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発明の名称 ハイブリッド電気自動車の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−230383(P2007−230383A)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
出願番号 特願2006−54847(P2006−54847)
出願日 平成18年3月1日(2006.3.1)
代理人 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
発明者 緒方 誠
要約 課題
車両減速時のクラッチ作動の頻度を低減して運転フィーリングを改善することが可能なハイブリッド電気自動車の制御装置を提供する。

解決手段
エンジン2及び電動機6の駆動力がそれぞれ変速機8を介して車両の駆動輪16に伝達可能であると共に、エンジン2と変速機8との接続がクラッチ4によって切断可能であって、車両減速時に、電動機6が発生可能な上限減速トルクが、変速機8に伝達すべき要求減速トルク以上であるときにはクラッチ4を切断する一方、上限減速トルクが要求減速トルクより小さいときにはクラッチ4を接続し、使用中の変速段が所定変速段以上の高速側変速段であるときには上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチ4を接続する。
特許請求の範囲
【請求項1】
エンジンの駆動力と電動機の駆動力とが複数の前進変速段を有する変速機を介して車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記エンジンと上記変速機との機械的な接続がクラッチによって切断可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、
上記電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、
上記変速機で使用中の前進変速段を検出する変速段検出手段と、
上記車両の減速時に、上記回転数検出手段によって検出された回転数に応じ、上記電動機が発生可能な回生制動トルクとして上限減速トルクを設定すると共に、上記変速段検出手段で検出された使用中の変速段に応じ、上記車両の減速に必要な減速トルクとして上記変速機に伝達すべき要求減速トルクを設定し、上記上限減速トルクが上記要求減速トルク以上であるときには上記クラッチを切断して上記要求減速トルクを発生するように上記電動機を制御する一方、上記上限減速トルクが上記要求減速トルクより小さいときには上記クラッチを接続して上記エンジンの減速トルクと上記電動機の回生制動トルクとの合計が上記要求減速トルクとなるように上記エンジン及び上記電動機を制御し、上記変速段検出手段で検出された使用中の変速段が所定変速段以上の高速側変速段であるときには上記上限減速トルクが上記要求減速トルク以上のときであっても上記クラッチを接続する制御手段と
を備えたことを特徴とするハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項2】
上記変速機は、上記車両の減速時に上記車両の走行速度に応じてシフトダウンが行われる自動変速機であって、
上記所定変速段は、上記車両が平坦路を走行中に減速を行う際の上記電動機の回転数の変動領域内で上記上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記電動機の回転数に応じて上記電動機が発生可能な回生制動トルクを、上記回転数以外の上記電動機の運転条件に応じて補正することにより上記上限減速トルクを設定し、上記変動領域内で補正後の上記上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段を上記所定変速段とすることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド電気自動車の制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド電気自動車の制御装置に関し、特にエンジンの駆動力と電動機の駆動力とがそれぞれ車両の駆動輪に伝達可能なハイブリッド電気自動車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンと電動機とを車両に搭載し、エンジンの駆動力と電動機の駆動力とをそれぞれ車両の駆動輪に伝達可能とした、いわゆるパラレル型ハイブリッド電気自動車が開発され実用化されている。
このようなパラレル型ハイブリッド電気自動車として、エンジンと自動変速機とを機械的に断接するクラッチを設け、このクラッチの出力軸と自動変速機の入力軸との間に電動機の回転軸を連結したハイブリッド電気自動車が、例えば特許文献1によって提案されている。
【0003】
特許文献1に示されるようなハイブリッド電気自動車においては、クラッチを接続してエンジンと電動機の両方から駆動輪に駆動力を伝達可能とした状態と、クラッチを切断して電動機の駆動力のみを駆動輪に伝達可能とした状態とに切り換えられるようになっている。
そして、アクセルペダルの踏み込みが解除され、車両のブレーキが作動していない状態でハイブリッド電気自動車が減速走行しているときには、エンジンのみを動力源とした同程度の車両が同様の減速を行うときに得られる減速度とほぼ同じ減速度を得ることができる減速トルクを要求減速トルクとして設定し、この要求減速トルクが得られるように電動機及びエンジンを制御することによって、車両の減速を違和感なく行うようにすることが考えられる。また、このような要求減速トルクは、適正な車両減速度が得られるようにするため、変速機の入力回転数、即ち電動機の回転数が高いほど大きく設定するのが望ましい。
【0004】
一方、電動機にはその仕様によって発生可能な回生制動トルクの上限値である上限減速トルクが定められており、この上限減速トルクは電動機の特性により、低回転域でほぼ一定の値となると共に、高回転域では回転数の上昇と共に減少するようになっている。
このように要求減速トルクと上限減速トルクは電動機の回転数の変化と共に変動するため、電動機の回転数がある回転数以下では上限減速トルクが要求減速トルク以上となり、同回転数より高速側では上限減速トルクが要求減速トルクより小さくなる。そこで上限減速トルクが要求減速トルク以上である場合にはクラッチを切断し、電動機の回生制動トルクのみで要求減速トルクを得るようにすることによって車両減速時のエネルギ回収を最大限に行う一方、上限減速トルクが要求減速トルクより小さい場合にはクラッチを接続し、電動機の回生制動トルクとエンジンの減速トルクとを合わせて要求減速トルクを得るようにすることが考えられる。
【0005】
また、車両の減速時においても走行速度に応じて変速段の切り換えが行われることがあり、それぞれの変速段において適正な減速度を得るためには、変速段毎に個別に要求減速トルクが設定されるようにするのが望ましい。この場合、要求減速トルクは変速機に伝達される減速トルクであることから、高速側の変速段であるほど要求減速トルクを大きめに設定することにより、変速段の違いによる、駆動輪に伝達される減速トルクの差を減少させることができる。
【特許文献1】特開平5−176405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようにして変速段毎に要求減速トルクを設定するようにした場合、上述したように電動機の回転数が高いほど要求減速トルクは大きく設定されるため、使用中の変速段が高速側であるほど、より低い電動機の回転数から要求減速トルクが上限減速トルクを上回るようになる。従って、要求減速トルクと上限減速トルクとの大小関係の逆転に伴うクラッチの断接作動は、使用中の変速段が高速であるほど低い電動機の回転数で発生することになる。
【0007】
一般的に、車両走行時には急発進や急加速の場合を除き、電動機の回転数が大きく上昇する前に変速段の切り換えが行われることから、高速側の変速段を使用しているときには使用頻度の高い回転数領域で、このような要求減トルクと上限減トルクとの逆転が発生する。そして、電動機の回転数は減速時には減少するが、シフトダウンにより一時的に上昇することもある。従って、高速側の変速段を使用しているときほど減速走行において要求減速トルクと上限減速トルクとの大きさが逆転する回転数を跨いで電動機の回転数が変動し、これによりクラッチの断接作動が発生する可能性が高くなり、減速走行のたびにクラッチ作動が繰り返されて運転フィーリングが悪化するという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両減速時のクラッチ作動の頻度を低減して運転フィーリングを改善することが可能なハイブリッド電気自動車の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置は、エンジンの駆動力と電動機の駆動力とが複数の前進変速段を有する変速機を介して車両の駆動輪に伝達可能であると共に、上記エンジンと上記変速機との機械的な接続がクラッチによって切断可能なハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記電動機の回転数を検出する回転数検出手段と、上記変速機で使用中の前進変速段を検出する変速段検出手段と、上記車両の減速時に、上記回転数検出手段によって検出された回転数に応じ、上記電動機が発生可能な回生制動トルクとして上限減速トルクを設定すると共に、上記変速段検出手段で検出された使用中の変速段に応じ、上記車両の減速に必要な減速トルクとして上記変速機に伝達すべき要求減速トルクを設定し、上記上限減速トルクが上記要求減速トルク以上であるときには上記クラッチを切断して上記要求減速トルクを発生するように上記電動機を制御する一方、上記上限減速トルクが上記要求減速トルクより小さいときには上記クラッチを接続して上記エンジンの減速トルクと上記電動機の回生制動トルクとの合計が上記要求減速トルクとなるように上記エンジン及び上記電動機を制御し、上記変速段検出手段で検出された使用中の変速段が所定変速段以上の高速側変速段であるときには上記上限減速トルクが上記要求減速トルク以上のときであっても上記クラッチを接続する制御手段とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、車両減速時には、回転数検出手段によって検出された電動機の回転数に応じ、電動機が発生可能な回生制動トルクとして上限減速トルクが設定されると共に、変速段検出手段で検出された使用中の変速段に応じ、車両の減速に必要な減速トルクとして変速機に伝達すべき要求減速トルクが設定され、上限減速トルクが要求減速トルク以上であるときにはクラッチを切断して要求減速トルクを発生するように電動機が制御される一方、上限減速トルクが要求減速トルクより小さいときにはクラッチを接続してエンジンの減速トルクと電動機の回生制動トルクとの合計が要求減速トルクとなるようにエンジン及び電動機が制御される。そして、変速段検出手段で検出された使用中の変速段が所定変速段以上の高速側変速段であるときには、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続される。
【0011】
また、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記変速機は、上記車両の減速時に上記車両の走行速度に応じてシフトダウンが行われる自動変速機であって、上記所定変速段は、上記車両が平坦路を走行中に減速を行う際の上記電動機の回転数の変動領域内で上記上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段であることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、車両減速時には車両の走行速度に応じて変速機がシフトダウンされるが、車両が平坦路を走行中にこのようなシフトダウンを伴った車両減速を行う際の電動機の回転数の変動領域内で上限減速トルクと要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段を所定変速段とし、この所定変速段以上の高速側変速段を使用しているときは、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続される。
【0013】
更に、上記ハイブリッド電気自動車の制御装置において、上記制御手段は、上記電動機の回転数に応じて上記電動機が発生可能な回生制動トルクを、上記回転数以外の上記電動機の運転条件に応じて補正することにより上記上限減速トルクを設定し、上記変動領域内で補正後の上記上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段を上記所定変速段とすることを特徴とする(請求項3)。
【0014】
このように構成されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、電動機の回転数に応じて電動機が発生可能な回生制動トルクを、回転数以外の電動機の運転条件に応じて補正することにより上限減速トルクが設定される。このため、車両が平坦路を走行中にシフトダウンを伴った車両減速を行う際の電動機の回転数の変動領域内で上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段が変わる可能性があるが、そのような変速段のうちの最も低速側の変速段を所定変速段とし、この所定変速段以上の高速側変速段を使用しているときは、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、車両減速中に使用中の変速段が所定変速段以上の高速側変速段であるときには、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続されるようにしたので、高速側の変速段を使用して車両が減速走行するたびにクラッチの断接作動が繰り返されるようなことがなくなり、運転フィーリングを改善することができる。
【0016】
また、請求項2のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、車両が平坦路を走行中にシフトダウンを伴った車両減速を行う際の電動機の回転数の変動領域内で上限減速トルクと要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段を所定変速段とし、この所定変速段以上の高速側変速段を使用しているときは、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続される。
【0017】
一般的に、車両が平坦路を走行する頻度は平坦ではない路面を走行する頻度に比べて高く、このような走行状態において車両減速時に電動機の回転数が変動する範囲が、車両減速時における電動機の常用回転域となるが、車両減速時のこのような常用回転域において上限減速トルクと要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段のうちの最も低速側の変速段を所定変速段とし、この所定変速段以上の高速側変速段を使用しているときには、クラッチが接続されたままとなる。
【0018】
従って、車両の減速時におけるクラッチの作動頻度を確実に減少させて、運転フィーリングを改善することができる。
更に、請求項3のハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、電動機の回転数に応じて電動機が発生可能な回生制動トルクを、回転数以外の電動機の運転状態に応じて補正することにより上限減速トルクが設定される。このため、車両が平坦路を走行中にシフトダウンを伴った車両減速を行う際の電動機の回転数変動領域内で上限減速トルクと上記要求減速トルクとの大小関係が逆転する変速段が変わることがあるが、そのような変速段のうちの最も低速側の変速段を所定変速段とし、この所定変速段以上の高速側変速段を使用しているときは、上限減速トルクが要求減速トルク以上のときであってもクラッチが接続されるようにした。これにより、回転数以外の電動機の運転状態に応じて上限減速トルクが補正されても、これに対応して所定変速段を設定し、車両の減速時におけるクラッチの作動頻度を確実に減少させて、運転フィーリングを改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態であるハイブリッド電気自動車1の制御装置の要部構成図である。ディーゼルエンジン(以下エンジンという)2の出力軸にはクラッチ4の入力軸が連結されており、クラッチ4の出力軸は永久磁石式同期電動機(以下電動機という)6の回転軸を介して前進変速段(以下では単に変速段という)が5段の自動変速機(以下変速機という)8の入力軸が連結されている。また、変速機8の出力軸はプロペラシャフト10、差動装置12及び駆動軸14を介して左右の駆動輪16に接続されている。
【0020】
従って、クラッチ4が接続されているときには、エンジン2の出力軸と電動機6の回転軸の両方が、変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となり、クラッチ4が切断されているときには電動機6の回転軸のみが変速機8を介して駆動輪16と機械的に接続可能となる。
電動機6は、バッテリ18に蓄えられた直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて供給されることによりモータとして作動し、その駆動トルクが変速機8によって適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。また、車両減速時には、電動機6が発電機として作動し、駆動輪16の回転による運動エネルギが変速機8を介し電動機6に伝達されて交流電力に変換されることにより回生制動トルクを発生する。そして、この交流電力はインバータ20によって直流電力に変換された後、バッテリ18に充電され、駆動輪16の回転による運動エネルギが電気エネルギとして回収される。
【0021】
一方、エンジン2の駆動トルクは、クラッチ4が接続されているときに電動機6の回転軸を経由して変速機8に伝達され、適切な速度に変速された後に駆動輪16に伝達されるようになっている。従って、エンジン2の駆動トルクが駆動輪16に伝達されているときに電動機6がモータとして作動する場合には、エンジン2の駆動トルクと電動機6の駆動トルクとがそれぞれ変速機8を介して駆動輪16に伝達されることになる。即ち、車両の駆動のために駆動輪16に伝達されるべき駆動トルクの一部がエンジン2から供給されると共に、残部が電動機6から供給される。
【0022】
また、バッテリ18の充電率(以下SOCという)が低下してバッテリ18を充電する必要があるときには、電動機6が発電機として作動すると共に、エンジン2の駆動力の一部を用いて電動機6を駆動することにより発電が行われ、発電された交流電力をインバータ20によって直流電力に変換した後にバッテリ18に充電するようにしている。
車両ECU22(制御手段)は、車両やエンジン2の運転状態、及びエンジンECU24、インバータECU26並びにバッテリECU28からの情報などに応じて、クラッチ4の接続・切断制御及び変速機8の変速段切換制御を行うと共に、これらの制御状態や車両の発進、加速、減速など様々な運転状態に合わせてエンジン2や電動機6を適切に運転するための統合制御を行う。
【0023】
そして車両ECU22は、このような制御を行う際に、アクセルペダル30の踏込量を検出するアクセル開度センサ32や、車両の走行速度を検出する車速センサ34及び電動機6の回転数を検出する回転数センサ(回転数検出手段)36の検出結果に基づき、車両の走行に必要な総駆動トルク並びに車両の減速時に必要な総減速トルクを演算し、これら総駆動トルク及び総減速トルクから、エンジン2が発生するトルク及び電動機6が発生するトルクを設定している。
【0024】
エンジンECU24は、エンジン2の始動・停止制御やアイドル制御、或いは排出ガス浄化装置(図示せず)の再生制御など、エンジン2自体の運転に必要な各種制御を行うと共に、車両ECU22によって設定されたエンジン2に必要とされるトルクをエンジン2が発生するよう、エンジン2の燃料の噴射量や噴射時期などを制御する。
一方、インバータECU26は、車両ECU22によって設定された電動機6が発生すべきトルクに基づきインバータ20を制御することにより、電動機6をモータ作動または発電機作動させて運転制御する。また、電動機6の温度を検出する温度センサ(図示せず)からの出力信号を受けて、電動機6の温度を車両ECU22に送っている。
【0025】
バッテリECU28は、バッテリ18の温度や、バッテリ18の電圧、インバータ20とバッテリ18との間に流れる電流などを検出すると共に、これらの検出結果からバッテリ18のSOCを求め、求めたSOCを検出結果と共に車両ECU22に送っている。
このように構成されたハイブリッド電気自動車1において、車両を走行させるために車両ECU22を中心として行われる制御の概要は以下の通りである。
【0026】
まず、車両が停車状態にあってエンジン2が停止しており、チェンジレバー(図示せず)がニュートラル位置にあるときに運転者がスタータスイッチ(図示せず)によってエンジン2を始動する操作を行うと、車両ECU22は変速機8がニュートラル位置となって電動機6と駆動輪16との機械的な接続が遮断されていると共にクラッチ4が接続されていることを確認した後、インバータECU26に対してエンジン2の始動に必要な電動機6の駆動トルクを指示すると共に、エンジンECU24にエンジン2を運転するよう指示する。
【0027】
インバータECU26は車両ECU22からの指示に基づき、電動機6をモータ作動させて駆動トルクを発生させ、エンジン2をクランキングし、エンジンECU24がエンジン2への燃料の供給を開始することによりエンジン2が始動する。エンジン2の始動完了後は、車両ECU22がクラッチ4を切断し、エンジン2はアイドル運転を行う。
このようにしてエンジン2を始動した後、車両が停止状態にあるときには、クラッチ4が切断されており、エンジン2はアイドル運転状態にある。そして、運転者がアクセルペダル30を踏み込むと、アクセル開度センサ32によって検出されたアクセルペダル30の踏込量に応じ、車両を発進させるために必要な電動機6の駆動トルクを車両ECU22が設定する。
【0028】
インバータECU26は、車両ECU22が設定したトルクに応じてインバータ20を制御し、バッテリ18の直流電力がインバータ20によって交流電力に変換されて電動機6に供給される。電動機6は交流電力が供給されることによってモータ作動して駆動力を発生し、電動機6の駆動力は変速機8を介して駆動輪16に伝達され、車両が発進する。
車両が発進加速して電動機6の回転数がエンジン2のアイドル回転数の近傍まで上昇すると、クラッチ4を接続してエンジン2の駆動力を駆動輪に伝達することが可能となり、車両ECU22は更なる車両の加速及びその後の走行のために、変速機8に伝達すべき駆動トルクを車両の運転状態に応じてエンジン2側と電動機6側に適切に振り分け、エンジンECU24やインバータECU26に指示すると共に、必要に応じて変速機8やクラッチ4を制御する。
【0029】
エンジンECU24及びインバータECU26は車両ECU22が設定した駆動トルクを受けて、エンジン2及び電動機6をそれぞれ制御し、クラッチ4が接続されているときにはエンジン2及び電動機6が発生した駆動トルクが変速機8を介して駆動輪16に伝達される一方、クラッチ4が切断されているときには電動機6が発生した駆動トルクが変速機8を介して駆動輪16に伝達され車両が走行する。
【0030】
また、このとき車両ECU22は、アクセル開度センサ32によって検出されたアクセルペダル30の踏込量や車速センサ34によって検出された走行速度などの車両の運転状態に応じ、変速機8の変速段を適宜切換制御すると共に、変速段の切り換えに合わせてエンジン2や電動機6のトルクを適切に制御するよう、エンジンECU24及びインバータECU26に対して指示すると共にクラッチ4の断接を制御している。
【0031】
次に、車両を減速走行させる場合について以下に説明する。
アクセルペダル30の踏み込みが解除されると、車両ECU22は図2に示すフローチャートに従い、所定の制御周期で減速走行時の制御ルーチンを実行する。
最初のステップS1では、回転数センサ36が検出した電動機6の回転数Nmを読み込み、次のステップS2では、変速機8から送られる情報に基づき現在使用中の変速段Gpを読み込む(変速段検出手段)。
【0032】
次にステップS3に進むと、ステップS1で読み込んだ電動機6の回転数Nmと、ステップS2で読み込んだ現在使用中の変速段Gpとに基づき、車両に適度の減速度を得るために変速機8に伝達すべき減速トルクを要求減速トルクTrとして設定する。
この要求減速トルクTrは、図3の上段のグラフに実線で示すように変速機8の変速段毎に個別に設定され、それぞれの変速段に対応する要求減速トルクTrは、電動機6の回転数の上昇と共に増大する特性を有している。また、図3に示すように、高速側の変速段であるほど大きい要求減速トルクTrが設定されるようになっている。
【0033】
このように、高速側の変速段であるほど大きめの要求減速トルクが設定されることにより、変速機8を介して駆動輪に伝達される減速トルクの変速段毎の差を減らして、各変速段で減速時に得られる減速度の差を減らすと共に、シフトダウンの際の変速ショックを低減することができる。
車両ECU22はこのような要求減速トルクTrを予め記憶しており、電動機6の回転数Nmと現在使用中の変速段Gpとに対応する要求減速トルクTrを読み出して設定している。
【0034】
更にステップS4に進むと、ステップS1で読み込んだ電動機6の回転数Nmにおいて電動機6が発生可能な回生制動トルクの上限値を上限減速トルクTuとして設定する。この上限減速トルクTuは電動機6の仕様により電動機6の回転数に応じて定まるものであり、図3の上段のグラフ中に一点鎖線で示すように、低い回転数の領域では一定の値を有する一方で、高回転側では電動機6の回転数の増大と共に減少するような特性を有している。
【0035】
また、図3に示されるように、1速の変速段に対応する要求減速トルクTrは、電動機6の回転数がN1以下のときに上限減速トルクTu以下となり、電動機6の回転数がN1より高いときに上限減速トルクTuより大となっている。2速乃至5速の各変速段に対応する要求減速トルクTrについてもこれと同様に、電動機6の回転数がそれぞれN2、N3、N4、N5のときに上限減速トルクTuとの大小関係が逆転するようになっている。
【0036】
車両ECU22はこのような上限減速トルクTuを予め記憶しており、ステップS1で読み込んだ電動機6の回転数Nmに対応する上限減速トルクTuを読み出して設定している。
なお、バッテリ18のSOCが上昇してバッテリ18が過充電となる可能性がある場合や、電動機6或いはバッテリ18がオーバヒートする可能性がある場合などにおいては、電動機6の回生制動が制限されることにより、図3に示すような上限減速トルクTuを発生することができない場合がある。
【0037】
そこでステップS4で上限減速トルクを設定する際には、インバータECU26やバッテリECU28から送られる電動機6の温度やバッテリ18のSOC或いは温度など、電動機6の運転条件を示す情報に基づき、上限減速トルクを低減補正する必要があるか否かを判断し、補正が不要であれば図3に一点鎖線で示す上限減速トルクTuの特性曲線をそのまま用いて上限減速トルクTuを設定する一方、補正が必要であれば上記情報に基づいて、図3に一点鎖線で示す上限減速トルクTuの特性曲線を低減補正した二点鎖線のような上限減速トルクの特性曲線を用いて上限減速トルクTu’を設定するようにしている。
【0038】
このように補正された上限減速トルクTu’を用いる場合の制御内容については後述するものとして、以下では低減補正をせずに上限減速トルクTuをそのまま使用した場合について説明する。
ステップS5に進むと、ステップS3で要求減速トルクTrを設定する際に使用した要求減速トルクTrの特性曲線と、ステップS4で上限減速トルクTuを設定する際に使用した上限減速トルクTuの特性曲線とに基づいて基準変速段(所定変速段)Gsを設定する。この基準変速段Gsは、車両が実質的な平坦路を減速走行する場合の電動機6の回転数変動域内において上限減速トルクTuと要求減速度Trとの大小関係が逆転する変速段のうち、最も低速側にある変速段であって、その詳細について以下に説明する。
【0039】
車両走行中にアクセルペダル30の踏み込みが解除されて車両の減速が行われる場合には、車両ECU22は予め設定されたシフトダウン用の変速シフトマップに従い、車速センサ34によって検出される走行速度の低下に応じて変速機8の変速段を順次シフトダウンしていく。
図3の下段のグラフには、車両が実質的な平坦路を走行しているときに、このようにして減速走行を行った場合の車両の走行速度の変化と、それに伴う電動機6の回転数の変化が実線で示されている。なお、図3の下段のグラフにおいて、一点鎖線の直線は変速機8の各変速段における走行速度と電動機6の回転数との関係を示すものであり、以下ではこれらの直線を変速線という。また、シフトダウン用の変速マップにおいて、変速機8の変速段は、車速センサ34によって検出された走行速度が、V4に低下したときに5速から4速に、V3に低下したときに4速から3速に、V2に低下したときに3速から2速に、またV1に低下したときに2速から1速に、それぞれシフトダウンされるようになっている。
【0040】
図3において、車両の実用的な走行速度の最大値がV5であるとし、実質的な平坦路を変速段が5速の状態で走行中にアクセルペダル30の踏み込みが解除されて車両が減速走行に移行したとすると、電動機6の回転数は走行速度の低下と共に5速の変速線上を実線に沿って減少方向に移動する。そして、走行速度が低下してV4に達すると、車両ECU22は変速機8を5速から4速にシフトダウンし、これに伴って電動機6の回転数は図3に実線で示すように5速の変速線上から4速の変速線上へとシフトして増大する。
【0041】
4速へのシフトダウン後も車両が引き続き減速すると、電動機6の回転数は4速に対応する変速線上を実線に沿って減少方向に移動する。そして、走行速度が更に低下してV3に達すると、車両ECU22は変速機8を4速から3速にシフトダウンし、これに伴って電動機6の回転数は図3に実線で示すように4速の変速線上から3速の変速線上へとシフトして増大する。
【0042】
更に、3速へのシフトダウン後も車両が引き続き減速すると、電動機6の回転数は3速に対応する変速線上を実線に沿って減少方向に移動する。そして、走行速度が更に低下してV2に達すると、車両ECU22は変速機8を3速から2速にシフトダウンし、これに伴って電動機6の回転数は図3に実線で示すように3速の変速線上から2速の変速線上へとシフトして増大する。
【0043】
そして、2速へのシフトダウン後も車両が引き続き減速すると、電動機6の回転数は2速に対応する変速線上を実線に沿って減少方向に移動する。そして、走行速度が更に低下してV1に達すると、車両ECU22は変速機8を2速から1速にシフトダウンし、これに伴って電動機6の回転数は図3に実線で示すように2速の変速線上から1速の変速線上へとシフトして増大する。
【0044】
以上のように、車両が実質的な平坦路を走行していて減速走行に移行した場合の電動機6の回転数は、シフトダウンに伴う増減を繰り返しながら走行速度の低下と共に徐々に低下していくが、このときの電動機6の回転数の最大値は走行速度がV5である場合のNrである。
一般的に、車両が実質的な平坦路を走行する頻度は、平坦ではない路面を走行する頻度に比べて高いため、この回転数Nr以下の領域が車両の減速走行における常用回転域ということになり、降坂時などのように比較的高回転で減速しながら走行する必要がある場合に限り電動機6の回転数はこのNrを上回ることになる。
【0045】
そして、このような常用回転域内において、上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係が逆転する変速段は、図3において一点鎖線で示す上限減速トルクTuの特性曲線と、実線で示す要求減速トルクTrの特性曲線との関係から、電動機6の回転数がN4のときに逆転する4速と、電動機6の回転数がN5のときに逆転する5速の2つである。
【0046】
ステップS5では、このように常用回転域内で上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係が逆転する変速段のうち、最も低速側の変速段、即ちここでは4速を基準変速段Gsとして設定する。
ステップS5からステップS6に進むと、ステップS2で読み込んだ現在使用中の変速段Gpが、ステップS5で設定された基準変速段Gs以上の高速側変速段であるか否かを判定する。今回ステップS5で設定された基準変速段Gsは4速であるので、現在使用中の変速段が1乃至3速であればステップS7に進み、4速又は5速であればステップS10に進むことになる。
【0047】
まず、使用中の変速段が1乃至3速であったとすると、処理はステップS7に進み、ステップS4で設定した上限減速トルクTuが、ステップS3で設定した要求減速トルクTr以上であるか否かを判定する。
そして、上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上であると判定した場合には電動機6のみで要求減速トルクTrを発生可能であることから、ステップS8に進んでクラッチ4を切断した後、ステップS9で電動機6から要求減速トルクTrに等しい回生制動トルクを発生させるようインバータECU26に指示し、今回の制御周期を終了する。
【0048】
インバータECU26はこれを受け、電動機6を発電機作動させると共にインバータ20を介して電動機6からバッテリ18に供給される電力を調整し、電動機6が要求減速トルクTrに等しい回生制動トルクを発生するように制御を行う。
こうしてその制御周期を終えると、次の制御周期では再びステップS1から処理が行われ、ステップS1で回転数センサ36が検出した電動機6の回転数Nmを読み込み、ステップS2で現在使用中の変速段Gpを読み込んだ後、ステップS3及びS4において、電動機の回転数Nmに対応した要求減速トルクTrと上限減速トルクTuとを設定する。
【0049】
次のステップS5では、ステップS3における要求減速トルクTrの設定の際に使用した要求減速トルクTrの特性曲線とステップS4における上限減速トルクTuの設定の際に使用した上限減速トルクTuの特性曲線とに基づき基準変速段Gsを設定し、ステップS6で現在使用中の変速段Gpが基準変速段Gs以上の高速側変速段であるか否かを判定する。
【0050】
そしてステップS6で使用中の変速段Gpが依然として基準変速段Gsより低速側の変速段であると判定した場合には、ステップS7に進んで上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上であるか否かを判定する。
従って、使用中の変速段Gpが基準変速段Gsより低速側の変速段の状態で、上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上である限りは、クラッチ4が切断状態に維持されると共に、電動機6が要求減速トルクTrに等しい回生制動トルクを発生するように制御され、車両の減速が行われる。
【0051】
一方、ステップS4で設定された上限減速トルクTuが、ステップS3で設定された要求減速トルクTrより小さい場合には、電動機6のみでは要求減速トルクTrに等しい回生制動トルクを発生することができないため、ステップS7からステップS10に進んでクラッチ4を接続した後、ステップS11に進む。
ステップS11では、車両ECU22がエンジン2への燃料供給を停止するようエンジンECU24に指示し、エンジンECU24はこれに従ってエンジン2への燃料供給を停止する。
【0052】
次のステップS12では、ステップS3で設定した要求減速トルクTrから、ステップS11における燃料供給停止によってエンジン2が発生する減速トルクを減じることにより、電動機6が発生すべき回生制動トルクTmを設定し、次のステップS13に進む。
ステップS13では、ステップS12において上述のようにして設定された回生制動トルクTmを電動機6が発生するよう、車両ECU22からインバータECU26に対して指示が出され、インバータECU26はこれに従って電動機6を制御し、その制御周期を終了する。
【0053】
この結果、燃料供給が停止されたエンジン2の減速トルクと、発電機作動する電動機6の回生制動トルクTmとが変速機8に伝達され、変速機8で変速された後に駆動輪16に伝達されて車両が減速する。このとき、エンジン2の減速トルクと電動機6の回生制動トルクTmとの和は要求減速トルクTrに等しいため、車両は適度の減速度で減速する。
次の制御周期でも、上述のようにして要求減速トルクTr及び上限減速トルクTuを設定し、ステップS5で基準変速段Gsを設定した後、ステップS6で使用中の変速段Gpが依然として基準変速段Gsより低速側変速段であると判定した場合には、ステップS7に進んで上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上であるか否かを判定する。
【0054】
そして、上限減速トルクTuが依然として要求減速トルクTrより小さければ、上述のようにしてクラッチ4の接続状態が維持されると共に、エンジン2の減速トルク及び電動機6の回生制動トルクの合計が要求減速トルクTrに等しくなるように制御が行われ、エンジン2及び電動機6の両方によって車両の減速が行われる。
また、上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上となった場合には、前述のようにステップS8に進んでクラッチ4が切断され、電動機6の回生制動力のみが変速機8に伝達されて車両の減速が行われる。
【0055】
このように、現在使用中の変速段Gpが基準変速段Gsよりも低速側変速段である状況では、上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上であるか否かによりクラッチ4の断接状態が制御されてエンジン2及び電動機6による減速状態と電動機6のみによる減速状態との切り換えが行われる。
このとき、図3に示すように、上限減速トルクTuが要求減速トルクTrより小さくなる回転数N1、N2或いはN3が、この減速走行における電動機6の常用回転域よりも高いため、車両が実質的な平坦路で減速走行するような場合にはクラッチ4が切断されたままの状態となり、電動機6の回生制動トルクのみが減速トルクとして変速機8に伝達されて車両の減速が行われる。そして、降坂路を減速走行する場合のように変速段が低速側に保持されて電動機6の回転数が常用回転域よりも上昇する場合に限り、上限減速トルクTuが要求減速トルクTrより小さくなってクラッチ4が接続状態となることがある。
【0056】
従って、使用中の変速段Gpが基準変速段Gsより低速側変速段である場合には、上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係に応じてクラッチ4の断接を行うようにしてもクラッチ4の作動頻度は少なく、運転フィーリングが悪化することはない。
一方、ステップS2で読み込んだ現在使用中の変速段GpがステップS5で設定された基準変速段Gs以上の高速側変速段である場合、即ち使用中の変速段が4速又は5速である場合には、ステップS6からステップS7には進まずに、ステップS6から直接ステップS10に進んでクラッチ4を接続すると共にステップS11でエンジン2への燃料供給を停止し、上述したようにしてステップS12及びS13でエンジン2の減速トルク及び電動機6の回生制動トルクの合計が要求減速トルクTrに等しくなるように制御が行われる。
【0057】
そして次の制御周期以降でも、現在使用中の変速段Gpが基準変速段Gs以上の高速側変速段である限りは、ステップS6からステップS10に進んでクラッチ4の接続が維持されると共にステップS11でエンジン2への燃料供給を停止し、ステップS12及びS13でエンジン2の減速トルク及び電動機6の回生制動トルクの合計が要求減速トルクTrに等しくなるように制御が行われる。
【0058】
このように、現在使用中の変速段Gpが基準変速段Gs以上の高速側変速段である場合には、上限減速トルクTuが要求減速トルクTrに満たない場合に限らず、上限減速トルクTuが要求減速トルクTr以上の場合であってもクラッチ4が接続されることになる。
即ち、上述したように上限減速トルクTuの特性曲線を低減補正することなく用いて上限減速トルクTuを設定した場合には、基準変速段Gsが4速となっており、使用中の変速段が4速又は5速である場合に、上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4が接続状態となる。
【0059】
図3に示すように、変速段が4速である場合には電動機6の回転数がN4のときに、また変速段が5速である場合には電動機6の回転数がN5のときに上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係が逆転し、これら回転数N4及びN5は車両の減速走行時における常用回転域内にある。このため、1速乃至3速の場合と同様に上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係でクラッチ4の断接を行うようにすると、実質的な平坦路において減速走行を行うような場合であってもクラッチ4の断接が行われ、運転フィーリングが悪化する。
【0060】
しかし、本実施形態では使用中の変速段が基準変速段である4速以上の高速側変速段である場合には、上述のように上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4を接続状態としているので、クラッチ4の作動頻度が減少し、運転フィーリングを改善することができる。
なお、このような車両減速時において、上記制御とは別に、車両ECU22は必要に応じて変速機8の変速段を切り換える制御を行い、このときに必要に応じてクラッチ4の断接制御を行うが、変速段の切り換えに伴って行われるクラッチ4の断接制御は上記制御とは独立して行われる。
【0061】
次に、ステップS4で上限減速トルクの設定を行う際に、バッテリ18のSOCの上昇や、電動機6或いはバッテリ18のオーバヒートの可能性によって電動機6の回生制動を制限する必要が生じ、上限減速トルクの特性曲線を低減補正した場合について以下に説明する。
このような場合、前述したようにステップS4では、電動機6の温度やバッテリ18のSOC或いは温度などの情報に基づいて上限減速トルクTuの特性曲線を低減補正した特性曲線を用いて上限減速トルクTu’を設定する。なお、図3には、このように低減補正された上限減速トルクTu’の特性曲線の一例を二点鎖線で示しているが、低減補正量は固定とせずに電動機6やバッテリ18の状態に応じて適宜変更するようにしても良い。
【0062】
このようにしてステップS4で上限減速トルクTu’を設定し、次のステップS5に進むと、ステップS3における要求減速トルクTrの設定の際に使用した要求減速トルクTrの特性曲線とステップS4における上限減速トルクTu’の設定の際に使用した上限減速トルクTu’の特性曲線とに基づき基準変速段Gsを設定する。
上限減速トルクTu’の特性曲線は図3に示すように上限減速トルクTuの特性曲線よりも下方にあるため、4速及び5速の変速段に対応した要求減速トルクTrの場合だけでなく、3速の変速段においても上限減速トルクTu’と要求減速トルクTrとの大小関係が逆転する電動機6の回転数がN3’となって常用回転域内となる。従って、ここでは3速乃至5速の変速段において上限減速トルクTu’と要求減速トルクTrとの大小関係が逆転する電動機6の回転数が常用回転域内に存在することになり、その中で最も低速側の3速が基準変速段Gsとなる。
【0063】
このようにしてステップS5で基準変速段Gsを設定した後、次のステップS6では現在使用中の変速段Gpが基準変速段Gs以上の高速側変速段であるか否かを判定する。
ステップS6で使用中の変速段Gpが基準変速段Gs以上の高速側変速段であると判定した場合に、ステップS10乃至S13で行われる制御は前述したとおりであって、基準変速段Gsが3速となっていることから、使用中の変速段が3速乃至5速のいずれかである場合に、上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4が接続状態となる。
【0064】
上限減速トルクTuを低減補正した上限減速トルクTu’が使用されることにより、上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係だけでクラッチ4の断接を行うようにした場合には、3速の変速段を使用して減速走行する際にも常用回転域でクラッチ4が作動して運転フィーリングが悪化することになるが、上述のように低減補正された上限減速トルクTu’に応じて基準変速段Gsを設定することにより、3速の変速段を使用している場合でも上限減速トルクTuと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4を接続状態とすることによって運転フィーリングを改善することができる。
【0065】
なお、上述した例では上限減速トルクTuが低減補正されて上限減速トルクTu’となることにより、3速の変速段が基準変速段Gsとなる場合について説明したが、上限減速トルクTuが更に低減補正されて、2速の変速段に対応する要求減速トルクと上限減速トルクとの大小関係が逆転する電動機6の回転数が常用回転域内となった場合には、2速の変速段が基準変速段Gsとなり、2速以上の変速段を使用した減速走行時に上限減速トルクと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4が接続状態となるので、同様に運転フィーリングを改善することができる。
【0066】
また、1速の変速段に対応する要求減速トルクと上限減速トルクとの大小関係が逆転する電動機6の回転数が常用回転域内となった場合には、1速の変速段が基準変速段Gsとなり、全ての変速段で減速走行時には上限減速トルクと要求減速トルクTrとの大小関係にかかわらずクラッチ4が接続状態となるので、同様に運転フィーリングを改善することができる。
【0067】
以上で本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態ではエンジン2の減速トルクを併用する際にエンジン2への燃料供給を停止するようにしたが、これに加えてエンジン2の排気通路に排気ブレーキ装置を設け、この排気ブレーキ装置を作動させることによって、より大きな減速トルクが得られるようにしても良い。
【0068】
また、上記実施形態では回転数センサ36で検出された電動機6の回転数に応じて上限減速トルクTuや要求減速トルクTrを設定するようにしたが、電動機6の回転数に代えて電動機6の回転数の変化に応じて変化する回転数、例えば変速機8の出力回転数などを検出し、これを電動機6の回転数に変換して用いるようにしても良い。
なお、上記実施形態ではエンジン2をディーゼルエンジンとしたが、エンジン形式はこれに限られるものではなく、ガソリンエンジンなどでも良い。
【0069】
また、上記実施形態において、電動機6を永久磁石式同期電動機としたが電動機の形式もこれに限られるものではなく、モータ作動及び発電機作動が可能なものであればよい。
更に、上記実施形態では変速機8を5段の前進変速段を有する自動変速機としたが、前進変速段の数や変速機の形式はこれに限られるものではなく、無段変速機や手動式の変速機などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッド電気自動車の制御装置の全体構成図である。
【図2】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置において実行される減速走行時の制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】図1のハイブリッド電気自動車の制御装置で用いられる上限減速トルクと要求減速トルクとの関係、並びに車両減速時の走行速度の低下に伴う電動機の回転数の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 ハイブリッド電気自動車
2 エンジン
4 クラッチ
6 電動機
8 変速機
16 駆動輪
22 車両ECU(制御手段)




 

 


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