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発明の名称 ハイブリッド電気自動車の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−246050(P2007−246050A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−76139(P2006−76139)
出願日 平成18年3月20日(2006.3.20)
代理人 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
発明者 緒方 誠 / 木内 達雄 / 坂田 邦夫
要約 課題
電動機によるエンジンの始動が困難な場合には制動力保持装置の作動に悪影響を与えることなく始動モータによりエンジンを始動するようにしたハイブリッド電気自動車の制御装置を提供する。

解決手段
電動機6の駆動力が車両の駆動輪16に伝達可能であると共に、電動機6の回転軸とエンジン2の出力軸とが連結可能であって、電動機6とは別に設けられた始動モータ44と、電動機6に電力を供給するバッテリ18とは別に設けられて始動モータ44に電力を供給する電源46と、電源46から供給される電力により作動して車両の制動力を保持する制動力保持手段40とを備え、エンジン2の始動要求があったときに、電動機6によってエンジン2を始動することができない所定の異常状態が検出された場合には、制動力保持装置40が作動していないときに始動モータ44によってエンジン2を始動する。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、
上記電動機とは別に設けられ、上記エンジンの出力軸に駆動力を伝達して上記エンジンを始動可能な始動モータと、
上記電動機に電力を供給するバッテリとは別に設けられ、上記始動モータに電力を供給する電源と、
上記電源から供給される電力により作動して上記車両の制動力を保持する制動力保持手段と、
上記電動機によって上記エンジンを始動することができない所定の異常状態を検出する異常検出手段と、
上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されない場合には上記電動機によって上記エンジンを始動する一方、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出された場合には、上記制動力保持装置が作動していないときに上記始動モータによって上記エンジンを始動する制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項2】
上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されると共に上記制動力保持装置が作動している場合には警報表示を行う警報手段を更に備え、
上記制御手段は、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されると共に上記制動力保持装置が作動している場合には、上記制動力保持手段の作動が解除されるまで上記始動モータによる上記エンジンの始動を保留することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド電気自動車の制御装置に関し、特に電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンと電動機とを車両に搭載し、エンジンの駆動力と電動機の駆動力とをそれぞれ車両の駆動輪に伝達可能とした、いわゆるパラレル型ハイブリッド電気自動車が開発され実用化されている。
このようなハイブリッド電気自動車では、エンジンの出力軸と電動機の回転軸とを連結可能であるため、モータ作動させた電動機の駆動力を利用してエンジンを始動することが可能である。
【0003】
このように電動機の駆動力を利用してエンジンを始動するようにしたハイブリッド電気自動車は、例えば特許文献1によって提案されている。
特許文献1のハイブリッド電気自動車では、エンジンを停止して電動機のみで車両の駆動を行っているときに車両の急加速などで大きな駆動力が必要になると、電動機により自動的にエンジンを始動してエンジンからも駆動力を供給する。このとき、バッテリの電圧が設定値以下に低下している場合や、エンジンのクランキング信号が検出されない場合には、電動機によるエンジンの始動が不可能であるため、電動機に代えて始動モータによりエンジンを始動するようにしている。
【0004】
また、坂道における車両の発進を容易にするため、坂道で停車している車両の制動力を保持し、運転者の発進操作に合わせて制動力を解除するようにした制動力保持装置が開発され実用化されている。このような制動力保持装置を備えるようにした電気自動車が特許文献2によって提案されている。
特許文献2の制動力保持装置では、ホイールシリンダに油圧を供給して制動力を発生させる電磁弁の電磁コイルを励磁して電磁弁を閉じることにより、制動力を保持するようになっている。
【特許文献1】特開2000−64873号公報
【特許文献2】特開平9−188233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような制動力保持装置をハイブリッド電気自動車に適用した場合、始動モータと制動力保持装置との電源は共通となるため、始動モータが作動したときに電源電圧が低下して、制動力保持装置の電磁弁を閉止状態に維持できなくなる可能性がある。そして、始動モータの作動によって電磁弁が一時的に開いてしまうと、制動力保持装置による制動力の保持が解除されてしまうという問題がある。
【0006】
特に、近年では車両停止時にエンジンを停止する、いわゆるアイドリングストップ機能を有したエンジンが実用化されており、このようなエンジンでは頻繁にエンジンの始動が行われることから、このような問題が頻繁に生じる可能性がある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動機によるエンジンの始動が困難な場合には制動力保持装置の作動に悪影響を与えることなく始動モータによりエンジンを始動するようにしたハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置は、電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記電動機とは別に設けられ、上記エンジンの出力軸に駆動力を伝達して上記エンジンを始動可能な始動モータと、上記電動機に電力を供給するバッテリとは別に設けられ、上記始動モータに電力を供給する電源と、上記電源から供給される電力により作動して上記車両の制動力を保持する制動力保持手段と、上記電動機によって上記エンジンを始動することができない所定の異常状態を検出する異常検出手段と、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されない場合には上記電動機によって上記エンジンを始動する一方、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出された場合には、上記制動力保持装置が作動していないときに上記始動モータによって上記エンジンを始動する制御手段とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの始動要求があったときに、電動機によってエンジンを始動することができない所定の異常状態が検出されない場合には、電動機によってエンジンが始動される。一方、エンジンの始動要求があったときに、上記異常状態が検出された場合には、制動力保持装置が作動していないときに始動モータによってエンジンが始動される。
【0009】
また、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されると共に上記制動力保持装置が作動している場合には警報表示を行う警報手段を更に備え、上記制御手段は、上記エンジンの始動要求があったときに、上記異常検出手段によって上記異常状態が検出されると共に上記制動力保持装置が作動している場合には、上記制動力保持手段の作動が解除されるまで上記始動モータによる上記エンジンの始動を保留することを特徴とする(請求項2)。
【0010】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの始動要求があったときに、上記異常状態が検出されると共に制動力保持装置が作動している場合には警報手段によって警報表示が行われる。そして、この場合には制動力保持手段の作動が解除されるまで始動モータによるエンジンの始動が保留される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの始動要求があったときに、電動機によってエンジンを始動することができない所定の異常状態が検出された場合には、制動力保持装置が作動していないときに始動モータによってエンジンが始動されるようにしたので、始動モータが作動することによって電源電圧が低下して制動力保持装置による制動力の保持が解除されるという問題の発生を防止することができる。
【0012】
また、請求項2のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの始動要求があったときに、上記異常状態が検出されると共に制動力保持装置が作動している場合には警報手段によって警報表示が行われるようにしたので、運転者はエンジンを始動できない状況にあることを容易に把握することができる。そして、この警報表示に基づき、運転者が制動力保持装置の作動を解除することにより、始動モータによってエンジンを確実に始動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態であるハイブリッド電気自動車1の制御装置の要部構成図である。ディーゼルエンジン(以下エンジンという)2の出力軸であるクランク軸にはクラッチ4の入力軸が連結されており、クラッチ4の出力軸は永久磁石式同期電動機(以下電動機という)6の回転軸を介して自動変速機(以下変速機という)8の入力軸が連結されている。また、変速機8の出力軸はプロペラシャフト10、差動装置12及び駆動軸14を介して左右の駆動輪16に接続されている。
【0014】
従って、クラッチ4が接続されているときには、エンジン2の出力軸と電動機6の回転軸とが連結されると共に変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となり、クラッチ4が切断されているときには、エンジン2の出力軸と電動機6の回転軸との連結が解除され、電動機6の回転軸のみが変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となる。
電動機6は、バッテリ18に蓄えられた直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて供給されることによりモータとして作動し、その駆動トルクが変速機8によって適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。また、車両減速時には、電動機6が発電機として作動し、駆動輪16の回転による運動エネルギが変速機8を介し電動機6に伝達されて交流電力に変換されることにより回生制動トルクを発生する。そして、この交流電力はインバータ20によって直流電力に変換された後、バッテリ18に充電され、駆動輪16の回転による運動エネルギが電気エネルギとして回収される。
【0015】
一方、エンジン2の駆動トルクは、クラッチ4が接続されているときに電動機6の回転軸を経由して変速機8に伝達され、適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。従って、エンジン2の駆動トルクが駆動輪16に伝達されているときに電動機6がモータとして作動する場合には、エンジン2の駆動トルクと電動機6の駆動トルクとがそれぞれ変速機8を介して駆動輪16に伝達されることになる。即ち、車両の駆動のために駆動輪16に伝達されるべき駆動トルクの一部がエンジン2から供給されると共に、残部が電動機6から供給される。
【0016】
また、バッテリ18の充電率(以下SOCという)が低下してバッテリ18を充電する必要があるときには、電動機6が発電機として作動すると共に、エンジン2の駆動力の一部を用いて電動機6を駆動することにより発電が行われ、発電された交流電力をインバータ20によって直流電力に変換した後にバッテリ18に充電するようにしている。
車両ECU22(制御手段)は、車速センサ34によって検出された車両の走行速度などの車両の運転状態、エンジン2の運転状態、回転数センサ36によって検出された電動機6の回転数、及びエンジンECU24、インバータECU26並びにバッテリECU28からの情報などに応じて、クラッチ4の接続・切断制御及び変速機8の変速段切換制御を行うと共に、これらの制御状態や車両の発進、加速、減速など様々な運転状態に合わせてエンジン2や電動機6を適切に運転するための統合制御を行う。
【0017】
また、車両ECU22は信号待ちや渋滞等による車両の停車中には、エンジン2を一時的に自動停止させるアイドルストップ制御を実行する。即ち、所定のエンジン停止条件が成立すると、車両ECU22はエンジンECU24に対しエンジン2を停止するよう指示し、エンジンECU24はこの指示を受けてエンジン2への燃料供給を遮断することによりエンジン2を停止する。
【0018】
本実施形態ではエンジン2の停止条件として、車速センサ34により検出された走行速度が0km/hであること、ブレーキペダル38の操作が検出されていること、変速機8のシフト位置がN(ニュートラル)レンジであることなどが設定されている。
また、アイドルストップ制御によってエンジン2が停止しているときに所定のエンジン始動条件が成立すると、車両ECU22はエンジンECU24に対しエンジン2を運転するよう指示すると共に、後述する始動制御を行うことによってエンジン2のクランキングを行う。エンジンECU24はこの指示を受けてエンジン2への燃料供給を再開し、クランキングされたエンジン2は再び始動する。
【0019】
本実施形態ではエンジン2の始動条件として、ブレーキペダル38に対する操作の解除が検出されたこと、及び変速機8のシフト位置がDレンジ等の走行レンジであることが設定されている。
エンジンECU24は、車両ECU22からの情報に基づき上述のようなエンジン2の始動・停止のための制御を行うほか、エンジン2のアイドル運転制御や排ガス浄化装置(図示せず)の再生制御など、エンジン2自体の運転に必要な各種制御を行うと共に、車両ECU22によって設定されたエンジン2に必要とされるトルクをエンジン2が発生するよう、エンジン2の燃料の噴射量や噴射時期などを制御する。
【0020】
一方、インバータECU26は、電動機6やインバータ20の温度などの状態を監視して車両ECU22にその情報を送るほか、車両ECU22によって設定された電動機6が発生すべきトルクに基づきインバータ20を制御することにより、電動機6をモータ作動または発電機作動させて運転制御する。
また、バッテリECU28は、バッテリ18の温度や、バッテリ18の電圧、インバータ20とバッテリ18との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ18のSOCを求め、求めたSOCを検出結果と共に車両ECU22に送っている。
【0021】
そして車両ECU22は、これらエンジンECU24、インバータECU26及びバッテリECU28との間で相互に情報をやりとりしながら、エンジン2及び電動機6を適切に制御するようエンジンECU24及びインバータECU26に指示すると共に、クラッチ4及び変速機8を適宜制御する。
車両ECU22はこのような制御を行う際、アクセルペダル30の踏込量を検出するアクセル開度センサ32や、車速センサ34及び回転数センサ36の検出結果に基づき、車両の走行に必要な要求トルクを演算する。そして、各ECUからの情報に基づき、そのときの車両の運転状態やエンジン2及び電動機6の運転状態に応じて、この要求トルクをエンジン2及び電動機6に配分し、エンジンECU24やインバータECU26に指示すると共に、必要に応じて変速機8やクラッチ4を制御する。
【0022】
このとき、電動機6のみにトルクを配分してエンジン2にはトルクを配分しない場合には、車両ECU22がクラッチ4を切断すると共に、インバータECU26に対して電動機6の出力トルクを要求トルクとするように指示する。
エンジンECU24はエンジン2をアイドル運転する一方、インバータECU26は、車両ECU22が指示したトルクに応じてインバータ20を制御し、バッテリ18の直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて電動機6に供給される。電動機6は交流電力が供給されることによってモータ作動して要求トルクを出力し、電動機6の出力トルクは変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0023】
また、エンジン2及び電動機6の両方にトルクを配分する場合には、車両ECU22がクラッチ4を接続し、エンジンECU24に対してエンジン2に配分された出力トルクを指示すると共に、インバータECU26に対して電動機6に配分された出力トルクを指示する。
エンジンECU24は車両ECU22が指示したトルクをエンジン2が出力するようエンジン2を制御すると共に、インバータECU26は、車両ECU22が指示したトルクに応じてインバータ20を制御することにより、エンジン2の出力トルクと電動機6のトルクとの合計が要求トルクとなり、変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0024】
一方、エンジン2のみにトルクを配分して電動機6にはトルクを配分しない場合は、車両ECU22がクラッチ4を接続状態とし、エンジンECU24に対してエンジン2の出力トルクを要求トルクとするよう指示すると共に、インバータECU26に対して電動機6の出力トルクを零とするように指示する。
エンジンECU24は車両ECU22が指示した要求トルクをエンジン2が出力するようエンジン2を制御すると共に、インバータECU26は、電動機6がモータ及び発電機のいずれとしても動作しないようインバータ20を制御することにより、エンジン2から出力された要求トルクが変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0025】
左右の駆動輪16には、ホイールシリンダ(図示せず)に油圧を供給する電磁弁(制動力保持装置)40がそれぞれ設けられており、この電磁弁40の電磁コイル(図示せず)が励磁されることによってホイールシリンダの油圧が保持され、駆動輪16への制動力が保持されるようになっている。なお、この電磁弁40は図示しない従動輪にも設けられており、同様に電磁コイルが励磁されたときに従動輪への制動力を保持するようになっている。
【0026】
これらの電磁弁40は、図2に示すように車両ECU22に接続されることによって作動が制御され、例えばブレーキペダル38が踏み込まれて車両が停止した場合に電磁弁40の電磁コイルが励磁されて制動力が保持され、パーキングブレーキ42が作動状態となった場合や、ブレーキペダル38の踏み込みが一旦解除された後に再び踏み込まれたりアクセルペダル30が踏み込まれたりした場合に電磁弁40の励磁が中止されて制動力の保持が解除されるようになっている。このような制動力保持の制御自体は公知のものと同様のものであるので、ここでは説明を省略する。
【0027】
ところで電動機6の回転軸はクラッチ4を介してエンジン2の出力軸と連結可能であることから、電動機6をモータ作動させることによりエンジン2を始動することができる。しかしながら、何らかの理由によりエンジン2の始動に必要なトルクを電動機6が出力できない場合を考慮し、エンジン2には電動機6とは別に始動モータ44を設けている。
この始動モータ44は、エンジン2のみを駆動源とした一般的な車両に設けられるエンジン始動用モータと同様のものであり詳細な説明は省略するが、エンジン2の出力軸端部に取り付けられたリングギヤ(図示せず)に係脱可能に噛合するピニオンギヤ(図示せず)を備え、リングギヤに噛合したピニオンギヤによりエンジン2の出力軸を駆動してエンジン2の始動を行えるようになっている。
【0028】
また、始動モータ44は、バッテリ18とは別に設けられ、車両ECU22が電磁弁40の電磁コイルを励磁する際に電力供給源として使用される電源バッテリ46から電力が供給されることにより作動するようになっている。なお、この電源バッテリ46は、始動モータ44への電力供給だけではなく、車両ECU22、インバータECU、バッテリECU28を初めとして、エンジン2やクラッチ4及び変速機8の運転制御に使用される各種デバイスやセンサなどにも電力を供給している。
【0029】
図2に示すように、始動モータ44は始動スイッチ48の接点とカットリレー50の接点50aとを介して電源バッテリ46に接続されており、カットリレー50の接点50aが閉じた状態で始動スイッチ48がエンジン始動位置に操作されて始動スイッチ48の接点が閉じると、電源バッテリ46の電力が始動モータ44に供給されてエンジン2のクランキングが行われるようになっている。
【0030】
カットリレー50の接点50aは常閉接点であり、電動機6によってエンジン2の始動を行う際に、始動モータ44が同時にエンジン2を始動することのないよう、カットリレー50の電磁コイル50bが車両ECU22からの制御信号によって励磁されることにより、接点50aを開いて電源バッテリ46から始動モータ44への電力供給を遮断するようにしている。
【0031】
またこれとは別に、始動モータ44は制御リレー52の接点52aを介して電源バッテリ46に接続されており、車両ECU22からの制御信号によって制御リレー52の励磁コイル52bが励磁されることにより、接点52aが閉じて電源バッテリ46から始動モータ44に電力供給が行われ、エンジン2のクランキングが行われるようになっている。
車両ECU22は、このような始動モータ44を用いたエンジン2の始動と、電動機6によるエンジン2の始動とを適宜切り換えて行うため、図3に示すフローチャートに従って始動制御を行う。
【0032】
この始動制御は、始動スイッチ48がエンジン始動位置に操作されたり、前述のアイドルストップ制御においてエンジン2の始動要求があった場合に開始されるようになっている。
始動制御が開始されると、まずステップS1で電動機6によってエンジン2を始動することができない状態(所定の異常状態)であるか否かを判定する(異常検出手段)。
【0033】
このステップS1では、電動機6によるエンジン2の始動ができない状態として、第1乃至第4の4つの状態を判定している。
第1の状態は、バッテリ18の出力可能電力に関するものである。バッテリ18は使用を重ねるに従って徐々に劣化し、出力可能な電力が次第に低下していく。そこで、車両ECU22は、バッテリECU28から送られてくるバッテリ18の電圧及び電流の検出結果からバッテリ18の内部抵抗を求め、この内部抵抗の変化からバッテリ18の劣化度合いを示す劣化係数を算出している。そして、バッテリ18が新品のときの出力可能電力にこの劣化係数を乗じることにより、現在のバッテリ18から出力可能な電力を求め、この電力を電動機6に供給したときに電動機6が出力可能なトルクを算出する。
【0034】
車両ECU22は、電動機6によりエンジン2を始動する際に必要な電動機6の出力トルクよりわずかに大きめに設定されたトルクを始動トルクとして予め記憶しており、電動機6が出力可能なトルクが始動トルク未満である場合には、電動機6によるエンジン2の始動ができない状態と判定する。
第2の状態は、エンジン2の温度に関するものである。寒冷地などでエンジン2の温度が大きく低下している場合には、エンジン2の潤滑油の粘度が増大することにより、エンジン2の始動に必要なトルクが増大する。このため、エンジン2の温度を検出するエンジン温度センサ50が検出したエンジン2の温度が所定温度未満となった場合には、電動機6によるエンジン2の始動ができない状態と判定する。
【0035】
第3の状態は、電動機6及びインバータ20の温度に関するものである。電動機6も寒冷地などで温度が大きく低下した場合には、電動機6の潤滑油の粘度が増大することによって、電動機6から出力可能なトルクが減少する。また、電動機6やインバータ20の温度が大きく上昇した場合にも、通常の出力トルクを発生することができなくなる。このため、インバータECU26から送られてくる電動機6やインバータ20の温度が所定範囲外となった場合には、電動機6によるエンジン2の始動が困難な状態と判定する。
【0036】
第4の状態は、電動機6、バッテリ18、インバータ20、バッテリECU28、或いはインバータECU26に故障が発生した場合であって、このよう場合には電動機6を正常に運転することができないため、電動機6によるエンジン2の始動ができない状態と判定する。
ステップS2でこれら4つの状態のいずれにも該当せず、電動機6によるエンジン2の始動ができない状態ではない、即ち電動機6によるエンジン2の始動が可能と判定するとステップS2に進み、車両ECU22は電動機6によりエンジン2の始動を行う。即ち、車両ECU22は変速機8がニュートラル位置となって電動機6と駆動輪16との機械的な接続が遮断されると共にクラッチ4が接続されているのを確認した後、インバータECU26に対してエンジン2の始動に必要な電動機6の出力トルクを指示すると共に、エンジンECU24にエンジン2を運転するよう指示する。
【0037】
インバータECU26は車両ECU22からの指示に基づき、電動機6をモータ作動させて車両ECU22から指示された出力トルクを発生させることによりエンジン2をクランキングし、エンジンECU24がエンジン2への燃料の供給を開始することによりエンジン2が始動し、始動制御が終了する。
このとき、エンジン2の始動要求が始動スイッチ48のエンジン始動位置への操作によるものである場合には、車両ECU22はカットリレー50の電磁コイル50bを励磁することにより接点50aを開き、始動モータ44に電源バッテリ46から電力が供給されないようにして、電動機6と始動モータ44とで同時にエンジン2を始動しないようにしている。
【0038】
一方、ステップS2で上記第1乃至第4の4つの状態のいずれかにあって電動機6によるエンジン2の始動ができない状態と判定した場合にはステップS3に進み、電磁弁40の電磁コイルが励磁されて電磁弁40が作動することにより制動力の保持が行われているか否かを判定する。
電磁弁40の作動により制動力を保持している場合には、始動モータ44によるエンジン2の始動を行うと電源バッテリ46の電圧が一時的に低下し、制動力の保持が解除されてしまう可能性があるため、ステップS4に進んで車室内のインストルメントパネル(図示せず)上に設けた警告灯(警報手段)54を点灯させ、電動機6によるエンジン2の始動が困難な状態にあると共に制動力を保持中であるために、始動モータ44によるエンジン2の始動ができない旨を警報表示する。
【0039】
次にステップS5に進むと、電磁弁40の作動による制動力の保持が解除されたか否かを判定し、電磁弁40の作動による制動力の保持が解除されていない場合にはステップS5の処理が繰り返されて待機状態となり、エンジン2の始動が保留される。
運転者は、警告灯54の点灯により、制動力を保持中であるために始動モータ44によるエンジン2の始動ができない状態にあることを容易に認識できるため、エンジン2の始動を可能とするべく制動力の保持を解除するための操作を行う。即ち、前述したように例えばパーキングブレーキ42を作動させることによって、電磁弁40の電磁コイルの励磁が中止されて電磁弁40の作動により制動力の保持が解除される。
【0040】
ステップS5では、この制動力保持の解除を受けて処理をステップS6に進め、始動モータ44によるエンジン2の始動を行う。具体的には、エンジンECU24にエンジン2を運転するよう指示すると共に、始動モータ44に電源バッテリ46から電力を供給することによりエンジン2のクランキングを行う。
なお、このときエンジン2の始動要求が始動スイッチ48の操作によるものである場合には、車両ECU22がカットリレー50の電磁コイル50bを励磁しないことにより接点50aが閉じると共に、始動スイッチ48がエンジン始動位置に操作されることによって始動スイッチ48の接点が閉じ、電源バッテリ46から始動モータ44に電力が供給されて始動モータ44が作動する。
【0041】
一方、エンジン2の始動要求がアイドルストップ制御によるものである場合には、車両ECU22が制御リレー52の電磁コイル52bを励磁することによって接点52aを閉じ、接点52aを介して電源バッテリ46の電力が始動モータ44に供給されることにより始動モータ44が作動する。
そして、エンジンECU24は車両ECU22の指示を受けてエンジン2への燃料の供給を開始することによりエンジン2が始動し、始動制御が終了する。
【0042】
また、ステップS3で電磁弁40が作動しておらず制動力の保持が行われていないと判定した場合には、始動モータ44の作動に伴う制動力保持の解除が生じることはないので直接ステップS6に進み、上述のようにして始動モータ44によるエンジン2の始動を行う。
このような始動制御を行うことにより、始動スイッチ48の操作やアイドルストップ制御によってエンジン2の始動要求があったときに、電動機6によってエンジン2を始動することができない状態にあると判定した場合には、電磁弁40の作動による制動力の保持が行われていないときに始動モータ44によってエンジン2を始動するようにしたので、始動モータ44が作動することによって電源バッテリ46の電圧が低下して電磁弁40の作動による制動力の保持が解除されるという問題の発生を防止することができる。
【0043】
また、始動スイッチ48の操作やアイドルストップ制御によってエンジン2の始動要求があったときに、電動機6によってエンジン2を始動することができない状態にあると共に電磁弁40の作動による制動力の保持が行われている場合には、警告灯54を点灯させるようにしたので、運転者は制動力を保持中であるために始動モータ44によるエンジン2の始動ができない状態にあることを容易に認識することができる。そして、この警告灯54の点灯に基づき、運転者が電磁弁40の作動による制動力の保持を解除する操作を行うことにより、始動モータ44によってエンジン2を確実に始動することが可能となる。
【0044】
なお、本実施形態では警告灯54を点灯させることにより、電動機6によってエンジン2を始動することができない状態にあると共に電磁弁40の作動による制動力の保持が行われているために、始動モータ44によるエンジン2の始動ができない状態にあることを警報表示するようにしたが、警報表示の方法はこれに限られるものではなく、音声などで行うようにしても良い。
【0045】
以上で本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態でアイドルストップ制御を行う前に、電動機6によりエンジン2を始動することができない状態にあることが判定された場合には、アイドルストップ制御を行わないようにしても良い。このようにすることにより、電動機6によりエンジン2を始動することができない状態にある場合には、始動スイッチ48をエンジン停止位置に操作しない限りはエンジン2が運転を継続する。
【0046】
このため、始動モータ44によるエンジン2の始動が必要となるのは、始動スイッチをエンジン始動位置に操作した場合のみとなり、エンジン2の始動の際に制動力の保持を解除しなければならなくなる頻度を減らすことができる。
また、上記実施形態では、電動機6をクラッチ4と変速機8との間に配置するようにしたが、電動機6の配置はこれに限られるものではなく、例えばエンジン2とクラッチ4との間に電動機6を配置したハイブリッド電気自動車などであってもよい。
【0047】
更に、上記実施形態では、電動機6によりエンジン2を始動することができない状態として4つの状態を判定するようにしたが、電動機6によりエンジン2を始動することができない状態はこれに限られるものではなく、バッテリ18のSOCが低下してエンジン2の始動に必要なトルクを電動機6が出力することができない場合や、車両ECU22とインバータECU26或いはバッテリECU28などとの間で情報のやりとりを行うことができない場合など、電動機6を正常に作動させることができない状態として想定されるものを判定するようにすれば良い。
【0048】
なお、上記実施形態ではエンジン2をディーゼルエンジンとしたが、エンジン形式はこれに限られるものではなく、ガソリンエンジンなどでも良い。
また、上記実施形態において、電動機6を永久磁石式同期電動機としたが電動機の形式もこれに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置の車両ECUを中心とした接続図である。
【図3】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置で行われる始動制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1 ハイブリッド電気自動車
2 エンジン
6 電動機
16 駆動輪
18 バッテリ
22 車両ECU(制御手段、異常検出手段)
40 電磁弁(制動力保持手段)
44 始動モータ
46 電源バッテリ(電源)
54 警告灯(警報手段)




 

 


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