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発明の名称 車両用扉装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−245959(P2007−245959A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−72962(P2006−72962)
出願日 平成18年3月16日(2006.3.16)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 梅田 宜英 / 松元 利秀 / 青木 幹雄
要約 課題
扉が開いたときに確実にかつ速やかに展開位置まで移動できる踏み台を有する車両用扉装置を提供する。

解決手段
この車両用扉装置は、ヒンジ15を中心に回動する扉13と、扉13の下方に設けられた踏み台32とを有している。踏み台32は、扉13の開放に連動して収納位置から車両外方向の展開位置に移動し、収納位置においてバンパー84の一部を構成する。この踏み台32は、ばねによって、車両外方向に向けて付勢されている。扉13の下端に係合部材90が設けられている。係合部材90は扉13から下方に延在し、踏み台32が前記収納位置にありかつ前記扉13が閉じた状態において、踏み台32の上部を車両内方向に向けて押圧する。係合部材90は、扉13の下部に固定される抑えプレート91と、抑えプレート91に取付けられた重ね板ばね92とを有し、重ね板ばね92を介して踏み台32を車両内方向に向けて押圧する。
特許請求の範囲
【請求項1】
車体に設けられたヒンジを中心に回動する扉と、
前記扉の下方に設けられ、前記扉の開放に連動して収納位置から車両外方向の展開位置に移動可能で該車両のバンパーの一部をなす踏み台と、
前記踏み台を車両外方向に向けて付勢する弾性部材と、
前記扉の下端から下方に延在し、前記踏み台が前記収納位置にありかつ前記扉が閉じた状態において前記踏み台の上部の受け部を車両内方向に向けて押圧する係合部材と、
を具備したことを特徴とする車両用扉装置。
【請求項2】
前記扉は、アウタパネルと、外周部が前記アウタパネルに接合されかつ車室内側に膨出する膨出部を有するインナパネルとによって構成され、前記係合部材が前記インナパネルの前記膨出部の下部の底壁に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用扉装置。
【請求項3】
前記係合部材は、前記扉の下部に固定される抑えプレートと、該抑えプレートの車室内側の面で前記踏み台の前記受け部に対向する部位に取付けられた弾性部材と、を有することを特徴する請求項1または2に記載の車両用扉装置。
【請求項4】
前記弾性部材は、帯状で互いに長さの異なる複数枚の板ばね部材を含み、一番長い板ばね部材が前記踏み台の前記受け部に当接し、該受け部から前記抑えプレートに向って順次短い板ばね部材を厚み方向に重ねて構成される重ね板ばねであることを特徴とする請求項3に記載の車両用扉装置。
【請求項5】
前記踏み台の前記受け部に、前記板ばね部材と接する部位を覆うカバープレートが配置され、該カバープレートには前記受け部の端縁を覆うべくカールした形状の縁部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用扉装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバス等の車両の非常扉に適したステップ装置を有する車両用扉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バス等の車両の非常口に非常扉が設けられている。地上から非常口の床面までの高さが比較的高い場合に、乗員の降車を補助するためにステップ装置を設けることが望まれている。
【0003】
例えば下記特許文献1に記載されている車両用非常ドア装置では、非常ドアの内側にステップを上下方向に回動可能に配置し、非常ドアを開けたときにステップが回動降下するように構成されている。
【0004】
また特許文献2に記載されている非常扉装置は、非常扉の下方に上下方向に回動可能な上部扉を設け、この上部扉をロック機構によって収納位置に保持し、非常扉を開放した時に前記ロック機構がロック解除されることにより、上部扉が展開位置まで回動降下するように構成されている。
【特許文献1】実公平4−2814号公報
【特許文献2】実開平6−36927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1の非常ドア装置では、非常時以外は上下のステップを非常ドアによって覆う必要があるため、非常ドアの上下方向の寸法が大きくなる。また、非常ドアを閉めた状態においてステップが非常ドアによって収納位置に押圧されるため、ステップから受ける反力が大きいと非常ドアのヒンジ部などに過剰な負荷がかかる。このためヒンジ部に不具合が生じたり、非常ドアが開きにくくなったりする懸念がある。
【0006】
前記特許文献2の非常扉装置は、非常扉が開放されたときにロックピンを移動させ、該ロックピンの移動に応じて回動部材を回動させ、さらにロッド等の力伝達機構を介して、ロック機構をロック解除方向に動作させている。このため非常扉の開放動作をロック機構に伝えるための力の伝達経路が複雑で部品数も多くなり、その分、故障の原因となる箇所が増える。
【0007】
したがって本発明の目的は、踏み台がバンパーの一部をなすことができ、扉が開いたときに踏み台が展開位置に向って確実に移動でき、しかも扉のヒンジ部や踏み台等に過剰な負荷がかかることを防止できる車両用扉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用扉装置は、車体に設けられたヒンジを中心に回動する扉と、前記扉の下方に設けられ、前記扉の開放に連動して収納位置から車両外方向の展開位置に移動可能で該車両のバンパーの一部をなす踏み台と、前記踏み台を車両外方向に向けて付勢する弾性部材と、前記扉の下端から下方に延在し、前記踏み台が前記収納位置にありかつ前記扉が閉じた状態において前記踏み台の上部の受け部を車両内方向に向けて押圧する係合部材とを具備している
本発明の好ましい形態では、前記扉は、アウタパネルと、外周部が前記アウタパネルに接合されかつ車室内側に膨出する膨出部を有するインナパネルとによって構成され、前記係合部材が前記インナパネルの前記膨出部の下部の底壁に固定されている。
【0009】
前記係合部材は、例えば、前記扉の下部に固定される抑えプレートと、該抑えプレートの車室内側の面で前記踏み台の前記受け部に対向する部位に取付けられた弾性部材とを有している。
【0010】
この弾性部材の一例は、帯状で互いに長さの異なる複数枚の板ばね部材を含み、これら板ばね部材のうち一番長い板ばね部材が前記踏み台の前記受け部に当接し、該受け部から前記抑えプレートに向って順次短い板ばね部材を厚み方向に重ねて構成される重ね板ばねである。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記踏み台の前記受け部に、前記板ばね部材と接する部位を覆うカバープレートが配置され、該カバープレートには前記受け部の端縁を覆うべくカールした形状の縁部が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記扉が閉位置にあるとき、すなわち前記踏み台の収納時に踏み台がバンパーの一部をなすため、踏み台を有していても収納時の外観が悪くならない。また前記扉が開いたときに扉側の係合部材が踏み台の受け部から離れることにより、弾性部材の弾力によって踏み台が展開位置まで移動することができる。本発明の扉装置は、扉が開かないと踏み台が展開位置まで移動しないので、走行中あるいは停車中において何らかの原因により踏み台が出ることが無く安全である。
【0013】
扉がアウタパネルとインナパネルとによって構成されている場合、該インナパネルの膨出部の下部の底壁は剛性の高い部位であるため、この部位に前記係合部材を固定すれば、係合部材が踏み台から受ける反力が大きくても、扉が変形したり係合部材の位置がずれたりすることを回避できる。
【0014】
前記係合部材が、抑えプレートと弾性部材とを有する構成であれば、扉を閉める際に車体側のウエザストリップが扉によって必要以上に圧縮されても、前記弾性部材が撓むことにより、踏み台からの反力を吸収することができ、扉や係合部材が変形したり損傷したりすることを回避できる。
【0015】
前記弾性部材が帯状で互いに長さの異なる複数枚の板ばね部材を含み、これら板ばね部材のうち一番長い板ばね部材が前記踏み台の前記受け部に当接し、該受け部から前記抑えプレートに向って順次短い板ばね部材を厚み方向に重ねた重ね板ばねであれば、各板ばね部材に応力が分散され、各板ばね部材に作用する応力を小さくすることができるので、板ばね部材への繰返し荷重に対する耐久性が向上する。このような重ね板ばねであれば、板間摩擦による振動減衰効果も期待でき、走行時の振動によって踏み台がばたつくことを抑制できる。また、扉を閉める際に車体側のウエザストリップが扉によって必要以上に圧縮されても、これら板ばね部材が撓むことができるため、踏み台からの反力を十分吸収することができ、扉や係合部材が変形したり損傷したりすることを回避できる。
【0016】
踏み台の受け部に、前記板ばね部材と接する部位を覆うカバープレートが配置され、該カバープレートには前記受け部の端縁を覆うべくカールした形状の縁部が形成されている構成であれば、扉が開く際に前記板ばね部材の頂部等によって踏み台が傷付いたり、錆びが出たりすることを防止でき、踏み台の外観を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態に係る車両用扉装置について、図1〜図10を参照して説明する。
図1はバス等の車両10の後部を示している。この車両10の車体11の後部に非常扉12が設けられている。図1は非常扉12を閉じた状態(閉扉状態)、図2は非常扉12を開けた状態(開扉状態)を示している。
【0018】
非常扉12は左右一対の扉13,14を有している。第1の扉13は、車体11の背面の左側に設けられたヒンジ15の垂直方向の軸を中心に、閉位置と開位置にわたり左右方向に回動可能に支持されている。この第1の扉13は、第2の扉14よりも先に開く「先びらき扉」である。第2の扉14は、車体11の背面の右側に設けられたヒンジ16の垂直方向の軸を中心に、閉位置と開位置とにわたり左右方向に回動可能に支持されている。第2の扉14は、第1の扉13に続いて開く「後びらき扉」である。
【0019】
前記扉13,14を開位置に移動させた状態において、図2に示されるように車体11の背面に非常口20が開口する。非常口20の下部に、車体11の床の後端部を構成する車体部材21が車体11の幅方向に延びている。非常口20の開口の周りには、扉13,14を閉めたときに扉13,14が当る部分に、ゴム状弾性材料からなるウエザストリップ22(図4と図5に示す)が設けられている。
【0020】
非常口20の下方に、ステップ装置30が設けられている。このステップ装置30と非常扉12とによって、本発明に係る車両用扉装置が構成されている。
図3に拡大して示すように、ステップ装置30は、以下に説明する支持構体31と、踏み台32と、弾性部材の一例であるねじりコイルばね33などを備えている。図4は踏み台32が収納位置にある状態を示し、図5は踏み台32が展開位置まで移動した状態を示している。
【0021】
支持構体31は、左右一対のブラケット部材40,41と、これらブラケット部材40,41を互いに連結する連結部材42を有している。ブラケット部材40,41は、車体11の下部構造を構成する車体フレーム43に固定される。この車体フレーム43は、車体11の幅方向に延びている。
【0022】
ブラケット部材40,41は、それぞれ、車体フレーム43に固定される基部45と、基部45から車体後方に突き出る一対の腕部46と、腕部46の下部に設けられた下部壁47と、腕部46の先端から下方に延びる縦壁部48と有し、一対の縦壁部48間に、水平方向に延びる軸部50が設けられている。ブラケット部材40,41どうしが剛性の高い連結部材42によって結合されているため、この支持構体31の剛性は大きく、従って左右一対の軸部50の回転中心X(図3に示す)が互いにずれることを防止できる。
【0023】
踏み台32は、人の足が乗る踏み面として機能するプレート部材60と、プレート部材60の両側部に設けられた可動フレーム61,62と、プレート部材60を補強するために可動フレーム61,62間に設けられた補強部材63(図4と図5に示す)と、プレート部材60の裏面側に配置された外装板64などによって構成されている。図5においてプレート部材60の上面側が踏み面である。プレート部材60の踏み面には、滑り止め手段として例えば多数の凸条からなる滑り止め部65(図3に示す)が形成されている。
【0024】
プレート部材60と、可動フレーム61,62と、補強部材63が互いに溶接等によって結合されることにより、剛性の高い踏み台32が構成されている。可動フレーム61,62は、軸部50を中心として、図4に示す収納位置から図5に示す展開位置に向って上下方向に回動することできる。図4に示すように踏み台32が収納位置にあるとき、踏み台32の重心G(図4に示す)は、軸部50の回転中心Xに対して車両外方向に距離Lだけオフセットした位置にある。このため踏み台32の重量(自重)は、常に踏み台32を展開位置に向って回動降下させる方向に働くことになる。
【0025】
踏み台32は、軸部50に巻装されたねじりコイルばね33によって、図5に示す展開位置、すなわち踏み台32を回動降下させる方向に常時付勢されている。ねじりコイルばね33の一端33aは支持構体31に係止され、他端33bが踏み台32に係止されている。このねじりコイルばね33は、踏み台32が展開位置まで移動した状態においても、なお踏み台32を下方に付勢するように、ねじりトルクを蓄えた状態で軸部50に巻装されている。
【0026】
踏み台32が図4に示す収納位置にあるとき、ねじりコイルばね33の反発荷重は、踏み台32が図5に示す展開位置にあるときよりも増加する。このため踏み台32が収納位置にあるとき、踏み台32を強制的に回動降下させるに足るエネルギーが蓄えられる。しかも踏み台32が展開位置まで回動しても、ねじりコイルばね33の反発荷重(ねじりトルク)によって踏み台32は下方に付勢されることになる。なお、ねじりコイルばね33は左右一対の軸部50の一方のみに設けられていてもよい。
【0027】
図4に示すように、車体部材21の後面に収納時ストッパ66が設けられている。収納時ストッパ66は例えばゴムなどの弾性部材を有し、踏み台32が図4に示す収納位置まで立ち上がった状態において、プレート部材60の上端部が当接することにより、踏み台32がそれ以上回動することを阻止する機能を果たす。
【0028】
このステップ装置30は、踏み台32が図5に示す展開位置まで移動したときにプレート部材60をほぼ水平な姿勢に保持するためのストッパ手段70を備えている。ストッパ手段70は、踏み台32の可動フレーム61,62の一部を軸部50に対してプレート部材60の反対側に延在させた延出部72と、延出部72に取付けたゴム等の弾性材料からなる緩衝部材73と、踏み台32が展開位置まで回動降下した状態において前記緩衝部材73に当接する支持面74などからなる。
【0029】
前記支持面74は、支持構体31の一部である下部壁47の下面側に形成されている。踏み台32が展開位置まで回動降下すると、延出部72が緩衝部材73を介して支持面74に下側から当接することにより、踏み面すなわちプレート部材60の上面がほぼ水平な姿勢に保たれるようになっている。
【0030】
前記車体部材21に、インターロック手段の一部を構成するスイッチ80が取付けられている。このスイッチ80は、例えばソレノイド等のアクチュエータ81に電気的に接続されている。踏み台32が図4に示す収納位置にあるとき、踏み台32に設けられている当接部材82(図3に示す)がスイッチ80に当たることにより、スイッチ80が第1の状態となる。踏み台32が図5に示す展開位置の方向に移動すると、当接部材82がスイッチ80から離れることにより、スイッチ80が第2の状態に切換わる。
【0031】
スイッチ80が前記第1の状態のとき、すなわち踏み台32が収納位置にあるとき、アクチュエータ81は作動せず、車両10の走行が可能である。スイッチ80が前記第2の状態に切換わると、アクチュエータ81が作動し、例えばアクセルペダルの操作が阻止されることにより、車両10の走行が抑制される。これらスイッチ80とアクチュエータ81は、踏み台32が展開位置方向に移動したときに車両10の走行を抑制するインターロック手段を構成している。
【0032】
前記ステップ装置30は、車体11の後部のバンパー装着部に配置され、踏み台32の外装板64によってバンパー84の一部が構成されるようになっている。すなわち、車体11の後部のバンパー装着部に左右一対のバンパー部材85,86が設けられ、これらバンパー部材85,86の間に、ステップ装置30が配置されている。踏み台32の外装板64は、踏み台32が図4に示す収納位置にあるときに、バンパー部材85,86に沿う形状である。この踏み台32の外装板64とバンパー部材85,86とによって、車両10の後部のバンパー84が構成されている。
【0033】
非常扉12の左右一対の扉13,14のうち、先に開く方の第1の扉13の下部に、図4〜図10に示す係合部材90が設けられている。係合部材90は、金属製の抑えプレート91と、抑えプレート91に設けた弾性部材の一例である重ね板ばね92などからなる。抑えプレート91は第1の扉13の下部にボルト93によって固定されている。重ね板ばね92の詳細については後で述べる。
【0034】
図6に示されるように抑えプレート91は、第1の扉13に固定される基部91aと、基部91aから下方に延びる縦壁91bとを有し、縦壁91bに重ね板ばね92が取付られている。抑えプレート91の基部91aは、第1の扉13の下部のうち、下記の強度が高い部分にボルト93によって固定されている。
【0035】
扉13は、インナパネル13aとアウタパネル13bとの外周部を互いに重ね合わせて溶接等によって接合することによって構成され、しかもインナパネル13aにはプレス成形によって車室内側に膨出する膨出部13cが形成されている。このため、インナパネル13aの下部付近の膨出部13cのコーナー部分(縦壁13dと底壁13eが交わる箇所付近)は、特に強度が高い箇所である。この膨出部13cのコーナー部分の底壁13eに、抑えプレート91がボルト93によって固定されている。
【0036】
このように係合部材90を扉13の剛性の大きい部分、すなわちインナパネル13aの膨出部13cの底壁13eに固定したことにより、係合部材90が踏み台32から受ける反力が大きくても、扉13や抑えプレート91が変形したり、係合部材90の位置がずれたりすることを回避できるものである。
【0037】
弾性部材の一例である重ね板ばね92は、一方の端部である固定側端部92aが、ボルト94とナット94aによって、抑えプレート91の車室内側の面で踏み台32の受け部60aに対向する部位に取付けられ、いわゆる片持はり形の板ばね装置を構成している。受け部60aは、下記のカバープレート101によって覆われている。
【0038】
図9に示すように、重ね板ばね92は、ばね製を有するステンレス鋼などの錆びにくい材料からなる複数枚の帯状の板ばね部材96a〜96gと、板ばね部材96a〜96gの固定側端部92aを挟む一対のクランプ板95,97を含んでいる。板ばね部材96a〜96gは互いに長さが異なり、かつ、無荷重状態で円弧状に湾曲する形状に成形されている。各板ばね部材96a〜96gの先端部を抑えプレート91側に折曲げることにより、各板ばね部材96a〜96gの先端部に円弧状の曲げ部98すなわちR部が形成されている。このR部により、板ばね部材96a〜96gが撓んで板ばね部材96a〜96gが長さ方向に摺動しても、互いに重なり合うそれぞれの板ばねの表面が削れることを防止できる。
【0039】
図10に示すように、一番長い板ばね部材96aの曲げ部98の円弧状の頂部99が、踏み台32の受け部60aのカバープレート101に当接する。この一番長い板ばね部材96aを受け部60aのカバープレート101に対向させ、カバープレート101側から抑えプレート91に向って順次短い板ばね部材96b〜96gを重ねることにより、重ね板ばね92が構成されている。
【0040】
この重ね板ばね92が厚み方向に撓むと、一番長い板ばね部材96aの曲げ部98の円弧状の頂部99が、受け部60aのカバープレート101に対して矢印Z方向(図10に示す)に相対的に移動することになる。扉13が閉じた状態において、一番長い板ばね部材96aの曲げ部98の頂部99によって、受け部60aのカバープレート101が車両内方向に向けて押圧される。
【0041】
踏み台32の外装板64の端部、すなわち受け部60aと対応した位置に、前記抑えプレート91と重ね板ばね92が入り込むことのできる凹部100が形成されている。この凹部100に、ステンレス鋼板などの錆びにくい金属からなる前記カバープレート101が設けられている。このカバープレート101によって、プレート部材60の受け部60aが覆われている。
【0042】
しかもカバープレート101の縁部101a(図4,図5,図7に示す)は、踏み台32が展開方向に移動する際に、図7に示すように重ね板ばね92の頂部99の下端縁110がプレート部材60の縁60bに直接接触することを防ぐために、プレート部材60の縁60bを覆うようにカールした(湾曲した)形状に成形されている。
【0043】
踏み台32が図4に示す収納位置にあり、かつ、扉13が閉じた状態において、抑えプレート91が、前記重ね板ばね92を介して、踏み台32の上部の受け部60aをカバープレート101を介して車両内方側に押圧することにより、踏み台32が収納位置に保持される。つまり、踏み台32が収納位置にあり、扉13が閉じた状態のときに、重ね板ばね92が弾性変形することにより、踏み台32が車両内方側に向けて付勢される。
【0044】
弾性部材として機能する重ね板ばね92は、取付部の隙間(抑えプレート91の縦壁91bからプレート部材60の受け部60aまでの距離)が同じである場合、圧縮コイルばね等と比較して、板厚だけなので弾性変形可能な撓み量を大きくすることが可能である。このためプレート部材60や抑えプレート91等の周辺部材の変形や破損を防止する上で有利である。
【0045】
前記したように、係合部材90に重ね板ばね92を設けたことにより、扉13を閉める際にウエザストリップ22が扉13によって必要以上に圧縮されても、重ね板ばね92の各板ばね部材96a〜96gが扉13を閉める方向に十分撓むことができるため、踏み台32から受ける反力を十分吸収することができ、扉13や係合部材90が変形したり損傷することを回避できる。
【0046】
以下に、本実施形態のステップ装置30の作用について説明する。
図4に示すように踏み台32が収納位置にあり、第1の扉13が閉じているときには、係合部材90の抑えプレート91が重ね板ばね92を介してプレート部材60の受け部60aに係合し、踏み台32を車両内方側に押している。この収納位置では、プレート部材60の上部が収納時ストッパ66に当接することができる。軸部50に設けられたねじりコイルばね33は、踏み台32を展開位置に向けて付勢する。しかも重ね板ばね92が踏み台32を車両内方側に押圧している。このことにより、踏み台32が収納位置に保持され、がたつくことが抑制される。
【0047】
非常扉12を開放する場合、まず第1の扉13を開ける。図7は、第1の扉13が開放される途中において、踏み台32と係合部材90との係合が外れる直前の状態を示している。図7中の矢印A1は扉13が開く方向を示し、矢印B1は踏み台32が回動降下する方向を示している。踏み台32は、前記ねじりコイルばね33の弾力によって矢印B1方向に回動する。
【0048】
第1の扉13が矢印A1方向に移動することに伴い、係合部材90も矢印A1方向に移動する。このため係合部材90の重ね板ばね92の頂部99が、踏み台32の受け部60aのカバープレート101に接しながら、踏み台32が矢印B1方向に倒れてゆく。踏み台32が矢印B1方向に移動するにつれて、重ね板ばね92とカバープレート101との接触箇所が次第に下方に移動し、ついには図7に示すように重ね板ばね92の頂部99の下端縁110がカバープレート101の縁部101aに接した状態となり、その直後に、重ね板ばね92とカバープレート101との係合が外れる。こうして係合部材90が踏み台32から外れると、踏み台32が一気に展開位置まで回動降下することになる。
【0049】
この実施形態の踏み台32の受け部60aにはカバープレート101が配置され、このカバープレート101のカールした形状の縁部101aによってプレート部材60の縁60bが覆われているため、扉13が開く際に、踏み台32のプレート部材60が重ね板ばね92の頂部99と接触することによってプレート部材60が傷付いたり、錆びが出たりすることを防止でき、踏み台32の外観を良好に保つことができる。
【0050】
また、重ね板ばね92の頂部99に曲げ部98によるR部が形成されているので、カバープレート101の縁部101aと重ね板ばね92との接触部に鋭いエッジ部が存在しない。このためカバープレート101が重ね板ばね92と接することによって傷付くことが防止される。
【0051】
図5は、第1の扉13が矢印A方向に移動し、踏み台32が軸部50を中心として矢印B方向に移動して展開位置に至った状態を示している。第1の扉13が矢印A方向に移動すると、係合部材90がプレート部材60の受け部60aから車両外方側に離れ、受け部60aとの係合が外れるため、ねじりコイルばね33の弾力によって、踏み台32が矢印Bで示す展開方向に瞬時に回動降下する。踏み台32が展開位置に達すると、ストッパ手段70をなす可動フレーム61,62の延出部72が、支持構体31の一部(下部壁47の下面の支持面74)に当接することにより、プレート部材60がほぼ水平な状態に保持される。
【0052】
前記ねじりコイルばね33は、踏み台32が展開位置まで移動した状態においても、踏み台32を下方に付勢している。このため、非常口20から降りる乗客がプレート部材60上に乗ったのち、乗員の足が着地のためにプレート部材60から離れても、その際の反力によって踏み台32が跳ね上がることを抑制できる。
【0053】
踏み台32を元の収納位置に戻すには、第2の扉14を閉め、さらに踏み台32を収納位置まで手で回動上昇させる。この状態を保ったまま、第1の扉13を閉めると、係合部材90の抑えプレート91が、重ね板ばね92を介して、踏み台32のプレート部材60を車両内方側に押圧する。この状態から第1および第2の扉13,14を周知の扉ロック装置(図示せず)によって施錠すれば、踏み台32が収納位置に保持される。この収納位置では、ねじりコイルばね33の反発荷重によって踏み台32が車両外方に付勢され続ける。
【0054】
扉13が閉鎖される際、扉13が車両内方向に押されることにより、ウエザストリップ22(図4に示す)が圧縮されて撓む。このため扉13はウエザストリップ22の撓みしろに相当する分だけ、図10に矢印A2で示す方向に押し込まれる(オーバーランする)ため、相対的に受け部60aが図10に2点鎖線P1で示す位置まで移動する。このとき重ね板ばね92の頂部99が矢印Z1方向に移動しながら、各板ばね部材96a〜96gが板厚方向に撓む。
【0055】
このことにより扉13の前記オーバーランが吸収され、係合部材90から受ける反力が緩和される。このため、扉13やヒンジ15あるいは係合部材90に過剰な負荷がかかることを回避でき、破損や変形を防止できる。この扉13は、ウエザストリップ22の弾力によって押し返されるため、相対的に受け部60aが図10に2点鎖線P2で示す位置に戻り、この位置にて周知の扉ロック装置によって保持される。
【0056】
また、重ね板ばね92の頂部99に円弧状の曲げ部98が形成されているので、鋭いエッジ部がなく、このため頂部99が前述の矢印Z1方向に移動しても、プレート部材60の表面が削れることがない。
【0057】
本実施形態のステップ装置30によれば、扉13が閉位置にあるとき、すなわち踏み台32の収納時に踏み台32がバンパー84の一部をなすため、踏み台32を有していても収納時の外観が悪くならない。
【0058】
また踏み台32の収納時に、ねじりコイルばね33の弾力と重ね板ばね92の弾力に応じて踏み台32が保持されるため、車両10の走行中に踏み台32ががたつくことが抑制される。しかも非常扉12を開ける際には、先に開く第1の扉13が開いた瞬間に、ねじりコイルばね33の弾力と踏み台32の自重によって、踏み台32が速やかに展開位置まで移動し、踏み台32のプレート部材60を瞬時に使用可能な水平状態にすることができる。
【0059】
そしてこの踏み台32は、展開位置においても、ねじりコイルばね33の反発荷重によって下方に付勢され続けるため、踏み台32が展開位置から跳ね上がることを抑制することができ、より安全に使用することができる。また、インターロック手段として機能するスイッチ80が組込まれていることにより、非常扉12を使用しているときに車両10が走行することを抑制でき、安全性をさらに高めることができる。
【0060】
以上説明した車両用扉装置によれば、扉13が開かない限り、踏み台32が展開位置まで移動することがないので、走行中あるいは停車中において何らかの原因により踏み台32が出ることが無く安全である。
【0061】
また弾性部材として複数枚の板ばね部材96a〜96gからなる重ね板ばね92を使用し、一番長い板ばね部材96aを踏み台32の受け部60aのカバープレート101に当接させ、抑えプレート91に向って順次短い板ばね部材96b〜96gを厚み方向に重ねているため、各板ばね部材96a〜96gに作用する応力を小さくすることができ、板ばね部材96a〜96gへの繰返し荷重に対する耐久性が向上する。このような重ね板ばね92であれば、板間摩擦による振動減衰効果も期待でき、走行時の振動によって踏み台32がばたつくことを抑制できる。
【0062】
なお本発明の車両用扉装置は、両開き式の扉に限らず、片開きの扉にも適用できるし、非常口以外の乗降口に使用することもできる。また本発明を実施するに当たって、バンパー部材、扉、踏み台、弾性部材、係合部材をはじめとして、本発明の構成要素を適宜に変形して実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る扉装置を装備した車両の後部の斜視図。
【図2】図1に示された扉装置の扉を開けた状態を車体の後部側から見た斜視図。
【図3】図1に示された扉装置の踏み台が展開位置に移動した状態の斜視図。
【図4】図1中のF4−F4線に沿うステップ装置の断面図。
【図5】図4に示されたステップ装置の踏み台が展開位置に移動した状態の断面図。
【図6】図1に示された車両の扉が開放された状態で、扉の一部を車内側から見た斜視図。
【図7】図6に示された扉が開放される途中の扉と踏み台の一部を示す斜視図。
【図8】図4に示された扉と踏み台の一部を拡大して示す断面図。
【図9】図6中のF9−F9線に沿う係合部材の断面図。
【図10】図9に示された係合部材の重ね板ばねが踏み台に当接した状態の断面図。
【符号の説明】
【0064】
10…車両
13,14…扉
13a…インナパネル
13b…アウタパネル
13c…膨出部
13e…底壁
30…ステップ装置
32…踏み台
33…ねじりコイルばね(弾性部材)
60a…受け部
84…バンパー
85,86…バンパー部材
90…係合部材
91…抑えプレート
92…重ね板ばね(弾性部材)
96a〜96g…板ばね部材
101…カバープレート




 

 


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