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発明の名称 電動パワーステアリング装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−8294(P2007−8294A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190660(P2005−190660)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100067840
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望
発明者 田巻 明宏
要約 課題
ギアボックスの構造に大きく影響する第2の舵角センサを追加することなく、舵角センサ等の異常診断を行い、異常時のアシストモータの挙動を抑えることができる電動パワーステアリング装置を供する。

解決手段
ステアリング角速度ωからモータ回転速度ω、アシストモータMの逆起電圧Vを順次算出し、モータ端子間電圧Vと前記逆起電圧Vとの差からモータ電流Iを推定し、モータ電流推定値Iとモータ電流検出手段28により検出されたモータ電流検出値Iと比較して異常を診断する異常診断手段55を備え、異常診断手段55が異常と診断したときにフィードバック制御量Dfbの出力を停止する電動パワーステアリング装置。
特許請求の範囲
【請求項1】
アシストモータの駆動力がステアリング操舵力を補助する電動パワーステアリング装置において、
操舵トルクを検出するトルクセンサと、
車速を検出する車速センサと、
ステアリングの舵角を検出するステアリング舵角検出手段と、
前記アシストモータの端子間電圧を導出するモータ端子間電圧導出手段と、
前記アシストモータのモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、
前記舵角検出手段により検出された舵角と前記車速センサにより検出された車速に基づいて目標操舵トルクを導出する目標操舵トルク演算処理手段と、
前記目標操舵トルク演算手段により算出された目標操舵トルクと前記トルクセンサにより検出された操舵トルクとの差に基づいてフィードバック制御量を算出するフィードバック制御量演算手段と、
前記ステアリング舵角検出手段により検出されたステアリング舵角を時間微分してステアリング角速度を算出するステアリング角速度演算手段と、
前記ステアリング角速度演算手段により算出されたステアリング角速度をアシストモータのモータ回転速度に変換するモータ回転速度演算手段と、
前記モータ回転速度演算手段により算出されたモータ回転速度から前記アシストモータの逆起電圧を算出する逆起電圧演算手段と、
前記モータ端子間電圧導出手段により導出されたモータ端子間電圧と前記逆起電圧演算手段により算出された逆起電圧との差から前記アシストモータのモータ電流を推定するモータ電流推定処理手段と、
前記モータ電流推定処理手段により推定されたモータ電流推定値と前記モータ電流検出手段により検出されたモータ電流検出値と比較して異常を診断する異常診断手段と、
前記異常診断手段が異常と診断したときに前記フィードバック制御量演算手段が算出したフィードバック制御量の出力を停止する出力制御処理手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記異常診断手段は、モータ電流推定値とモータ電流検出値との電流差が所定値以上であると異常と診断することを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記目標操舵トルク演算処理手段は、
前記ステアリング舵角検出手段により検出されたステアリング舵角と前記車速センサにより検出された車速に基づいてセルフアライニングトルクを算出するセルフアライニングトルク演算手段と、
前記ステアリング角速度演算手段により検出された角速度と前記車速センサにより検出された車速に基づいてステアリングのフリクショントルクを算出するフリクショントルク演算手段とを備え、
前記セルフアライニングトルク演算手段により算出されたセルフアライニングトルクに前記フリクショントルク演算手段により算出されたフリクショントルクを加算して目標操舵トルクを算出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかの項記載の電動パワーステアリング装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載されステアリング操舵力を電動モータにより補助する電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置の操舵トルク制御は、基本的にステアリングホイールを操舵したときに、ステアリングシャフトに加わる操舵トルクに応じた補助力をモータから操舵機構に与え、操舵力を補助するものである。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された電動パワーステアリング装置では、コントロールユニットECUによりステアリングの舵角と車速に基づいて目標操舵トルクを導出し、同目標操舵トルクと検出された操舵トルクとの偏差に基づいてモータのフィードバック制御を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−120743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目標操舵トルクを導出するに必要なステアリングの舵角は舵角センサによって検出されるが、この舵角センサが故障すると、正確な目標操舵トルクが導出できず、ステアリング操舵力を適切に補助することが不能となる。
【0006】
そこで、第2の舵角センサを追加して両舵角センサの信号を比較して故障診断を行うことが考えられる。
しかし、第2の舵角センサを追加することは、ステアリング操舵を車輪の転舵に伝達するギアボックスの構造に大きく影響し、装置が大型化する。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、ギアボックスの構造に大きく影響する第2の舵角センサを追加することなく、舵角センサ等の異常診断を行い、異常時のアシストモータの挙動を抑えることができる電動パワーステアリング装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、アシストモータの駆動力がステアリング操舵力を補助する電動パワーステアリング装置において、操舵トルクを検出するトルクセンサと、車速を検出する車速センサと、ステアリングの舵角を検出するステアリング舵角検出手段と、前記アシストモータの端子間電圧を導出するモータ端子間電圧導出手段と、前記アシストモータのモータ電流を検出するモータ電流検出手段と、前記舵角検出手段により検出された舵角と前記車速センサにより検出された車速に基づいて目標操舵トルクを導出する目標操舵トルク演算処理手段と、前記目標操舵トルク演算手段により算出された目標操舵トルクと前記トルクセンサにより検出された操舵トルクとの差に基づいてフィードバック制御量を算出するフィードバック制御量演算手段と、前記ステアリング舵角検出手段により検出されたステアリング舵角を時間微分してステアリング角速度を算出するステアリング角速度演算手段と、前記ステアリング角速度演算手段により算出されたステアリング角速度をアシストモータのモータ回転速度に変換するモータ回転速度演算手段と、前記モータ回転速度演算手段により算出されたモータ回転速度から前記アシストモータの逆起電圧を算出する逆起電圧演算手段と、前記モータ端子間電圧導出手段により導出されたモータ端子間電圧と前記逆起電圧演算手段により算出された逆起電圧との差から前記アシストモータのモータ電流を推定するモータ電流推定処理手段と、前記モータ電流推定処理手段により推定されたモータ電流推定値と前記モータ電流検出手段により検出されたモータ電流検出値と比較して異常を診断する異常診断手段と、前記異常診断手段が異常と診断したときに前記フィードバック制御量演算手段が算出したフィードバック制御量の出力を停止する出力制御処理手段とを備えた電動パワーステアリング装置とした。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動パワーステアリング装置において、前記異常診断手段は、モータ電流推定値とモータ電流検出値との電流差が所定値以上であると異常と診断することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの項記載の電動パワーステアリング装置において、前記目標操舵トルク演算処理手段は、前記ステアリング舵角検出手段により検出されたステアリング舵角と前記車速センサにより検出された車速に基づいてセルフアライニングトルクを算出するセルフアライニングトルク演算手段と、前記ステアリング角速度演算手段により検出された角速度と前記車速センサにより検出された車速に基づいてステアリングのフリクショントルクを算出するフリクショントルク演算手段とを備え、前記セルフアライニングトルク演算手段により算出されたセルフアライニングトルクに前記フリクショントルク演算手段により算出されたフリクショントルクを加算して目標操舵トルクを算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の電動パワーステアリング装置によれば、ステアリング舵角およびモータ端子間電圧から導出されるモータ電流推定値とモータ電流検出値と比較して異常を診断するので、第2の舵角センサを追加することなく、舵角センサやモータ電流検出手段等の異常診断を行い、異常時のアシストモータの挙動を抑えることができる。
【0012】
請求項2記載の電動パワーステアリング装置によれば、モータ電流推定値とモータ電流検出値との電流差が所定値以上であると異常と診断するので、簡単かつ速やかに異常診断を行うことができる。
【0013】
請求項3記載の電動パワーステアリング装置によれば、舵角と車速に基づいて算出されたセルフアライニングトルクに、角速度と車速に基づいて算出されたフリクショントルクを加算して目標操舵トルクとするので、特に低車速で小さくなるセルフアライニングトルクを補うようにフリクショントルクが加算され、路面状況をフィードバック制御に反映させつつ路面に対するタイヤの摩擦などの影響をカバーして常に安定した操舵フィーリングを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図11に基づいて説明する。
本実施の形態に係る電動パワーステアリング装置1の全体の概略後面図を図1に示す。
【0015】
電動パワーステアリング装置1は、車両の左右方向(図1における左右方向に一致)に指向した略円筒状のラックハウジング2内にラック軸3が左右軸方向に摺動自在に収容されている。
【0016】
ラックハウジング2の両端開口から突出したラック軸3の両端部にそれぞれジョイントを介してタイロッドが連結され、ラック軸3の移動によりタイロッドが動かされ、さらに転舵機構を介して車両の転舵輪が転舵される。
【0017】
ラックハウジング2の右端部にステアリングギヤボックス4が設けられている。
ステアリングギヤボックス4には、ステアリングホイール(図示せず)が一体に取り付けられたステアリング軸にジョイントを介して連結される入力軸5が軸受を介して回動自在に軸支されており、図2に示すように入力軸5はステアリングギヤボックス4内でトーションバー6を介して相対的なねじり可能に操舵ピニオン軸7と連結されている。
【0018】
この操舵ピニオン軸7のはす歯7aがラック軸3のラック歯3aと噛合している。
したがってステアリングホイールの回動操作により入力軸5に伝達された操舵力は、トーションバー6を介して操舵ピニオン軸7を回動して操舵ピニオン軸7のはす歯7aとラック歯3aの噛合によりラック軸3を左右軸方向に摺動させる。
【0019】
ラック軸3は、ラックガイドスプリング8に付勢されたラックガイド9により背後から押圧されている。
【0020】
ステアリングギヤボックス4の上部にはアシストモータMが取り付けられ、アシストモータMの駆動力を減速して操舵ピニオン軸7に伝達するウオーム減速機構10がステアリングギヤボックス4内に構成されている。
【0021】
ウオーム減速機構10は、操舵ピニオン軸7の上部に嵌着されたウオームホイール11にアシストモータMの駆動軸に同軸に連結されたウオーム12が噛合して構成されている。
アシストモータMの駆動力をこのウオーム減速機構10を介して操舵ピニオン軸7に作用させて操舵を補助する。
【0022】
なお、図2には図示しないが、アシストモータMには、モータ端子電圧Vp,Vnを検出するモータ端子電圧検出装置27とモータ電流Iを検出するモータ電流検出装置28が設けられ、操舵ピニオン軸7にはステアリング舵角θを検出するステアリング舵角検出装置29が設けられている。
【0023】
ウオーム減速機構10のさらに上方に操舵トルクセンサ20が設けられている。
トーションバー6の捩れをコア21の軸方向の移動に変換し、コア21の移動をコイル22,23のインダクタンス変化に変えて操舵トルクTを検出している。
なお、トーションバー6の捩れを光学的に検出するトルクセンサでもよい。
【0024】
以上のようなアシストモータMを駆動制御して操舵力を補助する操舵トルク制御装置30の制御系のCPU等が搭載された制御基板がステアリングギヤボックス4内に収容されている。
【0025】
この操舵トルク制御装置30の概略ブロック図を図3に示す。
操舵トルク制御装置30は、操舵トルクセンサ20により検出された操舵トルクT,車速センサ25により検出された車速v,ステアリング舵角検出装置29により検出されたステアリング舵角θおよびモータ端子電圧検出装置27により検出されたモータ端子電圧Vp,Vnが入力され、データ処理して、PWM制御信号(デューティ信号等)であるモータのフィードバック制御量Dfbをモータ駆動回路26に出力し、モータ駆動回路26がそのPWM制御信号に従ってアシストモータMを駆動する。
なお、モータ駆動回路26,モータ端子電圧検出装置27およびモータ電流検出装置28は、操舵トルク制御装置30側に設けてもよい。
【0026】
そして、操舵トルク制御装置30は、主に目標操舵トルク演算処理手段40、フィードバック制御量演算手段57、出力制御処理手段58を備え、その他に、ステアリング角速度演算手段50、モータ回転速度演算手段51、逆起電圧演算手段52、モータ端子間電圧演算手段53、モータ電流推定手段54、異常診断手段55等を有している。
【0027】
ステアリング角速度演算手段50は、前記ステアリング舵角検出装置29が検出したステアリング舵角θを時間微分してステアリング角速度ωを算出する。
そして、同ステアリング角速度ωとステアリング舵角θおよび前記車速センサ25が検出した車速vに基づいて目標操舵トルク演算処理手段40が目標操舵トルクTmを演算する。
【0028】
該目標操舵トルク演算処理手段40について図4ないし図9に基づいて説明する。
図4は、目標操舵トルク演算処理手段40の概略ブロック図であり、同図4に示すように、目標操舵トルク演算処理手段40は、セルフアライニングトルク演算手段41とフリクショントルク演算手段45の2つの演算手段からなる。
【0029】
セルフアライニングトルク演算手段41は、セルフアライニングベーストルク抽出手段42とセルフアライニングトルク乗算係数抽出手段43とを備える。
セルフアライニングベーストルク抽出手段42は、基準車速における舵角に対するセルフアライニングベーストルクの関係を記憶するセルフアライニングベーストルク(SABT)記憶手段42aから舵角θに基づいてセルフアライニングベーストルクTsbを抽出する。
【0030】
セルフアライニングベーストルク記憶手段42aが記憶する基準車速Voにおける舵角θに対するセルフアライニングベーストルクTsbの関係マップを、図5の座標に示す。
図5において、横軸の舵角θは、正の値が右舵角(θ>0)、負の値が左舵角(θ<0)を示す。
【0031】
ここに、縦軸のセルフアライニングベーストルクTsbは、正の値が右方向トルク(Tsb>0)、負の値が左方向トルク(Tsb<0)であって、実際のセルフアライニングトルク(走向車輪が路面から受けるトルクであり、走向車輪を直進姿勢に復元するように働く力)の反力として示している。
したがって、例えば右舵角θ(>0)が大きくなれば、実際とは反対方向の右方向のセルフアライニングベーストルクTsb(>0)が大きくなる。
【0032】
セルフアライニングトルク演算手段41が備えるもう一つのセルフアライニングトルク乗算係数抽出手段43は、車速に対するセルフアライニングトルク乗算係数を記憶するセルフアライニングトルク(SAT)乗算係数記憶手段43aから車速vに基づいてセルフアライニングトルク乗算係数ksを抽出する。
【0033】
セルフアライニングトルク乗算係数記憶手段43aが記憶する車速vに対するセルフアライニングトルク乗算係数ksの関係マップを、図6の座標に示す。
図6において、車速vの増加に従いセルフアライニングトルク乗算係数ksの値は上昇している。
基準車速Voのとき、セルフアライニングトルク乗算係数ks=1.0である。
【0034】
セルフアライニングトルク演算手段41は、セルフアライニングベーストルク抽出手段42が舵角θに基づいて抽出したセルフアライニングベーストルクTsbに、セルフアライニングトルク乗算係数抽出手段43が車速vに基づいて抽出したセルフアライニングトルク乗算係数ksを、乗算手段44により乗算して、セルフアライニングトルクTsを算出する。
なお、このセルフアライニングトルクTsは、実際のセルフアライニングトルクの反力としてのセルフアライニングトルクである。
【0035】
セルフアライニングベーストルクTsbにセルフアライニングトルク乗算係数ksを乗算することにより、セルフアライニングトルクTsは、車速vが基準車速Voより小さくなる程セルフアライニングベーストルクTsbが減少し、基準車速Voより大きくなる程増幅する。
【0036】
一方、フリクショントルク演算手段45は、フリクションベーストルク抽出手段46とフリクショントルク乗算係数抽出手段47とを備える。
フリクションベーストルク抽出手段46は、停車時における角速度に対するフリクションベーストルクの関係を記憶するフリクションベーストルク(FBT)記憶手段46aから角速度ωに基づいてフリクションベーストルクTfbを抽出する。
【0037】
フリクションベーストルク記憶手段46aが記憶する停車時(車速v=0)における角速度ωに対するフリクションベーストルクTfbの関係マップを、図7の座標に示す。
図7において、横軸の角速度ωは、正の値が右方向の角速度(ω>0)、負の値が左方向の角速度(ω<0)を示す。
【0038】
縦軸のフリクションベーストルクTfbは、正の値が右方向トルク(Tfb>0)、負の値が左方向トルク(Tfb<0)であって、実際のタイヤ等の摩擦相当の反力として示している。
したがって、例えば右方向の角速度ω(>0)が大きくなれば、実際とは反対方向の右方向のフリクションベーストルクTfb(>0)が大きくなり、前記セルフアライニングベーストルクTsbに比べ低いトルクで略一定になる。
【0039】
フリクショントルク演算手段45が備えるもう一つのフリクショントルク乗算係数抽出手段47は、車速に対するフリクショントルク乗算係数を記憶するフリクショントルク(FT)乗算係数記憶手段47aから車速vに基づいてフリクショントルク乗算係数kfを抽出する。
【0040】
フリクショントルク乗算係数記憶手段47aが記憶する車速vに対するフリクショントルク乗算係数kfの関係マップを、図8の座標に示す。
図8において、車速v=0(停車時)のとき、フリクショントルク乗算係数kfの値は、1.0を示し、車速vが停車時から高くなるに従いフリクショントルク乗算係数kfの値は減少し、約20km/hを過ぎる辺りから略一定の値(約0.5)となっている。
【0041】
フリクショントルク演算手段45は、フリクションベーストルク抽出手段46が角速度ωに基づいて抽出したフリクションベーストルクTfbに、フリクショントルク乗算係数抽出手段47が車速vに基づいて抽出したフリクショントルク乗算係数kfを、乗算手段48により乗算して、フリクショントルクTfを算出する。
なお、このフリクショントルクTfは、実際のフリクショントルクの反力としてのフリクショントルクである。
【0042】
フリクションベーストルクTfbにフリクショントルク乗算係数kfを乗算することにより、フリクショントルクTfは、車速vが約20km/hまではフリクションベーストルクTfbが徐々に減少し、約20km/hを過ぎると略半減する状態が継続する。
【0043】
セルフアライニングトルク演算手段41により算出されたセルフアライニングトルクTsと、フリクショントルク演算手段45により算出されたフリクショントルクTfとは、加算手段49により加算されて目標操舵トルクTmが算出される。
【0044】
セルフアライニングトルクTsは、特に低車速で小さくなるが、フリクショントルクTfは低車速でこれを補うように比較的大きい値を示すので、セルフアライニングトルクTsにフリクショントルクTfが加算されることで、低車速で大きく現出する路面に対するタイヤの摩擦などの影響を補うことができる。
【0045】
以上の目標操舵トルクTmが算出されるまでの処理手順を、図9にフローチャートで示す。
まず、舵角検出手段29が検出した操舵角θを読込み(ステップ1)、角速度演算手段50により角速度ωを算出し(ステップ2)、車速センサ25により検出した車速vを読込む(ステップ3)。
【0046】
次いで、セルフアライニングベーストルク抽出手段42により舵角θに基づきセルフアライニングベーストルクTsbを抽出し(ステップ4)、セルフアライニングトルク乗算係数抽出手段43により車速vに基づきセルフアライニングトルク乗算係数ksを抽出し(ステップ5)、セルフアライニングベーストルクTsbにセルフアライニングトルク乗算係数ksを乗算してセルフアライニングトルクTsを算出する(ステップ6)。
【0047】
次に、フリクションベーストルク抽出手段46により角速度ωに基づいてフリクションベーストルクTfbを抽出し(ステップ7)、フリクショントルク乗算係数抽出手段47により車速vに基づきフリクショントルク乗算係数kfを抽出し(ステップ8)、フリクションベーストルクTfbにフリクショントルク乗算係数kfを乗算してフリクショントルクTfを算出する(ステップ9)。
【0048】
そして、ステップ10において、セルフアライニングトルクTsにフリクショントルクTfを加算して目標操舵トルクTmを算出する。
以上の各ステップの処理が繰り返し実行される。
【0049】
こうして算出された目標操舵トルクTmは、図3を参照して、減算手段56により前記操舵トルクセンサ20が検出した操舵トルクTとの偏差ΔT(=Tm−T)が算出され、フィードバック制御量演算手段57に入力される。
【0050】
フィードバック制御量演算手段57は、PI(比例・積分)制御手段とPWM制御信号発生手段とからなり、PI制御手段が偏差ΔTから偏差ΔTを0にして目標操舵トルクTmを得るためにP(比例)動作とI(積分)動作を組み合わせてフィードバックの最適制御量を算出し、同最適制御量をPWM制御信号発生手段がPWM制御のデューティのフィードバックデューティDfbに変換して出力する。
【0051】
一方で、前記ステアリング角速度演算手段50により算出されたステアリング角速度ωおよび前記モータ端子電圧検出装置27により検出されたモータ端子電圧Vp,Vnに基づきモータ電流推定値Iが推定演算されるが、その処理手順を図10のフローチャートに従って説明する。
【0052】
まず、ステアリング角速度ωを読込み(ステップ21)、モータ端子電圧Vp,Vnを読込む(ステップ22)。
そして、モータ端子電圧Vp,Vnからモータ端子間電圧演算手段53によりモータ端子間電圧V(=Vp−Vn)が算出され(ステップ23)、次いで算出されたモータ端子間電圧Vをローパスフィルタ処理する(ステップ24)。
【0053】
次のステップ25では、ステップ21で読込んだステアリング角速度ωからモータ回転速度演算手段51によりモータ回転速度ωを算出する。
ステアリング角速度ωにウオーム減速機構10の減速比N(>1)を乗算してモータ回転速度ω(=ω×N)が算出される。
【0054】
ステップ26では、このモータ回転速度ωから逆起電圧演算手段52によりアシストモータMの逆起電圧Vを算出する。
モータ回転速度ωに誘起電圧定数kを乗算することで、逆起電圧V(=ω×k)が算出される。
【0055】
そして、モータ電流推定手段54により、前記ローパスフィルタ処理したモータ端子間電圧Vと逆起電圧Vの差からアシストモータMの実行電圧V(=V−V)が算出され(ステップ27)、同実行電圧VがアシストモータMのモータ内部抵抗Rmで除算されてモータ電流推定値I(=V/Rm)が推定演算される(ステップ28)。
【0056】
上記モータ電流推定値Iは、異常診断手段55に入力され、同異常診断手段55に別途入力される前記モータ電流検出装置28により検出されたモータ電流検出値Iと比較されて異常診断がなされる。
異常診断手段55による異常の診断結果は、出力制御処理手段58に入力され、同出力制御処理手段58により前記フィードバック制御量演算手段57が算出したフィードバックデューティDfbのモータ駆動回路26への出力は停止される。
【0057】
この異常診断手段55による異常診断と出力制御処理手段58による出力制御の処理手順を図11のフローチャートに示し説明する。
まず、ステップ31でモータ電流検出装置28により検出したモータ電流検出値Iを読込み、次のステップ32で同モータ電流検出値Iと前記モータ電流推定値Iとの電流差ΔI(=|I−ΔI|)を算出する。
【0058】
そして、ステップ33では、電流差ΔIが所定値A以上であるか否かを判別する。
電流差ΔIが所定値A未満であると、正常であると診断して本ルーチンを抜けステップ31に戻り、出力制御処理手段58には特別信号を出力せず、出力制御処理手段58はフィードバック制御量演算手段57からのフィードバックデューティDfbを制限せず、そのままモータ駆動回路26に出力し、アシストモータMをフィードバック制御する。
【0059】
ステップ33で電流差ΔIが所定値A以上であると判別されると、ステップ34に進み、所定時間の経過を判断し、電流差ΔIが所定値A以上となって所定時間が経過するまでは、本ルーチンをそのまま抜け、異常と診断しない。
すなわち、電流差ΔIが所定値Aを越えたとしても一時的であるかもしれないので、異常と診断するのは待つ。
【0060】
電流差ΔIが所定値A以上となって所定時間が経過したときは、ステップ34からステップ35に進み、異常と診断し、異常診断信号を出力制御処理手段58に出力すると、出力制御処理手段58はフィードバック制御量演算手段57からのフィードバックデューティDfbをモータ駆動回路26に出力するのを停止する。
すなわち、アシストモータMのフィードバック制御を停止し、ステアリング操舵の補助は行わないようにし、異常時のアシストモータの挙動を抑えることができる。
【0061】
ここで、異常と診断されたときの異常の原因には、ステアリング舵角検出装置29,モータ端子電圧検出装置27,モータ電流検出装置28などの故障が考えられるが、特にステアリング舵角検出装置29の故障は目標操舵トルクTmの演算に係るのでフィードバック制御が不能であることを意味する。
【0062】
このような舵角センサの故障があったとしても第2の舵角センサを追加することなく、簡単かつ速やかに異常診断を行うことができ、異常によるアシストモータMの挙動を未然に回避することができる。
第2の舵角センサを追加することがないので、通常舵角センサが配置されるステアリングギヤボックス4の構造に大きく影響せず、装置の大型化を防止できる。
【0063】
さらに、本操舵トルク制御装置30は、目標操舵トルク演算処理手段40がセルフアライニングトルク演算手段41により算出されたセルフアライニングトルクTsにフリクショントルク演算手段45により算出されたフリクショントルクTfを加算して目標操舵トルクTmを求めているので、特に低車速で小さくなるセルフアライニングトルクTsをフリクショントルクTfが補い、路面状況を操舵フィーリングに適度に反映させつつ低車速で大きく現出する路面に対するタイヤの摩擦などの影響をカバーして常に安定した操舵フィーリングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の全体の概略後面図である。
【図2】ステアリングギヤボックス内の構造を示す断面図である。
【図3】操舵トルク制御装置の概略ブロック図である。
【図4】目標操舵トルク演算処理手段の概略ブロック図である。
【図5】基準車速における舵角θに対するセルフアライニングベーストルクTsbの関係マップを座標で示す図である。
【図6】車速vに対するセルフアライニングトルク乗算係数ksの関係マップを座標で示す図である。
【図7】停車時における角速度ωに対するフリクションベーストルクTfbの関係マップを座標で示す図である。
【図8】車速vに対するフリクショントルク乗算係数kfの関係マップを座標で示す図である。
【図9】目標操舵トルクの算出処理手順を示すフローチャートである。
【図10】モータ電流を推定演算する処理手順を示すフローチャートである。
【図11】異常診断処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
M…アシストモータ、1…電動パワーステアリング装置、2…ラックハウジング、3…ラック軸、4…ステアリングギヤボックス、5…入力軸、6…トーションバー、7…操舵ピニオン軸、8…ラックガイドスプリング、9…ラックガイド、10…ウオーム減速機構、11…ウオームホイール、12…ウオーム、20…操舵トルクセンサ、21…コア、22,23…コイル、25…車速センサ、26…モータ駆動回路、27…モータ端子電圧検出装置、28…モータ電流検出装置、29…ステアリング舵角検出装置、
30…操舵トルク制御装置、
40…目標操舵トルク演算処理手段、41…セルフアライニングトルク演算手段、42…セルフアライニングベーストルク抽出手段、42a…セルフアライニングベーストルク記憶手段、43…セルフアライニングトルク乗算係数抽出手段、43a…セルフアライニングトルク乗算係数記憶手段、44…乗算手段、45…フリクショントルク演算手段、46…フリクションベーストルク抽出手段、46a…フリクションベーストルク記憶手段、47…フリクショントルク乗算係数抽出手段、47a…フリクショントルク乗算係数記憶手段、48…乗算手段、49…加算手段、
50…ステアリング角速度演算手段、51…モータ回転速度演算手段、52…逆起電圧演算手段、53…モータ端子間電圧演算手段、54…モータ電流推定手段、55…異常診断手段、56…減算手段、57…フィードバック制御量演算手段、58…出力制御処理手段。




 

 


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