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発明の名称 信号システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−125923(P2007−125923A)
公開日 平成19年5月24日(2007.5.24)
出願番号 特願2005−318284(P2005−318284)
出願日 平成17年11月1日(2005.11.1)
代理人 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
発明者 長田 実 / 渡邉 朝紀 / 中村 英男 / 寺田 夏樹 / 前橋 栄一 / 渡辺 郁夫
要約 課題
軌道回路の短絡不良の発生を同定し、当該短絡不良発生の同定を報知することによって後続列車運行の安全性を向上させること。

解決手段
短絡不良同定手段は、列車10−1による軌道回路の短絡不良の発生を同定する。短絡不良の発生が同定されたならば、不良信号送信手段が、不良同定信号を地上側に送信する。そして、現示制御手段が、当該不良同定信号を送信した列車10−1が在線する閉塞区間Bの入り口に敷設された短絡不良警告灯41に、短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
軌道回路の短絡不良の発生を同定する短絡不良同定手段と、
前記短絡不良同定手段による同定結果に基づいて、所定の信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う現示制御手段と、
を備えた信号システム。
【請求項2】
前位輪軸及び後位輪軸の少なくとも左右一方側の車輪間を通電させる通電手段と、前記通電手段の通電状況に基づいて軌道回路の短絡不良の発生を同定する短絡不良同定手段と、前記短絡不良同定手段の同定に応じて不良同定信号を送信する不良信号送信手段とを車上側に設け、
前記不良信号送信手段から送信された不良同定信号を受信する受信手段と、前記受信手段による不良同定信号の受信に基づいて、所定の信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う現示制御手段とを地上側に設けてなる信号システム。
【請求項3】
前記所定の信号機は、閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機であり、
前記受信手段は、前記各閉塞区間毎に敷設されて、当該閉塞区間に存在する列車の不良信号送信手段から送信される不良同定信号を受信する手段であり、
前記現示制御手段は、前記各閉塞区間それぞれの入り口に敷設された前記所定の信号機の現示を、当該閉塞区間に敷設された受信手段の前記不良同定信号の受信に応じて制御するように前記所定の信号機毎に敷設され、
前記短絡不良同定手段により短絡不良発生が同定された場合、当該短絡不良発生の同定を行った列車が存在する閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機により、短絡不良発生の同定に応じた信号現示が行われることを特徴とする請求項2に記載の信号システム。
【請求項4】
前記所定の信号機は、閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機であり、
前記現示制御手段は、前記受信手段による不良同定信号の受信に基づいて、当該不良同定信号を送信した列車が在線する閉塞区間の入り口に敷設された前記所定の信号機を特定する特定手段を有し、前記特定手段により特定された前記所定の信号機に、短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う、
ことを特徴とする請求項2に記載の信号システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道回路の短絡不良の発生を同定し、当該短絡不良発生の同定に応じた信号の現示制御を行う信号システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、列車運行の保安装置として、軌道回路を利用して列車が在線するか否かを検知する軌道リレー等の列車在線検知装置が実用化されている。この列車在線検知装置は、軌道回路内に列車が進入した際、車輪及び車軸でなる輪軸によって左右のレール間が短絡されることで生じる軌道回路の電圧変化を利用し、軌道回路内に列車が在線していることを検知するものである。
【0003】
したがって、上記した軌道リレー等の列車在線検知装置により軌道回路内の列車を検知するためには、車両の輪軸によって左右のレール間を確実に短絡させる必要がある。ところが、車輪踏面やレール頭頂面の状態等によっては左右のレール間の短絡が不十分となり、列車を検知できない場合があった。具体的には、車輪と接触するレール面に形成された粉塵、油、錆等による絶縁性の被膜や、軽量車両の通過時の接触圧力の低下等の原因により、レールと車輪間の接触抵抗が増大し、軌道回路の短絡不良が発生している。この短絡不良が発生すると、列車の在線が検知できない状態となり危険である。
【0004】
しかしながら従来の技術では、軌道回路内に列車が在線しない場合と、在線していても前記列車在線検知装置が検知できない場合のどちらの場合も、軌道リレー等の列車在線検知装置は違いを識別できず、信号機は同じ現示を行っていた。したがって、在線していても前記列車在線検知装置が検知できない場合に、続行列車が高速度のまま当該軌道回路内に進入して、先行列車に追突するおそれがある。
【0005】
このような問題点を改善するための技術としては、例えば特許文献1に開示されているような短絡支援装置がある。この短絡支援装置は、鉄道車両用台車の前位輪軸及び後位輪軸それぞれの車軸の左端部間及び/又は右端部間に所定の電圧を印加することによってレール面に形成された絶縁被膜を破壊し、レールと車輪間の接触抵抗を低減させるものである。
【特許文献1】特開2004−224075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの場合、特許文献1の技術によってレールと車輪間の接触抵抗を低減させることが可能であるが、閑散線区や車両基地構内等の一部の路線では、列車の通過頻度が極端に少なくレールの錆び等も著しいため、短絡不良を改善できない場合も生じ得る。そこで、列車を安全に運行するためには、軌道回路内に列車が本当に在線していないのか、在線しているが前記列車在線検知装置が検知できない状況なのかを何らかの方法によって識別し、その情報を続行する列車に対して提供する必要がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の事情に鑑みて為されたものであり、軌道回路の短絡不良の発生を同定し、当該短絡不良発生の同定を報知することによって後続列車運行の安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するための第1の発明の信号システムは、
軌道回路の短絡不良の発生を同定する短絡不良同定手段(例えば、図7(a)の電源21a,21b、車上制御装置25)と、
前記短絡不良同定手段による同定結果に基づいて、所定の信号機(例えば、図7(b)の短絡不良警告灯41)に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う現示制御手段(例えば、図7(b)の現示制御器45)と、
を備えたものである。
【0009】
この第1の発明によれば、軌道回路の短絡不良の発生を同定することができる。そして、所定の信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うことができる。これによれば、地上側設備が軌道回路の短絡不良によって列車の在線を正確に把握できない場合でも、短絡不良発生の同定を外部に報知することができるので、列車運行の安全性を高めることできる。
【0010】
また、第2の発明の信号システムは、
前位輪軸及び後位輪軸の少なくとも左右一方側の車輪間を通電させる通電手段(例えば、図7(a)の電源21a,21b)と、前記通電手段の通電状況に基づいて軌道回路の短絡不良の発生を同定する短絡不良同定手段(例えば、図7(a)の車上制御装置25)と、前記短絡不良同定手段の同定に応じて不良同定信号を送信する不良信号送信手段(例えば、図7(a)の無線送信機259)とを車上側に設け、
前記不良信号送信手段から送信された不良同定信号を受信する受信手段(例えば、図7(b)の無線受信機451)と、前記受信手段による不良同定信号の受信に基づいて、所定の信号機(例えば、図7(b)の短絡不良警告灯41)に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行う現示制御手段(例えば、図7(b)の現示制御器45)とを地上側に設けてなる。
【0011】
この第2の発明によれば、車上側に短絡不良同定手段を設け、この短絡不良同定手段が短絡不良発生を同定したならば、不良同定信号を地上側に送信することができる。また地上側では、不良同定信号を受信した場合には、所定の信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うことができる。したがって、列車運行の安全性を高めることできる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明の信号システムにおいて、
前記所定の信号機は、閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機であり、
前記受信手段は、前記各閉塞区間毎に敷設されて、当該閉塞区間に存在する列車の不良信号送信手段から送信される不良同定信号を受信する手段であり、
前記現示制御手段は、前記各閉塞区間それぞれの入り口に敷設された前記所定の信号機の現示を、当該閉塞区間に敷設された受信手段の前記不良同定信号の受信に応じて制御するように前記所定の信号機毎に敷設され、
前記短絡不良同定手段により短絡不良発生が同定された場合、当該短絡不良発生の同定を行った列車が存在する閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機により、短絡不良発生の同定に応じた信号現示が行われるものである。
【0013】
この第3の発明によれば、車上側で短絡不良発生を同定した場合に、不良同定信号を各閉塞区間毎に敷設された受信手段によって受信することができる。そして、不良同定信号の受信に応じて当該閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うことができる。したがって、車上側で短絡不良の発生を同定した場合に、当該列車が存在する閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機の信号現示によって当該短絡不良発生の同定を外部に報知することができる。したがって、後続の列車の運転士に注意を喚起させることが可能となり、より安全性の高い列車運行が実現できる。
【0014】
第4の発明は、第2の発明の信号システムにおいて、
前記所定の信号機は、閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機であり、
前記現示制御手段は、前記受信手段による不良同定信号の受信に基づいて、当該不良同定信号を送信した列車が在線する閉塞区間の入り口に敷設された前記所定の信号機を特定する特定手段(図10の短絡不良監視装置80)を有し、前記特定手段により特定された前記所定の信号機に、短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うものである。
【0015】
この第4の発明によれば、不良同定信号の受信に基づいて、当該不良同定信号を送信した列車が在線する閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機を特定することができる。そして、特定した常置信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うことができるので、車上側で短絡不良の発生を同定した場合に、当該列車が存在する閉塞区間の入り口に敷設された常置信号機の信号現示によって当該短絡不良発生の同定を外部に報知することができる。したがって、後続の列車の運転士に注意を喚起させることが可能となり、より安全性の高い列車運行が実現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軌道回路の短絡不良の発生を同定することができる。そして、所定の信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させる制御を行うことができる。これによれば、地上側設備が軌道回路の短絡不良によって列車の在線を正確に把握できない場合でも、短絡不良発生の同定を外部に報知することができるので、列車運行の安全性を高めることできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明を適用した信号システムについて詳細に説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
先ず、第1実施形態について説明する。
【0019】
[概要]
図1は、信号システム1の全体構成の概略を説明するための図である。図1に示すように、信号システム1は、主に、(1)短絡不良同定手段と、(2)不良信号送信手段と、(3)現示制御手段とを備えて構成されており、列車10−1の短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定された場合に、不良信号送信手段によって不良同定信号が地上側に送信されるようになっている。
【0020】
そして、現示制御手段によって、当該不良同定信号を送信した列車10−1が在線する閉塞区間Bの入り口に敷設された短絡不良警告灯41の信号現示が制御される。この短絡不良警告灯41は、短絡不良発生の同定を報知するための専用の信号機であり、各閉塞区間Bの入り口に常置信号機としてそれぞれ敷設されるものである。
【0021】
以下、各手段について順に説明する。
【0022】
(1)短絡不良同定手段
図2は、短絡不良同定手段について説明するための図であり、同図において、鉄道車両用台車11の構成の一例を示している。図2に示すように、2本のレールr1,r2上を走行する鉄道車両用台車11の台車前位には、進行方向に向かって左側の車輪13aと右側の車輪13cと車軸15aとから成る輪軸17aが取り付けられ、台車後位には、進行方向に向かって左側の車輪13bと右側の車輪13dと車軸15bとから成る輪軸17bが取り付けられる。この輪軸17a,17bは、台車枠と絶縁された状態で支持される。この輪軸と台車枠との絶縁構造は、上述した特許文献1にも開示されている通りに公知の構造であるため、本明細書においてその説明を省略する。
【0023】
そして、車軸15a,15bの左端部間及び/又は右端部間に、電源21a,21bがそれぞれ接続されており、その出力端子電圧がそれぞれ車上制御装置25に入力されるようになっている。
【0024】
電源21a,21bは、出力電圧の位相が同期制御され、交流電源により左右の車軸端間にそれぞれ電圧を印加する。尚、電源21a,21bは、交流電源に限らず、直流電源を用いても構わない。ここで、電源21a,21bにより供給される電流の経路について、図3を参照して説明する。図3に示すように、電源21aにより供給される電流によって、電源21aを通り、車軸15aの一端から車輪13aを介してレールr1を流れ、車輪13bを介して車軸15bの一端に流れる電流の閉ループR1が形成される。同様に、電源21bにより供給される電流によって、電源21bを通り、車軸15aの他端から車輪13cを介してレールr2を流れ、車輪13dを介して車軸15bの他端に流れる電流の閉ループR2が形成される。
【0025】
このように、電源21a,21bにより車軸の左端部同士間及び/又は右端部同士間に所定の交流電圧を印加して所定電圧の閉ループR1,R2を形成することにより、車輪と接触するレール面に形成された絶縁性の被膜が破壊され、左右のレール間と車輪との接触抵抗が低下するため、軌道回路の短絡状態が改善される。
【0026】
車上制御装置25は、電源21a,21bの出力端子電圧が所定の閾値以下か否かを判定することによって短絡不良の発生を同定(推定)する。
【0027】
具体的に説明する。前述のように、電源21a,21bにより車軸の左端部同士間及び右端部同士間に所定の交流電圧が印加されるが、このとき、出力端子電圧が所定の閾値以下ならば、前位輪軸と後位輪軸間の通電が良好なことから軌道短絡の状態が良好であると判定する。一方、出力端子電圧が所定の閾値より大きい場合には、軌道短絡の状態が不良であると判定し、短絡不良の発生を同定する。このように、短絡不良同定手段は、車上側にてレールと車輪間の通電状態を監視し、その通電状態によって短絡不良の発生を同定する。
【0028】
(2)不良信号送信手段
図4は、不良信号送信手段について説明するための図である。図4に示すように、第1実施形態の信号システムは、車上側に具備される車上制御装置25、及び各閉塞区間の入り口に敷設される短絡不良警告灯41(41−0〜41−3)それぞれに対応させて敷設される現示制御器45(45−1〜45−3)を含み、車上制御装置25と現示制御器45とは、互いに無線通信が可能に構成されている。
【0029】
不良信号送信手段は、短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定された場合に、自列車が現在位置している閉塞区間の短絡不良警告灯41を特定し、特定した短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45に不良同定信号を送信する。
【0030】
例えば図4の場面で、閉塞区間B−1に在線する列車10において、短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定されたとする。この場合には、不良信号送信手段によって、自列車が在線する閉塞区間B−1の入り口に敷設された短絡不良警告灯41−1が特定され、特定された短絡不良警告灯41−1の信号現示を制御する現示制御器45−1に不良同定信号が送信される。
同様にして、閉塞区間B−2を走行中、短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定された場合には、不良同定信号が現示制御器45−2に送信される。
【0031】
(3)現示制御手段
現示制御手段は、図4に示す現示制御器45であって、不良同定信号の受信に基づいて対応する短絡不良警告灯41の点灯制御を行う。例えば、現示制御器45−1は、不良同定信号の受信に基づいて、対応する短絡不良警告灯41−1の点灯制御を行う。
【0032】
図5は、現示制御手段の機能を実現するための回路図である。図5に示す回路は、コイル(タイマ)46とa接点(瞬時動作・限時復帰接点)46aとにより構成されたタイムリレー、コイル47とa接点47aとにより構成されたリレー、各リレーに電流を流すための電源48等により構成されている。そして、コイル47と瞬時動作・限時復帰接点46aとが直列に接続され、a接点47aと短絡不良警告灯41とが直列に接続されており、瞬時動作・限時復帰接点46aが閉じている場合に、a接点47aが閉じて短絡不良警告灯41が点灯する。
【0033】
具体的には、無線受信機451(図7参照。)による不良同定信号の受信に応じて判定部453がオン/オフ信号を出力するようになっており、判定部453からオン信号が出力されると、タイマ46に電流が流れて瞬時動作・限時復帰接点46aが閉じる。これに応じてコイル47に電流が流れてa接点47aが閉じる。a接点47aが閉じたならば、短絡不良警告灯41が点灯する。
【0034】
また、不良同定信号の受信に応じた判定部453からオン信号が出力された後、判定部453からの出力信号レベルがLレベルとなった場合、タイマ46は、予め設定された所定時間の経過を計時する。そして、所定時間が経過したならば、タイマ46は、瞬時動作・限時復帰接点46aを復帰させて接点を開かせる。この場合には、コイル47が消磁してa接点47aが開かれ、短絡不良警告灯41が消灯する。すなわち、短絡不良警告灯41は、所定時間点灯した後、消灯することとなる。
【0035】
尚、短絡不良警告灯41を所定時間点灯させることとしたが、短絡不良警告灯41が敷設された閉塞区間から列車が進出した場合に消灯させることとしてもよい。具体的には、当該閉塞区間に敷設されている閉塞信号機が黄色を現示した場合に短絡不良警告灯41を消灯する。
【0036】
図6を参照して具体的に説明する。図6(a)の例では、閉塞区間B−12に列車が在線している。この場合、当該閉塞区間B−12の入り口に敷設された閉塞信号機の信号現示は“R”であり、当該閉塞区間B−12の1つ手前の閉塞区間B−13の閉塞信号機の信号現示は“Y”、2つ手前の閉塞区間B−14の閉塞信号機の信号現示は“G”となる。
【0037】
ここで、列車10の短絡不良同定手段が短絡不良発生を同定し、地上側に不良同定信号を送信したとする。この場合には、当該閉塞区間B−12の入り口の短絡不良警告灯41が点灯する。この短絡不良警告灯41は、列車10が当該閉塞区間B−12から進出した場合に消灯する。すなわち、図6(b)に示すように、列車10が前方の閉塞区間B−11に進入し、閉塞区間B−12の閉塞信号機の信号現示が“Y”に変わった場合に、短絡不良警告灯41が消灯する。
【0038】
このように、列車10による軌道回路の短絡不良の発生を同定した場合には、短絡不良警告灯41の信号現示によって、当該短絡不良警告灯41の内方の閉塞区間Bに在線している列車において短絡不良の発生が同定された旨報知される。したがって、当該短絡不良警告灯41の外方に存在する後続の列車10の運転士に注意を喚起させることが可能となり、より安全性の高い列車運行が実現できる。
【0039】
[機能構成]
図7は、第1実施形態における信号システムの機能構成の一例を示すブロック図であり、図7(a)は車上側に具備される機能部の構成を、(b)は地上側において各閉塞区間毎に具備される機能部の構成をそれぞれ示す図である。
【0040】
図7(a)に示すように、第1実施形態の信号システムは、車上側の機能部として、鉄道車両用台車11の前後の各車軸15a,15b(図2参照。)の左端部間に接続される電源21a及び右端部間に接続される電源21bと、車上制御装置25とを含む。
【0041】
電源21a,21bは、パンタグラフを介して架線から供給される電力や蓄電池電力を交流又は直流に変換して出力する電源である。
【0042】
車上制御装置25は、CPU等の処理装置251、ROMやRAM等の記憶装置253、現示制御器45に不良同定信号を送信するための無線送信機259等を備えて構成されており、記憶装置253には、現在位置情報255と、警告灯管理テーブル257とが格納されている。
【0043】
処理装置251は、例えば図示しない速度発電機等から入力される車両の速度信号の積分、又はパルスカウントに従って、走行中の路線の基準位置からの走行距離(すなわち、現在位置)を随時算出する。そして、算出した現在位置を、現在位置情報255として記憶装置253内に更新・記憶する。
【0044】
また、処理装置251は、電源21a,21bの出力端子電圧が所定の閾値以下か否かを判定することによって、列車による軌道短絡の状態を監視する。そして、軌道短絡の状態によって短絡不良の発生を同定した場合(電源21a,21bの出力端子電圧が所定の閾値より大きい場合)には、警告灯管理テーブル257を参照し、現在位置情報255をもとに自列車が在線する閉塞区間の短絡不良警告灯41を特定する。
【0045】
図8は、警告灯管理テーブル257のデータ構成例を示す図である。図8に示すように、警告灯管理テーブル257は、短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45に割り当てられた現示制御器IDと、当該短絡不良警告灯41に割り当てられた警告灯IDと、当該短絡不良警告灯41が敷設された閉塞区間の入り口及び出口の位置情報との対応関係を定義したデータテーブルである。処理装置251は、この警告灯管理テーブル257を参照して自列車が在線する閉塞区間の短絡不良警告灯41を特定したならば、無線送信機259を介して特定した短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45に対して、その現示制御器IDと不良同定信号を送信する。
【0046】
また、図7(b)に示すように、地上側の機能部として、現示制御器45と、短絡不良警告灯41とを含み、現示制御器45は、当該現示制御器45に対して送信された不良同定信号を受信する無線受信機451を含む。
【0047】
現示制御器45は、無線受信機451を介して車上制御装置25から不良同定信号を受信したならば、対応する短絡不良警告灯41の点灯制御を行い、短絡不良発生の同定を報知する。
【0048】
以上説明したように、第1実施形態によれば、車上側において列車による軌道短絡の状態を監視し、短絡不良の発生を同定することができる。そして、短絡不良の発生を同定したならば、当該列車が在線する閉塞区間の入り口に敷設された短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45に不良同定信号を送信することができる。したがって、当該短絡不良警告灯41の内方の閉塞区間Bに在線している列車において短絡不良の発生が同定された旨報知することができるので、後続の列車の運転士に注意を喚起させることが可能となり、より安全性の高い列車運行が実現できる。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。尚、以下の説明において、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0050】
[概要]
図9は、第2実施形態の信号システムについて説明するための図である。第2実施形態は、上記した第1実施形態の不良信号送信手段及び現示制御手段を、図9に示す構成に置き換えたものである。
【0051】
図9に示すように、第2実施形態の信号システムは、車上側に具備される車上制御装置25b、各閉塞区間の入り口に敷設される短絡不良警告灯41(41−0〜41−2)それぞれに対応させて敷設される現示制御器45b(45b−1〜45b−2)、現示制御手段に相当する短絡不良監視装置80の各機能部を含んで構成され、短絡不良監視装置80は、無線通信網を介して車上制御装置25b及び現示制御器45bと接続されている。この無線通信網としては、専用回線網を使用してもよいし、PHS(Personal Handyphone System)のような公衆回線網を利用してもよい。
【0052】
第2実施形態の信号システムでは、不良信号送信手段は、短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定された場合に、無線通信網を介して短絡不良監視装置80に不良同定信号を送信する。具体的には、車上制御装置25bは、第1実施形態と同様に自列車の現在位置を随時算出・保持しており、前述のように短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定された場合には、現在位置情報と不良同定信号を短絡不良監視装置80に送信する。
【0053】
短絡不良監視装置80は、例えば指令室や最寄り駅等の鉄道会社の管理側に設置されて、信号システムを統括的に制御する。具体的には、不良同定信号を受信したならば、現在位置情報をもとに当該不良同定信号を送信した列車が在線する閉塞区間の短絡不良警告灯41を特定し、特定した短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45bに点灯指示を通知する。
【0054】
例えば図9の場面で、閉塞区間B−1に在線する列車10bにおいて、短絡不良同定手段によって短絡不良の発生が同定されたとする。この場合には、不良信号送信手段によって現在位置情報と不良同定信号が短絡不良監視装置80に送信される。一方短絡不良監視装置80では、不良同定信号とともに送信された現在位置情報をもとに当該不良同定信号を送信した列車10bが在線する閉塞区間B−1の短絡不良警告灯41−1が特定され、特定された短絡不良警告灯41−1の現示制御器45b−1に、点灯指示が通知される。
【0055】
[短絡不良監視装置の機能構成]
図10は、短絡不良監視装置80の機能構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、短絡不良監視装置80は、CPU等の処理装置82、ハードディスク等の記憶装置85、車上制御装置25bや現示制御器45bとの間でデータ通信を行うための通信装置84、入力装置81や表示装置83等を備えて構成されており、記憶装置85には、警告灯管理テーブル851と、不良同定履歴853とが格納されている。
【0056】
処理装置82は、無線通信網を介して車上制御装置25bから不良同定信号を受信した場合に、警告灯管理テーブル851を参照し、不良同定信号とともに送信された現在位置情報をもとに当該不良同定信号を送信した列車が在線する閉塞区間の短絡不良警告灯41を特定する。そして、特定した短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45bに対して点灯指示を通知する。尚、警告灯管理テーブル851のデータ構成は、図8に示して説明した警告灯管理テーブル257と同様であり、短絡不良警告灯41の信号現示を制御する現示制御器45bに割り当てられた現示制御器IDと、当該短絡不良警告灯41に割り当てられた警告灯IDと、当該短絡不良警告灯41が敷設された閉塞区間の開始位置及び終了位置の位置情報との対応関係を定義したデータテーブルである。
【0057】
また処理装置82は、不良同定信号とともに送信された現在位置情報を、受信時の日時情報と対応付けて、不良同定履歴853として記憶装置85内に蓄積・記憶して管理する。この不良同定履歴853を要注意個所及び要注意時刻の把握等に利用することにより、列車運行の保守性を向上させることが可能となる。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態によれば、車上側において列車による軌道回路の短絡状態を判定し、短絡不良の発生を同定することができる。そして、短絡不良の発生を同定したならば、不良同定信号を短絡不良監視装置80に送信し、短絡不良監視装置80の制御によって、当該列車が在線する閉塞区間の入り口に敷設された短絡不良警告灯41に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させることができる。したがって、後続の列車の運転士に注意を喚起させることが可能となり、より安全性の高い列車運行が実現できる。
【0059】
[変形例]
以上、本発明についての好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記したものに限らず、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更可能である。
【0060】
例えば、上記した実施形態では、電源21a,21bの出力端子電圧を判定し、短絡不良の発生を同定することとしたが、以下のようにしてもよい。
【0061】
すなわち、電源21a,21bが定電流モード(出力電流が変化しない状態)なのか定電圧モード(出力電圧が変化しない状態)なのかを判定して、短絡不良の発生を同定することとしてもよい。具体的には、電源21a,21bが定電流モードの場合には前位輪軸と後位輪軸間の通電が良好なことから軌道短絡の状態が良好であると判定する。一方定電圧モードの場合には、軌道短絡の状態が不良であると判定する。この場合、閾値を設定する必要はない。
【0062】
或いは、電源21a,21bにより供給される電流量を検出して短絡不良の発生を同定することとしてもよい。具体的には、検出した電流量が所定の閾値以上ならば、前位輪軸と後位輪軸間の通電が良好なことから軌道短絡の状態が良好であると判定する。一方、所定の閾値未満の場合には、軌道短絡の状態が不良であると判定と判定する。
【0063】
また、上記した実施形態では、短絡不良発生を報知するための専用の信号機を閉塞区間の入り口に敷設する場合を例にとって説明したが、既存の常置信号機に短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させることとしてもよい。
【0064】
例えば、各閉塞区間の入り口に敷設されて列車に対して信号を現示する閉塞信号機に、短絡不良発生の同定に応じた信号を現示させることとしてもよい。例えば、車上側で短絡不良の発生を同定した場合に、当該列車が在線する閉塞区間の閉塞信号機の現示を停止現示に変更する。
【0065】
図11は、この場合の現示制御手段の機能を実現するための回路図である。図11に示す回路では、閉塞区間B−21のレールを軌道回路の一部とし、終端側(列車の進出側)に電源51を接続するとともに、始端側(列車の進入側)に軌道リレー(列車在線検知装置)53を接続した電気回路を備える。そして、軌道リレー53のa接点531a、リレー470のb接点471b、及び当該閉塞区間B−21の入り口に敷設された閉塞信号機の緑色灯61が直列に接続されている。また、軌道リレー53のb接点531bと当該閉塞区間B−21の入り口に敷設された閉塞信号機の赤色灯63が直列に接続されるとともに、軌道リレー53のb接点531bにリレー470のa接点471aが並列に接続されている。さらに、リレー470のコイル471とタイムリレー460のa接点(瞬時動作・限時復帰接点)461aとが直列に接続されている。
【0066】
この場合の現示制御手段の動作原理は次の通りである。すなわち、閉塞区間B−21に列車が進入し、車輪及び車軸でなる輪軸によって左右のレール間が良好に短絡された場合には、軌道リレー53がオフになってa接点531aが開き、b接点531bが閉じる。この状態では、赤色灯63が点灯し、緑色灯61は消灯する。逆に、閉塞区間B−21に列車が在線しないときには、軌道リレー53がオンになってa接点531aが閉じ、b接点531bが開く。この状態では、緑色灯61が点灯し、赤色灯63は消灯する。
【0067】
また、無線受信機451による不良同定信号の受信に応じて判定部453がオン信号を出力した場合には、次のように動作する。すなわち、タイマ461に電流が流れて瞬時動作・限時復帰接点461aが閉じる。これに応じてコイル471に電流が流れてb接点471bが開き、a接点471aが閉じる。この状態では、赤色灯63が点灯し、緑色灯61は消灯する。すなわち、軌道リレー53によって列車の在線が検知されない場合であっても、閉塞信号機の現示は強制的に停止現示となる。尚、不良同定信号の受信に応じて赤色灯63を点灯させることとしたが、滅灯させるようにしてもよい。
【0068】
また、判定部453からの出力信号レベルがLレベルとなった場合、タイマ461は、予め設定された所定時間の経過を計時する。そして、所定時間が経過したならば、タイマ461は、瞬時動作・限時復帰接点461aを復帰させて接点を開かせる。この場合には、コイル471が消磁してb接点471bが閉じ、a接点471aが開かれる。
【0069】
尚、前述の例では、短絡不良発生が同定された場合に閉塞信号機の現示を停止現示に変更することとしたが、当該閉塞信号機の信号現示を点滅させるようにして、短絡不良発生の同定を報知することとしてもよい。また、前述の例では、2現示信号機の現示制御回路方式を例にとって説明したが、2現示であっても他の現示制御回路方式や、3現示以上の信号機の現示制御回路方式においても、発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜適用が可能である。
【0070】
また、地上側の信号現示に限らず、車両の運転席に設けられた車内信号表示器に、短絡不良発生の同定を報知する現示を行ってもよい。例えば、公知の自動列車制御(ATC)システムにおいて、ある閉塞区間を走行している列車の短絡不良同定手段が、短絡不良発生を同定した場合に、地上の信号設備に対して予め割り当てられている不良同定信号用周波数の信号を当該軌道回路の手前の閉塞区間に供給させて、当該閉塞区間に在線する列車の車上側に不良同定信号を伝送する。
【0071】
そして、不良同定信号を受信した列車において、車内速度信号現示に併せて短絡不良同定現示を出力する。図12は、この場合の車内信号表示器90の一例を示す図である。図12に示す車内信号表示器90は、速度計91や車内信号93を備える従来の構成に加えて、短絡不良同定現示を出力する不良同定信号95を備えて構成されており、不良同定信号95は、不良同定信号を受信した場合に点灯する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】信号システムの全体構成の概略を説明するための図。
【図2】鉄道車両用台車の構成の一例を示す図。
【図3】電源により供給される電流の経路について説明するための図。
【図4】第1実施形態における不良信号送信手段について説明するための図。
【図5】第1実施形態における現示制御手段の機能を実現するための回路図。
【図6】短絡不良警告灯の消灯タイミングの変形例を説明するための図。
【図7】第1実施形態における信号システムの機能構成の一例を示すブロック図。
【図8】警告灯管理テーブルのデータ構成例を示す図。
【図9】第2実施形態の信号システムについて説明するための図。
【図10】短絡不良監視装置の機能構成の一例を示すブロック図。
【図11】現示制御手段の変形例を実現するための回路図。
【図12】不良同定信号を備えた車内信号表示器の一例を示す図。
【符号の説明】
【0073】
1 信号システム
10 列車
11 鉄道車両用台車
13a〜13d 車輪
15a,15b 車軸
17a,17b 輪軸
21a,21b 電源
25 車上制御装置
251 処理装置
253 記憶装置
255 現在位置情報
257 警告灯管理テーブル
259 無線送信機
41 短絡不良警告灯
45 現示制御器
451 無線受信機
B 閉塞区間
r(r1,r2) レール




 

 


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