0012】
(従来技術1)
特許文献1には、操作レバーが前進走行方向位置から後進走行方向位置に切換え操作されると、前進クラッチと後進クラッチの両方を切断状態とし、速度段切換クラッチを適宜に接続することにより、車両の運動エネルギをその速度段切換クラッチで吸収して車両を減速させるという発明が記載されている。後進走行方向位置から前進走行方向位置に切り換える操作される場合も同様である。
【0013】
(従来技術2)
特許文献2には、操作レバーが操作されて前進走行方向位置から後進走行方向位置に切り換え操作されると、車速が一定車速よりも大きい場合には、自動的にブレーキを作動させながら前進クラッチから後進クラッチへの接続の切換えを行うという発明が記載されている。後進走行方向位置から前進走行方向位置に切り換え操作される場合も同様である。
【0014】
(従来技術3)
特許文献3には、操作レバーが前進走行方向位置から後進走行方向位置に切り換え操作されると、車速が一定車速よりも大きいときには、ブレーキを作動させながら前進クラッチから後進クラッチへの接続の切換えを行い、車速が一定車速以下であるときには、前進クラッチと後進クラッチの係合力を制御するという発明が記載されている。後進走行方向位置から前進走行方向位置に切り換え操作される場合も同様である。
【0015】
(従来技術4)
特許文献4には、操作レバーが前進走行方向位置から後進走行方向位置に切り換え操作されると、切換操作前の車両の車速が高速であるときには、制動力が強くなるようにブレーキを作動させながら前進クラッチから後進クラッチへの接続の切換えを行い、切換操作前の車両の車速が低速であるときには、制動力が弱くなるようにブレーキを作動させながら前進クラッチから後進クラッチへの接続の切換えを行うという発明が記載されている。後進走行方向位置から前進走行方向位置に切り換え操作される場合も同様である。
【特許文献1】特開平6−272758号公報
【特許文献2】特開平3−128730号公報
【特許文献3】特開平6−92162号公報
【特許文献4】特許第2680479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献1記載の発明は、前進走行方向位置から後進走行方向位置への切り換え操作が行われると、前進クラッチと後進クラッチの両方を切断状態とする一方で、速度段切換クラッチを適宜に接続して、車両の運動エネルギをその速度段切換クラッチで吸収させるようにしている。このため、車両減速時に速度段切換クラッチが多大な熱負荷を受ける。このため速度段切換クラッチの寿命が低下するという問題点が発生する。
【0017】
特許文献2、3、4記載の発明は、いずれも、操作レバーの切り換え操作が行われると、一義的に、ブレーキを作動させるというものである。最終的な切り換え操作位置を確認した上で ブレーキを作動させているわけではない。
【0018】
確かに、車両が前進中に、操作レバーが「後進走行方向位置R」に切り換え操作されて、その切り換え位置が確定したものである場合には、ブレーキを作動させることにより後進クラッチの入力側と出力側の相対回転速度が低減し、クラッチの滑りによる摩擦熱が低減し、クラッチの熱負荷が低減する。前進走行方向位置へ切り換え操作する場合についても同様である。
【0019】
しかし、ブルドーザなどの作業車両は、走行中に、操作レバーが切り換え操作されたとしても、その切り換え位置は、最終的に確定されたものではない。
【0020】
すなわち、ブルドーザは、地山を整地作業等する場合には、「シャトル操作」を行うことが多い。シャトル操作とは、操作レバーを、短時間の間に、中立位置Nを挟んで、前進走行方向位置Fあるいは後進走行方向位置Rに、少なくとも2回以上切り換える操作のことである。なお、上記シャトル操作以外にも、オペレータの判断ミス、勘違い等により、短時間の間に、中立位置Nを挟んで、前進走行方向位置Fあるいは後進走行方向位置Rに、少なくとも2回以上切り換えることがある。
【0021】
たとえば、短時間の間に、「F→N→R→N→F」という切り換え操作が行われる場合を想定する。
【0022】
この場合、特許文献2、3、4記載の技術をそのまま適用すると、切り換え操作毎に、ブレーキが作動し、結局シャトル操作中に継続してブレーキが作動することになる。上記「F→N→R→N→F」という切り換え操作は、車両が前進中に、最終的に同じ前進走行方向位置Fに切り換える操作であり、オペレータの意思としては、「ブレーキを作動させることなく車体を同じ方向(前進方向)に走行させたい」というものである。しかし、この意に反してブレーキが作動するとオペレータに操作感覚の違和感を与える。また、ブレーキをかけながら前進走行を続けることになり、作業効率の低下を招く。
【0023】
また、シャトル操作等(短時間での切り換え操作)が行われたことを検出して、ブレーキを作動させないように制御することも考えられるが、この場合には、ブレーキ作動が必要なときにブレーキが作動しない結果を招く。たとえば「F→N→R→N→F→N→R」というシャトル操作が行われて、車両が前進中に、最終的に反対の後進走行方向位置Rに切り換え操作されたとする。この場合は、オペレータの意思としては、「変速ショックや過大なクラッチ熱負荷を招くことなく前進から後進へ切り換えたい」というものであるが、ブレーキが作動しないため、オペレータの意に反し、変速ショックが増大し、クラッチの熱負荷が上昇するという結果を招く。
【0024】
また、操作レバーの切り換え操作位置の履歴を記憶しておき、最初の記憶操作位置と最終的な記憶操作位置とを対比して、操作位置が反対であればブレーキを作動させるという方法も考えられるが、この場合には、記憶処理、制御が複雑なものとなる。
【0025】
また、操作レバーの切り換え操作位置の履歴だけでは、車体の実際の走行方向を把握できないため、確実性に欠ける。たとえば坂道走行時には、操作位置が最終的に前進位置であったとしても、実際は車体が後方に走行していることもあるからである。
【0026】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、シャトル操作などの最終的な操作位置が不確かな操作が行われる場合であっても、最終的な操作位置が確定されるまでは、不必要にブレーキを作動させないようにし、最終的な操作位置が確定すると、その確定した操作位置が実際の走行方向とは反対のときにはブレーキを作動させるようにし、その確定した操作位置が操作開始前と同じ方向であればブレーキを作動させないようにして、操作感覚の違和感を取り除き、作業効率を向上させるとともに、クラッチの熱負荷、変速ショックを低減させることを解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
第1発明は、
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度を検出する車体速度検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段の選択操作位置と、前進クラッチまたは後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向であるか後進走行方向であるかを判別する走行方向判別手段と、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、操作手段で選択されている走行方向位置と、走行方向判別手段で判別されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えた作業車両の制御装置であることを特徴とする。
【0028】
第2発明は、
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度を検出する車体速度検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段の選択操作位置と、前進クラッチまたは後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向であるか後進走行方向であるかを判別する走行方向判別手段と、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、操作手段で選択されている走行方向位置と、走行方向判別手段で判別されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御するとともに、
操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に、ブレーキ手段の作動を解除するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えた作業車両の制御装置であることを特徴とする。
【0029】
第3発明は、
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度および走行方向を検出する車体速度・走行方向検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段で選択されている走行方向位置と、車体速度・走行方向検出手段で検出されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えた作業車両の制御装置であることを特徴とする。
【0030】
第4発明は、
クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する前進クラッチと、クラッチ油圧が保持圧に到達するとクラッチ接続動作が完了する後進クラッチとを有し、エンジンの動力が、前進クラッチまたは後進クラッチを介して、駆動輪に伝達される、作業車両の制御装置において、
前進走行方向位置、中立位置、後進走行方向位置が選択操作される操作手段と、
車体の速度を減じるブレーキ手段と、
車体の速度および走行方向を検出する車体速度・走行方向検出手段と、
操作手段によって前進走行方向位置が選択されると、後進クラッチが切断され前進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御するとともに、操作手段によって後進走行方向位置が選択されると、前進クラッチが切断され後進クラッチが接続されるようにクラッチ油圧を制御する前後進クラッチ制御手段と、
操作手段で選択されている走行方向位置と、車体速度・走行方向検出手段で検出されている走行方向とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっていることを条件に、ブレーキ手段が作動するようにブレーキ手段の制動力を制御するとともに、操作手段の選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に、ブレーキ手段の作動を解除するようにブレーキ手段の制動力を制御する制動力制御手段と
を備えた作業車両の制御装置であることを特徴とする。
【0031】
第1発明、第2発明では、走行操作レバー36aの選択操作位置と、前進クラッチ17または後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向Fであるか後進走行方向Rであるかを判別している(走行方向フラグ)。
【0032】
そして、走行操作レバー36aの選択操作位置が切り換えられた際に、走行操作レバー36aで選択されている走行方向位置(たとえばR)と、走行方向フラグによって判別されている走行方向(たとえばF)とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっている(FR変速フラグオン)ことを条件(FR連動ブレーキ作動条件a)、b))に、ブレーキ装置8が作動するようにブレーキ装置8のブレーキ力を制御する(図4のステップ106の判断yes、ステップ107、108のいずれかが判断yes、ステップ115)。
【0033】
また、走行操作レバー36aの選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件(FR連動ブレーキ解除条件
c)ゼロクロスフラグオン)に、ブレーキ装置8の作動を解除するようにブレーキ装置8のブレーキ力を制御するようにしている(図4のステップ104の判断yes、ステップ125、ステップ113)。
【0034】
このためシャトル操作などの最終的な操作位置が不確かな操作が行われる場合であっても、最終的な操作位置が確定されるまでは、不必要なブレーキは作動しないように制御される。また、最終的な操作位置が確定すると、その最終的な操作位置が実際の走行方向と反対のときには、ブレーキを作動させるように制御される。また、最終的な操作位置が操作開始前と同じ方向であればブレーキを作動させないように制御される。これにより、オペレータに操作感覚の違和感を与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。また、クラッチの熱負荷、変速ショックが低減する。
【0035】
第3発明、第4発明では、第1発明、第2の発明の車体走行方向判別手段の代わりに、車体走行方向検出手段が設けられ、直接、車体走行方向が検出される。
【0036】
図5に示すように、走行操作レバー36aで選択されている走行方向位置(たとえばR)と、検出された走行方向(たとえばF)とが逆の走行方向になっており(ステップ108の判断yes)、かつ、検出された車体速度が所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)ことを条件に、ブレーキ装置8が作動するように(ステップ115)、ブレーキ装置8のブレーキ力が制御される。
【0037】
また、検出された車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に(ステップ104の判断yes、ステップ125;ゼロクロスフラグオン)、ブレーキ装置8の作動を解除する(ステップ113)ようにブレーキ装置8のブレーキ力が制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係る作業車両の制御装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、作業車両としてブルドーザに本発明が適用された場合を想定している。
【0039】
図1は、実施形態のブルドーザの制御装置の構成図である。
【0040】
図1に示される制御装置1は、ブルドーザに搭載されている。
【0041】
エンジン2の回転駆動力は、トルクコンバータ3に伝達され、このトルクコンバータ3の出力軸からトランスミッション(変速機)4に伝達され、このトランスミッション4の出力軸からベベルギヤ5を介して横軸6に伝達される。
【0042】
横軸6には、左右の遊星歯車機構7A、7Bがそれぞれ連結されている。
【0043】
左側の遊星歯車機構7Aの遊星キャリアに固定される出力軸は、ブレーキ装置8および終減速装置9を介して左側のスプロケット(左側駆動輪)10Aに連結されている。右側の遊星歯車機構7Bの遊星キャリアに固定される出力軸は、ブレーキ装置8および終減速装置9を介して右側のスプロケット(右側駆動輪)10Bに連結されている。また、左右のスプロケット10A,10Bは、車体の左右各側部に配される履帯11A,11Bにそれぞれ噛合されている。
【0044】
横軸6から左右の遊星歯車機構7A,7Bにおけるそれぞれのリングギヤに伝達された回転駆動力は、左右の遊星歯車機構7A,7Bにおけるそれぞれの遊星キャリアから各終減速装置9,9を介して各スプロケット10A,10Bに伝達され、各スプロケット10A,10Bにより各履帯11A,11Bが駆動される。
【0045】
左側の遊星歯車機構7Aのサンギヤに一体に固定されるギヤ、および右側の遊
星歯車機構7Bのサンギヤに一体に固定されるギヤは、それぞれ所要の歯車列よりなる動力伝達機構12を介して、油圧モータ13の出力軸に固定されるギヤに噛合されている。油圧モータ13の回転駆動力は左右の遊星歯車機構7A,7Bにおけるそれぞれのサンギヤから各遊星キャリアおよび各終減速装置9,9を介して左右のスプロケット10A,10Bに伝達される。左右のスプロケット10A,10Bの回転速度を異ならせることで車両が左右に旋回される。この機構は、油圧操向方式(HSS:Hydrostatic Steering System)と呼ばれている。
【0046】
エンジン2は、ディーゼル式のエンジンである。エンジン2には、蓄圧(コモ
ンレール)式の燃料噴射装置14が付設されている。この燃料噴射装置14は、それ自体公知のものである。すなわち、蓄圧(コモンレール)式の燃料噴射装置14は、燃料圧送ポンプによりコモンレール室に燃料を蓄圧し、電磁弁の開閉によりインジェクタから燃料を噴射する方式のものであり、コントローラ15から電磁弁への駆動信号により燃料噴射特性が決定され、エンジン2の低速域から高速域まで任意の噴射特性が得られる。
【0047】
本実施形態では、燃料噴射装置14、コントローラ15および各種センサ類を含む機器にて電子制御噴射システムが構築されている。かかる電子制御噴射システムでは、目標噴射特性をデジタル値でマップ化して記憶し、好適なエンジン特性を得るようにしている。ここで、エンジン2の実回転数は、回転数センサ16にて検出され、その検出信号はコントローラ15に入力される。
【0048】
トランスミッション4は、前進クラッチ17の接続により選択される前進走行段18と、後進クラッチ19の接続により選択される後進走行段20と、速度段切換クラッチ21〜23により選択される1〜3速速度段24〜26を備えて構成されている。
【0049】
前進クラッチ17、後進クラッチ19および速度段切換クラッチ21〜23は、それぞれ油圧作動式の摩擦クラッチ(油圧クラッチ)として構成されている。 前進走行段18、後進走行段20および1〜3速速度段24〜26は、それぞれ遊星歯車列(または平行軸歯車列)により形成されている。
【0050】
トランスミッション4の出力軸には、回転数センサ27が付設されている。回転数センサ27は、トランスミッション4の出力軸の回転数を検出するセンサである。回転数センサ27の検出信号はコントローラ15に入力される。コントローラ15では、入力されたトランスミッション4の出力軸の実回転数が、車体速度に換算される。回転数センサ27は、たとえば電磁ピックアップで構成される。
【0051】
トランスミッション4には、前進クラッチ17の接断動作を制御するECMV(Electronic Controlled Modulation Valve)28が付設されている。
【0052】
ECMV28は、コントローラ15から送られてくる電流を比例ソレノイドにより電流に比例した推力に変換し、その推力と油圧がバランスするようにクラッチ油圧を調圧する電磁比例圧力制御弁と、クラッチに流れ込む圧油の流量を検出して、流量が所定値以上である場合には油圧ポンプから吐出された圧油を直接クラッチに導くとともに、流量が所定値よりも小さくなると(フィリングタイム終了;ビルドアップ待ち限界時間経過)、閉作動する流量検出弁とが組み合わされて、構成されている。
【0053】
ECMV28は、コントローラ15からの電流指令信号に応じて、ECMV28に接続されている前進クラッチ17への油圧を変化させる。前進クラッチ17は、ECMV28からの油圧の変化によって、その係合度合いが変化することになる。ところで、前進クラッチ17の接続動作において、ECMV28から急激に圧油を与え、急激にクラッチを接続すると、急発進のショックや、エンジンに急激に負荷が掛かりエンストになるなどの不具合がある。そのため、ECMV28は、コントローラ15からの電流指令信号により、前進クラッチ17を緩やかに接続するように動作する。
【0054】
このECMV28の動作について、コントローラ15の電流指令信号(図2)に基づき説明する。ECMV28は、コントローラ15から接続指令としてのトリガ電流(図2のTt)が入力されると、作動油を前進クラッチ17に充填し始める。ECMV28は、前進クラッチ17に対して作動油流れがあるうちは、流量検出弁を開作動させて、前進クラッチ17に対して作動油を急速に充填する。所定時間であるフィリングタイム(ビルドアップ待ち限界時間;図2のTf)が経過し、前進クラッチ17内に作動油が充満されると、ECMV28は、流量検出弁を閉作動させて、以後、電磁比例圧力制御弁によって、コントローラ15からの指令電流に応じて、前進クラッチ17に作用する油圧を変化させることができるようになる。前進クラッチ17を接続するには、電流指令信号を徐々に増加(ビルドアップ)させる(図2のTb)。所定時間ビルドアップした後電流指令値を、クラッチ油圧が保持圧に到達する電流値とし(図2のtm)、前進クラッチ17の入力側と出力側の接続動作が完了する。また、前進クラッチ17を切断するには、コントローラ15からECMV28に与えられる電流指令信号を0とする。すると、ECMV28は、前進クラッチ17から圧油を排出させるように作動する。これにより前進クラッチ17の入力側と出力側とが切断される。
【0055】
なお、フィリングタイムの時間内に、ECMV28の動作を確実にするために適度な電流指令信号を与えること(図2のTf区間の信号変化を参照)、上述の動作開始前に不感時間を設けること(図2のTi)、並びに、ビルドアップのための信号の増加量および時間Tbについて、任意に設定できることは言うまでもない。つまり、図2に示した前進クラッチ17の接続についての電流指令信号は、一例に過ぎず、他の電流指令信号に置き換えても、本発明の目的、効果を得ることができる。
【0056】
さらに、後述するように、本実施例においては、速度段クラッチ、ロックアップクラッチ、ブレーキに係る油圧回路にもECMVが使用されている。その場合には、それぞれの動作に適した電流指令信号とすることができる。特に、後述するブレーキ回路においては、トリガ電流等の電流指令信号を与えずECMVを動作させている。また、ECMV28を用いずに他の油圧回路構成、コントローラによる制御に置き換えても、本発明の目的、効果を得ることができる。
【0057】
トランスミッション4には、前進クラッチ17以外に後進クラッチ19および速度段切換クラッチ21〜23が設けられており、それぞれに、対応するECMV29〜32が付設されている。各クラッチ19、21〜23は、前述した前進クラッチ17と同様に動作する。
【0058】
トルクコンバータ3には、ロックアップクラッチ33が備えられている。ロックアップクラッチ33は、トルクコンバータの特性を必要としないときに、ポンプ(入力要素)3aとタービン(出力要素)3bとが固定的に連結されている。
【0059】
コントローラ15から指令電流がECMV34に入力されると、ECMV34は指令電流に応じてロックアップクラッチ33に作用する油圧を変化させて、ロックアップクラッチ33の接続動作、切断動作を制御する。
【0060】
ECMV34によってロックアップクラッチ33が切断状態にされた場合には、エンジン2の機械的動力は、トルクコンバータ3において一旦流体の動的エネルギに変換された後、再度機械的動力に変換されてトランスミッション4に入力される。これにより、エンジン2や、トランスミッション4以下の動力伝達経路において発生する振動や衝撃がトルクコンバータ3によるダンパ効果によって低減される。また、ECMV34によりロックアップクラッチ33が接続状態にされた場合には、エンジン2からの機械的動力は直接的にトランスミッション4に入力され、エンジン2の動力が、エンジン2より下流の動力伝達経路に高効率で伝達される。なお、ロックアップクラッチ33が接続状態にあると、トルクコンバータ3内における作動流体の回流がなくなり、ステータ(反動要素)3cとの間に流体のせん断抵抗が生じるため、ロックアップクラッチ33が接続状態にあるときには、図示省略されるステータクラッチが解放されてステータ3cがフリーにされる。
【0061】
ブレーキ装置8は、ブレーキ力に応じた制動力を車体に作用させ、車体の速度を減じさせる。ブレーキ装置8は、ばね力等を用いてエンジン停止時においてもブレーキ力が働くように構成され、コントローラ15からECMV35に加えられる電流指令(ブレーキ解除指令値)に応じてブレーキ装置8内にあるアクチュエータ(図示せず)に圧油を供給することによって、前記アクチュエータが前記ばね力に抗して、ブレーキ力を変化させるように動作する。つまり、ECMV35に加えられるブレーキ解除指令値が0%から100%に変化すると、これに対応して、ブレーキ装置8のブレーキ力は100%から0%へと変化する。
【0062】
ブレーキ装置8は、手動操作によらずに、走行操作レバー36aの切り換え時の前進クラッチ17、後進クラッチ19等の状態に連動して作動する(これをFR連動ブレーキという)とともに、手動操作(足の踏み込み)に応じて作動する(これをフットブレーキという)。運転室には、ブレーキペダル37が設けられている。ブレーキペダル37には、ブレーキペダルの操作量(踏み込み量)を検出する操作量センサ37aが付設されている。操作量センサ37aの検出信号は、コントローラ15に入力される。
【0063】
コントローラ15は、FR連動ブレーキに適合したブレーキ圧(FR連動ブレーキ圧)を生成する。また、コントローラ15は、操作量センサ37aの検出操作量に対応するブレーキ圧(フットブレーキ圧)を生成する。
【0064】
コントローラ15は、FR連動ブレーキ圧指令値(%)とフットブレーキ圧指令値(%)とを対比して、大きい方のブレーキ圧指令値に対応する電流指令をECMV35に出力する。
【0065】
なお、前記電流指令は、ブレーキ解除指令値であり、前述したとおり、0%の時にブレーキ力を100%とするものであり、コントローラ15からFR連動ブレーキ圧指令値またはフットブレーキ圧指令値がECMV35に出力される際に、出力すべきいずれかのブレーキ圧指令値が0%の時にECMV35への電流指令が100%、同ブレーキ圧指令値が100%の時に同電流指令が0%となるように、負論理にて出力される。このような出力値とすることは、コントローラ内部の論理構成によるものであるから、この例に限るものではない。
【0066】
FR連動ブレーキに適合したFR電動ブレーキ圧の具体例について、図3を用いて説明する。FR連動ブレーキ圧は、その動作開始(図3のt0)から任意に定められる初動時間の間出力される第1のブレーキ圧(Pa)と第1のブレーキ圧出力後に出力される第1のブレーキ圧よりも高圧の第2のブレーキ圧(Pb;図示では最大圧力としている)とからなる。コントローラ15からECMV35へのブレーキ解除指令値は、図3の中でブレーキ圧の表示下の()付きで記載した。また、右側にはそれらに対応するブレーキ装置8のブレーキ力(Fbはブレーキ力100%)を記載した。
【0067】
図3(a)では、初動時間の間、第1のブレーキ圧(Pa)が保持された後、ステップ状に第2のブレーキ圧(Pb)となるようにFR連動ブレーキ圧が設定される例が示されている。図3(b)では、初動時間の間、第1のブレーキ圧(Pa)が保持された後、所定の時間で第2のブレーキ圧(Pb)となるようにFR連動ブレーキ圧が設定される例が示されている。言うまでも無いが、FR連動ブレーキ圧の設定は、この例に限るものではない。
【0068】
運転室には、走行操作装置36が設けられている。走行操作装置36は、前進走行段18または後進走行段20を選択するために設けられた走行操作レバー36aと、走行操作レバー36aに付設されて、1〜3速速度段24〜26を切り換え選択するために設けられた速度段切換スイッチ36bとを備えている。
【0069】
走行操作レバー36aは、前進走行方向位置F、中立位置N、後進走行方向位置Rといった各操作位置を選択操作する操作手段である。走行操作レバー36aによって、中立位置Nを挟んで、前進走行方向位置Fと後進走行方向位置Rとが、相互に切り換えられる。
【0070】
走行操作レバー36aには、操作位置F、N、Rを検出する操作位置センサ36cが付設されている。操作位置センサ36cは、たとえばポテンショメータ、リミットスイッチなどによって構成される。
【0071】
走行操作レバー36aが操作されると、操作位置が操作位置センサ36cで検出され、操作位置信号が出力される。
【0072】
操作位置センサ36cで検出された操作位置信号は、コントローラ15に入力される。
【0073】
コントローラ15は、各種入力信号を変換・整形する入力インタフェースと、決められた手順に従って入力データの算術演算または論理演算を行うコンピュータ部と、その結果をアクチュエータ作動信号に変換する出力インタフェースと、データやプログラムを記憶するメモリとから構成されている。例えば、コントローラ15のコンピュータ部におけるCPUは、回転数センサ27から入力インタフェースに入力されたトランスミッション出力軸回転数信号に基づいて現在の車体速度を演算処理する。
【0074】
また、コントローラ15のメモリには、後述する図4のフローチャートにて示される制御ロジックに相当する動作プログラム、計算結果の参照値、燃料噴射特性マップなどが記憶されている。また、コントローラ15の出力インタフェースには、コンピュータ部からの微小信号を電力増幅してECMVに電力を供給するECMV駆動回路が、各ECMV28〜32,34,35,35に対応して設けられているとともに、コンピュータ部からの微小信号を電力増幅して燃料噴射装置14のアクチュエータ(電磁弁)に電力を供給する燃料噴射装置駆動回路が設けられている。
【0075】
つぎに、FR連動ブレーキの作動、作動解除のために必要な各フラグの定義、各フラグの解除条件、更新条件、ブレーキ作動条件、ブレーキ解除条件について説明する。
【0076】
・走行方向フラグ
走行操作レバー36aの選択操作位置F、N、Rと、前進クラッチ17または後進クラッチ19のクラッチ油圧と、回転数センサ27の検出信号から得られた車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向Fであるか後進走行方向Rであるかを判別するためのフラグである。
【0077】
この走行方向フラグが後進走行方向位置Rから前進走行方向位置Fへ更新する条件あるいは前進走行方向位置Fから後進走行方向位置Rへ更新する条件は、切り換え後の前進クラッチ17または後進クラッチ19のクラッチ油圧が保持圧に達したこと、つまり定常走行状態に移行したことである。
【0078】
すなわち、走行操作レバー36aの前回の走行方向フラグ更新時の走行方向位置を記憶しておき、前回の走行方向位置とは反対側の走行方向位置に切り換えられたとき(前回の走行方向位置が前進走行方向位置Fであれば前進走行方向位置Fから後進走行方向位置Rに切り換えられたとき、あるいは前回の走行方向位置が後進走行方向位置Rであれば後進走行方向位置Rから前進走行方向位置Fに切り換えられたとき)に、切り換え後の走行方向位置に対応するクラッチが保持圧に達していない場合には、前回の走行方向位置をフラグの内容とし(たとえば、切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達していない場合には、前回の走行方向位置Fをフラグの内容「F」とし)、切り換え後の走行方向位置に対応するクラッチが保持圧に達している場合には、切り換え後の走行方向位置をフラグの内容とする(たとえば、切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達している場合には、切り換え後の走行方向位置Rをフラグの内容「R」とする)ものである。
【0079】
走行方向フラグが中立位置Nへ更新する条件は、後述するゼロクロスフラグの成立条件に連動する。
【0080】
すなわち、走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた場合には、ゼロクロスフラグが解除されていれば、前回の走行方位置をフラグの内容とし(たとえば前回の走行方向位置がFであれば、フラグの内容を「F」とし)、ゼロクロスフラグが成立していれば、中立位置Nをフラグの内容とする。
【0081】
・ FR変速フラグ
ブレーキ装置8を作動させるか否かを判断するためのフラグである。走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに車体速度が所定のしきい値(たとえば2km/h)よりも大きければ、フラグの内容を「成立」、つまり「オン;論理1レベル」とし、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに車体速度が上記所定のしきい値以下であれば、フラグの内容を「解除」、つまり「オフ;論理0レベル」とする。また、切り換え後のクラッチ(前進クラッチ17または後進クラッチ19)のクラッチ油圧が保持圧に達していれば、FR変速フラグの内容を「解除」、つまり「オフ;論理0レベル」とする。
【0082】
・ゼロクロスフラグ
車速がほぼ0km/hに達しているか否か、ブレーキ装置8の作動を解除させるか否かを判断するためのフラグである。車体速度が所定のしきい値(たとえば1km/h)よりも小さければ、フラグの内容を「成立」、つまり「オン;論理1レベル」とし、車体速度が上記所定のしきい値以上であれば、フラグの内容を「解除」、つまり「オフ;論理0レベル」とする。なお、回転数センサ27が電磁ピックアップで構成される場合には、回転数が零であることを検出(車速が零であることを計測)することができないため、上記所定のしきい値を車速零にほぼ近い車速(1km/h)としている。また、切り換え後のクラッチ(前進クラッチ17または後進クラッチ19)のクラッチ油圧が保持圧に達していれば、ゼロクロスフラグの内容を「解除」、つまり「オフ;論理0レベル」とする。
【0083】
・FR連動ブレーキ作動条件
ブレーキ装置8は、つぎのa)およびb)の条件が同時に満たされたときに作動する。
【0084】
a)FR変速フラグが成立(オン)していること。
【0085】
b)走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であること。
【0086】
・FR連動ブレーキ解除条件
ブレーキ装置8は、つぎのc)またはd)のいずれかの条件が満たされたときに作動が解除する。
【0087】
c)ゼロクロスフラグが成立(オン)していること。
【0088】
d)前進クラッチ17または後進クラッチ19がビルドアップ待ち限界時間(フィリングタイム)を超えたとき。
【0089】
・故障時処置
回転数センサ27で回転数を検出することができない場合には、故障であると判断して、FR変速フラグをオフにし、ゼロクロスフラグをオンにして、FR連動ブレーキの作動を解除する。
【0090】
なお、各フラグの成立等については、前進クラッチ17または後進クラッチ19が保持圧になることを条件とするものがある。この保持圧は、クラッチの油圧をセンサ等により直接計測するばかりではなく、図2に例示した係合信号(tm以降)が出力されているかを確認して、間接的に計測してもよい。ビルドアップ待ち限界時間は、前進クラッチ17または後進クラッチ19の係合に係るプログラムに、ビルドアップ待ち時間限界を超えているか否かにより成否が定まるフラグを設け、そのフラグを確認して判断することができる。
【0091】
以上のように構成された本実施形態の動作について、図4のフローチャート、図6〜図10のタイムチャートを併せ参照しつつ以下、説明する。
【0092】
・第1の実施例(図6)
図6は、走行操作レバー36aが「F→N→R」という順序で切り換え操作が行われた場合のタイムチャートである。
【0093】
図6(a)は、走行操作レバー36aの切り換え操作位置(F、N、R)が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0094】
図6(b)は、走行方向フラグの内容(F、N、R)が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0095】
図6(c)は、FR変速フラグの内容(オン、オフ)が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0096】
図6(d)は、前進クラッチ17のクラッチの電流指令値が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0097】
図6(e)は、後進クラッチ19のクラッチの電流指令値が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0098】
図6(f)は、車速が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0099】
図6(g)は、ゼロクロスフラグの内容(オン、オフ)が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0100】
図6(h)は、FR連動ブレーキ圧指令値が時間経過に応じて変化する様子を示している。
【0101】
図6(a)〜(h)は、図中横軸の同位置では同時刻であるものとする。
【0102】
図4と図6を併せ参照して説明する。
【0103】
まず、走行操作レバー36aの現在の操作位置(N)が操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図6(a)の時刻ta1)。なお、走行操作レバー36aのta1以前の走行方向位置(前進走行方向位置F)は、走行方向フラグを格納する所定のメモリに記憶される。
【0104】
走行操作レバー36aが操作位置Fから操作位置Nに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図6(a)の時刻ta1)、車体速度が所定のしきい値(第一の車体速度しきい値)よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図6の矢印A1参照)。車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため、FR変速フラグをオンとする(ステップ122;図6の矢印A2参照)。
【0105】
なお、走行方向フラグは、走行方向位置Fを維持したままである(図6の矢印A3参照)。
【0106】
このときのクラッチの電流指令値について説明する。前進クラッチ17および後進クラッチ19は、走行操作レバー36aが切り換えられた時に、その操作位置(現在位置)に基づき、接続・切断が行われる。図6(a)の時刻ta1においては、走行操作レバー36aが操作位置Nに切り換えられたものであるので、前進クラッチ17および後進クラッチ19のクラッチの電流指令値は、共に0となる。
【0107】
ところで、走行操作レバー36aの操作位置が、F(前進走行方向)あるいはR(後進走行方向)に切り換えられたとすると、対応する前進クラッチ17あるいは後進クラッチ19は接続し、逆の走行方向となるクラッチは切断するように処理を行う。これら一連のクラッチの電流指令値の処理は、図2で説明したクラッチ動作に基づき作成した制御プログラムにより、本フローチャート(図4)とは別に走行操作レバー36aが切り換えられたときを処理の開始として実行させている。そのため、クラッチの電流指令値の動きをタイムチャートにより説明するものとし、フローチャートの流れにおいてのクラッチの動作については、説明を省略する。
【0108】
さて、ステップ113に処理が進み、FR連動ブレーキ圧を0%にセットした後、ステップ114からステップ115またはステップ116を処理する。なお、ステップ114からステップ115またはステップ116は、ブレーキ装置8にブレーキ力を与えるためのECMV35への信号出力の処理であり、詳細については後述する。
【0109】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻ることになる。
【0110】
走行操作レバー36aが、中立位置Nを経て後進走行方向位置Rに切り換えられると、操作位置Rが操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図6(a)の時刻ta2)。
【0111】
このとき、走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Rに切り換えられているので、ステップ102の判断yesとなり、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図6の矢印A4参照)。走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため、FR変速フラグはオンを維持する(ステップ122;図6の矢印A5参照)。
【0112】
更に、ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0113】
そして、走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、ゼロクロスフラグの成立、解除の判断(ステップ103、104)に進む。ゼロクロスフラグの解除の条件である定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。切り換え直後では、後進クラッチ19が保持圧に達していないため、ステップ103の判断noとなる。
【0114】
つぎに、ゼロクロスフラグの成立の条件である車体速度が所定のしきい値(第二の車体速度しきい値;第一の車体速度しきい値よりも小さい)よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度は所定のしきい値以上であるため、ゼロクロスフラグはオフを維持する(ステップ104の判断no;図6の矢印A6参照)。
【0115】
つぎに、FR連動ブレーキの解除条件d)が満たされているか否か、つまり、切り換え後のクラッチがビルドアップ待ち限界時間を超えたか否かが判断される(ステップ105)。切り換え直後では、切り換え後の後進クラッチ19は、ビルドアップ待ち限界時間を超えていない(ステップ105の判断no)。
【0116】
つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0117】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。走行操作レバー36aの走行方向位置は、後進走行方向位置Rであり、一方、走行方向フラグは、これとは逆の前進走行方向位置Fとなっている(ステップ108の判断yes;図6の矢印A7参照)。これによりFR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたと判断される。さらにFR連動ブレーキの作動解除条件c)が成立しているか否か、つまりゼロクロスフラグがオンとなっているか否かが判断される(ステップ109)。ゼロクロスフラグがオフになっておりFR連動ブレーキの作動解除条件は成立していないため、FR連動ブレーキを作動すべきと判断する(ステップ109の判断no)。これによりブレーキ装置8を作動させるための電流指令をブレーキ装置8用のECMV35に出力する(ステップ110〜116;図6の矢印A8参照)。
【0118】
すなわち、まず、FR連動ブレーキを作動すべきと判断した時点から初動時間が経過していなければ(ステップ110の判断yes)、図3で説明したように第1のブレーキ圧指令値がセットされる(ステップ111)。つぎに、現在セットされているFR連動ブレーキ圧指令値(第1のブレーキ圧指令値)とフットブレーキ圧指令値とが対比され(ステップ114)、大きい方のブレーキ圧指令値に対応する電流指令をECMV35に出力する(ステップ115、116)。
【0119】
FR連動ブレーキ圧指令値がフットブレーキ圧指令値以上であれば(ステップ114の判断no)、初動時間の間、ブレーキ装置8で第1のブレーキ圧Pbに対応するブレーキ力が発生する(ステップ115;図6(h)の時刻ta2〜ta3)。
【0120】
さらに、FR連動ブレーキを作動すべきと判断した時点から初動時間が経過すると(ステップ110の判断no)、図3で説明したように第2のブレーキ圧指令値がセットされる(ステップ112)。つぎに、現在セットされているFR連動ブレーキ圧指令値(第2のブレーキ圧指令値)とフットブレーキ圧指令値とが対比され(ステップ114)、大きい方のブレーキ圧指令値に対応する電流指令をECMV35に出力する(ステップ115、116)。
【0121】
FR連動ブレーキ圧指令値がフットブレーキ圧指令値以上であれば(ステップ114の判断no)、ブレーキ装置8で第2のブレーキ圧Pcに対応するブレーキ力が発生する(ステップ115;図6(h)の時刻ta3〜ta4)。
【0122】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0123】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、ゼロクロスフラグの解除条件である切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
そして、ゼロクロスフラグの成立条件である車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。既にFR連動ブレーキが作動しているため、車体速度が低下しており、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。このため、ゼロクロスフラグの内容はオンになる(ステップ125;図6の矢印A9参照)。ゼロクロスフラグがオンとなることでFR連動ブレーキの作動解除条件が成立し、FR連動ブレーキは0%にセットされる(ステップ113)。これによりフットブレーキが作動していない限りブレーキ装置8で発生するブレーキ力がゼロになる(ステップ115、116;図6の矢印A10参照)。なお、図6(f)に破線A14に示すように車速が高いままであっても、ステップ105でFR連動ブレーキ解除条件d)が満たされビルドアップ待ち限界時間を超えていると判断されると、ステップ125に進みゼロクロスフラグをオンにセットして、FR連動ブレーキ圧指令値を0%(作動解除)にセット(ステップ113)して、ブレーキ装置8を作動させるフローを通って、ステップ117まで進む。つまり、図6の矢印A9′、A10′に示すように、ゼロクロスフラグがオンとなり、FR連動ブレーキの作動が解除されることになる。
【0124】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0125】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
後進クラッチ19が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図6(e)の時刻ta5)、FR変速フラグはオフとなり(ステップ118;図6の矢印A11参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である後進走行方向位置Rに更新され(ステップ119;図6の矢印A12参照)、ゼロクロスフラグはオフになる(ステップ120;図6の矢印A13参照)。
【0126】
以上のように、この第1の実施例によれば、車速が高いときに、走行操作レバー36aが、F→N→Rと切り換え操作されると、その切り換え操作中にFR連動ブレーキが作動するため、クラッチの熱負荷が低減するとともに、変速ショックが低減する。
【0127】
・第2の実施例(図7)
図7は、走行操作レバー36aが「F→N→R→N→F→N→R」という順序で切り換え操作が行われた場合のタイムチャートである。
【0128】
図7(a)〜図7(h)はそれぞれ、図6(a)〜図6(h)に対応している。
【0129】
図4と図7を併せ参照して説明する。
【0130】
まず、走行操作レバー36aの現在の操作位置(N)が操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図7(a)の時刻tb1)。
【0131】
走行操作レバー36aが操作位置Fから操作位置Nに切り換えられているので、ステップ102の判断yesとなり、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図7の矢印B1参照)。車速が低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下となっているため、FR変速フラグはオフを維持する(ステップ121の判断no)。
【0132】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0133】
走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、ゼロクロスフラグの解除の条件であるクラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。前進クラッチ17、後進クラッチ19ともに保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、ゼロクロスフラグの成立の条件である車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。つぎに、現在の操作位置が中立位置Nであるか否かが判断される(ステップ123)。現在の操作位置は中立位置Nであるため(ステップ123の判断yes)、走行方向フラグを中立位置Nに更新した上(ステップ124;図7の矢印B2参照)、ゼロクロスフラグをオンにする(ステップ125;図7の矢印B3参照)。
【0134】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0135】
走行操作レバー36aが、中立位置Nを経て後進走行方向位置Rに切り換えられると、操作位置Rが操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図7(a)の時刻tb2)。
【0136】
走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Rに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図7(a)の時刻tb2)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図7の矢印B4参照)。車速は低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下となっているため、FR変速フラグはオフを維持する(ステップ121の判断no)。
【0137】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0138】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。後進クラッチ19が保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。このためゼロクロスフラグはオンを維持し(ステップ125)、FR連動ブレーキ圧指令値は0%にセットされ(ステップ113)、FR連動ブレーキは作動しない。このように車速が低いときには「F→N→R」という切り換え操作がなされたとしても、FR連動ブレーキは作動しない。
【0139】
やがて後進クラッチ19が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図7(e)の時刻tb3)、FR変速フラグはオフを維持し(ステップ118;図7の矢印B5参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である後進走行方向位置Rに更新され(ステップ119;図7の矢印B6参照)、ゼロクロスフラグはオフになる(ステップ120;図7の矢印B7参照)。
【0140】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0141】
走行操作レバー36aが操作位置Rから操作位置Nに切り換えられると、(ステップ102の判断yes;図7(a)の時刻tb4)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図7の矢印B8参照)。車速が低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下となっているため、FR変速フラグはオフを維持する(ステップ121の判断no)。
【0142】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0143】
走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かか否かが判断される(ステップ103)。前進クラッチ17、後進クラッチ19ともに保持圧に達してしないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。つぎに、現在の操作位置が中立位置Nであるか否かが判断される(ステップ123)。現在の操作位置は中立位置Nであるため(ステップ123の判断yes)、走行方向フラグを中立位置Nに更新した上(ステップ124;図7の矢印B9参照)、ゼロクロスフラグをオンにする(ステップ125;図7の矢印B10参照)。
【0144】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0145】
走行操作レバー36aが、中立位置Nを経て前進走行方向位置Fに切り換えられると、操作位置Fが操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図7(a)の時刻tb5)。
【0146】
走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Fに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図7(a)の時刻tb5)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図7の矢印B11参照)。車速は低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下となっているため、FR変速フラグはオフを維持する(ステップ121の判断no)。
【0147】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0148】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Fに対応する前進クラッチ17が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。前進クラッチ17が保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。このためゼロクロスフラグはオンを維持し(ステップ125)、FR連動ブレーキ圧指令値は0%にセットされ(ステップ113)、FR連動ブレーキは作動しない。このように車速が低いときには「R→N→F」という切り換え操作がなされたとしても、FR連動ブレーキは作動しない。
【0149】
やがて前進クラッチ17が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図7(d)の時刻tb6)、FR変速フラグはオフを維持し(ステップ118;図7の矢印B12参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である前進走行方向位置Fに更新され(ステップ119;図7の矢印B13参照)、ゼロクロスフラグはオフになる(ステップ120;図7の矢印B14参照)。
【0150】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0151】
以後、時刻tb7〜tb8で走行操作レバー36aが「F→N→R」と切り換えられると、図6の時刻ta1〜ta2における動作と同様に動作して、FR連動ブレーキが作動する(ステップ115;時刻tb8〜)。
【0152】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0153】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。後進クラッチ19が保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。既にFR連動ブレーキが作動しているため、車体速度が低下しており、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。このため、ゼロクロスフラグの内容はオンになる(ステップ125;図7の矢印B15参照)。ゼロクロスフラグがオンとなることでFR連動ブレーキの作動解除条件が成立し、FR連動ブレーキ指令値は0%にセットされる(ステップ113)。これによりフットブレーキが作動していない限りブレーキ装置8で発生するブレーキ力がゼロになる(ステップ115、116;図7の矢印B16参照)。
【0154】
ところで、車両が坂道を降坂しているときなど、図7(f)のB17で示すように、車速が、ゼロクロスフラグ成立を判断するためのしきい値近辺で変動することがある。
【0155】
しかし、一旦ゼロクロスフラグがオンとなっていれば、定常走行状態に移行しない限り(ステップ103の判断yesとならない限り)、ゼロクロスフラグはオフにはならない。このためFR連動ブレーキは保持圧にセットされた状態を維持し(ステップ109の判断yes、ステップ113)、FR連動ブレーキが作動したり作動が解除されたりといったハンチングを起こすことはない。
【0156】
以上のように、この第2の実施例によれば、車速が低いときに、走行操作レバー36aが、F→N→R、R→N→Fと切り換え操作されると、その切り換え操作中には、FR連動ブレーキが作動しないようにブレーキ装置8が制御される。このため不要なブレーキ作動によって操作感覚に違和感を与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。そして、その後、車速が高くなって、走行操作レバー36aが、F→N→Rと切り換え操作されると、FR連動ブレーキが作動する。このため、クラッチの熱負荷、変速ショックが低減する。
【0157】
・第3の実施例(図8)
図8は、走行操作レバー36aが「F→N→F→N→F」という順序で切り換え操作が行われた場合のタイムチャートである。
【0158】
図8(a)、(b)、(c)、(d)、(g)、(h)、(i)はそれぞれ、図6(a)、(b)、(c)、(d)、(f)、(g)、(h)に対応している。図8(e)、(f)はそれぞれ、速度段切換クラッチ23、21(3速速度段用クラッチ、1速速度段用クラッチ)のクラッチ油圧が時間経過に応じて変化する様子を示している。なお、速度段切換クラッチ23、21の係合に係る動作は、前進クラッチ17、後進クラッチ19と同様である。
【0159】
図4と図8を併せ参照して説明する。
【0160】
まず、走行操作レバー36aの現在の操作位置(N)が操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図8(a)の時刻tc1)。
【0161】
走行操作レバー36aが操作位置Fから操作位置Nに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図8(a)の時刻tc1)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図8の矢印C1参照)。車速が高速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため(ステップ121の判断yes)、FR変速フラグはオンになる(ステップ122;図8の矢印C2参照)。
【0162】
なお、走行方向フラグは、前進走行方向位置Fを維持している。
【0163】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0164】
走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。前進クラッチ17、後進クラッチ19ともに保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が高いため、車体速度は所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)。
【0165】
つぎに、前進クラッチ17、後進クラッチ19がビルドアップ待ち限界時間に達しているか否かが判断される(ステップ105)。前進クラッチ17、後進クラッチ19ともにビルドアップ待ち限界時間に達していない(ステップ105の判断no)。これによりFR連動ブレーキの解除条件d)が満たされていないと判断されて、つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0166】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。切り換え後の操作位置は、中立位置Nであり、一方、走行方向フラグは、前進走行方向位置Fである。互いに逆の走行方向位置ではないため(ステップ107の判断no、ステップ108の判断no;図8の矢印C3参照)、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件は同時に満たされていないと判断され、ステップ113に移行される。これによりFR連動ブレーキを不作動状態に維持されたまま、ステップ117まで進む。
【0167】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0168】
走行操作レバー36aが、中立位置Nを経て再び、前進走行方向位置Fに切り換えられると、操作位置Fが操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図8(a)の時刻tc2)。
【0169】
走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Fに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図8(a)の時刻tc2)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図8の矢印C4参照)。車速は高速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため、FR変速フラグはオンを維持する(ステップ121の判断yes、ステップ122)。
【0170】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0171】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。
切り換え後の前進クラッチ17は保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が高いため、車体速度は所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)。つぎに、前進クラッチ17、後進クラッチ19がビルドアップ待ち限界時間に達しているか否かが判断される(ステップ105)。前進クラッチ17はビルドアップ待ち限界時間に達していない(ステップ105の判断no)。これによりFR連動ブレーキの解除条件d)が満たされていないと判断されて、つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0172】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。切り換え後の走行方向位置は、前進走行方向位置Fであり、一方、走行方向フラグは、これと同じ前進走行方向位置Fであり、互いに逆の走行方向位置ではないため(ステップ107の判断no、ステップ108の判断no;図8の矢印C5参照)、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件は同時に満たされていないと判断され、ステップ113に移行される。これによりFR連動ブレーキを不作動状態に維持したまま、ステップ117まで進む。
【0173】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0174】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Fに対応する前進クラッチ17が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
前進クラッチ17が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図8(d)の時刻tc3)、FR変速フラグはオフになり(ステップ118;図8の矢印C6参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である前進走行方向位置Fを維持し(ステップ119;図8の矢印C7参照)、ゼロクロスフラグはオフを維持する(ステップ120;図8の矢印C8参照)。
【0175】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0176】
なお、「F→N→F」という切り換え操作途中の中立位置Nの滞在時間が短く車速が大きい場合には、速度段の選択如何によらずに、変速前の速度段(3速速度段)の速度段切換クラッチ23に接続する処理が行われる(図8(e)参照)。
【0177】
つぎに、車速が低下した状態で「F→N→F」という切り換え操作が行われた場合について説明する。
【0178】
走行操作レバー36aの現在の操作位置(N)が操作位置センサ36cで検出される(ステップ101;図8(a)の時刻tc4)。
【0179】
走行操作レバー36aが操作位置Fから操作位置Nに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図8(a)の時刻tc4)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図8の矢印C9参照)。車速が低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下になっているため(ステップ121の判断no)、FR変速フラグはオフを維持する。
【0180】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0181】
走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。
前進クラッチ17、後進クラッチ19ともに保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。つぎに、現在の操作位置が中立位置Nであるか否かが判断される(ステップ123)。現在の操作位置は中立位置Nであるため(ステップ123の判断yes)、走行方向フラグを中立位置Nに更新した上(ステップ124;図8の矢印C10参照)、ゼロクロスフラグをオンにする(ステップ125;図8の矢印C11参照)。
【0182】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0183】
走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Fに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図8(a)の時刻tc5)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図8の矢印C12参照)。車速は低速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値以下になっているため、FR変速フラグはオフを維持する(ステップ121の判断no)。
【0184】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0185】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。
切り換え後の前進クラッチ17は保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が低いため、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。これによりゼロクロスフラグはオンを維持する(ステップ125)。
【0186】
以後、ステップ113に移行され、FR連動ブレーキを不作動状態に維持したまま、ステップ117まで進む。
【0187】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0188】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Fに対応する前進クラッチ17が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
前進クラッチ17が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図8(d)の時刻tc6)、FR変速フラグはオフを維持し(ステップ118;図8の矢印C13参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である前進走行方向位置Fになり(ステップ119;図8の矢印C14参照)、ゼロクロスフラグはオフになる(ステップ120;図8の矢印C15参照)。
【0189】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0190】
なお、「F→N→F」という切り換え操作途中の中立位置Nの滞在時間が短く車速が小さい場合には、速度段の選択如何によらずに、1速速度段用の速度段切換クラッチ21に接続する処理が行われる(図8(f)参照)。そして、車両の速度が増してくれば自動的に2速、3速と速度段の切り換えを行う。
【0191】
以上のように、この第3の実施例によれば、「F→N→F→N→F」という操作がなされると、FR連動ブレーキが作動しないようにブレーキ装置8が制御される。このため「ブレーキを作動させることなく車体の前進を続けたい」というオペレータの意思通りとなり、不要なブレーキ作動によって操作感覚に違和感を与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。
【0192】
・第4の実施例(図9)
図9は、走行操作レバー36aが「F→N→R→N→R」という順序で切り換え操作が行われた場合のタイムチャートである。
【0193】
図9(a)〜(h)はそれぞれ、図6(a)〜(h)に対応している。
【0194】
図4と図9を併せ参照して説明する。
【0195】
時刻td1〜td2で走行操作レバー36aが「F→N→R」と切り換えられると、図6の時刻ta1〜ta2における動作と同様に動作して、FR連動ブレーキが作動する(ステップ115;時刻td2〜)。
【0196】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0197】
走行操作レバー36aが操作位置Rから操作位置Nに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図9(a)の時刻td3)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図9の矢印D1参照)。車速が高速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため(ステップ121の判断yes)、FR変速フラグはオンを維持する(ステップ122;図9の矢印D2参照)。なお、走行方向フラグは、前進走行方向位置Fを維持している。
【0198】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0199】
走行操作レバー36aが中立位置Nに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。
前進クラッチ17、後進クラッチ19ともに保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が高いため、車体速度は所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)。つぎに、前進クラッチ17、後進クラッチ19がビルドアップ待ち限界時間に達しているか否かが判断される(ステップ105)。前進クラッチ17、後進クラッチ19ともにビルドアップ待ち限界時間に達していない(ステップ105の判断no)。これによりFR連動ブレーキの解除条件d)が満たされていないと判断されて、つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0200】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。切り換え後の操作位置は、中立位置Nであり、一方、走行方向フラグは、前進走行方向位置Fである。互いに逆の走行方向位置ではないため(ステップ107の判断no、ステップ108の判断no;図9の矢印D3参照)、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件は同時に満たされていないと判断され、ステップ113に移行される。これによりFR連動ブレーキ圧指令値は、0%にセットされ(ステップ113)、フットブレーキが作動していない限りブレーキ装置8で発生するブレーキ力がゼロになる(ステップ115、116;図9の矢印D4参照)。
【0201】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0202】
走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Rに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図9の時刻td4)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図9の矢印D5参照)。走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため、FR変速フラグはオンを維持する(ステップ122;図9の矢印D6参照)。
【0203】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0204】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
切り換え直後では、後進クラッチ19が保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度は所定のしきい値以上であるため、ゼロクロスフラグの内容はオフを維持する(ステップ104の判断no;図9の矢印D7参照)。つぎに、切り換え後のクラッチがビルドアップ待ち限界時間を超えたか否かが判断される(ステップ105)。切り換え直後では、切り換え後の後進クラッチ19は、ビルドアップ待ち限界時間を超えていない(ステップ105の判断no)。これによりFR連動ブレーキの解除条件d)が満たされていないと判断されて、つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0205】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。切り換え後の走行方向位置は、後進走行方向位置Rであり、一方、走行方向フラグは、これとは逆の前進走行方向位置Fとなっている(ステップ108の判断yes;図9の矢印D8参照)。これによりFR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたと判断される。さらにFR連動ブレーキの作動解除条件が成立しているか否か、つまりゼロクロスフラグがオンとなっているか否かが判断される(ステップ109)。ゼロクロスフラグがオフになっておりFR連動ブレーキの作動解除条件は成立しておらず、FR連動ブレーキを作動すべきと判断する(ステップ109の判断no)。これによりブレーキ装置8を作動させるための電流指令をブレーキ装置8用のECMV35に出力する(ステップ110〜116;図9の矢印D9参照)。
【0206】
以後、図6の時刻ta2〜ta4と同様にFR連動ブレーキが作動し、ブレーキ装置8で第1のブレーキ圧Pbに対応する制動力が発生し、これに引き続き第2のブレーキ圧Pcに対応する制動力が発生する(ステップ115;図9(h)の時刻td4〜td5)。
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0207】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
後進クラッチ19が保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。既にFR連動ブレーキが作動しているため、車体速度が低下しており、車体速度は所定のしきい値よりも小さくなっている(ステップ104の判断yes)。このため、ゼロクロスフラグの内容はオンになる(ステップ125;図9の矢印D10参照)。ゼロクロスフラグがオンとなることでFR連動ブレーキの作動解除条件が成立し、FR連動ブレーキは保持圧にセットされる(ステップ113)。これによりフットブレーキが作動していない限りブレーキ装置8で発生するブレーキ力がゼロになる(ステップ115、116;図9の矢印D11参照)。
【0208】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0209】
走行操作レバー36aが後進走行方向位置Rに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Rに対応する後進クラッチ19が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
後進クラッチ19が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図9(e)の時刻td6)、FR変速フラグはオフとなり(ステップ118;図9の矢印D12参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である後進走行方向位置Rに更新され(ステップ119;図9の矢印D13参照)、ゼロクロスフラグはオフになる(ステップ120;図9の矢印D14参照)。
【0210】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0211】
以上のように、この第4の実施例によれば、走行操作レバー36aが、F→N→Rと切り換え操作されると、一旦FR連動ブレーキが作動するが、そのつぎに中立位置Nに戻されるとFR連動ブレーキの作動が解除される。そして、その後、走行操作レバー36aが、N→Rと切り換え操作されると、FR連動ブレーキが作動する。
【0212】
このように切り換え操作中に不必要に継続してブレーキが作動してしまうことが抑制され、後進位置Rへの切り換えが確定した段階でブレーキが作動する。このため、操作感覚の違和感をオペレータに与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。加えて、クラッチの熱負荷、変速ショックが低減する。
【0213】
・第5の実施例(図10)
図10は、走行操作レバー36aが「F→N→R→N→F」という順序で切り換え操作が行われた場合のタイムチャートである。
【0214】
図10(a)〜(h)はそれぞれ、図6(a)〜(h)に対応している。
【0215】
図4と図10を併せ参照して説明する。
【0216】
図10の時刻te1から時刻te4までの動作は、第4の実施例(図9)の時刻td1から時刻td4までの動作と同様である。すなわち、第4の実施例と同様に、走行操作レバー36aが、F→N→Rと切り換え操作されると、FR連動ブレーキが一旦作動するが、そのつぎに中立位置Nに戻されるとFR連動ブレーキの作動が解除される。第4の実施例と説明が重複するため詳細な説明は省略する。
【0217】
時刻te4で、走行操作レバー36aが操作位置Nから操作位置Fに切り換えられると(ステップ102の判断yes;図10の時刻te4)、車体速度が所定のしきい値よりも大きいか否かが判断される(ステップ121;図10の矢印E1参照)。車速は高速であり、走行操作レバー36aの切り換え操作が行われたときに、車体速度が所定のしきい値よりも大きくなっているため、FR変速フラグはオンを維持する(ステップ121の判断yes、ステップ122)。
【0218】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0219】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、クラッチが定常走行状態であるか否かが判断される(ステップ103)。
切り換え後の前進クラッチ17は保持圧に達していないため(ステップ103の判断no)、つぎに、車体速度が所定のしきい値よりも小さいか否かが判断される(ステップ104)。車体速度が高いため、車体速度は所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)。つぎに、前進クラッチ17、後進クラッチ19がビルドアップ待ち限界時間に達しているか否かが判断される(ステップ105)。前進クラッチ17はビルドアップ待ち限界時間に達していない(ステップ105の判断no)。これによりFR連動ブレーキの解除条件d)が満たされていないと判断されて、つぎに、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件が同時に満たされたか否かが判断される(ステップ106、107、108)。
【0220】
すなわち、まず、FR変速フラグがオンであるか否かが判断される(ステップ106)。FR変速フラグはオンであるため(ステップ106の判断yes)、つぎに、走行操作レバー36aの切り換え後の走行方向位置と走行方向フラグの内容が互いに逆の走行方向位置であるか否かが判断される(ステップ107、108)。切り換え後の走行方向位置は、前進走行方向位置Fであり、一方、走行方向フラグは、これと同じ前進走行方向位置Fであり、互いに逆の走行方向位置ではないため(ステップ107の判断no、ステップ108の判断no;図10の矢印E2参照)、FR連動ブレーキの作動条件a)およびb)の条件は同時に満たされていないと判断され、ステップ113に移行される。これによりFR連動ブレーキを不作動状態に維持したまま、ステップ117まで進む。
【0221】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0222】
走行操作レバー36aが前進走行方向位置Fに切り換えられた後であるため、ステップ102の判断はnoとなり、つぎのステップ103に進み、切り換え後のクラッチが定常走行状態であるか否か、つまり切り換え後の走行方向位置Fに対応する前進クラッチ17が保持圧に達しているか否かが判断される(ステップ103)。
前進クラッチ17が保持圧に達する(定常走行状態)と(ステップ103の判断yes;図10(d)の時刻te5)、FR変速フラグはオフになり(ステップ118;図10の矢印E3参照)、走行方向フラグは、現在の操作位置である前進走行方向位置Fを維持し(ステップ119;図10の矢印E4参照)、ゼロクロスフラグはオフを維持する(ステップ120;図10の矢印E5参照)。
【0223】
ステップ117まで処理が進むと、ステップ101に戻って、走行操作レバー36aの現在の操作位置が検出される。
【0224】
以上のように、この第5の実施例によれば、走行操作レバー36aが、F→N→Rと切り換え操作されると、一旦FR連動ブレーキが作動するが、そのつぎに中立位置Nに戻されるとFR連動ブレーキの作動が解除される。そして、その後、走行操作レバー36aが、N→Fと切り換え操作されるとFR連動ブレーキの作動解除状態が維持される。このため「ブレーキを作動させることなく車体の前進を続けたい」というオペレータの意思通りとなり、不要なブレーキ作動によって操作感覚に違和感を与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。
【0225】
以上説明したように本実施例では、走行操作レバー36aの選択操作位置と、前進クラッチ17または後進クラッチのクラッチ油圧と、検出車体速度とに基づいて、車体の現在の走行方向が前進走行方向Fであるか後進走行方向Rであるかを判別している(走行方向フラグ)。
【0226】
そして、走行操作レバー36aの選択操作位置が切り換えられた際に、走行操作レバー36aで選択されている走行方向位置(たとえばR)と、走行方向フラグによって判別されている走行方向(たとえばF)とが逆の走行方向になっており、かつ、検出車体速度が所定のしきい値以上になっている(FR変速フラグオン)ことを条件(FR連動ブレーキ作動条件a)、b))に、ブレーキ装置8が作動するようにブレーキ装置8のブレーキ力を制御するようにしている(図4のステップ106の判断yes、ステップ107、108のいずれかが判断yes、ステップ115)。
【0227】
また、走行操作レバー36aの選択操作位置が切り換えられた際に、検出車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件(FR連動ブレーキ解除条件
c)ゼロクロスフラグオン)に、ブレーキ装置8の作動を解除するようにブレーキ装置8のブレーキ力を制御するようにしている(図4のステップ104の判断yes、ステップ125、ステップ113)。
【0228】
このため走行操作レバー36aをFとRの間で頻繁に切り換えるシャトル操作などの最終的な操作位置が不確かな操作が行われる場合であっても、最終的な操作位置が確定されるまでは、不必要にブレーキを作動させないように制御される。また、最終的な操作位置が確定すると、その最終的な操作位置が実際の走行方向と反対のときには、ブレーキを作動させるように制御される。また、最終的な操作位置が操作開始前と同じ方向であればブレーキを作動させないように制御される。これにより、オペレータに操作感覚の違和感を与えるようなことはなくなるとともに、作業効率が向上する。また、クラッチの熱負荷、変速ショックが低減する。
【0229】
ところで、上述した実施例では、回転数センサ27を電磁ピックアップで構成し、トランスミッション出力軸の回転数の絶対値を検出する場合を想定して説明した。
【0230】
しかし、回転数の絶対値のみならず、回転方向についてもセンサによって検出する実施も可能である。たとえば、フォトカプラ、磁気センサなどによって、異なる位相(A相、B相)の信号を検出して、A相、B相の検出値を対比することによって、回転方向を検出(計測)してもよい。
【0231】
フォトカプラ、磁気センサ等のA相、B相の信号をコントローラ15に入力すれば、コントローラ15で車体速度と車体の走行方向を演算することができる。この場合には、走行方向フラグ、FR変速フラグは、不要となる。
【0232】
図5は、回転数と回転方向を検出できる回転数センサ27を設けて、コントローラ15で、このセンサの検出値に基づいて車体速度および車体走行方向を演算するように構成した場合のフローチャートであり、図4と同一のステップには同一の番号を付与している。
【0233】
図5を図4と対比してわかるように、図5では、走行方向フラグ、FR変速フラグに関連するステップ101、102、106、118、119、121〜124が省略される。
【0234】
すなわち、図4と同様にして、走行操作レバー36aで選択されている走行方向位置(たとえばR)と、コントローラ15で演算された走行方向(たとえばF)とが逆の走行方向になっており(ステップ108の判断yes)、かつ、コントローラ15で演算された車体速度が所定のしきい値以上になっている(ステップ104の判断no)ことを条件に、ブレーキ装置8が作動するように(ステップ115)、ブレーキ装置8のブレーキ力が制御される。
【0235】
また、コントローラ15で演算された車体速度が所定のしきい値以下になっていることを条件に(ステップ104の判断yes、ステップ125;ゼロクロスフラグオン)、ブレーキ装置8の作動を解除する(ステップ113)ようにブレーキ装置8のブレーキ力が制御される。
【0236】
これにより図6(a)〜図10(a)のごとく走行操作レバー36aが操作されると、それに対応してFR連動ブレーキは、図6(h)、図7(h)、図8(i)、図9(h)、図10(h)のように作動(作動解除)する。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明は、建設車両、産業車両、農業用車両などにおけるブレーキの制御装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1】図1は、実施形態のブルドーザの制御装置の構成図である。
【図2】図2は、ECMVの動作を説明する図である。
【図3】図3(a)、(b)は、ブレーキ装置のブレーキ圧の変化を例示した図である。
【図4】図4は、実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図5】図5は、実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【図6】図6(a)〜(h)は、第1の実施例のタイムチャート図である。
【図7】図7(a)〜(h)は、第2の実施例のタイムチャート図である。
【図8】図8(a)〜(i)は、第3の実施例のタイムチャート図である。
【図9】図9(a)〜(h)は、第4の実施例のタイムチャート図である。
【図10】図10(a)〜(h)は、第5の実施例のタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0239】
4 トランスミッション(変速機)
8 ブレーキ装置
15 コントローラ
17 前進クラッチ
19 後進クラッチ
27 回転数センサ
36a 走行操作レバー




 

 


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