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発明の名称 遠隔操作装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−45340(P2007−45340A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−232686(P2005−232686)
出願日 平成17年8月11日(2005.8.11)
代理人 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫
発明者 三好 武博
要約 課題
簡単な構造でありながら、何れか一方のブレーキレバーを操作するだけで、2つのブレーキを作動させることが可能で、しかも、インナーワイヤーの先端がブレーキレバーから抜け出て外れてしまうことのない自転車などに用いられる遠隔操作装置を提供する。

解決手段
第1のブレーキレバー5に連結した第1のレバーワイヤー11と、第2のブレーキレバー6に連結した第2のレバーワイヤー12とを個別の移動体16、17に係合させて、これらの移動体16、17の何れが移動した場合も、ブレーキワイヤー13、14を介して両方のブレーキ3、4が作動するように構成した。これにより、何れか一方のブレーキレバー5を操作した場合でも、両方のブレーキ3、4が作動するとともに、操作しないブレーキレバー6に接続されたレバーワイヤー12に係合された移動体17が、レバーワイヤー12を緩ませる方向に移動されないので、レバーワイヤー12が緩んでブレーキレバー6から外れることを防止できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
それぞれが独立操作可能な複数の操作部と、操作部の操作力によって操作される複数の被操作部とを、アウターチューブとインナーワイヤーとから構成された可撓性伝達線材をもって連結機構を介して連係し、1つの操作部の操作力で複数の被操作部を操作可能に構成した遠隔操作装置であって、
前記可撓性伝達線材は、その一端がそれぞれの操作部に接続された入力側可撓性伝達線材と、その一端がそれぞれの被操作部に接続された出力側可撓性伝達線材とからなり、
前記連結機構は、前記入力側可撓性伝達線材の他端と前記出力側可撓性伝達線材の他端との間に介装され、所定位置に設けられた固定体と、この固定体に対して個別に移動自在で、かつ、前記操作部と同数の移動体とを備え、
各入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を前記連結機構の各移動体に係止させるとともに、各入力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端を連結機構の固定体に係止させ、何れかの操作部を操作することで前記インナーワイヤーに接続された移動体を固定体に対して移動するように構成し、
各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端を前記連結機構の各移動体に係止させるとともに、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブを固定体に対して非拘束とし、移動体の固定体に対する移動に伴って出力側可撓性伝達線材のアウターチューブを被操作部側に移動させるように構成し、
各出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブが係止された移動体とは異なる移動体にそれぞれ係止させた
遠隔操作装置。
【請求項2】
操作部として第1、第2の操作部を設け、入力側可撓性伝達線材として第1、第2の入力側可撓性伝達線材を設け、移動体として第1、第2の移動体を設け、被操作部として第1、第2の被操作部を設け、出力側可撓性伝達線材として第1、第2の出力側可撓性伝達線材を設けている請求項1記載の遠隔操作装置。
【請求項3】
固定体に設けた境界部を挟んで、固定体において第1の移動体と第2の移動体とが個別に互いに反対方向にスライドする配置とした請求項2記載の遠隔操作装置。
【請求項4】
各移動体において、入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部が係止している箇所を略中心として、一方の出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部と、他方の出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端部とが、互いに反対側になるように配置した請求項2または3に記載の遠隔操作装置。
【請求項5】
遠隔操作装置の操作部が二輪車または三輪車に設けられたブレーキレバーであり、遠隔操作装置の被操作部が二輪車または三輪車に設けられたブレーキである請求項1〜4の何れか1項に記載の遠隔操作装置。
【請求項6】
前輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する一方の移動体との遊び量が、後輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する他方の移動体との遊び量よりも大きくなるように配設した請求項5に記載の遠隔操作装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の遠隔操作装置を備えた二輪車または三輪車。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車のブレーキ装置などに適した遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車に設けられている一般的なブレーキ装置の構成は、以下のとおりである。図9に示すように、ハンドル50の左右にブレーキレバー51、52が取り付けられ、各ブレーキレバー51、52に、フレキシブル・リモートコントロール・ワイヤーなどと称される可撓性伝達線材53、54を介して、前輪と後輪とにそれぞれ組み付けられているブレーキ55、56を個別に接続している。
【0003】
ここで、可撓性伝達線材53、54は、アウターチューブ53a、54aにインナーワイヤー53b、54bを挿入させた構造である。そして、アウターチューブ53a、54aの一端部は、ブレーキレバー51、52を回動自在に支持するレバー支持アーム57、58に係止され、アウターチューブ53a、54aの他端部は、ブレーキ55、56の一方のアーム部分をなすインナーブレーキアーム55a、56aに設けられたアウターチューブ受け55b、56bに係止されている。また、インナーワイヤー53b、54bの一端部は、ブレーキレバー51、52の基端部に係止され、インナーワイヤー53b、54bの他端部は、ブレーキ55、56の他方のアーム部分をなすアウターブレーキアーム55c、56cの一部に設けられたインナーワイヤー係止部55d、56dに係止されている。
【0004】
一方のブレーキレバー51、52、例えばブレーキレバー52を握る操作を行うと、このブレーキレバー52に接続されたコントロールワイヤー54のインナーワイヤー54bの一端部が、ブレーキレバー52の操作に伴って引き出される。これに伴って、コントロールワイヤー54の他端部において、アウターチューブ54aに対してインナーワイヤー54bが引き込まれるようにインナーワイヤー54bが移動し、その結果、ブレーキ56のインナーブレーキアーム56aとアウターブレーキアーム56cとのブレーキ接触ブロックの部分が互いに接近するように移動してブレーキ動作が行われる。
【0005】
このように、アウターチューブ54aとインナーワイヤー54bとからなるコントロールワイヤー54を用いることで、一端部におけるインナーワイヤー54bのアウターチューブ54aに対する相対位置の変動が、他端部においても、インナーワイヤー54bのアウターチューブ54aに対する相対位置の変動として伝達され、離間した2箇所で動きが伝達される。
【0006】
ところで、自転車に設けられている一般的なブレーキ装置では、片手で片方のブレーキレバー51、52だけを操作した場合には、前輪または後輪、すなわち片方のブレーキ55、56だけしか動作しない欠点がある。例えば、右のブレーキレバー52だけを急に握った場合には、前輪のブレーキ55だけが動作するため、自転車の前側だけが急停止する一方で自転車の車体の後部側が浮き上がるような挙動を生じて不安定な姿勢となってしまう。また、左のブレーキレバー51だけを急に握った場合には、後輪のブレーキ56だけが動作するため、後輪がロックしたり、自転車の制動動作のきき具合が悪かったりする。
【0007】
これに対処するものとして、片方のブレーキレバーだけを操作した場合でも、両方のブレーキが同時に作動するように工夫されたブレーキ装置が特許文献1〜3などで提案されている。
【0008】
このブレーキ装置は、図10に概略的に示すように、各コントロールワイヤーが、ブレーキレバー51、52側と、ブレーキ55、56側とにそれぞれ分割され、これらの分割箇所の間に、各ブレーキ55、56を同期状態で連動させる連結ユニット70が設けられている。つまり、ブレーキ装置は、左右のブレーキレバー51、52にそれぞれ接続したレバー側コントロールワイヤー(レバーワイヤーと称す)61、62と、前輪用と後輪用とのブレーキ55、56に接続されたブレーキ側コントロールワイヤー(ブレーキワイヤーと称す)63、64と、これらのワイヤー61〜64の間に介装された連結ユニット70とから構成されている。また、連結ユニット70には、側面視して略コ字形状の外枠部71と、取付板、取付ボルト、取付ナットからなる連結部72とが設けられている。
【0009】
ここで、レバーワイヤー61、62およびブレーキワイヤー63、64は、アウターチューブ61b,62b,63b,63bの中にインナーワイヤー61a,62a,63a,64aが挿入された構造とされている。
【0010】
そして、レバーワイヤー61、62のアウターチューブ61b,62bの一端部は、ブレーキレバー51、52を回動自在に支持するレバー支持アーム57、58に係止され、アウターチューブ61b,62bの他端部は、連結ユニット70の外枠部71の上面部に設けられたアウター受け71a,71bに係合されている。レバーワイヤー61、62のインナーワイヤー61a,62aの一端部は、ブレーキレバー51、52の基端部に係止され、インナーワイヤー61a,62aの他端部は、連結ユニット70の連結部72に連結されている。
【0011】
また、ブレーキワイヤー63、64のアウターチューブ63b,64bの一端部は、連結ユニット70の外枠部71の下面部に設けられたアウター受け71c,71dに係合され、アウターチューブ63b,64bの他端部は、ブレーキ55、56の一方のアーム部分をなすインナーブレーキアーム55a、56aに設けられたアウターチューブ受け55b、56bに係止されている。ブレーキワイヤー63、64のインナーワイヤー63a,64aの一端部は、連結ユニット70の連結部72に連結され、インナーワイヤー63a,64aの他端部は、ブレーキ55、56の他方のアーム部分をなすアウターブレーキアーム55c、56cの一部に設けられたインナーワイヤー係止部55d、56dに係止されている。
【0012】
このように、図10に示すものは、各ブレーキレバー51、52に接続されている2本のレバーワイヤー61、62のインナーワイヤー61a,62a同士を連結部72により連結し、この連結部72に、両方のブレーキ55、56に接続されたブレーキワイヤー63、64のインナーワイヤー63a,64aを連結した構造である。そして、何れか一方のブレーキレバー51、52が操作された場合でも、操作されたブレーキレバー51、52に接続されたレバーワイヤー61、62のインナーワイヤー61a,62aにより、連結部772が引き上げられる(ブレーキレバー51、52側に引き付けられる)ので、この連結部72に連結された両方のブレーキワイヤー63、64のインナーワイヤー63a,64aが引き込まれて、両方のブレーキ55、56が同時に作動する。
【0013】
このブレーキ装置によれば、図11に示すように、片側のブレーキレバー(例えばブレーキレバー51)だけを操作した場合でも必ず両方のブレーキ55、56が同時に作動するので、片側だけのブレーキしか作動しない場合と比較して、自転車の制動動作を安定した姿勢で良好かつ効果的に行うことが可能となる。
【特許文献1】実開平5−49588号公報
【特許文献2】特開2000−38182号公報
【特許文献3】特開2000−118474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のように、1つの連結部72に両方のレバーワイヤー61、62のインナーワイヤー61a,62aを連結した従来構造では、一方のブレーキレバー(例えばブレーキレバー52)だけを操作した場合に、連結部72がブレーキレバー51、52側に引き付けられるため、これに伴って、図11に示すように、他方のブレーキレバー51に接続されているインナーワイヤー61aにおいて遊びが生じて弛んでしまい、この結果、インナーワイヤー61aとブレーキレバー51との連結用嵌め合い箇所で、インナーワイヤー61aの端部62a’がブレーキレバー51との係合箇所から抜け出て外れてしまうなどのおそれがあった。したがって、このような不具合が生じないように、抜け出し防止用のばねなどを追加するなどの対処を行っていた。
【0015】
本発明は上記課題を解決するもので、簡単な構造でありながら、何れか一方のブレーキレバーなどの操作部を操作するだけで、2つのブレーキなどの被操作部を作動させることが可能で、しかも、インナーワイヤーの先端がブレーキレバーなどの操作部から抜け出て外れてしまうことのない自転車のブレーキ装置などの遠隔操作装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は、それぞれが独立操作可能な複数の操作部と、操作部の操作力によって操作される複数の被操作部とを、アウターチューブとインナーワイヤーとから構成された可撓性伝達線材をもって連結機構を介して連係し、1つの操作部の操作力で複数の被操作部を操作可能に構成した遠隔操作装置であって、前記可撓性伝達線材は、その一端がそれぞれの操作部に接続された入力側可撓性伝達線材と、その一端がそれぞれの被操作部に接続された出力側可撓性伝達線材とからなり、前記連結機構は、前記入力側可撓性伝達線材の他端と前記出力側可撓性伝達線材の他端との間に介装され、所定位置に設けられた固定体と、この固定体に対して個別に移動自在で、かつ、前記操作部と同数の移動体とを備え、各入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を前記連結機構の各移動体に係止させるとともに、各入力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端を連結機構の固定体に係止させ、何れかの操作部を操作することで前記インナーワイヤーに接続された移動体を固定体に対して移動するように構成し、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端を前記連結機構の各移動体に係止させるとともに、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブを固定体に対して非拘束とし、移動体の固定体に対する移動に伴って出力側可撓性伝達線材のアウターチューブを被操作部側に移動させるように構成し、各出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブが係止された移動体とは異なる移動体にそれぞれ係止させたことを特徴とする。
【0017】
この構成において、1つの操作部を操作すると、この操作部に係止された入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの一端が、同じ入力側可撓性伝達線材のアウターチューブの一端から引き出すように相対移動され、これに伴って、この入力側可撓性伝達線材の他端では、アウターチューブの他端に対してインナーワイヤーの他端が接近する方向に移動し、この入力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端に係止されている連結機構の固定体に対して、前記入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端に係止されている連結機構の移動体が、前記固定体における前記入力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端が係止されている箇所に接近する方向に移動する。すなわち、操作力が加えられた操作部に入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーを介して接続された移動体だけが、固定体に対して相対移動する。これに伴い、操作力が伝達されて移動する移動体に係止されている複数の出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーまたはアウターチューブの他端が、移動しない移動体に係止されている複数の出力側可撓性伝達線材のアウターチューブまたはインナーワイヤーの他端に対して移動され、その結果、これらの出力側可撓性伝達線材に接続されている被操作部が駆動される。
【0018】
一方、操作されない操作部にその一端が接続されている入力側可撓性伝達線材については、操作力が伝達されて移動される移動体とは異なる移動体にその他端が接続されており、この操作力が伝達されない移動体は固定体に対して相対移動しないため、この移動体と操作部との間に介装されている入力側可撓性伝達線材は、インナーワイヤーおよびアウターチューブの両者とも位置が変動することはなく、したがって、この入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの一端がアウターチューブに対して移動して弛むことはなく、操作部から外れることもない。
【0019】
また、本発明は、操作部として第1、第2の操作部を設け、入力側可撓性伝達線材として第1、第2の入力側可撓性伝達線材を設け、移動体として第1、第2の移動体を設け、被操作部として第1、第2の被操作部を設け、出力側可撓性伝達線材として第1、第2の出力側可撓性伝達線材を設けていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、固定体に設けた境界部を挟んで、固定体において第1の移動体と第2の移動体とが個別に互いに反対方向にスライドする配置としたことを特徴とする。
この構成によれば、1つの操作部の操作力で複数の被操作部を操作可能に構成した遠隔操作装置を、極めて簡単な構成で実現することができる。
【0021】
また、本発明の遠隔操作装置は、各移動体において、入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部が係止している箇所を略中心として、一方の出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部と、他方の出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端部とが、互いに反対側になるように配置したことを特徴とする。
【0022】
この構成により、操作部の操作力が伝達された移動体が固定体に対して移動される際でも、この移動体により移動される一方の出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部と、他方の出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端部とが、互いに反対側になるように配置されているので、移動体において力やモーメントが偏って作用することがなく、これによって、移動体の挙動が安定し、信頼性が向上する。
【0023】
また、本発明は、遠隔操作装置の操作部が二輪車または三輪車に設けられたブレーキレバーであり、遠隔操作装置の被操作部が二輪車または三輪車に設けられたブレーキであることを特徴とする。
【0024】
この構成により、片方のブレーキレバーを操作することで、二輪車または三輪車のそれぞれに車輪に設けられているブレーキを同期させて作動させることができる。
また、本発明は、前輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する一方の移動体との遊び量が、後輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する他方の移動体との遊び量よりも大きくなるように配設したことを特徴とする。
【0025】
これにより、ブレーキレバーの何れを操作した場合でも、まず、後輪のブレーキが作動し、この後、遊び量が大きい分だけ遅れて、前輪のブレーキが作動することとなる。この結果、例えば、長年使用することで、後輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する移動体との遊び量が若干増加した場合でも、後輪のブレーキよりも先に前輪のブレーキが作動して車体の姿勢が不安定となるなどの不具合を生じることがなくなる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、操作部と同数の移動体を設け、各入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を各移動体に係止させて、何れかの操作部を操作することで前記インナーワイヤーに接続された移動体を固定体に対して移動するように構成し、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端を前記連結機構の各移動体に係止させるとともに、各出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端を、各出力側可撓性伝達線材のアウターチューブが係止された移動体とは異なる移動体にそれぞれ係止させたことにより、1つの操作部の操作力で複数の被操作部を操作できるだけでなく、操作しない操作部に入力側可撓性伝達線材を介して接続された移動体が、入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーを緩ませる方向に移動されないので、抜け出し防止用のばねなどを追加することなく、入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーが緩んで操作部から外れることを防止でき、信頼性を向上させることができる。
【0027】
また、固定体に設けた境界部を挟んで、固定体において第1の移動体と第2の移動体とが個別に互いに反対方向にスライドする配置としたことで、1つの操作部の操作力で複数の被操作部を操作可能に構成した遠隔操作装置を、極めて簡単な構成で実現することができ、製造コストを低減させることができる。
【0028】
また、各移動体において、入力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部が係止している箇所を略中心として、一方の出力側可撓性伝達線材のインナーワイヤーの他端部と、他方の出力側可撓性伝達線材のアウターチューブの他端部とが、互いに反対側になるように配置したことにより、操作部の操作力が伝達された移動体が固定体に対して移動される際でも、移動体において力やモーメントが偏って作用することがなく、これによって、移動体の挙動が安定し、信頼性が向上する。
【0029】
また、前輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する一方の移動体との遊び量が、後輪のブレーキに接続されている出力側可撓性伝達線材のアウターチューブとこれに係合する他方の移動体との遊び量よりも大きくなるように配設することにより、後輪のブレーキよりも先に前輪のブレーキが作動して車体の姿勢が不安定となるなどの不具合を生じることがなくなるので、さらに信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る二輪車としての自転車について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、左右とは、進行方向に向かった状態で左右となる向きを示している。
【0031】
図1および図2は本発明の実施の形態に係る自転車の全体右側面図および正面図、図3は同自転車に設けられたブレーキ装置を概略的に示す図である。なお、図3〜図8においては、ブレーキ装置を背面側から前方に見た状態(連結機構についてはユニットカバーを外した状態)を簡略的に示している。
【0032】
図1〜図3に示すように、自転車の前輪1と後輪2とには、それぞれ前輪ブレーキ3と、後輪ブレーキ4とが設けられ、各ブレーキ3、4を作動させることで自転車の走行中に制動動作を行うことができるよう構成されている。なお、この実施の形態においては、前輪ブレーキ3と、後輪ブレーキ4との何れも、図1、図3などに示すように、サイドプル形のキャリパーブレーキを用いている場合を図示しているが、これに限るものではなく、カンチレバー形のキャリパーブレーキや、バンドブレーキ、リムブレーキ、内拡式ブレーキ、ローラブレーキなど、何れの種類のブレーキを用いてもよい。
【0033】
この自転車には、図2、図3に示すように、左ハンドル7Aに取り付けられた第1の操作部としての第1のブレーキレバー5と、右ハンドル7Bに取り付けられた第2の操作部としての第2のブレーキレバー6と、第1のブレーキレバー5にその一端を接続した第1の入力側可撓性伝達線材としての第1のレバーワイヤー11と、第2のブレーキレバー6にその一端を接続した第2の入力側可撓性伝達線材としての第2のレバーワイヤー12と、第1の被操作部をなす第1のブレーキとしての後輪ブレーキ4にその一端を接続した第1の出力側可撓性伝達線材としての第1のブレーキワイヤー13と、第2の被操作部をなす第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3にその一端を接続した第2の出力側可撓性伝達線材としての第2のブレーキワイヤー14と、ハンドルポスト8の前方などに配設されており、固定体15およびこの固定体15内にスライド自在に配設されている第1、第2の移動体16、17およびこれらを覆うユニットカバー18(図2参照)からなる連結機構20とが設けられている。これらの第1、第2のブレーキレバー5、6、第1、第2のレバーワイヤー11、12、第1、第2のブレーキワイヤー13、14、連結機構20などによりブレーキ装置の遠隔操作装置が構成されている。
【0034】
そして、本発明の自転車のブレーキ装置においては、第1のブレーキレバー5を操作することで第1のレバーワイヤー11を介して第1の移動体16が固定体15に対して移動するように配置し(図4参照)、第2のブレーキレバー6を操作することで第2のレバーワイヤー12を介して第2の移動体17が固定体15に対して移動するように配置し(図5参照)、このように第1の移動体16または第2の移動体17を固定体15に対して個別に移動させることで、何れの場合も第1のブレーキワイヤー13および第2のブレーキワイヤー14を介して後輪ブレーキ4および前輪ブレーキ3の両方が作動するように構成している。
【0035】
以下、本発明の遠隔操作装置の各構成要素について詳しく述べる。
図4〜図7に示すように、各ワイヤー(第1、第2のレバーワイヤー11、12および第1、第2のブレーキワイヤー13、14)は、それぞれアウターチューブ11a〜14aの内部に設けられた挿通孔にインナーワイヤー11b〜14bが挿通されて構成されている。また、各インナーワイヤー11b〜14bの各端部には円筒形状等のニップル部n1〜n6が固着されている。
【0036】
各ブレーキレバー5、6は、各ハンドル7A、7Bに固定されたレバー支持アーム21、22の揺動支点21a,22aを中心に揺動自在に取り付けられており、レバー支持アーム21、22の端部には、各レバーワイヤー11、12のアウターチューブ11a,12aの一端を受けるアウター受け21b、22bが組み付けられている。また、各ブレーキレバー5、6には、各レバーワイヤー11、12のインナーワイヤー11b、12bを係止する係止孔が形成され、この係止孔にインナーワイヤー11b、12bの一端に固着されたニップル部n1、n2が嵌め込まれている。そして、ブレーキレバー5、6を操作することで、ブレーキレバー5、6が揺動支点21a,22aを中心に揺動し、インナーワイヤー11b、12bの一端がアウターチューブ11a,12aの一端からブレーキレバー5、6側へ引き出す方向に移動する。
【0037】
次に、連結機構20について説明する。
図6に示すように、固定体15は、上辺部15a、下辺部15b、左辺部15cおよび右辺部15dが一体形成された、左右に長い四角枠形状とされているとともに、幅方向中央位置に境界部15fが上下に延びる姿勢で一体形成されている。そして、左辺部15cと境界部15fとの間の左側空間において、第1の移動体16が、上辺部15aと下辺部15bとにより案内された状態で、左右にスライド自在に配置され、また、右辺部15dと境界部15fとの間の右側空間において、第2の移動体17が、上辺部15aと下辺部15bとにより案内された状態で、左右にスライド自在に配置されている。すなわち、固定体15に設けた境界部15fを挟んで、第1の移動体16と第2の移動体17とが互いに対向して個別にスライド自在に配置されている。
【0038】
その一端が第1のブレーキレバー5に接続されている第1のレバーワイヤー11のアウターチューブ11aの他端は、固定体15の左辺部15cに形成された第1アウター係止孔15gに左側から挿入されて位置規制された状態で係止されている。また、第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bの他端は、固定体15の左辺部15cからさらに右側に延びて第1の移動体16に形成された第1のインナー係止孔16aに、インナーワイヤー11bの他端に固着されたニップル部n3が嵌合された状態で係止されている。ここで、第1のレバーワイヤー11のアウターチューブ11aの他端が係合されている第1アウター係止孔15gと、第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bの他端が係合されている第1のインナー係止孔16aとは、固定体15の左辺部15cおよび第1の移動体16における上下方向の略中央位置に形成されている。
【0039】
その一端が第2のブレーキレバー6に接続されている第2のレバーワイヤー12のアウターチューブ12aの他端は、固定体15の右辺部15dに形成された第2アウター係止孔15hに右側から挿入されて位置規制された状態で係止されている。また、第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bの他端は、固定体15の右辺部15dからさらに左側に延びて第2の移動体17に形成された第2のインナー係止孔17aに、インナーワイヤー12bの他端に固着されたニップル部n4が嵌合された状態で係止されている。ここで、第2のレバーワイヤー12のアウターチューブ12aの他端が係止されているアウター係止孔15hと、第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bの他端が係止されている第2のインナー係止孔17aとは、固定体15の右辺部15dおよび第2の移動体17における上下方向の略中央位置に形成されている。
【0040】
その一端が後輪ブレーキ4に接続されている第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端は、固定体15の右辺部15dに形成された第1アウター挿通孔15iを非拘束の状態で挿通して、第2の移動体15に形成された第3アウター係止孔17bに左側から挿入されて位置規制された状態で係合されている。また、第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端は、第2の移動体17および固定体15の境界部15fを通してさらに左側に延びて第1の移動体16に形成された第3のインナー係止孔16bに、インナーワイヤー13bの他端に固着されたニップル部n5が嵌合された状態で係止されている。ここで、第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端が係止されている第3アウター係止孔17bと、第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端が係止されている第3のインナー係止孔16bとは、第1の移動体16および第2の移動体17における上下方向の上方寄り位置に形成されている。
【0041】
その一端が前輪ブレーキ3に接続されている第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端は、固定体15の左辺部15cに形成された第2アウター挿通孔15jを非拘束の状態で挿通して、第1の移動体16に形成された第4アウター係止孔16cに左側から挿入されて位置規制された状態で係止されている。また、第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端は、第1の移動体16および固定体15の境界部15fを通してさらに右側に延びて第2の移動体17に形成された第4のインナー係止孔17cに、インナーワイヤー14bの他端に固着されたニップル部n6が嵌合された状態で係止されている。ここで、第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端が係止されている第3アウター係止孔16cと、第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端が係止されている第4のインナー係止孔17cとは、第1の移動体16および第2の移動体17における上下方向の下方寄り位置に形成されている。
【0042】
図3に示すように、各ブレーキ3、4は、車体側に固定された貫通ボルト3a、4aを中心に、インナーブレーキアーム3b、4bとアウターブレーキアーム3c、4cとが回動自在に取り付けられた構成とされ、各ブレーキアーム3b、3c、4b、4cの先端部には、前輪1または後輪2のリムに接触して制動するブレーキブロック3d、4dが取り付けられている。そして、インナーブレーキアーム3b、4bの一部にアウターチューブ受け3e、4eが取り付けられて、各ブレーキワイヤー13、14のアウターチューブ13a、14aの一端が係止されている。また、アウターブレーキアーム3c、4cの一部に各ブレーキワイヤー13、14のインナーワイヤー13b、14bの一端が係止ボルト28、29等により係止されている。さらに、図示しないが、前記ブレーキアーム3b、3c間、およびブレーキアーム4b、4c間に跨って係合する戻しばね(付勢手段)が組み付けられており、この戻しばねの付勢力により、ブレーキレバー5、6を操作しない状態では、ブレーキ3、4の制動部が機能しない(ブレーキブロック3d、4dがリムに接触しない)側に付勢されている。また、この戻しばねにより、各ブレーキワイヤー13、14の一端において、アウターチューブ13a、14aからインナーワイヤー13b、14bが引き出される方向に付勢される。
【0043】
上記構成により、図4に示すように、左ハンドル7Aとともに第1のブレーキレバー5を握るように操作すると、第1のブレーキレバー5が揺動支点21aを中心に揺動し、この第1のブレーキレバー5に係止された第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bの一端(ニップル部n1)が、レバー支持アーム21のアウター受け21bにより係止されたアウターチューブ11aの一端から引き出される状態で移動される。
【0044】
これに伴い、第1のレバーワイヤー11の他端側では、アウターチューブ11aの他端に対して、インナーワイヤー11bの他端(ニップル部n3)が接近する方向に移動する。すなわち、第1のレバーワイヤー11のアウターチューブ11aの他端に係合している連結機構20の固定体15に対して、第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11aの他端(ニップル部n3)に係合している第1の移動体16が左側(アウターチューブ11aの他端に近づき、境界部15fから離れる方向)へ移動する。その結果、同じ第1の移動体16に係止されている第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端(ニップル部n5)および第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端が左側、すなわち、第2の移動体17から離間する方向に移動し、第1のブレーキワイヤー13および第2のブレーキワイヤー14の何れも、この他端側でアウターチューブ13a、14aに対して、インナーワイヤー13b、14bが引き出されるように移動する。つまり、第1のブレーキワイヤー13の他端においては、アウターチューブ13aはその位置が固定されているが、インナーワイヤー13b(端部がニップル部n5である部分)がこのアウターチューブ13aから左側に引き出されるように移動する。また、第2のブレーキワイヤー14の他端においては、インナーワイヤー14b(端部がニップル部n6である部分)の位置は固定されているが、アウターチューブ14aが左側に移動されることで、相対的に、インナーワイヤー14bの他端(ニップル部n6)がアウターチューブ14aの他端から引き出されるように移動する。
【0045】
これにより、第1のブレーキワイヤー13の一端および第2のブレーキワイヤー14の一端では、それぞれアウターチューブ13a、14aの一端にインナーワイヤー13b、14bの一端が引き付けられる方向に移動して、各ブレーキワイヤー13、14のアウターチューブ13a、14aの一端に係止されたアウターチューブ受け3e、4eに対して、各ブレーキワイヤー13、14のインナーワイヤー13b、14bの一端に係止されたアウターブレーキアーム3c、4cの係止ボルト28、29が接近する。その結果、第1のブレーキとしての後輪ブレーキ4と、第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3との両方が作動する。
【0046】
つまり、いわゆるコントロールワイヤーと呼ばれる可撓性伝達線材は、離間した2箇所間での動きを伝達するために、アウターチューブの両端部により、離間した2箇所間の基準点を設定し、一方の箇所でのアウターチューブの端部からインナーワイヤーの端部までの距離が、他方の箇所でのアウターチューブの端部からインナーワイヤーの端部までの距離と同等になるように引張力を作用させる働きがある。したがって、アウターチューブの端部に対してインナーワイヤーの端部を引き出す代わりに、上記のように、第2のブレーキワイヤー14の他端部において、インナーワイヤー14bの位置を固定しながら、アウターチューブ14aを移動させることで、相対的に、固定したアウターチューブの端部からインナーワイヤーを引き出した場合と同等な作用効果を得ることができ、これにより、第2のブレーキワイヤー14の一端においては、アウターチューブ14aの一端にインナーワイヤー14bの一端が引き付けられる方向に移動して、第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3が作動する。したがって、移動体16、17の一方が境界部15fから離れる方向に移動することで、後輪ブレーキ4と前輪ブレーキ3との両方が作動する。
【0047】
一方、第2のブレーキレバー6は操作されていないので、第2の移動体17は何ら移動されず、固定体15に対する相対位置が変化しない。したがって、第2の移動体17にその他端(ニップル部n4)が係合している第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bと、固定体15にその他端が係合している第2のレバーワイヤー12のアウターチューブ12aとの相対位置も変化せず、この結果、第2のブレーキレバー6に接続された第2のレバーワイヤー12が緩むことは無い。したがって、抜け出し防止用のばねなどを追加しなくても、第1のブレーキレバー5を操作した際に、反対側の第2のブレーキレバー6のレバーワイヤー12が緩んでブレーキレバー6から外れることが防止され、良好な信頼性を維持できる。
【0048】
また、この際に、第1の移動体16が左側へ移動することで、第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端(ニップル部n5)および第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端も左側に移動し、これにより、第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端および第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端(ニップル部n6)も各ブレーキ3、4の戻しばねの付勢力により左側に移動しようとし、この結果、第2の移動体17も、固定体15の境界部15f側に積極的に引き付けられる。したがって、第2の移動体17は、単に移動されないだけではなくて、固定体15の境界部15fに接触した姿勢を確実に保持し、これにより、第2のブレーキレバー6のレバーワイヤー12が緩むことをより確実に防止することができて、ブレーキレバー6から外れることを一層確実に防止できる。
【0049】
また、図5に示すように、右ハンドル7Bとともに第2のブレーキレバー6を握るように操作すると、第2のブレーキレバー6が揺動支点22aを中心に揺動し、この第2のブレーキレバー6に係止された第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bの一端(ニップル部n2)が、レバー支持アーム22のアウター受け22bにより係止されたアウターチューブ12aの一端から引き出される状態で移動される。
【0050】
これに伴い、第2のレバーワイヤー12の他端側では、アウターチューブ12aの他端に対して、インナーワイヤー12bの他端(ニップル部n4)が接近する方向に移動する。すなわち、第2のレバーワイヤー12のアウターチューブ12aの他端に係合している連結機構20の固定体15に対して、第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12aの他端(ニップル部n4)に係合している第2の移動体17が右側(アウターチューブ12aの他端に近づき、境界部15fから離れる方向)へ移動する。その結果、同じ第2の移動体17に係止されている第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端および第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端(ニップル部n6)が右側、すなわち、第1の移動体16から離間する方向に移動し、第1のブレーキワイヤー13および第2のブレーキワイヤー14の何れも、この他端側でアウターチューブ13a、14aに対して、インナーワイヤー13b、14bが引き出されるように移動する。つまり、第2のブレーキワイヤー14の他端においては、アウターチューブ14aはその位置が固定されているが、インナーワイヤー14b(端部がニップル部n6である部分)がこのアウターチューブ14aから左側に引き出されるように移動する。また、第1のブレーキワイヤー13の他端においては、インナーワイヤー13b(端部がニップル部n5である部分)の位置は固定されているが、アウターチューブ13aが左側に移動されることで、相対的に、インナーワイヤー13bの他端(ニップル部n5)がアウターチューブ13aの他端から引き出されるように移動する。
【0051】
これにより、第1のブレーキワイヤー13の一端および第2のブレーキワイヤー14の一端では、それぞれアウターチューブ13a、14aの一端にインナーワイヤー13b、14bの一端が引き付けられる方向に移動して、各ブレーキワイヤー13、14のアウターチューブ13a、14aの一端に係止されたアウターチューブ受け3e、4eに対して、各ブレーキワイヤー13、14のインナーワイヤー13b、14bの一端に係止されたアウターブレーキアーム3c、4cの係止ボルト28、29が接近する。その結果、第1のブレーキとしての後輪ブレーキ4と、第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3との両方が作動する。
【0052】
一方、第1のブレーキレバー5は操作されていないので、第1の移動体16は何ら移動されず、固定体15に対する相対位置が変化しない。したがって、第1の移動体16にその他端(ニップル部n3)が係合している第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bと、固定体15にその他端が係合している第1のレバーワイヤー11のアウターチューブ11aとの相対位置も変化せず、この結果、第1のブレーキレバー5に接続された第1のレバーワイヤー11が緩むことは無い。したがって、抜け出し防止用のばねなどを追加しなくても、第2のブレーキレバー6を操作した際に、反対側の第1のブレーキレバー5のレバーワイヤー11が緩んでブレーキレバー5から外れることが防止され、良好な信頼性を維持できる。
【0053】
また、この際に、第2の移動体17が右側へ移動することで、第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端および第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端(ニップル部n6)も右側に移動し、これにより、第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端(ニップル部n5)および第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端も各ブレーキ3、4の戻しばねの付勢力により右側に移動しようとし、これにより、第1の移動体16も、固定体15の境界部15f側に積極的に引き付けられる。したがって、第1の移動体16は、単に移動しないだけではなくて、固定体15の境界部15fに接触した姿勢を確実に保持し、これにより、第1のブレーキレバー5のレバーワイヤー11が緩むことをより確実に防止することができて、ブレーキレバー5から外れることを一層確実に防止できる。
【0054】
上記ように本発明によれば、操作部としてのブレーキレバー5、6と同数(この実施の形態においては2つ)の移動体16、17を設け、各レバーワイヤー(入力側可撓性伝達線材)11、12のインナーワイヤー11b、12bの他端を各移動体16、17に係止させて、何れかのブレーキレバー5、6を操作することで前記インナーワイヤー11b、12bに接続された移動体16、17を固定体15に対して移動するように構成し、各ブレーキワイヤー(出力側可撓性伝達線材)13、14のアウターチューブ13a、14aの他端を各移動体16、17に係止させるとともに、各ブレーキワイヤー13、14のインナーワイヤー11b、12bの他端を、各ブレーキワイヤー13、14のアウターチューブ13a、14aが係止された移動体16、17とは異なる移動体16、17にそれぞれ係止させたことにより、1つのブレーキレバー5、6の操作力で複数のブレーキ3、4を操作できるだけでなく、操作しないブレーキレバー5、6にレバーワイヤー11、12を介して接続された移動体16、17が、レバーワイヤー11、12のインナーワイヤー11b、12bを緩ませる方向に移動されないので、抜け出し防止用のばねなどを追加することなく、レバーワイヤー11、12のインナーワイヤー11b、12が緩んでブレーキレバー5、6から外れることを防止でき、信頼性を向上させることができる。
【0055】
また、固定体15に設けた境界部15fを挟んで、第1の移動体16と第2の移動体17とが個別に互いに反対方向にスライドする配置としたことで、1つのブレーキレバー5、6の操作力で複数のブレーキ3、4を操作可能に構成した遠隔操作装置を、極めて簡単な構成で実現することができ、製造コストを低減させることができる。
【0056】
なお、図7に示すように、第1、第2のブレーキレバー5、6の両方を操作すると、第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bの他端が係止されている第1の移動体16が左側に移動するとともに、第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bの他端が係止されている第2の移動体17が右側に移動し、これにより、第1のブレーキワイヤー13および第2のブレーキワイヤー14の何れも、この他端側でアウターチューブ13a、14aに対して、インナーワイヤー13b、14bが大きな引き出し量で引き出されるので、第1のブレーキとしての後輪ブレーキ4と、第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3との両方が極めて強い力で作動する。
【0057】
また、上記構成によれば、第1の移動体16において、第1のレバーワイヤー11のインナーワイヤー11bの他端(ニップル部n3)を中心として、第1のブレーキワイヤー13のインナーワイヤー13bの他端(ニップル部n5)と、第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端とが、互いに上下に反対側となるように配置されているので、第1の移動体16において力が偏って作用することがなく、これによって、第1の移動体16の挙動が安定し、信頼性が向上する。また、同様に、第2の移動体17において、第2のレバーワイヤー12のインナーワイヤー12bの他端(ニップル部n4)を中心として、第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端と、第2のブレーキワイヤー14のインナーワイヤー14bの他端(ニップル部n6)とが、互いに上下に反対側となるように配置されているので、第2の移動体17においても力が偏って作用することがなく、これによって、第2の移動体17の挙動が安定し、信頼性が向上する。
【0058】
また、上記の構成によれば、連結機構20において、戻しばねなどのない簡単な構造であるので、製造コストの増加も最小限で済むとともに、信頼性も良好に保持できる。
また、上記の実施の形態では、図6に示すように、第1のブレーキレバー5や第2のブレーキレバー6を操作していない状態では、第1、第2のブレーキワイヤー13、14のアウターチューブ13a、14aが、第1、第2の移動体16、17の第3アウター係止孔16c、第4アウター係止孔17bの奥端面に当接している場合を図示しており、この場合には、第1のブレーキレバー5または第2のブレーキレバー6を操作した際に、第1のブレーキとしての後輪ブレーキ4と第2のブレーキとしての前輪ブレーキ3とが完全に同期して動作する。このように、後輪ブレーキ4と前輪ブレーキ3とが完全に同期して動作させることで、自転車を安定した姿勢で、良好に制動することができる。
【0059】
しかしながら、自転車を長期間使用していると、経年変化などにより、後輪ブレーキ4に接続された第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aが若干収縮して、このアウターチューブ13aの他端が、第2の移動体17の第3アウター係止孔17bの奥端面との間に小さい隙間、いわゆる「遊び」を生じることがある。この場合には、後輪ブレーキ4の制動動作が僅かではあるが、前輪ブレーキ3の制動動作よりも遅れることとなり、この際には、ブレーキをかけた際に自転車が一時的ではあるが、自転車の前側だけが急停止する一方で自転車の車体の後部側が浮き上がるような挙動となって不安定となってしまうおそれがある。このような不具合が生じることをより確実に防止するため、前輪ブレーキ3に接続された第2のブレーキワイヤー14のアウターチューブ14aの他端面14a’と、第1の移動体16の第4アウター係止16cの奥端面16c’との間の遊び量が大きくなるように、予め前記第4アウター係止孔16cを深めに形成してもよい。
【0060】
この構成によれば、経年変化などにより、後輪ブレーキ4に接続された第1のブレーキワイヤー13のアウターチューブ13aの他端と、第2の移動体17の第3アウター係止孔17bの奥端面との間に遊びを生じた場合でも、ブレーキレバー5、6を操作した場合には、後輪ブレーキ4に接続された第1のブレーキワイヤー13が早めに機能して、確実に、後輪ブレーキ4が先に作動するので、信頼性が一層向上することになる。すなわち、これにより、前輪ブレーキ3が先に作動することを確実に防止できる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、二輪の自転車の場合を述べたが、前側または後側だけが左右に2輪あり、合計三輪となっている自転車の場合でも、適用可能である。三輪の場合でも、後輪側のブレーキが1つである場合(例えばハブ内にローラブレーキなどを用いている)には、上記構成を単純に適用可能である。また、2つの後輪にそれぞれブレーキを設けるとともに、これらにそれぞれ第1のブレーキワイヤー13を接続し、各第1のブレーキワイヤー13の他端とも、第1、第2の移動体16、17に係合させてもよい。
【0062】
また、自転車に限らず、バイク等の二輪自動車に適用することも可能である。さらには、上記実施の形態では、自転車のブレーキ装置に設けられた遠隔操作装置の場合を述べたが、これに限るものではなく、コントロールワイヤーを利用して、2箇所の操作部から2箇所の被操作部を略同期させて駆動させるシステム全般に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、前後にブレーキを有し、左右にブレーキレバーを有する二輪車や三輪車に特に適用しているが、これに限るものではなく、可撓性伝達線材を利用して、2箇所の操作部から2箇所の被操作部を略同期させて駆動させるシステム全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る自転車の全体右側面図
【図2】同自転車の正面図
【図3】同自転車のブレーキ装置を概略的に示す図(左右のブレーキレバーを操作していない状態を示す)
【図4】同自転車のブレーキ装置を概略的に示す図(左ブレーキレバーを操作している状態を示す)
【図5】同自転車のブレーキ装置を概略的に示す図(右のブレーキレバーを操作している状態を示す)
【図6】同自転車のブレーキ装置の連結機構を示す図
【図7】同自転車のブレーキ装置を概略的に示す図(左右のブレーキレバーを操作している状態を示す)
【図8】本発明の他の実施の形態に係る自転車のブレーキ装置の連結機構を示す図
【図9】従来の自転車のブレーキ装置を示す図
【図10】従来の自転車のブレーキ装置の問題点を示す図
【符号の説明】
【0065】
1 前輪
2 後輪
3 前輪ブレーキ
4 後輪ブレーキ
5 第1のブレーキレバー(操作部)
6 第2のブレーキレバー(操作部)
11 第1のレバーワイヤー(入力側可撓性伝達線材)
11a〜14a アウターチューブ
11b〜14b インナーワイヤー
12 第2のレバーワイヤー(入力側可撓性伝達線材)
13 第1のブレーキワイヤー(出力側可撓性伝達線材)
14 第2のブレーキワイヤー(出力側可撓性伝達線材)
15 固定体
16 第1の移動体
17 第2の移動体
20 連結機構




 

 


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