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発明の名称 自動車用内装部品
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−91097(P2007−91097A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−284508(P2005−284508)
出願日 平成17年9月29日(2005.9.29)
代理人 【識別番号】100069431
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 成則
発明者 原 正彦 / 大野 樹史
要約 課題
発泡樹脂基材とその裏面側に一体化される樹脂リブとからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用した自動車用内装部品において、樹脂リブと発泡樹脂基材との間の剥離不良を防止する。

解決手段
ドアトリム10は、ドアトリムアッパー(積層構造体)20とドアトリムロア(樹脂単体品)30とから構成されている。ドアトリムアッパー20は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材21と、その内面側に一体化される樹脂リブ22との積層構造体から構成され、樹脂リブ22のリブ深さが3〜7mmに設定されていることにより、ドアトリムアッパー20の製品表面に荷重が加わった際、引っ張り力を小さくできるため、樹脂リブ22の破損を未然に防止できる。併せて、リブ幅を3〜7mmに設定した場合、剛性を均一化でき、樹脂の流動長を適正に確保できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材(21)と、この発泡樹脂基材(21)の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブ(22)とからなる積層構造体(20)を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品(10)において、
前記積層構造体(20)における樹脂リブ(22)のリブ深さ(d)が3〜7mmに設定されていることを特徴とする自動車用内装部品。
【請求項2】
前記積層構造体(20)における樹脂リブ(22)のリブ幅(w)が3〜7mmに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用内装部品。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等の自動車用内装部品に係り、軽量でかつ外観意匠性、製品剛性を向上させた自動車用内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車用内装部品の構成について、ドアトリムを例示して図14,図15を基に説明する。ドアトリム1は、保形性及び車体パネルへの取付剛性を備え、製品面のほぼ全体にいきわたっている樹脂芯材2の表面に、表面外観に優れた表皮3を積層一体化して構成されている。上記樹脂芯材2としては、タルクを混入したポリプロピレン系樹脂を素材としており、また、表皮3は、それ自体保形性を備えておらず、塩ビシート等の合成樹脂シートの裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が使用され、最近では、環境面やリサイクル面を考慮して、サーモプラスチックオレフィン(以下TPOという)シート等のエラストマーシートの裏面にポリエチレンフォーム等のクッション材が積層された積層シート材料が多用される傾向にある。
【0003】
次に、上記ドアトリム1の成形方法における従来例について図16を基に説明する。まず、ドアトリム1を成形する成形金型4は、所定ストローク上下動可能な成形上型5と、成形上型5と対をなす固定側の成形下型6と、成形下型6と接続される射出機7とから大略構成されている。そして、成形上下型5,6を型締めした際、ドアトリム1の製品形状を形造るために成形上型5にはキャビティ部5aが形成され、成形下型6にはコア部6aが設けられている。上記成形上型5を所定ストローク上下動作させるために、昇降シリンダ5bが連結され、成形下型6には射出機7からの溶融樹脂Mの通路となるマニホールド6b、ゲート6cが設けられている。また、上下動作する成形上型5は、適正姿勢を維持させるために、成形下型6の4隅部にガイドポスト6dが設けられ、このガイドポスト6dに対応して成形上型5にはガイドブッシュ5cが設けられている。
【0004】
従って、成形上下型5,6が型開き状態にある時、表皮3を金型内にセットし、成形上下型5,6を型締めした後、両金型間の製品キャビティ内に射出機7からマニホールド6b、ゲート6cを通じて溶融樹脂Mを射出充填することにより、樹脂芯材2を所要の曲面形状に成形するとともに、樹脂芯材2の表面に表皮3を一体成形している(例えば、特許文献1参照。)。尚、図16では、説明の便宜上、コア部6aの型面にオープン状態で溶融樹脂Mが供給されているが、溶融樹脂Mは成形上下型5,6の型締め後にキャビティ内に射出充填されても良い。
【0005】
【特許文献1】特開平10−138268号公報 (第2頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のドアトリム1においては、樹脂芯材2の投影面積が大きいため、材料コストが高く、かつ製品が重量化するという問題点が指摘されている。また、樹脂芯材2の投影面積が大きいことから、成形時における射出圧を高く設定せざるを得ず、高い射出圧に耐え得る金型構造が必要となり、金型の作製費用も嵩み、しかも、大量の溶融樹脂を冷却固化させるため、成形サイクルが長期化し、生産性を低下させる大きな要因となっている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ドアトリム等の自動車用内装部品に係り、特に、軽量化を促進でき、コストダウンを図れ、かつ外観品質、並びに製品剛性を向上させた自動車用内装部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究の結果、従来から表皮として使用していた発泡樹脂シートに保形性を付与することで、芯材としての機能をもたせ、より以上に剛性が必要な箇所、すなわち製品の周縁部分やパネル、あるいは部品取付箇所並びに荷重がかかる部位には、剛性に優れた樹脂リブを配置することで、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ軽量で、かつコストが廉価な積層構造体を提供するとともに、樹脂リブのリブ深さやリブ幅等の寸法を適切に設定することにより、荷重が加わった際の樹脂リブの破損を確実に防止できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、所要形状に成形され、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される所定パターン形状の樹脂リブとからなる積層構造体を全体、あるいは一部に採用してなる自動車用内装部品において、前記積層構造体における樹脂リブのリブ深さが3〜7mmに設定されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、自動車用内装部品の用途としては、ドアトリム、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等に適用できる。また、自動車用内装部品の全体構造に本発明構造を適用することもできるとともに、自動車用内装部品の一部、例えば、上下二分割体のドアトリムにおけるドアトリムアッパーにのみ本発明構造を適用することもできる。
【0011】
更に、保形性を有する発泡樹脂基材は、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型内で所望の曲面形状に成形することで、リブ等の補強材がなくても、成形後、型から脱型しても形状を保持する程度の剛性(保形性)を有している。また、製品形状が高展開率部分を含む場合には、発泡樹脂シートを加熱軟化処理した後、成形金型に真空吸引機構を配設して成形金型の内面に沿って発泡樹脂シートに真空吸引力を作用させるようにしても良い。
【0012】
上記発泡樹脂シートとしては、熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した素材を使用する。尚、熱可塑性樹脂は、1種類の熱可塑性樹脂でも2種類以上の熱可塑性樹脂からなっても良い。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用できる。また、発泡剤としては、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、アジド化合物等の有機発泡剤、あるいは重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤の使用が可能である。上記発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に成形して得た発泡樹脂基材は、製品の重量と強度とのバランスを考慮した場合、2〜10倍の発泡倍率が好ましい。その時の発泡樹脂基材のセル径は、0.1μm〜2.0mmの範囲であることが好ましく、厚みは0.5〜30mm、好ましくは1〜10mmのものが良い。
【0013】
一方、補強機能をもつ樹脂リブとして使用する熱可塑性樹脂材料は、広範な熱可塑性樹脂から適宜選択することができる。通常好ましく使用できるものとして、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。また、これら熱可塑性樹脂中に各種充填剤を混入しても良い。使用できる充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子などがある。また、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、低収縮剤等の各種の添加剤が配合されても良い。
【0014】
そして、外観意匠性を高めるために、発泡樹脂基材の表面に加飾材を積層一体化しても良い。この加飾材としては、TPOシート、TPU(サーモプラスチックウレタン)シート、塩ビシート等の合成樹脂シート、あるいは織布、不織布、編布等の布地シート、または合成樹脂フィルム、発泡体、網状物等の単体シートの形態で使用するか、または、合成樹脂シートや布地シートの裏面にポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム等のクッション材を裏打ちした積層シート材料の形態で使用することもできる。これら加飾材を構成する材料は特に限定されないが、織布、不織布、編布等、通気性を有する素材を使用したほうが、発泡樹脂基材の吸音性能を生かす上で好ましい。
【0015】
また、発泡樹脂基材の多孔質吸音機能により、吸音性能に優れた内装部品が得られるとともに、発泡樹脂基材及び樹脂リブの素材として、ポリオレフィン系樹脂を使用した場合、オールオレフィン系樹脂に統一されるため、分離工程が廃止でき、リサイクル作業を簡素化できる。
【0016】
更に、発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される樹脂リブとから積層構造体が構成されるが、積層構造体に荷重が加わった際、樹脂リブに加わる引っ張り力が小さいため、樹脂リブの破損が可及的に防止できるとともに、リブ深さが浅いため、パネルスペースが少なくて良い。この時、樹脂リブのリブ深さは3〜7mm、好ましくは5mmに設定されているが、リブ深さが3mm未満の場合には、発泡樹脂基材を補強する機能が得られない。逆に、リブ深さが7mmを超えた場合には、荷重が加わった際の引っ張り力が大きくなり、リブ破損を誘発し易くなるという不具合がある。
【0017】
次いで、積層構造体を成形する際に使用する成形金型は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される樹脂リブとからなる積層構造体を成形する成形金型であって、前記成形金型は、相互に型締め、型開き可能な成形上型並びに成形下型と、成形下型に連結され、樹脂リブの素材である溶融樹脂を供給する射出機とから構成されている。
【0018】
ここで、成形金型は、上下動可能な成形上型と、成形上型の下方側に位置する固定側である成形下型と、成形下型に連結される射出機とから構成されている。そして、射出機から供給される溶融樹脂は、成形下型に設けられたマニホールド、ゲート等の樹脂通路を通じて成形下型の型面上に形成されている溝部に供給される。また、成形金型の型締めにより、発泡樹脂シートは、成形金型の型面形状に沿って賦形されるが、その際、成形工程の前工程で、ヒーター等により加熱軟化処理が行なわれ、加熱軟化状態の発泡樹脂シートが成形金型内にセットされる。そして、成形金型による発泡樹脂シートの成形工程には、発泡樹脂シートの冷却工程も含まれており、この冷却工程としては、成形金型の型締めにより冷却する他に、発泡樹脂シートを強制的に冷却するようにしても良い。例えば、発泡樹脂基材と成形下型の型面との間に所定クリアランスを設けて熱の解放を行なっても良く、また、発泡樹脂基材の裏面側から冷却用エア等の冷媒を吹き付けることにより、発泡樹脂基材を有効に冷却することもできる。この場合、エアブローは、型締め状態で行なっても良く、また、成形上型を上昇させて、発泡樹脂基材と成形下型との間にクリアランスを設け、このクリアランス内にエアブローするようにしても良い。
【0019】
従って、本発明によれば、従来の投影面積の広い樹脂芯材に比べ、樹脂リブだけを成形すれば良いため、射出圧力を従来に比べ低く設定することができ、かつ成形上型の負荷が少なくて済むとともに、材料費を節約することができる。更に、本発明においては、樹脂リブのリブ深さを3〜7mmのように、浅く設定したため、荷重が加わった際の引っ張り力は小さくなり、リブ破損を可及的に防止でき、更に、車体パネルとの間のパネルスペースが少なくて済み、スペース性能に優れる。
【0020】
また、本発明の更に好ましい実施の形態は、前記積層構造体における樹脂リブのリブ幅が3〜7mmに設定されていることを特徴とする。そして、この実施の形態によれば、樹脂リブのリブ幅が3〜7mmのように広く設定されているため、リブ深さを浅く設定しても剛性を強化することができるとともに、樹脂の流動長を有効に確保することができ、ショートショット等の充填不良を未然に防止でき、成形安定性が向上する。
【発明の効果】
【0021】
以上説明した通り、本発明に係る自動車用内装部品によれば、自動車用内装部品の全体、あるいは一部を構成する積層構造体は、軽量でかつ保形性を有する発泡樹脂基材と、この発泡樹脂基材の裏面に一体化される樹脂リブとから構成されているため、従来の重量の嵩む樹脂芯材を廃止できることから、軽量で低コスト、しかも多孔質素材であるため、吸音性能にも優れた自動車用内装部品を提供できるという効果を有する。
【0022】
更に、本発明に係る自動車用内装部品によれば、積層構造体における樹脂リブのリブ深さが3〜7mmのように比較的浅く設定されているため、荷重が加わった際の引っ張り力が小さく、リブの破損を可及的に防止でき、かつパネルスペースが少なくて済み、スペース性能に優れるという効果を有する。
【0023】
また、樹脂リブのリブ深さを浅く設定すると同時に、リブ幅を3〜7mmのように広く設定した場合には、剛性を強化することができ、かつ樹脂流動長を良好に確保することができるため、ショートショット等の成形不良を解消できるとともに、サイクル時間を短縮化できる等、成形性を向上させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る自動車用内装部品の好適な実施例について、自動車用ドアトリムを例示して説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例】
【0025】
図1乃至図13は本発明の一実施例を示すもので、図1はツートンタイプの自動車用ドアトリムを示す正面図、図2は同自動車用ドアトリムの構成を示す断面図、図3は同自動車用ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの樹脂リブとドアトリムロアを示す正面図、図4,図5は同自動車用ドアトリムにおけるドアトリムアッパーの要部構成を示す断面図、図6はドアトリムアッパーに荷重を加えた状態を示す説明図、図7乃至図9は同自動車用ドアトリムを成形する際に使用する成形金型を示すもので、図7は成形金型の全体図、図8,図9は成形金型におけるドアトリムアッパー形成部分を示す各断面図である。更に、図10乃至図13は同自動車用ドアトリムの製造方法の各工程を示し、図10は発泡樹脂シートの予熱工程、図11は発泡樹脂シートの成形金型へのセット工程、図12,図13はドアトリムの成形工程をそれぞれ示す説明図である。
【0026】
まず、図1乃至図6に基づいて、本発明に係る自動車用内装部品の構成を適用したツートンタイプの自動車用ドアトリム10の構成について説明する。ツートンタイプの自動車用ドアトリム10は、積層構造体からなるドアトリムアッパー20と、樹脂単体品からなるドアトリムロア30との上下二分割体から構成されている。そして、ドアトリム10に装着される機能部品としては、ドアトリムアッパー20にインサイドハンドルエスカッション11、パワーウインドウスイッチエスカッション12が取り付けられている。ドアトリムロア30には、ドアポケット用開口13が開設され、その背面側には、図2に示すように、ポケットバックカバー(樹脂成形体から構成されている)14が取り付けられており、ドアトリムロア30のフロント側にスピーカグリル15がドアトリムロア30と一体、あるいは別体に設けられている。
【0027】
ところで、本発明に係る自動車用ドアトリム10は、積層構造体からなるドアトリムアッパー20の構造に特徴があり、製品の軽量化が図られているとともに、良好な表面外観と強固な製品剛性が確保されている。すなわち、ドアトリムアッパー20は、図2に示すように、所望の曲面形状に成形され、保形性を有する発泡樹脂基材21と、この発泡樹脂基材21の裏面側に一体化される樹脂リブ22と、発泡樹脂基材21の表面側に積層一体化される加飾機能をもつ加飾材23とから大略構成されている。尚、図中符号16は車体パネルを示す。
【0028】
上記発泡樹脂基材21は、保形性を備えるように、発泡樹脂シートを加熱軟化処理後、所要形状に熱成形、例えば、所望の型面を有する成形金型でコールドプレス成形して、形状が付与される。上記発泡樹脂シートは、汎用の熱可塑性樹脂に発泡剤を添加した構成であり、熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等が使用でき、発泡剤としては、アゾジカルボンアミド等の有機発泡剤や重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤が使用できる。この実施形態では、ポリプロピレン系樹脂に発泡剤として重炭酸ナトリウムを適宜添加した発泡樹脂シートを使用している。また、この発泡樹脂基材21の発泡倍率は、2〜10倍に設定され、厚みは0.5〜30mm、特に好ましくは1〜10mmの範囲に設定されている。
【0029】
次いで、樹脂リブ22は、図3に示すように、縦横方向、あるいは斜め方向等に延びる格子状パターンに設定されている。そして、この樹脂リブ22は、汎用の合成樹脂成形体からなり、通常好ましく使用できる合成樹脂として、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等から適宜選択されて良く、本実施形態では、環境面、リサイクル面を考慮してポリプロピレン系樹脂が使用されている。また、この樹脂リブ22には、上記熱可塑性樹脂中に適宜フィラー、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維や、タルク、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム等の無機粒子等の充填剤が混入されていても良い。
【0030】
このように、図1乃至図3に示すドアトリム10は、積層構造体からなるドアトリムアッパー20と、合成樹脂単体品であるドアトリムロア30とから構成され、外観上のアクセント効果により、優れた外観意匠性を備えている。更にドアトリムアッパー20は、保形性を有する発泡樹脂基材21と、発泡樹脂基材21の裏面に積層一体化される樹脂リブ22とから構成されているため、従来のように製品の全面に亘り占有していた樹脂芯材を廃止でき、かつ軽量な発泡樹脂基材21を使用する一方、樹脂リブ22は骨状であり、荷重が加わる部位、例えば、クリップ取付座、ウエストフランジ、アームレスト部上面等を除いた部位は、肉抜き構造となっている関係で、製品の重量について、従来例に比し40%以上の軽量化を図ることができるとともに、樹脂材料も大幅に節約でき、コストダウンにも貢献できる。
【0031】
更に、発泡樹脂基材21は、多孔質構造であるため、ドアトリムアッパー20は、吸音性能に優れ、車室内外の騒音を低減することができる。また、発泡樹脂基材21の表面に所望ならば加飾材を積層一体化しても良い。その場合は、車室内騒音を対象とした吸音性能を高めるために、発泡樹脂基材21の表面に積層一体化される加飾材は、織布、不織布、編布等の通気性を備えたシート材料が好ましい。尚、加飾材は、織布、不織布、編布等の通気性シート以外にも塩ビシートやTPOシート等の合成樹脂シート(TPOシートを使用すればリサイクルが可能)、合成樹脂フィルム、発泡体、網状体等を使用することができる。尚、廉価構成として、加飾材を省略し、発泡樹脂基材21の表面に塗装や印刷処理を施すようにしても良い。
【0032】
次に、本発明を適用したドアトリム10の構成上の特徴部分について図4乃至図6を基に説明する。すなわち、本発明は、発泡樹脂基材21における樹脂リブ22のリブ深さdが3〜7mmに設定されていることが特徴である。例えば、図6に示すように、樹脂リブ22を支持点Pで2点支持した状態で荷重Fを加えれば、樹脂リブ22にはA矢印方向に押圧力が加わるとともに、B矢印方向に引っ張り力が加わることになる。この時、リブ深さdが3〜7mm、好ましくは5mmに設定されているため、図6中荷重Fが加わった際の引っ張り力を小さく規制でき、樹脂リブ22のリブ破損を可及的に防止できる。尚、樹脂リブ22のリブ深さdが浅いため、曲げ荷重強度は弱くなるが、実際にはリブ幅を広く、リブピッチを狭く設定することで剛性を上げることが可能であり、破壊変位量は大きくなる。従って、本発明に係る樹脂リブ22について、リブ割れしにくいため、製品として均一な剛性感が得られることになる。また、リブ深さdが3〜7mmのように、深さが浅いため、車体パネルとの間のクリアランスも小さくて済み、スペース性能にも優れるという利点がある。
【0033】
上述したように、樹脂リブ22のリブ深さdを3〜7mmの範囲内に設定したが、樹脂リブ22のリブ深さdが3mm未満の場合には、補強リブの役目を果たさない。逆に、リブ深さdが7mmを超えた場合には、荷重が加わった際、樹脂リブ22が破損し易くなる傾向にある。また、この実施例では、樹脂リブ22のリブ深さdが3〜7mmの短寸に設定されているとともに、同時に樹脂リブ22のリブ幅wもまた、3〜7mm、好ましくは、5mmのように、比較的幅広に設定されていることが特徴である。従って、リブ幅wが比較的幅広であるため、樹脂リブ22のリブ深さが浅くても、製品剛性を良好に確保できるとともに、特に、樹脂リブ22におけるリブ幅wが広いため、樹脂流動長を有効に確保でき、ショートショットをより確実に防止できるとともに、サイクル時間の短縮化にも結び付く等、成形性を高めることができるという効果がある。
【0034】
次いで、上述した構成のドアトリムアッパー20、ドアトリムロア30からなるドアトリム10の成形方法について、以下に説明する。その前に、図7乃至図9に基づいて、成形金型40の構成について説明する。図7において、ドアトリム10の成形に使用する成形金型40は、所定ストローク上下動可能な成形上型41と、成形上型41と対をなす固定側の成形下型42と、成形下型42に接続される2基の射出機43a,43bとから大略構成されている。更に詳しくは、成形上型41は、製品形状に合致したキャビティ部411が形成されており、成形上型41の上面に連結された昇降シリンダ412により所定ストローク上下駆動される。また、成形上型41の4隅部には、ガイド機構となるガイドブッシュ413が設けられている。
【0035】
一方、成形下型42には、成形上型41のキャビティ部411に対応するコア部421が設けられている。また、このコア部421の型面に溶融樹脂を供給するために、マニホールド422a,422b、ゲート423a,423bが設けられており、このマニホールド422a,422b、ゲート423a,423bの樹脂通路を経て射出機43a,43bから供給される溶融樹脂M1,M2がコア部421の上面に供給される。尚、樹脂リブ22を形成するために、コア部421上面に溶融樹脂M1が供給される溝部424が穿設される一方、ドアトリムロア30を形成するために、成形上下型41,42間に所定クリアランスのキャビティ425が設定されている。また、成形下型42の4隅部には、ガイド機構となるガイドポスト426が突設され、このガイドポスト426は、成形上下型41,42が型締めされる際、ガイドブッシュ413内に案内されることで成形上型41のプレス姿勢を適正に維持できる。
【0036】
更に、図8,図9に示すように、ドアトリムアッパー20が対応する部位の成形下型42には、樹脂リブ22のパターン形状に対応する溝部424が設けられているが、この溝部424の寸法については、樹脂リブ22のリブ深さdが3〜7mmのように比較的浅く設定されているため、この溝部424の溝深さについても、3〜7mmに設定されているとともに、図9に示すように、溝部424の溝幅についても、3〜7mmのように、比較的幅広に設定されている。また、図示はしないが、成形下型42には、エアブロー機構が付設されていても良い。エアブロー機構としては、圧空ブロワとこれと接続するエアブロー管が成形下型の空気室に連通しており、エアブロー管に設けられている開閉バルブの開閉操作により、成形下型42の空気室内に冷媒としての冷却用エアが供給され、成形下型42の型面に形成されているエアブロー孔を通じて、キャビティ内に冷却用エアが吹き付けられる。この冷媒としては、冷却用エアの他に液体窒素、液体空気、二酸化炭素等を使用することもできる。
【0037】
次いで、上述したドアトリム10の製造方法について、簡単に図10乃至図13に基づいて説明する。まず、図10に示すように、ヒーター装置50により発泡樹脂シートSを所定温度に加熱軟化させる発泡樹脂シートSの予熱工程が採用されている。この実施例では、発泡樹脂シートSとして、ポリプロピレン製発泡シート(住化プラステック製、商品名:スミセラー発泡PPシート、発泡倍率=3倍、厚み3mm)が使用されている。そして、図11に示すように、加熱軟化処理した発泡樹脂シートSをドアトリムアッパー20対応箇所における成形上型41のキャビティ部411と成形下型42のコア部421で画成されるキャビティの上半部分にセットする。尚、発泡樹脂シートSの一方面には加飾材23が予めラミネートされている。上記発泡樹脂シートSをセットした後、図12に示すように、成形上型41の昇降シリンダ412が動作して、成形上型41が所定ストローク下降して、成形上下型41,42が型締めされ、発泡樹脂シートSがキャビティ形状に沿って賦形される。
【0038】
次に、発泡樹脂シートSから発泡樹脂基材21を所望の曲面形状に成形した後、図13に示すように、第1の射出機43aからマニホールド422a、ゲート423aを通じてドアトリムアッパー20における樹脂リブ22を形成するために、溶融樹脂M1が成形下型42の溝部424、端末部424a内に射出充填される。更に、ドアトリムロア30を成形するために、第2の射出機43bからマニホールド422b、ゲート423bを通じてキャビティ425内に溶融樹脂M2が射出充填され、ドアトリムロア30が所要形状に成形される。尚、この溶融樹脂M1,M2としては、住友ノーブレンBUE81E6(住友化学工業製ポリプロピレン、メルトインデックス=80g/10分)にタルク等のフィラーが適宜割り合いで混入されている樹脂材料を使用している。従って、第1の射出機43aから溶融樹脂M1を溝部424、端末部424a内に射出充填する一方、第2の射出機43bから溶融樹脂M2をキャビティ425内に射出充填することにより、ドアトリムアッパー20における樹脂リブ22を所要形状に成形するとともに、これと一体にドアトリムロア30が一体成形される。
【0039】
そして、溶融樹脂M1を成形下型42の溝部424内に射出充填する際、特に、溝部424の溝深さが浅く、かつ溝幅が広く設定されているため、溶融樹脂M1は、端末部まで迅速にいきわたることになり、ショートショット等の充填不良を回避できるとともに、ショットサイクルも短縮化できる。また、溶融樹脂M1が有効にいきわたるため、流動長を比較的長く設定することができ、ゲートの設定箇所も自由に設定できる等、金型の造形自由度を向上させることができる。
【0040】
このように、本発明に係る自動車用ドアトリム10は、特に、ドアトリムアッパー20の構成として、発泡樹脂基材21と、その裏面に一体化される樹脂リブ22とから構成することで、軽量化を促進するとともに、特に、ドアトリムアッパー20における樹脂リブ22のリブ深さdについて、3〜7mmのように、比較的浅く設定することで、荷重が加わった際のリブ破損を可及的に防止でき、良好な剛性を長期に亘り維持することができる。加えて、リブ幅wを3〜7mmのように、広く設定した場合には、製品剛性を均一化することができ、樹脂流動長の確保等、成形性を向上させることができるという付随的な効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明した実施例は、ツートンタイプの自動車用ドアトリム10におけるドアトリムアッパー20に本発明構造を適用したが、一体型のドアトリム、あるいはドアトリム以外の内装部品、例えば、リヤパーセルシェルフ、フロアトリム、トランクトリム、ラゲージトリム、ルーフトリム、リヤサイドトリム等、内装トリム全般に本発明構造を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る自動車用内装部品の一実施例であるドアトリムを示す正面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示すドアトリムにおけるドアトリムアッパーの樹脂リブとドアトリムロアとを示す正面図である。
【図4】図1に示すドアトリムにおけるドアトリムアッパーの要部構成を示す断面図である。
【図5】図4中V −V 線断面図である。
【図6】図1に示すドアトリムにおける樹脂リブに荷重を加えた状態を示す説明図である。
【図7】図1に示すドアトリムを成形する際に使用する成形金型の全体構成を示す説明図である。
【図8】図7に示す成形金型における溝部の形状を示す要部断面図である。
【図9】図8中IX−IX線断面図である。
【図10】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂シートの予熱工程を示す説明図である。
【図11】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂シートの型内セット工程を示す説明図である。
【図12】図1に示すドアトリムの製造方法における発泡樹脂基材の成形工程を示す説明図である。
【図13】図1に示すドアトリムの製造方法におけるドアトリムアッパーの樹脂リブの成形工程及びドアトリムロアの成形工程を示す説明図である。
【図14】従来のドアトリムを示す正面図である。
【図15】図14中XV−XV線断面図である。
【図16】従来のドアトリムを成形する際に使用する成形金型の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ツートンタイプの自動車用ドアトリム
20 ドアトリムアッパー
22 樹脂リブ
23 加飾材
24 ボス
30 ドアトリムロア
40 成形金型
41 成形上型
42 成形下型
424 溝部
43a,43b 射出機
M1,M2 溶融樹脂
S 発泡樹脂シート
d リブ深さ
w リブ幅




 

 


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