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発明の名称 電動パワーステアリング装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−230275(P2007−230275A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−51588(P2006−51588)
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 竹内 義則 / 浅野 清徳
要約 課題
電動パワーステアリング装置において、ステアリングの直進位置を簡易に検知すること。

解決手段
電動パワーステアリング装置10において、電動モータ20の周期的回転位置を検出するモータ回転角センサ80と、ラック軸14の左右の直線ストロークの中立点θaを認知するラック中立点認知手段70を有し、ラック中立点認知手段70は、車両の停車状態において、電動モータ20の正逆回転制御によりラック軸14を左右のストローク端まで駆動し、ラック軸14の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサ80の検出結果に基づき、左ストローク端に対応する左端回転角θ1と右ストローク端に対応する右端回転角θ2との相対角度差の中央値をラック軸14の中立点θaとして演算するもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動モータの正逆回転を動力伝達機構によりラック軸の左右の直線ストロークに変換し、ラック軸に連結される車輪を左右に操舵する電動パワーステアリング装置において、
電動モータの周期的回転位置を検出するモータ回転角センサと、
ラック軸の左右の直線ストロークの中立点を認知するラック中立点認知手段を有し、
ラック中立点認知手段は、車両の停車状態において、電動モータの正逆回転制御によりラック軸を左右のストローク端まで駆動し、ラック軸の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサの検出値に基づき、左ストローク端に対応する左端回転角と右ストローク端に対応する右端回転角との相対角度差から、ラック軸の中立点及び又は、操舵角の中立点を演算することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記ラック中立点認知手段が演算したラック軸の中立点を記憶するラック中立点メモリを付帯的に備える請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記ラック中立点認知手段が、バッテリ電源が復活し、かつイグニッションキーのオン信号を受信したことを条件に、前記ラック中立点認知動作を行なう請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作中はエンジンを始動不能にする請求項1〜3のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作を行なうに先立ち、当該ラック中立点認知動作が開始されることを報知する報知手段を付帯的に備える請求項1〜4のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作の完了後、当該ラック中立点認知動作が完了したことを報知し、かつエンジンが始動可能になったことを報知する報知手段を付帯的に備える請求項1〜5のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
前記車両の走行状態において、車両の直進条件のもとで、前記モータ回転角センサの検出結果を一定時間平均した平均値を、ラック軸の中立点として補正する学習手段を有し、学習手段の学習結果により前記ラック中立点メモリの記憶値を更新する請求項2〜6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動パワーステアリング装置として、ステアリング軸の操舵力を検出するトルクセンサと、ステアリング軸の回転角を検出する舵角センサと、トルクセンサと舵角センサの検出結果に応じて電動モータを制御するコントローラを有し、運転者がステアリングホイールに加える操作力を電動モータの回転力によりアシストするものがある。コントローラは、電動モータの正逆回転を動力伝達機構によりラック軸の左右の直線ストロークに変換し、ラック軸に連結される車輪を左右に転舵するものである。
【0003】
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、コントローラが、車両が直進する条件のもとで、舵角センサからの出力値を一定時間平均して得た平均値を、舵角センサの中立出力値として補正する学習制御を行ない、この中立出力値をメモリに記憶させている。これにより、コントローラは、舵角センサの出力値が中立位置から外れているときには誤差を補正し、電動モータによるステアリングの中立復帰制御の向上を図る。
【特許文献1】特開平7-132845
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術では、車両のメンテナンス等のバッテリ電源の交換によりコントローラへの給電が断たれてメモリに記憶させてあった舵角センサの中立出力値を喪失した場合、またステアリング系の構成部品の交換によって記憶された舵角センサの中立出力値がステアリングの新たな中立位置(直進位置)から変化した場合には、舵角センサの中立出力値を従来の学習制御により新たに求めるために所定の車両走行による学習時間を必要とする。
【0005】
尚、ステアリングホイールの中立位置を求めるために、ラック軸の左右のストローク端の位置を検出したり、ステアリングホイールの回転角度を直接検出するには、新たに絶対角度検出センサを追加する等、複雑な検出システムを構築する必要がある。
【0006】
本発明の課題は、電動パワーステアリング装置において、ステアリングの舵角中立位置(直進位置)を簡易に検知することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、電動モータの正逆回転を動力伝達機構によりラック軸の左右の直線ストロークに変換し、ラック軸に連結される車輪を左右に操舵する電動パワーステアリング装置において、電動モータの周期的回転位置を検出するモータ回転角センサと、ラック軸の左右の直線ストロークの中立点を認知するラック中立点認知手段を有し、ラック中立点認知手段は、車両の停車状態において、電動モータの正逆回転制御によりラック軸を左右のストローク端まで駆動し、ラック軸の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサの検出値に基づく、左ストローク端に対応する左端回転角と右ストローク端に対応する右端回転角との相対角度差から、ラック軸の中立点及び又は、操舵角の中立点を演算するようにしたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記ラック中立点認知手段が演算したラック軸の中立点を記憶するラック中立点メモリを付帯的に備えるようにしたものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記ラック中立点認知手段が、バッテリ電源が復活し、かつイグニッションキーのオン信号を受信したことを条件に、前記ラック中立点認知動作を行なうようにしたものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において更に、前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作中はエンジンを始動不能にするようにしたものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において更に、前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作を行なうに先立ち、当該ラック中立点認知動作が開始されることを報知する報知手段を付帯的に備えるようにしたものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、前記ラック中立点認知手段が、前記ラック中立点認知動作の完了後、当該ラック中立点認知動作が完了したことを報知し、かつエンジンが始動可能になったことを報知する報知手段を付帯的に備えるようにしたものである。
【0013】
請求項7の発明は、請求項2〜6の発明において更に、前記車両の走行状態において、車両の直進条件のもとで、前記モータ回転角センサの検出結果を一定時間平均した平均値を、ラック軸の中立点として補正する学習手段を有し、学習手段の学習結果により前記ラック中立点メモリの記憶値を更新するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
(請求項1)
(a)ラック中立点認知手段が、車両の停車状態において、電動モータの正逆回転制御によりラック軸を左右のストローク端まで駆動し、ラック軸の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサの検出値に基づく、左ストローク端に対応する左端回転角と右ストローク端に対応する右端回転角との相対角度差から、ラック軸の中立点及び又は、操舵角の中立点を演算する。電動モータが有しているモータ回転角センサを用いる簡易な構成により、ラック軸の左右の直線ストロークの略中立点、換言すればステアリングの直進位置を簡易に認知できる。
【0015】
バッテリ電源の交換によりコントローラへの給電が断たれメモリが消えても、またステアリング系の構成部品等の交換によってステアリングの中立位置が変化してしまっても、車両の停車状態において即座にステアリングの直進位置を認知できる。
【0016】
ステアリングの直進位置を簡易に認知することにより、ステアリングの中立復帰制御の向上を図ることができる。
【0017】
また、ステアリングの左右のストローク端でのラック軸とギヤハウジングの衝突を回避するストロークエンド衝撃緩和制御の向上を図ることもできる。
【0018】
(請求項2)
(b)ラック中立点認知手段が演算したラック軸の中立点をラック中立点メモリにより記憶できる。
【0019】
(請求項3)
(c)ラック中立点認知手段が、バッテリ電源が復活し、かつイグニッションキーのオン信号を受信したことを条件に、自動的に前述(a)のラック中立点認知動作を行なうことができる。
【0020】
(請求項4)
(d)ラック中立点認知手段が、前述(a)のラック中立点認知動作中はエンジンを始動不能にし、車両の安全性を確保できる。
【0021】
(請求項5)
(e)ラック中立点認知手段が、前述(a)のラック中立点認知動作を行なうに先立ち、当該ラック中立点認知動作が開始されることを報知する報知手段を備える。これにより、運転者及び点検者に対し、ラック中立点認知動作の開始に対する注意を喚起できる。
【0022】
(請求項6)
(f)ラック中立点認知手段が、前述(a)のラック中立点認知動作の完了後、当該ラック中立点認知動作が完了したことを報知し、かつエンジンが始動可能になったことを報知する報知手段を備える。これにより、運転者及び点検者に対し、ラック中立点認知動作が完了し、エンジンが始動可能になったことを報知できる。
【0023】
(請求項7)
(g)学習手段の学習結果により前述(b)のラック中立点メモリの記憶値を車両走行中に常に更新できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は電動パワーステアリング装置を示す正面図、図2は電動パワーステアリング装置の要部を示す断面図、図3は電動パワーステアリング装置の制御系を示すブロック図である。
【実施例】
【0025】
電動パワーステアリング装置10は、図1に示す如く、ギヤハウジング11を分割した、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bを有するものにし、このギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A)にステアリングホイールが連結された入力軸12(ステアリング軸)を支持し、入力軸12にトーションバー13(不図示)を介して出力軸(不図示)を連結し、この出力軸にピニオン(不図示)を設け、このピニオンに噛合うラック軸14をギヤハウジング11に左右方向に直線移動可能に支持している。入力軸12と出力軸の間には、操舵トルクセンサ41を設けている。操舵トルクセンサ41は、ステアリングホイールに加えた手動操舵の操舵トルクに起因するトーションバーの弾性ねじり変形により、入力軸12と出力軸の間に生ずる相対回転変位量に基づき、操舵トルクを検出し、操舵トルク信号Tsを出力する。
【0026】
電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14の両端部をギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A、第2ギヤハウジング11B)の両側に突出し、それらの端部にタイロッド15A、15Bを連結し、ラック軸14の直線移動に連動するタイロッド15A、15Bを介して、左右の車輪を転舵可能にする。
【0027】
電動パワーステアリング装置10は、図2に示す如く、電動モータ20を取付ボルト21(不図示)によりホルダ22に固定し、このホルダ22を取付ボルト23により第1ギヤハウジング11Aに着脱可能にしている。第1ギヤハウジング11Aに取付けられて第1ギヤハウジング11Aの内部に挿入されたホルダ22は、ギヤハウジング11A、11Bの内周との間に一定の間隙を有し、第1ギヤハウジング11Aに対するホルダ22の揺動を許され、ホルダ22に後述する如くに支持する駆動プーリ24と従動プーリ36に巻掛けられるベルト37の張力を調整可能にする。
【0028】
このとき、ホルダ22は、駆動プーリ24の中心軸25を支持し、電動モータ20の回転軸20Aの軸端のジョイント26Aと、中心軸25の軸端のジョイント26Bを、それらの周方向複数位置に設けた歯の間にゴム等の中間ジョイント26Cを挟む状態で、互いに軸方向から係着する。駆動プーリ24は中心軸25の両端部を軸受27、28によりホルダ22に両端支持される。29は軸受28の外輪固定用止め輪である。
【0029】
電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14にボールねじ30を設け、ボールねじ30にボール31を介して噛合うボールナット32を有し、ギヤハウジング11(第1ギヤハウジング11A)に支持した軸受33によりボールナット32を回転自在に支持する。34は軸受33の外輪固定用ナットである。ボールナット32の外周には、ロックナット35により従動プーリ36が固定される。
【0030】
電動パワーステアリング装置10は、電動モータ20の側の駆動プーリ24と、ボールナット32の側の従動プーリ36にベルト37を巻掛け、電動モータ20の回転を駆動プーリ24、ベルト37、従動プーリ36経由でボールナット32に伝え、ひいてはラック軸14の直線ストロークに変換し、該ラック軸14を直線移動させる。これにより、電動モータ20はステアリング系に操舵アシスト力を付与するものになる。
【0031】
電動パワーステアリング装置10は、第1ギヤハウジング11Aに支持されているラック軸14を第2ギヤハウジング11Bに通し、第1ギヤハウジング11Aに取付けられているホルダ22を第2ギヤハウジング11Bで覆い、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bを複数の締結ボルト16で締結する。このとき、第1ギヤハウジング11Aと第2ギヤハウジング11Bは、図2に示す如く、複数の筒状ノックピン16Aにより、それらノックピン16Aの両端部のそれぞれを打ち込まれて位置合せされた後、各ノックピン16Aに挿通される締結ボルト16により螺合締結される。一部の締結ボルト16はノックピン16Aを通って第1ギヤハウジング11Aに螺着され、他の締結ボルト16はノックピン16Aを通って第2ギヤハウジング11Bに螺着される。
【0032】
電動パワーステアリング装置10は、ギヤハウジング11A、11Bに支持されるラック軸14の振れを小さくするため、以下の構成を備える。
【0033】
第2ギヤハウジング11Bにおいて、第1ギヤハウジング11Aに支持したボールナット32に相対する部分をブッシュ支持部17とし、ボールナット32とブッシュ支持部17とにブッシュ40を架け渡す。ブッシュ40は、ボールナット32の先端側内周部に圧入されて固定的に設けられ、ブッシュ支持部17の内周部に回転摺動可能に支持される状態で、ラック軸14を直線摺動可能に支持する。
【0034】
ブッシュ40は、金属等からなる筒体の外周の軸方向における一部をブッシュ支持部17との摺動部とし、内周の全部をラック軸14との摺動部とする。摺動部は、含油ポリアセタール樹脂、又は四フッ化エチレン樹脂等の潤滑被膜層を筒体の表面にコーティング等にて設けたものである。
【0035】
電動パワーステアリング装置10は、電動モータ20のための以下のコントローラ50を有する(図3)。
【0036】
コントローラ50は、操舵トルクセンサ41と車速センサ42を付帯的に備える。操舵トルクセンサ41は、前述の如く、ステアリング系の操舵トルクを検出して操舵トルク信号Tsをコントローラ50に出力する。車速センサ42は、車両の速度を検出し、車速信号Vsをコントローラ50に出力する。
【0037】
コントローラ50は、マイクロプロセッサを基本に、各種演算処理手段、信号発生手段、メモリ等を有し、操舵トルク信号Ts、車速信号Vsに基づき、P(比例制御)及びI(積分制御)を施した駆動制御信号Vo(PWM信号)を生成し、これによってモータ駆動手段43を駆動制御する。
【0038】
モータ駆動手段43は、例えば4個のパワーFET(電界効果トランジスタ)、又はIGBT(絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子からなるブリッジ回路で構成され、駆動制御信号Voに基づくモータ電圧Vmを出力し、電動モータ20を駆動する。ステアリングホイールが時計回り方向に操舵されているときには、電動モータ20を例えば正回転させて前輪が時計回り方向に向くようにステアリング系に操舵アシスト力を付与する。
【0039】
コントローラ50は、電流検出手段44を付帯的に備える。電流検出手段44は、電動モータ20に実際に流れるモータ電流Imを検出し、モータ電流Imに対応する検出電流信号Imoをコントローラ50にフィードバック(負帰還)する。
【0040】
コントローラ50は、目標電流設定手段51、偏差演算手段52、電流制御演算手段53を有する。
【0041】
目標電流設定手段51は、ROM(Read Only Memory)等のメモリを備え、操舵トルクセンサ41が出力する操舵トルク信号Tsと、この操舵トルク信号Tsと車速センサ42が出力する車速信号Vsに基づいて予めメモリに記憶されている目標電流信号Imaマップから、車速信号Vsをパラメータにした操舵トルク信号Tsに対するアシスト電流信号Imaを読み出し、これを目標電流信号Imsとして偏差演算手段52に出力する。
【0042】
偏差演算手段52は、目標電流信号Imsと検出電流信号Imoの偏差(Ims−Imo)を演算し、偏差信号ΔIを電流制御演算手段53に出力する。
【0043】
電流制御演算手段53は、目標電流信号Imsと検出電流信号Imoの偏差信号ΔIに応じ、電動モータ20のモータ駆動手段43に方向(電動モータ20の回転方向)極性信号Br及びデューティ比に相当するPWM信号Voを与える。
【0044】
電流制御演算手段53は、PI(比例・積分)制御手段54、PWM信号発生手段55から構成される。
【0045】
PI制御手段54は、比例感度KPを発生して比例制御する比例要素54Aと、積分ゲインKIを発生して積分制御する積分要素54Bと、比例要素54Aと積分要素54Bの出力信号を加算する加算器54Cを備える。比例要素54Aと積分要素54Bは並列接続され、比例要素54Aは偏差信号ΔIに比例感度KPを乗じた比例信号IPを、積分要素54Bは偏差信号ΔIに積分ゲインKIを有する積分処理を施した積分信号IIを、それぞれ加算器54Cに出力する。加算器54Cは比例信号IPと積分信号IIを加算し、比例・積分信号IPI(IP+II)をPWM信号発生手段55に向けて出力する。
【0046】
PWM信号発生手段55は、比例・積分信号IPIの方向と大きさに対応する方向極性信号Br及びデューティ比に相当するPWM信号を駆動制御信号Voとしてモータ駆動手段43に向けて出力する。モータ駆動手段43はモータ駆動電圧Vmで電動モータ20を駆動する。
【0047】
従って、コントローラ50は電動パワーステアリング装置10の電動モータ20に対して以下の如くのアシスト制御を行なう。
【0048】
(1)操舵トルクセンサ41が検出した操舵トルクが所定値より低いとき、操舵アシスト力は不要であり、電動モータ20を駆動しない。
【0049】
(2)操舵トルクセンサ41が検出した操舵トルクが所定値を超えるとき、操舵アシスト力を必要とするから、電動モータ20を駆動して通常回転させ、アシスト制御する。電動モータ20の回転力が駆動プーリ24、ベルト37、従動プーリ36経由でボールナット32に伝えられ、ボールねじ30を介してラック軸14を直線ストロークさせる操舵アシスト力になる。
【0050】
しかるに、電動パワーステアリング装置10は、コントローラ50に車両の停車時や走行時に、運転者がステアリングホイールから手離ししたとき、ステアリングホイールの舵角を自動的に中立復帰させ、停車後の始動時に運転者が車輪の切れ角を意識する必要をなくしたり、又は走行中のセルフアライニングトルク大きさに影響されずに、ステアリングホイールをスムースに直進位置に戻すための、中立復帰手段60を備え、同時にステアリングの直進位置を認知するためのラック中立点認知手段70を備える。
【0051】
このとき、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングホイールの舵角センサに代え、電動モータ20の周期的回転位置を検出するモータ回転角センサ80を有する。電動モータ20は、特開2003-65753に記載される如くのブラシレスモータからなり、モータ回転角センサ80として、電動モータ20のロータの回転位置を検出するホールセンサ(レゾルバでも可)を用いることができる。モータ回転角センサ80からのモータ回転角信号は、ラックとピニオンの減速比及びモータボールナット減速比に基づき、操舵回転角度θとして推定算出できる。以下の説明におけるモータ回転角センサ80の回転角信号θは、上記の推定算出された操舵回転角度θを意味する。
【0052】
また、電動パワーステアリング装置10は、ラック軸14の左右のストローク端を検知する左センサ81と右センサ82を付帯的に備える。左右のセンサ81、82は、例えばフォトセンサ、近接センサ、マイクロスイッチ等から構成でき、ギヤハウジング11の左右端に取着される検知手段と、ラック軸14の左右端に取着される被検体からなり、検知手段が被検体に近接したときに、ラック軸14がストローク端に達したことの検知信号を出力する。尚、左右センサ81、82に代えて、モータの電流検出手段44からのロック電流値を検出してストローク端を検知しても良い。
【0053】
ラック中立点認知手段70は、ラック軸14の左右の直線ストロークの略中間点を認知し、結果としてステアリングの直進位置として認知する。ラック中立点認知手段70は、バッテリ電源71が復活し、かつイグニッションキー72がオン信号を受信したこと、本実施例では更に運転者によりラック中立点認知スイッチ73がオン操作されたことを条件に、ラック中立点認知動作を以下の如くに行なう。
【0054】
(1)ラック中立点認知手段70は、車両の停車状態(Vs=Ts=0)において、電動モータ20の正逆回転制御によりラック軸14を左右のストローク端まで駆動する。このとき、ラック中立点認知手段70は、ラック軸14を左右のストローク端まで駆動するための給電信号Im1、Im2を偏差演算手段52に出力し、電流制御演算手段53を介して、電動モータ20のモータ駆動手段43に方向(電動モータ20の回転方向)極性信号Br及びデューティ比に相当するPWM信号Voを与える。
【0055】
(2)ラック中立点認知手段70は、上述(1)の電動モータ20の正逆回転制御の結果として、モータ回転角センサ80の回転角信号θを入力する。ラック中立点認知手段70は、ラック軸14の左右のストローク端を検知する左センサ81と右センサ82の検知信号を得るとともに、これによって検知されたラック軸14の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサ80の回転角信号θ1、θ2を得て、左ストローク端に対応する左端回転角θ1と右ストローク端に対応する右端回転角θ2との相対角度差の中央値(θ1+θ2)/2をラック軸14の中立点θaとして演算する。
【0056】
(3)ラック中立点認知手段70が演算した上述(2)のラック軸14の中立点θaを、ラック中立点メモリ74に記憶させる。
【0057】
尚、ラック中立点認知手段70は、上述(1)〜(3)のラック中立点認知動作の完了までは車両のエンジンを始動不能にする。
【0058】
また、ラック中立点認知手段70は、運転者に対する報知手段90を付帯的に備える。報知手段90は、上述(1)〜(3)のラック中立点認知動作を行なうに先立ち、当該ラック中立点認知動作が開始されることを報知する。また、報知手段90は、上述(1)〜(3)のラック中立点認知動作の完了後、当該ラック中立点認知動作が完了したことを報知し、かつ車両のエンジンが始動可能になったことを報知する。
【0059】
コントローラ50は、ラック中立点学習手段75を有する。ラック中立点学習手段75は、モータ回転角センサ80の回転角信号θを入力し、車両の走行中に、操舵トルクセンサ41からの操舵トルク信号Ts、車速センサ42からの車速信号Vs等に基づき、車両が安定して直進走行できるトルク条件、車速条件等において、モータ回転角センサ80からの回転角信号θを一定時間平均した平均値を、ラック軸14の新たな中立点θaとして補正する。ラック中立点学習手段75の学習結果により、ラック中立点メモリ74の記憶値は車両走行時に更新される。
【0060】
中立復帰手段60は、操舵トルクセンサ41、車速センサ42の検出結果(Ts、Vs)と、モータ回転角センサ80の検出(θ)と、ラック中立点メモリ74の記憶値(θa)を得て、以下の如くにステアリングホイールの中立復帰動作を行なう。
【0061】
中立復帰手段60は、車両の停車時に、車両の手動操舵休止(ステアリングホイールからの手離し等)を判断し、モータ回転角センサ80の検出回転角θがラック中立点メモリ74の記憶値θaに比較して中立位置外にあるとき、中立復帰処理を行ない、該回転角を中立位置に復帰させるように電動モータ20を回転させて自動操舵せしめる。本実施例では、車速センサ42の検出結果が車速Vs=0km/時であることに基づいて車両の停車を判断する。また、操舵トルクセンサ41の検出結果が操舵トルクTs≒0kgf・cmであることに基づいて手動操舵休止を判断する。
【0062】
中立復帰手段60は、回転角信号θsをパラメータとし、各回転角信号θsに応じてステアリングホイールを適切に中立位置に戻すに最適な適正角速度信号ωsマップを予め定めるとともに、角速度信号ωsをパラメータとし、角速度信号ωsを実現するに必要な電動モータ20のための補正電流信号Imbマップを予め定め、これらのマップをROM(Read
Only Memory)等のメモリに記憶している。そして、中立復帰手段60は、中立復帰処理において、モータ回転角センサ80の検出回転角信号θを用いて該回転角θを中立位置に復帰させるに際し、電動モータ20の回転による自動操舵の角速度(検出回転角信号θを微分処理して算出される角速度)を該検出回転角信号θに応ずる適正角速度信号ωsに合致させるに必要な、電動モータ20の補正電流信号Imbをそれらのマップから読み出し、これを加算器62に向けて出力する。コントローラ50は、目標電流設定手段51が出力するアシスト電流信号Imaに、中立復帰手段60の出力である補正電流信号Imbを加算器62により加算したものを前述の目標電流信号Imsとし、これを偏差演算手段52に向けて出力する。
【0063】
中立復帰手段60は、中立復帰処理による自動操舵中に、操舵トルクセンサ41の検出結果により手動操舵休止解除を判断したとき、該自動操舵を解除する。これにより、コントローラ50は通常のアシスト制御に戻る。
【0064】
尚、中立復帰手段60が中立復帰処理による自動操舵中に、イグニッションキーのオフが検出された場合、自動中立復帰処理の完了後にコントローラ50を停止処理させる。
【0065】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ラック中立点認知手段70が、車両の停車状態において、電動モータ20の正逆回転制御によりラック軸14を左右のストローク端まで駆動し、ラック軸14の左右のストローク端のそれぞれに対応するモータ回転角センサ80の検出結果に基づき、左ストローク端に対応する左端回転角と右ストローク端に対応する右端回転角との相対角度差の中央値をラック軸14の中立点θaとして演算して操舵角の中立位置とする。電動モータ20が有しているモータ回転角センサ80を用いる簡易な構成により、ラック軸14の左右の直線ストロークの中立点θa、換言すればステアリングの直進位置を簡易に認知できる。
【0066】
バッテリ電源71の交換によりコントローラ50への給電が断たれたり、ステアリング部品の交換等によってステアリングの中立位置が変化した場合であっても、ステアリングの直進位置を即座に認知できる。
【0067】
ステアリングの直進位置を正しく認知することにより、ステアリングホイールの中立復帰制御の向上を図ることができる。
【0068】
また、ステアリングの左右のストローク端でのラック軸14とギヤハウジングの衝突を回避するストロークエンド衝撃緩和制御の向上を図ることもできる。
【0069】
(b)ラック中立点認知手段70が演算したラック軸14の中立点θaをラック中立点メモリ74により記憶できる。
【0070】
(c)ラック中立点認知手段70が、バッテリ電源71が復活し、かつイグニッションキー72のオン信号を受信したことを条件に、自動的に前述(a)のラック中立点θaの認知動作を行なうことができる。
【0071】
(d)ラック中立点認知手段70が、前述(a)のラック中立点θa認知動作中はエンジンを始動不能にし、車両の安全性を確保できる。
【0072】
(e)ラック中立点認知手段70が、前述(a)のラック中立点認知動作を行なうに先立ち、当該ラック中立点認知動作が開始されることを報知する報知手段90を備える。運転者及び車両の周囲にラック中立点認知動作の開始に対する注意を喚起できる。
【0073】
(f)ラック中立点認知手段70が、前述(a)のラック中立点認知動作の完了後、当該ラック中立点認知動作が完了したことを報知し、かつエンジンが始動可能になったことを報知する報知手段90を備える。運転者及び車両の周囲にラック中立点認知動作が完了し、エンジンが始動可能になったことを報知できる。
【0074】
(g)学習手段75の学習結果により前述(b)のラック中立点メモリ74の記憶値を車両走行中に常に更新できる。
尚、中立復帰手段60として、自動中立操舵を一例としたが、ダンパー制御、中立収斂制御等を組合わせることもできる。
【0075】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は電動パワーステアリング装置を示す正面図である。
【図2】図2は電動パワーステアリング装置の要部を示す断面図である。
【図3】図3は電動パワーステアリング装置の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
10 電動パワーステアリング装置
14 ラック軸
20 電動モータ
50 コントローラ
60 中立復帰手段
70 ラック中立点認知手段
71 バッテリ電源
72 イグニッションキー
73 ラック中立点認知スイッチ
74 ラック中立点メモリ
75 ラック中立点学習手段
80 モータ回転角センサ
90 報知手段




 

 


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