米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 車両 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 助手席用エアバッグ装置及び助手席用エアバッグの折り畳み方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90904(P2007−90904A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−278824(P2005−278824)
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
代理人 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
発明者 深渡瀬 修 / 山田 誠之 / 竹中 研一 / 鈴木 慎哉 / 平井 悟
要約 課題
助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができる助手席用エアバッグ装置及び助手席用エアバッグの折り畳み方法を得る。

解決手段
左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46を備え、双方の根元部分が根元部48によって相互に連通された助手席用エアバッグ32において、根元部48の両側部に折り深さが比較的浅い蛇腹折りを施し(蛇腹折り部72を設け)、車両搭載状態においてインフレータ28のガス噴出孔70が根元部48によってできるだけ塞がれないようにした。この実施形態では、少なくとも両サイドのガス噴出孔70Aが塞がれていない。
特許請求の範囲
【請求項1】
助手席に着座した乗員の両肩に対応して設けられた左側エアバッグ及び右側エアバッグと、左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通する根元部と、を有する助手席用エアバッグと、
略長尺状に形成されると共に複数のガス供給孔を有し、衝突時に複数のガス供給孔から助手席用エアバッグ内へガスを供給するガス供給手段と、
を備え、インストルメントパネル内に固定されたエアバッグケース内に前記ガス供給手段及び折り畳み状態の前記助手席用エアバッグが収納された助手席用エアバッグ装置であって、
車両搭載状態において前記ガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の前記根元部によって塞がれないように、前記根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折り部を設けた、
ことを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
【請求項2】
前記ガス供給手段は、略円筒形状を成し周壁部に前記根元部へガスを供給するための複数のガス供給孔としてのガス噴出孔を有するインフレータである、
ことを特徴とする請求項1記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項3】
前記ガス供給手段は、前記根元部へガスを整流した上で供給するための複数のガス供給孔としての整流孔を有する整流手段である、
ことを特徴とする請求項1記載の助手席用エアバッグ装置。
【請求項4】
助手席に着座した乗員の両肩に対応して設けられた左側エアバッグ及び右側エアバッグと、略長尺状に形成されると共に作動することにより複数のガス供給孔からガスを供給するガス供給手段からガスの供給を受けると共に左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通する根元部と、を有する助手席用エアバッグの折り畳み方法であって、
車両搭載状態において車両後方側に配置される左側エアバッグ及び右側エアバッグを、それぞれ短冊状に折り畳んだ後、両者を重ねた状態で長手方向の片側へ折り畳んでいきエアバッグ折り畳み部を作り込み、
車両搭載状態において車両前方側に配置される残りの根元部を弛ませて、エアバッグ折り畳み部に寄り添うように起こし、
さらに、上記のエアバッグ折り畳み部の折り畳み乃至根元部の折り畳みがなされるいずれかの際に、車両搭載状態において前記ガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の前記根元部によって塞がれないように、当該根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部に相当する位置でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折りを施す、
ことを特徴とする助手席用エアバッグの折り畳み方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面衝突時に助手席用エアバッグを膨張展開させる助手席用エアバッグ装置、並びに当該助手席用エアバッグ装置に折り畳み状態で格納される助手席用エアバッグの折り畳み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、助手席に着座した乗員を前面衝突時の衝撃から保護する目的で助手席用エアバッグ装置が搭載されている。この種の助手席用エアバッグ装置において、最近、助手席用エアバッグを左右一対の袋形状とすることにより中央部にくぼみを設け、展開直後に乗員を両肩等の多面で受け止め、乗員への荷重を分散させることにより、乗員への負荷を軽減することを企図したタイプのエアバッグが開発されている(一例として、特許文献1参照)。
【0003】
上記構成によれば、エアバッグは、通常時はインストルメントパネルの頂壁部の下方等に折り畳み状態で格納されており、前面衝突時になると、インストルメントパネルの頂壁部に設定されたエアバッグドアを展開させた後、ウインドシールドガラスに一旦当たってから車両後方側へと展開され、助手席に着座した乗員の両肩等を受け止めて衝撃を吸収することになる。従って、エアバッグの展開方向の精度が高ければ高いほど、安定した乗員保護性能が得られるということになる。
【特許文献1】特開2004−268903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、インフレータのガス噴出孔上に折り畳み状態のエアバッグの根元部が位置するので、エアバッグの展開初期にインフレータのガス噴出孔の上方側に充分なガス流路を確保することができない。このため、エアバッグの根元部が充分に膨らまないうちにエアバッグの左右のバッグ内へガスが流入して、この状態でウインドシールドガラス及びインストルメントパネルに当接することになるので、左右のバッグがウインドシールドガラス及びインストルメントパネルに接触するのが遅れる。その結果、左右のバッグが上下動し易くなり、エアバッグの展開方向が安定し難い。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができる助手席用エアバッグ装置及び助手席用エアバッグの折り畳み方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、助手席に着座した乗員の両肩に対応して設けられた左側エアバッグ及び右側エアバッグと、左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通する根元部と、を有する助手席用エアバッグと、略長尺状に形成されると共に複数のガス供給孔を有し、衝突時に複数のガス供給孔から助手席用エアバッグ内へガスを供給するガス供給手段と、を備え、インストルメントパネル内に固定されたエアバッグケース内に前記ガス供給手段及び折り畳み状態の前記助手席用エアバッグが収納された助手席用エアバッグ装置であって、車両搭載状態において前記ガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の前記根元部によって塞がれないように、前記根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折り部を設けた、ことを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の助手席用エアバッグ装置において、前記ガス供給手段は、略円筒形状を成し周壁部に前記根元部へガスを供給するための複数のガス供給孔としてのガス噴出孔を有するインフレータである、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の本発明は、請求項1記載の助手席用エアバッグ装置において、前記ガス供給手段は、前記根元部へガスを整流した上で供給するための複数のガス供給孔としての整流孔を有する整流手段である、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の本発明は、助手席に着座した乗員の両肩に対応して設けられた左側エアバッグ及び右側エアバッグと、略長尺状に形成されると共に作動することにより複数のガス供給孔からガスを供給するガス供給手段からガスの供給を受けると共に左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通する根元部と、を有する助手席用エアバッグの折り畳み方法であって、車両搭載状態において車両後方側に配置される左側エアバッグ及び右側エアバッグを、それぞれ短冊状に折り畳んだ後、両者を重ねた状態で長手方向の片側へ折り畳んでいきエアバッグ折り畳み部を作り込み、車両搭載状態において車両前方側に配置される残りの根元部を弛ませて、エアバッグ折り畳み部に寄り添うように起こし、さらに、上記のエアバッグ折り畳み部の折り畳み乃至根元部の折り畳みがなされるいずれかの際に、車両搭載状態において前記ガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の前記根元部によって塞がれないように、当該根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部に相当する位置でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折りを施す、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、衝突時、助手席用エアバッグ装置が作動すると、ガス供給手段が有する複数のガス供給孔から助手席用エアバッグの根元部へガスが供給される。根元部は左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを連通しているので、根元部へ供給されたガスは左側エアバッグ及び右側エアバッグ内へそれぞれ流入し、双方のエアバッグを助手席へ向けて展開させる。左側エアバッグは助手席に着座している乗員の左肩を受け止め、右側エアバッグは当該乗員の右肩を受け止め、双方相俟って乗員の上体を安定した状態で受け止める。これにより、左側エアバッグ及び右側エアバッグによって前面衝突時の衝撃が吸収されると共に、エアバッグから乗員へ入力される荷重が分散されて乗員に作用する負荷が低減される。
【0011】
ここで、本発明では、車両搭載状態においてガス供給手段が備える複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の根元部によって塞がれないように、根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折り部を設けたので、ガス供給手段のガス供給孔のすべてが折り畳み状態の根元部によって塞がれることを回避することができる。従って、ガス供給手段のガス供給孔の上方側にガス流路を確保することができる。これにより、助手席用エアバッグ装置の作動直後にガス供給手段からのガスが根元部に迅速に供給され、根元部が迅速に膨張される。その結果、左側エアバッグ及び右側エアバッグは、しっかりと膨張した根元部に反力をとって安定した状態で展開される。
【0012】
すなわち、本発明によれば、車両搭載状態においてガス供給手段のガス供給孔のすべてが、折り畳まれた根元部によって塞がれてしまうのを事前に回避しておくことで、左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通している根元部を迅速かつ確実に膨張させ、これにより根元部に極めて早期に「壁」としての機能を発揮させることができる。その結果、本発明によれば、左側エアバッグ及び右側エアバッグの助手席側への膨出展開方向が非常に安定する作用が得られる。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、ガス供給手段が略円筒形状を成すインフレータとされ、当該インフレータのガス噴出孔から噴出されたガスが助手席用エアバッグの根元部へ供給される。
【0014】
ここで、本発明では、インフレータの複数のガス噴出孔のうち少なくとも一つが根元部の蛇腹折り部によって塞がれないようにしたので、上述した請求項1記載の発明と同様の作用が得られる。すなわち、インフレータのガス噴出孔のすべてが折り畳み状態の根元部によって塞がれることを回避することができる。従って、インフレータのガス噴出孔の上方側にガス流路を確保することができ、根元部を迅速に膨張展開させることができる。
【0015】
請求項3記載の本発明によれば、ガス供給手段が根元部へ供給されるガスを整流する整流手段とされ、当該整流手段のガス整流孔から整流されたガスが助手席用エアバッグの根元部へ供給される。
【0016】
ここで、本発明では、整流手段の複数の整流孔のうち少なくとも一つが根元部の蛇腹折り部によって塞がれないようにしたので、上述した請求項1記載の発明と同様の作用が得られる。すなわち、整流手段の整流孔のすべてが折り畳み状態の根元部によって塞がれることを回避することができる。従って、整流手段の整流孔の上方側にガス流路を確保することができ、根元部を迅速に膨張展開させることができる。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、助手席用エアバッグは以下の如くして折り畳まれる。まず、左側エアバッグ及び右側エアバッグをそれぞれ短冊状に折り畳み、次に両者を重ねた状態で長手方向の片側へ折り畳んでいく。これにより、左側エアバッグ及び右側エアバッグに相当する助手席用エアバッグのエアバッグ折り畳み部が作り込まれる。次に、左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通している残りの根元部を弛ませて、エアバッグ折り畳み部に寄り添うように起こす。そして、上記の如くして折り畳まれた助手席用エアバッグは、車両搭載に際してエアバッグ折り畳み部が車両後方側に配置され、根元部が車両前方側に配置される。
【0018】
このように根元部を弛ませた部分とエアバッグ折り畳み部とが前後に配置された助手席用エアバッグ装置が作動した場合、ガス供給手段のガス供給孔から供給されたガスは、短冊状に折り畳まれて重ねられてから長手方向の片側へ折り畳まれて作られたエアバッグ折り畳み部へ流入するより早く、エアバッグ折り畳み部に寄り添うように起こされて配置されている根元部の方へ流入される。このため、根元部がいち早く膨出展開し、車両前方側にて「壁」を作る。この「壁」が作られた後に、エアバッグ折り畳み部の折りが解けて左側エアバッグ及び右側エアバッグが助手席に着座する乗員側へ向けて展開していく。このとき、左側エアバッグと右側エアバッグとを各々の根元部分で相互に連通する根元部が「壁」になることで、左側エアバッグ及び右側エアバッグの助手席側への膨出展開方向が非常に安定する作用が得られる。
【0019】
ここで、本発明では、さらに、上記のエアバッグ折り畳み部の折り畳み乃至根元部の折り畳みがなされるいずれかの際に、車両搭載状態においてガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の根元部によって塞がれないように、当該根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部に相当する位置でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折りを施すこととしたので、折り畳まれた助手席用エアバッグが車両に搭載された状態において、ガス供給手段のガス供給孔のすべてが、折り畳まれた根元部によって塞がれてしまうのを事前に回避することができる。このため、左側エアバッグの根元部分と右側エアバッグの根元部分とを相互に連通している根元部が迅速かつ確実に膨張され、これにより根元部に極めて早期に「壁」としての機能を発揮させることができる。その結果、本発明によれば、左側エアバッグ及び右側エアバッグの助手席側への膨出展開方向が非常に安定する作用が得られる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、車両搭載状態においてガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の根元部によって塞がれないように、根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折り部を設けたので、助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0021】
請求項2記載の本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、ガス供給手段を、略円筒形状を成し周壁部に根元部へガスを供給するための複数のガス供給孔としてのガス噴出孔を有するインフレータとしたので、整流手段を備えていない場合においても、助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0022】
請求項3記載の本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、ガス供給手段を、根元部へガスを整流した上で供給するための複数のガス供給孔としての整流孔を有する整流手段としたので、整流手段を備えた場合においても、助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0023】
請求項4記載の本発明に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法は、エアバッグ折り畳み部の折り畳み乃至根元部の折り畳みがなされるいずれかの際に、車両搭載状態においてガス供給手段の複数のガス供給孔のうち少なくとも一つが折り畳み状態の根元部によって塞がれないように、当該根元部の両側部にガス供給手段の長手方向両端部に相当する位置でのみガス供給手段の長手方向に沿って折り返す蛇腹折りを施すこととしたので、助手席用エアバッグの展開方向の精度を高めることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図1〜図20を用いて、本発明に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法の幾つかの実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0025】
(助手席用エアバッグ装置10の全体構成)
図1には、本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10の車両搭載状態の縦断面図が示されている。また、図2には、当該助手席用エアバッグ装置10の作動状態の斜視図が示されている。
【0026】
これらの図に示されるように、助手席用エアバッグ装置10は、インストルメントパネル12における頂壁部12Aの助手席側に配設されている。助手席用エアバッグ装置10は、機能部品が収容されたエアバッグモジュール14と、当該エアバッグモジュール14の上端開放部を閉塞するエアバッグドア16と、を主要部として構成されている。
【0027】
エアバッグドア16は、インストルメントパネル12における頂壁部12Aの裏面側に配置されており、前後に展開する一対の展開部16A、16Bと、これらの一対の展開部16A、16Bの裏面から略車両下方側へ延出されると共に取付用開口部20が形成された脚部16C、16Dと、を備えている。展開部16A、16Bと脚部16C、16Dとはヒンジ部16E、16Fを介して連結されている。また、エアバッグドア16には、展開部16A、16Bを前後に展開させるべく、平面視で略H型とされて所定値以上のバッグ膨張圧が作用することにより破断する(インビジブルタイプの)ティアライン18が設定されている。
【0028】
一方、エアバッグモジュール14は、図示しないインパネリインフォース等の強度部材にブラケットを介して支持された略箱体形状のエアバッグケース22を備えている。エアバッグケース22の前後の壁にはフック状の係止部24が設けられており、この係止部24にエアバッグドア16の脚部16C、16Dに形成された取付用開口部20が係止されることにより、エアバッグドア16がエアバッグケース22に取り付けられている。
【0029】
エアバッグケース22の底壁部22Aにおける前後方向の中央部には、断面形状が下凸の半円形状とされた凹部26が形成されている。この凹部26内に略円柱形状に形成されたインフレータ28が収容されている。さらに、インフレータ28の上方側には、インフレータ28から噴出されたガスによって膨張しエアバッグドア16を展開させ、助手席30に着座している乗員側へ向けて膨出される助手席用エアバッグ32が折り畳み状態で収容されている。
【0030】
助手席用エアバッグ32の後述する根元部48にはインフレータ28からのガスが供給されるガス供給用開口部が形成されており、このガス供給用開口部の内側に金属製の整流手段としてのリテーナ36が装着されている。リテーナ36は略矩形の枠状に形成された外周部36Aと、この外周部36Aの内側に形成された中空半円筒形状の本体部36Bと、によって構成されている。この本体部36Bがインフレータ28の上半分に被嵌されて、リテーナ36の外周部36Aから車両下方側へ突出されたボルト38にナット40が螺合されることにより、インフレータ28がエアバッグケース22の底壁部22Aの凹部26にリテーナ36と共に固定されている。なお、リテーナ36の本体部36Bには整流孔としての複数の開口部42が形成されており、ガスを整流するディフューザとしても機能するようになっている。
【0031】
また、インフレータ28の周壁部の所定位置には、複数のガス噴出孔70(図19、 図20参照)が所定の配列で形成されている。本実施形態では、一例として平面視で6個、底面視で6個の合計12個のガス噴出孔70がインフレータ28の周壁部に形成されている。さらに、インフレータ28は、車体前部の所定位置に配置された図示しないフロントエアバッグセンサ及び車室中央部に配置された図示しないセンタエアバッグセンサによって前面衝突状態が検知された場合に図示しないエアバッグECUによって作動され、複数のガス噴出孔からガスを噴出するようになっている。
【0032】
次に、上記インフレータ28から噴出されたガスによって膨張される助手席用エアバッグ32の構造について説明する。
【0033】
図2及び図3に示されるように、この助手席用エアバッグ32は、助手席30に着座した乗員の前方左側に膨張し主として乗員の左肩を受け止める左側エアバッグ44と、当該乗員の前方右側に膨張し主として乗員の右肩を受け止める右側エアバッグ46と、これらの左側エアバッグ44の根元部分と右側エアバッグ46の根元部分とを相互に連通する根元部48と、を備えている。
【0034】
左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46は、平面視で見た場合には、車両幅方向の厚さが車両上下方向の高さよりも薄くなるように設定されており、側面視で見た場合には、前端側が窄まり後端側が車両上下方向に広がる形状を成している。左側エアバッグ44の外側中央部付近及び右側エアバッグ46の外側中央部付近には、乗員を受け止めた際に内部のガスを排出してバッグ内圧を下げるためのベントホール50(図2参照)が設けられている。
【0035】
また、助手席用エアバッグ32の膨張時には、左側エアバッグ44の内側略中央部と右側エアバッグ46の内側略中央部とが当接するようになっている。これにより、前面衝突時に、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の後端部に、車両前方側へ慣性移動する乗員によって荷重が入力された際に、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46が中折れ(座屈)するのを防止している。
【0036】
上述した左側エアバッグ44の後端部と右側エアバッグ46の後端部とは、乗員側から見て矩形状に形成された布状のタイパネル52によって車両幅方向に連結されている。このタイパネル52は前面衝突時に車両前方側へ慣性移動する乗員の胸部を受け止めることが可能な位置及び範囲に設定されており、前面衝突時には乗員の胸部をソフトに受け止める役割を果たしている。また、前記の如く、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の膨張時には、双方の内側面同士が当接するため、タイパネル52の裏面側の空間部54は狭くなっている。これにより、乗員の胸部が左側エアバッグ44と右側エアバッグ46の間に過度に入り込むのを防止している。なお、タイパネル52は、広義には、左側エアバッグ44の後端側と右側エアバッグ46の後端側とを車両幅方向に連結する連結部材として把握される要素である。
【0037】
なお、図3に示される斜線部は、前面衝突時に、乗員が左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46から受ける荷重の部位及び範囲を概略的に示したものであり、荷重が分散されていることが解る。
【0038】
一方、左側エアバッグ44の根元部分と右側エアバッグ46の根元部分とを相互に連通する根元部48は、言わば左側エアバッグ44と右側エアバッグ46との共用スペースであり、かかる根元部48内にインフレータ28から噴出されたガスが供給されることにより、後述する折り畳み方法によって折り畳まれた助手席用エアバッグ32が膨張されるようになっている。
【0039】
(助手席用エアバッグ32の折り畳み方法)
次に、上述した助手席用エアバッグ32の折り畳み方法について詳述する。
【0040】
まず、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46はタイパネル52によって相互に連結されているので、別々に折り畳んでいく。具体的には、左側エアバッグ44を横向きに置いてから、上下方向に概ね三等分して下側については中央側へ折り返して順次蛇腹折りし、上側については中央側へ向けてロール折りしていく。こうすると、左側エアバッグ44は上下部分の幅が無くなり、蛇腹折りされた下側の部分とロール折りされた上側の部分とが全体的に中央側へ寄せられて隣接して配置される。その後、更に蛇腹折りされた下側の上にロール折りされた上側が載せられて、左側エアバッグ44の折り畳みが一旦終了する。この状態では、左側エアバッグ44は短冊状に折り畳まれている。
【0041】
次に、右側エアバッグ46についても同じ手順で折り畳む。これにより、右側エアバッグ46も短冊状に折り畳まれる。なお、左側エアバッグ44と右側エアバッグ46のどちらを先に折り畳むかは任意である。
【0042】
ここまで折り畳んだ状態を図示したものが図4(A)〜(C)である。なお、図4において符号「49」で示した部分が、根元部48を弛ませた部分、即ち弛み部である。
【0043】
次に、図5(A)に示されるように、助手席用エアバッグ32の左右を反転させてると共に左側エアバッグ44と右側エアバッグ46とを重ね合わせた後、左側エアバッグ44の先端部(タイパネル52から先の部分)44Aと右側エアバッグ46の先端部(同左)46Aとを互いに離反する方向でかつ45度の方向へ折り曲げて全体形状をT字状にする。
【0044】
次に、左右の先端部44A、46Aのはみ出し部分44A’、46A’を中央側へ折り曲げて形を揃えて、図6(A)〜(C)に示される如くとする。
【0045】
次に、図7(A)、(B)に示されるように、左側エアバッグ44と右側エアバッグ46とを重ねた状態で、長手方向の一方の端部(タイパネル52側)を弛み部49側へロール折りによって折り畳んでいく。図7(A)、(B)に示される状態が一回ロール折りした状態であり、図8(A)、(B)に示される状態が二回ロール折りした状態である。そして、最後に、図9(A)、(B)に示されるように、一回蛇腹折りをして、蛇腹折り部分59の上に二回ロール部分60を載せ、エアバッグ折り畳み部62を作りこむ。
【0046】
次に、図10(A)、(B)に示されるように残りの弛み部49を延ばしてから、図11(A)〜(C)に示されるように当該弛み部49がエアバッグ折り畳み部62に寄り添うように起こされる。このとき、弛み部49の全長はエアバッグ折り畳み部62の高さよりも若干長くなるので、長くなった分だけ先端部49Aを蛇腹折りによってエアバッグ折り畳み部62側(車両後方側)へ向けて一回折り返しておく。この先端部49Aの折り返しは、弛み部49を起こす前に行ってもよいし、弛み部49を起こす途中で行ってもよいし、弛み部49を起こした後に行ってもよい。
【0047】
上記の如くして折り畳まれた助手席用エアバッグ32は、図12に示されるように、車両搭載状態において根元部48を形成する弛み部49が車両前方側に配置され、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46を形成するエアバッグ折り畳み部62が車両後方側に配置されるように前後の位置関係が定められてエアバッグケース22内に納められ、車両のインストルメントパネル12に組付けられる。
【0048】
(本実施形態の要部)
ここで、本実施形態では、上述した助手席用エアバッグ32の折り畳み方法において、図4に示される工程と図5に示される工程との間に、根元部48の両側部に蛇腹折りを施して蛇腹折り部72を設けており、以下に詳細に説明する。
【0049】
図14に示されるように、上述した助手席用エアバッグ32の折り畳みが完了した時点においては、根元部48の両側部に折り深さが比較的浅い蛇腹折りが施されて蛇腹折り部72が設けられている。なお、参考用に図示した図15に示されるように、実際に助手席用エアバッグ装置20が車両に搭載される際には、リテーナ36の本体部36Bの円弧形状に沿って助手席用エアバッグ32がバッグ厚さ方向(車両上下方向)に圧縮されるので、この状態のときには蛇腹折り部72は潰れている。
【0050】
ここまでの説明は助手席用エアバッグ32の根元部48を外観から見た場合の形状の説明であった。次に、折り深さが比較的浅い蛇腹折り部72を設けたことにより、内部の機能部品との関係がどうなったかについて説明する。
【0051】
図16は、根元部48の蛇腹折り部72とインフレータ28及び整流手段であるリテーナ36との関係を示したものである。この図に示されるように、インフレータ28の周壁部には上面側と下面側の双方に各々6個ずつのガス噴出孔70が形成されている。なお、図16には、上面側のガス噴出孔70の片側半分と下面側のガス噴出孔70の片側半分の合計6個のガス噴出孔70が図示されている。一方、リテーナ36の整流用の開口部42は中央三箇所に配置された壁74の存在によって、両サイド二箇所(42A)と中央二箇所(42B)の合計4箇所が図面上示されているが、各壁74に対向するようにインフレータ28のガス噴出孔70が配置されているため、インフレータ28のガス噴出孔70から噴出されたガスは、矢印Cに示される如く直進してリテーナ36の壁74に衝突した後、両脇の各開口部42Bを通って根元部48内へ供給される。
【0052】
ここで、本実施形態では、上述したように根元部48の両側部に折り深さが比較的浅い蛇腹折り部72を設定することにより、リテーナ36の開口部42が当該根元部48によって塞がれるのを回避する構造となっている。より詳細には、蛇腹折り部72は、バッグの内側から見て、中央部に吊り下がったように配置された中央蛇腹部72Aと、両側部に設けられて根元部48の内方へ張り出す第1蛇腹部72B、第2蛇腹部72Cとを有しており、リテーナ36の本体部36Bに近づくにつれて、蛇腹折りの深さが浅くなっている。これにより、図16に一点鎖線Pで示されるように、中央蛇腹部72Aの山と第1蛇腹部72B及び第2蛇腹部72Cの山とを結ぶと、ハの字になるように折り深さが規定されている。これにより、根元部48が車両上下方向に圧縮されたとしても、少なくとも両サイドの開口部42Aについては根元部48によって塞がれることはなく(この外側の開口部42Aを塞がないことが重要)、中央蛇腹部72Aにしても根元部48の天井側にあるので、第1蛇腹部72B及び第2蛇腹部72Cの肉厚が効いてそれほど塞がれない構造となっている。
【0053】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0054】
まず最初に、本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10の全体的な作用を概説する。図示しないフロントエアバッグセンサ及びセンタエアバッグセンサによって前面衝突状態が検出されると、エアバッグECUによってインフレータ28が作動される。インフレータ28が作動すると、インフレータ28の周壁部に形成された複数のガス噴出孔70からガスが噴出される。噴出されたガスはディフューザとしても機能するリテーナ36によって整流された後に、リテーナ36の開口部42から助手席用エアバッグ32内へ流入される。
【0055】
これにより、助手席用エアバッグ32が膨張し、バッグ内圧が所定値以上に達すると、エアバッグドア16がティアライン18に沿って破断して、ウインドシールドガラス56側へ展開される。その結果、左側エアバッグ44は助手席30に着座する乗員の左肩を中心に受け止め、又右側エアバッグ46は当該乗員の右肩を中心に受け止める。さらに、タイパネル52は当該乗員の胸部を中心に受け止める。その結果、前面衝突時の衝撃から乗員を保護するだけでなく、図3に示される如く、助手席用エアバッグ32の展開直後に乗員を両肩等の多面で受け止め、乗員への荷重を分散させることができ、ひいては乗員への負荷を軽減することができる。
【0056】
続いて、本実施形態に係る助手席用エアバッグ32の折り畳み方法の作用を概説する
前述した折り畳み方法によって助手席用エアバッグ32を折り畳むと、助手席用エアバッグ装置10をインストルメントパネル12に組み付けた際に、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46を形成し助手席用エアバッグ32の大半を占めるエアバッグ折り畳み部62を車両後方側に配置し、左側エアバッグ44の根元部分及び右側エアバッグ46の根元部分を相互に連通する根元部48を形成する弛み部49をエアバッグ折り畳み部62に寄り添うように車両前方側に配置することができる。
【0057】
この状態において、助手席用エアバッグ装置10が作動すると、図13(A)に示されるように、二回のロール折りと一回の蛇腹折りとを組み合わせて折り込んだエアバッグ折り畳み部62は、ガスが流入するのに多少時間がかかる。つまり、折り畳みが解け難い。そのため、略車両上下方向に起立状態で配置されて元々ガスが流入し易く畳まれている弛み部49へガスが集中して流入し、当該弛み部49を瞬時に膨張させる。これにより、図13(B)に示されるように、弛み部49が車両上方側(同図の矢印A方向側)へ打ち上げられるようにして膨出されて、ウインドシールドガラス56に当接し、根元部48を形成する。
【0058】
このように根元部48がいち早く略車両上方側へ膨出展開することで、エアバッグ展開エリアの車両前方側にガスで充分に張られた「壁」が作られる。そして、図13(C)に示されるように、この「壁」に反力をとって、エアバッグ折り畳み部62の折りが解けて、助手席30に着座する乗員側へ向けて(同図の矢印B方向へ向けて)展開し、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46が形成される。つまり、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の共通のガス供給部である根元部48を形成する弛み部49に、展開の極めて初期の段階で集中的にガスを送り込み、所定の方向へ弛み部49を膨出させて「壁」を配置する(立ち上げる)ことにより、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の助手席30側への膨出展開方向(同図の矢印B方向)が非常に安定する作用が得られる。なお、図13(C)の矢印Bは、エアバッグ折り畳み部62の中心部の挙動の軌跡を現している。
【0059】
次に、本実施形態の要部に係る根元部48の両側部に蛇腹折り部72を設けたことの作用・効果について詳述する。
【0060】
図17(A)、(B)は、従来の助手席用エアバッグ100の折り畳み方による場合の展開初期の様子を模式的に描いたものである。この図に示されるように、従来の助手席用エアバッグ100の場合、根元部102の両側部に折り深さが比較的深い蛇腹折りが施されている(以下、「蛇腹折り部104」と称す)。さらに、インフレータ106のガス噴出孔112の真上に左側エアバッグ108の根元部分と右側エアバッグ110の根元部分とを相互に連通する根元部102の連通部114が配置されている。そして更に、実際の車両搭載状態では、助手席用エアバッグ100は、図17(A)に示される状態にあるのではなく、インフレータ106側へ圧縮された状態にある。このため、インフレータ106のガス噴出孔112は連通部114によって塞がれてしまい、インフレータ106のガス噴出孔112の上方側にはガス流路が確保されていない状態になる。つまり、図18に示されるように、インフレータ106の長手方向の両端部106Aの上方側にのみガス流路S1が存在するかたちになる。なお、左側エアバッグ108と右側エアバッグ110との間に配置されているのは、両者を車両幅方向に連結するタイパネル115である。
【0061】
この状態において、インフレータ106が作動してガス噴出孔112からガスが噴出されると、助手席用エアバッグ100の全体が一旦車両上方側へ持ち上げられるような挙動を示し(図17(B)の矢印イでこれを現す)、それから根元部102が膨張しつつ、左側エアバッグ108及び右側エアバッグ110内へガスが流入して、左側エアバッグ108及び右側エアバッグ110が膨張展開していく(図17(B)に矢印ロでこれを現す)。つまり、根元部102が完全に膨張しきらない状態で左側エアバッグ108及び右側エアバッグ110の膨張展開が始まる。従って、その分、左側エアバッグ108及び右側エアバッグ110の展開方向が多少上下左右にぶれる(不安定になる)可能性がある。
【0062】
これに対し、本実施形態の場合には、図19(A)、(B)に示される如くとなる。なお、本実施形態の根元部48の内部構成は前述した図16のようになっているが、図19では上記従来技術と対比し易いように模式化している。
【0063】
本実施形態は、前述したように、助手席用エアバッグ32の根元部48の両側部に折り深さが比較的浅い蛇腹折り部72を設定し、インフレータ28のガス噴出孔70を塞がないようにするものであった。これを図17に合わせて模式化すると、図19(A)に示される如くとなり、インフレータ28のガス噴出孔70の少なくとも両サイドのガス噴出孔70Aについては根元部48によって塞がれることはない。逆に言えば、ガス噴出孔70を塞いでいた蛇腹内側基布76を左右の蛇腹折り部72から外して中央側に寄せて、略三角形状の釣鐘部76Aを作り、これにより両サイドのガス噴出孔70Aの噴出経路を塞がないようにした。つまり、図20に示されるように、インフレータ28の長手方向の両端部のみに折り深さが比較的浅い蛇腹折り部72を設定し、釣鐘部76Aによる中央のガス噴出孔70Bの閉塞は仕方ないとしても、その両側にあるガス噴出孔70Aについてはガス流路S2が確保されるようにすることで、根元部48の迅速な膨張展開を実現している。
【0064】
従って、この状態において、インフレータ28が作動してガス噴出孔70からガスが噴出されると、中央のガス噴出孔70Bから噴出されたガスは釣鐘部76Aの底面、つまり左側エアバッグ44の根元部分と右側エアバッグ46の根元部分とを繋ぐ連通部48Aに当たるが(図19(A)、(B)に矢印ハでこれを現す)、その両サイドのガス噴出孔70Aから噴出されたガス(図19(A)、(B)に矢印ニでこれを現す)はガス流路S2を通って根元部48をいち早く膨張展開させ、続いて完全に膨張展開した根元部48に反力をとって左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46が膨張展開していく。従って、その分、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の展開方向が上下左右にぶれず、安定する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置及び助手席用エアバッグの折り畳み方法によれば、車両搭載状態においてインフレータ28のガス噴出孔70のすべて(リテーナ36が設けられる場合はリテーナ36の開口部42のすべて)が、折り畳まれた根元部48によって塞がれてしまうのを事前に回避しておくことで、左側エアバッグ44の根元部分と右側エアバッグ46の根元部分とを相互に連通している根元部48を迅速かつ確実に膨張させ、これにより根元部48に極めて早期に「壁」としての機能を発揮させることができる。その結果、本実施形態によれば、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の助手席30側への膨出展開方向が非常に安定する作用が得られ、ひいては助手席用エアバッグ32の展開方向の精度を高めることができる。
【0066】
特に、リテーナ36の中央に配置された開口部42B以外の両サイドの開口部42Aを塞がないようにした(インフレータ28の中央に配置されたガス噴出孔70B以外の両サイドのガス噴出孔70Aを塞がないようにした)ので、根元部48を迅速かつ確実に膨張させることができることに加えて、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46についてもより短い距離で(最短経路でダイレクトに)ガスが供給される。従って、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46を左右同時に迅速に展開させることができる。このことは、左側エアバッグ44及び右側エアバッグ46の安定した展開性能を確保する上で非常に有益である。
【0067】
〔本実施形態の補足説明〕
なお、上述した本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10では、リテーナ36の中央に配置された開口部42A以外の両サイドに配置された開口部42Bを塞がないように(インフレータ28の中央に配置されたガス噴出孔70B以外の両サイドのガス噴出孔70Aを塞がないように)工夫したが、少なくとも一つの開口部40(ガス噴出孔70)が塞がれないようにすればよい。
【0068】
また、上述した本実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10では、リテーナ36を配設したが、これに限らず、リテーナ36を省略した構成に対して本発明を適用してもよい。
【0069】
さらに、上述した本実施形態に係る助手席用エアバッグ32の折り畳み方法では、図4に示した折り畳み工程と図5に示した折り畳み工程との間に根元部48の両側部に蛇腹折りを施すこととしたが、これに限らず、別のタイミングで根元部48の両側部に蛇腹折りを施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施形態に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法によって折り畳まれたエアバッグを格納した助手席用エアバッグ装置の車両搭載状態の縦断面図である。
【図2】図1に示される助手席用エアバッグ装置の作動状態の斜視図である。
【図3】助手席用エアバッグが展開した際に乗員が受ける荷重の範囲を描いた模式図である。
【図4】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
【図5】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は部分正面図、(C)は(A)のC−C線に沿った拡大断面図である。
【図6】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は部分正面図、(C)は側面図である。
【図7】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図8】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図9】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図10】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図11】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、(A)は平面図、(B)、(C)は要部拡大正面図である。
【図12】助手席用エアバッグの折り畳み方法を示す工程図であり、折り畳みが終了した状態を示す正面図(一部断面)である。
【図13】本実施形態に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法の作用を説明するための説明図であり、(A)は展開直後の状態、(B)は弛み部が膨出された状態、(C)は助手席用エアバッグの展開途中の状態をそれぞれ示す縦断面図である。
【図14】本実施形態に係る助手席用エアバッグの折り畳み方法によって折り畳まれた助手席用エアバッグの外観斜視図である。
【図15】図14に示される助手席用エアバッグを車両上下方向に圧縮した状態を示す助手席用エアバッグの外観斜視図である。
【図16】本実施形態の要部を拡大して示す図15の16−16線に沿った拡大断面図である。
【図17】従来の折り畳み方で折り畳んだ助手席用エアバッグの作用・効果を説明するための模式図である。
【図18】図17に示される場合のインフレータの流路の形成範囲を示すインフレータの拡大正面図である。
【図19】本実施形態の折り畳み方で折り畳んだ助手席用エアバッグの作用・効果を説明するための模式図である。
【図20】図19に示される場合のインフレータの流路の形成範囲を示すインフレータの拡大正面図である。
【符号の説明】
【0071】
10 助手席用エアバッグ装置
12 インストルメントパネル
22 エアバッグケース
28 インフレータ(ガス供給手段)
30 助手席
32 助手席用エアバッグ
36 リテーナ(整流手段、ガス供給手段)
42 開口部(整流孔、ガス供給孔)
44 左側エアバッグ
46 右側エアバッグ
48 根元部
49 弛み部
70 ガス噴出孔(ガス供給孔)
72 蛇腹折り部




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013