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ハイブリッド電気自動車の制御装置 - 三菱ふそうトラック・バス株式会社
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発明の名称 ハイブリッド電気自動車の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−237774(P2007−237774A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2006−59386(P2006−59386)
出願日 平成18年3月6日(2006.3.6)
代理人 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
発明者 緒方 誠
要約 課題
始動スイッチをオンとしてから直ちに始動位置としても迅速にエンジンを始動できるようにしたハイブリッド電気自動車の制御装置を提供する。

解決手段
電動機6の駆動力が車両の駆動輪16に伝達可能であると共に、電動機6の回転軸とエンジン2の出力軸とが連結可能であって、始動スイッチ38が第1位置から第2位置に切り換えられたときにバッテリ18から電力制御手段20への電力供給を開始させ、始動スイッチ38が第2位置から第3位置に切り換えられたときに電力制御手段20が電動機6への電力供給制御を実行可能な状態にある場合には、電動機6によりエンジン2を始動する一方、始動スイッチ38が第2位置から第3位置に切り換えられたときに電力制御手段20が電力供給制御を実行可能な状態にない場合には、始動モータ56によりエンジン2を始動する。
特許請求の範囲
【請求項1】
電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、
上記電動機に供給される電力を蓄えるバッテリと、
上記バッテリからの電力を受けて上記電動機への電力供給制御を行う電力制御手段と、
上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあるか否かを判定する制御判定手段と、
上記電動機とは別に設けられ、上記エンジンの出力軸に駆動力を伝達して上記エンジンを始動可能な始動モータと、
第1位置、第2位置及び第3位置の3つの位置に切り換え操作可能な始動スイッチと、
上記始動スイッチが上記第1位置から上記第2位置に切り換えられたときに上記バッテリから上記電力制御手段への電力供給を開始させ、上記始動スイッチが上記第2位置から上記第3位置に切り換えられたときに上記電力制御手段は上記電力供給制御を実行可能な状態にあると上記制御判定手段が判定した場合には、上記電力制御手段に上記電力供給制御を実行させて上記電動機により上記エンジンを始動する一方、上記始動スイッチが上記第2位置から上記第3位置に切り換えられたときに上記電力制御手段は上記電力供給制御を実行可能な状態にないと上記制御判定手段が判定した場合には、上記始動モータにより上記エンジンを始動する制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項2】
上記電力制御手段は、上記バッテリから上記電動機に供給される電力を調整するインバータ回路と、上記バッテリと上記インバータ回路とを接続する接続手段とを備え、
上記制御手段は、上記始動スイッチが上記第1位置から上記第2位置に切り換えられたときに上記接続手段に上記バッテリと上記インバータ回路との接続を開始させ、
上記制御判定手段は、上記接続手段によって上記バッテリと上記インバータ回路との接続が完了したときに、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項3】
上記接続手段は、上記バッテリを上記インバータ回路に接続したときに流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路を備え、
上記制御判定手段は、上記突入電流抑制回路による上記突入電流の抑制が終了したときに、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあると判定することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項4】
上記制御判定手段の判定結果に基づき、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能であるか否かを表示又は報知する確認手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド電気自動車の制御装置に関し、特に電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンと電動機とを車両に搭載し、エンジンの駆動力と電動機の駆動力とをそれぞれ車両の駆動輪に伝達可能とした、いわゆるパラレル型ハイブリッド電気自動車が開発され実用化されている。
このようなハイブリッド電気自動車では、エンジンの出力軸と電動機の回転軸とを連結可能であるため、モータ作動させた電動機の駆動力を利用してエンジンを始動することが可能である。
【0003】
このように電動機の駆動力を利用してエンジンを始動するようにしたハイブリッド電気自動車は、例えば特許文献1によって提案されている。
特許文献1のハイブリッド電気自動車では、エンジンを停止して電動機のみで車両の駆動を行っているときに車両の急加速などで大きな駆動力が必要になると、電動機により自動的にエンジンを始動してエンジンからも駆動力を供給する。このとき、バッテリの電圧が設定値以下に低下している場合や、エンジンのクランキング信号が検出されない場合には、電動機によるエンジンの始動が不可能であるため、電動機に代えて始動モータによりエンジンを始動するようにしている。
【0004】
また、特許文献2でも電動機の駆動力を利用してエンジンを始動するようにしたハイブリッド電気自動車が提案されている。
特許文献2のハイブリッド電気自動車も、特許文献1のハイブリッド電気自動車と同様に、エンジンを停止して電動機のみで車両の駆動を行っているときに車両の急加速などで大きな駆動力が必要になると、電動機によりエンジンを自動的に始動してエンジンからも駆動力を供給する。このとき、必要とされるトルクが判定値より大きい場合には、電動機でエンジンを始動することによって車両の駆動以外に電動機の駆動力が使用され、駆動トルクが不足する可能性があることから、電動機に代えて始動モータによりエンジンを始動するようにしている。
【特許文献1】特開2000−64873号公報
【特許文献2】特開2004−339943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、電動機の駆動力により車両の駆動を行っているときにエンジンを車両の運転状態に応じて自動的に始動する際の問題点を解決する手法は種々提案されているが、これらの手法は運転者が始動スイッチを操作してエンジンを始動する場合の問題点について考慮したものではない。
即ち、ハイブリッド電気自動車においては、運転者が始動スイッチをオンにすると電動機への電力供給を制御するインバータにバッテリが接続され、その後に運転者が始動スイッチを始動位置にするとインバータからバッテリの電力が電動機に供給されてエンジンが始動するようになっている。
【0006】
ところが、バッテリの電圧は一般的に高電圧であり、バッテリをインバータに接続する際に大きな突入電流が流れるため、これを抑制するための回路が設けられている。この突入電流抑制回路が作動している間は、突入電流抑制回路の電圧降下によりインバータに印加される電圧が低下するため、突入電流抑制回路の作動が完了してからでないと電動機を作動させてエンジンを始動することができない。
【0007】
このため、運転者が始動スイッチをオンとした後すぐに始動位置にすると、突入電流抑制回路の作動が完了するまで電動機が作動せず、時間をおいてから電動機が作動してエンジンが始動するため、運転者が故障と誤解したり操作フィーリングが低下したりするおそれがある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、始動スイッチをオンとしてから直ちに始動位置としても迅速にエンジンを始動できるようにしたハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置は、電動機の駆動力が車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記電動機の回転軸とエンジンの出力軸とが連結可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記電動機に供給される電力を蓄えるバッテリと、上記バッテリからの電力を受けて上記電動機への電力供給制御を行う電力制御手段と、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあるか否かを判定する制御判定手段と、上記電動機とは別に設けられ、上記エンジンの出力軸に駆動力を伝達して上記エンジンを始動可能な始動モータと、第1位置、第2位置及び第3位置の3つの位置に切り換え操作可能な始動スイッチと、上記始動スイッチが上記第1位置から上記第2位置に切り換えられたときに上記バッテリから上記電力制御手段への電力供給を開始させ、上記始動スイッチが上記第2位置から上記第3位置に切り換えられたときに上記電力制御手段は上記電力供給制御を実行可能な状態にあると上記制御判定手段が判定した場合には、上記電力制御手段に上記電力供給制御を実行させて上記電動機により上記エンジンを始動する一方、上記始動スイッチが上記第2位置から上記第3位置に切り換えられたときに上記電力制御手段は上記電力供給制御を実行可能な状態にないと上記制御判定手段が判定した場合には、上記始動モータにより上記エンジンを始動する制御手段とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、始動スイッチが第1位置から第2位置に切り換えられると、制御手段がバッテリから電力制御手段への電力供給を開始させる。
そして、バッテリから電力制御手段への電力供給が開始されてから電力制御手段が電動機への電力供給制御を実行可能となる前に始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にないと制御判定手段が判定し、電動機とは別に設けた始動モータによってエンジンが始動される。
【0010】
一方、バッテリから電力制御手段への電力供給が開始され、電力制御手段が電動機への電力供給制御を実行可能となってから始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にあると制御判定手段が判定し、電力制御手段が電力供給制御を実行することにより電動機によってエンジンが始動される。
具体的には、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記電力制御手段は、上記バッテリから上記電動機に供給される電力を調整するインバータ回路と、上記バッテリと上記インバータ回路とを接続する接続手段とを備え、上記制御手段は、上記始動スイッチが上記第1位置から上記第2位置に切り換えられたときに上記接続手段に上記バッテリと上記インバータ回路との接続を開始させ、上記制御判定手段は、上記接続手段によって上記バッテリと上記インバータ回路との接続が完了したときに、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあると判定することを特徴とする(請求項2)。
【0011】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、始動スイッチが第1位置から第2位置に切り換えられたときに、制御手段が接続手段にバッテリとインバータ回路との接続を開始させる。
そして、接続手段によってバッテリとインバータ回路との接続が完了する前に始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にないと制御判定手段が判定し、電動機とは別に設けた始動モータによってエンジンが始動される。
【0012】
一方、接続手段によってバッテリとインバータ回路との接続が完了してから始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にあると制御判定手段が判定し、電力制御手段が電力供給制御を実行することにより電動機によってエンジンが始動される。
更に具体的には、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記接続手段は、上記バッテリを上記インバータ回路に接続したときに流れる突入電流を抑制するための突入電流抑制回路を備え、上記制御判定手段は、上記突入電流抑制回路による上記突入電流の抑制が終了したときに、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能な状態にあると判定することを特徴とする(請求項3)。
【0013】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、始動スイッチが第1位置から第2位置に切り換えられたときに、突入電流抑制回路を用いてバッテリとインバータ回路との接続が開始される。
そして、突入電流抑制回路による突入電流の抑制が終了する前に始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にないと制御判定手段が判定し、電動機とは別に設けた始動モータによってエンジンが始動される。
【0014】
一方、突入電流抑制回路による突入電流の抑制が終了してから始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電力制御手段は電力供給制御を実行可能な状態にあると制御判定手段が判定し、電力制御手段が電力供給制御を実行することにより電動機によってエンジンが始動される。
また、これらのハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記制御判定手段の判定結果に基づき、上記電力制御手段が上記電力供給制御を実行可能であるか否かを表示又は報知する確認手段を更に備えたことを特徴とする(請求項4)。
【0015】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、制御判定手段の判定結果に基づき、電力制御手段が電力供給制御を実行可能であるか否かが確認手段によって表示又は報知される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、始動スイッチが第1位置から第2位置に切り換えられて、バッテリから電力制御手段への電力供給が開始された後、電力制御手段が電動機への電力供給制御を実行可能となる前に始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電動機とは別に設けた始動モータによってエンジンが始動されるようにしたので、電力制御手段が電動機への電力供給制御を実行可能となるのを待たずにエンジンを始動することが可能となる。このため、運転者がエンジンの始動遅れを故障と誤解することもなくなり、操作フィーリングも向上する。
【0017】
一方、バッテリから電力制御手段への電力供給が開始され、電力制御手段が電動機への電力供給制御を実行可能となってから始動スイッチが第3位置に切り換えられると、電動機によってエンジンが始動されるようにしたので、運転者が始動スイッチをゆっくり操作したときには電動機によってエンジンが始動され、静かなエンジン始動を実現することができる。また、エンジン始動の際に常に始動モータを用いる必要がなくなるため、始動モータの寿命を向上させることができる。
【0018】
また、請求項2のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、接続手段によってバッテリとインバータ回路との接続が完了したときに電力制御手段による電動機への電力供給制御が実行可能となったと判定するようにしたので、バッテリとインバータ回路との接続が未完了の状態で電動機によりエンジンを始動しようとしてエンジンが始動できなくなるのを防止し、確実にエンジンを始動することができる。
【0019】
更に、請求項3のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、突入電流抑制回路による突入電流の抑制が終了したときに電力制御手段による電動機への電力供給制御が実行可能となったと判定するようにしたので、突入電流抑制回路により突入電流の抑制をしていてインバータ回路にバッテリの適正な電力が供給されない状態で電動機によりエンジンを始動しようとしてエンジンが始動できなくなるようなことがなくなり、確実にエンジンを始動することができる。
【0020】
また、請求項4のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、制御判定手段の判定結果に基づき、電力制御手段が電力供給制御を実行可能であるか否かが確認手段によって表示又は報知されるようにしたので、運転者は確認手段の表示又は報知内容を見ることによりエンジンの始動を電動機によって行うのか始動モータで行うのかを容易に選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態であるハイブリッド電気自動車1の制御装置の要部構成図である。ディーゼルエンジン(以下エンジンという)2の出力軸であるクランク軸にはクラッチ4の入力軸が連結されており、クラッチ4の出力軸は永久磁石式同期電動機(以下電動機という)6の回転軸を介して自動変速機(以下変速機という)8の入力軸が連結されている。また、変速機8の出力軸はプロペラシャフト10、差動装置12及び駆動軸14を介して左右の駆動輪16に接続されている。
【0022】
従って、クラッチ4が接続されているときには、エンジン2の出力軸と電動機6の回転軸とが連結されると共に変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となり、クラッチ4が切断されているときには、エンジン2の出力軸と電動機6の回転軸との連結が解除され、電動機6の回転軸のみが変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となる。
電動機6は、バッテリ18に蓄えられた直流電力がインバータ(電力制御手段)20によって交流電力に変換されて供給されることによりモータとして作動し、その駆動トルクが変速機8によって適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。また、車両減速時には、電動機6が発電機として作動し、駆動輪16の回転による運動エネルギが変速機8を介し電動機6に伝達されて交流電力に変換されることにより回生制動トルクを発生する。そして、この交流電力はインバータ20によって直流電力に変換された後、バッテリ18に充電され、駆動輪16の回転による運動エネルギが電気エネルギとして回収される。
【0023】
一方、エンジン2の駆動トルクは、クラッチ4が接続されているときに電動機6の回転軸を経由して変速機8に伝達され、適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。従って、エンジン2の駆動トルクが駆動輪16に伝達されているときに電動機6がモータとして作動する場合には、エンジン2の駆動トルクと電動機6の駆動トルクとがそれぞれ変速機8を介して駆動輪16に伝達されることになる。即ち、車両の駆動のために駆動輪16に伝達されるべき駆動トルクの一部がエンジン2から供給されると共に、残部が電動機6から供給される。
【0024】
また、バッテリ18の充電率(以下SOCという)が低下してバッテリ18を充電する必要があるときには、電動機6が発電機として作動すると共に、エンジン2の駆動力の一部を用いて電動機6を駆動することにより発電が行われ、発電された交流電力をインバータ20によって直流電力に変換した後にバッテリ18に充電するようにしている。
車両ECU22(制御手段)は、車両やエンジン2の運転状態、及びエンジンECU24、インバータECU(制御判定手段)26並びにバッテリECU28からの情報などに応じて、クラッチ4の接続・切断制御及び変速機8の変速段切換制御を行うと共に、これらの制御状態や車両の発進、加速、減速など様々な運転状態に合わせてエンジン2や電動機6を適切に運転するための統合制御を行う。
【0025】
エンジンECU24は、車両ECU22からの情報に基づきエンジン2の始動・停止制御を行うほか、エンジン2のアイドル運転制御や排ガス浄化装置(図示せず)の再生制御など、エンジン2自体の運転に必要な各種制御を行うと共に、車両ECU22によって設定されたエンジン2に必要とされるトルクをエンジン2が発生するよう、エンジン2の燃料の噴射量や噴射時期などを制御する。
【0026】
一方、インバータECU26は、インバータ20の状態を監視して車両ECU22にその情報を送るほか、車両ECU22によって設定された電動機6が発生すべきトルクに基づきインバータ20を制御することにより、電動機6をモータ作動または発電機作動させて運転制御する。
また、バッテリECU28は、バッテリ18の温度や、バッテリ18の電圧、インバータ20とバッテリ18との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ18のSOCを求め、求めたSOCを検出結果と共に車両ECU22に送っている。
【0027】
そして車両ECU22は、これらエンジンECU24、インバータECU26及びバッテリECU28との間で相互に情報をやりとりしながら、エンジン2及び電動機6を適切に制御するようエンジンECU24及びインバータECU26に指示すると共に、クラッチ4及び変速機8を適宜制御する。
車両ECU22はこのような制御を行う際、アクセルペダル30の踏込量を検出するアクセル開度センサ32や、車両の走行速度を検出する車速センサ34及び電動機6の回転数を検出する回転数センサ36の検出結果に基づき、車両の走行に必要な要求トルクを演算する。そして、各ECUからの情報に基づき、そのときの車両の運転状態やエンジン2及び電動機6の運転状態に応じて、この要求トルクをエンジン2及び電動機6に配分し、エンジンECU24やインバータECU26に指示すると共に、必要に応じて変速機8やクラッチ4を制御する。
【0028】
このとき、電動機6のみにトルクが配分されてエンジン2にトルクが配分されない場合には、車両ECU22がクラッチ4を切断すると共に、インバータECU26に対して電動機6の出力トルクを要求トルクとするように指示する。
エンジンECU24はエンジン2をアイドル運転する一方、インバータECU26は、車両ECU22が指示したトルクに応じてインバータ20を制御し、バッテリ18の直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて電動機6に供給される。電動機6は交流電力が供給されることによってモータ作動して要求トルクを出力し、電動機6の出力トルクは変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0029】
また、エンジン2及び電動機6の両方にトルクが配分された場合には、車両ECU22がクラッチ4を接続し、エンジンECU24に対してエンジン2に配分された出力トルクを指示すると共に、インバータECU26に対して電動機6に配分された出力トルクを指示する。
エンジンECU24は車両ECU22が指示したトルクをエンジン2が出力するようエンジン2を制御すると共に、インバータECU26は、車両ECU22が指示したトルクに応じてインバータ20を制御することにより、エンジン2の出力トルクと電動機6のトルクとの合計が要求トルクとなり、変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0030】
一方、エンジン2のみにトルクが配分されて電動機6にトルクが配分されない場合は、車両ECU22がクラッチ4を接続状態とし、エンジンECU24に対してエンジン2の出力トルクを要求トルクとするよう指示すると共に、インバータECU26に対して電動機6の出力トルクを零とするように指示する。
エンジンECU24は車両ECU22が指示した要求トルクをエンジン2が出力するようエンジン2を制御すると共に、インバータECU26は、電動機6がモータ及び発電機のいずれとしても動作しないようインバータ20を制御することにより、エンジン2から出力された要求トルクが変速機8を介して駆動輪16に伝達される。
【0031】
ところで車両ECU22には、インバータECU26、バッテリECU28、エンジンECU24などの各デバイスへの電力の供給及び遮断を行うと共にエンジン2の始動・停止を行うために、運転者によって操作される始動スイッチ38が接続されている。この始動スイッチ38は、各デバイスへの電力供給を遮断すると共にエンジン2を停止させるためのオフ位置(第1位置)、各デバイスへの電力供給を行うためのオン位置(第2位置)、及びエンジン2を始動するための始動位置(第3位置)の3つの位置に切り換え操作可能となっており、オン位置から始動位置に切り換え操作された後で操作者が手を離すと自動的にオン位置に戻る。
【0032】
車両ECU22は、この始動スイッチ38の操作位置に応じて各デバイスへの電力供給の指示や、エンジン2の始動・停止制御を行う。
始動スイッチ38がオフ位置にあるとき、即ち車両が停止状態にあるときに、始動スイッチ38がにオン位置に切り換え操作されると、車両ECU22は各デバイスへの電力供給を開始させ、エンジンECU24、インバータECU26及びバッテリECU28にも電力が供給される。
【0033】
インバータECU26は電力の供給を受けて作動を開始し、車両ECU22からの電力供給開始の指示に対応して電動機6を作動可能とするために、インバータ20に設けられた接続回路(接続手段)40を介し、バッテリ18をインバータ20に接続する。
図2には、このような接続回路40を備えたインバータ20が示されている。
図2に示すように、インバータ20は接続回路40と、接続回路40を介してバッテリ18から供給される直流電力を3相交流電力に変換して電動機6に供給するインバータ回路42を備えている。また、接続回路40はバッテリ18の陽極側と陰極側とにそれぞれ設けられており、バッテリ18とインバータ回路42とを直接接続する主接点44と、この主接点44に並列に設けられた突入電流抑制回路46とで構成されている。
【0034】
この突入電流抑制回路46は、バッテリ18が比較的高電圧であるため、バッテリ18をインバータ26に接続する際に大きな突入電流が流れるのを抑制するために設けられており、副接点48とこの副接点50に直列に接続された減流抵抗50とからなっている。
主接点44は電磁コイル52が励磁されることによって閉じ、励磁が解除されることによって開く。また、副接点48は電磁コイル54が励磁されることによって閉じ、励磁が解除されることによって開く。これら電磁コイル52及び54は車両ECU22からの電力供給開始の指示に応じ、インバータECU26によって励磁状態が制御される。
【0035】
即ち、始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されると、車両ECU22は各デバイスへの電力供給の開始を指示し、インバータECU26にも電力供給が開始される。インバータECU26は車両ECU22からの電力供給開始の指示に対応し、電磁コイル54を励磁して副接点48を閉じる。
副接点48が閉じることにより、インバータ回路42には減流抵抗50を介してバッテリ18が接続され、突入電流が減流抵抗50によって制限されながら流れる。このとき、減流抵抗50による電圧降下分だけバッテリ電圧から低下した電圧がインバータ回路42に印加されるため、突入電流の減少に伴い、インバータ回路42に印加される電圧はバッテリ電圧に近付いていく。
【0036】
インバータECU26はインバータ回路42に印加される電圧を監視しており、この電圧が突入電流の減少に伴ってバッテリ電圧近傍の所定電圧まで上昇したときに突入電流抑制回路46による突入電流の抑制が終了したと判断し、電磁コイル52を励磁して主接点44を閉じる。このようにして主接点44が閉じられることにより、インバータ回路42へのバッテリ18の接続が完了し、インバータ回路42にはバッテリ電圧がそのまま印加される。インバータECU26は、これを検出してインバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能になったと判定し、車両ECU22に対して電動機6への電力供給制御が可能になった旨の情報を送る。
【0037】
車両ECU22は、この情報を受け取ると車室内のインストルメントパネル上に設置されたインジケータランプ(確認手段)60を点灯させる。
こうして、バッテリ18はインバータ回路42に直接接続され、車両ECU22からの指示に従いインバータECU26がインバータ回路42を制御することによって電動機6への電力供給が制御される。
【0038】
このように、始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されてから、インバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能となって電動機6を運転できるようになるまでには、副接点48を閉じてから突入電流が減少して主接点44を閉じるまでの間の時間遅れが生じることになる。
電動機6の運転が可能な場合には、車両ECU22がクラッチ4を接続して電動機6の回転軸とエンジン2の出力軸とを連結すると共に、変速機8をニュートラル位置として電動機6の回転軸を駆動輪16から切り離し、或いは切り離されていることを確認し、電動機6をモータ作動することによって、エンジン2を始動することが可能である。しかしながら、上述したように始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されてから電動機6が運転可能となるまでには時間遅れがあるため、始動スイッチ38が直ちに始動位置に操作されると、電動機6によるエンジン2の始動が遅れることになる。
【0039】
そこで、このようなエンジン2の始動遅れをなくすため、エンジン2には電動機6とは別に始動モータ56が設けられている。この始動モータ56は、エンジンのみを駆動源とした一般的な車両に設けられるエンジン始動用モータと同様のものであり詳細な説明は省力するが、エンジン2の出力軸端部に取り付けられたリングギヤ(図示せず)に着脱可能に噛合するピニオンギヤ(図示せず)を備え、リングギヤに噛合したピニオンギヤによりエンジン2の出力軸を駆動してエンジン2の始動を行えるようになっている。
【0040】
車両ECU22は、このような始動モータ56を用いたエンジン2の始動と、電動機6によるエンジン2の始動とを適宜切り換えて行えるよう、図3に示すフローチャートに従ってエンジン2の始動制御を行う。この始動制御は始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されると処理を開始するようになっている。
始動制御が開始されると、まずステップS1でインバータECU26からの情報に基づき、インバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にあるか否かを判定する。
【0041】
始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作された直後であって、突入電流抑制回路46による突入電流の抑制が終了していない状態では、インバータECU26はインバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にはないと判定しており、処理はステップS2に進む。
ステップS2では、電動機6への電力供給制御が可能な状態にないことから、インジケータランプ60を消灯状態としステップS4に進む。
【0042】
一方、始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されてから少し間をおいた状態であって、突入電流抑制回路46による突入電流の抑制が終了し、主接点44を閉じてバッテリ18とインバータ回路42との接続が完了し、インバータECU26がインバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にあると判定している場合には、処理はステップS3に進む。
【0043】
ステップS3では、電動機6への電力供給制御が可能な状態にあることから、インジケータランプ60を点灯状態としステップS4に進む。
このようにステップS1乃至S3の処理では、電動機6への電力供給制御が可能な状態にあるか否かに応じて、インジケータ60の点灯と消灯を切り換えており、運転者はインジケータ60を確認することにより、電動機6への電力供給制御が可能な状態にあるか否かを知ることができる。なお、このように本実施形態では確認手段としてインストルメントパネル上のインジケータランプ60を用いるようにしたが、音声などで報知するようにしても良い。
【0044】
ステップS4では、始動スイッチ38が始動位置とされたか否かを判定する。そして、始動スイッチ38が始動位置となっていなければ、ステップS1に戻って電動機6への電力供給制御が可能か否かを判定する。また、始動スイッチ38が始動位置に操作されるとステップS5に進んで、再びインバータECU26からの情報に基づき、インバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にあるか否かを判定する。なお、このときの判定はステップS1の判定と同じものであるため、ステップS1の判定結果を利用するようにしても良い。
【0045】
そして、ステップS5でインバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にはないと判定した場合には、処理がステップS6に進む。
ステップS6では、クラッチ4を切断してエンジン2の出力軸と電動機6の回転軸との接続を遮断した後、始動モータ56を作動させてエンジン2のクランキングを行わせると共に、エンジンECU24にエンジン2を運転するよう指示する。エンジンECU24は車両ECU22の指示を受けてエンジン2への燃料の供給を開始することによりエンジン2が始動し、始動制御が終了する。
【0046】
一方、ステップS6で、インバータ回路42による電動機6への電力供給制御が可能な状態にあると判定した場合には、処理がステップS7に進む。
ステップS7では、クラッチ4の接続を確認すると共に変速機8の変速段がニュートラル位置にあることを確認した後、インバータECU26に対してエンジン2の始動に必要な電動機6の出力トルクを指示すると共に、エンジンECU24にエンジン2を運転するよう指示する。
【0047】
インバータECU26は車両ECU22からの指示に基づき、電動機6をモータ作動させて車両ECU22から指示された出力トルクを発生させることによりエンジン2をクランキングし、エンジンECU24がエンジン2への燃料の供給を開始することによりエンジン2が始動し、始動制御が終了する。
このようにしてエンジン2の始動制御が行われることにより、始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されてから直ちに始動位置に操作された場合のように、突入電流抑制回路46による突入電流の抑制が終了していない状態では、始動モータ38を用いてエンジン2が始動され、始動スイッチ38の始動位置への操作に対応して直ちにエンジン2が始動される。このため、電動機6への電力供給制御が可能となるまでの時間遅れを故障と運転者が誤解することもなくなり、操作フィーリングを向上させることができる。
【0048】
また、始動スイッチ38がオフ位置からオン位置に切り換え操作されてから少し間をおいて始動位置に操作することにより、電動機6への電力供給制御が可能な状態になってからエンジン2を始動した場合には、電動機6によってエンジン2が始動される。従って、このような場合には静かなエンジン始動を実現することができると共に、エンジン始動の際に常に始動モータを用いる必要がなくなるため、始動モータの寿命を向上させることができる。
【0049】
特に、インジケータランプ60によって電動機6への電力供給制御が可能な状態にあることを確認してから始動スイッチ38を始動位置に切り換えることができるので、運転者が電動機6によるエンジン2の始動を意図したときには、適切なタイミングで始動スイッチ38を始動位置に切り換えることができ、意図したとおりの始動方法を運転者が容易に選択することができる。
【0050】
更に、接続回路40の主接点44が閉じてバッテリ18とインバータ回路42との接続が完了したときに、インバータ回路42による電動機6への電力供給制御が実行可能となったと判定するので、バッテリ18とインバータ回路42との接続が未完了の状態で電動機6によりエンジン2を始動するようなことがなくなり、始動モータ56によって確実にエンジン2を始動することができる。
【0051】
また、突入電流抑制回路46による突入電流の抑制が終了したときにインバータ回路42による電動機6への電力供給制御が実行可能となったと判定するので、突入電流抑制回路46により突入電流の抑制をしていてインバータ回路42にバッテリ18の適正な電力が供給されない状態で電動機6によりエンジン2を始動するようなことがなくなり、始動モータ56によって確実にエンジン2を始動することができる。
【0052】
以上で本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、電動機6をクラッチ4と変速機8との間に配置するようにしたが、電動機6の配置はこれに限られるものではなく、例えばエンジン2とクラッチ4との間に電動機6を配置したハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0053】
なお、上記実施形態ではエンジン2をディーゼルエンジンとしたが、エンジン形式はこれに限られるものではなく、ガソリンエンジンなどでも良い。
また、上記実施形態において、電動機6を永久磁石式同期電動機としたが電動機の形式もこれに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置におけるインバータ及びその周辺の構成を示す図である。
【図3】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置で実行される始動制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 ハイブリッド電気自動車
2 エンジン
6 電動機
16 駆動輪
18 バッテリ
20 インバータ(電力制御手段)
22 車両ECU(制御手段)
26 インバータECU(制御判定手段)
38 始動スイッチ
40 接続回路(接続手段)
42 インバータ回路
46 突入電流抑制回路
56 始動モータ
60 インジケータランプ(確認手段)




 

 


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